説明

電力量監視システム

【課題】分電盤から負荷系統に供給する電力に関する情報を集約して監視するシステムとして、安価に導入できる簡易なシステムを実現する。
【解決手段】構内に設けられた分電盤10から負荷系統に供給する負荷電流を測定端末装置で測定し、負荷電流(若しくは電力量)の情報を測定用モデム9に送信する。測定用モデム9は電力量の情報を取得し、電話線を介して多重化方式で、親機の通信モデム4Mと通信し、他の子機の通信モデム4Sに接続されたパソコンに電力量の情報を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場やビル等の、事業所の構内で使用する電力量を監視するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
地球環境保護が企業の社会的責務の一つとなってきた昨今の情勢において、例えば、工場やビル内での電力の使用状況を細かく監視して省エネルギーを実現することが望まれている。例えば、大中規模の工場内において、サブ変電所ごとに設けられている電力量計から出力されるパルス(一定電力量ごとに発生するパルス)を受け付けるプログラマブル・ロジック・コントローラの子機を設け、特高変電所の監視室内に親機を設ける。そして、親機と複数の子機とを光ネットワークで接続し、各サブ変電所の子機から送られてくるフィーダごとの電力情報を、親機に接続された管理用のパソコンで監視する、というシステムが提案されている(例えば、非特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「某工場における電力量監視システムの構築」、住友電設技報TECHNICAL REVIEW 第17号、Vol.28、2008年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来のシステムでは、当該システムのために新たに光ネットワークシステムを工場内に展開する必要があり、これを簡易かつ安価に実現することは困難である。また、もっと下位の分電盤レベルでの電力監視を行うとなると、光ファイバ等の設置がさらに困難になる。しかも、多数の電力量計が必要である。また、システムの規模が大きくなれば、高い通信速度が必要となることも、コスト面からは問題となる。
かかる従来の問題点に鑑み、本発明は、分電盤から負荷系統に供給する電力に関する情報を集約して監視することができ、かつ、安価に導入できる簡易なシステムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明は、親機・子機間の通信を利用する電力量監視システムであって、構内に設けられた分電盤から負荷系統に供給する負荷電流を測定し、測定した負荷電流の情報若しくは当該負荷電流に基づいて求めた電力量の情報を送信する機能を有する測定端末装置と、前記測定端末装置から前記情報を受信し、電力量の情報を取得する測定用子機と、前記構内に設けられた電話線又は制御線を利用した伝送線を介して多重化方式で前記測定用子機を含む複数の子機と通信可能な親機と、前記測定用子機を除く子機及び前記親機のうち少なくとも1つに接続され、前記測定用子機で取得された電力量の情報を受信可能な電力量監視用の情報処理装置とを備えたものである。
【0006】
上記のように構成された電力量監視システムでは、測定端末装置から送信された情報により、その情報を受信した測定用子機は電力量の情報を取得する。測定端末装置が複数個あれば、それらの電力量情報が測定用子機経由で、伝送線を介して、情報処理装置が接続された他の子機又は親機に伝送され、電力量監視用の情報処理装置に到達する。これにより、情報処理装置による電力量監視が可能となる。
【0007】
(2)また、上記(1)の電力量監視システムにおいて、測定用子機は、分電盤内で、電力線を介して多重化方式で測定端末装置から情報を受信するようにしてもよい。
この場合、分電盤内では電力線を利用した電力線通信により、測定端末装置から測定用子機に負荷電流の情報を送信するネットワーク構成を容易に、かつ、コンパクトに実現することができる。
【0008】
