説明

電動化粧用ブラシ

【課題】粉末状化粧料を短時間で、手を汚さずに塗布できることに加え、さらに電動式であることにより、手で行う化粧操作とは異なる動きを可能とし、手で行うよりも優れた化粧仕上がりと、従来では得ることができなかった、肌に当てたときの感触のよい電動式の化粧用具を提供する。
【解決手段】電動の駆動ユニットにより、ブラシ毛3を束ねて成る塗布部4をブラシ毛3が配向する方向に往復振動させ、ブラシ毛3の先端で肌を叩くように塗布部4で化粧料を塗布する化粧用ブラシであり、往復振動の振幅を2〜10mmとし、往復振動の振動数を3〜50Hzとし、ブラシ毛の長さを15〜30mmとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動の駆動ユニットにより、ブラシ毛を束ねて成る塗布部をブラシ毛が配向する方向に往復振動させ、ブラシ毛の先端で肌を叩くように塗布部で化粧料を塗布する電動化粧用ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
ファンデーションなどの粉末状化粧料は比較的広い面積の肌に塗布するため、短時間で均一に塗布することができ、しかも、むらがなく美しい仕上がりが可能な化粧用塗布具の開発が重要である。このため、近年、ファンデーションなどの粉末状化粧料を塗布するための化粧用塗布具として電動式による化粧用ブラシが開発されている(特許文献1、2)。
【0003】
しかしながら、これらの電動式の化粧用ブラシは、従来のように手で塗布するよりも短時間に、しかも手を汚すことなく塗布できるなどの効果や、血行促進によるマッサージ効果を有するものの、化粧用ブラシの基本的な動きは、従来手で行っていた動作と大きく異なるものではないため、化粧の仕上がりにおいては、手で塗布する場合に比べて顕著な効果が期待できるとは必ずしもいえるものではなかった。
【0004】
電動式であることにより、短時間で、手を汚さずにできるものであることはもちろん、さらに、電動式であることで、手で行う化粧操作とは異なる動きを可能とし、手で行うよりも優れた化粧仕上がりと、従来では得ることができなかった、肌に当てたときの感触に優れた電動式の化粧用具の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−192074号公報
【特許文献2】特開2006−238998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、粉末状化粧料を短時間で、手を汚さずに塗布できることに加え、さらに電動式であることにより、手で行う化粧操作とは異なる動きを可能とし、従来では得ることができなかった、手で行うよりも優れた化粧仕上がりと、肌に当てたときの感触のよい電動式の化粧用具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために本発明者らが検討を行った結果、電動の駆動ユニットにより、ブラシ毛を束ねて成る塗布部をブラシ毛が配向する方向に往復振動させ、ブラシ毛の先端で肌を叩くように塗布部で化粧料を塗布することにより、肌に当てたときの感触に優れ、粉末状化粧料を手を汚さずに短時間で均一に塗布することができとともに、優れた化粧効果を奏することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、電動の駆動ユニットにより、ブラシ毛を束ねて成る塗布部をブラシ毛が配向する方向に往復振動させ、ブラシ毛の先端で肌を叩くように塗布部で化粧料を塗布することを特徴とする電動化粧用ブラシである。
【0009】
さらに本発明は、駆動ユニットが、電動モータと、該電動モータの回転を減速するための減速機構と、該減速機構による減速回転を往復運動に変換する往復運動変換機構と、を備えることを特徴とする電動化粧用ブラシである。
【0010】
さらに本発明は、往復運動変換機構が、減速機構による減速回転を回転軸に対して同一又は直交する方向の往復運動に変換するカム機構を備えることを特徴とする電動化粧用ブラシである。
【0011】
さらに本発明は、カム機構が、アームを付勢しカムに当接させるための押し付けバネを備えることを特徴とする電動化粧用ブラシである。
【0012】
