説明

電動システム

【課題】適切な状態のときだけに自己診断を実施して正確な異常判定を行わせることが可能な電動システムを提供する。
【解決手段】燃料電池12と、燃料電池12からの電力を昇圧するFC昇圧コンバータ14とを備え、FC昇圧コンバータ14の各種状態を検出し、その検出結果に応じてFC昇圧コンバータ14を自己診断する燃料電池システム11からなる電動システムであって、FC昇圧コンバータ14の各種状態の検出結果の信頼性が低下している信頼性低下条件に当てはまる場合に、FC昇圧コンバータ14の自己診断が禁止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給源からの電力を昇圧するコンバータを備えた電動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、燃料電池システムとして、蓄電装置と燃料電池との間に接続されるDC/DCコンバータの電流センサの故障を1次側電力と2次側電力の偏差により検知する故障検知部と、故障検知部をDC/DCコンバータのコンバータ通過パワー効率が著しく低下する領域を除いて機能させる故障検知領域設定部と、を有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−124589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、燃料電池システム等の電動システムは、ダイアグノーシス(自己診断機能)でコンバータの異常判定が行われる。しかし、コンバータの部品や基板上の素子が正常動作しない状態で自己診断が実施されると、異常判定が正確に行われなくなるおそれがある。
【0005】
上記の特許文献1のシステムでは、コンバータ通過パワー効率が著しく低下する領域を除いて故障検知部を機能させることが記載されているが、このように、コンバータ通過パワー効率が著しく低下する領域を除いて故障検知部を機能させるだけでは、コンバータの部品や基板上の素子が正常動作しない状態で自己診断を禁止させて異常判定の誤検出を回避する条件としては不十分であった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、適切な状態のときだけに自己診断を実施して正確な異常判定を行わせることが可能な電動システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の電動システムは、電力供給源と、該電力供給源からの電力を昇圧する昇圧コンバータとを備え、
前記昇圧コンバータの各種状態を検出し、その検出結果に応じて前記昇圧コンバータを自己診断する電動システムであって、
前記昇圧コンバータの各種状態の検出結果の信頼性が低下している信頼性低下条件に当てはまる場合に、前記昇圧コンバータの自己診断が禁止される。
【0008】
この構成によれば、自己診断で判定するための各種状態の検出結果の信頼性が低下しているときには、自己診断を禁止させるので、不適切な自己診断による誤検出を抑制することができる。
【0009】
本発明の電動システムにおいて、前記昇圧コンバータは、複数のリアクトルを備えた多相コンバータであっても良い。
【0010】
本発明の電動システムにおいて、前記自己診断の項目は、前記昇圧コンバータにおける過電流異常、素子過熱異常、回路異常及び過電圧異常であっても良い。
【0011】
本発明の電動システムにおいて、前記昇圧コンバータの各種状態を検出する複数のセンサを備え、前記信頼性低下条件は、前記センサが接続された電源異常、前記センサが接続されたバッテリの電圧低下、前記センサが接続された駆動回路内電源の電圧低下、駆動回路のA/Dコンバータ異常、駆動回路のCPU起動直後であっても良い。
【0012】
本発明の電動システムにおいて、燃料ガスと酸化ガスの電気化学反応によって発電する燃料電池を前記電力供給源として備えても良い。
【発明の効果】
【0013】
本発明の電動システムによれば、適切な状態のときだけに自己診断を実施して正確な異常判定を行わせることが可能な電動システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る電動システムである燃料電池システムの概略回路図である。
【図2】過電流等の自己診断を説明するフローチャートである。
【図3】回路異常の自己診断を説明するフローチャートである。
【図4】出力側過電圧等の自己診断を説明するフローチャートである。