(3)また、上記(1)の電力監視システムにおいて、測定用子機は入力ポートを有し、測定端末装置から専用線を介して当該入力ポートにて情報を受信するものであってもよい。
この場合、専用線は必要であるが、測定端末装置や測定用子機には電力線通信等の多重化通信機能は必要でないので、内部回路は簡素化される。
【0009】
(4)また、上記(1)、(2)又は(3)の電力量監視システムにおいて、伝送線は電話線である場合、(a)電話線の子機側終端に設けられ、電話信号と電力量の情報とを分離又は混合する子機用スプリッタと、(b)電話線の親機側に設けられ、複数の電話線を対象として共通のデータ信号を注入し、当該電話線からデータ信号を抽出することの可能な親機用スプリッタとが設けられており、(c)子機用スプリッタを介して子機が接続され、親機用スプリッタを介して親機が接続されている、という構成であってもよい。
この場合、電話線は個々の電話機ごとの線であり、電話線同士は相互に繋がってはいないが、親機から親機用スプリッタを介してデータ信号の抽出・注入を行うことにより、電話線のネットワークを構成し、多重化による通信を行うことができる。
【0010】
(5)また、上記(1)、(2)又は(3)の電力量監視システムにおいて、伝送線は、電話線として使用されていない予備の電話線であってもよい。
この場合、スプリッタを使用することなく、予備の電話線を用いて電力量の情報を送信することができる。
【0011】
(6)また、上記(1)、(2)又は(3)の電力量監視システムにおいて、制御線は、機器制御用のペア線、放送用電線、インターホン用電線、火災報知器用電線、同軸線のいずれか1つであってもよい。
この場合、工場やビル等の構内にあるいずれかの電線を利用して電力量の情報を送信することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の電力量監視システムによれば、既存の伝送線(電話線又は制御線)を利用して測定用子機から電力量の情報を送信することができる。しかも、電力量は積算される値であるため散発的な情報送信に適し、情報量としても少ないので、親機・子機間では高い通信速度が要求されない。すなわち、比較的低速で安価な親機・子機の採用が可能となる。このようにして、安価に導入できる簡易な電力量監視システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る電力量監視システムの、主として上位部分の構成を示すブロック図である。
【図2】親機用のスプリッタの内部ブロック回路図である。
【図3】通信モデムに搭載される機能のブロック図である。
【図4】多重化の一例として上り下り信号並びに各子機との通信を時分割多重化したケースを示す図である。
【図5】図1における事務所内の配線のみを示す接続図である。
【図6】図1における工場内の配線の詳細を示す接続図である。
【図7】測定端末装置に搭載される機能のブロック図である。
【図8】測定用モデムに搭載される機能のブロック図である。
【図9】図6とは異なる構成による分電盤内の接続図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る電力量監視システムの、主として上位部分の構成を示すブロック図である。図において、工場やビル等の構内には例えばMDF室Rがあり、その中には、電話の一般公衆回線からPBX(構内交換機)1を経て、MDF(主配線盤)2が設けられている。MDF2の内部(外部でもよい。)には、親機用スプリッタ3が設けられ、親機となる通信モデム4Mと接続されている。通信モデム4Mは、ルータ5からインターネットを介して、構内以外の他の地区とも通信可能である。
【0015】
MDF2からは、構内の至る所に、電話線が展開され、IDF(中間配線盤)に接続される。この例では、例えば工場FA1,FA2内のIDF6に、それぞれ、複数の電話線が接続されている。各工場FA1,FA2内では、多数(1台のみ図示)の電話機7が、IDF6に直接接続されるか、又は、スプリッタ8を介して接続される。また、このスプリッタ8を介して、電力量監視に用いられる測定用モデム9(測定用子機)が接続される。
【0016】
