説明

電動型締装置

【課題】 ダイカストマシンや射出成形機において用いられる、リンク機構を要しない電動駆動方式の型締装置を提供する。
【解決手段】 マシンベースと、マシンベース上に固定的に載置され固定型を保持する固定プレートと、固定プレートの反金型側に摺動可能に載置されている固定プラテンと、固定プラテンと結合するタイバーと、マシンベース上に型開閉方向に摺動可能に載置され可動型を保持しタイバーと係合離脱が可能なハーフナットを備える可動盤と、可動盤を開閉動作駆動することができる型開閉装置と、固定プレートと固定プラテンの間に装着されモータと型締用ねじによって動作し型締力および離型力を発生することができる複数の型締力発生機構と、から構成される型締装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
アルミニウム製品やプラスチック製品を成形するダイカストマシンおよび射出成形機に用いられる、電動駆動方式の型締装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイカストマシンや射出成形機においては、高温で溶融状態のアルミニウムや樹脂を、閉じられた金型の空間部であるキャビティ内に、射出装置によって高速高圧で充填し、冷却固化後に金型を開き、成形品を取出して生産する。そのため、型締装置には、金型を高速で開閉することができ、かつ充填中の圧力によって金型が開いてバリが発生しないよう、金型に大きな型締力を負荷できる機能が要求される。これまでに、多くの種類の型締装置、例えばトグル式、直圧式、複合式などが考案され使用されてきた。さらに、シリンダー等に高圧の油圧を供給し装置を駆動させる油圧駆動方式のものから、近年では、サーボモータとボールねじで動作させる電動駆動式のものが、一般的に使用されるようになってきており、運転時の省エネ化や低騒音化を実現している。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の型締装置は、型開閉用電動機(モータ)とボールねじで金型を閉じてタイバーをロックした後、タイバーと一体のボールねじ軸と螺合するボールねじナットを回転させ、大きな型締め力を得ることができる機構の、2枚のプラテンからなる複合式の電動駆動型締装置が開示されている。この複合式の型締装置は、大きなトグル機構を要さないので、成形工場内において広い設置面積を要しない省スペース機である利点を持っている。
【0004】
また、特許文献2は、電動駆動式に一般的に採用されているトグル式の型締装置に関するものであり、ステーショナリープラテンやムービングプラテンが撓んだ状態で金型の周辺部のみに型締力を負荷することがないよう、それぞれに支持機構を取付け、金型の中央部を押圧するようになっている。このことにより、溶融樹脂などの圧力が高いキャビティ中央部に型締力を集中させることができるので、バリの発生を低減できるという効果を持っている。
【0005】
さらに、特許文献3においては、可動プラテン側を2枚の盤から構成し、その間にコロを介して楔体を挿入し、サーボモータとボールねじによって楔体を移動させることによって型締力を発生させる機構の、複合式の電動駆動型締装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平02−32064号公報
【特許文献2】特許第3591908号公報
【特許文献3】特開2006−218627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された機構では、タイバーと一体の型締ボールねじが、型締力による大きな引張りと曲がり荷重を受けるために損傷しやすく、大きな負荷に耐えうる定格荷重が非常に高いものが要求される。そのため、この機構は、型締力が500トンを超えるような大型の成形機への採用が困難であった。また、型締力を負荷すると、金型を保持する固定盤と可動盤が撓むため、金型の周辺部を押圧することになり、樹脂などの圧力が高い金型中央部には型締力が作用しにくく、バリが発生しやすいという欠点もあった。
【0008】
また、特許文献2に開示されたトグル式の機構は、金型中央部に型締力を集中することが可能で、バリの発生が低減できるという効果はあるが、ムービングプラテンの後方に設置するトグル機構が大きく、型締装置全体が長くなってしまう。そのため、工場内において大きな設置スペースを確保する必要があり、工場内の作業スペースなどが狭くなっていた。
