説明

電力管理装置、基地局、電力管理方法、およびプログラム

【課題】災害時等、商用電源からの電力供給が停止し、備えている蓄電池からの電力供給も停止した場合であっても、蓄電池からの電力供給を自動的に再開し、電力供給を継続的に行うこと。
【解決手段】電力管理装置100は、商用電源2からの電力供給が停止しているか否かを監視し、商用電源2および蓄電池600から無線通信装置200へ電力供給を制御するMC700を、商用電源2からの電力供給状況に応じて制御する商用電源監視部110と、商用電源2からの電力供給が停止している場合に、蓄電池600の電圧を監視し、蓄電池600の電圧が予め設定された供給可能電圧値まで上昇したか、または、供給不可能電圧値まで下降したかに応じてMC700を制御する蓄電池監視部120を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、無線通信ネットワークの基地局等において用いられる電力を管理する電力管理装置、基地局、電力管理方法、およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線通信ネットワークの基地局等では、商用電源から電力が供給されるものが一般的であった。しかし、従来の基地局等は、災害時等、商用電源からの電力供給が停止した場合に運用を長時間継続することは困難であった。
【0003】
そこで、蓄電池を備え、災害時等、商用電源からの電力供給が停止した場合に、蓄電池の状態の監視を確実に実行することにより、蓄電池を危険な状態に至らしめることなく、蓄電池による電力供給をできるだけ長く持続させる電源システムが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、蓄電池および太陽電池を備え、災害時等、商用電源からの電力供給が停止した場合に、蓄電池および太陽電池を組み合わせて電力供給を継続して行う自立運転を可能とする運転制御システムが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−005529号公報
【特許文献2】特開2011−010412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1および2に開示されている技術では、蓄電池の電圧が低下すると、蓄電池を保護するために基地局等への電力供給を停止してしまうという問題点があった。そのため、災害時等、商用電源からの電力供給が停止した場合に、しばらくの間は基地局等を使用することができるが、商用電源からの電力供給が長時間停止すると基地局等が使用できなくなってしまうという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、災害時等、商用電源からの電力供給が長時間停止し、備えている蓄電池からの電力供給も停止した場合であっても、蓄電池が充電され、再度、電力供給が可能になったことに応じて電力供給を自動的に再開し、基地局等へ電力供給を継続的に行える電力管理装置、基地局、電力管理方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の事項を提案している。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0008】
(1) 本発明は、商用電源および蓄電池から電力消費装置へ電力供給を制御する制御スイッチ(例えば、図1のMC700に相当)を管理することによって、当該商用電源および当該蓄電池からの当該電力消費装置への電力供給を管理する電力管理装置であって、前記商用電源からの電力供給が停止しているか否かを監視し、当該商用電源からの電力供給が停止し、かつ前記蓄電池の電圧が予め設定された供給不可能電圧値以下であることを検出した場合には、前記制御スイッチをオフ制御する商用電源監視手段(例えば、図1の商用電源監視部110に相当)と、前記商用電源からの電力供給が停止し、前記商用電源監視手段により前記制御スイッチがオフ制御されている場合に、前記蓄電池の電圧を監視し、予め設定された供給可能電圧値まで当該蓄電池の電圧が上昇したことを検出した場合に、前記制御スイッチをオン制御する蓄電池監視手段(例えば、図1の蓄電池監視部120に相当)を備えることを特徴とする電力管理装置を提案している。
【0009】