また本発明は、往復運動変換機構が、減速機構による減速回転を回転軸に対して直交する方向の往復振動に変換するクランク機構を備えることを特徴とする電動化粧用ブラシである。
【0013】
さらに本発明は、往復振動の振幅が、2〜10mmであることを特徴とする電動化粧用ブラシである。
【0014】
さらに本発明は、往復振動の振動数が、3〜50Hzであることを特徴とする電動化粧用ブラシである。
【0015】
さらに本発明は、ブラシ毛の長さが、15〜30mmであることを特徴とする電動化粧用ブラシである。
【0016】
さらに本発明は、塗布部の外径が、10〜35mmであることを特徴とする電動化粧用ブラシである。
【0017】
さらに本発明は、塗布部の先端面が、平面形状であることを特徴とする電動化粧用ブラシである。
【0018】
さらに本発明は、塗布部の先端面が、ブラシ毛が配向する方向に対して傾斜した平面形状であることを特徴とする電動化粧用ブラシである。
【0019】
また本発明は、前記の電動化粧用ブラシを使用してブラシ毛の先端で肌を叩くように化粧料を塗布することを特徴とする化粧方法である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の電動化粧用ブラシによれば、ブラシ毛の先端で肌を叩くようにしてファンデーション等の粉末状化粧料を塗布することができ、仕上がりが均一で美しく、また化粧持ちに優れた化粧効果を得ることが可能となる。
【0021】
また、肌に当てたときの感触に優れ、粉末状化粧料を顔全体に手を汚さずに短時間で均一に塗布することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】電動化粧用ブラシの外観図
【図2】電動化粧用ブラシの正面透視図((ア)塗布部を突き出した状態、(イ)塗布部を引き込んだ状態)
【図3】電動化粧用ブラシの側面透視図((ア)塗布部を突き出した状態、(イ)塗布部を引き込んだ状態)
【図4】電動化粧用ブラシの主要部材の分解図
【図5】電動化粧用ブラシ(第2の実施形態)の主要部材の分解図
【図6】カムの形状((ア)第2の実施形態、(イ)第3の実施形態)、(ウ)第4の実施形態)
【図7】塗布部の形状を示す図((ア)傾斜平面、(イ)垂直平面、(ウ)湾曲面)
【図8】塗布部の寸法計測箇所を示す図
【図9】塗布部の変形量と荷重との関係を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の電動化粧用ブラシを図面にもとづいて詳しく説明する。
【0024】
図1は本発明の電動化粧用ブラシの外観を示す。本発明の電動化粧用ブラシ(1)は、本体(6)に設けられたスイッチ(7)を入れると、本体(6)に内蔵された電動の駆動ユニットが作動し、ブラシ毛(3)を束ねて成る塗布部(4)をブラシ毛(3)が配向する方向に往復振動させ、ブラシ毛の先端で肌を叩くように塗布部で化粧料を塗布することができる。
【0025】
ブラシ毛の材質は、従来の化粧用ブラシに用いられている馬毛やイタチ、灰リス、松リス、カナダリス、山羊、狸、鹿、牛、羊、兎、猿、猫、狐、豚、狼、ムササビなどの獣毛を使用したりポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロンなどの合成繊維毛を使用したり、これらを混毛するなどして使用することができる。
【0026】
塗布部は、従来の化粧用ブラシと同程度の硬さのものであれば特に制限されることなく広く採用することができるが、ブラシ毛の先端に荷重をかけ塗布部を押し曲げたとき、塗布部を0〜8mm押し曲げるための荷重が0〜10Nの範囲であれば、柔軟性に優れ、肌へのフィット感や感触に優れるため好ましい。また、本発明の電動化粧用ブラシにおいては、例えば、図9に示すように、塗布部に荷重を4N加えた際の変形量が1.5mm程度のものが、振動による塗布のしやすさと肌当たりのバランスが良く、特に好ましい。
【0027】
駆動ユニット(2)は図2に示すように、電動モータ(9)と、電動モータの回転を減速するための減速機構(10)と、減速機構による減速回転を往復運動に変換する往復運動変換機構(11)を備える。また、本体(6)には乾電池(8)が内蔵されており、スイッチ(7)を入れると電動モータ(9)が起動し、駆動ユニット(2)が作動する。
【0028】
