説明

電動パワーステアリング装置を備える不整地走行車両

【課題】 電動パワーステアリング装置を備える電動モータを効果的に冷却する。
【解決手段】 ステアリングシャフト38にほぼ直交するように電動パワーステアリング装置24に備える電動モータ96を配置し、ステアリングシャフト38の後方に且つシート下に、エンジン12及びこのエンジン12に接続した排気管68を配置した不整地走行車両において、電動モータ96の後方であってエンジン12又は排気管68の前方に、電動モータ96を冷却するための強制空冷ファン101を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動パワーステアリング装置を備える不整地走行車両の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電動パワーステアリング装置を備える不整地走行車両として、エンジンの前方に電動パワーステアリング装置を配置したものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−231011公報
【0003】
特許文献1の図1及び図2に示される通り、駆動モータ60を備える電動パワーステアリング装置は、不整地走行用小型四輪車1に搭載したエンジンユニット3及びこのエンジン3の前部から後方へ延ばした排気管38の前方に配置される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、車両が走行中には、発熱した駆動モータ60は走行風により冷却されるが、特に、車両が停止あるいは低速で走行中は、駆動モータ60の走行風による冷却は期待できず、また、エンジンユニット3及び排気管38で発生した熱が直接に駆動モータ60に放射し、駆動モータ60の温度が上昇することに配慮する必要がある。
【0005】
本発明の目的は、電動パワーステアリング装置を備える不整地走行車両を改良することで、電動モータを効果的に冷却することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、ステアリングシャフトにほぼ直交するように電動パワーステアリング装置に備える電動モータを配置し、ステアリングシャフトの後方に且つシート下に、エンジン及びこのエンジンに接続した排気管を配置した不整地走行車両において、電動モータの後方であってエンジン又は排気管の前方に、空冷ファンを設けたことを特徴とする。
【0007】
電動モータの後方に位置する空冷ファンで電動モータの周囲に導風し、電動モータを空冷する。また、エンジン又は排気管の前方に位置する空冷ファンでエンジン及び排気管で発生する熱が電動モータに放射しないように遮る。
【0008】
請求項2に係る発明は、側面視で、電動モータと空冷ファンとを同一の高さに配置したことを特徴とする。
空冷ファンによって、この空冷ファンと同一高さにある電動モータの周囲に効果的に導風する。
【0009】
請求項3に係る発明は、車体フレームを構成する構成部材の内側に電動モータを配置したことを特徴とする。
車体フレームを構成する構成部材の内側に配置される電動モータは、その外側の構成部材により保護される。構成部材は、電動モータの側方を完全に覆うものではないから、構成部材の周囲からの通気によって電動モータが放熱し易くなる。
【0010】
請求項4に係る発明は、電動モータの外側方にサイドカバーを配置するとともに、電動モータの下方斜め前方に保護板を配置したことを特徴とする。
サイドカバーで電動モータの外側方が覆われ、また、保護板で電動モータの下方斜め前方が覆われ、電動モータに直接に飛び石等が当りにくく、水、泥等が被りにくい。
【0011】
請求項5に係る発明は、エンジンの側方を覆うボディサイドカバーに開口を設けたことを特徴とする。
ボディサイドカバーの開口から電動モータ、エンジン及び排気管で発生した熱が外部に逃げる。
【0012】
請求項6に係る発明は、空冷ファンで、車両前方から後方へ空気流を発生させ、電動モータと、空冷ファンの後方のエンジン又は排気管との両方を冷却可能としたことを特徴とする。
空冷ファンで発生させた車両前方から後方への空気流を、空冷ファン前方の電動モータと、空冷ファン後方のエンジン又は排気管とに当てる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明では、電動モータの後方であってエンジン又は排気管の前方に空冷ファンを設けたので、特に、車両の停止時及び低速時に、電動モータで発生する熱を空冷ファンで空冷することができ、更に、空冷ファンによって、エンジン及び排気管で発生した熱が電動モータに放射しないように遮熱することができて、電動モータを効果的に冷却することができる。
【0014】
請求項2に係る発明では、側面視で、電動モータと空冷ファンとを同一の高さに配置したので、空冷ファンによって、電動モータの周囲に効果的に導風することができ、電動モータの冷却効果を高めることができる。
【0015】
