電力線通信システム
【課題】 新たな通信装置をネットワークに参加させる場合の仕組みを簡略化させることができる電力線通信システムを提供すること。
【解決手段】 電力線通信機能を備えた電力線通信装置からなる複数のネットワークと、上記複数のネットワークを制御するコントローラと、からなる電力線通信システムにおいて、上記複数のネットワークにはそれぞれ該ネットワーク固有のネットワークIDが定義されていて、上記ネットワークIDとは別にスーパーIDが定義されていて、上記スーパーIDを備えた新たな電力線通信装置は上記ネットワークIDを持つ全てのネットワークに参加可能であり、上記スーパーIDを備えた新たな電力線通信装置が任意のネットワークに参加した後、そのスーパーIDを参加したネットワークのネットワークIDに書き換え可能に構成されているもの。
【解決手段】 電力線通信機能を備えた電力線通信装置からなる複数のネットワークと、上記複数のネットワークを制御するコントローラと、からなる電力線通信システムにおいて、上記複数のネットワークにはそれぞれ該ネットワーク固有のネットワークIDが定義されていて、上記ネットワークIDとは別にスーパーIDが定義されていて、上記スーパーIDを備えた新たな電力線通信装置は上記ネットワークIDを持つ全てのネットワークに参加可能であり、上記スーパーIDを備えた新たな電力線通信装置が任意のネットワークに参加した後、そのスーパーIDを参加したネットワークのネットワークIDに書き換え可能に構成されているもの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力線通信システムに係り、特に、新たな電力線通信装置をネットワークに参加させる場合の仕組みを簡略化させることができるように工夫したものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電力線通信システムは、概略、次のような構成になっていた。まず、電力線通信システムの第1の例であるが、ネットワークを構成する前に、ネットワークを構成する各電力線通信装置にネットワークIDを予め書き込んでおき、それらの複数の電力線通信装置を集めてネットワークを構成するものである。
【0003】
次に、第2の例であるが、複数の電力線通信装置を設置し、その状態で、電力線通信とは別の通信手段(例えば、スイッチ、無線、超音波、光通信等を使用した手段)を使用して、各電力線通信装置にネットワークIDを書き込み、それによって、ネットワークを構成するものである。
【0004】
さらに、第3の例であるが、ネットワークIDの区別を設けることなく、近隣の全ての電力線通信装置に通信を行うことができるように、特別のパケットを定義したものがある。
【0005】
この種の構成を示すものとして、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−41228号公報
【特許文献2】特開2008−72441号公報
【特許文献3】特開2007−201964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の構成によると次のような問題があった。
まず、第1の例の場合であるが、電力線通信装置を設置する前に、全ての電力線通信装置にネットワークIDを予め書き込む必要があり、煩雑な作業を余儀なくされてしまうという問題があった。
また、第2の例の場合であるが、電力線通信手段があるにもかかわらず、ネットワークIDを書き込むために、別の通信手段を設けなければならず、その分構成が複雑化してしまうとともにコストが上昇してしまうという問題があった。
さらに、第3の例の場合であるが、通信が物理的に可能な全範囲にパケットが飛んでしまうため、通信路の負荷が大きくなってしまうという問題があった。
【0008】
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、新たな電力線通信装置をネットワークに参加させる場合の仕組みを簡略化させることができる電力線通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するべく本願発明の請求項1による電力線通信システムは、電力線通信機能を備えた電力線通信装置からなる複数のネットワークと、上記複数のネットワークを制御する制御装置と、からなる電力線通信システムにおいて、上記複数のネットワークにはそれぞれ該ネットワーク固有のネットワークIDが定義されていて、上記ネットワークIDとは別に全てのネットワークに対する参加が許容されるスーパーIDが定義されていて、上記スーパーIDを備えた新たな電力線通信装置を上記複数のネットワークの内の任意のネットワークに参加させ、その後、その参加した新たな電力線通信装置のネットワークIDをスーパーIDからその参加したネットワークのネットワークIDに書き換えるようにしたことを特徴とするものである。
また、請求項2による電力線通信システムは、請求項1記載の電力線通信システムにおいて、上記電力線通信装置には該電力線通信装置固有の識別子が付与されていることを特徴とする電力線通信システムである。
また、請求項3による電力線通信システムは、請求項2記載の電力線通信システムにおいて、上記電力線通信装置側には上記識別子を上記制御装置に出力する識別子出力手段が設けられていることを特徴とするものである。
また、請求項4による電力線通信システムは、請求項1〜請求項3の何れかに記載の電力線通信システムにおいて、ネットワークIDがワイルドカードIDに設定されたネットワークがあり、上記ワイルドカードIDのネットワークには別のワイルドカードID以外の様々なネットワークIDを持つ電力線通信装置が参加可能であり、任意のネットワークに参加して該ネットワークのネットワークIDに設定されている電力線通信装置を上記ワイルドカードIDのネットワークに参加させ、その状態で上記電力線通信装置のネットワークIDをスーパーIDに初期化させるようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
以上詳述したように本発明の請求項1による電力線通信システムは、電力線通信機能を備えた電力線通信装置からなる複数のネットワークと、上記複数のネットワークを制御する制御装置と、からなる電力線通信システムにおいて、上記複数のネットワークにはそれぞれ該ネットワーク固有のネットワークIDが定義されていて、上記ネットワークIDとは別に全てのネットワークに対する参加が許容されるスーパーIDが定義されていて、上記スーパーIDを備えた新たな電力線通信装置を上記複数のネットワークの内の任意のネットワークに参加させ、その後、その参加した新たな電力線通信装置のネットワークIDをスーパーIDからその参加したネットワークのネットワークIDに書き換えるように構成されているので、まず、事前に煩雑な作業を行うことなく、且つ、別途、通信手段を設けることなく、新たな電力線通信装置の任意のネットワークへの参加を可能にすることができ、新たな電力線通信装置をネットワークに参加させる場合の仕組みを簡略化させることができる。
また、請求項2による電力線通信システムは、請求項1記載の電力線通信システムにおいて、上記電力線通信装置には該電力線通信装置固有の識別子が付与されているので、その識別子を使用して照合を行うことができる。
また、請求項3による電力線通信システムは、請求項2記載の電力線通信システムにおいて、上記電力線通信装置側には上記識別子を上記制御装置に出力する識別子出力手段が設けられているので、それらの照合を自動化させることができる。
また、請求項4による電力線通信システムは、請求項1〜請求項3の何れかに記載の電力線通信システムにおいて、ネットワークIDがワイルドカードIDに設定されたネットワークがあり、上記ワイルドカードIDのネットワークには別のワイルドカードID以外の様々なネットワークIDを持つ電力線通信装置が参加可能であり、任意のネットワークに参加して該ネットワークのネットワークIDに設定されている電力線通信装置を上記ワイルドカードIDのネットワークに参加させ、その状態で上記電力線通信装置のネットワークIDをスーパーIDに初期化させるように構成されているので、一旦、任意のネットワークに参加してそのネットワークのネットワークIDに書き換えられた電力線通信装置のネットワークIDを、再度、スーパーIDに初期化させることができ、電力線通信装置の再利用の容易化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態を示す図で、電力線通信システムの全体の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態を示す図で、電力線通信システムの制御装置としての制御用パソコンと親機の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施の形態を示す図で、電力線通信システムの子機の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施の形態を示す図で、スーパーIDを使用して任意のネットワークに参加することを説明するための図である。
【図5】本発明の一実施の形態を示す図で、スーパーIDを使用して任意のネットワークに参加した後該スーパーIDをネットワークIDに書き換えることを説明するための図である。
【図6】本発明の一実施の形態を示す図で、ワイルドIDを使用した子機の初期化を説明するための図である。
【図7】本発明の一実施の形態を示す図で、作用を説明するためのものであって、制御装置としての制御用パソコンの主たる処理内容を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の一実施の形態を示す図で、作用を説明するためのものであって、制御装置としての制御用パソコンの換気扇操作処理の内容を説明するフローチャートである。
【図9】本発明の一実施の形態を示す図で、作用を説明するためのものであって、制御装置としての制御用パソコンの新規子機参加処理の内容を説明するフローチャートである。作用を説明するためのフローチャートである。
