説明

電力設備情報提供システム

【課題】電力供給事業などに携わる担当者らが、電柱識別記号や現在の位置情報から、付近の電力設備情報を容易に取得できるシステムを提供。
【解決手段】GPS付携帯電話などの現在位置の緯度・経度情報を有する端末装置と情報提供装置とがネットワーク接続され、電柱の緯度・経度情報を、電柱識別記号とともに格納した第1データベースと、電柱に載設された電力設備情報を、電柱識別記号とともに格納した第2データベースと、端末装置の位置から所定の緯度・経度範囲内、もしくは所定の距離範囲内に存在する周辺電柱を、第1データベースから検索し、該当する電柱を、電柱識別記号とともに周辺電柱情報として保管する手段と、電柱識別記号を用いて第2データベースから電力設備情報を抽出し、電柱識別記号とともに周辺電柱電力設備情報として保管する手段と、ネットワークを介して端末装置に周辺電柱電力設備情報を提供する手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給事業などに携わる担当者らが、効率的に電力設備情報を取得するためのシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
顧客らに電力(電気)を供給する電力供給事業においては、多数の電柱を所定の区域(区画)に所定間隔をもって立設し、配電線をそれらの電柱に架設して、その電柱には配電線の他に開閉器や変圧器などの各種機器を設置するとともに、分岐線・引き込み線・電力量計などの電線や機材を経由して、顧客らに電力(電気)を供給している。
【0003】
電力事業者はこれらの電力設備すべてについてパトロールを行ったり、不良箇所については改修の設計を行ったりするために訪問調査を行うが、訪問調査で得られた情報は、電力設備情報として保管され、次の工程のものに引き継がれる。たとえば、パトロールで不良箇所が発見されると、その不良に関する情報が電柱識別記号と緊急度とともに保管され、次に設計を担当するものがその情報を基に設計を行う。さらにその設計情報は電柱識別記号と緊急度とともに保管され,次に工事を担当する者がその情報を基に工事を行う。ここで電柱識別記号は、電柱に固有に名づけられた電柱番号のことであり、緊急度とは、早急な修理が必要か、数年間は大丈夫かといった内容のことである。
【0004】
電力事業者の保有するそのような電力設備情報は、その設備自体が膨大であるがために常に多数保有されており、設備の改修をどんどん行っても、次々と新たなものが発生するといった状況にある。
また、そのような電力設備情報の特徴としては、電柱の位置が広範囲に点在していることと、緊急度について「至急行わなければならないもの」といった高いものから「数年は大丈夫なもの」といった低いものまで広範囲に存在する、ということが挙げられる。したがって、緊急度を優先しながら、いかにして短い経路を通って効率よく訪問調査するか、ということが課題とされている。
【0005】
従来から、電力供給事業などに携わる担当者らが、そのような電力設備情報を入手し、訪問調査を行う際は、次のような方法により行われている。
まず、訪問調査には緊急度がもっとも優先されるため、緊急度をキーとして緊急度の高い電力設備情報を入手することから始める。そして、入手した緊急度の高い電力設備情報を優先的に訪問調査する。なぜならば、緊急度の高い電力設備情報を後回しにすると停電や感電事故に至る可能性があるからである。
次に、その経路上に存在する緊急度のあまり高くない電力設備情報が無いかどうかを確認し、もしある場合は「ついでに」訪問調査を行う。このようにして経路上にある緊急度のあまり高くない電力設備情報が入手できれば、そのような電力設備情報については、そのためだけに必要な移動を要しないため効率的に訪問調査することができる。
【0006】
ところが、経路上にある電力設備情報を入手するのに、現状では大変手間を要している。まず、電柱識別記号をキーとして入手されているため、地理と電柱識別記号との関係を、地図上にこの電柱識別記号を記した資料等によって、調査をしなければならない。次に、たとえ経路上にある電柱の電柱識別記号がわかったとしても、さらにその電柱に電力設備情報があるかどうか調べる必要がある。この場合、電柱識別記号の範囲を指定し、電力設備情報の有無を検索し、該当するものを抽出している。
【0007】