【図5】入力側過電圧等の自己診断を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る電動システムの実施形態について説明する。なお、本実施形態では、本発明に係る電動システムとして、燃料電池車両(FCHV;Fuel Cell Hybrid Vehicle)の燃料電池システムを例にとって説明する。
【0016】
図1を参照して、本実施形態における燃料電池システムの構成について説明する。
図1に示すように、燃料電池システム11は、反応ガスである酸化ガスと燃料ガスの電気化学反応により電力を発生する燃料電池(電力供給源)12を備えている。
【0017】
燃料電池12は、例えば、高分子電解質形燃料電池であり、多数の単セルを積層したスタック構造となっている。単セルは、イオン交換膜からなる電解質の一方の面に空気極を有し、他方の面に燃料極を有し、さらに空気極および燃料極を両側から挟み込むように一対のセパレータを有する構造となっている。この場合、一方のセパレータの水素ガス流路に水素ガスが供給され、他方のセパレータの酸化ガス流路に酸化ガスである空気が供給され、これらの反応ガスが化学反応することで電力が発生する。
【0018】
この燃料電池12は、車両を走行させるための駆動モータ(駆動源、負荷)13に接続されており、駆動モータ13へ電力を供給する。この燃料電池12から駆動モータ13への電力供給経路には、燃料電池12側から順に、FC昇圧コンバータ(昇圧コンバータ)14、コンデンサ15及び駆動インバータ16が接続されている。
【0019】
このように、燃料電池システム11では、燃料電池12で発電された電力がFC昇圧コンバータ14で昇圧され、駆動インバータ16を介して駆動モータ13へ給電される。
【0020】
FC昇圧コンバータ14は、多相のコンバータであるマルチフェーズコンバータであり、複数(本例では4つ)のコンバート部31a〜31dを備えている。これらのコンバート部31a〜31dは、それぞれリアクトル32、トランジスタ33及びダイオード34を備えている。
【0021】
駆動モータ13は、例えば三相交流モータであり、駆動モータ13が接続された駆動インバータ16は、直流電流を三相交流に変換し、駆動モータ13に供給する。
【0022】
また、燃料電池システム11は、駆動モータ13へ電力を供給するバッテリ21を備えている。このバッテリ21から駆動モータ13への電力供給経路には、バッテリ昇圧コンバータ23が接続されている。本発明に係る燃料電池システムは、このバッテリ昇圧コンバータ23を備えていない構成であってもよい。
【0023】
このバッテリ21の電力供給経路は、燃料電池12の電力供給経路に接続されており、バッテリ21からの電力が駆動モータ13へ供給可能とされている。
【0024】
本実施形態のバッテリ昇圧コンバータ23は、直流の電圧変換器であり、バッテリ21から入力された直流電圧を調整して駆動モータ13側へ出力する機能と、燃料電池12または駆動モータ13から入力された直流電圧を調整してバッテリ21に出力する機能と、を有する。このようなバッテリ昇圧コンバータ23の機能により、バッテリ21の充放電が実現される。また、バッテリ昇圧コンバータ23により、燃料電池12の出力電圧が制御される。バッテリ21は、余剰電力を充電したり補助的に電力を供給したりすることが可能になっている。
【0025】
燃料電池システム11は、揮発性メモリ40を有するECU(制御部)41を備えている。このECU41には、燃料電池12、FC昇圧コンバータ14、バッテリ21、バッテリ昇圧コンバータ23、駆動インバータ16及び駆動モータ13が接続されており、ECU41は、これらの燃料電池12、FC昇圧コンバータ14、バッテリ21、バッテリ昇圧コンバータ23、駆動インバータ16及び駆動モータ13を制御する。
【0026】
マルチフェーズコンバータからなるFC昇圧コンバータ14は、駆動回路や保護回路等の回路を有する制御基板を搭載したIPM(Intelligent Power Module)を備えている。
【0027】
そして、上記の燃料電池システム11では、FC昇圧コンバータ14のIPMを自己診断するダイアグノーシス(自己診断機能)で異常判定が行われる。このダイアグノーシスは、FC昇圧コンバータ14に設けられた各センサからの検出結果に基づいて実施される。
【0028】
この自己診断の項目としては、過電流異常、素子過熱異常、回路異常及び過電圧異常がある。
【0029】
過電流異常が生じた場合は、電流が正常値となれば回復し、また、素子過熱異常が生じた場合も、温度が正常値となれば回復する。しかし、回路異常が生じた場合は、IPMの回路自体に破損や欠陥が生じているため修理が必要となる。また、過電圧異常が生じた場合は、IPMの電気・電子部品の破損・損傷が生じるため、やはり、修理が必要となる。
