説明

電力計測システム、電力計測装置、電力計測方法およびプログラム

【課題】低コストで、複数の電気機器の消費電力を計測してデータを取得することができる電力計測システム、電力計測装置、電力計測方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】電力計測装置1のスイッチ制御部13は、タイマ14から受信した開始信号により、各スイッチを制御して、電気機器と電力計測器2を所定の時間接続させる。電力計測器2は計測した各電気機器の消費電力の測定値を通信装置3を介して電力計測装置1に送信する。電力計測装置1の測定値取得部11は、電力計測器2から各電気機器の消費電力の測定値を取得し、取得した測定値と、該電気機器の識別情報と、測定値を取得した時刻を示す計測時刻とを対応付けた消費電力情報を生成し、記憶部12に記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器の消費電力の値を計測する電力計測システム、電力計測装置、電力計測方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンセントと対象となる電気機器の間に設置することで、電気機器の消費電力を測定する電力計測器が普及しつつある。簡単なものでは、たとえば、エネゲート社のエコワット(登録商標)のように、液晶パネルを内蔵し、消費電力を液晶パネルに表示し、人間が目視で観察するものがある。高度なものでは、ジリオン社のインテリコンセントのように、LANなどの通信装置を内蔵し、消費電力値を通信装置を介して送信する機能を有するものがある。このような通信装置を内蔵するものは、人間が目視しなくとも消費電力を計測し、その測定値をサーバなどに蓄積することができる。サーバに蓄積された測定値を閲覧することにより、該電気機器の使われ方を観察することが可能になる。
【0003】
たとえば、パソコンが計測対象の場合、それぞれのパソコンの消費電力の測定値を見ることで、そのパソコンのユーザの節電に関する意識の高さまたは低さを推測することが可能である。たとえば、昼休みや帰宅時に電源をオフにするユーザと、電源をつけたままで帰宅するユーザでは、パソコンの消費電力は大幅に異なる。通信装置を内蔵した電力計測器を電気機器ごとに設置し、電気機器の使われ方をユーザ本人が観察したり、意識の低いユーザに忠告したりすることにより、ユーザの節電に関する意識を向上させることが期待できる。
【0004】
特許文献1には、内部に複数の回路を持つ装置の回路ごとの電力量を簡易な構成で計測する電力計測監視装置が記載されている。
【0005】
特許文献2には、家電機器のコンセントを接続することで家電機器に通電を行なうと同時に電力量が計測でき、さらには通電の開始停止ができる遮蔽制御部を持つ電力計測制御装置が記載されている。
【0006】
特許文献3には、電源から負荷機器に供給される電力値に基づいて負荷機器が停止中か否かを判断し、負荷機器が停止中と判断すると、待機電力の積算電力量を算出する電力計測装置が記載されている。
【0007】
特許文献4には、動作中に予め設定された物理量の閾値を超えると表示部に異常を表示する画像処理装置が記載されている。
【0008】
特許文献5には、負荷電流を電圧の実効値に変換し、実効値電圧を変換した周波数をカウントし、カウント値を電力量に換算することで、離れた場所からでも常時負荷で消費される電力量を計測することのできる電力量計測装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−013176号公報
【特許文献2】特開2003−088004号公報
【特許文献3】特開2009−168726号公報
【特許文献4】特開2001−268151号公報
【特許文献5】特開平07−120500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、このような高度な電力計測装置は、まだ高価であるため、パソコンなどの複数の電気機器1台ごとに1台ずつ設置するには、大きなコストがかかる。
【0011】
特許文献1に記載の発明は、同一または異なる種類の複数の電気機器の消費電力を計測するものではない。
【0012】
特許文献2、3および5に記載の発明は、電気機器ごとに消費電力を計測する電力計測器が必要である。
【0013】
特許文献4に記載の発明は、電力計測装置ではない。
【0014】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたもので、低コストで、複数の電気機器の消費電力を計測してデータを取得することができる電力計測システム、電力計測装置、電力計測方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の観点に係る電力計測システムは、