このように、電力設備情報を入手するには大変な手間を要するため、実際には、緊急度のあまり高くないものについては、調べられる範囲で数件程度だけを調べ、そのまま現場に赴いているというのが実情である。そのようなことで、訪問調査されない緊急度のあまり高くない電力設備情報の多くについては、後日単独で訪問調査がなされることになり,そのためだけに必要な移動を要するため,あまり効率良くは行われない。
【0008】
また、予定外にある地域へ赴いた際など、帰路上にある電力設備情報を知りたい場合がある。もしそのような電力設備情報を知りえれば、帰路のついでに訪問調査をすることができるからである。あるいは、設計を担当する者がめったに赴くことのない遠方に行った帰りなどに、ついでにパトロール業務を行いたい場合がある。
このように、帰路上にある電力設備情報を知りたい場合がある。ところが、上述したように、経路上にある電力設備情報を入手するのには現状では大変手間を要するため、限定的に行われているのが実情であり、後日単独で訪問調査がなされることが多かった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明による電力設備情報提供システムは、上記したような問題点に鑑みてなされたものであり、電力供給事業などに携わる担当者らが、現在の位置情報もしくは電柱識別記号から、付近の電力設備情報について容易に取得することができるシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記のような課題を解決するために、本発明では次のような手段を用いる。
(1)GPS付携帯電話などの現在位置の緯度・経度情報を有する端末装置と情報提供装置とがネットワークを介して接続されるシステムであり、
電柱の位置の緯度・経度情報を、電柱の識別記号とともに格納した第1のデータベースと、
前記電柱に載設された電力設備に関する情報(電力設備情報)を、前記電柱識別記号とともに格納した第2のデータベースと、
端末装置の現在位置の緯度・経度に関する情報を取得する手段と、
前記端末装置の位置から所定の緯度・経度範囲内、もしくは所定の距離範囲内に存在する電柱(周辺電柱)を、第1のデータベースから検索し、該当する電柱を、電柱識別記号とともに周辺電柱情報として保管する手段と、
前記周辺電柱情報に保管された電柱について、電柱識別記号を用いて第2のデータベースから電力設備情報を抽出し、電柱識別記号とともに周辺電柱電力設備情報として保管する手段と、
前記ネットワークを介して前記端末装置に周辺電柱電力設備情報を提供する手段と、を備える電力設備情報提供システムとした。
【0011】
(2)(1)の電力設備情報提供システムにおいて、
本システムは、作業員の前記電柱識別記号の入力を受け付ける手段を備え、前記電柱識別記号に対応する前記周辺電柱電力設備情報に関する情報発信を行なう。
(3)(1)または(2)の電力設備情報提供システムにおいて、
前記端末装置の位置から、前記周辺電柱情報として保管された電柱に到達するまでの経路を検索する経路検索手段を備え、前記ネットワークを介して前記端末装置に周辺電柱電力設備情報を提供する際に、前記経路に関する情報をあわせて提供する。
【0012】
(4)(1)〜(3)の電力設備情報提供システムにおいて、
前記端末装置の位置の時間推移から,所定時間経過後の到達位置を予測する、端末装置到達位置予測手段を備え、予定到達位置の周辺電柱電力設備情報を、前記ネットワークを介して前記端末装置に提供する。
(5)(1)〜(4)の電力設備情報提供システムにおいて、
前記電力設備情報は,電力設備に必要な修理の内容,もしくは必要な工事の内容に関する情報である。
【発明の効果】
【0013】
本発明による電力設備情報提供システムによれば、電力供給事業などに携わる担当者らが、現在の位置情報もしくは電柱識別記号から、付近の電力設備情報について容易に情報提供を受けたり行なったりすることができるシステムを提供できる。
より具体的には、所定の電柱を担当者が訪問調査した際に、近隣にある別の電柱(周辺電柱)の関係区域においても訪問業務が必要であるのかどうかを、その訪問現場で容易に確認することができる。そして、その訪問現場とは別の電柱(周辺電柱)の関係区域でも訪問業務が必要であると判明した場合には、担当者がこれから訪問調査すべき経路を容易に決定することのできるシステムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
