説明

電力計測システム、電力計測方法及び電力計測プログラム

【課題】個々の計測機器の小型化・低コスト化を図りながら、交流電源から電力供給される電気機器の消費電力を高精度に計測すること。
【解決手段】電力計測装置は、第1の計時部の生成した時刻、第2の計時部が生成した時刻及び第3の計時部が生成した時刻を用いて各計時部が生成する時刻の補正値を取得する。また、電圧値を計測した電圧値及び当該電圧値の電圧値計測時刻、並びに電流を計測した電流値及び当該電流値の電流値計測時刻を受信した場合、補正値に基づいて電圧値計測時刻及び電流値時刻をそれぞれ補正する。その補正した電圧値計測時刻及び電流値計測時刻が一致すると判定した場合、電力計測装置は、電圧値及び電流値を用いて電力を演算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気機器が消費する電力を計測する電力計測システム、電力計測方法及び電力計測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギーへの関心の高まりから、電気製品内の個々の電気機器の消費電力を計測する技術が種々提案されている。
【0003】
この技術を実現するための電力計測システムは、電気機器の待機時における微小な電力も計測するため、電気機器に供給される電圧と電流との位相差を正確に測り、高精度に消費電力を計測する必要がある。
【0004】
また、この電力計測システムは、容易な利用のために小型化・低コスト化が求められる。
【0005】
従来の個々の電気機器の消費電力を計測する電力計測システムの一例として、下記特許文献1及び特許文献2には、以下の技術が記載されている。
【0006】
特許文献1には、計測対象となる電気機器の一つ一つに電圧計測手段と電流計測手段の両方を接続し、計測した電圧値・電流値を1つの電力量計測手段・電力量演算手段を用いて消費電力を計測する技術が記載されている。この構成を取ることで、特許文献1に記載の電力計測システムは、複数の電力量計測手段と電力量演算手段を搭載せずとも、個々の電気機器の消費電力を高精度に計測することができ、なおかつ装置の小型化、低コスト化を実現している。
【0007】
また、特許文献2には、電路の電圧実効値を計測するセンタ装置と、個々の電気機器の電流実効値を計測する複数の検出装置で構成される電力測定システムが記載されている。より詳細には、センタ装置は電圧のゼロクロスポイントを検出すると、検出装置へそのゼロクロスポイントのタイミングを通知する。検出装置は通知された電圧のゼロクロスポイントのタイミングと、電流のゼロクロスポイントのタイミングから電圧と電流の位相差を計測し、電流実効値と位相差をセンタ装置に送信する。その後、センタ装置は得られた電圧実効値、電流実効値、及び位相差を用いて、電圧・電流が共に周期的に一致する波形であると仮定して消費電力を計算する。この構成を取ることで、特許文献2に記載の電力測定システムは、個々の電気機器と接続する計測機器に電圧計測手段と電流計測手段の両方を搭載する必要がなくなり、装置の更なる小型化・低コスト化を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−026641号公報
【特許文献2】特開2009−222433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
既述の従来のシステムでは、電力量を算出する手段の集約化を行うこと、又は計測機器に搭載する計測手段を電流計測手段のみとすることで、計測機器の小型化・低コスト化を図っていた。
【0010】
しかし、特許文献1に記載の電力計測システムは、高精度に消費電力を計測できるものの、電圧と電流とを計測するセンサを両方備える必要があるため、どちらか一方のみを搭載する装置に比べて大きく高コストであった。
【0011】
また、特許文献2に記載の電力測定システムは、電流を計測するセンサのみを備え、電圧はセンタ装置の電圧値を使用することで、計測装置の更なる小型化・低コスト化を実現しているが、機器に実際に供給される電流が周期的に一致しない場合もあるため、機器の消費電力を高精度に計測することができなかった。
【0012】
すなわち、従来のシステムでは、計測装置の小型化・低コスト化と、電気機器の高精度な消費電力計測の両立がなされていなかった。