測定用モデム9は、MDF室R内の通信モデム4Mを親機とする場合の子機であると同時に、さらに下位に属する測定端末装置(詳細後述)のサブ親機でもある。測定用モデム9は、分電盤10内(又はその近傍も可)に設けられる。通常、IDF6と分電盤10とは、工事の都合上、互いに近接して設けられており、従って、IDF6から測定用モデム9への配線は短距離で済み、設置工事も容易である。
【0017】
一方、事務所OF内にも同様に、IDF6、電話機7、スプリッタ8及び通信モデム4Sが設けられる。通信モデム4Sは、MDF室R内の通信モデム4Mを親機とする場合の子機である。
上記のような通信回路の構成によって、構内の電話回線ネットワークが構成される。また、電話線を伝送媒体としてデータ信号(デジタル)を重畳するLANシステムを構成することができ、これが、電力量監視システムの一部となる。
【0018】
親機としての通信モデム4Mは、デジタル信号が有線(ここでは電話線)上を伝送できるように変換して通信を行う装置で、また、多重化技術(時分割多重化、周波数分割多重化、符号分割多重化等)により1:nの双方向通信を行う機能を備える。同様の通信の仕組みを持つ装置に、PLC(Power Line Communication)モデムがあるが、同モデムはOFDM(直交周波数分割多重)方式もしくはSS(スペクトラム拡散)方式等を使用し、1:nの双方向通信を、電源線を媒介として実現している。通信モデム4Mは、親機用スプリッタ3を介して、電話線にデータ信号を注入し、また、電話線からデータ信号を抽出する。
なお、測定用モデム9は、通信モデム4Mとの通信機能の他、下位に対してはPLCモデムとしての機能を有する。
【0019】
図2は、親機用スプリッタ3の内部ブロック回路図である。このスプリッタ3は、複数のハイパスフィルタ3H及び同数のローパスフィルタ3L、並びに、バラン3Bを備えている。ローパスフィルタ3Lは、電話線Tごとに介挿され、電話用信号(4kHz以下)のみを通過させる。ハイパスフィルタ3Hは、電話線Tごとに分岐接続され、データ信号(2MHz〜30MHz)のみを通過させる。ハイパスフィルタ3Hの各々における一端は電話線Tに接続され、他端は全てのハイパスフィルタ3Hで相互に接続されて一本化され、かつ、バラン3Bを介して通信モデム4Mに接続されている。
【0020】
このような親機用スプリッタ3を利用して、通信モデム4Mは、データ信号を複数の電話線Tに一斉注入することができ、また、各電話線Tからデータ信号を抽出することができる。なお、バラン3Bは、通信モデム4M側の不平衡状態にある信号と、反対側の平衡状態にある信号とを相互に変換する素子である。
【0021】
なお、実際には、MDF2(図1)から出て行く電話線の全てが親機用スプリッタ3を通るのではない。すなわち、データ通信に使用せず、電話のためにだけ使用する電話専用線は、親機用スプリッタ3を通す必要がない。
また、電話線には通常、使用されていない予備線Tsがある。この予備線Tsをデータ通信に使用する場合には、通信モデム4Mを当該予備線Tsに直結することができる(二点鎖線)。すなわち、予備線Tsを使用すれば、当該予備線Tsの基端、末端のいずれにもスプリッタが不要となる。
【0022】
図3は、通信モデム4M(4Sも同様。)に搭載される機能のブロック図である。通信モデム4Mは、LAN信号入出力部(PHY)41と、データ交換部42と、CPU43と、信号処理部44と、信号入出力部47とを備えている。信号処理部44はさらに、送受信バッファ45(送信バッファTX1〜TXn、受信バッファRX1〜RXn)と、多重/分離部46とを備えている。上り方向(下流から上流へ)には、LAN信号が、データ交換部42及び信号処理部44によって多重化された信号となる。下り方向には、多重化された信号が、信号処理部44及びデータ交換部42によってLAN信号に変換される。
【0023】
図4は、多重化の一例として上り下り信号並びに各子機との通信を時分割多重化したケースを示す図である。通信モデム4Mは、ノードn(子機等)に論理チャネルを割り当てて、論理チャネルn向けの送信データTn(T1,T2,・・・,Tn)と、論理チャネルnからの受信データRn(R1,R2,・・・,Rn)とを、時間軸上に、図示のように構成する。
【0024】