【0009】
そして、特許文献3に開示された機構は、複合式で省スペースであるという利点はあるが、可動プラテン側の2枚の盤間に配した楔体を移動させて型締力を発生させるため、小さな移動力で型締力を発生させようとする場合、楔体の表裏面が交差する角度を小さくしなければならなくなり、盤の面積を広く使う必要がある。成形品形状によって金型の厚みが変わるので、型厚によって型締力が発生する楔体の位置が変わり、盤の周囲部に楔体が位置した状態で発生させる場合には、金型の周辺部を押圧することになり、中央部にバリが発生しやすくなるという欠点があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の課題を解決するために、本願の発明は、
マシンベースと、マシンベース上に固定的に載置され固定型を保持する固定プレートと、固定プレートの反金型側に摺動可能に載置されている固定プラテンと、固定プラテンと結合するタイバーと、マシンベース上に型開閉方向に摺動可能に載置され可動型を保持しタイバーと係合離脱が可能なハーフナットを備える可動盤と、可動盤を開閉動作駆動することができる型開閉装置と、固定プレートと固定プラテンの間に装着されモータと型締用ねじによって動作し型締力および離型力を発生することができる複数の型締力発生機構と、から構成される型締装置であって、型締用ねじの中心線は、金型の取付け面の範囲内に配置されていることを特徴とする。
また、前述の発明において、可動盤は、可動型を保持する可動プレートとハーフナットを保持する可動プラテンから構成され、型締時における可動プレートと可動プラテンとの連結部の接触部は、金型の取付け面の範囲内に配置されており、型締力による可動プラテンの撓みは、可動プレートに伝わらない構造であることを特徴とする型締装置である。
さらに、前述、前々述の発明において、型締力が負荷されていない状態においては、連結部は可動プレートと可動プラテンのどちらか一方の面は平面であり、他方の面は中央部が平面であり周囲部は円錐面または角錐面であり、また平面は可動金型の取付け面と平行であることを特徴とする型締装置である。
【0011】
続いての本願の発明は、マシンベースと、マシンベース上に固定的に載置され固定型を保持する固定盤と、固定盤と結合するタイバーと、マシンベース上に型開閉方向に摺動可能に載置され可動型を保持する可動プレートと、可動プレートの反金型側に摺動可能に載置されタイバーと係合離脱が可能なハーフナットを保持する可動プラテンと、可動プレートと可動プラテンを一体的に開閉動作駆動することができる型開閉装置と、可動プレートと可動プラテンの間に装着されモータと型締用ねじによって動作し型締力および離型力を発生することができる複数の型締力発生機構と、から構成される型締装置であって、型締用ねじの中心線は、金型の取付け面の範囲内に配置されていることを特徴とする。
また、前述の発明において、固定盤は固定型を保持する固定プレートとタイバーと結合する固定プラテンから構成され、型締時における固定プレートと固定プラテンとの連結部の接触部は金型の取付け面の範囲内に配置されており、型締力による固定プラテンの撓みは、固定プレートに伝わらない構造であることを特徴とする型締装置である。
さらに、前述、前々述の発明において、型締力が負荷されていない状態においては、連結部は固定プレートと固定プラテンのどちらか一方の面は平面であり、他方の面は中央部が平面であり周囲部は円錐面または角錐面であり、また平面は固定金型の取付け面と平行であることを特徴とする型締装置である。
【0012】
そして、今までに述べた発明において、型締力発生機構には型締用ねじの動作を拘束できる電磁ブレーキが装着されており、型締中は電磁ブレーキの作用によって型締力を保持することが可能であることを特徴とする型締装置である。
また、型開閉装置は、サーボモータと型開閉用ボールねじの組み合わせ、あるいはリニアモータから構成されることを特徴とする型締装置である。
さらに、ハーフナットは、モータとねじの作用によりタイバーとの係合離脱の動作を行なうことを特徴とする型締装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の型締装置は、以下のような効果を発揮する。