【0030】
例えば、燃料電池12を備えた燃料電池システム11では、燃料電池12から大電流が流されるため、この燃料電池12の電流を昇圧するFC昇圧コンバータ14としては、前述したような複数のコンバート部31a〜31dを備えた多相のコンバータであるマルチフェーズコンバータが用いられる。このような多相のコンバータでは、各相への電流を均等に分配させるようにしても、各相に流される電流にバラツキが生じて許容値を超えた電流が流されるおそれがある。また、トータルの電流値が許容値以内であっても、何れかの相の電流が低いと、他の相で許容値を超えた過電流が流されるおそれもある。したがって、FC昇圧コンバータ14として多相のコンバータを備えたシステムでは、FC昇圧コンバータ14における過電流異常を自己診断できることが好ましい。
【0031】
自己診断のためのセンサとしては、リアクトル電流センサS1、IPM素子温度センサS2、IPMFAIL状態時間検出センサS3、出力側電圧センサS4及び入力側電圧センサS5がある。
【0032】
そして、自己診断機能では、リアクトル32の電流が過電流である場合に過電流フラグが立てられ、トランジスタやダイオード等の素子の温度が過熱している場合に過熱フラグが立てられる。また、FC昇圧コンバータ14の出力側の電圧(FVH)が過電圧である場合にFVH過電圧フラグが立てられ、FC昇圧コンバータ14の入力側の電圧(FVL)が過電圧である場合にFVL過電圧フラグが立てられる。
【0033】
リアクトル電流センサS1は、FC昇圧コンバータ14に設けられた電源の+極及び−極に接続されている。IPMFAIL状態時間検出センサS3は、IPMの駆動回路内の電源に接続されている。IPM素子温度センサS2、出力側電圧センサS4及び入力側電圧センサS5は、IPMの回路に接続されたバッテリの電極に接続されている。
【0034】
次に、各種の自己診断について説明する。
(過電流等の自己診断)
過電流等の自己診断について、図2のフローチャートに沿って説明する。
【0035】
IPMFAIL状態時間検出センサS3からの信号に基づいて、IPMFAIL状態の異常の継続時間が診断開始時間(50ms)以上継続すると、診断が開始される(ステップS01)。
【0036】
リアクトル電流センサS1からの検出結果に基づいて、リアクトル32に過電流が流れているか否かの過電流判定を行う(ステップS02)。
【0037】
この過電流判定(ステップS02)の結果、リアクトル32に過電流が流れている(過電流フラグあり)と判定されると、過電流異常(ステップS03)と診断する。
【0038】
過電流判定(ステップS02)の結果、リアクトル32に過電流が流れていない(過電流フラグなし)と判定されると、IPM素子温度センサS2からの検出結果に基づいて、IPMの素子が過熱状態であるか否かの過熱判定を行う(ステップS04)。
【0039】
この過熱判定(ステップS04)の結果、IPMの素子が過熱状態である(過熱フラグあり)と判定されると、過熱異常(ステップS05)と診断する。
【0040】
過熱判定(ステップS05)の結果、IPMの素子が過熱状態でない(過熱フラグなし)と判定されると、IPMFAIL状態時間検出センサS3からの信号に基づいて、IPMFAIL状態の異常の継続時間が回路異常判定時間(200ms)未満か否かの回路異常判定を行う(ステップS06)。
【0041】
この回路異常判定(ステップS06)の結果、IPMFAIL状態の異常の継続時間が回路異常判定時間(200ms)未満であると判定されると、過電流異常(ステップS03)と診断する。
【0042】
回路異常判定(ステップS06)の結果、IPMFAIL状態の異常の継続時間が回路異常判定時間(200ms)以上であると判定されると、IPMの回路異常(ステップS07)と診断する。
【0043】
なお、過電流異常または過熱異常は、IPMFAIL状態の異常の継続時間が復帰時間(200ms)を経過した後に確定する。
【0044】
(回路異常の自己診断)
回路異常の自己診断について、図3のフローチャートに沿って説明する。
【0045】
IPMFAIL状態時間検出センサS3からの信号に基づいて、IPMFAIL状態の異常の継続時間が診断開始時間(50ms)以上継続すると、診断が開始される(ステップS11)。
【0046】
IPMFAIL状態時間検出センサS3からの信号に基づいて、IPMFAIL状態の異常の継続時間が、重度回路異常判定時間(400ms)未満でIPMFAIL状態が正常に復帰したか否かの回路異常判定を行う(ステップS12)。
【0047】
