説明

電力消費状態表示装置

【課題】家全体の電気エネルギーの計測と監視を簡便にできる電力消費状態表示装置を提供する。
【解決手段】事業所、各家庭に於て、誰もが屋内の任意の場所で、いつでも瞬時の電気消費状態を視覚的認識できるように、電源の電流変化を電流計測回路を用いて電圧変化として取り出し、A/D変換回路を用いてパルス変換し、マイクロコンピュータを用いて、複数の発光体11のそれぞれを順送りに点滅させ、消費電力に応じて疑似回転または疑似流れの速度が変化する発光表示部12を有する電力消費状態表示装置4を用いて電力消費を監視する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力使用に関し、主として交流回路の電流の消費状態を簡便に知る電力消費状態表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電力量計は、1秒間になす仕事の割合である電力を分、時間、一日と連続して計測し、時間の単位で電力量計を通過した電力の量を計測している。計量内容での種類は、電力(有効電力)の量を計測する電力量計と無効電力の量を計測する無効電力量計に大別され、一般の住宅には電力量計のみが取り付けられている。計量機構からは、約100年の歴史をもつ誘導形電力量計と、多様化する電気料金メニューに対応する電子式電力量計がある。さらに、配電方式による分類は、日本では単相2線式、単相3線式、三相3線式に分けられ、大電流の計量では変流器付が、高圧・特別高圧の計量では変成器付が用いられている。
【0003】
従来、電子式電力量計の計量機構は、一般的に電子回路の電圧電流レベルに変換する入力変換部、乗算回路、電力に比例したパルスを発生する積分回路、分周回路、パルスをカウントして表示する表示部から構成される。誘導形電力量計では、電圧、電流に比例した磁束の回転磁束から電力に比例した回転トルクを得ているが、電子式電力量計は電圧、電流の乗算を静的に乗算器にて行っており、アナログ乗算とデジタル乗算に乗算方式は大別される。
【0004】
従来、電子式電力量計のA/D変換乗算方式は、電力量計の入力要素である電圧と電流の波形をそれぞれA/D変換器で高分解能でデジタル変換し、デジタル瞬時をそれぞれ掛け合わせて電力を求めている。
【0005】
図13は、従来のA/D変換乗算方式の計量機構の概略図である。A/D変換乗算方式は、電力量計の入力要素である電圧と電流の波形をそれぞれA/D変換器で高分解能でデジタル変換し、デジタル瞬時を掛け合わせて電力を求めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−53954号公報
【特許文献2】特開平9−322330号公報
【特許文献3】特開平12−193696号公報
【非特許文献】
【0007】
NTTスマイルエナジー 京都新聞 2011年5月11日
【0008】
従来、宅内の使用電気エネルギーを計測する表示装置として、特開平9−53954号公報に開示された表示装置もある。電気、ガス、水道、石油等の使用料金を直接読取可能とし、かつ節約目標金額と実際の使用料金との差額を簡単に確認できるようにすることで、各家庭や工場や会社等において個人レベルで節約料金を簡単に確認しかつ管理し、省エネルギーに対する個々人の意識向上を図り、省エネルギーに大きく貢献することができると共に節約による実利を得ることのできる節約料金表示装置を提供する。その構成は検出部で検出される電流データを計測ユニットに1秒毎に取り込んでA/D変換部でデジタル信号に変換した後、1分毎の平均値計算を行って計測ユニットに送信する。計測ユニットでは金額データ処理部でA/Dデータを金額データに変換し、データ保管部でデータを保管し、データ入力部から入力された節約目標金額等の数値をデータ保管処理部に保管された金額データとを比較演算することで節約金額を算出し、これら算出された節約金額や節約目標金額をデータ表示処理部でデータ処理を行った後、料金表示部で液晶表示等により表示する。となっている。
【0009】
また、従来、宅内の使用電気エネルギーを計測する表示装置として、例えば、特開平9−322330号公報に開示された表示装置がある。この装置では、主幹回路を分岐回路に分岐する分岐ブレーカの近傍に電流検出素子が設置され、この電流検出素子の出力を受けて信号処理手段が各分岐回路の消費電力を演算処理する。信号処理手段は分電盤の本体に設けられており、分電盤の蓋体には、複数個の発光素子が列状に配置された線状発光手段が各分岐回路に対応して設けられている。これら線状発光手段は、信号処理手段で演算された各分岐回路の消費電力をバーグラフ表示する。となっている。
【0010】
また、従来、宅内の使用電気エネルギーを計測する表示装置として、特開平12−193696号公報に開示された表示装置もある。この装置では、名称が電力使用状態監視方法およびその装置。一般家庭、小規模店舗や工場などの需要者が自己の電力使用状態を即座に監視できる電力使用状態監視方法及びその装置を提供する。としている。電力使用量の瞬時電力及び電力量を検出し、検出された前記使用量を、受信手段に無線送信し、該送信された信号を受信し表示する表示手段は、前記使用量の目標値を記憶する記憶手段を有し、前記使用量及びその目標値とを、少なくとも前記電力量の料金に換算して表示する。となっている。
【0011】
また、新聞発表となった、宅内の使用電気エネルギーを計測する表示装置として、技術文献1に示す、NTTスマイルエナジーがある。京都新聞2011年5月11日に掲載である。電力センサーやWEBサイトを組み合わせて家庭の消費電力や太陽光パネルの発電量を「見える化」し、家庭の省エネルギーをサポートしていくもの。簡易電力センサーと表示端末、専用WEBサイトを組み合わせ、家庭の消費電力量や太陽光パネルの発電電力量を可視化し、データはクラウド上に蓄積し、これまでの傾向や現在の消費ペースを表示端末やPC(パソコン)で見ることができるようにしている。二酸化炭素削減量を算出し、削減量に応じて環境保全活動に参加できる仕組みも提供する。としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、従来のいずれの表示装置も、主に主幹回路及び分岐回路に接続される機器の消費電力を電力の値または電流の値で数値を表示させたり、グラフ表示にしたりする機能を持っているに過ぎず、家全体、事業所、施設での電気エネルギーの刻々と変化している電気の使用状況を簡便に把握出来るものではない。また、液晶パネルを使ってカラー表示化やグラフ化したりの機能もあるが、機器の設計代や生産費が高くなる。パソコンで見られるようにする電力監視のソフトは、付加価値をつければつけるだけ、その初期設備代やシステム維持費が高価となる傾向があり、消費者が真に望むものとはなっていない。