減速機構(10)は、複数の歯車の歯車比により電動モータ(9)による回転を適切な回転速度まで回転を減速するための機構である。図2及び図3に示すように(図2は正面からの透視図、図3は側面からの透視図を示す)、電動モータ(9)の回転軸(9a)に取り付けられた第1歯車(10a)は、第2歯車(10b)に噛み合っており電動モータの回転は第2歯車に伝達される。図では、第1歯車(10a)と第2歯車(10b)は、かさ歯車となっており、電動モータ(9)による回転を回転軸(9a)と直交する回転軸の回転に変換している。これにより、減速機構(10)と電動モータ(9)とは、電動モータ(9)の回転軸(9a)の軸心方向に並べて配置することができ、本体(6)を携帯性にすぐれた棒形状にすることを可能としている。
【0029】
第3歯車(10c)は第2歯車(10b)よりも歯数が少ない小径の歯車であり、第2歯車(10b)と同一の回転軸に連結している。そして第3歯車(10c)は、第3歯車よりも歯数が多く大径の第4歯車(10d)と噛み合っており、第3歯車と第4歯車との歯車比により回転速度を減速することができる。また、第4歯車(10d)はその回転軸に歯数が少ない小径の第5歯車(10e)を連結しており、第5歯車(10e)が、それより歯数が多く大径の第6歯車(10f)と噛み合うことにより、さらに回転速度を減速している。このような減速機構(10)により、電動モータの回転速度約6000rpmの回転は、最終的に回転速度約180〜3000rpmまで減速される。
【0030】
図2及び3では6個の歯車を用いた減速機構(10)を示すが、これは、携帯性にすぐれた細い棒形状の本体(6)に組み込むためのもので、本体(6)に組み込むことができる外径が比較的小さい歯車を複数使用し、これらを組み合わせることにより段階的に回転速度を落としている。ただし、電動化粧用ブラシの用途や使用方法によっては本体(6)の形状は異なるため、減速機構に用いる歯車の数や種類は適宜選定して用いるべきである。
【0031】
往復運動変換機構(11)は、減速機構(10)により減速された回転を往復運動に変換するための機構である。図4に示されるように、第6歯車(10f)と、これと回転軸を同じくする回転板(10g)とは、回転軸と平行に配置した当接ピン(11b)により、対向する互いの板側面(10h,10i)の回転軸から偏心した位置で連結している。
【0032】
第6歯車(10f)の回転により当接ピン(11b)と当接するアーム(11a)は、本体(6)に設けた挿通孔(6a)を通して振動部材(12)に固定される。アーム(11a)は湾曲した傾斜面を有し、これを当接ピン(11b)との当接面(11d)としている。振動部材(12)と本体(6)との間には、押し付けバネ(11c)が組み込まれ、バネによる反発力で、アーム(11a)が当接ピン(11b)に当接するように付勢している。
【0033】
振動部材(12)の外周面には雄ネジ部(13a)が設けられ、内周面に雌ネジ部(13b)を設けた塗布部保持体(5)とはネジを螺合して連結している。また、塗布部保持体(5)は振動部材(12)とは反対側に、振動部材(12)の振動方向に配向したブラシ毛を束ねた塗布部(4)を固定し、振動部材(12)が往復振動すると、ブラシ毛(3)が配向する方向に塗布部(4)を往復振動するように構成される。尚、振動部材(12)と塗布部保持体(5)との螺合による連結は、ブラシ毛の摩耗等により塗布部(4)の交換が必要となる場合に備え、塗布部(4)及び塗布部保持体(5)を振動部材(12)に着脱可能に接合するための一例である。したがって、着脱可能に接合するための方法は螺合以外の方法を適宜採用することができるとともに、塗布部の交換が必要ない場合には、振動部材(12)と塗布部保持体(5)とを一体的に形成することもできる。
【0034】
図2は本発明の電動化粧用ブラシの正面からの透視図、図3は側面からの透視図であり、図2(ア)と図3(ア)、図2(イ)と図3(イ)はそれぞれ対応した状態を示す。また、図3は第6歯車(10f)が反時計方向に回転する例を示したものである。第6歯車(10f)が回転すると図3(ア)(図2(ア))の状態からアーム(11a)は当接ピン(11b)と当接し始め、さらに第6歯車(10f)が反時計方向に回転すると、アーム(11a)は当接ピン(11b)の移動に伴って、図の右方向に移動する。アーム(11a)は、湾曲した傾斜面を当接ピンとの当接面としており、また押し付けバネ(11c)で付勢されていることから、当接ピン(11b)の回転運動に円滑に追従することができ、第6歯車(10f)の回転運動を往復運動に変換することができる。