請求項3に係る発明では、車体フレームの構成部材の内側に電動モータを配置したので、車体フレームの構成部材で電動モータの側方が覆れ、電動モータを保護することができるとともに、通気性を確保して電動モータの放熱を促すことができる。
【0016】
請求項4に係る発明では、電動モータの外側方にサイドカバーを配置するとともに、電動モータの下方斜め前方に保護板を配置したので、サイドカバーで電動モータの外側方が覆われ、且つ保護板で電動モータの下方斜め前方が覆われて、電動モータへの直接の飛び石等や水、泥等の飛散をより一層防止することができる。
【0017】
請求項5に係る発明では、エンジンの側方を覆うボディサイドカバーに開口を設けたので、ボディサイドカバーによって電動モータの熱やエンジン、排気管の熱を開口からの排風によって外部に逃がすことができる。
【0018】
請求項6に係る発明では、空冷ファンで、車両前方から後方へ空気流を発生させ、電動モータと、空冷ファンの後方のエンジン又は排気管の両方を冷却可能としたので、空冷ファンで発生させた車両前方から後方への空気流で、電動モータと、エンジン又は排気管とを効果的に冷却することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る電動パワーステアリング装置を備える不整地走行車両の側面図であり、不整地走行車両10は、車体フレーム11の中央部にエンジン12及び変速機13からなるパワーユニット14を搭載し、変速機13の前部にフロントプロペラシャフト16を介してフロント終減速装置17を連結し、このフロント終減速装置17に図示せぬドライブシャフトを介して左右の前輪18,18に連結し、変速機13の後部にリヤプロペラシャフト21を介してリヤ終減速装置22を連結し、このリヤ終減速装置22に図示せぬドライブシャフトを介して左右の後輪23,23を連結し、前輪18,18を操舵する操舵力を軽減する電動パワーステアリング装置24を備えた四輪駆動車である。
【0020】
車体フレーム11は、前後に延ばした左右一対のアッパメインフレーム31,32(手前側の符号31のみ示す。)と、これらのアッパメインフレーム31,32の前端にそれぞれ連結した正面視逆U字形状のフロントフレーム33と、このフロントフレーム33の下端及びアッパメインフレーム31,32の中間部のそれぞれに連結した左右一対のロアメインフレーム34,36(手前側の符号34のみ示す。)と、上端にハンドル37を取付けたステアリングシャフト38の上部を回転自在に支持するためにフロントフレーム33の上端及びアッパメインフレーム31,32のそれぞれに連結した左右一対のくの字形状のフロントアッパフレーム41,42(手前側の符号41のみ示す。)と、アッパメインフレーム31,32の前端から後下がりにロアメインフレーム34,36に連結した左右一対の傾斜フレーム43,44(手前側の符号43のみ示す。)と、これらの傾斜フレーム43,44の中間部及びフロントフレーム33のそれぞれに渡して連結することで電動パワーステアリング装置24の下部を支持する左右一対のサブ傾斜フレーム46,47(手前側の符号46のみ示す。)とを備える。
【0021】
ここで、55はフロントキャリア、56は前輪18の上方及び後方を覆うフロントフェンダ、57は燃料タンク、58はシート、61はリヤキャリア、62はエンジン12のシリンダヘッド63の後部側に連結したキャブレタ、66はキャブレタ62にコネクティングチューブ67を介して連結したエアクリーナ、68はシリンダヘッド63の前部から車両後方に延ばした排気管、69は排気管68の後端に接続した消音器、71はロアメインフレーム34,36側に対して後輪23,23をスイング自在に支持するスイングアーム、72,72(手前側の符号72のみ示す。)はスイングアーム71とアッパメインフレーム31,32側とに渡して取付けた左右一対のリヤクッションユニット、73はパワーユニット14の側方に配置したボディサイドカバー、74は後輪23の上方及び前部を覆うリヤフェンダ、75はステップフロア、76は左右のロアメインフレーム34,36の前部下部及びロアメインフレーム34,36の前方を覆うスキッドプレートである。
【0022】
図2は本発明に係る不整地走行車両の要部側面図(図中の矢印(FRONT)は車両前方を表す。以下同じ。)であり、電動パワーステアリング装置24は、前輪を操舵するためのステアリング装置81と、操舵トルクを検出するトルクセンサ部82と、操舵力を補助する動力を発生させるパワーアシスト部83と、トルクセンサ部82によって検出した操舵トルク等に基づいてパワーアシスト部83を制御する図示せぬ制御部とからなる。
【0023】
ステアリング装置81は、ハンドル37(図1参照)と、このハンドル37を支持するインプットシャフト85と、このインプットシャフト85にトルクセンサ部82を介して連結したアウトプットシャフト86と、このアウトプットシャフト86の下端部に取付けたステアリングアーム87と、このステアリングアーム87に取付けた左右一対のボールジョイント88,88(手前側の符号88のみ示す。)と、これらのボールジョイント88,88にそれぞれ一端を連結するとともに他端を前輪18(図1参照)側のナックル(不図示)に連結する左右一対のタイロッド(不図示)とからなり、上記のインプットシャフト85とアウトプットシャフト86とは、ステアリングシャフト38を構成する部材である。