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、個々の計測機器の小型化・低コスト化を図りながら、交流電源から電力供給される電気機器の消費電力を高精度に計測することができる電力計測システム、電力計測方法及び電力計測プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、電路の電圧を計測する電圧計測部と、時刻を生成する第1の計時部と、前記電圧計測が計測した電圧値及び前記第1の計時部が生成した時刻を送信する第1の送信部と、を具備する電圧計測装置と、前記電路に接続された電気機器に流れる電流を計測する電流計測部と、時刻を生成する第2の計時部と、前記電流計測部が計測した電流値及び前記第2の計時部が生成した時刻を送信する第2の送信部と、を具備する電流計測装置と、前記第1の送信部から送信される電圧値及び時刻、並びに前記第2の送信部から送信される前記電流値及び時刻を受信する受信部と、時刻を生成する第3の計時部と、前記受信部で前記電圧値を計測した電圧値及び当該電圧値の電圧値計測時刻、並びに前記電流を計測した電流値及び当該電流値の電流値計測時刻を受信した場合、前記第1の計時部の生成した時刻、前記第2の計時部が生成した時刻及び前記第3の計時部が生成した時刻を用いて取得された各計時部が生成する時刻の補正値に基づいて、前記電圧値計測時刻及び前記電流値時刻をそれぞれ補正する時刻補正部と、前記補正した前記電圧値計測時刻及び前記補正した電流値計測時刻が一致すると判定した場合、前記電圧値及び前記電流値を用いて電力を演算する電力演算部と、を具備する電力演算装置と、を有することを特徴とする電力計測システムである。
【0015】
また、本発明は、電路の電圧を計測する電圧計測部と、時刻を生成する第1の計時部と、前記電圧計測が計測した電圧値及び前記第1の計時部が生成した時刻を送信する第1の送信部と、を具備する電圧計測装置と、前記電路に接続された電気機器に流れる電流を計測する電流計測部と、時刻を生成する第2の計時部と、前記電流計測部が計測した電流値及び前記第2の計時部が生成した時刻を送信する第2の送信部と、を具備する電流計測装置と、それぞれ通信可能であり、時刻を生成する第3の計時部を含む電力演算装置の電力計測方法であって、前記第1の計時部の生成した時刻、前記第2の計時部が生成した時刻及び前記第3の計時部が生成した時刻を用いて各計時部が生成する時刻の補正値を取得するステップと、前記電圧値を計測した電圧値及び当該電圧値の電圧値計測時刻、並びに前記電流を計測した電流値及び当該電流値の電流値計測時刻を受信した場合、前記補正値に基づいて前記電圧値計測時刻及び前記電流値時刻をそれぞれ補正するステップと、前記補正した前記電圧値計測時刻及び前記補正した電流値計測時刻が一致すると判定した場合、前記電圧値及び前記電流値を用いて電力を演算するステップと、を有することを特徴とする。
【0016】
更に、本発明は、電路の電圧を計測する電圧計測部と、時刻を生成する第1の計時部と、前記電圧計測が計測した電圧値及び前記第1の計時部が生成した時刻を送信する第1の送信部と、を具備する電圧計測装置と、前記電路に接続された電気機器に流れる電流を計測する電流計測部と、時刻を生成する第2の計時部と、前記電流計測部が計測した電流値及び前記第2の計時部が生成した時刻を送信する第2の送信部と、を具備する電流計測装置と、それぞれ通信可能であり、時刻を生成する第3の計時部を含む電力演算装置に、前記第1の計時部の生成した時刻、前記第2の計時部が生成した時刻及び前記第3の計時部が生成した時刻を用いて各計時部が生成する時刻の補正値を取得する機能と、前記電圧値を計測した電圧値及び当該電圧値の電圧値計測時刻、並びに前記電流を計測した電流値及び当該電流値の電流値計測時刻を受信した場合、前記補正値に基づいて前記電圧値計測時刻及び前記電流値時刻をそれぞれ補正する機能と、前記補正した前記電圧値計測時刻及び前記補正した電流値計測時刻が一致すると判定した場合、前記電圧値及び前記電流値を用いて電力を演算する機能と、を実現させる電力計測プログラムである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、個々の計測機器の小型化・低コスト化を図りながら、交流電源から電力供給される電気機器の消費電力を高精度に計測することができる電力計測システム、電力計測方法及び電力計測プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係る電力計測システムの構成を示す図である。