【0035】
第6歯車(10f)の回転にともない、アーム(11a)は図3(イ)(図2(イ))の状態まで図の右方向に移動するが、さらに第6歯車(10f)が回転すると、当接ピン(11b)との係合が解除され、押し付けバネ(11c)による反発力でアーム(11a)とこれに連結する振動部材(12)は図の左方向に素早く移動する。この動きにともない塗布部(4)はブラシ毛の先端で肌を叩くように突出される。このように押し付けバネ(11c)の反発力は、アーム(11a)を付勢し、アーム(11a)を当接ピン(11b)に当接させるとともに、アーム(11a)と当接ピン(11b)との係合が解除された場合には、塗布部(4)を素早く移動させ、ブラシ毛の先端で肌を叩くための力として作用する。このようにバネの力を利用して肌を叩くため、強い力が肌に加わることがなく、心地よい使用感を得ることができる。また、押し付けバネ(11c)を組み込むことにより、例えば、使用者が電動化粧用ブラシを強い力で肌に押し当てて使用した場合にも、過度の力が第6歯車(10f)に伝わることがないため、減速機構(10)や電動モータ(9)が故障する危険を回避することが可能となる。
【0036】
図2及び3のカム機構(11)においては、第6歯車(10f)と回転板(10g)との互いに対向する板側面(11h,11i)を回転軸に平行な当接ピン(11b)で連結してカムを構成し、このカム(当接ピン(11b))に当接するアーム(11a)を組み合わせることにより、第6歯車(10f)の回転運動を回転軸に対して直交する方向の往復運動に変換しているが、カムの形状は図示したものに限られず、例えば図6(ア)に示すような板カムを歯車の回転軸に取り付けて用いることもできる。また、端面カム(図6(イ))や円筒リブカム(図6(ウ))を用いれば、第6歯車(10f)の回転運動を回転軸と同一方向の往復運動に変換することも可能であり、塗布部が振動する方向を変更することもできる。
【0037】
また、図5に示すように、往復運動変換機構(11)にクランク機構(14)を備えることによっても、歯車(10f)の回転運動を回転軸に直交する方向の往復運動に変換することができる。クランク機構は、第4歯車(10d)の回転軸から偏心した位置に連結棒(14a)の一端を回動可能に連結し、さらに連結棒(14a)の他端にロッド(14b)を回動可能に連結して構成される。また、ブッシュ(15)は、ロッド(14b)を挿通することによりロッド(14b)が振動する方向を規制するとともに、ロッド(14b)が往復振動することにより生じる本体(6)との摩擦を軽減するための部材である。
【0038】
振動数を変化させる手段としては、電動モータに印加する電圧を変化させたり、PWM制御によるパルス幅を変更して、電動モータの回転数を変化させる方法があり、図には示していないが、使用者が使用時において電動モータの回転数を適宜調整できるよう、印加電圧等を変化させるための調整ダイヤル等を本体(6)に設けることもできる。また、振幅(ストローク長)は、図2に示す第6歯車(10g)や図5に示す第4歯車(10d)など、回転運動を往復運動に変換する直前の回転体の径を大きくするか、回転体に図6に示すような形状のカムを使用する場合には、アームとの当接面の形状を変更するなどして、往復運動するアーム(11a)や連結棒(14a)の移動距離を変更して調整することができる。
【実施例】
【0039】
本発明の電動化粧料用ブラシについて行った効果を確認するための試験結果を以下詳細に説明する。
【0040】
本発明の電動化粧用ブラシについて、従来の化粧方法(通常の化粧用ブラシを使用して通常の手法でファンデーションを塗布する方法)と比較した結果を表1に示す。評価は、いずれもパネラー3名によりファンデーションを塗布した際に行ったアンケート評価を平均したものであり、◎はきわめて優れる、○は優れる、△は普通、×は劣ることを示す。
【0041】
塗布部の先端形状は、ブラシ毛が配向する方向に対して傾斜した平面である「傾斜平面」(図7(ア))と、ブラシ毛が配向する方向に対して垂直の平面である「垂直平面」(図7(イ))と、毛先を山型に切り揃えた「湾曲面」(図7(ウ))の3種について評価した。