この発明によれば、商用電源監視手段は、商用電源からの電力供給が停止しているか否かを監視し、商用電源からの電力供給が停止し、かつ蓄電池の電圧が予め設定された供給不可能電圧値以下であることを検出した場合に、制御スイッチをオフ制御する。蓄電池監視手段は、商用電源からの電力供給が停止し、商用電源監視手段により制御スイッチがオフ制御されている場合に、蓄電池の電圧を監視し、予め設定された供給可能電圧値まで蓄電池の電圧が上昇したことを検出した場合に、制御スイッチをオン制御する。したがって、災害時等、商用電源からの電力供給が長時間停止し、備えている蓄電池からの電力供給も停止した場合であっても、商用電源および蓄電池から電力消費装置への電力供給を制御する制御スイッチを、蓄電池の電圧が上昇したことに応じてオン制御することによって、蓄電池から電力消費装置への電力供給を自動的に再開し、電力供給を継続的に行うことができる。
【0010】
(2) 本発明は、(1)の電力管理装置において、前記蓄電池は、太陽電池により充電され、前記太陽電池からの出力値の変動率に基づいて、天候を予測し、予測した天候に応じて前記供給可能電圧値を決定する予測制御手段(例えば、図1の予測制御部130に相当)を備え、前記蓄電池監視手段は、前記予測制御手段で決定された供給可能電圧値まで当該蓄電池の電圧が上昇したことを検出した場合に、前記制御スイッチをオン制御することを特徴とする電力管理装置を提案している。
【0011】
この発明によれば、蓄電池は、太陽電池により充電される。予測制御手段は、太陽電池からの出力値の変動率に基づいて、天候を予測し、予測した天候に応じて供給可能電圧値を決定する。蓄電池監視手段は、予測制御手段で決定された供給可能電圧値まで蓄電池の電圧が上昇したことを検出した場合に、制御スイッチをオン制御する。したがって、天候に応じて蓄電池から電力消費装置へ電力供給を開始する電圧値(供給可能電圧値)を決定することにより、不要な稼働制御を抑制し、電力消費装置の長時間運用を可能にできる。
【0012】
(3) 本発明は、(1)および(2)の電力管理装置において、前記蓄電池監視手段は、前記供給不可能電圧値まで前記蓄電池の電圧が下降したことを検出した場合に、前記制御スイッチをオフ制御することを特徴とする電力管理装置を提案している。
【0013】
この発明によれば、蓄電池監視手段は、供給不可能電圧値まで蓄電池の電圧が下降したことを検出した場合に、制御スイッチをオフ制御する。したがって、蓄電池から電力消費装置への電力供給を停止することによって、蓄電池の過放電を防止し、蓄電池を危険な状態に至らしめることを防ぐことができる。
【0014】
(4) 本発明は、(3)の電力管理装置において、前記蓄電池は、太陽電池により充電され、前記太陽電池からの出力値の変動率に基づいて、天候を予測し、予測した天候に応じて前記供給不可能電圧値を決定する予測制御手段(例えば、図1の予測制御部130に相当)を備え、前記蓄電池監視手段は、前記予測制御手段で決定された供給不可能電圧値まで前記蓄電池の電圧が下降したことを検出した場合に、前記制御スイッチをオフ制御することを特徴とする電力管理装置を提案している。
【0015】
この発明によれば、蓄電池は、太陽電池により充電される。予測制御手段は、太陽電池からの出力値の変動率に基づいて、天候を予測し、予測した天候に応じて供給不可能電圧値を決定する。蓄電池監視手段は、予測制御手段で決定された供給不可能電圧値まで蓄電池の電圧が下降したことを検出した場合に、制御スイッチをオフ制御する。したがって、天候に応じて電力消費装置へ電力供給を停止する電圧値(供給不可能電圧値)を決定することにより、不要な稼働制御を抑制し、電力消費装置の長時間運用を可能にできる。
【0016】
(5) 本発明は、(2)および(4)の電力管理装置において、前記太陽電池からの出力値は、電圧、電流、および表面温度の少なくとも1つであることを特徴とする電力管理装置を提案している。
【0017】
この発明によれば、太陽電池からの出力値は、電圧、電流、および表面温度の少なくとも1つである。したがって、天候によって変化する電圧、電流、および表面温度の少なくとも1つを用いることによって、天候を予測することができる。
【0018】
(6) 本発明は、(2)、(4)、および(5)の電力管理装置において、前記蓄電池の電力量および前記予測制御手段で予測された天候の少なくとも1つに基づいて、前記電力消費装置の出力を制御する出力制御手段(例えば、図1の出力制御部140に相当)を備えることを特徴とする電力管理装置を提案している。
【0019】
この発明によれば、出力制御手段は、蓄電池の電力量および予測制御手段で予測された天候の少なくとも1つに基づいて、電力消費装置の出力を制御する。したがって、蓄電池の電力量および予測制御手段で予測された天候に基づいて、今後、電力消費装置へ供給される電力を予測することができ、それにより電力消費装置の稼働を制御することにより、電力消費装置の長時間運用を可能にできる。