【図2】同実施の形態に係る電力計測処理を示すフローチャートである。
【図3】同実施の形態に係る時刻補正情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0020】
図1は電力計測システム100の構成を示す図である。同図に示すように、電力計測システム100は、電圧計測装置1、電流計測装置2、電力演算装置3、電路4a,4b及び電気機器5を有している。
【0021】
電圧計測装置1は、電圧計測部11、計時部12及び通信部13を有している。電圧計測部11は電路4a,4b間の電圧を測定する。計時部12は時刻を計時する。通信部13はアンテナを有しており、当該アンテナを介して電力演算装置3と無線通信を行う。
【0022】
電流計測装置2は、電流計測部21、計時部22及び通信部23を有している。電流計測部21は電気機器5を流れる電流を計測する。計時部22は時刻を計時する。通信部23はアンテナを有しており、当該アンテナを介して電力演算装置3と無線通信を行う。
【0023】
電力演算装置3は、通信部31、計時部32、時刻補正部33及び電力演算部34を有している。通信部31はアンテナを有しており、当該アンテナを介して電圧計測装置1及び電流計測装置2と無線通信を行う。時刻補正部33は後述する時刻キャリブレーションを行う。電力演算部34は電気機器5の消費電力を演算する。
【0024】
電路4a,4bは、電気機器5に電力を供給する交流電源であり、いずれの位置においても同一の電圧を示す。
【0025】
次に、図2を参照して、電気機器5の消費電力を演算する処理について説明する。この消費電力を演算する処理は、電圧計測装置1、電流計測装置2及び電力演算装置3で所定のプログラムがそれぞれ実行されることにより電力計測システム100で実現される。
【0026】
より詳細には、電圧計測装置1、電流計測装置2及び電力演算装置3にはそれぞれ所定の記憶部(図示を省略する。)にプログラムが格納されており、また、電圧計測装置1、電流計測装置2及び電力演算装置3にはそれぞれ既述の構成を制御する制御部(図示を省略する。)が設けられている。そして、各制御部がプログラムに基づいて、下記ステップS11〜S14、ステップS21〜S24、及びステップS31〜S36の処理を実行することにより、消費電力を演算する機能が電力計測システム100で実現される。
【0027】
図2に示すように、先ず、電圧計測装置1、電流計測装置2、及び電力演算装置3は、電源投入後、時刻キャリブレーションを行い、その結果を時刻差データ(補正値)として保持する(S11、S21、S31)。
【0028】
ここで、時刻キャリブレーションとは、電力演算装置3の計時部32と電圧計測装置1の計時部12の時刻差Δt1(第1の時間差)を計測すること、及び、電力演算装置3の計時部32と電流計測装置2の計時部22の時刻差Δt2(第2の時間差)を計測する処理を行うことである。
【0029】
例えば、計時部32の時刻Taが、10時10分10秒であり、計時部12の時刻Tbが10時10分25秒であった時、時刻差Δt1は、Ta−Tb=15秒と算出される。ここでは、時刻キャリブレーションの方法として、単に電圧計測装置1と電力演算装置3との時刻の差分、及び電流計測装置2と電力演算装置3との時刻の差分を取る方法を紹介したが、他の方法として、NTP(Network Time Protocol)や、RBS(Reference Broadcast Synchronization)、FTSP(Flooding Time Sync Protocol)などの既存の時刻同期プロトコルを用いてもよい。
【0030】
なお、図3は補正保持部33が保持する時刻差データの一例を示している。具体的には、電圧計測装置1と電力演算装置3との時刻差が15秒であり、電流計測装置2と電力演算装置3との時刻差が−22秒である一例を示している。
【0031】
時刻キャリブレーションが終了した場合、電圧計測装置1、電流計測装置2、電力演算装置3は、それぞれ以下の処理を行う。
【0032】