【図10】本発明の一実施の形態を示す図で、作用を説明するためのものであって、親機の処理の内容を説明するフローチャートである。
【図11】本発明の一実施の形態を示す図で、作用を説明するためのものであって、子機の処理の内容を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図1乃至図10を参照して本発明の一実施の形態を説明する。図1は本実施の形態による電力線通信システムの全体の構成を示すブロック図であり、まず、制御装置としての制御用パソコン1がある。この制御用パソコン1は管理室Yに設置されていて、作業者5によって操作されるものである。上記管理室3とは別の場所に分電盤Zが設置されている。上記分電盤Z内には電力線9が引き込まれていて、この電力線9は第1系統電力線11と第2系統電力線13とに分岐されている。
【0013】
上記第1系統電力線11にはブレーカ15が介挿されており、また、上記第2系統電力線13にはブレーカ17が介挿されている。また、上記第1系統電力線11には第1系統親機19が接続されており、また、上記第2系統電力線13には第2系統親機21が接続されている。また、上記第1系統親機19と第2系統親機21は、何れもイーサネット(登録商標)ハブ23を介して既に説明した制御用パソコン1と送受信可能な構成になっている。そして、上記第1系統親機19が設置されている第1系統電力線11側が第1ネットワークとして構成されており、上記第2系統親機21が設置されている第2系統電力線13側が第2ネットワークとして構成されている。
尚、電力線通信の場合には、ブレーカ15、17を跨いで通信した場合には信号の減衰や歪みが発生してしまうことが懸念される。そこで、本実施の形態の場合には、各ブレーカ15、17の下流側に第1系統親機19と第2系統親機21をそれぞれ設置し、それぞれ別個のネットワークを構成するようにしているものである。
【0014】
上記第1ネットワークには第1−1子機25、第1−2子機27が設置されている。上記第1−1子機25は部屋Aに設置されているとともに、上記第1−2子機27は部屋Bに設置されている。上記第1−1子機25はスイッチ(例えば、フォトリレー)33を介して換気扇35に接続されている。また、上記第1−2子機27もスイッチ(例えば、フォトリレー)37を介して換気扇39に接続されている。上記第1−1子機25、第1−2子機27は換気扇35、39のON/OFFを制御するためのものである。
【0015】
上記第2ネットワークには第2−1子機39、第2−2子機41が設置されている。上記第2−1子機39は部屋Cに設置されているとともに、上記第2−2子機41は部屋Dに設置されている。上記第2−1子機39はスイッチ(例えば、フォトリレー)47を介して換気扇49に接続されている。また、上記2−2子機41はスイッチ(例えば、フォトリレー)51を介して換気扇53に接続されている。上記第2−1子機39、第2−2子機41は換気扇49、53のON/OFFを制御するためのものである。
【0016】
上記各第1−1子機25、第1−2子機27、第2−1子機39、第2−2子機41の筺体には、各子機固有のシリアル番号が印刷されている。
尚、印刷以外にも、例えば、各子機固有のシリアル番号が印刷されたメモを添付するようにしても良い。
以上が電力線通信システムの全体の概略の構成である。以下、各部の構成を詳細に説明していく。
【0017】
上記制御用パソコン1と第1系統親機19は図2に示すような構成になっている。まず、上記制御用パソコン1はマイクロプロセッサ61を備えている。このマイクロプロセッサ61には、通信インターフェイス63、表示/入力装置65、プログラム記憶部67、データ記憶領域69が接続されている。上記プログラム記憶部67には上記マイクロプロセッサ61の動作を指示するための各種プロクラムが記憶されている。また、上記データ記憶領域69には、換気扇35、39、49、53の運転状態を制御・管理するための各種データが記憶されている。
【0018】
また、第1系統親機19であるが、同様に、マイクロプロセッサ71を備えている。このマイクロプロセッサ71には、通信インターフェイス73、電力線通信モデム75、プログラム記憶領域77、データ記憶領域79が接続されている。上記制御用パソコン1と第1親機19はそれぞれの通信インターフェイス63、73を介して相互に送受信できるように構成されている。上記プログラム記憶部77には上記マイクロプロセッサ71の動作を指示するための各種プロクラムが記憶されている。又、上記データ記憶領域79の一部は、第1系統親機19固有のID(例えば、シリアルナンバー)と第1系統親機19が管理するネットワークのネットワークIDを記憶する不揮発性メモリとなっている。
尚、図2では、第1系統親機19のみを示しているが、第2系統親機21についても同様の構成になっている。
【0019】
次に、図3を参照して、第1−1子機25の構成を説明する。第1子機25はマイクロプロセッサ81を備えている。このマイクロプロセッサ81には、電力線通信モデム83、スイッチインターフェイス85、データ記憶領域87、プログラム記憶領域89が接続されている。上記プログラム記憶領域89にはマイクロプロセッサ81の動作を指示する各種プログラムが記憶されており、また、上記データ記憶領域87には様々なデータが記憶されている。また、データ記憶領域87の一部は、第1−1子機25固有のID(例えば、シリアルナンバー)と参加するネットワークのネットワークIDを記憶する不揮発性メモリとなっている。
尚、図3では、第1−1子機25のみを示しているが、第1−2子機27、第2−1子機39、第2−2子機41についても同様の構成になっている。
【0020】
既に説明したように、第1系統親機19、第1−1子機25、第1−2子機27によって第1ネットワークを構成しており、これら第1系統親機19、第1−1子機25、第1−2子機27は、共通であって固有のネットワークID(NID:101)を備えている。同様に、第2系統親機21、第2−1子機39、第2−2子機41によって第2ネットワークを構成しており、これら第2系統親機21、第2−1子機39、第2−2子機41も、共通であって固有のネットワークID(NID:102)を備えている。
【0021】
以上の構成を基にその作用を説明する。
図1に示すように、電力線通信システムにおいて、新たに、別の第1−3子機91が参加する場合を例に挙げて説明する。上記第1−3子機91は、図1に示すような構成のものであり、既に説明した第1−1子機25、第1−2子機27、第2−1子機39、第2−2子機41と同様の構成をなすものである。また、上記第1−3子機91は、室Eに設置されるものであり、スイッチ(例えば、フォトリレー)93を介して換気扇95に接続されている。
図中同一部分には同一符号を付して示しその説明は省略する。
【0022】
さて、第1−1子機25、第1−2子機27には、第1ネットワーク固有のネットワークID(NID:101)が設定されており、又、第2−1子機27、第2−2子機39には第2ネットワーク固有のネットワークID(NID:102)が設定されている。これに対して、新たに参入する上記第1−3子機91には、初期状態のスーパーID(NID:0)が書き込まれている。このスーパーID(NID:0)が設定されている第1−3子機91は、第1ネットワーク、第2ネットワークの何れにも参加可能な状態にある。
尚、上記スーパーID(NID:0)は全てのネットワークに対する参加が許容されるネットワークIDである。
【0023】
ここで、第1系統親機19、第1−1子機25、第1−2子機27、第2系統親機21、第2−1子機39、第2−2子機41、第1−3子機91のこの時点での仕様を纏めると、図4に示すようなものとなる。この段階では、第1−3子機91は未だ何れのネットワークにも参加していない状態である。
図4に示されている内容を確認すると、まず、第2系統親機21のネットワークIDは「102」、固有のシリアル番号は「00000015」、設置されている部屋記号は「Z」、参加するネットワークは自信が参加している第2ネットワークである。第2−1子機39のネットワークIDは「102」、固有のシリアル番号は「10000002」、設置されている部屋記号は「C」、参加するネットワークは第2ネットワークである。第2−2子機41のネットワークIDは「102」、固有のシリアル番号は「10000003」、設置されている部屋記号は「D」、参加するネットワークは第2ネットワークである。
【0024】
次に、第1系統親機19のネットワークIDは「101」、固有のシリアル番号は「00000002」、設置されている部屋記号は「Z」、参加するネットワークは自信が参加している第1ネットワークである。第1−1子機25のネットワークIDは「101」、固有のシリアル番号は「10000005」、設置されている部屋記号は「A」、参加するネットワークは第1ネットワークである。第1−2子機27のネットワークIDは「101」、固有のシリアル番号は「10000006」、設置されている部屋記号は「B」、参加するネットワークは第1ネットワークである。
そして、新たに参加する第1−3子機91のネットワークIDはスーパーID「0」、固有のシリアル番号は「10000101」、設置されている部屋記号は「未定義」、参加するネットワークは未定である。
【0025】
この段階で、スーパーID(NID:0)が書き込まれている第1−3子機91は、第1ネットワーク、第2ネットワークの何れにも参入可能な状態にあるが、この実施の形態では、より通信状態の良いネットワークを探索する。その結果、ブレーカ15、17を超えることなく直接接続されている第1親機19側の第1ネットワークに参加するものとする。
【0026】
それによって、第1親機19から制御用パソコン1に対して、第1−3子機91がスーパーID(NID:0)を使用して参加してきたこと、その第1−3子機91の固有シリアル番号が「10000101」であることが、イーサネット(登録商標)ハブ23を介して入力される。その入力された情報は制御用パソコン1の表示/入力装置65に表示される。