【0020】
(7) 本発明は、(1)の電力管理装置において、前記蓄電池は、自然エネルギー発電により充電されることを特徴とする電力管理装置を提案している。
【0021】
蓄電池は、自然エネルギー発電により充電される。したがって、商用電源からの電力供給が停止した後も、蓄電池は、自然エネルギー発電により充電された電力を供給することができる。
【0022】
(8) 本発明は、(1)から(7)の電力管理装置を備えた通信ネットワークの基地局を提案している。
【0023】
この発明によれば、通信ネットワークの基地局は、電力管理装置を備える。したがって、災害時、基地局への商用電源からの電力供給が長時間停止した場合であっても、基地局は稼働を継続することができる。
【0024】
(9) 本発明は、商用電源および蓄電池から電力消費装置へ電力供給を制御する制御スイッチを管理することによって、当該商用電源および当該蓄電池からの当該電力消費装置への電力供給を管理する電力管理装置における電力管理方法であって、商用電源監視手段が、前記商用電源からの電力供給が停止し、かつ前記蓄電池の電圧が予め設定された供給不可能電圧値以下であるか否か判断する第1のステップ(例えば、図3のステップS20、S21に相当)と、前記商用電源監視手段が、前記商用電源からの電力供給が停止し、かつ前記蓄電池の電圧が前記供給不可能電圧値以下であることを検出した場合に、前記制御スイッチをオフ制御する第2のステップ(例えば、図3のステップS22に相当)と、蓄電池監視手段が、予め設定された供給可能電圧値まで前記蓄電池の電圧が上昇したか否かを判断する第3のステップ(例えば、図3のステップS23に相当)と、前記蓄電池監視手段が、前記供給可能電圧値まで前記蓄電池の電圧が上昇したことを検出した場合に、前記制御スイッチをオン制御する第4のステップ(例えば、図3のステップS24に相当)と、を有することを特徴とする電力管理方法を提案している。
【0025】
この発明によれば、まず、第1のステップにおいて、商用電源監視手段が、商用電源からの電力供給が停止し、かつ蓄電池の電圧が予め設定された供給不可能電圧値以下であるか否か判断する。次に、第2のステップにおいて、商用電源監視手段が、商用電源からの電力供給が停止し、かつ蓄電池の電圧が供給不可能電圧値以下であることを検出した場合に、制御スイッチをオフ制御する。次に、第3のステップにおいて、蓄電池監視手段が、予め設定された供給可能電圧値まで蓄電池の電圧が上昇したか否かを判断する。そして、第4のステップにおいて、蓄電池監視手段が、供給可能電圧値まで蓄電池の電圧が上昇したことを検出した場合に、制御スイッチをオン制御する。したがって、災害時等、商用電源からの電力供給が長時間停止し、備えている蓄電池からの電力供給も停止した場合であっても、商用電源および蓄電池から電力消費装置への電力供給を制御する制御スイッチを蓄電池の電圧が上昇したことに応じてオン制御することによって、蓄電池から電力消費装置への電力供給を自動的に再開し、電力供給を継続的に行うことができる。
【0026】
(10) 本発明は、商用電源および蓄電池から電力消費装置へ電力供給を制御する制御スイッチを管理することによって、当該商用電源および当該蓄電池からの当該電力消費装置への電力供給を管理する電力管理装置における電力管理方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、商用電源監視手段が、前記商用電源からの電力供給が停止し、かつ前記蓄電池の電圧が予め設定された供給不可能電圧値以下であるか否か判断する第1のステップ(例えば、図3のステップS20、S21に相当)と、前記商用電源監視手段が、前記商用電源からの電力供給が停止し、かつ前記蓄電池の電圧が前記供給不可能電圧値以下であることを検出した場合に、前記制御スイッチをオフ制御する第2のステップ(例えば、図3のステップS22に相当)と、蓄電池監視手段が、予め設定された供給可能電圧値まで前記蓄電池の電圧が上昇したか否かを判断する第3のステップ(例えば、図3のステップS23に相当)と、前記蓄電池監視手段が、前記供給可能電圧値まで前記蓄電池の電圧が上昇したことを検出した場合に、前記制御スイッチをオン制御する第4のステップ(例えば、図3のステップS24に相当)と、をコンピュータに実行させるためのプログラムを提案している。
【0027】