【0013】

また、電力使用に関し、積算電気使用量の表示が用いられて、時間単位、一日単位、週単位、月単位、年単位で表示されて一見便利なようではあるが、より多くの人が省エネルギー意識を持つためには、電気エネルギーの積算値をグラフで表示するよりも、今の瞬間に刻々と流れている電気エネルギーの大小を瞬時値として簡便に表示し、その消費状態を視覚的に確認し易い方法で知ることの方が現実的な表現として身近に感じられる。
【0014】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、家全体の電気エネルギーの計測と監視を簡便にできる電力消費状態表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
そして、本発明は上記目的を達成するために、交流電源から配線を伝わって負荷へ流れる電流の消費状態を表示をする表示装置であって、
この表示装置は、電流計測回路と、整流回路と、A/D変換回路と、マイクロコンピュータと、複数の発光体を設けた発光表示部とを少なくとも有し、
配線を流れる交流電流は、電流計測回路に交流電圧を生じさせ、その交流電圧は整流回路で直流電圧に変換され、その直流電圧はA/D変換回路でパルス信号列に変換されてマイクロコンピュータに送られ、そのパルス信号列はマイクロコンピュータで演算されて、
複数の発光体のそれぞれを、演算されたパルス信号列のパルスに応じて順送りに点滅を繰り返す状態にし、電流計測回路の電流値が大きくなるに従い、発光体の順送り速度を速くさせ、その整流回路の直流電圧の最高値近辺で、人間の目に常時点灯と判別つかなくなるほどの高速度でそれぞれの発光体を点滅させる発光表示部を有する構造の表示装置である。
【0016】
また、本発明は、複数の発光体をループ状に配置し、それぞれの発光体をマイクロコンピュータで演算されたパルス信号列のパルスに応じて順送りに点滅を繰り返す状態にし、疑似回転を生じさせる発光表示部を有する構造の請求項1〜2記載の表示装置である。
【0017】
さらに、本発明は、複数の発光体を直線状に配置し、それぞれの発光体をマイクロコンピュータで演算されたパルス信号列のパルスに応じて順送りに点滅を繰り返す状態にし、疑似流れを生じさせる発光表示部を有する構造の請求項1〜3記載の表示装置である。
【発明の効果】
【0018】
また、本発明は、マイクロコンピュータの演算結果により、電流計測回路を流れる交流電流の大小に応じて、フルカラーLEDのデューティ比を変えて色変化を生じさせる発光表示部を有する構造の請求項1〜4記載の電力消費状態表示装置である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る電力消費状態表示装置の概略図の一例
【図2】前記実施形態における電力消費状態表示装置の無線方式の概略図の一例
【図3】前記実施形態におけるループ状に配置した発光表示部を有する電力消費状態表示装置の正面図の一例
【図4】前記実施形態におけるループ状に配置した発光表示部の有する電力消費状態表示装置の斜視図の一例
【図5】前記実施形態における中央にカラーLEDと乳白色フードを設けた電力消費状態表示装置の斜視図の一例
【図6】前記実施形態における乳白色リング状フードの中央にデジタル表示部を設けた電力消費状態表示装置の斜視図の一例
【図7】前記実施形態における乳白色リング状フードの中央にデジタル表示部を設けた電力消費状態表示装置の斜視図の一例
【図8】前記実施形態における発光表示部の外部にデジタル表示部を設けた電力消費状態表示装置の斜視図の一例
【図9】前記実施形態におけるフルカラーLEDの発光体と、中央にデジタル表示部を設けた電力消費状態表示装置の斜視図の一例
【図10】前記実施形態における直線状に発光体を配置した発光表示部とデジタル表示部を設けた電力消費状態表示装置の斜視図の一例
【図11】前記実施形態における直線状にフルカラーLEDを配置した発光表示部とデジタル表示部を設けた電力消費状態表示装置の斜視図の一例
【図12】前記実施形態における電力消費状態表示装置の配線図の一例
【図13】従来のA/D変換乗算方式の電子式電力量計の計量機構の概略図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図12に基づいて説明する。これにより、当業者は、本発明に係る装置またはシステムを作製すること、並びに、これらに付随する方法を実施することができる。本発明の特許可能な範囲は、添付の特許請求の範囲に記載されており、特許請求の範囲には、当業者に想起可能なその他様々な実施形態も含まれるものとする。
【0021】
本発明の表示装置は、回路に流れる電流値を人間が理解し易いように視覚感覚を直接刺激する表現型の表示装置であって、主として電力量の測定に使用される表示装置である。この表示装置は、本明細書に記載したように、瞬間的に流れる電気エネルギー量を表現することに用いた場合、流れている電気エネルギー量の大小を判別できる性能がある限り、広義の意味として「メーター」と表現してもよい。
【実施例】
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係る電力消費状態表示装置の概略図の一例。電流計測回路として変成器と抵抗を用いている。図においては、交流電源1から配線2を伝わって負荷3へ流れ、交流電源1へと帰還する電流の消費状態を表示をする表示装置4であって、
この電力消費状態表示装置4は、変流器5と、整流回路6と、A/D変換回路7と、マイクロコンピュータ9と、ループ状に配置した複数の発光体11を設けた発光表示部12とを有し、
配線2の一つがその変流器5を貫通する交流電流は、相互電磁誘導作用によって、変流器5に誘導電流を生じさせ、誘導電流はその変流器5の両端に接続された抵抗13に交流電圧を生じさせ、その交流電圧は整流回路6で直流電圧に変換され、その直流電圧はA/D変換回路7でパルス信号列8に変換されてマイクロコンピュータ9に送られ、そのパルス信号列8はマイクロコンピュータで演算されて、
ループ状に配置した複数の発光体11のそれぞれを、その整流回路6の直流電圧に応じて、順送りに点滅を繰り返す状態にし、その整流回路6の直流電圧が高くなるに従い、そのループ状に配置した複数の発光体11の順送り速度を速くさせて疑似回転させる発光表示部12を有した電力消費状態表示装置4にしたものである。
なお、そのループ状に配置した発光体11を順送りに発光させる発光表示部12は、エンドレスに点滅の順送りを繰り返す。発光表示部12の発光体11は、一周の列にするだけとは限らず、複数列にしてもよい。また、ループ状に配置したとは、円状、楕円状、多角形、ハート型など、発光体11がエンドレスに発光可能な形状ならどのような配置にしてもよい。
