説明

電動パーキングブレーキ用駆動装置および電動パーキングブレーキ装置

【課題】小型で低コストの電動パーキングブレーキ用駆動装置および電動パーキングブレーキ装置の提供。
【解決手段】パーキングブレーキアクチュエータは、電動パーキングブレーキ用駆動装置D1によって回転されたスクリュー部材の回転運動を直進運動に変換してピストンに伝達し、ピストンによってブレーキパッドをディスクに押圧することにより車輪に制動力を発生させる。電動パーキングブレーキ用駆動装置D1は、電動モータ3と、電動モータ3の駆動力をパーキングブレーキアクチュエータに伝達する減速機構4を備える。減速機構4は、電動モータ3の出力シャフト32に固着されたピニオンギヤ43と、ギヤボデー41に設けられた第1軸受部材44a,44bによって回転可能に支持された第1ギヤシャフト45と、第1ギヤシャフト45上に形成されピニオンギヤ43と噛合する第1ホイルギヤ46とを有することにより、電動モータ3の駆動力を減速している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両駐車時に電動モータにより駆動して、車輪に制動力を付与する電動パーキングブレーキ用駆動装置および電動パーキングブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車輪に取り付けられ、電動モータを作動させることにより車輪に制動力を付与する電動ブレーキ装置に関する従来技術があった(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された電動ブレーキ装置は、電動モータの出力シャフトに固着された小径プーリと、ボデーに対して回転可能に設けられ、小径プーリとの間にベルトが架けられた大径プーリとを含んでいる。また、大径プーリには同一の回転軸上に2段の遊星歯車が連結され、大径プーリとともにギヤ機構が形成されている。
【0003】
これによって、電動モータの駆動力は、ベルトを含んだ伝達機構と複数段の遊星歯車にて減速された後、直進運動に変換され、車輪ブレーキに伝達されて車輪に制動力を付与している。
上述したように、特許文献1に開示された電動ブレーキ装置においては、ベルトを含んだ動力伝達機構を使用しているため、ギヤ機構の回転軸のレイアウトに自由度を持たせることができ、車両への搭載を容易にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第WO2007/096098号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、その反面、特許文献1に開示された電動ブレーキ装置はベルトによる伝達機構を使用しているため、ギヤ機構の回転軸を支持する方法に工夫を必要とする。
一般的に、ギヤ機構の回転軸をボデーに設けられた軸受によって支持した場合、電動モータの出力シャフトに対して、ギヤ機構の回転軸の位置がばらつきやすい。特に、振動溶着等によって一対のボデー部材を互いに接合してボデーを形成し、一方のボデー部材に電動モータを取り付け、他方のボデー部材にギヤ機構の回転軸を取り付けた場合、ギヤ機構の回転軸と電動モータとの間の相対位置は大きくばらつく。
【0006】
上述したように、特許文献1に開示された電動ブレーキ装置において、小径プーリと大径プーリとの間にはベルトが介在しているため、電動モータに対するギヤ機構の回転軸の位置ずれは、ベルト張力の不足あるいは過剰を招く。ベルト張力が不適正になると、電動モータの駆動力の伝達に支障を来たすことになり、伝達トルクが大きい場合、ベルトに滑りが発生することもある。
【0007】
これを防止するために、特許文献1に開示された電動ブレーキ装置においては、剛性を有するスペーサをギヤ機構の回転軸と電動モータとの間に延在させ、ギヤ機構の回転軸を電動モータに対し取り付けている。これにより、回転軸はボデーに対して直接に固定されることがなく、電動モータの出力シャフトに対する位置決めの精度を向上させている。
【0008】
しかしながら、この場合、ギヤ機構の回転軸を支持するために上述したスペーサを必要とし、電動ブレーキ装置が大型化して、その重量が増大するという問題がある。説明したように、スペーサは電動モータと回転軸との間に延在するため、ボデー内において大きな空間を占有し、他部材の配置の自由度を低減させるため、電動ブレーキ装置のコストの増大を招くことになる。
【0009】
また、スペーサは回転軸を電動モータに対して位置決めしているため、スペーサとボデーとの間には所定の隙間が存在する。したがって、この隙間も電動ブレーキ装置を大型化させる要因になっている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、小型で低コストの電動パーキングブレーキ用駆動装置および電動パーキングブレーキ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、請求項1に係る電動パーキングブレーキ用駆動装置の発明の構成は、回動部材の回転運動を直進運動に変換してピストンに伝達し、ピストンによって付勢されたブレーキパッドが、車輪とともに回転するディスクを押圧することにより車輪に制動力を発生させるパーキングブレーキアクチュエータを駆動するための電動パーキングブレーキ用駆動装置であって、電動モータと、電動モータの駆動力を回動部材に伝達する減速機構と、を備え、減速機構は、ギヤボデーと、ギヤボデー内に設けられ、電動モータの出力軸に固着された駆動ギヤと、ギヤボデーに設けられた第1軸受部によって、ギヤボデーに対して回転可能に支持される第1回転シャフトと、第1回転シャフト上に形成され、回動部材に連結されるとともに、駆動ギヤよりも多数の歯数を有し、駆動ギヤと噛合することにより、電動モータの回転を減速して回動部材に伝達する第1従動ギヤと、を含むことである。