電気機器の消費電力を計測する1つの電力計測器と、
それぞれが異なる前記電気機器と接続し、前記1つの電力計測器を経由する電力線と前記1つの電力計測器を経由しない電力線とに切り替える2以上のスイッチと、
前記スイッチを制御して、所定の時間ごとに、前記電気機器を順番に前記1つの電力計測器に所定の時間ずつ接続させるスイッチ制御手段と、
前記1つの電力計測器から前記電気機器の前記所定の時間の消費電力の測定値と、該電気機器を識別する識別情報とを取得し、前記測定値と、前記識別情報と、前記測定値を取得した時刻を示す計測時刻とを対応付けた消費電力情報を生成する測定値取得手段と、
を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の第2の観点に係る電力計測装置は、
それぞれが異なる電気機器と接続し、1つの電力計測器を経由する電力線と前記1つの電力計測器を経由しない電力線とに切り替える2以上のスイッチを制御して、所定の時間ごとに、前記電気機器を順番に前記1つの電力計測器に所定の時間ずつ接続させるスイッチ制御手段と、
前記電気機器の消費電力を計測する前記1つの電力計測器から前記電気機器の前記所定の時間の消費電力の測定値と、該電気機器を識別する識別情報とを取得し、前記測定値と、前記識別情報と、前記測定値を取得した時刻を示す計測時刻とを対応付けた消費電力情報を生成する測定値取得手段と、
を備えることを特徴とする
【0017】
本発明の第3の観点に係る電力計測方法は、
電力計測システムが実行する
それぞれが異なる電気機器と接続し、1つの電力計測器を経由する電力線と前記1つの電力計測器を経由しない電力線とに切り替える2以上のスイッチを制御して、所定の時間ごとに、前記電気機器を順番に前記1つの電力計測器に所定の時間ずつ接続させるスイッチ制御ステップと、
前記1つの電力計測器が実行する
前記電気機器の消費電力を計測するステップと、
前記電力計測システムが実行する
前記1つの電力計測器から前記電気機器の前記所定の時間の消費電力の測定値と、該電気機器を識別する識別情報とを取得し、前記測定値と、前記識別情報と、前記測定値を取得した時刻を示す計測時刻とを対応付けた消費電力情報を生成する測定値取得ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0018】
本発明の第4の観点に係るプログラムは、コンピュータを、
それぞれが異なる電気機器と接続し、1つの電力計測器を経由する電力線と前記1つの電力計測器を経由しない電力線とに切り替える2以上のスイッチを制御して、所定の時間ごとに、前記電気機器を順番に前記1つの電力計測器に所定の時間ずつ接続させるスイッチ制御手段と、
前記電気機器の消費電力を計測する前記1つの電力計測器から前記電気機器の前記所定の時間の消費電力の測定値と、該電気機器を識別する識別情報とを取得し、前記測定値と、前記識別情報と、前記測定値を取得した時刻を示す計測時刻とを対応付けた消費電力情報を生成する測定値取得手段と、
して機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の電力計測システム、電力計測装置、電力計測方法およびプログラムによれば、低コストで、複数の電気機器の消費電力を計測してデータを取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る電力計測システムの構成例を説明する図である。
【図2】記憶部が記憶する電気消費情報の例を示す図である。
【図3】実施の形態1に係る電力計測の動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る電力計測システムの構成例を説明する図である。
【図5】実施の形態2に係る電力計測の動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態に係る電力計測装置の物理的な構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照して詳細に説明する。なお図中、同一または同等の部分には同一の符号を付す。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電力計測システムの構成例を説明する図である。電力計測システム101は、電力計測装置1と、電力計測器2と、通信装置3と、電気機器E1、電気機器E2および電気機器E3と、スイッチSW1、スイッチSW2およびスイッチSW3と、コンセントC1、コンセントC2、コンセントC3およびコンセントC4とから構成される。電力計測装置1と電力計測器2とは通信装置3を介して通信可能である。また、各コンセントは電源に接続されている。なお、図1では例として電気機器を3台としたが、これに限らず2台以上であればよい。