なお、変流器は図面では一つになっているが、単相2線式以外では、単相3線式、三相3線式の違いによって変流器の個数を増やす必要がある。
なお、図示していないが、平滑回路を設けたり、増幅回路を設けたりすることは必要に応じてする。
また、図では、電流計測回路として変流器5と抵抗13を用いたが、ホール素子を電流計測回路のセンサーとして用いてもよい。ホール素子はセンサー面に負荷電流に比例した磁束を加えると、出力端子間には磁束とホール電流の積に比例したホール電圧が発生する。電流測定回路のセンサーにホール素子を用いることは慣用手段であり、図示することを省略する。
【0023】
図2は、前記実施形態における電力消費状態表示装置の無線方式の概略図の一例である。図においては、交流電源1からでた交流電流は、配線2を伝わって負荷3へ流れ、交流電源1へ帰還する。配線2の経路中に配線が貫通するように変流器5を設ける。変流器5を貫通する交流電流は、変流器5に誘導電流を生じさせ、変流器5の両端に接続された可変抵抗13に交流電圧を生じさせ、前記交流電圧は整流回路6で直流電圧に変換され、直流電圧はA/D変換回路7でパルス信号列8に変換させて送信回路14に送り、送信アンテナ15Aから送信させ、受信アンテナ15Bで捕らえ、受信回路16を経てマイクロコンピュータ9に送るものであって、後は図1と同様である。
【0024】
図3は、前記実施形態におけるループ状に配置した発光表示部を有する電力消費状態表示装置の正面図の一例である。図においては、発光表示部12の発光体11は、整流回路6に生じる電圧に応じて、発光表示部12のそれぞれの発光体11が順次に点滅を繰り返す構造となっている。
【0025】
図4は、前記実施形態におけるループ状に配置した発光表示部の有する電力消費状態表示装置の斜視図の一例である。発光表示部12の発光体11は、電流が通過することで光るものなら何でもよいが、LEDが瞬時点灯性能、耐久性、小型化、価格面いずれの性能においても現時点では一番適している。図4では、発光表示部12の発光体11としてのLEDを斜め方向に取り付けている。LEDは指向性があるので、表示装置4を室内中央の天上付近に設置したときは、室内のどの方向から見ても、視認性の良くなる特徴がある。壁面に設置した場合にも同様のことがいえる。ただし、高輝度LEDや超高輝度LEDを用いるなら、通常のLEDに比べ非常に明るい発光状態となる。LEDは消費電流の非常に少ない発光体であり、適当な照度設計することで、より消費電流の少ない表示装置となる。なお、本発明においてLEDと表示する場合、発光ダイオード(はっこうダイオード)のことをさす。発光ダイオードは、順方向に電圧を加えた際に発光する半導体素子のことである。発光原理はエレクトロルミネセンス効果を利用している。有機エレクトロルミネッセンスも分類上、LEDに含まれる。
【0026】
図5は、前記実施形態における中央にカラーLEDと乳白色フードを設けた電力消費状態表示装置の斜視図の一例である。カラーLED17は、請求項2に記載しているように、ループ状に配置した複数個の発光体11を設置した発光表示部12の中央に、赤色LED18A、緑色LED18B、青色LED18Cを設け、整流回路6の電圧変化をマイクロコンピュータ9に演算させて、前記赤色LED18A、緑色LED18B、青色LED18Cのデューティ比を変え、各LEDの発光率を変化させて、乳白色フード19に覆われた前記赤色LED18A、緑色LED18B、青色LED18Cの各LEDの発光を見る人間に、混合色としての様々な色の色変化を生じさせる表示装置4である。
【0027】
図6は、前記実施形態における乳白色リング状フード20の中央にデジタル表示部22を設けた電力消費状態表示装置の斜視図の一例である。乳白色リング状フード20の内部には、赤色LED、緑色LED、青色LEDを一体型にしたフルカラーLED21を複数個配置し、整流回路6の電圧変化をマイクロコンピュータ9で演算させて、赤色LED、緑色LED、青色LEDのデューティ比を変化させ、乳白色リング状フード20を見る人間に各LEDの光りが混合する結果、赤色、緑色、青色だけでなく、黄色、橙色、紫、白色など様々な色変化を生じさせる構造となる。中央にはデジタル表示部22がある。デジタル表示部22はLEDでもよいし、液晶表示にしてもよい。モード切替スイッチ23で切り替えることにより、デジタル表示部22の表示を、瞬時電力、料金表示、積算電力表示、二酸化炭素排出量、室温表示、時刻表示などを表示することが可能である。この切替は一定時間毎に切り替わるようにすることもできる。なお、電力表示を積算して円換算して、時間単位、日単位など、一定期間の使用料金を表示するようにすれば、電気エネルギーの消費に対して、より一層深い関心を抱くようになる。
【0028】
図7は、前記実施形態における乳白色リング状フードの中央にデジタル表示部を設けた電力消費状態表示装置の斜視図の一例である。ループ状に発光体11を配置した発光表示部12に、乳白色リング状フード20を設け、その中央にデジタル表示部22を有する表示装置4の斜視図である。図7では、発光体11を中心部へ向けて傾斜状に配置している。発光体11をLEDにした場合に指向性の問題があり、斜めに設置にすることで、室内のどの方向から見た場合でも、視認性を良くする効果がある。中央にはデジタル表示部22がある。デジタル表示部22はLEDでもよいし、液晶表示にしてもよい。デジタル表示部22を液晶表示にした場合には画像表示も可能となる。モード切替スイッチ23の切替で画像表示部を様々に切替て、より複雑な情報を表示することが可能となる。
【0029】
図8は、前記実施形態における発光表示部の外部にデジタル表示部を設けた電力消費状態表示装置の斜視図の一例であ。ループ状に発光体11を配置した発光表示部12の外部にデジタル表示部22を有する表示装置4の斜視図である。デジタル表示部22をループ状に配置した発光表示部12の外部に設けた表示装置4は、全体を小型化することに適する形状となる。以上、LEDの指向特性の問題から視認性向上方法として、LED取付角度を変化させたが、量産時には取付角度は問題となるので平面配置が望ましい。最近では、LEDの性能向上も相当に進化しており、省電力高輝度のLEDも量産されており、このLEDの性能向上を考慮するなら、平面配置は量産性向上のためによい。
【0030】