つぎに、本発明による電力設備情報提供システムの実施の形態について、添付の図1〜4に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる電力設備情報提供システム(S1)の構成の概要を示す説明図である。訪問業務を行う担当者P1は移動端末ITを所持しており、当社営業所SOを基点にして、社有車C1に乗って移動しながら、電力設備情報の訪問調査を行う。また、訪問業務の担当者P1が持つ移動端末ITと営業所SOに配備された情報提供装置JTとは、ネットワークNW1を介して相互に接続されている。
【0015】
この電力設備情報提供システム(S1)おいて、担当者P1が所持されて移動される移動端末ITは、GPS付携帯電話などのような現在位置の緯度・経度情報を取得する手段を有する端末装置からなる。また、情報提供装置JTは、電柱の位置の緯度・経度情報を、電柱固有の識別記号(電柱識別記号)とともに格納した第1のデータベースと、個々の電柱に載設された電力設備に関する情報(電力設備情報)を、その電柱識別記号とともに格納した第2のデータベースとを備えており、ネットワークNW1を介して移動端末ITの現在位置の緯度・経度に関する情報を取得する手段を備えている。
【0016】
この情報提供装置JTは、移動端末ITの現在位置の緯度・経度情報をその移動端末ITから取得するとともに、その移動端末ITが置かれた位置から、所定の緯度・経度範囲内もしくは所定の距離範囲内に存在する電柱(ここでは周辺電柱という)について、第1のデータベースから検索する。そして、該当する周辺電柱を抽出して、電柱識別記号とともに周辺電柱情報として保管することができる。また、周辺電柱情報として保管された電柱について、電柱識別記号を用いて第2のデータベースからその電力設備情報を抽出し、電柱識別記号とともに周辺電柱電力設備情報として保管することができる。こうして、電力設備情報提供システム(S1)では、情報提供装置JTは、移動端末ITに保管されている周辺電柱の電力設備情報を、ネットワークNW1を介して移動端末ITに提供することができる。
この図1の電力設備情報提供システム(S1)では、立設された多くの電柱のうちの3本(a、b、c)を示しており、それぞれの電柱(a、b、c)に吊架されて配電線HDが架線されている。
【0017】
本電力設備情報提供システムにおいて用いられる電柱の電力設備情報は、立設されたそれぞれの電柱の識別記号、電柱の位置や地理に関する情報、その電柱に関係する業務内容、緊急度合などの情報を含んでおり、これらの電力設備情報は、前工程の担当者が行う修理情報,設計情報の入力や営業所SOの担当者による故障受付や料金集金などの情報入力や、他のネットワークなどを介した情報入手手段などによって取得されるものであり、営業所SOに配備された情報提供装置JTのデータベースにおいてそれらの情報が保存されている。
【0018】
移動端末ITでは、ネットワークNW1を介して、営業所SOの情報提供装置JTに対して、電柱に関する電力設備情報の取得を要求することができる。このとき、情報提供装置JTは、移動端末ITからの要求をネットワークNW1を介して受け付け、移動端末ITから移動端末ITの現在位置に係わる情報を取得する。そして、情報提供装置JTは、その移動端末ITがある位置から、所定の緯度・経度範囲内もしくは所定の距離範囲内に存在する電柱である周辺電柱を抽出し、その周辺電柱に関する電力設備情報について、情報提供装置JTのデータベースを検索して取得し、同じくネットワークNW1を介して、移動端末ITにその周辺電柱の電力設備情報を提供することができる。
【0019】
こうして、移動端末ITでは、要求した電力設備情報などの電柱に関連する情報が取得できるが、この電力設備情報は、電柱番号の識別記号、その電柱に関係する業務内容、緊急度合などの情報であって、電力設備に必要な修理の内容,もしくは必要な工事の内容に関する情報を含んでいるとよい。そして、移動端末ITの画面には、電力設備情報を項目別にして見やすい一覧表にして表示することができる。図1の移動端末ITの表示画面は、一例として、電柱番号とその電柱関連の業務内容および緊急度が画面表示された例を示しており、それらは次のとおりである。
【0020】
【表1】

【0021】