【0024】
インプットシャフト85は、サブアッパフレーム89,89(手前側の符号89のみ示す。フロントアッパフレーム41,42(手前側の符号41のみ示す。)とアッパメインフレーム31,32(手前側の符号31のみ示す。)とにそれぞれ渡した部材である。)に取付けた中間軸受部91で支持したものである。
【0025】
アウトプットシャフト86は、先端に舵角(即ち、ステアリングシャフト38の回転角度である。)を検出する舵角センサ93を設けた部材であり、舵角センサ93は、サブ傾斜フレーム46,47(手前側の符号46のみ示す。)にブラケット94を介して取付けたものである。
【0026】
トルクセンサ部82は、インプットシャフト85側とアウトプットシャフト86側との間にトーションバー(不図示)を設けたものである。
ハンドル37(図1参照)の操作によりインプットシャフト85を回転させると、インプットシャフト85とアウトプットシャフト86との間に相対回転角が生じ、トーションバーが捩られる。この捩れ量をトルクに変換することで操舵トルクが求まる。
【0027】
パワーアシスト部83は、電動モータ96と、この電動モータ96の出力軸及びアウトプットシャフト86のそれぞれの間に介在させたクラッチ(不図示)及び減速機(不図示。ウォームギヤ及びウォームホイールからなる。)とで構成した部分である。
【0028】
電動モータ96は、前端部側(アウトプットシャフト86側)をサブ傾斜フレーム46,47に設けたモータブラケット97,97(手前側の符号97のみ示す。)に取付け、後端部側を左右の傾斜フレーム43,44(手前側の符号43のみ示す。)に渡して取付けたモータ支持部材98で支持したものである。
【0029】
制御部は、トルクセンサ部82により検出された操舵トルク、舵角センサ93により検出された舵角、不整地走行車両10(図1参照)の車速等に基づいてパワーアシスト部83を制御する。
【0030】
101は電動パワーステアリング装置24とパワーユニット14との間に配置した強制空冷ファンであり、上部をアッパブラケット102を介してアッパメインフレーム31,32に取付け、下部をロアブラケット103を介して傾斜フレーム43,44に取付けたものである。なお105は強制空冷ファン101のファン本体である。
【0031】
このように、強制空冷ファン101を電動パワーステアリング装置24(詳しくは、電動モータ96)とパワーユニット14(詳しくは、エンジン12及び排気管68)との間に配置したことで、電動モータ96で発生した熱を強制空冷ファン101による車両前方から車両後方への空気流によって冷却することができ、更に、エンジン12及び排気管68から電動モータ96側への放熱を遮ることができる。更に、電動パワーステアリング装置24と強制空冷ファン101とをほぼ同一の高さに配置することで、強制空冷ファン101の空気流によって電動パワーステアリング装置24を更に効率良く冷却することができる。
【0032】
また、電動モータ96は、傾斜フレーム43及びサブ傾斜フレーム46の内側方に設けたものであるから、これらの傾斜フレーム43及びサブ傾斜フレーム46によって飛び石や立木との衝突から電動モータ96を保護することができる。
【0033】
更に、これらの傾斜フレーム43及びサブ傾斜フレーム46は電動モータ96の側方を完全に覆うものではないから、通気性は確保することができ、電動モータ96からの放熱を促すことができる。
【0034】
107,108はエンジン12内のエンジンオイルを冷却するためのオイルクーラであり、エンジン12のオイル吐出口111にホース112、チューブ113を介してオイルクーラ107を接続し、このオイルクーラ107にチューブ114、ホース116、チューブ117を介してオイルクーラ108を接続し、このオイルクーラ108をチューブ118、ホース121を介してエンジン12のオイル吸入口122に接続する。
オイルクーラ107は、強制空冷ファン101の近傍、即ち前方に配置したものであり、強制空冷ファン101は、このオイルクーラ107を冷却するためのものでもある。
【0035】
以上に説明したように、本発明は、車体フレーム11を構成する構成部材としての傾斜フレーム43及びサブ傾斜フレーム46の内側に電動モータ96を配置したことを特徴とする。
【0036】
傾斜フレーム43及びサブ傾斜フレーム46の内側に電動モータ96を配置したので、これらの傾斜フレーム43及びサブ傾斜フレーム46で電動モータ96の側方が覆れ、電動モータ96を保護することができるとともに、通気性を確保して電動モータ96の放熱を促すことができる。
【0037】
図3は本発明に係る不整地走行車両の要部平面図であり、強制空冷ファン101を、電動モータ96の後方に配置するとともにエンジン12及び排気管68の前方に配置し、電動モータ96の後端部を、左右の傾斜フレーム43,44に渡したモータ支持部材98で支持したことを示す。