【0011】
請求項2に係る発明の構成は、請求項1の電動パーキングブレーキ用駆動装置において、減速機構は、第1回転シャフト上に設けられ、第1従動ギヤと一体に回転する伝達ギヤと、ギヤボデーに設けられた第2軸受部によって、ギヤボデーに対して回転可能に支持される第2回転シャフトと、第2回転シャフト上に設けられ、伝達ギヤよりも多数の歯数を有するとともに、伝達ギヤと噛合する第2従動ギヤと、第2回転シャフト上に設けられ、第2従動ギヤと一体に回転するサンギヤと、サンギヤと噛合し、サンギヤの回転によってサンギヤの外周を公転する複数のプラネタリギヤと、プラネタリギヤの周囲に配置され、内周面においてプラネタリギヤと噛合するとともに、ギヤボデーと係合することによって回転不能なリングギヤと、複数のプラネタリギヤ同士を接続するとともに回動部材に連結され、プラネタリギヤの公転によって回転され、サンギヤの回転を減速して回動部材に出力するキャリヤ部材と、を有することである。
【0012】
請求項3に係る発明の構成は、請求項2の電動パーキングブレーキ用駆動装置において、ギヤボデーには一対の第2軸受部が設けられ、ギヤボデーは、外壁から第2回転シャフトの回転中心に向けて延び、プラネタリギヤと第2従動ギヤとの間を仕切る支持壁を有し、第2軸受部のうちの一方が支持壁に形成されていることである。
【0013】
請求項4に係る発明の構成は、請求項1乃至3のうちのいずれかの電動パーキングブレーキ用駆動装置において、ギヤボデーは、内部に所定容量の空間を有するように互いに接合する一対のボデーピースにより形成され、一対のボデーピースは、それぞれの外周縁同士が接着剤により接合されていることである。
【0014】
請求項5に係る発明の構成は、請求項1乃至3のうちのいずれかの電動パーキングブレーキ用駆動装置において、ギヤボデーは、内部に所定容量の空間を有するように互いに接合する一対のボデーピースにより形成され、一対のボデーピースは、ともに熱可塑性の合成樹脂材料により形成されており、ボデーピースを接合する場合、それぞれの外周縁同士を互いに当接させ、外周縁同士の間に線状の発熱体を配置した後、発熱体に通電することによって発熱させながら、双方のボデーピースを互いに加圧して溶着することである。
【0015】
請求項6に係る電動パーキングブレーキ装置の発明の構成は、車体に取り付けられたブレーキハウジングと、ブレーキハウジングに対し移動可能に取り付けられたピストンと、車輪とともに回転するディスクとピストンとの間に介装されたブレーキパッドと、ブレーキハウジングに対し移動不能に設けられた電動モータと、電動モータの駆動力を伝達する減速機構と、ブレーキハウジング内において、減速機構を介して電動モータにより駆動される回動部材と、回動部材と噛合するとともにブレーキハウジングに対して回転不能とされ、回動部材の回転によりピストンの軸方向に移動して、ピストンを介してブレーキパッドをディスクに向けて付勢する直進部材と、を備えた電動パーキングブレーキ装置であって、減速機構は、ブレーキハウジングに取り付けられたギヤボデーと、ギヤボデー内に設けられ、電動モータの出力軸に固着された駆動ギヤと、ギヤボデーに設けられた第1軸受部によって、ギヤボデーに対して回転可能に支持される第1回転シャフトと、第1回転シャフト上に形成され、回動部材に連結されるとともに、駆動ギヤよりも多数の歯数を有し、駆動ギヤと噛合することにより、電動モータの回転を減速して回動部材に伝達する第1従動ギヤと、を含むことである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る電動パーキングブレーキ用駆動装置によれば、ギヤボデーに設けられた第1軸受部によって第1回転シャフトが支持されたことにより、第1回転シャフトを電動モータに支持させるスペーサ等を必要とせず、減速機構の大型化を防ぎ、低コストの電動パーキングブレーキ用駆動装置にすることができる。
また、減速機構は、電動モータの出力軸に固着された駆動ギヤと、駆動ギヤよりも多数の歯数を有し駆動ギヤと噛合する第1従動ギヤとを含むことにより、ベルトを有する伝達機構を使用することなく、電動モータの回転を減速して回動部材に伝達することができ、万が一、電動モータに対する第1回転シャフトの相対位置がばらついても、電動モータの駆動力を支障なく伝達することができ、車両を確実に駐車することができる。
【0017】
請求項2に係る電動パーキングブレーキ用駆動装置によれば、減速機構は、第1回転シャフト上に設けられた伝達ギヤと、ギヤボデーに支持される第2回転シャフトと、第2回転シャフト上に設けられるとともに、伝達ギヤよりも多数の歯数を有し、伝達ギヤと噛合する第2従動ギヤと、第2回転シャフト上に設けられたサンギヤと、サンギヤと噛合し、サンギヤの回転によって公転する複数のプラネタリギヤと、内周面においてプラネタリギヤと噛合し回転不能なリングギヤと、複数のプラネタリギヤ同士を接続し、プラネタリギヤの公転によって回転され、サンギヤの回転を減速して回動部材に出力するキャリヤ部材とを有することにより、電動モータの回転が2段のギヤ機構と遊星歯車機構とにより減速されるため、小型で減速効果の大きい電動パーキングブレーキ用駆動装置にすることができる。
【0018】