図5は、図1における事務所OF内の配線のみを示す接続図である。図において、通信モデム4Sには、電力量監視を行う情報処理装置としてのパソコン11が接続されている。子機用スプリッタ8は、親機用スプリッタ3(図2)とは異なり、単一の電話線について、電話信号とデータ通信の信号とを重畳/分離する装置である。また、前述のように、予備線Tsが使用可能であれば、二点鎖線で示すような接続が可能であり、この場合には、子機用スプリッタ8が不要となる。
【0025】
上記のような、電話線を伝送線とするネットワークでは、親機用スプリッタ3により複数の電話線に対して基端側での信号注入・抽出を可能にしたことと、信号の多重化方式とにより、1台の親機(通信モデム4M)で複数台(n台)の子機(通信モデム4S、測定用モデム9)と1:nの通信を行うことができる。そのため、親機である通信モデム4Mは1台で足り、占有スペースが小さいので、MDF室R内に容易に設置することができる。また、多重化方式により信号が伝送されるため、各子機の信号相互の干渉を防止することができる。
【0026】
なお、構内等で使用される電話線は、本来は電話番号(内線番号)ごとに独立した線であり、相互に繋がってはいないので、電話線同士で信号の漏洩や干渉が生じることは、基本的にはない。しかしながら、電話線は同軸線のようなシールド構造ではないため、音声信号よりはるかに高い周波数信号(データ信号)を伝送すると、電話線同士が近接していなくても、漏洩や干渉が生じる場合がある。そこで、上記のような多重化方式の採用によって、漏洩しても干渉しないようにするのである。
【0027】
次に、図6は、図1における工場FA1又はFA2内の配線の詳細を示す接続図である。図において、分電盤10内には、主幹のブレーカ(遮断器)Bの下に、銅バー12を介して、複数(10個例示)の負荷系統(フィーダ)ごとのブレーカB1〜B10が設けられている。なお、この図は単線図であるが、実際の銅バー12の数(電路数)は、単相2線式では2本、単相3線式又は3相3線式では3本である。測定用モデム9は、分電盤10内に取り付けられ、その電源コードP(2芯線)がブレーカBに接続されている。これにより、測定用モデム9は、商用交流電圧の供給を受けると共に、PLCモデムとしての機能によって、銅バー12等の分電盤内の電力線を伝送線とした電力線通信が可能となっている。
【0028】
一方、ブレーカB1〜B5を例に挙げて説明すると(B6〜B10についても同様。)、各ブレーカB1〜B5の2次側(負荷側)にはそれぞれ、ケーブルの絶縁電線C1〜C5が接続されている。絶縁電線C1〜C5にはそれぞれ、負荷電流測定用の測定端末装置S1〜S5(総称Sとする。)が取り付けられている。
【0029】
測定端末装置Sは、例えば、クランプ型の電流センサに、PLCモデムとしての電子回路を一体搭載したものである。クランプ型であることにより、既設のケーブルに対しても容易に取り付けることができる。測定端末装置S1〜S5は、それぞれ、電源コードP1〜P5(2芯線)が、対応するブレーカB1〜B5に接続されている。これにより、測定端末装置Sは、商用交流電圧の供給を受けると共に、PLCモデムとしての機能によって、絶縁電線C1〜C6から銅バー12等、分電盤内の電力線を伝送線とした電力線通信が可能となっている。
【0030】
図7は、測定端末装置S(S1〜S5)に搭載される機能のブロック図である。図において、電流センサScは絶縁電線(C1〜C5)に流れる負荷電流を検出する。電流センサScの出力はA/D変換部Saでデジタル信号に変換され、データ交換部S92に提供される。データ交換部S92及び信号処理部S98は、CPU:S93の制御下で、負荷電流の情報を、多重化されたPLC信号に変換し、電力線結合部S99を介して電力線に送出する。
【0031】
図8は、測定用モデム9に搭載される機能のブロック図である。この測定用モデム9において、データ交換部92及びCPU93、並びに、これらから見て上位側(図の右側)にある信号処理部94及び信号入出力部97が、電話線を利用した多重化によるデータ通信の機能部分である。信号処理部94や信号入出力部97の機能は、それぞれ、図3に示した通信用モデム4Mにおける信号処理部44及び信号入出力部47と同様である。従って、測定用モデム9は、通信用モデム4M,4Sと通信可能である。