【0027】
作業者5は、自身が認識している第1−3子機91のシリアル番号と上記表示されているシリアル番号を照合して確認する。
尚、第1−3子機91のシリアル番号を入力することにより、上記照合を自動化することも可能である。
次に、第1ネットワークに参加した第1−3子機91のネットワークIDを、スーパーID(NID:0)から第2ネットワーク固有のネットワークID(NID:102)に書き換える。
【0028】
書き換え後の、第1系統親機19、第1−1子機25、第1−2子機27、第2系統親機21、第2−1子機39、第2−2子機41、第1−3子機91の仕様を纏めると、図5に示すようなものとなる。図5に示されている内容を確認すると、まず、第2系統親機21のネットワークIDは「102」、固有のシリアル番号は「00000015」、設置されている部屋記号は「Z」、参加するネットワークは自信が参加している第2ネットワークである。第2−1子機39のネットワークIDは「102」、固有のシリアル番号は「10000002」、設置されている部屋記号は「C」、参加するネットワークは第2ネットワークである。第2−2子機41のネットワークIDは「102」、固有のシリアル番号は「10000003」、設置されている部屋記号は「D」、参加するネットワークは第2ネットワークである。
【0029】
次に、第1系統親機19のネットワークIDは「101」、固有のシリアル番号は「00000002」、設置されている部屋記号は「Z」、参加するネットワークは自信が参加している第1ネットワークである。第1−1子機25のネットワークIDは「101」、固有のシリアル番号は「10000005」、設置されている部屋記号は「A」、参加するネットワークは第1ネットワークである。第1−2子機27のネットワークIDは「101」、固有のシリアル番号は「10000006」、設置されている部屋記号は「B」、参加するネットワークは第1ネットワークである。
そして、新たに参加する第1−3子機91のネットワークIDは「101」、固有のシリアル番号は「10000101」、設置されている部屋記号は「E」、参加するネットワークは第1ネットワークである。
【0030】
次に、上記新たに参加した第1−3子機91を第1ネットワークから離脱させ別のネットワークに参加させる場合について説明する。この場合には、上記新たに参加した第1−3子機91を第1ネットワークから離脱させて初期化、すなわち、ネットワークIDが「101」に設定されている状態からスーパーID(NID:0)が設定されている状態に戻す必要がある。この場合には、図6に示すように、ネットワークIDがワイルドカードID(例えば、NID:255)に設定されている電力線通信ネットワークを用意しておく。そこには、制御用パソコン101、イーサネット(登録商標)ハブ103、電力線105、親機107等が設置されている。上記ワイルドカードID(例えば、NID:255)が設定されているネットワークには、あらゆるネットワークIDに設定されている子機が接続可能である。よって、ネットワークIDを「101」に書き換えられた前記第1−3子機91もこのネットワークに参加することができる。
【0031】
そして、第1−3子機91を上記ネットワークに参加させた状態で、ネットワークIDを「101」からスーパーID(NID:0)に書き換えるものである。それによって、その第1−3子機91を別の任意のネットワークにスーパーID(NID:0)を介して参加させて再利用することが可能になる。又、第1−3子機981のネットワークIDを「101」からスーパーID(NID:0)に書き換える構成としては、前記したものに限定されるものではなく、第1−3子機91自身が自身のネットワークIDを「101」からスーパーID(NID:0)に書き換えるようにしても良い。
尚、後述する図11のフローチャートでは、子機自身が自身のネットワークIDを「101」からスーパーID(NID:0)に書き換える場合を説明している。
【0032】
上記作用を図7乃至図11のフローチャートを参照して説明する。
まず、制御用パソコン1における処理を説明する。図7は制御用パソコン1の主処理内容を示すフローチャートであり、ステップS1において、初期化処理が実行される。次に、ステップS2に移行して、作業者5の入力待ちの状態に入る。次に、ステップS3に移行して、換気扇ON/OFF指示の有無が判別される。換気扇ON/OFF指示有りと判別された場合には、ステップS4に移行して、「換気扇操作処理」が呼び出されて実行される。これに対して、換気扇ON/OFF指示なしと判別された場合には、ステップS5に移行する。
【0033】
ステップS5においては、第1系統親機19からの通信を受信する。次いで、ステップS6に移行して、スーパーID(NID:0)を使用した新たな子機の参加が有ったか否かが判別される。スーパーID(NID:0)を使用した新たな子機の参加が有ったと判別された場合には、ステップS7に移行する。このステップS7においては、新たに参加してきた子機の固有シリアル番号Uと参加したネットワークの親機の番号N(=「1」)が記憶される。一方、ステップS6において、スーパーID(NID:0)を使用した新たな参加がないと判別された場合には、ステップS8に移行する。
【0034】
ステップS8においては、第2系統親機21からの通信を受信する。次いで、ステップS9に移行して、スーパーID(NID:0)を使用した新たな子機の参加が有ったか否かが判別される。スーパーID(NID:0)を使用した新たな子機の参加が有ったと判別された場合には、ステップS10に移行する。このステップS10においては、新たに参加してきた子機の固有シリアル番号Uと参加したネットワークの親機の番号N(=「2」)が記憶される。一方、スーパーID(NID:0)を使用した新たな子機の参加がないと判別された場合には、ステップS2に戻る。
【0035】
上記ステップS7またはステップS10において、新たに参加してきた子機の固有シリアル番号Uと参加したネットワークの親機の番号Nが記憶された後、ステップS11に移行する。このステップS11においては、「新規子機参加処理」が呼び出されて実行される。
【0036】
次に、図8を参照して、図7において示した「換気扇操作処理」について説明する。まず、ステップS21において、操作する部屋記号の入力が確認される。次いで、ステップS22に移行して、入力された部屋記号に対応する子機シリアル番号Sをデータ記憶領域69のデータテーブルTから検索する。次いで、ステップS23に移行する。このステップS23においては、検索が成功したか否かが判別される。
【0037】
ステップS23において、検索が成功しなかったと判別された場合には、ステップS21に戻る。これに対して、検索が成功したと判別された場合には、ステップS24に移行する。このステップS24においては、子機シリアル番号Sに対応するネットワークID=Mをデータ記憶領域69のデータテーブルTから読み出す。次いで、ステップS25に移行して、ネットワークID=Mから対応する親機番号Kをデータ記憶領域69のデータテーブルTから読み出す。次いで、ステップS26に移行して、親機番号Kを経由してネットワークID=Mへ、子機シリアル番号Sに対して運転状態の変更を送信する。
【0038】
次に、図9を参照して、図7で示した「新規子機参加処理」について説明する。まず、ステップS31において、換気扇を増設する部屋記号Rと増設する子機のシリアル番号Uの入力を確認する。次いで、ステップS32に移行して、入力された部屋記号Rに対応する親機番号Wをデータ記憶領域69のデータテーブルTから読み出す。次いで、ステップS33に移行して、U=U2であるか否かを判別する。U=U2ではないと判別された場合には、ステップS34に移行して、シリアル番号不一致エラー表示が実行され、その後ステップS31に戻る。これに対して、U=U2であると判別された場合には、ステップS35に移行する。
尚、上記ステップと34において、シリアル番号不一致エラー表示が実行されると、作業者5は入力を変更することになり、それによって、シリアル番号不一致エラーは解消されることになる。
【0039】
ステップS35においては、W=N(この場合にはN=1)であるか否かが判別される。W=N(この場合にはN=1)ではないと判別された場合には、ステップS36に移行する。このステップS36においては、第2系統親機21を経由して子機UにネットワークID=102を書き込む。次いで、ステップS37に移行して、第2系統親機21にて子機Uからの通信を受信する。次いで、ステップS38に移行して、再接続が完了したか否かが判別される。S38において、再接続が完了していないと判別された場合には、ステップと37に戻る。これに対して、再接続が完了していると判別された場合には、ステップと39に移行する。
【0040】
一方、ステップS35において、W=N(この場合にはN=1)であると判別された場合には、ステップS40に移行する。このステップS40においては、第1系統親機19を経由して子機にネットワークID=101を書き込む。次いで、ステップS39に移行する。ステップS39においては、データ記憶領域69のデータテーブルTに、新たに子機UのネットワークID、シリアル番号、部屋記号、参加親機番号(=1)を書き込む。以上で、「新規子機参加処理」が終了することになる。
【0041】
次に、図10を参照して第1系統親機19、第2系統親機21等の親機における処理を説明する。まず、ステップS51において、初期化処理が実行される。次いで、ステップS52に移行する。このステップS52においては、親機自身のネットワークID、シリアル番号をデータ記憶領域79の不揮発性メモリから読み出す。次いで、ステップS53に移行して、イーサネット(登録商標)ハブ23を介してのパケット待ちの状態に入る。次いで、ステップS54に移行する。このステップS54においては、子機へのパケット有りか否かが判別される。子機へのバケット有りと判別された場合には、ステップS55に移行して、電力線通信にて子機へのパケット送信が実行される。その後、ステップS53に戻る。