請求項3に係る電動パーキングブレーキ用駆動装置によれば、ギヤボデーの外壁から第2回転シャフトの回転中心に向けて延びる支持壁に、第2軸受部のうちの一方が形成されていることにより、第2回転シャフトを軸方向の任意の位置において支持できる。
また、支持壁がプラネタリギヤと第2従動ギヤとの間を仕切っていることにより、ブレーキパッド側からギヤボデー内への熱の伝播あるいは水の浸入を防ぐことができる。
【0019】
請求項4に係る電動パーキングブレーキ用駆動装置によれば、一対のボデーピースは、それぞれの外周縁同士が接着剤により接合されていることにより、ギヤボデーを形成する場合、短時間でボデーピースを接合することができる。
【0020】
請求項5に係る電動パーキングブレーキ用駆動装置によれば、一対のボデーピースは、ともに熱可塑性の合成樹脂材料により形成されており、ボデーピースを接合する場合、それぞれの外周縁同士を互いに当接させ、外周縁同士の間に線状の発熱体を配置した後、発熱体に通電することによって発熱させながら、双方のボデーピースを互いに加圧して溶着させることにより、ギヤボデーを形成する場合、ボデーピースへ接着剤等を塗布することなく、また、接着剤が固化する時間を必要とすることもなく、短時間でボデーピースを接合することができる。
【0021】
請求項6に係る電動パーキングブレーキ装置によれば、ギヤボデーに設けられた第1軸受部によって第1回転シャフトが支持されたことにより、第1回転シャフトを電動モータに支持するスペーサ等を必要とせず、減速機構の大型化を防ぎ、低コストの電動パーキングブレーキ装置にすることができる。
また、減速機構は、電動モータの出力軸に固着された駆動ギヤと、駆動ギヤよりも多数の歯数を有し駆動ギヤと噛合する第1従動ギヤとを含むことにより、ベルトを有する伝達機構を使用することなく、電動モータの回転を減速して回動部材に伝達することができ、万が一、電動モータに対する第1回転シャフトの相対位置がばらついても、電動モータの駆動力を支障なく伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態1による電動パーキングブレーキ装置が、ディスクロータと係合した状態の外観斜視図
【図2】図1に示した電動パーキングブレーキ装置を、ディスクロータの回転軸方向にカットした状態を模式的に示した断面図
【図3】図2に示した電動パーキングブレーキ用駆動装置を、第1ギヤシャフトの軸方向にカットした場合の断面図
【図4】図3のA部拡大図
【図5】図3のB−B断面図
【図6】実施形態2による電動パーキングブレーキ用駆動装置の断面図
【図7】実施形態3による電動パーキングブレーキ用駆動装置について、ギヤボデーの接合方法を説明するための平面図
【図8】図7のC−C断面図
【図9】図7に示したギヤボデーの部分斜視図
【図10】他の実施形態による第1ギヤシャフトの支持構造を示す部分拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
<実施形態1>
図1乃至図5に基づき、本発明の実施形態1による電動パーキングブレーキ装置Pについて説明する。本実施形態による電動パーキングブレーキ装置Pは、車両走行中に運転者がブレーキ操作部材を操作することによって、車輪にブレーキ力を付与するフットブレーキ用のブレーキ装置を兼ねている。尚、図3における上下方向が、ディスクロータ9の回転軸φ方向に該当する。また、図2は、電動パーキングブレーキ装置Pの模式的な断面図であり、実際の断面形状を正確に表したものではない。
【0024】
本発明の構成外であるディスクロータ9(ディスクに該当する)は、その回転中心において車両外方へと突出したハット部91と、ハット部91の周囲に形成され、後述するように、第1ブレーキパッド21aおよび第2ブレーキパッド21bによって挟圧されるプレート部92とを有している。
図1に示すように、ハット部91の端面からは、複数のスタッドボルト93が突出している。ディスクロータ9は、これらのスタッドボルト93を用いて、図示しない車輪のディスクホイールに取り付けられており、これにより車輪と一体回転可能とされている。
【0025】
電動パーキングブレーキ装置Pのマウンティング11は、図示しない車両のナックルアーム(車体に該当する)に取り付けられて固定されている。マウンティング11には、第1ブレーキパッド21aおよび第2ブレーキパッド21bが保持されている(図1において、第2ブレーキパッド21bのみ示す)。第1ブレーキパッド21aは、ディスクロータ9と後述するピストン8との間に配置されている。
【0026】
マウンティング11には、一対のスライドピン12を介して、ブレーキハウジング13がディスクロータ9の回転軸φ方向(以下、回転軸方向という)に移動可能に取り付けられている。ブレーキハウジング13は、ディスクロータ9のプレート部92を跨ぐように、その断面形状が略コの字状に形成されている(図1および図2示)。また、ブレーキハウジング13には、第2ブレーキパッド21bを押圧するための一対の爪部13aが形成されている。
【0027】
図2に示すように、ブレーキハウジング13には、電動モータ3および減速機構4を含んだ電動パーキングブレーキ用駆動装置D1が取り付けられている。電動パーキングブレーキ用駆動装置D1については後述する。
ブレーキハウジング13の内部にはシリンダ部13bが形成されており、シリンダ部13b内に突出するように、スクリュー部材6(回動部材に該当する)が設けられている。回転軸方向に延びたスクリュー部材6は、ベアリング131を介してシリンダ部13bの底部13cに回転可能に取り付けられており、スクリュー部材6の外周面61と底部13cとの間には、合成樹脂材料または合成ゴム材料にて形成されたシール部材132が介装されている。