つぎの図2は、本発明による電力設備情報提供システムを説明するための図であり、移動端末ITでの画面表示の例を示す図である。ここで、訪問業務を行うために、担当者P1は移動端末ITを所持して車両で移動しており、現在地G1(+)の地点にいる。情報提供装置JTは、移動端末ITからネットワークNW1を介して周辺電柱に関する電力設備情報の要求を受けると、移動端末ITが現在いる位置G1の情報を取得して、その位置から周辺電柱(SD1、SD2)を抽出し、その周辺電柱に関する電力設備情報を移動端末ITに提供する。
【0022】
本発明による電力設備情報提供システム(S1)では、移動端末ITの位置から周辺電柱情報の各電柱に到達するまでの経路を検索する経路検索手段を備えており、情報提供装置JTでは、図2のように、それぞれの経路K1(現在地G1→電柱SD1)と経路K2(現在地G1→電柱SD2)とを、移動端末ITの表示画面で明示することができる。この図2では、緯度と経度とを含む地図上において、その現在地G1、周辺電柱(SD1、SD2)の位置、現在地G1から周辺電柱までの経路(K1、K2)を含んで表示する例を示したものである。
【0023】
また、本電力設備情報提供システム(S1)では、情報提供装置JTによって、周辺電柱の電力設備情報の内容を移動端末ITに画面表示させることができる。図2ではそれらの例として、電柱SD1の電力設備情報を表示画面HG1に「電柱:北幹50号、緊急度:1年以内改修、内容:バインド外れ」、電柱SD2の電力設備情報を表示画面HG2に「電柱:東幹150号、緊急度:3ヶ月以内に改修、内容:樹木接触」などのように表示している。なお、周辺電柱への経路情報と周辺電柱の電力設備情報とについては、情報提供装置JTでは、ネットワークを介して、移動端末ITに周辺電柱電力設備情報を提供する際に、経路の情報を合わせて提供するようにするとよい。
【0024】
さらに、本電力設備情報提供システム(S1)では、端末装置の位置の時間推移から所定時間経過後の到達位置を予測する端末装置到達位置予測手段を備えており、予定到達位置にある周辺電柱電力設備情報を、情報提供装置はネットワークを介して前記端末装置に提供することができる。ここでの図3は、端末装置の位置の時間推移から、所定時間経過後の到達位置を予測する例を説明するための図である。
【0025】
この図3において、車M1には端末装置を所持した担当者らが搭乗しており、この車M1は図面右方向へ進行中である。この車M1が現在地G2にあるとすれば、この車M1に搭載された端末装置が進行する距離は「進行スピード(km/h)×経過時間」として計算することができる。ここで例えば、30分〜1時間経過後の端末装置(車M1)の予定位置を予測することとして、進行する距離は「進行スピード(km/h)×0.5(h)」「進行スピード(km/h)×1.0(h)」となり、進行方向の方位角度を15度とした場合については、それぞれの到達位置は図3に示したP1(30分経過後)、P2(1時間経過後)の位置となり、30分〜1時間経過後の予定位置の範囲としては、扇形状からなる斜線の入った位置範囲(α)として示される。
【0026】
この本電力設備情報提供システムS1によれば、図1に示すように、担当者P1は、訪問業務を行うに際して、電柱aの近くの位置にいたときに、その現場からやや離れた別の地域にある現場(電柱bや電柱cがある区域)でも、担当者P1が行うべき他の業務があって、そこを訪問調査する必要がないのかどうかを確認することができる。言い換えれば、本システムS1では、担当者P1が電柱aのある現場に到着した際に、電柱aから離れた周辺電柱bの地域または周辺電柱cの地域などにおいても、この担当者P1の訪問業務が有るか無いかを、走行中においても容易に確認できる。
【0027】
ここで、電柱aの所にいた担当者P1が、電柱aの周辺電柱bや周辺電柱cがある区域においても業務がある、ということを移動端末ITを通して分かれば、その移動端末ITがある電柱aの位置から、担当者P1が次に訪問調査する周辺電柱bの区域に到達するまでの最短の経路選択を検索して、これを画面表示することができる。そしてさらに、担当者P1が周辺電柱bの位置での業務が終了したときには、担当者P1がさらに訪問調査する周辺電柱cの地域に到達するまでの最短の経路選択をも検索して、同様に画面表示することができる。このようにして、訪問先で他の業務が必要であるとわかった場合には、担当者がこれから訪問調査すべき経路を容易に決定することができる。
【0028】
さて、図4は、本発明の一実施形態による電力設備情報提供システムS2において、移動端末装置200と情報提供装置100との具体的な装置構成例を示す図である。