【0042】
ステップS54において、子機へのパケットなしと判別された場合には、ステップS56に移行する。ステップS56においては、親機ネットワークIDの書換指示の有無が判別される。親機ネットワークIDの書換指示有りと判別された場合には、ステップS57に移行する。ステップS57においては、データ記憶領域79のネットワークIDを書き換える処理が実行される。その後ステップS52に戻る。これに対して、親機ネットワークIDの書換指示なしと判別された場合には、ステップS58に移行する。
【0043】
ステップS58においては、子機からの電力線通信経由の通信を受信する。次いで、ステップS59に移行する。このステップと59においては、子機のネットワークへの接続が有るか否かが判別される。子機のネットワークへの接続が有ると判別された場合には、ステップS60に移行する。このステップS60においては、接続してきた子機のネットワークID=Pを取得する。次いで、ステップS61に移行する。このステップS61においては、P=親機自身のネットワークIDか否かが判別される。
【0044】
P=親機自身のネットワークIDであると判別された場合には、ステップS62に移行する。このステップS62においては、接続してきた子機のネットワーク参加を許可する。これに対して、ステップS61において、P=親機自身のネットワークIDではないと判別された場合にはステップS63に移行する。このステップS63においては、P=スーパーIDか否かが判別される。P=スーパーIDであると判別された場合には、既に説明したステップS62に移行する。これに対して、P=スーパーIDではないと判別された場合には、ステップS64に移行する。このステップS64においては、接続してきた子機のネットワーク参加が拒否される。
【0045】
また、ステップS59において、子機のネットワークへの接続がないと判別された場合には、ステップS65に移行する。このステップS65においては、制御用パソコン1へのパケットが有るか否かが判別される。制御用パソコン1へのパケットがないと判別された場合には、ステップS53に戻る。これに対して、制御用パソコン1へのパケットが有ると判別された場合には、ステップS66に移行する。このステップS66においては、イーサネット(登録商標)ハブ23を介して子機からのパケットを制御用パソコン1に送信する。その後ステップS53に戻る。
【0046】
次に、図11を参照して子機側の処理を説明する。まず、ステップS71において、初期化処理が実行される。次いで、ステップS72に移行して、自身のシリアル番号、ネットワークIDをデータ記憶領域87の不揮発性メモリから読み出す。次いで、ステップS73に移行して、電力線通信ネットワークへ接続して親機を発見する。次いで、ステップS74に移行する。このステップS74においては、自身のシリアル番号とネットワークIDを親機へ送信し、制御用パソコン1に送る。次いで、ステップS75に移行する。このステップS75においては、接続したネットワークのネットワークID=Gを親機から受信する。
【0047】
次いで、ステップS76に移行する。このステップS76においては自身のネットワークIDがスーパーIDか否かが判別される。スーパーIDではないと判別された場合にはステップS77に移行する。このステップS77においては、G=ワイルドカードIDか否かが判別される。G=ワイルドカードIDであると判別された場合には、ステップS78に移行する。このステップS78においては、初期化処理、すなわち、データ記憶領域87のネットワークIDをスーパーIDに初期化する。その後、ステップS72に戻る。一方、G=ワイルドカードIDではないと判別された場合には、ステップS79に移行する。このステップS79においては、G=子機自身のネットワークIDであるか否かが判別される。
【0048】
G=子機自身のネットワークIDではないと判別された場合には、ステップS80に移行する。このステップS80においては、当該親機のネットワーク参加を拒否する。一方、G=子機自身のネットワークIDであると判別された場合には、ステップS81に移行する。ステップS81においては、当該親機のネットワーク参加を許可し、通信が確立することになる。
尚、上記ステップS76においては自身のネットワークIDがスーパーIDであると判別された場合には直接ステップS81に移行し、当該親機のネットワーク参加を許可し、通信が確立することになる。
次いで、ステップS82に移行する。ステップS82においては、親機からの通信電文を受信する。
【0049】
次いで、ステップS83に移行する。このステップS83においては、自身のネットワークIDがスーパーIDであるか否かが判別される。自身のネットワークIDがスーパーIDではないと判別された場合には、ステップS84に移行する。このステップS84においては、スイッチ動作状態の変更指示であるか否かが判別される。スイッチ動作状態の変更指示であると判別された場合には、ステップS85に移行する。このステップS85においては、スイッチの状態を変更する処理が実行される。その後、ステップS82に戻る。
【0050】
これに対して、スイッチ動作状態の変更指示ではないと判別された場合には、ステップS86に移行する。ステップS86においては、ネットワークIDの書換指示であるか否かが判別される。一方、ステップS83において、自身のネットワークIDがスーパーIDであると判別された場合には、直接ステップS86に移行する。ステップS86において、ネットワークIDの書換指示であると判別された場合には、ステップS87に移行して、電力線通信ネットワークを一旦切断する。次いで、ステップS88に移行して、受信した新ネットワークIDをデータ記憶領域87に記憶する。次いで、ステップS89に移行して、親機に対して自身の状態を送信する。これに対して、ステップS86において、ネットワークIDの書換指示ではないと判別された場合にはステップS82に戻る。
【0051】
以上本実施の形態によると次のような効果を奏することができる。
まず、新たに第1−3子機91を参加させようとした場合、第1−3子機91はそのネットワークIDがスーパーIDに設定されているので、何れのネットワークに対しても参加することができる。それによって、新規の子機の参加を容易にすることができる。
また、新たに参加させる子機に対して予めネットワークIDを書き込むという煩雑な作業を行う必要もなく、それによっても、新規の子機の参加を容易にすることができる。
また、スーパーIDを使用して参加してきた新たな第1−3子機91に関して、その後、そのネットワークのIDに自動的に書き換えることができるので、それ以降は安定した接続が可能になる。
また、そのような書換作業に際しても電力線通信手段以外に別の通信手段を要することはないのでコストの低減を図ることができる。
また、何処のネットワークにどのような装置が参加したかという情報を自動的に取得して管理することができる。
また、何処までも届いてしまうパケット送信を使用することもないので、ネットワークの負荷も小さくて済む。
【0052】
尚、本発明は前記一実施の形態に限定されるものではない。
例えば、前記一実施の形態の場合には、電力線通信システムが二つのネットワークから構成されて場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、ネットワークの数、各ネットワークの子機の数等についてはこれを特に限定するものではない。
また、前記一実施の形態の場合には、各部屋に設置されている換気扇を制御の対象としている場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、照明器具、空調機器、等様々な機器の制御に適用可能である。
その他、図示した構成はあくまで一例である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、電力線通信システムに係り、特に、新たな通信装置をネットワークに参加させる場合の仕組みを簡略化させることができるように工夫したものに関し、例えば、照明機器、換気扇、等各種機器を制御するシステムに好適である。
【符号の説明】
【0054】
1 制御用パソコン
19 第1系統親機
21 第2系統親機
25 第1−1子機
27 第1−2子機
39 第2−1子機
41 第2−2子機
91 第1−3子機
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力線通信システムに係り、特に、新たな電力線通信装置をネットワークに参加させる場合の仕組みを簡略化させることができるように工夫したものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電力線通信システムは、概略、次のような構成になっていた。まず、電力線通信システムの第1の例であるが、ネットワークを構成する前に、ネットワークを構成する各電力線通信装置にネットワークIDを予め書き込んでおき、それらの複数の電力線通信装置を集めてネットワークを構成するものである。
【0003】
次に、第2の例であるが、複数の電力線通信装置を設置し、その状態で、電力線通信とは別の通信手段(例えば、スイッチ、無線、超音波、光通信等を使用した手段)を使用して、各電力線通信装置にネットワークIDを書き込み、それによって、ネットワークを構成するものである。
【0004】
さらに、第3の例であるが、ネットワークIDの区別を設けることなく、近隣の全ての電力線通信装置に通信を行うことができるように、特別のパケットを定義したものがある。
【0005】
この種の構成を示すものとして、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−41228号公報
【特許文献2】特開2008−72441号公報