(1)サーボモータとねじにより型締力を発生できるので、全電動の型締装置となり、油圧装置が不要となる。
(2)リンク機構を要しないので機械装置が小さくなり、成形工場内の設置スペースが小さくなる。
(3)金型の取付け面の真後ろに型締力を負荷できるため、樹脂圧の高い金型中央部にも大きな型閉じ力が発生するので、バリの発生を防止できる。
(4)型締力を発生させるねじを型締完了後に電磁ブレーキによってロックするため、型締用サーボモータを休止でき、電力の消費が少なく省エネ効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本願発明に係る型締装置の第1の実施例であり、金型が開いている状態を示す。
【図2】図1の実施例において、金型が閉じ型締力が負荷されている状態を示す。
【図3】本願発明に係る型締装置の第2の実施例であり、金型が開いている状態を示す。
【図4】図3の実施例において、金型が閉じ型締力が負荷されている状態を示す。
【図5】本願発明に係る型締力発生機構の詳細を示す図である。
【図6】本願発明に係る型締力発生機構のA矢視図であり、ウオームの駆動部を示す。
【図7】本願発明に係るハーフナットの詳細を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本願発明に係る実施例を説明する。
【実施例1】
【0016】
図1および図2を参照しながら、第1の実施例の型締装置について説明する。図1は金型が開いている状態を表す。マシンベース24上には、固定キー25を介して固定プレート13が固定的に載置されている。固定プレート13には、金型の一方である固定型10が取り付けられる。固定プレート13の金型と反対の面には、型締力発生装置20が複数個備え付けられており、型締力発生装置20の移動部分は、固定プラテン14と連結する。固定プラテン14は、固定プレート13上あるいはマシンベース24上を移動可能なように載置されている。固定プラテン14および固定プレート13の中央部には、射出穴22が設けられており、図示せぬ射出装置の挿入が可能で、固定型10に設けられた流入口から、溶融状態の樹脂などを金型キャビティ内に射出充填することができる。
【0017】
可動型11が取り付けられた可動盤15は、型開閉方向に移動可能なように可動台26の上に載置されており、可動台26の下側にはスライドブロック28が固定され、スライドレール27と組み合わさって、マシンベース24上を滑らかに摺動移動可能となっている。また、可動盤15には、図示せぬ押出装置が設けられており、成形品を可動型11から取り外すことができる。
固定型10と可動型11の間には、閉じた状態で流入口と連通した製品形状の空間であるキャビティが形成されており、溶融樹脂などが充填され固化することにより、所望の形状の成形品が得られる。
【0018】
マシンベース24の内部には、型開閉装置が固定されている。ねじ軸サポート台34に、型開閉用ボールねじ軸30が回転自在ではあるが軸方向に拘束された状態で支持される。型開閉用ボールねじ軸30の左側端部は、カップリング35を介して型開閉用サーボモータ36の回転軸と連結する。また、右側端部は、ねじ軸支持台32に回転自在に支持され、さらにねじ軸支持台32に固定された型開閉用ブレーキ33の回転部と連結する。型開閉用ブレーキ33は電磁ブレーキであり、電流を通電するとブレーキが解除される。型開閉用ボールねじ軸30は、型開閉用ボールねじナット31と螺合しており、さらに型開閉用ボールねじナット31はナット取付けブロック29によって可動台26と結合する。よって、型開閉用ブレーキ33が通電解除している状態で、型開閉用サーボモータ36の回転軸が回転運動すると、ボールねじの作用により、可動盤15は直進運動し、型開閉動作を行なうことができる。
【0019】
タイバー17は4本あり、固定プレート13、固定プラテン14、可動盤15の四隅を貫通し、固定プラテン14と固定ナット18によって結合している。また、可動盤15にはハーフナット19が設けられており、タイバー係合部17aと係合離脱可能となっている。タイバー係合部17aには、リング状あるいはねじ状の溝が設けられ、噛み合い歯が形成されており、ハーフナット19の内側に形成された歯と勘合することにより、タイバー17とハーフナット19は係合できる。