電圧計測装置1は、時刻キャリブレーションが完了すると、電圧計測部11を用いて、電路4の電圧値V1を計測する(S12)。電圧計測部11は、電圧値V1を計測すると、計時部12を用いて、電圧計測直後の時刻T1を取得する(S13)。電圧計測部11は、電圧計測直後の時刻T1を取得すると、電圧値V1及び時刻T1を通信部13に送る(S14)。次に、通信部13は、電圧計測部11より電圧値V1及び時刻T1を受け取ると、電圧値V1と時刻T1を電力演算装置3へ送信する(S15)。
【0033】
電圧計測装置1は、以上のステップS11からステップS15までの処理を、一定時間間隔(以下、「電圧計測間隔C1」と称する。)毎に繰り返す。
【0034】
一方、電流計測装置2は、時刻キャリブレーションが完了すると、電流計測部21を用いて、電気機器5の電流値A1を計測する(S22)。電流計測部21は、電流値A1を計測すると、計時部22を用いて、電流計測直後の時刻T2を取得する(S23)。電流計測部21は、電流計測直後の時刻T2を取得すると、電流値A1及び時刻T2を通信部23に送る(S24)。次に、通信部23は、電流計測部21より電流値A1及び時刻T2を受け取ると、電流値A1と時刻T2とを電力演算装置3へ送信する(S25)。
【0035】
電流計測装置2は、以上のステップS22からステップS25までの処理を、一定時間間隔(以下、「電流計測間隔C2」と称する。)毎に繰り返す。
【0036】
電力演算装置3は、時刻キャリブレーションが完了すると、通信部31を用いて、電圧計測装置1及び電流計測装置2からのデータの到着を待つ。より具体的には、電力演算装置3は、電圧計測装置1から電圧値V1及び時刻T1の到着、並びに電流計測装置2から電流値A1及び時刻T2の到着を待つ。
【0037】
通信部31は、電圧計測装置1及び電流計測装置2からデータを受信すると、当該受信したデータを時刻補正部33に渡す受信処理を行う(S32)。なお、通信部31は、受信データを時刻補正部33に渡した後、データ受信待ちに復帰し、常時データ受信可能な状態を保持する。
【0038】
一方、時刻補正部33は、通信部31から受信したデータの中から電圧計測終了直後の時刻T1、及び電流計終了直後の時刻T2を抽出する。そして、時刻補正部33は、抽出した時刻T1及び時刻T2を時刻キャリブレーション(S11,S21及びS31)にて取得した時刻データに基づいて、時刻T1´及び時刻T2´に補正し、補正後の時刻T1´及び時刻T2´を電力演算部34に送る。
【0039】
ここで、時刻T1及びT2の補正についてより詳細に説明する。時刻キャリブレーション(S11,S21及びS31)で取得した電圧計測装置1と電力演算装置3との時間差をΔt1(図3では15(s))、電流計測装置2と電力演算装置3との時間差(図3では−22(s))とした場合、
補正後の時刻T1´はT1´=T1−Δt1 ・・・(1)
補正後の時刻T2´はT2´=T2−Δt2 ・・・(2)
より算出する。
【0040】
なお、本実施の形態においては、計測終了直後の時刻T1及び時刻T2の補正に既述の時刻キャリブレーションで計測した時刻差を紹介したが、他にも再送などの伝送遅延を考慮した補正値を用いて時刻T1及び時刻T2を補正するようにしてもよい。
【0041】
次に、電力演算部34は、時刻補正部33から受信した電圧値V1と時刻T1´と電流値A1と時刻T2´を保持し、時刻T1´と時刻T2´とを突き合わせて時刻が一致するものを探す(S34)。
【0042】
次に電力演算部34は、時刻T1´と時刻T2´の突き合わせの結果に基づいて時刻が一致するか否かを判定する(S35)。
【0043】
電力演算部34は、両時刻が一致したと判定した場合(S35:YES)、電圧値V1と電流値A1を乗算して消費電力の瞬時値W=V1×A1を演算する(S36)。一方、
電力演算部34は、両時刻が一致しないと判定した場合(S35:NO)、消費電力の瞬時値の演算を行わない。
【0044】
より詳細には、電力演算部34は、時刻T1´と時刻T2´の差分の値と、電圧計測装置1の電圧計測間隔C1と電流計測装置2の電流計測間隔C2のどちらか短い方の値とを比べて、差分の値がどちらか短い方の値より小さいか否かに基づいて上記判定を行う。
【0045】
例えば、電圧計測間隔C1が電流計測間隔C2より短い間隔である場合において、電力演算部34は、|T1´−T2´|≦C1と判定した場合、時刻T1´及び時刻T2´は一致しものとみなし、電力の瞬時値Wの演算を行う。また、|T1´−T2´|>C1と判定した場合、電力演算部34は、時刻T1´及び時刻T2´は一致しないと判定し、電力の瞬時値Wの演算を行わない。
【0046】