電力設備情報提供システムS2は、周辺電柱についての電力設備情報提供を行うシステムであって、車輌で移動する者が携帯する移動端末200と、この移動端末200にネットワークNW2を通してデータリンクが可能となる情報提供装置100とから構成されている。この情報提供装置100は例えば営業所などに配置されていて、電力設備情報提供ソフトが記録された記憶部16を備え、担当者らが電柱または周辺電柱に関係する区域を効率的に訪問調査することを支援することができる。
【0029】
この情報提供装置100と移動端末200とは、インターネットや固有のネットワークなどによる無線または有線によるアクセス網により接続されており、無線接続手段の例としては携帯電話回線網や無線LANなどによる接続があり、また、有線接続手段の例としては、公衆電話回線網または光ファイバネットワークなどによる接続がある。この図2においては、情報取得用端末200は、ネットワークNW2を介して、無線基地局19から情報提供装置100のサーバ15に接続されており、このサーバ15内の第1データベース15’には、電柱の位置の緯度・経度情報が電柱識別記号とともに格納され、また、他のデータベース(第2データベース14)には、電柱に載設された電力設備に関する電力設備情報(識別番号、緊急度、業務内容など)が電柱識別記号とともに格納されている。
【0030】
本システムS2の情報提供装置100は、個々の電柱に予め付与されている電柱番号や電柱識別記号に対応づけされた電柱の位置の情報は、サーバ15内のデータベース(第1のDB15’)に格納されており、また、その電柱の電力設備(識別番号、緊急度、業務内容など)の情報配設、第2データベース14に格納されて保管されている。そして、この情報提供装置100の制御部10では個々の電柱の位置情報とその電柱毎の電力設備情報を含む情報類の取得と提供に関する処理を行い、これらの情報を個々の電柱番号またはその識別情報に対応づけて、第1のDBおよび第2のDBに格納する。
【0031】
情報提供装置100は、移動端末200から電柱番号またはその識別情報を受け付けると、それに対応する電柱の位置情報に関するマッピングデータ情報と、個々の電柱の関連地域にかかる電力設備情報(識別番号、緊急度、業務内容など)とを、サーバ15内の第1のDB15’と、第2のDB14によって検索して、検索したこれらの電柱の電力設備に関連する情報を、ネットワークNW2を介して移動端末200に提供する。この情報提供装置100は、電力設備情報に関する取得と提供の処理を行うために、データ処理部11、表示部12、操作部13、記憶部16を備えている。
【0032】
この移動端末200では、1本のアンテナ26からネットワークNW2を介して情報提供装置100に接続されており、さらに別のGPSアンテナ23を介してGPS機能を実行することが可能である。GPSは衛星30からの電波(時刻データ)を受けて受信地の絶対位置を計測するシステムであり、移動端末200の表示部21には、地図情報や、テキストデータとグラフィックデータが表示できる。また、GPSアンテナ23には、GPS衛星からの電波が入力され、CPU20において経度緯度情報に変換されて出力され、現在の日時(年月日、曜日、時刻等)情報なども得られる。
【0033】
この移動端末200の地図情報は、予め記憶部22に保管されたデータであってもよいし、情報提供装置100に要求してネットワークを介して送信させたデータであってもよい。また、移動端末200で取得された電力設備情報は、訪問業務をする周辺電柱区域の訪問予定作成の過程において有効であり、記憶部22に保管される。これらの情報は、情報提供装置100に要求してネットワークを介して送信させた情報を用いるが、電柱の位置情報などのように変動せず確定している情報については、予め記憶部22に保管しておくとよい。
【0034】
この移動端末200は、制御ユニットとしてのCPU20と、このCPU20を公衆ネットワークやインターネットなどに接続する送受信部25とを備え、インターネットに接続された無線基地局19との間でデータ交信をすることができる。また、記憶部22の他の記憶手段として、RAM、ROM、ハードディスクなどを備えているとよい。
【0035】
情報提供装置100は、サーバ15を介して移動端末200とインターネットなどのネットワークに接続され、一般回線18と無線基地局19とアンテナ19aとを備える。このサーバ15のデータベース15’(第1DB)と他のデータベース14(第2DB)には、電柱の位置情報、電柱やその周辺電柱区域の電力設備情報(識別番号、緊急度、業務内容など)が取得されて保管されており、これによって、担当者らは多くの電柱への訪問業務を効率的に実行することができる。