【0032】
一方、測定用モデム9において、データ交換部92及びCPU93並びに、これらから見て下位側(図の左側)にある信号処理部98及び電力線結合部99が、電力線を利用した多重化によるデータ通信の機能部分である。従って、測定用モデム9は、測定端末装置Sとの電力線通信が可能である。また、データ交換部92にはメモリ90が接続されている。
【0033】
上り方向には、測定端末装置Sから、負荷電流の情報が、電力線に重畳された多重化信号として送られてくる。この信号は、電力線結合部99を介して信号処理部98で復調され、信号処理部98又はデータ交換部92において、電圧、負荷電流、時間から、電力量[WH]を求め、積算する。電力量の積算値はメモリ90に一時保存される。このようにして、測定用モデム9は、全ての測定端末装置S(S1〜S5)から送信されてくる負荷電流の情報に基づいて、負荷系統ごとの電力量を積算し、メモリ90に記憶している。
【0034】
メモリ90に記憶された電力量の情報は、情報提供のタイミングごとに、電話線を介した多重化信号として送信され、親機の通信モデム4Mを経由して、子機の通信モデム4Sからパソコン11(図5)に提供される。こうして、分電盤10での測定に基づく各負荷系統の電力量情報を、電力線を媒体とするネットワークから電話線を媒体とするネットワークを経て、容易に取得することができる。
【0035】
上記の「情報提供のタイミング」とは、例えば、パソコン11からの定期的な問い合わせがあったとき、である。
また、問い合わせに応じるという受動的な方式ではなく、測定用モデム9の方から、一定時間(例えば1分)ごとに使用電力量をパソコン11に通知してもよい。
また、時間ではなく、使用電力量が一定値に達したらパソコン11に通知する、という方式でもよい。
【0036】
なお、電力量の積算の仕方、情報提供のタイミング、及び、リセットの仕方等は、上記のいずれかに限定される訳ではなく、種々のバリエーションがあり得る。要するに、測定用モデム9で一旦電力量を取得して、逐次、散発的に、その情報(数値の報告)をパソコン11に提供する、という形であればよい。
【0037】
上記のように構成された電力量監視システムでは、既存の電話線を利用して測定用子機(測定用モデム9)から電力量の情報を送信することができる。また、パルスを発する電力量計も不要である。電力量は積算される値であるため散発的な情報送信に適し、情報量としても少ないので、親機・子機間では高い通信速度が要求されない。すなわち、比較的低速で安価な親機・子機の採用が可能となる。このようにして、安価に導入できる簡易な電力量監視システムを提供することができる。なお、具体的には、例えば2Mbpsや、500kbpsのような低速でも、電力量情報の送信には特に支障がない。
【0038】
また、電力量情報は、分電盤10内での電力線通信により、測定端末装置Sから提供される負荷電流の情報に基づいて測定用モデム9により取得することができるので、電力量の情報を取得するためのネットワーク構成を容易に、かつ、コンパクトに実現することができる。
【0039】
なお、上記実施形態では測定端末装置Sから測定用モデム9に負荷電流の情報が提供されるものとしたが、測定端末装置Sに搭載されるICチップがある程度の演算能力を有する場合には、測定端末装置Sにおいて電力量を求め、その電力量の情報を測定用モデム9に提供することも可能である。この場合、測定用モデム9は、提供された電力量の情報を単に取得して、通信モデム4M,4Sに転送すればよい。なお、電力量の情報は、[WH]を示すアナログ量、又は、単位電力量毎に発生させたパルスのカウント数(デジタル量)とすることができる。
【0040】
なお、上記実施形態では、上位側の伝送線として電話線を用いたが、工場内ではシーケンサ/プログラマブル・ロジック・コントローラ等の制御機器用に制御線としてペア線が広範に敷設されていることが多いので、電話線に代えて、このような制御線を使用することも可能である。また、制御線の範疇に属するものとしては、他に、放送用電線、インターホン用電線、火災報知器用電線、同軸線等があるので、そのいずれかを用いることも可能である。