【0042】
ブラシ毛の長さは、「傾斜平面」では最長のブラシ毛長さL1と最短のブラシ毛長さL2(図7(ア))を、「垂直平面」ではブラシ毛長さL(図7(イ))を、「湾曲面」では最長のブラシ毛長さL1と最短のブラシ毛長さL2(図7(ウ))を計測した数値である。
【0043】
塗布部の外径は、束ねたブラシ毛の外径を計測し、楕円形状である場合には、長径D1と短径D2を計測した数値である(図8)。
【0044】
【表1】

【0045】
表1に示すように、実施例1〜5は、通常の化粧用ブラシを用いた従来の化粧方法(比較例1)に比べていずれも良好な結果を得ることができた。特に、塗布部の先端形状を「傾斜平面」とした実施例1及び2では、細かい部分にも塗布することができることから高い評価を得ることができた。このことから、塗布部の先端形状は傾斜した平面形状とすることで化粧効果が更に優れることが確認された。また、塗布部の外径は35mmを超えると細かい部分に化粧料を塗布することが困難となり、仕上がりの美しさにおいても劣るものとなる。したがって、塗布部の外径は35mm以下であることが好ましい。
【0046】
つぎに電動化粧料用ブラシの振動数とストローク長(振幅)を変えた場合の肌に当たる塗布部の感触など使用感について評価した。
【0047】
以下、各評価での電動化粧料用ブラシの塗布部は、図7(ア)に示すような形状であり、塗布部は外径20mmの円柱形状で、先端面は平らな傾斜面とし、毛足が長い方のブラシ毛の長さ(L1)が18mm、毛足が短い方のブラシ毛の長さ(L2)が15mmのものを使用した。
【0048】
【表2】

【0049】
表2に示すとおり、本発明の電動化粧用ブラシは、肌あたりが柔らかく、すべての条件において◎〜○の評価結果であり良好な結果を確認することができた。ただし、2mm未満のストローク長(振幅)では、塗布部の動く距離が僅かであるため、振動が肌やブラシ毛の変形によって吸収され、ブラシ毛の毛先が肌から離れず、肌を叩くようにして塗布する本発明の効果を十分に得ることはできなかった。
【0050】
また、振動数が50Hzを超えると、塗布部が振動していることを感じとることができず、ブラシ毛の毛先で肌を叩くように塗布する効果も得られなかった。
【0051】
つぎに、仕上がりの美しさについて評価した結果を表3に示す。
【0052】
【表3】

【0053】
表3に示すように、ストローク長が2〜10mm、振動数が3.3〜41.7Hzの範囲内で○良好な結果が多く分布しており、特に、振動数が13.3〜41.7Hz、ストローク長が3〜7mmの範囲内で◎きわめて良好な結果が多く分布している。ただし、50Hzを超える振動数では、ブラシ毛の毛先で肌を叩く動作を確実に行うことができず、良好な結果は得られなかった。
【0054】
化粧を手早く仕上げることができる効果について評価した結果を表4に示す。
【0055】
【表4】

【0056】
表4に示すように、化粧を手早く仕上げることができる効果は、ストローク長が2〜10mm、振動数が3.3〜41.7Hzの範囲内で○良好な結果が多く分布しており、特に、振動数が13.3〜41.7Hz、ストローク長が3〜7mmの範囲内で◎きわめて良好な結果が多く分布している。このように振動数が比較的大きい領域は化粧の仕上がりに優れる傾向にあることが確認された。一方、振動数が3Hzより小さいと、化粧を手早く仕上げることができず、振動数は3Hz以上であることが好ましい。
【0057】
細かい部分への塗布のし易さについて評価した結果を表5に示す。
【0058】
【表5】

【0059】
細かい部分への塗布のし易さは、表5に示すとおり、ストローク長が2〜7mmでは○良好であり、10mmでは△普通の結果であった。ストローク長は2〜10mmで標準以上の効果が得られるが、細かい部分に塗布するためには、ストローク長を2〜7mmとすることが好ましい。
【0060】
以上の各評価を総合した総合評価を表6に示す。
【0061】
【表6】

【0062】