【0036】
これらの電柱に係わる電力設備情報は、顧客データや地図データなどを保管しておき、これらとリンクさせて提供するようにすれば、利用価値の高いデータベースとすることができる。そして、移動端末200の表示部21には、地図のデータベースの画像の中に、電柱の位置を選択して表示させることができ、次に訪問調査する周辺電柱とその最短経路も表示することができる。
【0037】
ここで、本システムS2の処理のフローの概要について説明する。
まず、移動端末200は、担当者らの入力操作を受け、移動端末200のCPU20は、電柱に係わる電力設備情報の提供を希望するとの要求を情報提供装置100に送信し、訪問調査するべき周辺電柱があるかなどの情報の取得を、入力操作に基づいて行う。次に、移動端末200のCPU20は、希望する電柱識別記号または電柱番号係わる電力設備情報(緊急度、業務内容など)を情報提供装置100から取得して、記憶部22内にそれら記憶して最新の情報に更新する。
【0038】
そして、移動端末200では、各電柱の位置データを含む電力設備情報に基づいて、訪問調査すべき周辺電柱とその順番や経路が決定されて画面に表示される。ここでは、業務内容、業務実施に必要な時間、訪問調査する日時、GPSからの情報などの各種の情報に基づき、電柱位置データや道路の時間別混雑状況データなどを参照しながらシミュレーションを行い、最も効率よく訪問調査できる順番や経路が決定され、訪問調査する電柱への到着予定時刻、業務終了後の出発予定時刻などが決定されてもよい。こうして、移動端末200のCPU10は、決定した各電柱の訪問調査の順番、その経路、到着と出発時刻などを表示部21に画面表示し、次の周辺電柱を訪問調査する際には、ナビゲーション機能を用いて訪問調査する各電柱への経路案内を行う。
【0039】
この電力設備情報提供システムS1において、移動端末200は、CPU(制御部)20、記憶部22、操作部24、表示部21を備え、電子地図手段、カーナビゲーション手段をも備えている。移動端末200に電子地図手段を備えることにより、コンピュータの画面上で電子地図の情報を閲覧したり、電子地図上に電柱位置等の情報を描画したりする機能を実現でき、得られた電柱位置情報を、電子地図データに対応づけた電子地図情報を用いて、個々の電柱への経路を検索し、検索した経路を表示することもできる。さらに、カーナビゲーション手段を利用することにより、検索した経路に基づく電子地図を用いた案内表示を画面上に表示する機能も持つことができ、GPSなどの現在位置情報を取得して、取得した現在位置情報と目的地との情報に基づいて、この間の所望の経路検索を行うことができる。
【0040】
それぞれの電柱に関する情報については、電柱の位置情報(電柱の座標位置情報)や電柱に関する電力設備情報(識別番号、緊急度、業務内容など)があり、個々の電柱に予め付与される電柱番号などの識別情報に基づいて対応づけて、それぞれの電柱に関する情報毎に、情報提供装置100のデータベースに格納して保管されるとよい。また、情報提供装置100では、所定時間毎または所定の日毎に、一括してこれら情報を更新するようにするとよい。
【0041】
さらに、図2に示した電力設備情報提供システムS2に関して、追加的な説明を行う。
電柱関連情報の取得の処理を開始すると、移動端末200では、その表示画面を通して電柱番号を入力するように利用者に対して要求するが、このとき、利用者は情報がほしい電柱の番号を直接入力するようにしてもよいし、電柱番号を入力しないで、選択リストなどを設けてその中から希望の電柱を選択するようにしてもよい。
【0042】
電力設備情報提供システムS2では、電子地図機能や、カーナビゲーション機能を備えており、これを用いてデータ形式を選択することができ、取得した電柱関連情報を利用する移動端末に応じたデータ形式で利用することもできる。移動端末200は、取得した電柱関連情報(識別番号、緊急度、業務内容など)について、所定のデータ形式に応じたデータ変換を行うことができ、取得した電柱関連情報のデータのフォーマットを、電子地図手段またはカーナビゲーション手段のアプリケーションプログラムに対応して行うことができる。
【0043】