【0028】
シール部材132が回転軸方向に移動することを防止するために、シリンダ部13bの底部13cには、押えプレート133が配置されている。さらに、シリンダ部13bの内周面には、押えプレート133の抜け止めを行うスナップリング134が装着されている。
シリンダ部13b内には、スクリュー部材6の半径方向外方に位置するように、ナット部材7(直進部材に該当する)が設けられている。ナット部材7は略円筒形状を呈しており、その内周面71の軸方向端部には、雌ネジ部72が形成されている。ナット部材7の雌ネジ部72は、スクリュー部材6の外周面61に形成された雄ネジ部62と螺合している。また、ナット部材7の他側の端部73においては、複数の係合部74が外周面から半径方向外方に延びている。
シリンダ部13bには、ピストン8が回転軸方向に移動可能に嵌合しており、シリンダ部13bには、ピストン8の外周面81と係合するようにピストンシール135が装着されている。ピストンシール135は、前述したシール部材132とともに、シリンダ部13b内を外部から液密的に遮断している。
【0029】
ピストン8は一端が端部壁82により閉じられた略円筒状に形成され、端部壁82によって第1ブレーキパッド21aと当接可能になっている。ピストン8の内周面83には、前述したナット部材7が回転軸方向に相対移動可能に係合している。また、ピストン8の外周面81には突部84が形成され、シリンダ部13bには、スリット13dが回転軸方向に延びるように形成されている。ピストン8の突部84はスリット13dと係合しており、これによって、ピストン8はシリンダ部13bに対して回転不能に形成されている。
【0030】
一方、ピストン8の内周面83には、回転軸方向に延びた複数の摺動溝85が形成されており、それぞれ前述したナット部材7の係合部74が挿入されている。したがって、ナット部材7はピストン8に対して回転不能となるため、ピストン8を介してシリンダ部13bに対しても回転不能に形成される。
【0031】
スクリュー部材6は、前述した減速機構4を介して電動モータ3によって回転可能に形成されている。車両の駐車時にスクリュー部材6を回転させると、ナット部材7は回転不能であるため、ピストン8内をディスクロータ9に向けて回転軸方向(図2における左方へ)に移動する。ナット部材7の端部73はピストン8を押圧し、第1ブレーキパッド21aをディスクロータ9に向けて付勢する。
【0032】
一方、第1ブレーキパッド21aに発生する反力は、ピストン8、ナット部材7、スクリュー部材6および減速機構4を介してブレーキハウジング13へと働き、ブレーキハウジング13をピストン8と反対方向(図2において右方)へと付勢する。これにより、ブレーキハウジング13が回転軸方向に移動し、爪部13aが第2ブレーキパッド21bをディスクロータ9に向けて付勢する。したがって、ディスクロータ9は第1ブレーキパッド21aおよび第2ブレーキパッド21bによって挟圧され、車輪に制動力が付与される。
【0033】
また、ディスクロータ9に対する制動力の解除時には、電動モータ3を逆回転させ、ナット部材7を図2において右方へと移動させ、ピストン8による第1ブレーキパッド21aへの押圧を停止する。これにより、第1ブレーキパッド21aに発生する反力も消滅するため、ブレーキハウジング13の爪部13aによる、第2ブレーキパッド21bへの押圧も解消し、車輪への制動力が解除される。
【0034】
また、車両走行中に車両を減速させるため運転者がブレーキ操作を行うと、マスタシリンダ(図示せず)から吐出されたブレーキ液圧が、ブレーキ配管(図示せず)を介してシリンダ部13b内に供給される。シリンダ部13b内に供給されたブレーキ液圧は、ピストン8をナット部材7と切り離した状態で回転軸方向(図2における左方へ)に押圧し、第1ブレーキパッド21aをディスクロータ9に向けて付勢する。
上述したマウンティング11、スライドピン12、ブレーキハウジング13、第1ブレーキパッド21a、第2ブレーキパッド21b、スクリュー部材6、ナット部材7およびピストン8によりパーキングブレーキアクチュエータMを構成している。
【0035】
次に、図3乃至図5に基づき、パーキングブレーキアクチュエータMを駆動する電動パーキングブレーキ用駆動装置D1(以下、駆動装置D1という)について詳述する。尚、以下、図3における上方を駆動装置D1の上方とし、下方を駆動装置D1の下方として説明する。
減速機構4のギヤボデー41は、それぞれ合成樹脂材料にて一体的に形成されたロアボデー411およびアッパボデー412(それぞれボデーピースに該当する)が、内部に所定容量の空間を有するように互いに接合することにより形成されている。ギヤボデー41は、前述したブレーキハウジング13に固定されている。
ロアボデー411の外周縁には、回転軸方向に延びる囲繞壁411aが全周に渡って形成されている。一方、アッパボデー412の外周縁には、断面形状が略L字状の対向部412aが全周に形成されている。
【0036】
本実施形態においてロアボデー411とアッパボデー412とを接合する場合、最初にそれぞれの外周縁を対向させることにより、囲繞壁411aと対向部412aとを互いに当接させて双方の位置決めを行う。次に、囲繞壁411aと対向部412aとにより囲まれた塗布空間(図3においてFにて示す)に接着剤を充填する。その後、接着剤を固化させることによって、ロアボデー411とアッパボデー412の外周縁同士を全周に渡って接合する。接着剤により、ロアボデー411とアッパボデー412は、外部からの水等の浸入を防ぐように液密的に接合されている。