この発明によれば、まず、第1のステップにおいて、商用電源監視手段が、商用電源からの電力供給が停止し、かつ蓄電池の電圧が予め設定された供給不可能電圧値以下であるか否か判断する。次に、第2のステップにおいて、商用電源監視手段が、商用電源からの電力供給が停止し、かつ蓄電池の電圧が供給不可能電圧値以下であることを検出した場合に、制御スイッチをオフ制御する。次に、第3のステップにおいて、蓄電池監視手段が、予め設定された供給可能電圧値まで蓄電池の電圧が上昇したか否かを判断する。そして、第4のステップにおいて、蓄電池監視手段が、供給可能電圧値まで蓄電池の電圧が上昇したことを検出した場合に、制御スイッチをオン制御する。したがって、災害時等、商用電源からの電力供給が長時間停止し、備えている蓄電池からの電力供給も停止した場合であっても、商用電源および蓄電池から電力消費装置への電力供給を制御する制御スイッチを蓄電池の電圧が上昇したことに応じてオン制御することによって、蓄電池から電力消費装置への電力供給を自動的に再開し、電力供給を継続的に行うことができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、災害時等、商用電源からの電力供給が長時間停止し、備えている蓄電池からの電力供給も停止した場合であっても、商用電源および蓄電池から電力消費装置への電力供給を制御する制御スイッチを蓄電池の電圧が上昇したことに応じてオン制御することによって、蓄電池から電力消費装置への電力供給を自動的に再開し、電力供給を継続的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の基地局の実施形態を示す図である。
【図2】本発明の予測制御部による天候予測の一例を示す処理フロー図である。
【図3】本発明の電力管理装置における電力管理処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組み合わせを含むさまざまなバリエーションが可能である。したがって、本実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0031】
<基地局の機能構成>
図1は、本発明の基地局1の実施形態を示す図である。基地局1は、商用電源2と接続され、電力管理装置100と、無線通信装置200と、整流器300と、太陽電池パネル400と、電力変換回路500と、蓄電池600と、メインコンダクター(以下、MCとする)700とを備えている。なお、図1において、実線はデータの流れを、点線は電力の流れを示している。
【0032】
無線通信装置200は、携帯電話ネットワークの基地局としての無線通信を行う装置である。無線通信装置200は、商用電源2または蓄電池600から電力を供給されて動作する。蓄電池600から電力が供給される場合に、無線通信装置200の出力は、後述する出力制御部140により制御することもできる。
【0033】
整流器300は、商用電源2から出力された電力を、無線通信装置200で使用する電圧に変更する。本実施形態では、AC100Vの商用電源2から得た電力をDC48Vに変更して出力する。
【0034】
太陽電池パネル400は、太陽光発電を行う太陽電池モジュールである。太陽電池パネル400は、通常複数枚設けられており、複数枚の太陽電池パネルそれぞれに、後述する電力変換回路500が設けられている。
【0035】
電力変換回路500は、太陽電池パネル400からの出力電圧を、一定の電圧(本実施形態においては、DC48V)となるよう昇圧したり、降圧したりする。電力変換回路500として、例えば、DC−DCコンバータが用いられる。本実施形態の電力変換回路500は、MPPT(Maximum Power Point Tracking:最大電力点追従)機能を搭載しており、太陽電池パネル400に対して1つ以上設けられている。
【0036】
蓄電池600は、商用電源2および太陽電池パネル400から得た電力を充電する。なお、商用電源2からの電力供給が停止した場合には、蓄電池600は、太陽電池パネル400のみから得た電力を充電する。
【0037】
MC700は、後述する商用電源監視部110および蓄電池監視部120からの指示にしたがって、商用電源2または蓄電池600から無線通信装置200へ電力を供給する回路をオン制御またはオフ制御することによって、無線通信装置200への電力供給の制御を行う。本実施形態において、MC700に、電気接点の状態を機械的に自己保持するラッチリレーを設ける。それにより、MC700は、電力を停止しても直前の回路の制御を継続することができ、回路の状態を変化させる際に一時的に電力が必要であるが、回路の状態を変化させた後は電力を消費することなく状態を保持することができる。
【0038】