表6に示すとおり、ストローク長が2〜10mm、振動数が3.3〜41.7Hzの範囲内で○良好な結果が多く分布しており、特に、振動数が13.3〜41.7Hz、ストローク長が2〜10mmの範囲内で◎きわめて良好な結果が多く分布している。ただし、以上の結果はファンデーションを塗布する場合の評価であり、白粉や頬紅などファンデーションとは異なる処方の粉末状化粧料を塗布する場合には、上記と異なる評価になる可能性もある。このため、電動化粧用ブラシで種々の粉末状化粧料を塗布するためには、ストローク長と振動数を調整することができる機構を備えることが望ましく、ファンデーションを塗布する際には上記の範囲内で適宜調整して使用することが好ましい。
【符号の説明】
【0063】
1 電動化粧用ブラシ
2 駆動ユニット
3 ブラシ毛
4 塗布部
5 塗布部保持体
6 本体
6a 挿通孔
7 スイッチ
8 乾電池
9 電動モータ
9a 回転軸
10 減速機構
10a 第1歯車
10b 第2歯車
10c 第3歯車
10d 第4歯車
10e 第5歯車
10f 第6歯車
10g 回転板
10h 板側面
10i 板側面
11 カム機構(往復運動変換機構)
11a アーム
11b 当接ピン
11c 押し付けバネ
11d 当接面
12 振動部材
13 螺合部
13a 雄ネジ部
13b 雌ネジ部
14 クランク機構(往復運動変換機構)
14a 連結棒
14b ロッド
15 ブッシュ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動の駆動ユニットにより、ブラシ毛を束ねて成る塗布部をブラシ毛が配向する方向に往復振動させ、ブラシ毛の先端で肌を叩くように塗布部で化粧料を塗布することを特徴とする電動化粧用ブラシ。
【請求項2】
駆動ユニットが、電動モータと、該電動モータの回転を減速するための減速機構と、該減速機構による減速回転を往復運動に変換する往復運動変換機構と、を備えることを特徴とする請求項1記載の電動化粧用ブラシ。
【請求項3】
往復運動変換機構が、減速機構による減速回転を回転軸に対して同一又は直交する方向の往復運動に変換するカム機構を備えることを特徴とする請求項2記載の電動化粧用ブラシ。
【請求項4】
カム機構が、アームを付勢しカムに当接させるための押し付けバネを備えることを特徴とする請求項3記載の電動化粧用ブラシ。
【請求項5】
往復運動変換機構が、減速機構による減速回転を回転軸に対して直交する方向の往復運動に変換するクランク機構を備えることを特徴とする請求項2記載の電動化粧用ブラシ。
【請求項6】
往復振動の振幅が、2〜10mmであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電動化粧用ブラシ。
【請求項7】
往復振動の振動数が、3〜50Hzであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電動化粧用ブラシ。
【請求項8】
ブラシ毛の長さが、15〜30mmであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の電動化粧用ブラシ。
【請求項9】
塗布部の外径が、10〜35mmであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の電動化粧用ブラシ。
【請求項10】
塗布部の先端面が、平面形状であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の電動化粧用ブラシ。
【請求項11】
塗布部の先端面が、ブラシ毛が配向する方向に対して傾斜した平面形状であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の電動化粧用ブラシ。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれかに記載の電動化粧用ブラシを使用してブラシ毛の先端で肌を叩くように化粧料を塗布することを特徴とする化粧方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−106741(P2013−106741A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253392(P2011−253392)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】