移動端末200は、データ変換後、取得したデータ形式に応じてその処理を判断し、電子地図用データ形式であるときには、そのアプリケーションプログラムを起動して、訪問調査すべき電柱の位置に対応させた電子地図を画像表示することができる。また、カーナビゲーション用のデータ形式であるときには、カーナビゲーションの経路検索機能を起動して、取得された電柱関連情報は、電柱の位置に対応させた電子地図に対応させたカーナビゲーション表示画面として表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明による電力設備情報提供システムの一実施形態にかかるシステム全体の構成説明図である。
【図2】本発明による電力設備情報提供システムの一実施形態を説明するための図である。
【図3】本発明による電力設備情報提供システムの一実施形態を説明するための別の図である。
【図4】本発明による電力設備情報提供システムの一実施形態にかかる各装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
S1、S2 電力設備情報提供システム
JT、100 情報提供装置
IT、200 移動端末
P1 訪問業務の担当者
NW1、NW2 ネットワーク
a、b、c、SD1、SD2、 電柱
G1、G2 移動端末の現在地
HG1、HG2 電力設備情報の表示
15 情報提供装置100のサーバ
15’ 情報提供装置100の第1のデータベース
14 情報提供装置100の第2のデータベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在位置の緯度・経度情報を有する端末装置と情報提供装置とがネットワークを介して接続されるシステムであり、
電柱の位置の緯度・経度情報を、電柱識別記号とともに格納した第1のデータベースと、
前記電柱に載設された電力設備に関する電力設備情報を、前記電柱識別記号とともに格納した第2のデータベースと、
前記端末装置の現在位置の緯度・経度に関する情報を取得する手段と、
前記端末装置の位置から所定の緯度・経度範囲内、もしくは所定の距離範囲内に存在する電柱を、前記第1のデータベースから検索して、該当する電柱を、前記電柱識別記号とともに周辺電柱情報として保管する手段と、
前記周辺電柱情報として保管された電柱について、前記電柱識別記号を用いて第2のデータベースから前記電力設備情報を抽出し、前記電柱識別記号とともに周辺電柱電力設備情報として保管する手段と、
前記ネットワークを介して前記端末装置に前記周辺電柱電力設備情報を提供する手段と、を備えることを特徴とする電力設備情報提供システム。
【請求項2】
作業員の前記電柱識別記号の入力を受け付ける手段を備え、前記電柱識別記号に対応する前記周辺電柱電力設備情報に関する情報発信を行なう、ことを特徴とする請求項1に記載の電力設備情報提供システム。
【請求項3】
前記端末装置の位置から、前記周辺電柱情報として保管された電柱に到達するまでの経路を検索する経路検索手段を備え、
前記ネットワークを介して前記端末装置に前記周辺電柱電力設備情報を提供する際に、前記経路に関する情報を合わせて提供する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の電力設備情報提供システム。
【請求項4】
前記端末装置の位置の時間推移から、所定時間経過後の到達位置を予測する、端末装置到達位置予測手段を備え、
予測到達位置の前記周辺電柱電力設備情報を、前記ネットワークを介して前記端末装置に提供する、ことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の電力設備情報提供システム。
【請求項5】
前記電力設備情報は、電力設備に必要な修理の内容、もしくは必要な工事の内容に関する情報である、ことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の電力設備情報提供システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−48223(P2007−48223A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−234792(P2005−234792)
【出願日】平成17年8月12日(2005.8.12)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】