この回路異常判定(ステップS12)の結果、IPMFAIL状態が正常に復帰されたと判定されると、IPMの回路異常を確定しない(ステップS13)。
【0048】
回路異常判定(ステップS12)の結果、IPMFAIL状態が正常に復帰されていないと判定されると、IPMの回路異常を確定し(ステップS14)、重度の回路異常と診断する。
【0049】
(出力側過電圧等の自己診断)
出力側過電圧等の自己診断について、図4のフローチャートに沿って説明する。
【0050】
IPMFAIL状態時間検出センサS3からの信号に基づいて、IPMFAIL状態の異常の継続時間が診断開始時間(50ms)以上継続すると、診断が開始される(ステップS21)。
【0051】
出力側電圧センサS4からの検出結果に基づいて、出力電圧(FVH)が過電圧であるか否かの出力過電圧判定を行う(ステップS22)。
【0052】
この出力過電圧判定(ステップS22)の結果、出力電圧が過電圧である(FVH過電圧フラグあり)と判定されると、過電圧異常(ステップS23)と診断する。
【0053】
出力過電圧判定(ステップS22)の結果、出力電圧が過電圧でない(FVH過電圧フラグなし)と判定されると、IPMFAIL状態時間検出センサS3からの信号に基づいて、IPMFAIL状態の異常の継続時間が回路異常判定時間(200ms)未満か否かの回路異常判定を行う(ステップS24)。
【0054】
この回路異常判定(ステップS24)の結果、IPMFAIL状態の異常の継続時間が回路異常判定時間(200ms)未満であると判定されると、過電圧異常(ステップS23)と診断する。
【0055】
回路異常判定(ステップS24)の結果、IPMFAIL状態の異常の継続時間が回路異常判定時間(200ms)以上であると判定されると、IPMの回路異常(ステップS25)と診断する。
【0056】
なお、過電圧異常は、IPMFAIL状態の異常の継続時間が復帰時間(200ms)を経過した後に確定する。
【0057】
(入力側過電圧等の自己診断)
入力側過電圧等の自己診断について、図5のフローチャートに沿って説明する。
【0058】
IPMFAIL状態時間検出センサS3からの信号に基づいて、IPMFAIL状態の異常の継続時間が診断開始時間(50ms)以上継続すると、診断が開始される(ステップS31)。
【0059】
入力側電圧センサS5からの検出結果に基づいて、入力電圧(FVL)が過電圧であるか否かの入力過電圧判定を行う(ステップS32)。
【0060】
この入力過電圧判定(ステップS32)の結果、入力電圧が過電圧である(FVL過電圧フラグあり)と判定されると、過電圧異常(ステップS33)と診断する。
【0061】
入力過電圧判定(ステップS32)の結果、入力電圧が過電圧でない(FVL過電圧フラグなし)と判定されると、IPMFAIL状態時間検出センサS3からの信号に基づいて、IPMFAIL状態の異常の継続時間が回路異常判定時間(200ms)未満か否かの回路異常判定を行う(ステップS34)。
【0062】
この回路異常判定(ステップS34)の結果、IPMFAIL状態の異常の継続時間が回路異常判定時間(200ms)未満であると判定されると、過電圧異常(ステップS33)と診断する。
【0063】
回路異常判定(ステップS34)の結果、IPMFAIL状態の異常の継続時間が回路異常判定時間(200ms)以上であると判定されると、IPMの回路異常(ステップS35)と診断する。
【0064】
なお、過電圧異常は、IPMFAIL状態の異常の継続時間が復帰時間(200ms)を経過した後に確定する。
【0065】
ところで、前述したように、リアクトル電流センサS1は、FC昇圧コンバータ14に設けられた電源の+極及び−極に接続されている。IPMFAIL状態時間検出センサS3は、IPMの駆動回路内の電源に接続されている。IPM素子温度センサS2、出力側電圧センサS4及び入力側電圧センサS5は、IPMの回路に接続されたバッテリの電極に接続されている。
【0066】
このため、リアクトル電流センサS1は、FC昇圧コンバータ14の電源に異常があると検出結果の信頼性が低下する。また、IPM素子温度センサS2、出力側電圧センサS4及び入力側電圧センサS5は、バッテリの電圧が基準値より低下していると検出結果の信頼性が低下する。さらに、IPMFAIL状態時間検出センサS3は、IPMの駆動回路内の電源の電圧が基準値より低下していると検出結果の信頼性が低下する。
【0067】
このように、リアクトル電流センサS1、IPM素子温度センサS2、IPMFAIL状態時間検出センサS3、出力側電圧センサS4及び入力側電圧センサS5の検出結果の信頼性が低下した状態で、これらのセンサS1〜S5の検出結果に基づいて自己診断を実施すると、過電流異常、素子過熱異常、回路異常及び過電圧異常を誤検出してしまうおそれがある。