【0037】
図3に示すように、電動モータ3のフランジ部31に貫通させたスクリューネジ42を、ロアボデー411にインサートされたカラー部材411bに締め付けることにより、電動モータ3がロアボデー411に固定される。電動モータ3は、ロアボデー411を深く掘り下げた形状に形成されたモータ格納部411c内に収容されている。ロアボデー411の端部には、外部コネクタ(図示せず)を接続するための電源コネクタ部411dが形成されている。ロアボデー411内には、電源コネクタ部411dから電動モータ3へとつながる電力供給線(図示せず)がインサートされている。
電動モータ3は、ディスクロータ9の回転軸と平行に配置された出力シャフト32(出力軸に該当する)を有している。出力シャフト32には、外周面に斜歯431を有するピニオンギヤ43(駆動ギヤに該当する)が圧入等により固着されている。
【0038】
アッパボデー412の第1凹部412bには、第1アッパ軸受部材44aが取り付けられている。また、ロアボデー411のモータ壁部411e(外壁に該当する)には、第1ロア軸受部材44bが取り付けられている。第1アッパ軸受部材44aおよび第1ロア軸受部材44bは、第1軸受部に該当する。第1アッパ軸受部材44aおよび第1ロア軸受部材44bは、いずれも金属材料にて形成され、インサート成形または誘導加熱溶着等によりアッパボデー412あるいはロアボデー411に固定されている。
【0039】
第1アッパ軸受部材44aおよび第1ロア軸受部材44bには、金属材料製の第1ギヤシャフト45(第1回転シャフトに該当する)が回転可能に支持されている。第1ギヤシャフト45の上方には、半径方向に突出した第1鍔部451が形成されている。第1鍔部451には、インサート成形によって第1ホイルギヤ46(第1従動ギヤに該当する)が固着されている。後述するように、第1ホイルギヤ46は複数の部材を介して、スクリュー部材6と連結されている。
【0040】
第1ホイルギヤ46は合成樹脂材料にて形成されたヘリカルギヤで、外周面には斜歯461が設けられている。第1ホイルギヤ46は、前述したピニオンギヤ43の斜歯431と噛合している。第1ホイルギヤ46はピニオンギヤ43よりも大径に形成され、第1ホイルギヤ46の斜歯461の歯数は、ピニオンギヤ43の斜歯431の歯数よりも多く形成されている。
【0041】
第1ギヤシャフト45の下方には、外周面上にシャフトギヤ部452(伝達ギヤに該当する)が一体に形成されている。シャフトギヤ部452は、ピニオンギヤ43と同様に斜歯によって形成されており、第1ホイルギヤ46と一体に回転する。
また、アッパボデー412の第2凹部412cには、第2アッパ軸受部材47aが取り付けられている。
また、ロアボデー411の外周壁411f(外壁に該当する)およびモータ壁部411eからは、軸受固定面411g(支持壁に該当する)が図3における水平方向に延在している。軸受固定面411gは、後述する第2ギヤシャフト48の回転中心に向けて延び、プラネタリギヤ50と第2ホイルギヤ49との間を仕切っている。
【0042】
図5に示したように、軸受固定面411gは外形が真円状に形成され、その中心には支持孔411hが貫通するとともに、上下方向に延びたボス部411iが設けられている。ボス部411iには、第2ロア軸受部材47bが取り付けられている(図3示)。第2アッパ軸受部材47aおよび第2ロア軸受部材47bは、第2軸受部に該当する。第2アッパ軸受部材47aおよび第2ロア軸受部材47bは、いずれも金属材料にて形成され、インサート成形または誘導加熱溶着等によりアッパボデー412あるいはロアボデー411に固定されている。
【0043】
第2アッパ軸受部材47aおよび第2ロア軸受部材47bには、金属材料製の第2ギヤシャフト48(第2回転シャフトに該当する)が回転可能に支持されている。第2ギヤシャフト48の上方には、半径方向に突出した第2鍔部481が形成されている。第2鍔部481には、インサート成形によって第2ホイルギヤ49(第2従動ギヤに該当する)が固着されている。
【0044】
第2ホイルギヤ49は、第1ホイルギヤ46と同様に合成樹脂材料にて形成されたヘリカルギヤで、外周面には斜歯491が設けられている。第2ホイルギヤ49は、前述した第1ギヤシャフト45のシャフトギヤ部452と噛合している。第2ホイルギヤ49はシャフトギヤ部452よりも大径に形成され、第2ホイルギヤ49の斜歯491の歯数は、シャフトギヤ部452の歯数よりも多く形成されている。
【0045】
第2ギヤシャフト48の下端には、サンギヤ部482(サンギヤに該当する)が一体に形成されている。サンギヤ部482は、第2ホイルギヤ49と一体に回転する。
サンギヤ部482の周囲には、サンギヤ部482と噛合する複数のプラネタリギヤ50が配置されている。本実施形態においては、4個のプラネタリギヤ50が設けられている(図3において2個のみ示す)が、これに限られるものではない。各々のプラネタリギヤ50は金属材料により形成され、サンギヤ部482の回転によってサンギヤ部482の外周を公転する。
【0046】
また、プラネタリギヤ50の周囲には、合成樹脂材料にて形成されたリングギヤ51が配置されている。円環状をしたリングギヤ51は、内周面においてプラネタリギヤ50のそれぞれと噛合するとともに、ロアボデー411とスナップフィットにより係合し回転不能に形成されている。
図4および図5に示したように、前述した軸受固定面411gの外周縁には、略矩形状の3個の挿入孔411jが円周上に均等間隔に貫通している。各々の挿入孔411jの外周端からは、係合片411kが半径方向内方に突出している。