【特許文献3】特開2007−201964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の構成によると次のような問題があった。
まず、第1の例の場合であるが、電力線通信装置を設置する前に、全ての電力線通信装置にネットワークIDを予め書き込む必要があり、煩雑な作業を余儀なくされてしまうという問題があった。
また、第2の例の場合であるが、電力線通信手段があるにもかかわらず、ネットワークIDを書き込むために、別の通信手段を設けなければならず、その分構成が複雑化してしまうとともにコストが上昇してしまうという問題があった。
さらに、第3の例の場合であるが、通信が物理的に可能な全範囲にパケットが飛んでしまうため、通信路の負荷が大きくなってしまうという問題があった。
【0008】
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、新たな電力線通信装置をネットワークに参加させる場合の仕組みを簡略化させることができる電力線通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するべく本願発明の請求項1による電力線通信システムは、電力線通信機能を備えた電力線通信装置からなる複数のネットワークと、上記複数のネットワークを制御する制御装置と、からなる電力線通信システムにおいて、上記複数のネットワークにはそれぞれ該ネットワーク固有のネットワークIDが定義されていて、上記ネットワークIDとは別に全てのネットワークに対する参加が許容されるスーパーIDが定義されていて、上記スーパーIDを備えた新たな電力線通信装置を上記複数のネットワークの内の任意のネットワークに参加させ、その後、その参加した新たな電力線通信装置のネットワークIDをスーパーIDからその参加したネットワークのネットワークIDに書き換えるようにしたことを特徴とするものである。
また、請求項2による電力線通信システムは、請求項1記載の電力線通信システムにおいて、上記電力線通信装置には該電力線通信装置固有の識別子が付与されていることを特徴とする電力線通信システムである。
また、請求項3による電力線通信システムは、請求項2記載の電力線通信システムにおいて、上記電力線通信装置側には上記識別子を上記制御装置に出力する識別子出力手段が設けられていることを特徴とするものである。
また、請求項4による電力線通信システムは、請求項1〜請求項3の何れかに記載の電力線通信システムにおいて、ネットワークIDがワイルドカードIDに設定されたネットワークがあり、上記ワイルドカードIDのネットワークには別のワイルドカードID以外の様々なネットワークIDを持つ電力線通信装置が参加可能であり、任意のネットワークに参加して該ネットワークのネットワークIDに設定されている電力線通信装置を上記ワイルドカードIDのネットワークに参加させ、その状態で上記電力線通信装置のネットワークIDをスーパーIDに初期化させるようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
以上詳述したように本発明の請求項1による電力線通信システムは、電力線通信機能を備えた電力線通信装置からなる複数のネットワークと、上記複数のネットワークを制御する制御装置と、からなる電力線通信システムにおいて、上記複数のネットワークにはそれぞれ該ネットワーク固有のネットワークIDが定義されていて、上記ネットワークIDとは別に全てのネットワークに対する参加が許容されるスーパーIDが定義されていて、上記スーパーIDを備えた新たな電力線通信装置を上記複数のネットワークの内の任意のネットワークに参加させ、その後、その参加した新たな電力線通信装置のネットワークIDをスーパーIDからその参加したネットワークのネットワークIDに書き換えるように構成されているので、まず、事前に煩雑な作業を行うことなく、且つ、別途、通信手段を設けることなく、新たな電力線通信装置の任意のネットワークへの参加を可能にすることができ、新たな電力線通信装置をネットワークに参加させる場合の仕組みを簡略化させることができる。
また、請求項2による電力線通信システムは、請求項1記載の電力線通信システムにおいて、上記電力線通信装置には該電力線通信装置固有の識別子が付与されているので、その識別子を使用して照合を行うことができる。
また、請求項3による電力線通信システムは、請求項2記載の電力線通信システムにおいて、上記電力線通信装置側には上記識別子を上記制御装置に出力する識別子出力手段が設けられているので、それらの照合を自動化させることができる。
また、請求項4による電力線通信システムは、請求項1〜請求項3の何れかに記載の電力線通信システムにおいて、ネットワークIDがワイルドカードIDに設定されたネットワークがあり、上記ワイルドカードIDのネットワークには別のワイルドカードID以外の様々なネットワークIDを持つ電力線通信装置が参加可能であり、任意のネットワークに参加して該ネットワークのネットワークIDに設定されている電力線通信装置を上記ワイルドカードIDのネットワークに参加させ、その状態で上記電力線通信装置のネットワークIDをスーパーIDに初期化させるように構成されているので、一旦、任意のネットワークに参加してそのネットワークのネットワークIDに書き換えられた電力線通信装置のネットワークIDを、再度、スーパーIDに初期化させることができ、電力線通信装置の再利用の容易化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態を示す図で、電力線通信システムの全体の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態を示す図で、電力線通信システムの制御装置としての制御用パソコンと親機の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施の形態を示す図で、電力線通信システムの子機の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施の形態を示す図で、スーパーIDを使用して任意のネットワークに参加することを説明するための図である。
【図5】本発明の一実施の形態を示す図で、スーパーIDを使用して任意のネットワークに参加した後該スーパーIDをネットワークIDに書き換えることを説明するための図である。
【図6】本発明の一実施の形態を示す図で、ワイルドIDを使用した子機の初期化を説明するための図である。
【図7】本発明の一実施の形態を示す図で、作用を説明するためのものであって、制御装置としての制御用パソコンの主たる処理内容を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の一実施の形態を示す図で、作用を説明するためのものであって、制御装置としての制御用パソコンの換気扇操作処理の内容を説明するフローチャートである。
【図9】本発明の一実施の形態を示す図で、作用を説明するためのものであって、制御装置としての制御用パソコンの新規子機参加処理の内容を説明するフローチャートである。作用を説明するためのフローチャートである。
【図10】本発明の一実施の形態を示す図で、作用を説明するためのものであって、親機の処理の内容を説明するフローチャートである。
【図11】本発明の一実施の形態を示す図で、作用を説明するためのものであって、子機の処理の内容を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図1乃至図10を参照して本発明の一実施の形態を説明する。図1は本実施の形態による電力線通信システムの全体の構成を示すブロック図であり、まず、制御装置としての制御用パソコン1がある。この制御用パソコン1は管理室Yに設置されていて、作業者5によって操作されるものである。上記管理室3とは別の場所に分電盤Zが設置されている。上記分電盤Z内には電力線9が引き込まれていて、この電力線9は第1系統電力線11と第2系統電力線13とに分岐されている。
【0013】
上記第1系統電力線11にはブレーカ15が介挿されており、また、上記第2系統電力線13にはブレーカ17が介挿されている。また、上記第1系統電力線11には第1系統親機19が接続されており、また、上記第2系統電力線13には第2系統親機21が接続されている。また、上記第1系統親機19と第2系統親機21は、何れもイーサネット(登録商標)ハブ23を介して既に説明した制御用パソコン1と送受信可能な構成になっている。そして、上記第1系統親機19が設置されている第1系統電力線11側が第1ネットワークとして構成されており、上記第2系統親機21が設置されている第2系統電力線13側が第2ネットワークとして構成されている。
尚、電力線通信の場合には、ブレーカ15、17を跨いで通信した場合には信号の減衰や歪みが発生してしまうことが懸念される。そこで、本実施の形態の場合には、各ブレーカ15、17の下流側に第1系統親機19と第2系統親機21をそれぞれ設置し、それぞれ別個のネットワークを構成するようにしているものである。
【0014】
上記第1ネットワークには第1−1子機25、第1−2子機27が設置されている。上記第1−1子機25は部屋Aに設置されているとともに、上記第1−2子機27は部屋Bに設置されている。上記第1−1子機25はスイッチ(例えば、フォトリレー)33を介して換気扇35に接続されている。また、上記第1−2子機27もスイッチ(例えば、フォトリレー)37を介して換気扇39に接続されている。上記第1−1子機25、第1−2子機27は換気扇35、39のON/OFFを制御するためのものである。
【0015】
上記第2ネットワークには第2−1子機39、第2−2子機41が設置されている。上記第2−1子機39は部屋Cに設置されているとともに、上記第2−2子機41は部屋Dに設置されている。上記第2−1子機39はスイッチ(例えば、フォトリレー)47を介して換気扇49に接続されている。また、上記2−2子機41はスイッチ(例えば、フォトリレー)51を介して換気扇53に接続されている。上記第2−1子機39、第2−2子機41は換気扇49、53のON/OFFを制御するためのものである。