【0068】
このため、本実施形態では、リアクトル電流センサS1、IPM素子温度センサS2、IPMFAIL状態時間検出センサS3、出力側電圧センサS4及び入力側電圧センサS5の信頼性が低下する条件が成立するときは、自己診断の機能保証が得られないため、自己診断を禁止する。
【0069】
また、IPM内の制御基板のA/Dコンバータに異常が生じている状態やIPMのCPUが起動直後(300ms)である状態のときも、自己診断の機能保証が得られない場合がある。したがって、本実施形態では、このような状態のときも自己診断を禁止する。
【0070】
具体的には、次の信頼性低下条件(1)〜(5)が設定されており、これらの信頼性低下条件(1)〜(5)のいずれかの条件が成立したときは、自己診断を禁止する。
【0071】
(信頼性低下条件)
(1)FC昇圧コンバータ14の電源異常
(2)バッテリの電圧低下
(3)IPM駆動回路内電源の電圧低下
(4)A/Dコンバータ異常
(5)CPU起動直後(300ms)
【0072】
このように、上記実施形態に係る燃料電池システム11からなる電動システムによれば、自己診断で判定するための各種状態の検出結果の信頼性が低下しているときには、自己診断を禁止させるので、不適切な自己診断による誤検出を抑制することができる。つまり、適切な状態のときだけに自己診断を実施して正確な異常判定を行わせることができる。
【0073】
なお、信頼性低下条件(2)については、性能保証電圧からの断線に対して、IPMのCPUで電圧低下フラグを立てる前にFail信号を出力しない。この電圧低下フラグは、バッテリの電圧モニタからの電圧値が所定値以下となったときに立てられる。これにより、FC昇圧コンバータ14の上流側のリレーやコネクタなどの不具合で、FC昇圧コンバータ14の交換が必要な異常と自己診断することが抑制される。
【0074】
また、上記実施形態では、本発明を燃料電池システムに適用した場合を例示したが、本発明は、電動システムであれば、ハイブリッドシステムやプラグインハイブリッドシステム等にも適用可能である。
【0075】
また、上述した実施形態においては、本発明に係る電動システムは、車両以外の各種移動体(ロボット、船舶、航空機等)にも適用することができる。
【符号の説明】
【0076】
11…燃料電池システム(電動システム)、12…燃料電池(電力供給源)、14…FC昇圧コンバータ(昇圧コンバータ)、32…リアクトル、S1…リアクトル電流センサ(センサ)、S2…IPM素子温度センサ(センサ)、S3…IPMFAIL状態時間検出センサ(センサ)、S4…出力側電圧センサ(センサ)、S5…入力側電圧センサ(センサ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給源と、該電力供給源からの電力を昇圧する昇圧コンバータとを備え、
前記昇圧コンバータの各種状態を検出し、その検出結果に応じて前記昇圧コンバータを自己診断する電動システムであって、
前記昇圧コンバータの各種状態の検出結果の信頼性が低下している信頼性低下条件に当てはまる場合に、前記昇圧コンバータの自己診断が禁止される電動システム。
【請求項2】
前記昇圧コンバータは、複数のリアクトルを備えた多相コンバータである請求項1に記載の電動システム。
【請求項3】
前記自己診断の項目は、前記昇圧コンバータにおける過電流異常、素子過熱異常、回路異常及び過電圧異常である請求項1または請求項2に記載の電動システム。
【請求項4】
前記昇圧コンバータの各種状態を検出する複数のセンサを備え、
前記信頼性低下条件は、前記センサが接続された電源異常、前記センサが接続されたバッテリの電圧低下、前記センサが接続された駆動回路内電源の電圧低下、駆動回路のA/Dコンバータ異常、駆動回路のCPU起動直後である請求項1から3のいずれか一項に記載の電動システム。
【請求項5】
燃料ガスと酸化ガスの電気化学反応によって発電する燃料電池を前記電力供給源として備えた請求項1から4のいずれか一項に記載の電動システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−99025(P2013−99025A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237217(P2011−237217)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】