【0047】
一方、リングギヤ51の外周面には、半径方向に撓み可能なスナップ片511が図3において上方に延びており、スナップ片511の先端には顎部512が形成されている。スナップ片511は、リングギヤ51の外周面上の3箇所に、互いに均等間隔になるように形成されている。
【0048】
リングギヤ51をロアボデー411に装着する場合、3個のスナップ片511が軸受固定面411gの挿入孔411j内に進入するように、リングギヤ51をロアボデー411内において上方に移動させていく。各々の挿入孔411j内に挿入されたスナップ片511は、顎部512が係合片411kに当接することにより半径内方に撓む。リングギヤ51の移動によって、顎部512が係合片411kを通過すると、スナップ片511は半径方向外方へと復元して顎部512が係合片411kに対し係合する。これにより、リングギヤ51は回転軸方向に移動不能となり、ロアボデー411から下方への脱落が防止される(図4示)。
リングギヤ51がロアボデー411に装着されると、スナップ片511が挿入孔411j内に配置されることにより、リングギヤ51はロアボデー411に対し円周方向にも移動不能となる(図5示)。
【0049】
前述したプラネタリギヤ50には、複数のプラネタリギヤ50同士を接続するようにキャリヤ部材52が係合している。キャリヤ部材52は合成樹脂材料にて形成され、その下端部には出力部材53が接続されている。出力部材53は金属材料にて形成され、上述したスクリュー部材6に接続されている。したがって、キャリヤ部材52は、出力部材53を介してスクリュー部材6に連結されている。
上述したサンギヤ部482、プラネタリギヤ50、リングギヤ51およびキャリヤ部材52によって遊星歯車機構YGが形成される。キャリヤ部材52は、プラネタリギヤ50の公転によって回転され、サンギヤ部482の回転を減速してスクリュー部材6に出力することができる。
【0050】
電動モータ3の駆動力は、最初に、ピニオンギヤ43と第1ホイルギヤ46との噛み合いによって減速(1段目の減速)される。その後、シャフトギヤ部452と第2ホイルギヤ49との噛み合いによって減速(2段目の減速)される。さらに遊星歯車機構YGによって減速(3段目の減速)された後、スクリュー部材6へと伝達される。
【0051】
本実施形態によれば、ギヤボデー41に設けられた第1アッパ軸受部材44aおよび第1ロア軸受部材44bによって第1ギヤシャフト45が支持されたことにより、第1ギヤシャフト45を電動モータ3に支持させるスペーサ等を必要とせず、減速機構4の大型化を防ぎ、低コストの電動パーキングブレーキ用駆動装置Gにすることができる。
【0052】
また、減速機構4は、電動モータ3の出力シャフト32に固着されたピニオンギヤ43と、ピニオンギヤ43よりも多数の歯数を有し、複数の部材を介してスクリュー部材6と連結されるとともに、ピニオンギヤ43と噛合した第1ホイルギヤ46とを含むことにより、ベルトを有する伝達機構を使用することなく、電動モータ3の回転を減速してスクリュー部材6に伝達することができ、万が一、電動モータ3に対する第1ギヤシャフト45の相対位置がばらついても、電動モータ3の駆動力を支障なく伝達することができ、車両を確実に駐車することができる。
【0053】
また、減速機構4は、第1ギヤシャフト45上に設けられたシャフトギヤ部452と、ギヤボデー41に支持される第2ギヤシャフト48と、第2ギヤシャフト48上に設けられるとともに、シャフトギヤ部452よりも多数の歯数を有し、シャフトギヤ部452と噛合する第2ホイルギヤ49と、第2ギヤシャフト48上に設けられたサンギヤ部482と、サンギヤ部482と噛合し、サンギヤ部482の回転によって公転する複数のプラネタリギヤ50と、内周面においてプラネタリギヤ50と噛合し回転不能なリングギヤ51と、複数のプラネタリギヤ50同士を接続し、プラネタリギヤ50の公転によって回転され、サンギヤ部482の回転を減速してスクリュー部材6に出力するキャリヤ部材52とを有することにより、電動モータ3の回転が2段のギヤ機構と遊星歯車機構YGとにより減速されるため、小型で減速効果の大きい駆動装置D1にすることができる。
【0054】
また、ギヤボデー41の外周壁411fおよびモータ壁部411eから第2ギヤシャフト48の回転中心に向けて延びる軸受固定面411gに、第2ロア軸受部材47bが形成されていることにより、第2ギヤシャフト48を軸方向の任意の位置において支持できる。
また、軸受固定面411gがプラネタリギヤ50と第2ホイルギヤ49との間を仕切っていることにより、第1ブレーキパッド21a側からギヤボデー41内への熱の伝播あるいは水の浸入を防ぐことができる。
また、ロアボデー411およびアッパボデー412は、それぞれの外周縁同士が接着剤により接合されていることにより、ギヤボデー41を形成する場合、短時間でロアボデー411とアッパボデー412とを接合することができる。
【0055】
<第2実施形態>
図6に基づき、本発明の実施形態2による駆動装置D2に関して、実施形態1による駆動装置D1に対する相違点について説明する。尚、以下、図6における上方を駆動装置D2の上方とし、下方を駆動装置D2の下方として説明する。
図6に示すように、駆動装置D2においては、実施形態1による駆動装置D1において使用した第1ギヤシャフト45に代えて、枢支ピン54(第1軸受部に該当する)が、圧入あるいは溶着等によりギヤボデー41に固定されている。
【0056】