図9は、前記実施形態におけるフルカラーLEDの発光体と、中央にデジタル表示部を設けた電力消費状態表示装置の斜視図の一例である。ループ状に配置した複数の発光体11を、赤色LED、緑色LED、青色LEDを一体にしたフルカラーLED21で構成し、整流回路6の電圧変化をマイクロコンピュータに演算させることにより、その赤色LED、緑色LED、青色LEDのデューティ比を変えて、各LEDの発光率を変化させ、LEDを見る人間に混合色としての色変化を生じさせる表示装置にしたもので、発光体11を可変色にフルカラーLEDに置き換えることで、好みの色で発光させることができる。フルカラーLED21を発光体11にしたことで、注意を喚起しやすくなる。例えば、青色は非常に省エネルギー状態での電流消費状態、緑色は正常領域、黄色は注意領域、赤色は要注意領域と機器の運転の監視状態を非常に見極めやすくなる。これらのフルカラーLED21は、整流回路6の電圧に応じて、各LEDの疑似回転速度も変化するので、電流の消費状態の管理に、作業者自身が視覚的に気づくことが容易であり、誰もが管理し易いやすい表示装置となる。省エネルギーを喚起し易くなる。また、部品点数を節約できるので、表示装置の製造効率もよくなる。

【0031】
図10は、前記実施形態における直線状に発光体を配置した発光表示部とデジタル表示部を設けた電力消費状態表示装置の斜視図の一例である。複数の発光体11を直線状に配置した発光表示部を有し、その整流回路6の直流電圧に応じて、順送りに点滅を繰り返す状態にし、一方の端のの発光体11の点滅が他方の端発光体11を点滅させた後は、再度最初の発光体11から点滅させる構造とし、その整流回路6の直流電圧が高くなるに従い、発光体11の順送り速度を速くさせ、最高の設定電圧値では、人間の目に常時点灯と判別つかなくなるほどの高速度でそれぞれの発光体11を点滅させて、発光表示部12を有した表示装置4にしたものである。図では発光表示部の上部にデジタル表示部があるが、下部でも側部でもよい。ここで発光体の配置形態を直線と表現したのは、一方の端から他方の端へという意味で、ループ状に配置したように端の無い状態をさすのでなく、必ず両端がある構造をさす。従って円弧であってよいし、波状であってもよい。また発光体が複数の線になっていてもよい。図11のものも同様に解釈する。
【0032】
図11は、前記実施形態における直線状にフルカラーLEDを配置した発光表示部とデジタル表示部を設けた電力消費状態表示装置の斜視図の一例である。複数の発光体を直線に配置した発光表示部を有し、発光体は、赤色LED、緑色LED、青色LEDを一体にしたフルカラーLED21で構成し、整流回路6の電圧変化をマイクロコンピュータに演算させることにより、その赤色LED、緑色LED、青色LEDのデューティ比を変えて、各LEDの発光率を変化させ、LEDを見る人間に混合色としての色変化を生じさせる表示装置にしたもので、発光体をフルカラーLED21に置き換えることで、好みの色で発光させることができるし、注意を喚起しやすくなる。例えば、青色は非常に省エネルギー状態での電流消費状態、緑色は正常領域、黄色は注意領域、赤は要注意領域と機器の運転の監視状態を非常に見極めやすくなる。これらのフルカラーLED21は、整流回路6の電圧に応じて、疑似流れ速度も変化するので、作業者自身が視覚的に気づくことが容易である。誰もが管理し易いやすい表示装置となるし、省エネルギーを喚起し易くなる。また、表示装置の全体を小型化し易くなる。なお、図11では、フルカラーLED21としているが、その他の図においても、発光体としているものにフルカラーLED21を用いてよい。ここで、フルカラーLED21と表現しているLEDは、赤・緑・青の3つのLEDが一つのパッケージに封印されたもので、3つのLEDの明るさを変えることで無限の色を表示できるものをさす。
【0033】
図12は、前記実施形態における電力消費状態表示装置の配線図の一例である。以下、配線図の説明をする。本発明の実施例として、発光体11は本配線図ではLED用いており、12個のLEDを順次点滅させる構造にしている。本実施例に使用したマイクロコンピュータ9は、A/D変換回路を内蔵しているので、配線図には図示しない。このマイクロコンピュータに予めプログラムするソフトにより、点滅速度を変化させることができる。従って、変成器5を貫通する交流は、、誘導電磁作用により、交流電流を生じ、発生した交流電流は抵抗13の両端に交流電圧としてあらわれるので、整流回路6にで直流電圧に変換する。変換された直流電圧はマイクロコンピュータに入力する前に可変抵抗25を調節して、適切な直流電圧にする。適切な電圧とは、マイクロコンピュータにより決定するものであり、この実施例では最大消費電流のときに発生する電圧を5ボルトに設定している。バッテリー26に接続したスイッチ27を入れると、発光体11であるLEDが順送り点滅を開始する。順送り点滅の速度は変流器5を貫通する交流の電流の大きさに比例する。本実施例の配線図は発光体11が直線状に配置されたようになっているが、ループ状に配置にする場合は、1〜12まで並んだLEDをループにして、1と12のLEDを隣り同士に配置すればよい。

【0034】
本発明は、電力の監視状態を人間にわかりやすい表現方式に構成したことにある。本発明の表示装置の主要構成要素は、ループ状や直線状に配置した複数の発光体を有する発光表示部を設け、それを交流電流を測定する回路として、交流が貫通する変成器の両端に設けた抵抗に生じる電圧を直流電圧に変換し、その直流電圧の変化は、交流電流の変化に比例するので、その電圧変化に応じて、マイクロコンピュータの演算により、点滅速度を変換させる表示手段にしたことである。従来の表示装置と異なり、ループ状や直線状に配置した複数の発光体は、順送り点滅させると、光りが疑似回転や疑似流れを創出し、電力の消費状態に応じて光りの点滅状態の流れ速度が速くなる。疑似回転させた場合は、回転速度が速くなり、疑似流れの場合は、疑似流れの速度が速くなる。本発明の表示装置は、電流の流れの大小を光りの動きの速度で表示するものであり、本発明の電流消費状態の表示手段は、従来のアナログ表示やデジタル表示の手段に比較して、格段に視認性がよくなる。従って、遠く離れた場所からでも電力の消費状態の大小をよく判別できるし、近くからでも電流変化を感覚変化として非常に感知し易い。さらに、本発明はLEDにフルカラーLEDを用いることで、消費電力状態を色表示も可能となる。従来の表示装置に比較して、電力消費状態の大小を判別することがさらに容易になり、視認性を一段と向上させることができる。また、計器がいかなる動作状態であっても、その状態を一目で判断することができる。

【0035】