【0041】
また、上記実施形態では分電盤10内の伝送線として電力線を使用したが、必ずしも電力線通信に依存しなくてもよい。例えば、図9は、図6とは異なる構成による分電盤10内の接続図である。図9において、負荷電流測定用の測定端末装置(センサ)S11〜S15はそれぞれ、出力信号を、制御線等の専用線L1〜L5を介して測定用モデム9に伝送する。測定用モデム9はアナログ又はデジタルの入力ポートを有しており、測定端末装置S11〜S15から出力される信号(負荷電流又は電力量)に基づいて、電力量の情報を取得することができる。この場合、測定端末装置S11〜S15や測定用モデム9には電力線通信等の多重化通信機能は必要でないので、内部回路は簡素化される。
【0042】
なお、電力量監視用のパソコン11は、親機の通信モデム4Mに接続してMDF室Rやその近傍に設置することも可能である。
また、2以上の電力量監視用のパソコン11を、子機又は親機の通信モデム4M,4Sに接続することも可能である。
【0043】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0044】
3 親機用スプリッタ
4M 通信モデム(親機)
4S 通信モデム(子機)
8 子機用スプリッタ
9 測定用モデム(測定用子機)
10 分電盤
11 パソコン(情報処理装置)
L1〜L5 専用線
S(S1〜S5,S11〜S15) 測定端末装置
T 電話線
Ts 予備線(予備の電話線)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親機・子機間の通信を利用する電力量監視システムであって、
構内に設けられた分電盤から負荷系統に供給する負荷電流を測定し、測定した負荷電流の情報若しくは当該負荷電流に基づいて求めた電力量の情報を送信する機能を有する測定端末装置と、
前記測定端末装置から前記情報を受信し、電力量の情報を取得する測定用子機と、
前記構内に設けられた電話線又は制御線を利用した伝送線を介して多重化方式で前記測定用子機を含む複数の子機と通信可能な親機と、
前記測定用子機を除く子機及び前記親機のうち少なくとも1つに接続され、前記測定用子機で取得された電力量の情報を受信可能な電力量監視用の情報処理装置と
を備えたことを特徴とする電力量監視システム。
【請求項2】
前記測定用子機は、前記分電盤内で、電力線を介して多重化方式で前記測定端末装置から前記情報を受信する請求項1記載の電力量監視システム。
【請求項3】
前記測定用子機は入力ポートを有し、前記測定端末装置から専用線を介して当該入力ポートにて前記情報を受信する請求項1記載の電力量監視システム。
【請求項4】
前記伝送線は電話線であって、
前記電話線の子機側終端に設けられ、電話信号と前記電力量の情報とを分離又は混合する子機用スプリッタと、
前記電話線の親機側に設けられ、複数の電話線を対象として共通のデータ信号を注入し、当該電話線からデータ信号を抽出することの可能な親機用スプリッタと、が設けられており、
前記子機用スプリッタを介して前記子機が接続され、前記親機用スプリッタを介して前記親機が接続されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の電力量監視システム。
【請求項5】
前記伝送線は、電話線として使用されていない予備の電話線である請求項1〜3のいずれか1項に記載の電力量監視システム。
【請求項6】
前記制御線は、機器制御用のペア線、放送用電線、インターホン用電線、火災報知器用電線、同軸線のいずれか1つである請求項1〜3のいずれか1項に記載の電力量監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−24157(P2011−24157A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−169739(P2009−169739)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【出願人】(502312498)住友電工ネットワークス株式会社 (212)
【Fターム(参考)】