【0016】
上記各第1−1子機25、第1−2子機27、第2−1子機39、第2−2子機41の筺体には、各子機固有のシリアル番号が印刷されている。
尚、印刷以外にも、例えば、各子機固有のシリアル番号が印刷されたメモを添付するようにしても良い。
以上が電力線通信システムの全体の概略の構成である。以下、各部の構成を詳細に説明していく。
【0017】
上記制御用パソコン1と第1系統親機19は図2に示すような構成になっている。まず、上記制御用パソコン1はマイクロプロセッサ61を備えている。このマイクロプロセッサ61には、通信インターフェイス63、表示/入力装置65、プログラム記憶部67、データ記憶領域69が接続されている。上記プログラム記憶部67には上記マイクロプロセッサ61の動作を指示するための各種プロクラムが記憶されている。また、上記データ記憶領域69には、換気扇35、39、49、53の運転状態を制御・管理するための各種データが記憶されている。
【0018】
また、第1系統親機19であるが、同様に、マイクロプロセッサ71を備えている。このマイクロプロセッサ71には、通信インターフェイス73、電力線通信モデム75、プログラム記憶領域77、データ記憶領域79が接続されている。上記制御用パソコン1と第1親機19はそれぞれの通信インターフェイス63、73を介して相互に送受信できるように構成されている。上記プログラム記憶部77には上記マイクロプロセッサ71の動作を指示するための各種プロクラムが記憶されている。又、上記データ記憶領域79の一部は、第1系統親機19固有のID(例えば、シリアルナンバー)と第1系統親機19が管理するネットワークのネットワークIDを記憶する不揮発性メモリとなっている。
尚、図2では、第1系統親機19のみを示しているが、第2系統親機21についても同様の構成になっている。
【0019】
次に、図3を参照して、第1−1子機25の構成を説明する。第1子機25はマイクロプロセッサ81を備えている。このマイクロプロセッサ81には、電力線通信モデム83、スイッチインターフェイス85、データ記憶領域87、プログラム記憶領域89が接続されている。上記プログラム記憶領域89にはマイクロプロセッサ81の動作を指示する各種プログラムが記憶されており、また、上記データ記憶領域87には様々なデータが記憶されている。また、データ記憶領域87の一部は、第1−1子機25固有のID(例えば、シリアルナンバー)と参加するネットワークのネットワークIDを記憶する不揮発性メモリとなっている。
尚、図3では、第1−1子機25のみを示しているが、第1−2子機27、第2−1子機39、第2−2子機41についても同様の構成になっている。
【0020】
既に説明したように、第1系統親機19、第1−1子機25、第1−2子機27によって第1ネットワークを構成しており、これら第1系統親機19、第1−1子機25、第1−2子機27は、共通であって固有のネットワークID(NID:101)を備えている。同様に、第2系統親機21、第2−1子機39、第2−2子機41によって第2ネットワークを構成しており、これら第2系統親機21、第2−1子機39、第2−2子機41も、共通であって固有のネットワークID(NID:102)を備えている。
【0021】
以上の構成を基にその作用を説明する。
図1に示すように、電力線通信システムにおいて、新たに、別の第1−3子機91が参加する場合を例に挙げて説明する。上記第1−3子機91は、図1に示すような構成のものであり、既に説明した第1−1子機25、第1−2子機27、第2−1子機39、第2−2子機41と同様の構成をなすものである。また、上記第1−3子機91は、室Eに設置されるものであり、スイッチ(例えば、フォトリレー)93を介して換気扇95に接続されている。
図中同一部分には同一符号を付して示しその説明は省略する。
【0022】
さて、第1−1子機25、第1−2子機27には、第1ネットワーク固有のネットワークID(NID:101)が設定されており、又、第2−1子機27、第2−2子機39には第2ネットワーク固有のネットワークID(NID:102)が設定されている。これに対して、新たに参入する上記第1−3子機91には、初期状態のスーパーID(NID:0)が書き込まれている。このスーパーID(NID:0)が設定されている第1−3子機91は、第1ネットワーク、第2ネットワークの何れにも参加可能な状態にある。
尚、上記スーパーID(NID:0)は全てのネットワークに対する参加が許容されるネットワークIDである。
【0023】
ここで、第1系統親機19、第1−1子機25、第1−2子機27、第2系統親機21、第2−1子機39、第2−2子機41、第1−3子機91のこの時点での仕様を纏めると、図4に示すようなものとなる。この段階では、第1−3子機91は未だ何れのネットワークにも参加していない状態である。
図4に示されている内容を確認すると、まず、第2系統親機21のネットワークIDは「102」、固有のシリアル番号は「00000015」、設置されている部屋記号は「Z」、参加するネットワークは自信が参加している第2ネットワークである。第2−1子機39のネットワークIDは「102」、固有のシリアル番号は「10000002」、設置されている部屋記号は「C」、参加するネットワークは第2ネットワークである。第2−2子機41のネットワークIDは「102」、固有のシリアル番号は「10000003」、設置されている部屋記号は「D」、参加するネットワークは第2ネットワークである。
【0024】
次に、第1系統親機19のネットワークIDは「101」、固有のシリアル番号は「00000002」、設置されている部屋記号は「Z」、参加するネットワークは自信が参加している第1ネットワークである。第1−1子機25のネットワークIDは「101」、固有のシリアル番号は「10000005」、設置されている部屋記号は「A」、参加するネットワークは第1ネットワークである。第1−2子機27のネットワークIDは「101」、固有のシリアル番号は「10000006」、設置されている部屋記号は「B」、参加するネットワークは第1ネットワークである。
そして、新たに参加する第1−3子機91のネットワークIDはスーパーID「0」、固有のシリアル番号は「10000101」、設置されている部屋記号は「未定義」、参加するネットワークは未定である。
【0025】
この段階で、スーパーID(NID:0)が書き込まれている第1−3子機91は、第1ネットワーク、第2ネットワークの何れにも参入可能な状態にあるが、この実施の形態では、より通信状態の良いネットワークを探索する。その結果、ブレーカ15、17を超えることなく直接接続されている第1親機19側の第1ネットワークに参加するものとする。
【0026】
それによって、第1親機19から制御用パソコン1に対して、第1−3子機91がスーパーID(NID:0)を使用して参加してきたこと、その第1−3子機91の固有シリアル番号が「10000101」であることが、イーサネット(登録商標)ハブ23を介して入力される。その入力された情報は制御用パソコン1の表示/入力装置65に表示される。
【0027】
作業者5は、自身が認識している第1−3子機91のシリアル番号と上記表示されているシリアル番号を照合して確認する。
尚、第1−3子機91のシリアル番号を入力することにより、上記照合を自動化することも可能である。
次に、第1ネットワークに参加した第1−3子機91のネットワークIDを、スーパーID(NID:0)から第2ネットワーク固有のネットワークID(NID:102)に書き換える。
【0028】
書き換え後の、第1系統親機19、第1−1子機25、第1−2子機27、第2系統親機21、第2−1子機39、第2−2子機41、第1−3子機91の仕様を纏めると、図5に示すようなものとなる。図5に示されている内容を確認すると、まず、第2系統親機21のネットワークIDは「102」、固有のシリアル番号は「00000015」、設置されている部屋記号は「Z」、参加するネットワークは自信が参加している第2ネットワークである。第2−1子機39のネットワークIDは「102」、固有のシリアル番号は「10000002」、設置されている部屋記号は「C」、参加するネットワークは第2ネットワークである。第2−2子機41のネットワークIDは「102」、固有のシリアル番号は「10000003」、設置されている部屋記号は「D」、参加するネットワークは第2ネットワークである。
【0029】
次に、第1系統親機19のネットワークIDは「101」、固有のシリアル番号は「00000002」、設置されている部屋記号は「Z」、参加するネットワークは自信が参加している第1ネットワークである。第1−1子機25のネットワークIDは「101」、固有のシリアル番号は「10000005」、設置されている部屋記号は「A」、参加するネットワークは第1ネットワークである。第1−2子機27のネットワークIDは「101」、固有のシリアル番号は「10000006」、設置されている部屋記号は「B」、参加するネットワークは第1ネットワークである。
そして、新たに参加する第1−3子機91のネットワークIDは「101」、固有のシリアル番号は「10000101」、設置されている部屋記号は「E」、参加するネットワークは第1ネットワークである。
【0030】
次に、上記新たに参加した第1−3子機91を第1ネットワークから離脱させ別のネットワークに参加させる場合について説明する。この場合には、上記新たに参加した第1−3子機91を第1ネットワークから離脱させて初期化、すなわち、ネットワークIDが「101」に設定されている状態からスーパーID(NID:0)が設定されている状態に戻す必要がある。この場合には、図6に示すように、ネットワークIDがワイルドカードID(例えば、NID:255)に設定されている電力線通信ネットワークを用意しておく。そこには、制御用パソコン101、イーサネット(登録商標)ハブ103、電力線105、親機107等が設置されている。上記ワイルドカードID(例えば、NID:255)が設定されているネットワークには、あらゆるネットワークIDに設定されている子機が接続可能である。よって、ネットワークIDを「101」に書き換えられた前記第1−3子機91もこのネットワークに参加することができる。