【0023】
たとえば、電気機器E1、電気機器E2および電気機器E3は、オフィスのフロアの各所に分散して設置され、電力計測器2は、オフィスの一角に設置されている。また、電力計測器2は通信装置3と接続されているので、電力計測装置1は、電力計測器2とは別の場所に設置することができる。これにより、電気機器ごとに電力計測器を設置する場合に比べて省スペースである。
【0024】
電力計測器2は、電気機器とコンセントの間に設置され、各電気機器の消費電力を計測する。電力計測器2の一端はコンセントC1に接続されており、他端は、スイッチSW1、スイッチSW2およびスイッチSW3に対してそれぞれ分岐して接続されている。また、電力計測器2は、通信装置3と接続し、通信装置3を介して測定値を電力計測装置1へ伝送する。
【0025】
スイッチSW1、スイッチSW2およびスイッチSW3は、それぞれコンセントC2、コンセントC3およびコンセントC4と電気機器E1、電気機器E2および電気機器E3の間に設置されており、これらのスイッチ群は、電力計測装置1と接続されている。各スイッチは、電力計測装置1からの制御により、電力計測器2を経由する方の電源への接続(以下、スイッチをオンにするという)と、電力計測器2を経由しない方の電源への接続(以下、スイッチをオフにするという)との切り替えを行う。電源への接続 が行われると、各電気機器に電力が供給され、通電する。
【0026】
なお、各スイッチは、切り替えを行う際の瞬時電圧低下を防ぐために、一旦両方の電源に接続してから切り替えを行うのが好ましい。すなわち、スイッチをオンにする場合、電力計測器2を経由しない方の電源のみに接続している状態から、両方の電源に接続している状態に移行して、電力計測器2を経由する方の電源のみに接続している状態に切り替える。一方、スイッチをオフにする場合、電力計測器2を経由する方の電源のみに接続している状態から、両方の電源に接続している状態に移行して、電力計測器2を経由しない方の電源のみに接続している状態に切り替える。
【0027】
通信装置3は、電力計測器2の測定値を電力計測装置1へ伝送する。通信装置3は、たとえば、有線LANや無線LANである。
【0028】
電力計測装置1は、機能構成として、測定値取得部11、記憶部12、スイッチ制御部13およびタイマ14を有する。
【0029】
測定値取得部11は、電力計測器2から通信装置3を介して各電気機器の消費電力の測定値と、電気機器のIDとを取得する。測定値取得部11は、測定値を取得すると、タイマ14から現在時刻を取得し、計測時刻とする。測定値取得部11は、電気機器のIDと、測定値と、計測時刻とを対応付けて消費電力情報として記憶部12に送信する。
【0030】
記憶部12は、測定値取得部11から受信した消費電力情報を記憶する。記憶部12は、たとえば、関係データベースである。
【0031】
なお、電力計測装置1は記憶部12を備えず、測定値取得部11は、電気機器のIDと、測定値と、計測時刻とを対応付けて生成した消費電力情報を外部に送信することとしてもよい。
【0032】
スイッチ制御部13は、タイマ14から定期的に開始信号を受信することによって以下のスイッチ制御処理を実行する。スイッチ制御部13は、開始信号を受信するすると、対象のスイッチをオンにする。所定の時間が経過すると該スイッチをオフにする。このとき、電力計測器2は、該スイッチが接続された電気機器の所定の時間の消費電力を計測し、その測定値を通信装置3を介して電力計測装置1に送信する。スイッチ制御部13は、このスイッチ制御処理を各スイッチに対して行う。これらの処理を終えるとスイッチ制御部13は、タイマ14からの開始信号を待機する。
【0033】
なお、スイッチ制御部13は、前述のように、開始信号を1回受信するごとに、スイッチSW1から順にスイッチSW3まで繰り返しスイッチ制御処理を実行してもよいし、1回開始信号を受信するごとに、1つずつスイッチ制御処理を実行してもよい。
【0034】
タイマ14は、あらかじめ設定された時間ごとに開始信号をスイッチ制御部13に送信する。なお、タイマ14は、定期的に現在時刻をスイッチ制御部13に送信し、スイッチ制御部13は、あらかじめ設定された時刻にスイッチ制御処理を開始することとしてもよい。
【0035】
なお、電力計測装置1は、表示部をさらに備え、記憶部12が記憶する消費電力情報をユーザが閲覧できるようにしてもよい。また、記憶部12は、たとえば、各電気機器IDと該電気機器のユーザのメールアドレスを対応付けた連絡情報を記憶しており、電力計測装置1は、連絡情報を参照し、記憶部12が記憶する各電気機器の消費電力情報を定期的に対応する各ユーザに送信する送信手段をさらに備えてもよい。