電力演算装置3は、時刻補正部33にデータを受信する毎に、データの受信処理を行いながら、既述のステップS33からステップS36までの処理を繰り返す。
【0047】
以上のように構成された電力計測システム100によると、個々の計測機器の小型化・低コスト化を図りながら、交流電源から電力供給される電気機器の消費電力を高精度に計測できる。
【0048】
より詳細には、電圧計測間隔C1毎に計測する電圧値V1及びそれを計測した時刻T1、電流計測間隔C2毎に計測する電流値A1及びそれを計測した時刻T2、並びに、時刻キャリブレーションで取得した時刻データを用いて、電気機器5の消費電力を高精度に計測することが可能になる。
【0049】
また、電気機器5の電力を計測する機器は、電圧計測を行うための部品を実装する必要がなく、電圧値と電流値との計測時刻を一致させるための特別な機器も不要なため、小型化・低コスト化が実現できる。
【0050】
なお、既述の実施の形態においては、電気機器5を有する電流計測装置2が1つある場合について説明したが、電力計測システム100は電流計測装置2と同様な構成を有する他の電流計測装置を有していても良い。この場合、電力演算装置3は、電圧計測装置1で計測される電圧値と、各電流計測装置で計測される電流値とを用いて、それぞれの電力を演算することができる。これにより複数の電気機器5の電力を計測する場合において、電力計測システム100の小型化を図ることができる。
【0051】
より詳細には、電力演算装置3は、電圧計測装置1と電流計測装置2との間で電力を算出する処理を行うと共に、電圧計測装置1と他の電流計測装置との間で電力を算出する処理を行う。なお、電圧計測装置1と他の電流計測装置との間において電力を算出する処理は、既述の電圧計測装置1と電流計測装置2との間において電力を算出する処理と実質的に同様であるため説明を省略する。
【0052】
また、例えば、電気機器の消費電力を監視し、消費電力の量が少なく待機動作時であると判断できる場合には、当該電気機器への電力供給を止めるなどの自動制御を行うシステムに電力計測システム100を適用することにより、省エネルギーを実現することが可能になる。
【0053】
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、その実施に際して様々な変形が可能である。
【0054】
上記実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0055】
(付記1)
電路の電圧を計測する電圧計測部と、
時刻を生成する第1の計時部と、
前記電圧計測が計測した電圧値及び前記第1の計時部が生成した時刻を送信する第1の送信部と、
を具備する電圧計測装置と、
前記電路に接続された電気機器に流れる電流を計測する電流計測部と、
時刻を生成する第2の計時部と、
前記電流計測部が計測した電流値及び前記第2の計時部が生成した時刻を送信する第2の送信部と、
を具備する電流計測装置と、
前記第1の送信部から送信される電圧値及び時刻、並びに前記第2の送信部から送信される前記電流値及び時刻を受信する受信部と、
時刻を生成する第3の計時部と、
前記受信部で前記電圧値を計測した電圧値及び当該電圧値の電圧値計測時刻、並びに前記電流を計測した電流値及び当該電流値の電流値計測時刻を受信した場合、前記第1の計時部の生成した時刻、前記第2の計時部が生成した時刻及び前記第3の計時部が生成した時刻を用いて取得された各計時部が生成する時刻の補正値に基づいて、前記電圧値計測時刻及び前記電流値時刻をそれぞれ補正する時刻補正部と、
前記補正した前記電圧値計測時刻及び前記補正した電流値計測時刻が一致すると判定した場合、前記電圧値及び前記電流値を用いて電力を演算する電力演算部と、
を具備する電力演算装置と、
を有することを特徴とする電力計測システム。
【0056】
(付記2)
前記時刻補正部は、前記第1の計時部が生成する時刻と前記第3の計時部が生成する時刻との第1の時間差、前記第2の計時部が生成する時刻と前記第3の計時部が生成する時刻との第2の時間差とを補正値として取得することを特徴とする付記1記載の電力計測システム。
【0057】
(付記3)
前記電圧計測部は第1の時間間隔で電圧を計測し、
前記電流計測部は第2の時間間隔で電流を計測し、
前記時刻補正部で補正した前記電圧値計測時刻と前記電流値計測時刻との時間間隔が前記第1の間隔及び前記第2の間隔のいずれか短い方より小さいときに、両時刻が一致したと判定することを特徴とする付記2記載の電力計測システム。