【0031】
そして、第1−3子機91を上記ネットワークに参加させた状態で、ネットワークIDを「101」からスーパーID(NID:0)に書き換えるものである。それによって、その第1−3子機91を別の任意のネットワークにスーパーID(NID:0)を介して参加させて再利用することが可能になる。又、第1−3子機981のネットワークIDを「101」からスーパーID(NID:0)に書き換える構成としては、前記したものに限定されるものではなく、第1−3子機91自身が自身のネットワークIDを「101」からスーパーID(NID:0)に書き換えるようにしても良い。
尚、後述する図11のフローチャートでは、子機自身が自身のネットワークIDを「101」からスーパーID(NID:0)に書き換える場合を説明している。
【0032】
上記作用を図7乃至図11のフローチャートを参照して説明する。
まず、制御用パソコン1における処理を説明する。図7は制御用パソコン1の主処理内容を示すフローチャートであり、ステップS1において、初期化処理が実行される。次に、ステップS2に移行して、作業者5の入力待ちの状態に入る。次に、ステップS3に移行して、換気扇ON/OFF指示の有無が判別される。換気扇ON/OFF指示有りと判別された場合には、ステップS4に移行して、「換気扇操作処理」が呼び出されて実行される。これに対して、換気扇ON/OFF指示なしと判別された場合には、ステップS5に移行する。
【0033】
ステップS5においては、第1系統親機19からの通信を受信する。次いで、ステップS6に移行して、スーパーID(NID:0)を使用した新たな子機の参加が有ったか否かが判別される。スーパーID(NID:0)を使用した新たな子機の参加が有ったと判別された場合には、ステップS7に移行する。このステップS7においては、新たに参加してきた子機の固有シリアル番号Uと参加したネットワークの親機の番号N(=「1」)が記憶される。一方、ステップS6において、スーパーID(NID:0)を使用した新たな参加がないと判別された場合には、ステップS8に移行する。
【0034】
ステップS8においては、第2系統親機21からの通信を受信する。次いで、ステップS9に移行して、スーパーID(NID:0)を使用した新たな子機の参加が有ったか否かが判別される。スーパーID(NID:0)を使用した新たな子機の参加が有ったと判別された場合には、ステップS10に移行する。このステップS10においては、新たに参加してきた子機の固有シリアル番号Uと参加したネットワークの親機の番号N(=「2」)が記憶される。一方、スーパーID(NID:0)を使用した新たな子機の参加がないと判別された場合には、ステップS2に戻る。
【0035】
上記ステップS7またはステップS10において、新たに参加してきた子機の固有シリアル番号Uと参加したネットワークの親機の番号Nが記憶された後、ステップS11に移行する。このステップS11においては、「新規子機参加処理」が呼び出されて実行される。
【0036】
次に、図8を参照して、図7において示した「換気扇操作処理」について説明する。まず、ステップS21において、操作する部屋記号の入力が確認される。次いで、ステップS22に移行して、入力された部屋記号に対応する子機シリアル番号Sをデータ記憶領域69のデータテーブルTから検索する。次いで、ステップS23に移行する。このステップS23においては、検索が成功したか否かが判別される。
【0037】
ステップS23において、検索が成功しなかったと判別された場合には、ステップS21に戻る。これに対して、検索が成功したと判別された場合には、ステップS24に移行する。このステップS24においては、子機シリアル番号Sに対応するネットワークID=Mをデータ記憶領域69のデータテーブルTから読み出す。次いで、ステップS25に移行して、ネットワークID=Mから対応する親機番号Kをデータ記憶領域69のデータテーブルTから読み出す。次いで、ステップS26に移行して、親機番号Kを経由してネットワークID=Mへ、子機シリアル番号Sに対して運転状態の変更を送信する。
【0038】
次に、図9を参照して、図7で示した「新規子機参加処理」について説明する。まず、ステップS31において、換気扇を増設する部屋記号Rと増設する子機のシリアル番号Uの入力を確認する。次いで、ステップS32に移行して、入力された部屋記号Rに対応する親機番号Wをデータ記憶領域69のデータテーブルTから読み出す。次いで、ステップS33に移行して、U=U2であるか否かを判別する。U=U2ではないと判別された場合には、ステップS34に移行して、シリアル番号不一致エラー表示が実行され、その後ステップS31に戻る。これに対して、U=U2であると判別された場合には、ステップS35に移行する。
尚、上記ステップと34において、シリアル番号不一致エラー表示が実行されると、作業者5は入力を変更することになり、それによって、シリアル番号不一致エラーは解消されることになる。
【0039】
ステップS35においては、W=N(この場合にはN=1)であるか否かが判別される。W=N(この場合にはN=1)ではないと判別された場合には、ステップS36に移行する。このステップS36においては、第2系統親機21を経由して子機UにネットワークID=102を書き込む。次いで、ステップS37に移行して、第2系統親機21にて子機Uからの通信を受信する。次いで、ステップS38に移行して、再接続が完了したか否かが判別される。S38において、再接続が完了していないと判別された場合には、ステップと37に戻る。これに対して、再接続が完了していると判別された場合には、ステップと39に移行する。
【0040】
一方、ステップS35において、W=N(この場合にはN=1)であると判別された場合には、ステップS40に移行する。このステップS40においては、第1系統親機19を経由して子機にネットワークID=101を書き込む。次いで、ステップS39に移行する。ステップS39においては、データ記憶領域69のデータテーブルTに、新たに子機UのネットワークID、シリアル番号、部屋記号、参加親機番号(=1)を書き込む。以上で、「新規子機参加処理」が終了することになる。
【0041】
次に、図10を参照して第1系統親機19、第2系統親機21等の親機における処理を説明する。まず、ステップS51において、初期化処理が実行される。次いで、ステップS52に移行する。このステップS52においては、親機自身のネットワークID、シリアル番号をデータ記憶領域79の不揮発性メモリから読み出す。次いで、ステップS53に移行して、イーサネット(登録商標)ハブ23を介してのパケット待ちの状態に入る。次いで、ステップS54に移行する。このステップS54においては、子機へのパケット有りか否かが判別される。子機へのバケット有りと判別された場合には、ステップS55に移行して、電力線通信にて子機へのパケット送信が実行される。その後、ステップS53に戻る。
【0042】
ステップS54において、子機へのパケットなしと判別された場合には、ステップS56に移行する。ステップS56においては、親機ネットワークIDの書換指示の有無が判別される。親機ネットワークIDの書換指示有りと判別された場合には、ステップS57に移行する。ステップS57においては、データ記憶領域79のネットワークIDを書き換える処理が実行される。その後ステップS52に戻る。これに対して、親機ネットワークIDの書換指示なしと判別された場合には、ステップS58に移行する。
【0043】
ステップS58においては、子機からの電力線通信経由の通信を受信する。次いで、ステップS59に移行する。このステップと59においては、子機のネットワークへの接続が有るか否かが判別される。子機のネットワークへの接続が有ると判別された場合には、ステップS60に移行する。このステップS60においては、接続してきた子機のネットワークID=Pを取得する。次いで、ステップS61に移行する。このステップS61においては、P=親機自身のネットワークIDか否かが判別される。
【0044】
P=親機自身のネットワークIDであると判別された場合には、ステップS62に移行する。このステップS62においては、接続してきた子機のネットワーク参加を許可する。これに対して、ステップS61において、P=親機自身のネットワークIDではないと判別された場合にはステップS63に移行する。このステップS63においては、P=スーパーIDか否かが判別される。P=スーパーIDであると判別された場合には、既に説明したステップS62に移行する。これに対して、P=スーパーIDではないと判別された場合には、ステップS64に移行する。このステップS64においては、接続してきた子機のネットワーク参加が拒否される。
【0045】
また、ステップS59において、子機のネットワークへの接続がないと判別された場合には、ステップS65に移行する。このステップS65においては、制御用パソコン1へのパケットが有るか否かが判別される。制御用パソコン1へのパケットがないと判別された場合には、ステップS53に戻る。これに対して、制御用パソコン1へのパケットが有ると判別された場合には、ステップS66に移行する。このステップS66においては、イーサネット(登録商標)ハブ23を介して子機からのパケットを制御用パソコン1に送信する。その後ステップS53に戻る。
【0046】
次に、図11を参照して子機側の処理を説明する。まず、ステップS71において、初期化処理が実行される。次いで、ステップS72に移行して、自身のシリアル番号、ネットワークIDをデータ記憶領域87の不揮発性メモリから読み出す。次いで、ステップS73に移行して、電力線通信ネットワークへ接続して親機を発見する。次いで、ステップS74に移行する。このステップS74においては、自身のシリアル番号とネットワークIDを親機へ送信し、制御用パソコン1に送る。次いで、ステップS75に移行する。このステップS75においては、接続したネットワークのネットワークID=Gを親機から受信する。