【0020】
図5に型締力発生機構20の詳細を示す。固定プレート13に型締力支持台50が取り付けられており、円すいころ軸受け60およびアンギュラ軸受け62によって、型締ボールねじ軸55を回転自在かつ軸方向拘束で支持している。円すいころ軸受け60は、大きな型締力を受けられる強度を持ち、アンギュラ軸受け62は、スペーサ65、ベアリングナット62とベアリング押さえ62によって支持され、離型力を受けることができる。また、型締ボールねじ軸55には、キーを介してウオームホイール57が固定されている。
【0021】
型締ボールねじ軸55には、型締ボールねじナット56が螺合しており、型締ボールねじナット56の外側にはナットホルダー53が取り付けられている。ナットホルダー53は、皿ばね64を介してナット固定ボルト59により固定プラテン14と連結されている。よって、型締時において、固定プラテン14の撓み角が大きい場合は、連結面の片方に隙間が形成され、型締ボールねじ軸55に曲げ力が伝わらないようになっている。ナットホルダー53は、型締力支持台50に取付けボルト52で固定されているスプラインサポート51と、スプライン54を介して直進摺動可能なように係合している。よって、ウオームホイール57により、型締ボールねじ軸55に回転力が加えられると、型締ボールねじナット56、ナットホルダー53および固定プラテン14が右側に直進移動して型締力が発生し、また反対側への回転力が加えられると左側へ直進移動し、離型力が発生する。なお、型締ボールねじ軸55および型締ボールねじナット56は、ボールねじではなく、台形ねじなどであっても良い。
【0022】
図6は、図5において矢印A方向から見た図であり、ウオームホイール57に回転トルクを与えるウオーム58の駆動部を示す。ウオームホルダー70は、型締力支持台50またはスプラインサポート51に固定されている。ウオームホルダー70とウオーム押さえ71は結合されており、その中にウオーム58が2個のウオーム用アンギュラ軸受け73を介して、回転自在かつ軸方向には拘束された状態で支持されている。また、適宜オイルシール72が装着され、潤滑オイルの漏出を防止している。ウオームホルダー70には、型締用電磁ブレーキ75と、モータサポート76を介して型締用モータ78が装着されている。ウオーム58の軸は、型締用電磁ブレーキ75の回転部とキーにより接続されているとともに、型締用カップリング77によって、型締用モータ78の回転軸と連結している。型締用電磁ブレーキ75が解除されている状態で、型締用モータ78が回転するとウオーム58が回転し、ウオームホイール57および型締ボールねじ軸55を回転させる。
【0023】
図1に示されるように、型締力発生機構20の中心線20aすなわち型締ボールねじ軸55の中心線は、この型締装置に装着できる最小の金型の取付け面の範囲内に配置されているため、型締め力発生機構20が伸びて型締力を発生させた際、金型の真後ろを押すことになるので、樹脂などの圧力が高い金型中央部に型締力を効果的に負荷できる。
【0024】
ハーフナット19を、図1において左側から見た様子を、図7に示す。上の図はハーフナット19が開いた状態(タイバーから離脱)を表わしており、右ハーフナット19aと左ハーフナット19bからなる。それぞれの上方には、ハーフナットサポート80を介してハーフナット用ボールねじナット82、ハーフナット用ボールねじ軸81が取り付けられている。ハーフナット用ボールねじ軸81は、可動盤15に固定されているボールねじ受け台83に、軸受けを介して回転自在かつ軸方向には拘束された状態で支持されている。また、ハーフナット用ボールねじ軸81の端部は、ハーフナット用カップリング84によって、ハーフナット用モータ85の回転軸と連結している。上の図の矢印方向にハーフナット用ボールねじ軸81を回転すると、ハーフナット19は動作し、下の図のような閉じた状態(タイバーと係合)となる。また、下の図の矢印方向に回すと、上の図の閉じた状態となる。
【0025】
次に、本実施例の型締装置による成形動作について説明する。