本実施形態において、蓄電池監視部120からの指示にしたがって、蓄電池600から無線通信装置200へ電力を供給する回路をオン制御またはオフ制御にするために、蓄電池600をMC700の動作用電源とする。なお、商用電源2もMC700の動作用電源となっており、それにより、商用電源監視部110からの指示にしたがって、商用電源2から無線通信装置200へ電力を供給する回路をオン制御またはオフ制御することができる。
【0039】
電力管理装置100は、図1に示すように、商用電源監視部110と、蓄電池監視部120と、予測制御部130と、出力制御部140とを備える。
【0040】
商用電源監視部110は、商用電源2の状況を監視する。具体的には、商用電源監視部110は、商用電源2からの電力供給が停止し、かつ蓄電池600の電圧が予め設定された供給不可能電圧値以下であることを検出すると、後述するMC700をオフ制御して商用電源2から無線通信装置200への電力供給を停止する。供給不可能電圧値とは、蓄電池600の過放電を防止するために必要な電圧の下限値である。一方、商用電源監視部110は、商用電源2からの電力供給が開始したことを検出すると、MC700をオン制御して商用電源2から無線通信装置200への電力供給を開始する。
【0041】
蓄電池監視部120は、商用電源2からの電力供給が停止し、MC700がオフ制御されている場合に、蓄電池600の状況を監視する。具体的には、蓄電池監視部120は、蓄電池600の電圧が所定値まで上昇したことを検出したことに応じて、MC700をオン制御して蓄電池600から無線通信装置200への電力供給を開始する。ここで、MC700をオン制御する判断基準となる電圧の所定値(以下、供給可能電圧値という)は、予め設定される値、または、後述する予測制御部130によって決定される値である。供給可能電圧値は、予め設定される場合には、電力管理装置100の管理者等が任意に設定することができる。
【0042】
一方、蓄電池監視部120は、蓄電池600の電圧が供給不可能電圧値以下となると、蓄電池600の過放電を防止するためにMC700をオフ制御して蓄電池600から無線通信装置200への電力供給を停止する。
【0043】
予測制御部130は、太陽電池パネル400からの出力値に基づいて天候を予測する。ここで、太陽電池パネル400からの出力値として、例えば、電圧、電流、表面温度が挙げられる。次に、予測制御部130は、予測した天候に基づいて蓄電池監視部120の供給可能電圧値または供給不可能電圧値を決定する。それにより、天候により蓄電池600から無線通信装置200への電力供給を制御し、不要な稼働制御を抑制し、電力消費装置の長時間運用を可能にできる。
【0044】
具体的には、予測制御部130は、天候毎に供給可能電圧値および供給不可能電圧値を予め保持し、天候を予測すると、予測した天候に対応する供給可能電圧値および供給不可能電圧値を蓄電池監視部120に設定する。
【0045】
また、予測制御部130は、一定の間隔で太陽電池パネル400の電圧を測定し、計測した電圧の変動に基づいて天候予測を行う。なお、本実施形態において、電圧を用いるが、電流や表面温度、または、これらを組み合わせて天候予測を行ってもよい。
【0046】
予測する天候としては、例えば、「晴天」、「曇天または雨天」、「晴天のち曇天または雨天」が挙げられる。予測制御部130が予測する天候の種類は任意に設定でき、太陽電池パネル400により蓄電池600に十分に充電できる「晴天」とそれ以外の天候とのいずれかの予測であってもよい。
【0047】
<天候予測処理フロー>
ここで、太陽電池パネル400からの出力値に基づく天候の予測処理について図2を用いて説明する。図2は、本発明の予測制御部130による天候予測の一例を示す処理フロー図である。
【0048】
まず、ステップS1において、予測制御部130は、太陽電池パネル400の電圧V(i)を計測する。なお、iは計測開始からの計測回数を示し、1回目の計測であれば、V(1)となる。
【0049】
次に、ステップS2において、予測制御部130は、太陽電池パネル400の電圧V(i)を所定数(なお、以下、所定数はmとする)取得したか否かを判断する。太陽電池パネルの電圧V(i)を所定数取得していない場合には、ステップS3に処理を進め、所定数取得した場合には、ステップS4に処理を進める。
【0050】
次に、ステップS3において、予測制御部130は、iに1を加えた値を新たなiとしてステップS1に処理を戻す。なお、再度、ステップS1において太陽電池パネルの電圧V(i)を計測するが、前の計測時から所定間隔空けて計測することが望ましい。
【0051】
次に、ステップS4において、予測制御部130は、ステップS1で計測された、電圧V(iー1)と電圧V(i)とを比較し、差分Cmp(i)を求める。なお、i=2〜mである。