【0036】
図2は、記憶部が記憶する電気消費情報の例を示す図である。図2の例では、スイッチ制御部13が、スイッチSW1、スイッチSW2およびスイッチSW3に対し、1分間隔に1つずつ順番に前述のスイッチ制御処理を実行する場合の電気消費情報の例である。図1の例では、スイッチSW1がオン、スイッチSW2およびスイッチSW3がオフになっている。この場合、電力計測器2は、電気機器E1の消費電力を測定する。
【0037】
電力計測器2がスイッチSW1がオンになっている所定の時間(例えば10秒間)の消費電力(例:0.1kWh)を計測したとすると、電気機器のID「E1」と、測定値「0.1kWh」とを電力計測装置1に送信する。電力計測装置1の測定値取得部11は、電気機器のID「E1」と、測定値「0.1kWh」とを取得すると、タイマ14から現在時刻(ここでは、17:30)を取得し、電気機器のID「E1」と、計測時刻「17:30」と、測定値「0.1kWh」とを対応付けた消費電力情報を新しいレコードとして記憶部12に記憶させる。このような処理を、繰り返し、記憶部12には、図2のような消費電力情報が記憶される。
【0038】
図2の消費電力情報は、17:30に計測した電気機器E1の消費電力が0.1kWhであり、17:31に計測した電気機器E2の消費電力が0.0kWhであり、17:32に計測した電気機器E3の消費電力が0.3kWhであり、17:33に計測した電気機器E1の消費電力が0.1kWhであることを示している。
【0039】
図3は、実施の形態1に係る電力計測の動作の一例を示すフローチャートである。以下の電力計測処理は、タイマ14からスイッチ制御部13へ開始信号が送信されるたびに実行される。
【0040】
まず、タイマ14から開始信号を受信すると(ステップS11)、スイッチ制御部13は、対象のスイッチをオンにする(ステップS12)。電力計測器2は、該スイッチに対応する電気機器の消費電力の計測を開始する(ステップS13)。そして、所定の時間tが経過していない場合(ステップS14;NO)、ステップS14を繰り返し、消費電力の計測を継続する。所定の時間tが経過した場合(ステップS14;YES)、スイッチ制御部13は、スイッチをオフにする(ステップS15)。これにより、電力計測器2は、該スイッチに対応する電気機器の消費電力の計測を終了する(ステップS16)。
【0041】
電力計測器2は、該スイッチに対応する電気機器の消費電力の測定値を、該電気機器のIDとともに、電力計測装置1に送信する(ステップS17)。電力計測装置1の測定値取得部11は、測定値を取得すると、タイマ14から現在時刻を取得し、計測時刻とする(ステップS18)。測定値取得部11は、該電気機器のIDと、測定値と、計測時刻とを対応付けて消費電力情報として記憶部12に送信する。記憶部12は、測定値取得部11から受信した消費電力情報を記憶する(ステップS19)。
【0042】
スイッチ制御部13は、次のスイッチがあるか否かを判定する(ステップS20)。次のスイッチがある場合(ステップS20;YES)、ステップS12に戻り、ステップS12〜ステップS20を繰り返す。次のスイッチがない場合(ステップS20;NO)、処理を終了する。
【0043】
以上説明したように、本実施の形態1の電力計測システム101によれば、低コストで、複数の電気機器の消費電力を計測してデータを取得することができる。また、使用している電気機器の消費電力をユーザ本人が閲覧することにより、ユーザの節電に関する意識を向上させることが期待できる。
【0044】
(実施の形態2)
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る電力計測システムの構成例を説明する図である。電力計測システム102は、実施の形態1の構成に加えて強制切断部15を備える。実施の形態2の記憶部12は、測定値取得部11から受信した消費電力情報と、あらかじめ設定された消費電力の閾値を記憶する。強制切断部15は、記憶部12が測定値取得部11から受信した消費電力情報と、記憶部12が記憶する閾値とを比較し、消費電力情報に含まれる消費電力が閾値を超えていた場合、消費電力情報の電気機器のIDを参照し、該電気機器と電力線との接続を切断する。たとえば、該電気機器に接続されているスイッチをどちらにも接続せず、電源に接続しないように制御する。あるいは、スイッチと電気機器の間、または、スイッチとコンセントの間のいずれかに配線用遮断器を備えてもよい。
【0045】
図4の例では、スイッチSW1において、電気機器と電力線との接続を切断している。強制切断部15が電気機器と電力線との接続を強制的に切断したスイッチは、スイッチ制御部13が実行するスイッチ制御処理の候補からはずす。なお、強制切断部15は、所定の時間経過後に、電源供給を復帰させてもよいし、該電気機器のユーザからの操作入力によって、電源供給を復帰させてもよい。