枢支ピン54には、一対のブッシュ55a、55bを介して、ギヤメンバ56が回転可能に取り付けられている。ギヤメンバ56の上方には、実施形態1における第1ギヤシャフト45と同様に、半径方向に突出した第1鍔部561が形成されている。実施形態1と同様に、第1鍔部561にはインサート成形によって第1ホイルギヤ46が固着されている。
【0057】
ギヤメンバ56の下方には、外周面上にギヤ部562(伝達ギヤに該当する)が一体に形成されている。ギヤ部562は斜歯によって形成されており、実施形態1と同様に、第2ホイルギヤ49と噛合している。
その他の構成については、実施形態1による駆動装置D1と同様であるため、これ以上の説明は省略する。
【0058】
本実施形態の駆動装置D2によれば、駆動装置D1における第1ギヤシャフト45に代わり、回転不能な枢支ピン54がギヤボデー41に固定されているため、枢支ピン54のギヤボデー41に対する軸方向の掛り代を、回転部材である第1ギヤシャフト45に比べて低減することができる。したがって、駆動装置D1に比較して駆動装置D2は、上下方向にさらに小型化することができる。
【0059】
<第3実施形態>
図7乃至図9に基づき、本発明の実施形態3によるロアボデー411とアッパボデー412との接合方法について説明する。
本実施形態において、ロアボデー411およびアッパボデー412は、ともに熱可塑性の合成樹脂材料により形成されている。ロアボデー411とアッパボデー412とを接合する場合、最初に、それぞれの外周縁同士を互いに対向させた状態で当接させる。双方の外周縁が互いに当接することにより、その当接面には収容空間Sが形成される(図8示)。収容空間Sは、断面形状が略正方形であって、ロアボデー411およびアッパボデー412の外周縁上に線状に延びている。収容空間Sは、外周縁上において二分されている。
【0060】
それぞれの収容空間S内には、線状の発熱体H1、H2が配置され、各々の発熱体H1、H2の端部H11、H21は、ギヤボデー41の外部に引き出されている(図7および図9示)。各々の端部H11、H21に直流電源(図示せず)を接続して、発熱体H1、H2に通電することにより発熱体H1、H2は発熱し、ロアボデー411およびアッパボデー412を溶融させる。それとともに、ロアボデー411およびアッパボデー412を互いに加圧し、ロアボデー411とアッパボデー412の外周縁を溶着により接合させる。
【0061】
上述したロアボデー411とアッパボデー412の接合方法は、フラットヒュージョンシステム(Flat Fusion System、登録商標)あるいは内面溶着と言われている。接合後、ギヤボデー41の外部に突出した発熱体H1、H2の端部H11、H21は切り落とされる。上述した方法により、ロアボデー411とアッパボデー412は、外部からの水等の浸入を防ぐように液密的に接合される。
【0062】
本実施形態によれば、ロアボデー411およびアッパボデー412の外周縁同士を互いに当接させ、外周縁同士の間に線状の発熱体H1、H2を配置した後、発熱体H1、H2を発熱させながらロアボデー411およびアッパボデー412を互いに加圧して溶着させることにより、ロアボデー411およびアッパボデー412へ接着剤等を塗布することなく、また、接着剤が固化する時間を必要とすることもなく、短時間でロアボデー411とアッパボデー412とを接合することができる。
【0063】
<他の実施形態>
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。
ロアボデー411とアッパボデー412は、接合面が液密的に接合されていれば、ネジによる締結、あるいはレーザ溶着もしくはスナップフィット等によって接合されていてもよい。
また、ロアボデー411およびアッパボデー412を金属材料にて形成し、軸受部材44a,44b,47a,47bを合成樹脂材料にて形成してもよい。あるいは、図10に示したように、ロアボデー411またはアッパボデー412を金属材料にて形成し(図10において、アッパボデー412のみ示す)、軸受部57をロアボデー411またはアッパボデー412に一体に形成してもよい。
【0064】
また、ギヤボデー41は、3個以上のボデー部材を接合して形成してもよい。
また、ギヤボデー41は、ブレーキハウジング13に一体的に形成してもよい。
また、本発明は、ディスクロータ9をブレーキハウジング13の爪部13aとピストン8とで挟圧する浮動型のディスクブレーキのみではなく、ディスクロータ9の双方の側面をピストンにて押圧する対向型のディスクブレーキにも適用可能である。
また、電動モータ3は、ブレーキハウジング13に取り付けられてもよい。
また、電動モータ3には、同期機、誘導機、直流機等のあらゆるモータが使用可能である。
【符号の説明】
【0065】
図面中、3は電動モータ、4は減速機構、6はスクリュー部材(回動部材)、7はナット部材(直進部材)、8はピストン、9はディスクロータ(ディスク)、13はブレーキハウジング、21aは第1ブレーキパッド(ブレーキパッド)、21bは第2ブレーキパッド(ブレーキパッド)、32は出力シャフト(出力軸)、41はギヤボデー、43はピニオンギヤ(駆動ギヤ)、44aは第1アッパ軸受部材(第1軸受部)、44bは第1ロア軸受部材(第1軸受部)、45は第1ギヤシャフト(第1回転シャフト)、46は第1ホイルギヤ(第1従動ギヤ)、47aは第2アッパ軸受部材(第2軸受部)、47bは第2ロア軸受部材(第2軸受部)、48は第2ギヤシャフト(第2回転シャフト)、49は第2ホイルギヤ(第2従動ギヤ)、50はプラネタリギヤ、51はリングギヤ、52はキャリヤ部材、54は枢支ピン(第1軸受部)、57は軸受部、411はロアボデー(ボデーピース)