【0052】
次に、ステップS5において、予測制御部130は、ステップS4で求めた差分Cmp(i)と差分Cmp(i−1)とを比較し、変動率R(j)を求める。なお、i=2〜m、j=1〜m−1である。なお、予測制御部130は、差分Cmp(i)と差分Cmp(i−1)との差が一定のしきい値を超えた場合に変動率R(j)を求め、差分Cmp(i)と差分Cmp(i−1)と差が一定のしきい値を超えない場合には変動率R(j)は0としてもよい。
【0053】
次に、ステップS6において、予測制御部130は、ステップS5で求めた各変動率R(j)が小さいか否かを判断する。各変動率R(j)が小さいと判断した場合には、ステップ7に処理を移し、各変動率R(j)が小さくないと判断した場合には、ステップS8に処理を移す。
【0054】
次に、ステップS7において、予測制御部130は、ステップS6において各変動率R(j)が小さいと判断されると、天候を「曇天または雨天」と判断する。
【0055】
次に、ステップS8において、予測制御部130は、ステップS5で求めた各変動率R(j)が上昇傾向にあるか否かを判断する。各変動率R(j)が上昇傾向にある場合には、ステップS9に処理を進め、各変動率R(j)が上昇傾向にない場合には、ステップS10に処理を進める。
【0056】
次に、ステップS9において、予測制御部130は、ステップS8において各変動率R(j)が上昇傾向にあると判断されると、天候を「晴天」と判断する。
【0057】
次に、ステップS10において、予測制御部130は、ステップS1で計測した電圧V(i)が予め設定されているしきい値x以上であるか否かを判断する。ここで、予め、設定されているしきい値xとは、天候が「晴れ」であるか否かを判断するための値であって、例えば、計測値から求められた、天候が「晴れ」の場合の電圧の下限値である。
【0058】
次に、ステップS11において、予測制御部130は、ステップS10において電圧V(i)がしきい値x未満と判断されると、天候を「晴天のち曇天または雨天」と判断する。
【0059】
図1に戻って、出力制御部140は、蓄電池600の電力量を測定し、測定した電力量に基づいて無線通信装置200の出力を制御する。例えば、蓄電池600の電力量がこの値より大きい場合に、無線通信装置200の出力を通常通り100%とする第1の電力量、蓄電池600の電力量がこの値より大きく、第1の電力量以下の場合に、無線通信装置200の出力を通常の70%とする第2の電力量、蓄電池600の電力量がこの値より大きく、第2の電力量以下の場合に、無線通信装置200の出力を通常の50%とする第3の電力量を予め設定し、出力制御部140は、計測した電力量と第1から第3の電力量とを比較し、無線通信装置200の出力を制御する。
【0060】
また、出力制御部140は、蓄電池600の電力量とともに予測制御部130で予測された天候に基づいて、無線通信装置200の出力を制御してもよい。上述した例を用いて具体例を説明すると、蓄電池600の電力量が第3の電力量より大きいが第2の電力量より小さい場合には、無線通信装置200の出力を通常の50%と上述ではしたが、この場合に予測制御部130で予測された天候が「晴れ」の場合には、太陽電池パネル400による発電量が多いので、無線通信装置200の出力を通常の70%とするように制御を行う。さらに、出力制御部140は、予測制御部130で予測された天候のみに基づいて出力を制御してもよい。
【0061】
<電力管理処理フロー>
図3は、本発明の電力管理装置における電力管理処理フロー図である。
【0062】
まず、ステップS20において、商用電源監視部110は、商用電源2からの電力供給が停止したか否かを検出する。商用電源2からの電力供給が停止したことを検出した場合には、ステップS21に処理を進める。一方、商用電源2からの電力供給が停止したことを検出しない場合には、処理を終了する。なお、本処理終了後も、商用電源監視部110は商用電源2からの電力供給を監視し続け、所定間隔毎に本処理を実行する。
【0063】
次に、ステップS21において、商用電源監視部110は、蓄電池600の電圧が供給不可能電圧値以下であるか否かを検出する。蓄電池600の電圧が供給不可能電圧値以下であることを検出した場合には、ステップS22に処理を進める。一方、蓄電池600の電圧が供給不可能電圧値以下でないことを検出した場合には、蓄電池600からの電量供給を開始し、ステップS25に処理を進める。
【0064】
次に、ステップS22において、商用電源監視部110は、MC700をオフ制御し、無線通信装置200への商用電源2および蓄電池600からの電力供給を停止する。