【0046】
図5は、実施の形態1に係る電力計測の動作の一例を示すフローチャートである。以下の電力計測処理は、タイマ14からスイッチ制御部13へ開始信号が送信されるたびに実行される。
【0047】
まず、タイマ14から開始信号を受信すると(ステップS21)、スイッチ制御部13は、スイッチをオンにする(ステップS22)。電力計測器2は、該スイッチに対応する電気機器の消費電力の計測を開始する(ステップS23)。そして、所定の時間が経過していない場合(ステップS24;NO)、ステップS24を繰り返し、消費電力の計測を継続する。所定の時間が経過した場合(ステップS24;YES)、スイッチ制御部13は、スイッチをオフにする(ステップS25)。これにより、電力計測器2は、該スイッチに対応する電気機器の消費電力の計測を終了する(ステップS26)。
【0048】
電力計測器2は、該スイッチに対応する電気機器の消費電力の測定値を、該電気機器のIDとともに、電力計測装置1に送信する(ステップS27)。電力計測装置1の測定値取得部11は、測定値を取得すると、タイマ14から現在時刻を取得し、計測時刻とする(ステップS28)。測定値取得部11は、該電気機器のIDと、測定値と、計測時刻とを対応付けて消費電力情報として記憶部12に送信する。記憶部12は、測定値取得部11から受信した消費電力情報を記憶する(ステップS29)。
【0049】
強制切断部15は、記憶部12が測定値取得部11から受信した消費電力情報と、記憶部12が記憶する閾値とを比較し、消費電力情報に含まれる消費電力が閾値を超えているか否かを判定する(ステップS28)。消費電力が閾値を超えていなかった場合(ステップS28;NO)、ステップ30を実行する。一方、消費電力が閾値を超えていた場合(ステップS28;YES)、強制切断部15は、消費電力情報の電気機器のIDを参照し、強制的に該電気機器と電力線との接続を強制的に切断する(ステップS29)。
【0050】
スイッチ制御部13は、次のスイッチがあるか否かを判定する(ステップS30)。次のスイッチがある場合(ステップS30;YES)、ステップS22に戻り、ステップS22〜ステップS30を繰り返す。次のスイッチがない場合(ステップS30;NO)、処理を終了する。
【0051】
なお、電力計測装置1の記憶部12は、たとえば、各電気機器IDと該電気機器のユーザのメールアドレスを対応付けた連絡情報を記憶しており、強制切断部15が強制的に消費電力が閾値を超えた電気機器と電力線との接続を強制的に切断する前に、連絡情報を参照し、該電気機器のユーザのメールアドレスに「消費電力量が超過したため、○○分後に、電源供給が強制的に遮断されます。」といった警告を送信する警告部をさらに備えてもよい。あるいは、警告部は、記憶部12は、各電気機器IDと該電気機器のユーザの電話番号を対応付けた連絡情報を記憶しており、強制切断部15が強制的に消費電力が閾値を超えた電気機器と電力線との接続を強制的に切断する前に、連絡情報を参照し、該電気機器のユーザの電話番号に発信してもよい。
【0052】
以上説明したように、本実施の形態2の電力計測システム102によれば、消費電力量が閾値を超えた電気機器と電力線との接続を強制的に切断するので、省電力を実現することができる。また、電気機器と電力線との接続を強制的に切断する前に、ユーザに警告することで、ユーザは切断を回避したり、切断に備えてデータを保存したりといった準備が可能となる。
【0053】
図6は、本発明の実施の形態に係る電力計測装置の物理的な構成例を示すブロック図である。電力計測装置1は、図6に示すように、制御部31、主記憶部32、外部記憶部33、操作部34、表示部35、タイマ36および送受信部37を備える。主記憶部32、外部記憶部33、操作部34、表示部35、タイマ36および送受信部37はいずれも内部バス30を介して制御部31に接続されている。
【0054】
制御部31はCPU(Central Processing Unit)等から構成され、外部記憶部33に記憶されている制御プログラム39に従って、前述の通信処理を実行する。制御部は、測定値取得部11、スイッチ制御部13、強制切断部15として機能する。
【0055】
主記憶部32はRAM(Random-Access Memory)等から構成され、外部記憶部33に記憶されている制御プログラム39をロードし、制御部31の作業領域として用いられる。
【0056】