、411eはモータ壁部(外壁)、411fは外周壁(外壁)、411gは軸受固定面(支持壁)、412はアッパボデー(ボデーピース)、452はシャフトギヤ部(伝達ギヤ)、482はサンギヤ部(サンギヤ)、562はギヤ部(伝達ギヤ)、D1,D2は電動パーキングブレーキ用駆動装置、H1,H2は発熱体、Mはパーキングブレーキアクチュエータ、Pは電動パーキングブレーキ装置を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動部材の回転運動を直進運動に変換してピストンに伝達し、前記ピストンによって付勢されたブレーキパッドが、車輪とともに回転するディスクを押圧することにより前記車輪に制動力を発生させるパーキングブレーキアクチュエータを駆動するための電動パーキングブレーキ用駆動装置であって、
電動モータと、
前記電動モータの駆動力を前記回動部材に伝達する減速機構と、
を備え、
前記減速機構は、
ギヤボデーと、
前記ギヤボデー内に設けられ、前記電動モータの出力軸に固着された駆動ギヤと、
前記ギヤボデーに設けられた第1軸受部によって、前記ギヤボデーに対して回転可能に支持される第1回転シャフトと、
前記第1回転シャフト上に形成され、前記回動部材に連結されるとともに、前記駆動ギヤよりも多数の歯数を有し、前記駆動ギヤと噛合することにより、前記電動モータの回転を減速して前記回動部材に伝達する第1従動ギヤと、
を含む電動パーキングブレーキ用駆動装置。
【請求項2】
前記減速機構は、
前記第1回転シャフト上に設けられ、前記第1従動ギヤと一体に回転する伝達ギヤと、
前記ギヤボデーに設けられた第2軸受部によって、前記ギヤボデーに対して回転可能に支持される第2回転シャフトと、
前記第2回転シャフト上に設けられ、前記伝達ギヤよりも多数の歯数を有するとともに、前記伝達ギヤと噛合する第2従動ギヤと、
前記第2回転シャフト上に設けられ、前記第2従動ギヤと一体に回転するサンギヤと、
前記サンギヤと噛合し、前記サンギヤの回転によって前記サンギヤの外周を公転する複数のプラネタリギヤと、
前記プラネタリギヤの周囲に配置され、内周面において前記プラネタリギヤと噛合するとともに、前記ギヤボデーと係合することによって回転不能なリングギヤと、
複数の前記プラネタリギヤ同士を接続するとともに前記回動部材に連結され、前記プラネタリギヤの公転によって回転され、前記サンギヤの回転を減速して前記回動部材に出力するキャリヤ部材と、
を有する請求項1記載の電動パーキングブレーキ用駆動装置。
【請求項3】
前記ギヤボデーには、
一対の前記第2軸受部が設けられ、
前記ギヤボデーは、
外壁から前記第2回転シャフトの回転中心に向けて延び、前記プラネタリギヤと前記第2従動ギヤとの間を仕切る支持壁を有し、
前記第2軸受部のうちの一方が前記支持壁に形成されている請求項2記載の電動パーキングブレーキ用駆動装置。
【請求項4】
前記ギヤボデーは、内部に所定容量の空間を有するように互いに接合する一対のボデーピースにより形成され、
前記一対のボデーピースは、それぞれの外周縁同士が接着剤により接合されている請求項1乃至3のうちのいずれか一項に記載の電動パーキングブレーキ用駆動装置。
【請求項5】
前記ギヤボデーは、内部に所定容量の空間を有するように互いに接合する一対のボデーピースにより形成され、前記一対のボデーピースは、ともに熱可塑性の合成樹脂材料により形成されており、
前記ボデーピースを接合する場合、それぞれの外周縁同士を互いに当接させ、前記外周縁同士の間に線状の発熱体を配置した後、前記発熱体に通電することによって発熱させながら、双方の前記ボデーピースを互いに加圧して溶着する請求項1乃至3のうちのいずれか一項に記載の電動パーキングブレーキ用駆動装置。
【請求項6】
車体に取り付けられたブレーキハウジングと、
前記ブレーキハウジングに対し移動可能に取り付けられたピストンと、
車輪とともに回転するディスクと前記ピストンとの間に介装されたブレーキパッドと、
前記ブレーキハウジングに対し移動不能に設けられた電動モータと、
前記電動モータの駆動力を伝達する減速機構と、
前記ブレーキハウジング内において、前記減速機構を介して前記電動モータにより駆動される回動部材と、
前記回動部材と噛合するとともに前記ブレーキハウジングに対して回転不能とされ、前記回動部材の回転により前記ピストンの軸方向に移動して、前記ピストンを介して前記ブレーキパッドを前記ディスクに向けて付勢する直進部材と、
を備えた電動パーキングブレーキ装置であって、
前記減速機構は、
前記ブレーキハウジングに取り付けられたギヤボデーと、
前記ギヤボデー内に設けられ、前記電動モータの出力軸に固着された駆動ギヤと、
前記ギヤボデーに設けられた第1軸受部によって、前記ギヤボデーに対して回転可能に支持される第1回転シャフトと、
前記第1回転シャフト上に形成され、前記回動部材に連結されるとともに、前記駆動ギヤよりも多数の歯数を有し、前記駆動ギヤと噛合することにより、前記電動モータの回転を減速して前記回動部材に伝達する第1従動ギヤと、
を含む電動パーキングブレーキ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−229741(P2012−229741A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98015(P2011−98015)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(301065892)株式会社アドヴィックス (1,291)
【Fターム(参考)】