モータ支持部材98は、車体フレーム11のクロス部材を兼ねる部材でもある。
【0038】
電動モータ96は、エンジン12及び排気管68との間を強制空冷ファン101によって完全に遮蔽されるから、電動モータ96をほぼ車両後方に延びるように配置することで電動モータ96とエンジン12、排気管68との距離が小さくなっても、エンジン12及び排気管68からの直接の放射熱が電動モータ96に当たる心配がない。
【0039】
また、電動モータ96の後端部をモータ支持部材98で支持するので、電動モータ96の後端部が振動し難くなり、特に、パワーアシスト部83における電動モータ96の付根部に大きな繰返し荷重が作用し難くなる。
【0040】
図4は本発明に係る不整地走行車両のカバー類を装着した状態を示す側面図であり、フロントフェンダ56の内側に、電動パワーステアリング装置24の後部、即ち、電動モータ96の外側方を覆うサイドカバー125を設け、ボディサイドカバー73に開口126を設けたことを示す。
【0041】
このようなサイドカバー125によって、車体側方から電動モータ96に石、泥等が跳ねるのを防止することができるとともに、車体内の空気流を整流することができて発熱した電動モータ96の空気流による冷却を促すことができる。
【0042】
また、開口126によって、フロントフェンダ56、サイドカバー125及びボディサイドカバー73の内側の電動モータ96、エンジン12、排気管68によって暖まった空気を外部に排出することができる。更に、開口126は、パワーユニット14のメンテナンス用としても使用される部分であり、例えば、この開口126を通じて点火プラグの交換、クラッチの遊び調整等を行うことができる。
【0043】
以上に述べた強制空冷ファン101、開口126の作用を次に説明する。
図5は本発明に係る車体内の熱及び空気流について説明する作用図である。
車両の停止中、あるいは車両の走行中に、強制空冷ファン101を作動させると、空気流(白抜き矢印で示す。)は、車両前方から車体内に流れ込み、電動モータ96で発生した熱(熱の放射を実線の矢印で示す。)を奪い、強制空冷ファン101内を通過し、エンジン12及び排気管68で発生した熱をも奪って、開口126から外部に流れ出る。
【0044】
このとき、左右のサイドカバー125,125は、電動パワーステアリング装置24の近傍を通過する空気流を車両後方への流れに整流し、ボディサイドカバー73内へ送り込むから、サイドカバー125,125内及びボディサイドカバー73,73内の空気流の流速が大きくなり、電動モータ96、エンジン12、排気管68の空冷効果は高まる。
【0045】
また、エンジン12及び排気管68から電動モータ96の方向へ放射した熱(破線の矢印で示す。)は強制空冷ファン101で遮られ、電動モータ96には届かない。
従って、強制空冷ファン101による空気流の形成及び遮熱によって、電動モータ96の冷却を効果的に行うことができる。
【0046】
以上の図1、図2及び図5に示したように、本発明は、ステアリングシャフト38にほぼ直交するように電動パワーステアリング装置24に備える電動モータ96を配置し、ステアリングシャフト38の後方に且つシート58(図1参照)下に、エンジン12及びこのエンジン12に接続した排気管68を配置した不整地走行車両10(図1参照)において、電動モータ96の後方であってエンジン12及び排気管68の前方に、電動モータ96を冷却するための強制空冷ファン101を設けたことを特徴とする。
【0047】
電動モータ96の後方であってエンジン12又は排気管68の前方に強制空冷ファン101を設けたので、特に、不整地走行車両10の停止時及び低速時に、電動モータ96で発生する熱を強制空冷ファン101で空冷することができ、更に、強制空冷ファン101によって、エンジン12又は排気管68で発生した熱が電動モータ96に放射しないように遮熱することができて、電動モータ96を効果的に冷却することができる。
【0048】
また、本発明は、側面視で、電動モータ96と強制空冷ファン101とを同一の高さに配置したことを特徴とする。
側面視で、電動モータ96と強制空冷ファン101とを同一の高さに配置したので、強制空冷ファン101によって、電動モータ96の周囲に効果的に導風することができ、電動モータ96の冷却効果を高めることができる。
【0049】
更に、本発明は、電動モータ96の外側方にサイドカバー125を配置するとともに、電動モータ96の下方斜め前方に保護板としてのスキッドプレート76を配置したことを特徴とする。
【0050】
電動モータの外側方にサイドカバー125を配置するとともに、電動モータの下方にスキッドプレート76を配置したので、サイドカバー125で電動モータ96の外側方が覆われ、且つスキッドプレート76で電動モータ96の下方斜め前方が覆われて、電動モータ96への直接の飛び石等や水、泥等の飛散をより一層防止することができる。
【0051】