視認性の実験に関してであるが、以下、通常の7セグメントLEDと本発明の表示装置の視認性の比較の実験データを示す。文字高20ミリメートルの赤色発光7セグメントLEDを場合には、約6メートルの距離が文字情報を読み取る限度であった。本発明の表示装置を用いてLEDをループ状に配置した場合、発光体として5φの白色LED12個を直径100ミリの大きさに配置した表示装置では、約30メートル以上離れた場合でも、疑似回転速度の変化を容易に確認できた。この実験により、5倍以上の視認距離差があることを証明できたことになる。また、直線状に配置した場合も、ループ状配置と発光体の配置ピッチを同じにすれば同程度の距離で疑似流れの速度変化の確認ができた。比較測定の実験は、通常視力の者を対象とした実験結果だけでなく、近視眼者に眼鏡を着用させて求めた数値などから、平均的に求めた。LCD(液晶ディスプレイ)でも文字高が同一の場合には、文字の識別能力に大差は見られなかった。
【0036】
また、本発明の主要構成要素の発光表示部に加え、消費電力状態を色表示できるようにし、さらに発光表示部の中央付近にデジタル表示部を加えたことで、電力使用状態の大小を細かく表現できるようになる。デジタル表示部の数値表示はモード切替スイッチを切り替えることにより、瞬時電力、、最大電力、料金、積算電力、室温、時刻の表示や、電力の供給余力のパーセント表示をすることができる。この切替は一定時間毎に切り替わるようにすることもできる。なお、電力表示を積算して円換算して、時間単位、日単位など、一定期間の使用料金を表示するようにすれば、電気エネルギーの消費に対してより一層深い関心を抱くようになる。さらにデータを蓄積して外部に手軽に持ち出せる手段を取り入れるようにすることも可能である。このようにすることで、パソコンなどでデータ管理することもできるし、データログを記録し、解析することで高度な電力使用状態の管理ができる。データはパソコンや専用装置に送信してもよいし、SDカードやUSBメモリーに記録してもよい。
【0037】
また、本発明の主要構成要素の発光表示部に加え、消費電力状態を色表示できるようにし、さらに真ん中にデジタル表示部を加え、さらにアラーム機能を加えることで、最大消費に対して現状が何パーセントの状態になっているかを警告できるようになる。このことにより、電気エネルギーの消費に対して、より一層深い関心を抱くようになる。また、アラーム音に変えて様々な音楽の合成音を用いるようにしてもよい。また、本発明の主要構成要素である、複数の発光体を、赤色LED、緑色LED、青色LEDを一体にしたフルカラーLEDで構成し、整流器の電圧変化をマイクロコンピュータに演算させることにより、その赤色LED、緑色LED、青色LEDのデューティ比を変えて、各LEDの発光率を変化させ、LEDを見る人間に混合色としての色変化を生じさせるしたものである。

【0038】
また、本発明の主要構成要素の複数の発光体を、直線状に配置した場合は、部品点数や基盤面積を節約できる。点滅光の疑似流れ状態を創出するには、発光体の発光間隔を1個以上空けて順送りに点滅させる必要がある。光りの点滅が一方から他方に達したら、最初の発光体を点滅状態にさせてエンドレスに行う。
【0039】
本発明の表示装置は、従来の電力計を進化させた構造であり、設置者に電力消費状態の確認が容易な表現手段を持つものである。従来の産業用機器に使用されている電力計類は、いわゆる針式の指針を持ったアナログ式と、数値表示をするデジタル式が一般的である。最近ではデジタル式とバー表示を混在表示した方式のものあるし、グラフ表示式のものもある。従来の何れの方式においても、電力使用状態が一定の値の時は、メーター装置の表示は静止状態となる。本発明の表示装置の特徴は、電力使用時の消費量の大小を、発光体の疑似回転又は、疑似流れによって表示するようにしたことである。従って、電力使用が行われているかぎり、その消費状態は、光りの発光が回転したように疑似回転するとか擬似的に流れて表示される。電力消費量の大小に応じて、発光体の疑似回転や疑似流れの速度が変化するようにしたので、視認性が非常によくなり、遠く離れた場所からでも個々の機器の消費電力状態や全消費電力の確認がし易い。一般住宅、企業、施設での電気エネルギーの管理に適する表示装置となる。
【0040】
本発明の表示装置は、電気自動車及びハイブリッド電気自動車の普及が進んでいることに伴って、そのような自動車への電気エネルギーの送出量を正確に管理する必要性が高まっているので、電気自動車及びハイブリッド電気自動車の使用状況の管理に用いることができる。電気自動車及びハイブリッド電気自動車が、坂道と平道の違いや、坂道の勾配の違い、スピードの違い、加速状況の違いなど、運転状況の違いに応じてのエネルギー消費状態を一目瞭然で監視しやすくなる。また、電気自動車の車両の電気使用状態の表示だけにとどまらず、電気自動車への充電状態の監視にも用いることができる。例えば、充電器の最高の充電能力を100パーセントとして、その時にループ状に配置された発光体が最高に廻るように設定しておけば、どの程度の充電状況か目視確認しやすくなる。また、フルカラーLEDを採用することで、適正充電の状態を色表示できる。なお、電源が直流のみの場合には、図1、図2の回路にインバータ回路を付加して、周波数変換した後のものを測定することにより表示することが可能となる。
【0041】
本発明の表示装置は、工作機械や産業機械を使用しているときの省電力効果評価装置として用いることができる。機械の運転条件をさまざまに設定して、その時の実際値をパーセント表現での数値表示にすることができ、誰もが容易に監視できる。さらに、ループ状に発光体を配置した本発明の表示装置は、発光表示部の発光体が廻るように見えることで、視認性がよくなる。従って、消費電力のパターンや仕事量伝達効率の測定が可能になる。仕事量伝達効率を測定することによって、機械のエネルギー損失を評価できる。また、機械の効率的運転が可能となり、効率的に省電力効果の評価をすることができる。工作機械だけに留まらず、エアコンや冷蔵庫など、個別の機器毎に設置することで稼働状況を容易に管理できる。
【0042】
本発明の表示装置は、異常情報出力装置として用いることもできる。装置の異常状態は消費電力の異常として現れることが多い。本発明のように、ループ状に配置された発光体が廻るように見える表示装置は、視認性のよい特徴があるので、異常状態を検出していち早く作業員または管理者に異常を知らせることができる。その異常情報は、ループ状に配置された発光体の疑似回転表示だけでもよいが、さらに光りの色やアラーム音と連動させるようにすればより効果的である。
【0043】
本発明の表示装置は、刃物の摩耗状態を管理することもできる。工作機械が刃物を用いたものである場合には、送り速度、切り込み量、刃物回転速度、刃物の摩耗度などに応じてモータの負荷が変動する。従って、一台ごとに、工作物の材質に応じて機械能力の最高性能を発揮させるようにできる。人間が機械を操作していたときは、ハンドルを廻す手に力がフィードバックされたが、完全に機械化されたマシニングセンターの様な機械には、どのような負荷が掛かっているのか把握し難くなっている。そのような環境下では、現時点での電気の流れを目視確認できるこの種の表示装置は、工作機械の性能を最高に発揮できるものとなる。