外部記憶部33は、フラッシュメモリ、ハードディスク、DVD−RAM(Digital Versatile Disc Random-Access Memory)、DVD−RW(Digital Versatile Disc ReWritable)等の不揮発性メモリから構成され、前記の処理を制御部31に行わせるための制御プログラム39を予め記憶し、また、制御部31の指示に従って、この制御プログラム39が記憶するデータを制御部31に供給し、制御部31から供給されたデータを記憶する。記憶部12は、外部記憶部33に構成される。
【0057】
操作部34はキーボードおよびマウスなどのポインティングデバイス等と、キーボードおよびポインティングデバイス等を内部バス30に接続するインタフェース装置から構成されている。操作部34を介して、消費電力の閾値や、ユーザからの電源復帰命令などが入力され、制御部31に供給され、外部記憶部33に記憶される。
【0058】
表示部35は、CRT(Cathode Ray Tube)またはLCD(Liquid Crystal Display)などから構成され、外部記憶部33に記憶されている消費電量情報などを表示する。
【0059】
タイマ36は、内部バス30を介して現在時刻を定期的に制御部31に供給する。タイマ14は、制御部31およびタイマ36で構成される。
【0060】
送受信部37は、網終端装置または無線送受信機およびそれらと接続するシリアルインタフェースまたはLAN(Local Area Network)インタフェースから構成されている。送受信部37は、測定値取得部11として機能する。
【0061】
図1または図4に示す電力計測装置1の測定値取得部11、記憶部12、スイッチ制御部13、タイマ14および強制切断15の処理は、制御プログラム39が、制御部31、主記憶部32、外部記憶部33、操作部34、表示部35、タイマ36および送受信部37などを資源として用いて処理することによって実行する。
【0062】
その他、前記のハードウエア構成やフローチャートは一例であり、任意に変更および修正が可能である。
【0063】
電力計測装置1の制御部31、主記憶部32、外部記憶部33、操作部34、表示部35、タイマ36および送受信部37などから構成される電力計測装置1の処理を行う中心となる部分は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。たとえば、前記の動作を実行するためのコンピュータプログラムを、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM等)に格納して配布し、当該コンピュータプログラムをコンピュータにインストールすることにより、前記の処理を実行する電力計測装置1を構成してもよい。また、インターネット等の通信ネットワーク上のサーバ装置が有する記憶装置に当該コンピュータプログラムを格納しておき、通常のコンピュータシステムがダウンロード等することで電力計測装置1を構成してもよい。
【0064】
また、電力計測装置1の機能を、OS(オペレーティングシステム)とアプリケーションプログラムの分担、またはOSとアプリケーションプログラムとの協働により実現する場合などには、アプリケーションプログラム部分のみを記録媒体や記憶装置に格納してもよい。
【0065】
また、搬送波にコンピュータプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。たとえば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS, Bulletin Board System)に前記コンピュータプログラムを掲示し、ネットワークを介して前記コンピュータプログラムを配信してもよい。そして、このコンピュータプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、前記の処理を実行できるように構成してもよい。
【0066】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0067】
(付記1)
電気機器の消費電力を計測する1つの電力計測器と、
それぞれが異なる前記電気機器と接続し、前記1つの電力計測器を経由する電力線と前記1つの電力計測器を経由しない電力線とに切り替える2以上のスイッチと、
前記スイッチを制御して、所定の時間ごとに、前記電気機器を順番に前記1つの電力計測器に所定の時間ずつ接続させるスイッチ制御手段と、
前記1つの電力計測器から前記電気機器の前記所定の時間の消費電力の測定値と、該電気機器を識別する識別情報とを取得し、前記測定値と、前記識別情報と、前記測定値を取得した時刻を示す計測時刻とを対応付けた消費電力情報を生成する測定値取得手段と、
を備えることを特徴とする電力計測システム。
【0068】
(付記2)
前記消費電力情報を記憶する記憶手段をさらに備え、
前記記憶手段が記憶する前記消費電力情報をユーザに提示する提示手段をさらに備えることを特徴とする付記1に記載の電力計測システム。