【0058】
(付記4)
前記電流計測装置と同様な構成をした他の電流計測装置を有し、
前記電力演算装置は、前記電圧計測装置で計測される電圧値と、各電流計測装置で計測される電流値とを用いて、それぞれの電力を演算することを特徴とする付記1乃至付記3のいずれか1項記載の電力計測システム。
【0059】
(付記5)
電路の電圧を計測する電圧計測部と、時刻を生成する第1の計時部と、前記電圧計測が計測した電圧値及び前記第1の計時部が生成した時刻を送信する第1の送信部と、を具備する電圧計測装置と、
前記電路に接続された電気機器に流れる電流を計測する電流計測部と、時刻を生成する第2の計時部と、前記電流計測部が計測した電流値及び前記第2の計時部が生成した時刻を送信する第2の送信部と、を具備する電流計測装置と、
それぞれ通信可能であり、時刻を生成する第3の計時部を含む電力演算装置の電力計測方法であって、
前記第1の計時部の生成した時刻、前記第2の計時部が生成した時刻及び前記第3の計時部が生成した時刻を用いて各計時部が生成する時刻の補正値を取得するステップと、
前記電圧値を計測した電圧値及び当該電圧値の電圧値計測時刻、並びに前記電流を計測した電流値及び当該電流値の電流値計測時刻を受信した場合、前記補正値に基づいて前記電圧値計測時刻及び前記電流値時刻をそれぞれ補正するステップと、
前記補正した前記電圧値計測時刻及び前記補正した電流値計測時刻が一致すると判定した場合、前記電圧値及び前記電流値を用いて電力を演算するステップと、
を有することを特徴とする電力計測方法。
【0060】
(付記6)
電路の電圧を計測する電圧計測部と、時刻を生成する第1の計時部と、前記電圧計測が計測した電圧値及び前記第1の計時部が生成した時刻を送信する第1の送信部と、を具備する電圧計測装置と、
前記電路に接続された電気機器に流れる電流を計測する電流計測部と、時刻を生成する第2の計時部と、前記電流計測部が計測した電流値及び前記第2の計時部が生成した時刻を送信する第2の送信部と、を具備する電流計測装置と、
それぞれ通信可能であり、時刻を生成する第3の計時部を含む電力演算装置に、
前記第1の計時部の生成した時刻、前記第2の計時部が生成した時刻及び前記第3の計時部が生成した時刻を用いて各計時部が生成する時刻の補正値を取得する機能と、
前記電圧値を計測した電圧値及び当該電圧値の電圧値計測時刻、並びに前記電流を計測した電流値及び当該電流値の電流値計測時刻を受信した場合、前記補正値に基づいて前記電圧値計測時刻及び前記電流値時刻をそれぞれ補正する機能と、
前記補正した前記電圧値計測時刻及び前記補正した電流値計測時刻が一致すると判定した場合、前記電圧値及び前記電流値を用いて電力を演算する機能と、
を実現させるコンピュータプログラム。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、電気機器の消費電力を計測する電力計測システム、電力計測方法及び電力計測プログラムに広く適用可能である。
【符号の説明】
【0062】
1・・・電圧計測装置
2・・・電流計測装置
3・・・電力演算装置
4a,4b・・・電路
5・・・電気機器
11・・・電圧計測部
12,22,32・・・計時部
13,23,31・・・通信部
21・・・電流計測部
33・・・時刻補正部
34・・・電力演算部
100・・・電力計算システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電路の電圧を計測する電圧計測部と、
時刻を生成する第1の計時部と、
前記電圧計測が計測した電圧値及び前記第1の計時部が生成した時刻を送信する第1の送信部と、
を具備する電圧計測装置と、
前記電路に接続された電気機器に流れる電流を計測する電流計測部と、
時刻を生成する第2の計時部と、
前記電流計測部が計測した電流値及び前記第2の計時部が生成した時刻を送信する第2の送信部と、
を具備する電流計測装置と、
前記第1の送信部から送信される電圧値及び時刻、並びに前記第2の送信部から送信される前記電流値及び時刻を受信する受信部と、
時刻を生成する第3の計時部と、
前記受信部で前記電圧値を計測した電圧値及び当該電圧値の電圧値計測時刻、並びに前記電流を計測した電流値及び当該電流値の電流値計測時刻を受信した場合、前記第1の計時部の生成した時刻、前記第2の計時部が生成した時刻及び前記第3の計時部が生成した時刻を用いて取得された各計時部が生成する時刻の補正値に基づいて、前記電圧値計測時刻及び前記電流値時刻をそれぞれ補正する時刻補正部と、