【0044】

本発明の表示装置は、研削装置の切り込みを管理することに用いることができる。研削装置は砥石を用いたものである。送り速度、研削量、回転速度、砥石の種類などに応じてモータの負荷が変動する。従って、一台ごとに、工作物の材質に応じて機械能力の最高性能を発揮させるようにできる。また、最終工程になれば研削量も少なくなり電流消費も低くなるので表示装置に現れる疑似回転や疑似流れとして観測可能となる。

【0045】
本発明の表示装置は、食品製造装置や保存装置に用いることができる。熱源を用いた製造装置であれば、予熱段階、本番加熱段階、蒸らし段階などが、装置から遠く離れていても、LEDの疑似回転状態を見ることでどの行程に入っているのかを良く監視できる。また、冷凍保存装置であれば、今どのような電力使用状況かを視覚的に良く確認できる。
【0046】
本発明の表示装置は、住宅内の在室状況の監視装置として用いることができる。通常は各部屋の居住者は、何らかの電気を使用している。電力消費状況をこの装置を用いることで一元管理が可能となる。勿論従来のデジタル表示装置においても測定は可能であるが、本発明のループ状に配置された発光表示部は、順送り点滅によって光りが回転しているように見えるので非常に視認性のよい特徴がある。各部屋の電力使用状況が把握し易くなり、従ってそれぞれの生活の活動状況の把握が容易となる。このような管理状況は、家族間であれば緩やかな監視として、理想的な家族管理が可能となる。
【0047】
本発明の表示装置は、風力発電、太陽光発電、バイオマス発電、地熱発電など自然エネルギーを利用した発電装置の管理に適する。なぜなら本発明のようなループ状に配置された発光表示部は、視覚の認識として発光体が擬似的に廻るように感じる特徴があり、それぞれの発電機の発電能力の稼働率が効率的に監視できるようになる。視覚的に廻るものや動くものは、人間には注目しやすい特徴がある。従って表示装置を特別大きくすることでディスプレー効果も高まる。公共施設では、電気エネルギー発生状況や使用状況を多くの人に認識して頂く必要があり、本発明の表示装置を設置することで、公共施設を利用する人々に電気エネルギーの発生やその使用に対して、啓蒙効果が期待できる。
【0048】
本発明の表示装置は、太陽光発電など自然エネルギーの発電状況と消費電力の管理装置に用いる場合には、ループ状に配置された発光表示部の擬似回転方向を、買電は右回転に売電は左回転にするなど、回転方向が変わるように表示することが可能である。また、本発明の表示装置を2台用いることで、買電専用や売電専用の表示装置とすることができる。のことにより、どちらの回転状態がどうかが瞬時にわかり、より一層、機器の稼働率を効率的に監視できるようになる。又は、直線配置で疑似流れの方向を知ることとでも流れの速さと方向で、買電と売電とその大きさを理解できる。加えてカラーLEDの色変化を利用すれば、なお一層視認効果が高まる。
【0049】
本発明の表示装置は、変流器を貫通する交流電線の電流の大小に応じて、マイクロコンピュータで演算して、設定した電流値になったときにアラーム音を鳴らすようにしてもよい。このようにすることで、視覚認識効果だけでなく、聴覚認識も用いることで、危険領域の値になったことをいち早く知らせることが可能である。近年、電力使用量のピークを抑制するために、電力供給会社と電力の大口需要家、例えば工場、高層商業ビル、ホテル、病院などとの間の電気料金契約は、デマンド電力に基づいて電力料金の基本使用料が決まる内容になっている。本発明の表示装置は、このようなデマンド電力を抑える目的に利用できる有効な装置である。
【0050】
本発明の表示装置は、自動販売機などの管理にも適す。また、コンビニやスーパーなどでの消費電力の管理にも適す。マイクロコンピュータで演算して、設定電流値になったときにアラーム音や光りの色で管理者に知らせるようにしてもよい。このようにすることで、経済領域や、通常領域、危険領域かの見分けが簡単になり、誰もが容易に管理者に状況を知らせることができる。
【0051】
本発明の表示装置の設置場所としては、一般家庭なら台所の壁面や皆が集う食堂などが適す。企業なら、社長室か管理人室の壁面や事務空間の天上面も適す。部屋毎に設置してもよいし、建物毎に設置してもよい。公共施設なら、入り口に設置するのも適すし、各室内毎に細かく管理してもよい。建物外部に設置してもディスプレー効果があると思われる。各家庭、各企業、各施設で電気エネルギー使用状態の見える化を推進することが大切である。先進国と言われる国のドイツでも電気エネルギーの見える化はまだ進んでいない。なぜなら、検針業務も年一回であり、前年度の一年間の使用実績を翌年度に12ヶ月で割り算して請求する制度であるとのことである。本発明の表示装置は瞬時の電気エネルギー表示を目的とした装置であり、エアコンや照明の節電を目的とした管理に、発光体の疑似回転による視覚効果が加わるので特に効果を発揮する。
【0052】
本発明の表示装置は、住宅、施設、事業所などに設置して改めてその必要性に気づきだすということもある。このことは、車に例えれば理解し易い。殆どの車には2種類のメーターが設置されている。速度計と距離計である。昔はスポーツタイプの車にしかついていなかったエンジン回転計は、普通乗用車にも設置されている。燃料残量計も勿論ついている。時計や温度計もついている。
【0053】
時計に関しては、アナログ方式がよいのか、デジタル方式がよいのか、それぞれに長所と短所があるが市場ではどちらが出回っているのか興味深い問題である。どちらがより優れていると決めつけるものではなく、趣味に従って決めているともいえるし、便利さや価格で決めているともいえる。また、ステータスシンボルとして所有している人達もいる。この種の問題は、両方の種類が選択可能の状態にあるのがよいのであって、本発明は両者の混合型といえる。
【0054】
我々が消費する電気エネルギーの管理に関しては、現状では殆ど見えない状態にされているといっても過言ではない。なぜなら通常は、各家庭や工場や会社等では、積算電力量しか知らされていない。しかも、積算電力計は一般的には建物外部に設置されている。積算電力計は毎月一回の検針により、積算電力量の数値を知るのが殆どである。積算電力計は車で例えれば距離計に相当する。しかも距離計が車の外に設置されている変な状態である。
【0055】