【0069】
(付記3)
前記測定値があらかじめ設定された閾値を超える場合に、該当する前記電気機器と前記電力線との接続を強制的に切断する強制切断手段をさらに備えることを特徴とする付記1または2に記載の電力計測システム。
【0070】
(付記4)
前記強制切断手段が、前記電気機器と前記電力線との接続を強制的に切断する前に、前記電気機器と該電気機器のユーザの連絡先とを対応付けた連絡情報を参照し、前記電気機器の前記ユーザの連絡先に警告を送信する警告手段をさらに備えることを特徴とする付記3に記載の電力計測システム。
【0071】
(付記5)
それぞれが異なる電気機器と接続し、1つの電力計測器を経由する電力線と前記1つの電力計測器を経由しない電力線とに切り替える2以上のスイッチを制御して、所定の時間ごとに、前記電気機器を順番に前記1つの電力計測器に所定の時間ずつ接続させるスイッチ制御手段と、
前記電気機器の消費電力を計測する前記1つの電力計測器から前記電気機器の前記所定の時間の消費電力の測定値と、該電気機器を識別する識別情報とを取得し、前記測定値と、前記識別情報と、前記測定値を取得した時刻を示す計測時刻とを対応付けた消費電力情報を生成する測定値取得手段と、
を備えることを特徴とする電力計測装置。
【0072】
(付記6)
電力計測システムが実行する
それぞれが異なる電気機器と接続し、1つの電力計測器を経由する電力線と前記1つの電力計測器を経由しない電力線とに切り替える2以上のスイッチを制御して、所定の時間ごとに、前記電気機器を順番に前記1つの電力計測器に所定の時間ずつ接続させるスイッチ制御ステップと、
前記1つの電力計測器が実行する
前記電気機器の消費電力を計測するステップと、
前記電力計測システムが実行する
前記1つの電力計測器から前記電気機器の前記所定の時間の消費電力の測定値と、該電気機器を識別する識別情報とを取得し、前記測定値と、前記識別情報と、前記測定値を取得した時刻を示す計測時刻とを対応付けた消費電力情報を生成する測定値取得ステップと、
を備えることを特徴とする電力計測方法。
【0073】
(付記7)
前記消費電力情報を記憶する記憶ステップをさらに備え、
前記記憶ステップで記憶する前記消費電力情報をユーザに提示する提示ステップをさらに備えることを特徴とする付記6に記載の電力計測方法。
【0074】
(付記8)
前記測定値があらかじめ設定された閾値を超える場合に、該当する前記電気機器と前記電力線との接続を強制的に切断する強制切断ステップをさらに備えることを特徴とする付記6または7に記載の電力計測方法。
【0075】
(付記9)
前記強制切断ステップで、前記電気機器と前記電力線との接続を強制的に切断する前に、前記電気機器と該電気機器のユーザの連絡先とを対応付けた連絡情報を参照し、前記電気機器の前記ユーザの連絡先に警告を送信する警告ステップをさらに備えることを特徴とする付記8に記載の電力計測方法。
【0076】
(付記10)
コンピュータを、
それぞれが異なる電気機器と接続し、1つの電力計測器を経由する電力線と前記1つの電力計測器を経由しない電力線とに切り替える2以上のスイッチを制御して、所定の時間ごとに、前記電気機器を順番に前記1つの電力計測器に所定の時間ずつ接続させるスイッチ制御手段と、
前記電気機器の消費電力を計測する前記1つの電力計測器から前記電気機器の前記所定の時間の消費電力の測定値と、該電気機器を識別する識別情報とを取得し、前記測定値と、前記識別情報と、前記測定値を取得した時刻を示す計測時刻とを対応付けた消費電力情報を生成する測定値取得手段と、
して機能させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0077】
1 電力計測装置
2 電力計測器
3 通信装置
11 測定値取得部
12 記憶部
13 スイッチ制御部
14 タイマ
15 強制切断部
31 制御部
32 主記憶部
33 外部記憶部
34 入力部
36 タイマ
37 送受信部
39 制御プログラム
101、102 電力計測システム
C1、C2、C3、C4 コンセント
E1、E2、E3 電気機器
SW1、SW2、SW3 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器の消費電力を計測する1つの電力計測器と、
それぞれが異なる前記電気機器と接続し、前記1つの電力計測器を経由する電力線と前記1つの電力計測器を経由しない電力線とに切り替える2以上のスイッチと、
前記スイッチを制御して、所定の時間ごとに、前記電気機器を順番に前記1つの電力計測器に所定の時間ずつ接続させるスイッチ制御手段と、