【0047】
次いで、ステップS76に移行する。このステップS76においては自身のネットワークIDがスーパーIDか否かが判別される。スーパーIDではないと判別された場合にはステップS77に移行する。このステップS77においては、G=ワイルドカードIDか否かが判別される。G=ワイルドカードIDであると判別された場合には、ステップS78に移行する。このステップS78においては、初期化処理、すなわち、データ記憶領域87のネットワークIDをスーパーIDに初期化する。その後、ステップS72に戻る。一方、G=ワイルドカードIDではないと判別された場合には、ステップS79に移行する。このステップS79においては、G=子機自身のネットワークIDであるか否かが判別される。
【0048】
G=子機自身のネットワークIDではないと判別された場合には、ステップS80に移行する。このステップS80においては、当該親機のネットワーク参加を拒否する。一方、G=子機自身のネットワークIDであると判別された場合には、ステップS81に移行する。ステップS81においては、当該親機のネットワーク参加を許可し、通信が確立することになる。
尚、上記ステップS76においては自身のネットワークIDがスーパーIDであると判別された場合には直接ステップS81に移行し、当該親機のネットワーク参加を許可し、通信が確立することになる。
次いで、ステップS82に移行する。ステップS82においては、親機からの通信電文を受信する。
【0049】
次いで、ステップS83に移行する。このステップS83においては、自身のネットワークIDがスーパーIDであるか否かが判別される。自身のネットワークIDがスーパーIDではないと判別された場合には、ステップS84に移行する。このステップS84においては、スイッチ動作状態の変更指示であるか否かが判別される。スイッチ動作状態の変更指示であると判別された場合には、ステップS85に移行する。このステップS85においては、スイッチの状態を変更する処理が実行される。その後、ステップS82に戻る。
【0050】
これに対して、スイッチ動作状態の変更指示ではないと判別された場合には、ステップS86に移行する。ステップS86においては、ネットワークIDの書換指示であるか否かが判別される。一方、ステップS83において、自身のネットワークIDがスーパーIDであると判別された場合には、直接ステップS86に移行する。ステップS86において、ネットワークIDの書換指示であると判別された場合には、ステップS87に移行して、電力線通信ネットワークを一旦切断する。次いで、ステップS88に移行して、受信した新ネットワークIDをデータ記憶領域87に記憶する。次いで、ステップS89に移行して、親機に対して自身の状態を送信する。これに対して、ステップS86において、ネットワークIDの書換指示ではないと判別された場合にはステップS82に戻る。
【0051】
以上本実施の形態によると次のような効果を奏することができる。
まず、新たに第1−3子機91を参加させようとした場合、第1−3子機91はそのネットワークIDがスーパーIDに設定されているので、何れのネットワークに対しても参加することができる。それによって、新規の子機の参加を容易にすることができる。
また、新たに参加させる子機に対して予めネットワークIDを書き込むという煩雑な作業を行う必要もなく、それによっても、新規の子機の参加を容易にすることができる。
また、スーパーIDを使用して参加してきた新たな第1−3子機91に関して、その後、そのネットワークのIDに自動的に書き換えることができるので、それ以降は安定した接続が可能になる。
また、そのような書換作業に際しても電力線通信手段以外に別の通信手段を要することはないのでコストの低減を図ることができる。
また、何処のネットワークにどのような装置が参加したかという情報を自動的に取得して管理することができる。
また、何処までも届いてしまうパケット送信を使用することもないので、ネットワークの負荷も小さくて済む。
【0052】
尚、本発明は前記一実施の形態に限定されるものではない。
例えば、前記一実施の形態の場合には、電力線通信システムが二つのネットワークから構成されて場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、ネットワークの数、各ネットワークの子機の数等についてはこれを特に限定するものではない。
また、前記一実施の形態の場合には、各部屋に設置されている換気扇を制御の対象としている場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、照明器具、空調機器、等様々な機器の制御に適用可能である。
その他、図示した構成はあくまで一例である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、電力線通信システムに係り、特に、新たな通信装置をネットワークに参加させる場合の仕組みを簡略化させることができるように工夫したものに関し、例えば、照明機器、換気扇、等各種機器を制御するシステムに好適である。
【符号の説明】
【0054】
1 制御用パソコン
19 第1系統親機
21 第2系統親機
25 第1−1子機
27 第1−2子機
39 第2−1子機
41 第2−2子機
91 第1−3子機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力線通信機能を備えた電力線通信装置からなる複数のネットワークと、上記複数のネットワークを制御する制御装置と、からなる電力線通信システムにおいて、
上記複数のネットワークにはそれぞれ該ネットワーク固有のネットワークIDが定義されていて、
上記ネットワークIDとは別に全てのネットワークに対する参加が許容されるスーパーIDが定義されていて、
上記スーパーIDを備えた新たな電力線通信装置を上記複数のネットワークの内の任意のネットワークに参加させ、
その後、その参加した新たな電力線通信装置のネットワークIDをスーパーIDからその参加したネットワークのネットワークIDに書き換えるようにしたことを特徴とする電力線通信システム。
【請求項2】
請求項1記載の電力線通信システムにおいて、
上記電力線通信装置には該電力線通信装置固有の識別子が付与されていることを特徴とする電力線通信システム。
【請求項3】
請求項2記載の電力線通信システムにおいて、
上記電力線通信装置側には上記識別子を上記制御装置に出力する識別子出力手段が設けられていることを特徴とする電力線通信システム。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れかに記載の電力線通信システムにおいて、
ネットワークIDがワイルドカードIDに設定されたネットワークがあり、
上記ワイルドカードIDのネットワークには別のワイルドカードID以外の様々なネットワークIDを持つ電力線通信装置が参加可能であり、
任意のネットワークに参加して該ネットワークのネットワークIDに設定されている電力線通信装置を上記ワイルドカードIDのネットワークに参加させ、
その状態で上記電力線通信装置のネットワークIDをスーパーIDに初期化させるようにしたことを特徴とする電力線通信システム。
【請求項1】
電力線通信機能を備えた電力線通信装置からなる複数のネットワークと、上記複数のネットワークを制御する制御装置と、からなる電力線通信システムにおいて、
上記複数のネットワークにはそれぞれ該ネットワーク固有のネットワークIDが定義されていて、
上記ネットワークIDとは別に全てのネットワークに対する参加が許容されるスーパーIDが定義されていて、
上記スーパーIDを備えた新たな電力線通信装置を上記複数のネットワークの内の任意のネットワークに参加させ、
その後、その参加した新たな電力線通信装置のネットワークIDをスーパーIDからその参加したネットワークのネットワークIDに書き換えるようにしたことを特徴とする電力線通信システム。
【請求項2】
請求項1記載の電力線通信システムにおいて、
上記電力線通信装置には該電力線通信装置固有の識別子が付与されていることを特徴とする電力線通信システム。
【請求項3】
請求項2記載の電力線通信システムにおいて、
上記電力線通信装置側には上記識別子を上記制御装置に出力する識別子出力手段が設けられていることを特徴とする電力線通信システム。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れかに記載の電力線通信システムにおいて、
ネットワークIDがワイルドカードIDに設定されたネットワークがあり、
上記ワイルドカードIDのネットワークには別のワイルドカードID以外の様々なネットワークIDを持つ電力線通信装置が参加可能であり、
任意のネットワークに参加して該ネットワークのネットワークIDに設定されている電力線通信装置を上記ワイルドカードIDのネットワークに参加させ、
その状態で上記電力線通信装置のネットワークIDをスーパーIDに初期化させるようにしたことを特徴とする電力線通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−31021(P2013−31021A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166131(P2011−166131)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(597010628)協立電機株式会社 (18)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(597010628)協立電機株式会社 (18)
【Fターム(参考)】
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