【0065】
次に、ステップS23において、蓄電池監視部120は、供給可能電圧値まで蓄電池600の電圧が上昇したか否かを検出する。供給可能電圧値まで蓄電池600の電圧が上昇したことを検出した場合には、ステップS24に処理を進める。一方、供給可能電圧値まで蓄電池600の電圧が上昇したことを検出しない場合には、蓄電池監視部120は、後述するステップS27にて商用電源2からの電力供給が開始されたことが検出されるまで、蓄電池600の電圧を監視し続け、所定間隔毎にステップS23の処理を実行する。
【0066】
次に、ステップS24において、蓄電池監視部120は、MC700をオン制御し、無線通信装置200への蓄電池600からの電力供給を開始する。
【0067】
次に、ステップS25において、蓄電池監視部120は、供給不可能電圧値まで蓄電池600の電圧が下降したか否かを検出する。供給不可能電圧値まで蓄電池600の電圧が下降したことを検出した場合には、ステップS26に処理を進める。一方、供給不可能電圧値まで蓄電池600の電圧が下降したことを検出しない場合には、蓄電池監視部120は蓄電池600の電圧を監視し続け、所定間隔毎にステップS25の処理を実行する。なお、この間、蓄電池600は無線通信装置200に電力が供給している。
【0068】
次に、ステップS26において、蓄電池監視部120は、MC700をオフ制御し、無線通信装置200への蓄電池600からの電力供給を停止する。
【0069】
次に、ステップS27において、商用電源監視部110は、商用電源2からの電力供給が開始したか否かを検出する。商用電源2からの電力供給が開始したことを検出した場合には、処理を終了する。一方、商用電源2からの電力供給が開始したことを検出しない場合には、ステップS23に処理を戻す。
【0070】
以上説明したように、本実施形態によれば、災害時等、商用電源2からの電力供給が長時間停止し、備えている蓄電池から600からの電力供給も停止した場合であっても、商用電源2および蓄電池600から無線通信装置200への電力供給を制御するMC700を蓄電池600の電圧が上昇したことに応じてオン制御することによって、蓄電池600から無線通信装置200への電力供給を自動的に再開し、電力供給を継続的に行うことができる。
【0071】
なお、電力管理装置の処理をコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを電力管理装置に読み込ませ、実行することによって本発明の電力管理装置、基地局、電力管理システム、電力管理方法を実現することができる。ここでいうコンピュータとは、OSや周辺装置等のハードウェアを含む。
【0072】
また、「コンピュータ」は、WWW(World Wide Web)システムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(または表示環境)も含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータから、伝送媒体を介して、または、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
【0073】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータにすでに記録されているプログラムとの組み合せで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0074】
以上、この発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0075】
1 基地局
2 商用電源
100 電力管理装置
110 商用電源監視部
120 蓄電池監視部
130 予測制御部
140 出力制御部
200 無線通信装置
300 整流器
400 太陽電池パネル
500 電力変換回路
600 蓄電池
700 MC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源および蓄電池から電力消費装置へ電力供給を制御する制御スイッチを管理することによって、当該商用電源および当該蓄電池からの当該電力消費装置への電力供給を管理する電力管理装置であって、
前記商用電源からの電力供給が停止しているか否かを監視し、当該商用電源からの電力供給が停止し、かつ前記蓄電池の電圧が予め設定された供給不可能電圧値以下であることを検出した場合に、前記制御スイッチをオフ制御する商用電源監視手段と、