前記補正した前記電圧値計測時刻及び前記補正した電流値計測時刻が一致すると判定した場合、前記電圧値及び前記電流値を用いて電力を演算する電力演算部と、
を具備する電力演算装置と、
を有することを特徴とする電力計測システム。
【請求項2】
前記時刻補正部は、前記第1の計時部が生成する時刻と前記第3の計時部が生成する時刻との第1の時間差、前記第2の計時部が生成する時刻と前記第3の計時部が生成する時刻との第2の時間差とを補正値として取得することを特徴とする請求項1記載の電力計測システム。
【請求項3】
前記電圧計測部は第1の時間間隔で電圧を計測し、
前記電流計測部は第2の時間間隔で電流を計測し、
前記時刻補正部で補正した前記電圧値計測時刻と前記電流値計測時刻との時間間隔が前記第1の間隔及び前記第2の間隔のいずれか短い方より小さいときに、両時刻が一致したと判定することを特徴とする請求項2記載の電力計測システム。
【請求項4】
前記電流計測装置と同様な構成をした他の電流計測装置を有し、
前記電力演算装置は、前記電圧計測装置で計測される電圧値と、各電流計測装置で計測される電流値とを用いて、それぞれの電力を演算することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の電力計測システム。
【請求項5】
電路の電圧を計測する電圧計測部と、時刻を生成する第1の計時部と、前記電圧計測が計測した電圧値及び前記第1の計時部が生成した時刻を送信する第1の送信部と、を具備する電圧計測装置と、
前記電路に接続された電気機器に流れる電流を計測する電流計測部と、時刻を生成する第2の計時部と、前記電流計測部が計測した電流値及び前記第2の計時部が生成した時刻を送信する第2の送信部と、を具備する電流計測装置と、
それぞれ通信可能であり、時刻を生成する第3の計時部を含む電力演算装置の電力計測方法であって、
前記第1の計時部の生成した時刻、前記第2の計時部が生成した時刻及び前記第3の計時部が生成した時刻を用いて各計時部が生成する時刻の補正値を取得するステップと、
前記電圧値を計測した電圧値及び当該電圧値の電圧値計測時刻、並びに前記電流を計測した電流値及び当該電流値の電流値計測時刻を受信した場合、前記補正値に基づいて前記電圧値計測時刻及び前記電流値時刻をそれぞれ補正するステップと、
前記補正した前記電圧値計測時刻及び前記補正した電流値計測時刻が一致すると判定した場合、前記電圧値及び前記電流値を用いて電力を演算するステップと、
を有することを特徴とする電力計測方法。
【請求項6】
電路の電圧を計測する電圧計測部と、時刻を生成する第1の計時部と、前記電圧計測が計測した電圧値及び前記第1の計時部が生成した時刻を送信する第1の送信部と、を具備する電圧計測装置と、
前記電路に接続された電気機器に流れる電流を計測する電流計測部と、時刻を生成する第2の計時部と、前記電流計測部が計測した電流値及び前記第2の計時部が生成した時刻を送信する第2の送信部と、を具備する電流計測装置と、
それぞれ通信可能であり、時刻を生成する第3の計時部を含む電力演算装置に、
前記第1の計時部の生成した時刻、前記第2の計時部が生成した時刻及び前記第3の計時部が生成した時刻を用いて各計時部が生成する時刻の補正値を取得する機能と、
前記電圧値を計測した電圧値及び当該電圧値の電圧値計測時刻、並びに前記電流を計測した電流値及び当該電流値の電流値計測時刻を受信した場合、前記補正値に基づいて前記電圧値計測時刻及び前記電流値時刻をそれぞれ補正する機能と、
前記補正した前記電圧値計測時刻及び前記補正した電流値計測時刻が一致すると判定した場合、前記電圧値及び前記電流値を用いて電力を演算する機能と、
を実現させる電力計測プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−255750(P2012−255750A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130133(P2011−130133)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(390001395)NECシステムテクノロジー株式会社 (438)