このおかしなエネルギー管理状況に私達は目覚めなければならない。この状況から脱出するには、利用者自らが電力消費の管理に必要なこの種の電力消費状態の表示装置を設置することである。家を新築したときには、この種のメーターを設置することが、当然と思える社会にならなければならない。新築時であれば、無線でデータを送信する設備もいらず、装置維持のための無駄な電気エネルギーの消費も発生しない。ただし、現状では、何らこの種の管理メーターの設置されていない既存建築への設置が大部分となるであろうから、これらの状況に対応できる備えも必要となる。これが図2で示す無線方式の表示装置である。無線信号での送信は、信号線を屋内に配線することが省けるので工事費に関しては割安になる。
【0056】
以下、この表示装置を用いて消費電力の監視方法を説明する。本発明は、利用者に節電意識を喚起させることが目的の表示装置である。そのためには、先ず、家庭での全電力の供給電力の上限値である「契約アンペア値」を知る必要がある。そのためには、分電盤内のブレーカのアンペア数を調べる。ブレーカとは、日本のいくつかの電力会社と需要家との間で「アンペア制」と呼ばれる電力需給契約がなされた場合に用いられる契約用電流制限器であり、リミッタやサービスブレーカと呼ばれることもある。電気回路を開閉する遮断機能もある。一般家庭では、玄関や廊下などに設置される分電盤内の左側に置かれることが多い。10アンペアから60アンペアまで何種類かの契約があり、それぞれに「アンペア値」の違うアンペアブレーカが設置される。アンペアブレーカは電力会社と需要家の間で契約された最大電力、すなわち「契約アンペア値」を超える電気を需要家が使用した場合に自動で電気を止める目的のために設置される「契約用遮断器」であり、電力会社独自のものである。変流器の設置は契約用遮断器の後の回路で行う。日本では、この電力契約に関しては、電力会社それぞれに独自の契約方式がある。
【0057】
以下、本発明の表示装置の最も需要が見込まれる一般の住宅用に用いた場合の使用方法を説明をする。一般住宅は、主電源の遮断機が30アンペアから100アンペアまで様々であるが、平均は60アンペアが多い。例えば、主電源が60アンペアの住宅を基本にすると、電源が単相3線式の場合、200ボルト配電を配電盤の中で、中性点を境に上100ボルト下100ボルトに別れる。従って、変流器はそれぞれの配線に各一個必要とし、それぞれの変流器の合計値で計算する。200ボルト送電の配電盤の主遮断機が30アンペアのときは、100ボルトに変換された電源は60アンペアが上限値となる。200ボルト送電の配電盤の主遮断機が50アンペアの場合は、100ボルトに変換された電源は100アンペアが上限値となる。
【0058】
今、電源の分電盤の総合供給電力の上限値が100アンペアとした場合の計算をすると、100ボルトに100アンペアを乗算し、1時間で100×100=10,000、即ち10キロワット時までが消費電力の上限となる。本発明の表示装置は、100アンペアの上限値を、表示装置の発光表示部の疑似回転が最高回転数になるように整流回路を調整して、直流電圧を5ボルトに設定する。消費電流が100アンペアの時に、発光表示部が10回転/秒だとすると、10アンペアの時には、整流回路の直流電圧は0.5ボルトとなり、発光表示部の疑似回転は1回転/秒となる。1アンペアの時には、整流回路の直流電圧は0.05ボルトとなり、発光表示部の疑似回転は0.1回転/秒となる。表示装置の発光表示部の発光体が10個あるとしたら、1秒ごとに点滅状態がひとつ移動することになる。100ボルト電源で1アンペアを1時間継続消費すれば、100ワットの消費である。この状態を24時間消費を継続したら、2.4キロワットであり、30日間継続したら72キロワットということになる。365日継続したら、864キロワットとなる。一軒あたり、年間平均して約10万円の電気代を支払っている統計値があるので、年間の平均消費電力を現在の一般家庭への平均買電価格である約22円/キロワットで逆算すると、100,000/22=4,545、約4,545キロワット/年となり、1ヶ月では約378キロワットとなる。この値を1時間当りに直すと、378/(30×24)=0.524 即ち1時間あたり平均して約524ワットを消費していることになる。即ち、約5アンペアを毎時消費している計算になる。この1時間あたり約5アンペアの消費電力の時は、発光表示部の疑似回転は0.5回転/秒 即ち2秒で1回転である。発光表示部の疑似回転が2秒間に1回の回転速度は、年間の値から導いた平均の値であって、一般家庭では、様々な消費状態となるのが普通である。コーヒを湧かしているとき、電子レンジを使用しているとき、ご飯を炊いているとき、冷蔵庫が運転中、エアコンが運転中、テレビを見ている最中、照明を付けているときなどそれぞれの機器の作動状態の変化で、刻々と消費電力の状態は変わり、そのたびに表示装置の発光表示部の疑似回転速度が変化する。この変化は、疑似回転速度の変化だけでなく、各種の色変化としても表示される。色表示に関しては、例えば、250ワットまでを青色、500ワットまでを緑色、1キロワットまでを黄色、2キロワットまでを橙色、4キロワットから赤色と表現したりすれば、色の概念と使用電力の状態を対比させやすい。さらに詳しくは各種の数値表示として、同時に表示することができる。アラームを設定することも可能であるし、アラームに変えて電子音楽にすることも可能である。なお、発光体の点滅は対象の位置から同時に初めてもよいし、何分割かした個所から同時に初めてもよい。なお、発光表示部の最高回転数を10回転/秒にしたのは、人間の認識限界がこの値以上では超えてしまうからである。なぜならば、疑似回転する場合、一周に発光体が10個あれば、1秒間で発光体は10×10即ち、100回点滅を繰り返す。交流電流は50サイクルと60サイクルとがあるが、その値を超えることになり、人間の目には点滅か常時点灯か判別が不能となる。従って、上限設定値で点滅が常時点灯と判別が可能にしようとすれば、疑似回転や疑似流れの速度の上限値を遅くする必要がある。
【0059】
本発明の表示装置は、電力そのものを正確に測定することを目的とした装置ではない。以下、一般家庭に送られた電力を参考にして説明する。家庭に送られる電力は100ボルト配電の場合には、規則により電力供給者(電力会社)は、101ボルトプラスマイナス6ボルトの範囲内で送電することになっている。配電盤での測定か差込コンセントでの測定かにおいて多少ことなるが、供給電圧は、モーター起動時には一瞬下るが、ほとんど一定電圧である。従来の電力測定のうち、電子式の測定方式は、A/D変換乗算方式になっている。本発明の電力測定は、電源電圧については、初回だけ測定して、後は測定対象としない。なぜならば、電力の実用状態では、電圧はほとんど一定とみなしてよい。電源電圧を一定とみなせば、測定した電流値に一定の電圧値を掛け算すれば、ワット=ボルト×アンペアとして求められる。交流測定には、実効値の計算をしなければならない現実問題があったが、本発明のようにすることにで電圧測定を省略できる。複雑な電圧と電流の乗算回路を必要としないことで、乗算回路用の部品が無くなり低価格に生産できる。