前記1つの電力計測器から前記電気機器の前記所定の時間の消費電力の測定値と、該電気機器を識別する識別情報とを取得し、前記測定値と、前記識別情報と、前記測定値を取得した時刻を示す計測時刻とを対応付けた消費電力情報を生成する測定値取得手段と、
を備えることを特徴とする電力計測システム。
【請求項2】
前記消費電力情報を記憶する記憶手段をさらに備え、
前記記憶手段が記憶する前記消費電力情報をユーザに提示する提示手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電力計測システム。
【請求項3】
前記測定値があらかじめ設定された閾値を超える場合に、該当する前記電気機器と前記電力線との接続を強制的に切断する強制切断手段をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の電力計測システム。
【請求項4】
前記強制切断手段が、前記電気機器と前記電力線との接続を強制的に切断する前に、前記電気機器と該電気機器のユーザの連絡先とを対応付けた連絡情報を参照し、前記電気機器の前記ユーザの連絡先に警告を送信する警告手段をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の電力計測システム。
【請求項5】
それぞれが異なる電気機器と接続し、1つの電力計測器を経由する電力線と前記1つの電力計測器を経由しない電力線とに切り替える2以上のスイッチを制御して、所定の時間ごとに、前記電気機器を順番に前記1つの電力計測器に所定の時間ずつ接続させるスイッチ制御手段と、
前記電気機器の消費電力を計測する前記1つの電力計測器から前記電気機器の前記所定の時間の消費電力の測定値と、該電気機器を識別する識別情報とを取得し、前記測定値と、前記識別情報と、前記測定値を取得した時刻を示す計測時刻とを対応付けた消費電力情報を生成する測定値取得手段と、
を備えることを特徴とする電力計測装置。
【請求項6】
電力計測システムが実行する
それぞれが異なる電気機器と接続し、1つの電力計測器を経由する電力線と前記1つの電力計測器を経由しない電力線とに切り替える2以上のスイッチを制御して、所定の時間ごとに、前記電気機器を順番に前記1つの電力計測器に所定の時間ずつ接続させるスイッチ制御ステップと、
前記1つの電力計測器が実行する
前記電気機器の消費電力を計測するステップと、
前記電力計測システムが実行する
前記1つの電力計測器から前記電気機器の前記所定の時間の消費電力の測定値と、該電気機器を識別する識別情報とを取得し、前記測定値と、前記識別情報と、前記測定値を取得した時刻を示す計測時刻とを対応付けた消費電力情報を生成する測定値取得ステップと、
を備えることを特徴とする電力計測方法。
【請求項7】
前記消費電力情報を記憶する記憶ステップをさらに備え、
前記記憶ステップで記憶する前記消費電力情報をユーザに提示する提示ステップをさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の電力計測方法。
【請求項8】
前記測定値があらかじめ設定された閾値を超える場合に、該当する前記電気機器と前記電力線との接続を強制的に切断する強制切断ステップをさらに備えることを特徴とする請求項6または7に記載の電力計測方法。
【請求項9】
前記強制切断ステップで、前記電気機器と前記電力線との接続を強制的に切断する前に、前記電気機器と該電気機器のユーザの連絡先とを対応付けた連絡情報を参照し、前記電気機器の前記ユーザの連絡先に警告を送信する警告ステップをさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の電力計測方法。
【請求項10】
コンピュータを、
それぞれが異なる電気機器と接続し、1つの電力計測器を経由する電力線と前記1つの電力計測器を経由しない電力線とに切り替える2以上のスイッチを制御して、所定の時間ごとに、前記電気機器を順番に前記1つの電力計測器に所定の時間ずつ接続させるスイッチ制御手段と、
前記電気機器の消費電力を計測する前記1つの電力計測器から前記電気機器の前記所定の時間の消費電力の測定値と、該電気機器を識別する識別情報とを取得し、前記測定値と、前記識別情報と、前記測定値を取得した時刻を示す計測時刻とを対応付けた消費電力情報を生成する測定値取得手段と、
して機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−181053(P2012−181053A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43055(P2011−43055)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(390001395)NECシステムテクノロジー株式会社 (438)