また更に、本発明は、エンジン12の側方を覆う左右のボディサイドカバー73,73のそれぞれに開口126を設けたことを特徴とする。
【0052】
エンジン12の側方を覆うボディサイドカバー73,73のそれぞれの開口126によって電動モータ96の熱やエンジン12、排気管68の熱を開口126からの排風によって外部に逃がすことができる。
【0053】
更に、本発明は、強制空冷ファン101で、車両前方から後方へ空気流を発生させ、電動モータ96と、強制空冷ファン101の後方のエンジン12又は排気管68との両方を冷却可能としたことを特徴とする。
【0054】
強制空冷ファン101で、電動モータ96と、エンジン12又は排気管68との両方を冷却可能としたので、強制空冷ファン101で電動モータ96と、エンジン12又は排気管68とを効果的に冷却することができる。
【0055】
尚、本実施形態では、図5に示したように、車両の停止中、及び走行中の両方で強制空冷ファン101を作動させるようにしたが、これに限らず、車速を検出して、車両の停止時及び車両の車速が低速時にのみ、強制空冷ファン101を作動させるようにしてもよい。
【0056】
また、図3に示したように、電動モータ96をほぼ車両前後方向に延びるように配置したが、これに限らず、電動モータ96をほぼ車幅方向に延びるように配置してもよく、この場合には、電動モータ96がエンジン12及び排気管68から遠くなり、これらのエンジン12及び排気管68からの熱影響をより一層受け難くすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、電動パワーステアリング装置を備える不整地走行車両に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係る電動パワーステアリング装置を備える不整地走行車両の側面図である。
【図2】本発明に係る不整地走行車両の要部側面図である。
【図3】本発明に係る不整地走行車両の要部平面図である。
【図4】本発明に係る不整地走行車両のカバー類を装着した状態を示す側面図である。
【図5】本発明に係る車体内の熱及び空気流について説明する作用図である。
【符号の説明】
【0059】
10…不整地走行車両、11…車体フレーム、12…エンジン、24…電動パワーステアリング装置、38…ステアリングシャフト、43,46…車体フレームの構成部材(傾斜フレーム、サブ傾斜フレーム)、58…シート、68…排気管、73…ボディサイドカバー、76…保護板(スキッドプレート)、96…電動モータ、101…空冷ファン(強制空冷ファン)、125…サイドカバー、126…開口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングシャフトにほぼ直交するように電動パワーステアリング装置に備える電動モータを配置し、前記ステアリングシャフトの後方に且つシート下に、エンジン及びこのエンジンに接続した排気管を配置した不整地走行車両において、
前記電動モータの後方であって前記エンジン又は前記排気管の前方に、空冷ファンを設けたことを特徴とする電動パワーステアリング装置を備える不整地走行車両。
【請求項2】
側面視で、前記電動モータと前記空冷ファンとが同一の高さに配置されることを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置を備える不整地走行車両。
【請求項3】
車体フレームを構成する構成部材の内側に前記電動モータを配置したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電動パワーステアリング装置を備える不整地走行車両。
【請求項4】
前記電動モータの外側方にサイドカバーを配置するとともに、前記電動モータの下方斜め前方に保護板を配置したことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載の電動パワーステアリング装置を備える不整地走行車両。
【請求項5】
前記エンジンの側方を覆うボディサイドカバーに開口を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の電動パワーステアリング装置を備える不整地走行車両。
【請求項6】
前記空冷ファンは、車両前方から後方へ空気流を発生させ、前記電動モータと、前記空冷ファンの後方の前記エンジン又は前記排気管との両方を冷却可能としたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項記載の電動パワーステアリング装置を備える不整地走行車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−256569(P2006−256569A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−80018(P2005−80018)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】