【0060】
また、本発明の表示装置は、他の電子式測定方式と比較した場合でも、非常に低価格に製造できる。しかしながら、この表示装置は、変流器の直線性が優れている限り、相当高精度に測定を行える。世の中は、節電に関心が集まっているが、昼間の最大使用電力になりそうな時間帯の節電が真に求められている。本発明の表示装置は、その日の最大消費電力値を記憶する能力もあり、前日との比較ができる。また、アラーム設定をすることで、最大消費電力値が設定値を超えた時にアラームを鳴らすことも可能である。液晶画面表示の従来の電力モニターは、画面サイズが大きくなるほど消費電力が多くなる傾向がある。本発明の表示装置の消費電力は、周囲のLEDが疑似回転し、中央部の液晶表示は小さいので、従来のモニター装置と比較して数分の1と省エネルギーである。
【0061】
本発明の表示装置は、日本だけでなく世界的な普及を考えた場合、地球上で使用される全電気エネルギーの約6パーセントを節約させることが可能である。本発明の意識改革型の表示装置を各家庭に設置することで、知らず知らずのうちに電気エネルギーの削減に貢献できる。現時点での試算であるが、一軒あたり平均して、年間約10万円の電気代を支払っているが、その金額の10〜20パーセントが節約できたとして、年間1〜2万円の電気代の節約が可能となる。この種装置の日本全国での普及を考えた場合、約4900万世帯といわれている日本では、年間4900〜9800億円の節約効果となる。機器の設置による毎年の節電量は、世界的な化石燃料の消費を抑える効果がある。従ってCO2排出量削減にも多いに貢献できる。電気エネルギーの消費状態を刻々と表示するこの表示装置の普及は、電気料金の節約金額及びCO2排出ガス削減効果は計り知れないほど大きなものとなり、国益に対しても相当に寄与する。
【0062】
21世紀は、エコライフ実践の大切さに気づいた人々が、先駆けとなってこの新しいライフスタイルを、多くの人々に伝えてエンライトメント(啓蒙)する時代である。各家庭で刻々と消費される電気エネルギーをはっきりと目に見えるかたちでお知らせする表示装置を設置した居住空間では、エネルギーコントロールの大切さを自然に学べる。意識改革による、セーブエナジーの始まりである。意識改革とは、物事への関心の持ち方に対する態度を変えるということである。例えば、我々がダイエットをして体重を減らす取組の課題で、「体重計の数字認識」が想像以上に効果があるごとく、節電に対しての「意識改革」の推進においても、「消費電力」即ち、現在使用中のワット・アワーの数を認識してみる体験や習慣は必ず効果がでる。その認識過程が数字を見るだけでなく、本発明が示すように電流が刻々と消費される状態を光りの疑似回転や疑似流れとして、感覚的に知ることのできる本発明の表示装置は、より一層、節電に関しての意識改革を促す効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上説明したように、本発明は交流電流の瞬時の流れを目視確認し易い構造にすることで、より注意を喚起し易くし、従来の電力モニターに比較し、視認性において格段の優位性を有するとともに、電力の瞬時値表示だけでなく、最大電力表示、積算表示、円換算表示、CO2排出量の表示をすることも従来装置と同程度にできる性能を有するため、電力を使用する一般住宅、企業、施設、産業機器、運転装置の電力監視装置として広く適用することが可能となる。
【符号の説明】
【0064】
1 交流電源
2 配線
3 負荷
4 表示装置
5 変流器
6 整流回路
7 A/D変換回路
8 パルス信号列
9 マイクロコンピュータ
11 発光体
12 発光表示部
13 抵抗
14 送信回路
15A 送信アンテナ
15B 受信アンテナ
16 受信回路
17 カラーLED
18A 赤色LED
18B 緑色LED
18C 青色LED
19 乳白色フード
20 乳白色リング状フード
21 フルカラーLED
22 デジタル表示部
23 モード切替スイッチ
24 A/D変換回路内蔵型マイクロコンピュータ
25 可変抵抗
26 バッテリー
27 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源から配線を伝わって負荷へ流れる電流の消費状態を表示する表示装置であって、
この電力消費状態表示装置は、電流計測回路と、整流回路と、A/D変換回路と、マイクロコンピュータと、複数の発光体を設けた発光表示部とを少なくとも有し、
配線の一つを通過する交流電流は、電流計測回路に交流電圧を生じさせ、その電圧は整流回路で直流電圧に変換され、その直流電圧はA/D変換回路でパルス信号列に変換してマイクロコンピュータに入力され、そのパルス信号列はマイクロコンピュータで演算されて、
複数の発光体のそれぞれを、演算されたパルス信号列のパルスに応じて順送りに点滅を繰り返す状態にし、整流回路の直流電圧が高くなるに従い、発光体の順送り速度を速くさせる発光表示部を有する構造の電力消費状態表示装置。
【請求項2】
複数の発光体のそれぞれを、演算されたパルス信号列のパルスに応じて順送りに点滅を繰り返す状態にし、電流計測回路の電流値が大きくなるに従い、発光体の順送り速度を速くさせ、その電流計測回路の電流値が最高値近辺で、人間の目に常時点灯と判別つかなくなるほどの高速度でそれぞれの発光体を点滅させる発光表示部を有する請求項1記載の構造の電力消費状態表示装置。
【請求項3】
複数の発光体をループ状に配置し、それぞれの発光体をマイクロコンピュータで演算されたパルス信号列のパルスに応じて順送りに点滅を繰り返す状態にし、疑似回転を生じさせる発光表示部を有する構造の請求項1〜2記載の電力消費状態表示装置。
【請求項4】
複数の発光体を直線状に配置し、それぞれの発光体をマイクロコンピュータで演算されたパルス信号列のパルスに応じて順送りに点滅を繰り返す状態にし、疑似流れを生じさせる発光表示部を有する構造の請求項1〜3記載の電力消費状態表示装置。

【請求項5】
マイクロコンピュータの演算結果により、電流計測回路を流れる交流電流の大小に応じて、フルカラーLEDのデューティ比を変えて色変化を生じさせる発光表示部を有する構造の請求項1〜4記載の電力消費状態表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−15380(P2013−15380A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147785(P2011−147785)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(392029568)株式会社フェニックス (4)