前記商用電源からの電力供給が停止し、前記商用電源監視手段により前記制御スイッチがオフ制御されている場合に、前記蓄電池の電圧を監視し、予め設定された供給可能電圧値まで当該蓄電池の電圧が上昇したことを検出した場合に、前記制御スイッチをオン制御する蓄電池監視手段を備えることを特徴とする電力管理装置。
【請求項2】
前記蓄電池は、太陽電池により充電され、
前記太陽電池からの出力値の変動率に基づいて、天候を予測し、予測した天候に応じて前記供給可能電圧値を決定する予測制御手段を備え、
前記蓄電池監視手段は、前記予測制御手段で決定された供給可能電圧値まで当該蓄電池の電圧が上昇したことを検出した場合に、前記制御スイッチをオン制御することを特徴とする請求項1に記載の電力管理装置。
【請求項3】
前記蓄電池監視手段は、前記供給不可能電圧値まで前記蓄電池の電圧が下降したことを検出した場合に、前記制御スイッチをオフ制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電力管理装置。
【請求項4】
前記蓄電池は、太陽電池により充電され、
前記太陽電池からの出力値の変動率に基づいて、天候を予測し、予測した天候に応じて前記供給不可能電圧値を決定する予測制御手段を備え、
前記蓄電池監視手段は、前記予測制御手段で決定された供給不可能電圧値まで前記蓄電池の電圧が下降したことを検出した場合に、前記制御スイッチをオフ制御することを特徴とする請求項3に記載の電力管理装置。
【請求項5】
前記太陽電池からの出力値は、電圧、電流、および表面温度の少なくとも1つであることを特徴とする請求項2または請求項4に記載の電力管理装置。
【請求項6】
前記蓄電池の電力量および前記予測制御手段で予測された天候の少なくとも1つに基づいて、前記電力消費装置の出力を制御する出力制御手段を備えることを特徴とする請求項2、請求項4、または請求項5のいずれか1項に記載の電力管理装置。
【請求項7】
前記蓄電池は、自然エネルギー発電により充電されることを特徴とする請求項1に記載の電力管理装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の電力管理装置を備えた通信ネットワークの基地局。
【請求項9】
商用電源および蓄電池から電力消費装置へ電力供給を制御する制御スイッチを管理することによって、当該商用電源および当該蓄電池からの当該電力消費装置への電力供給を管理する電力管理装置における電力管理方法であって、
商用電源監視手段が、前記商用電源からの電力供給が停止し、かつ前記蓄電池の電圧が予め設定された供給不可能電圧値以下であるか否か判断する第1のステップと、
前記商用電源監視手段が、前記商用電源からの電力供給が停止し、かつ前記蓄電池の電圧が前記供給不可能電圧値以下であることを検出した場合に、前記制御スイッチを、オフ制御する第2のステップと、
蓄電池監視手段が、予め設定された供給可能電圧値まで前記蓄電池の電圧が上昇したか否かを判断する第3のステップと、
前記蓄電池監視手段が、前記供給可能電圧値まで前記蓄電池の電圧が上昇したことを検出した場合に、前記制御スイッチをオン制御する第4のステップと、
を有することを特徴とする電力管理方法。
【請求項10】
商用電源および蓄電池から電力消費装置へ電力供給を制御する制御スイッチを管理することによって、当該商用電源および当該蓄電池からの当該電力消費装置への電力供給を管理する電力管理装置における電力管理方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
商用電源監視手段が、前記商用電源からの電力供給が停止し、かつ前記蓄電池の電圧が予め設定された供給不可能電圧値以下であるか否か判断する第1のステップと、
前記商用電源監視手段が、前記商用電源からの電力供給が停止し、かつ前記蓄電池の電圧が前記供給不可能電圧値以下であることを検出した場合に、前記制御スイッチを、オフ制御する第2のステップと、
蓄電池監視手段が、予め設定された供給可能電圧値まで前記蓄電池の電圧が上昇したか否かを判断する第3のステップと、
前記蓄電池監視手段が、前記供給可能電圧値まで前記蓄電池の電圧が上昇したことを検出した場合に、前記制御スイッチをオン制御する第4のステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−110853(P2013−110853A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253979(P2011−253979)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】