まず、図1の型開き状態では、ハーフナット19は開いてタイバー17と離脱状態になっており、型締力発生機構20の移動部は原点位置にある。図示せぬ制御装置から型開閉ブレーキ33に解除信号が送られた後、型開閉用サーボモータ36に回転指令信号が送られ、型開閉用ボールねじ30が回転し、ねじの作用により、可動台26、可動盤15および可動型11が閉方向(図の右方向)に移動する。可動型11が固定型10にタッチすると、型開閉用サーボモータ36は停止しフリー状態となる。次に、型開閉用サーボモータ36のエンコーダーなどから可動盤15の位置を検知し、もし、タイバー係合部17aの歯とハーフナット係合部88の歯が噛み合う位置関係になければ、型締力発生機構20を動作し、固定プラテン14およびタイバー17を動かして、歯が噛み合う位置になるよう調整する。金型の厚みが予め分かっている場合は、型閉動作前にタイバー17の位置を調整しておいても良い。
【0026】
続いて、ハーフナット用モータ85を回転させて、ハーフナット19をタイバー17と係合させる。係合が完了すると、型締用電磁ブレーキ75を解除し、型締用モータ78を駆動し、ウオーム58、ウオームホイール57を介して型締ボールねじ軸55を回転させる。ねじの作用によって、ボールねじナット56、ナットホルダー53が右側に動き、固定プラテン14を押圧することにより型締力が発生する。(図2の状態) 型締力の制御は、型締力に対応する型締用モータ78の回転トルクを換算し、トルク制御する方法や、タイバー17などに型締力センサーを設置し、その値をフィードバックしながら型締用モータ78のトルクの出力を調整する方法がある。型締力が設定値に達すると、型締用電磁ブレーキ75を作用させて型締ボールねじ軸55の回転をロックすることにより、型締力を保持できるので、型締用モータ78は休止させる。そのため、型締中は電力の消費が無く省エネ運転が可能となる。
【0027】
型締動作が完了すると、射出装置から溶融樹脂などを金型キャビティ内に高圧で射出充填する。溶融樹脂は金型キャビティの中央部から流入し周囲に広がっていく。そのためキャビティ内の圧力は流れの上流側の中央部が高くなる。本実施例では、型締力発生装置によって金型の取付け面を真後ろから押しているため、金型中央部にも型締力が良く伝わる。そのため、溶融樹脂の圧力に負けてパーティング面が開き、バリが発生することは無い。
【0028】
冷却固化が完了すると、型締用電磁ブレーキ75を解除し、型締用モータ78を型締時とは反転させて型締力を0に落とす。そしてさらに反転させ、金型を大きな力で開く(離型)。そして、例えば10mm程度開くと型締用モータ78を停止し、ハーフナットモータ85を駆動してハーフナット19を開く。続いて、型開閉用サーボモータ36を駆動し、可動型11および可動盤15を後退させる。さらに、押出装置によって成形品を可動型から取り外し、取出し装置によって機外に運び出す。そして引き続き、次の成形サイクルを開始する。
【実施例2】
【0029】
第2の実施例について、第1の実施例との違いを中心に、を図3および図4を用いて説明する。
第1の実施例の可動盤15が、可動プレート40と可動プラテン41の2部品に分かれていることが違う点である。図3において、可動プラテン40の片側面は可動型を取り付ける面であり、反対側の面は、可動プラテン41との連結部平面40aとなっている。可動プラテン41の可動プレート40側の面は、中央部分が連結平面41bであり、周辺部分は円錐面41aとなっている。連結平面41bと円錐面41aが交わる頂点は、接触部cであり、金型の取付け面範囲内に位置する。円錐面41aは、平面に近い円錐面であるため、接触部cの頂点角度は、直線に近い鈍角である。また、円錐面41aは四角や八角などの角錐面であっても良い。可動プレート40と可動プラテン41は、固定ボルト42によって緩やかに接合している。このような構造にすることにより、型締時においける可動プラテン41の変形は、可動プレートに伝わらない。可動プレート40と可動プラテン41の連結部は、上述した以外にも、例えば、両方の面を平面にし、間に頂点角度が鈍角の円錐盤を金型の取付け面範囲内に複数個取り付けることにより、可動プラテン41の撓みを可動プレート40に伝えないという上述と同様な効果が得られる。
【0030】
可動プレート40は、型開閉装置と連結する可動プレート台43の上に固定的に載置されている。また、可動プラテン41は、可動プレート台43の上に拘束されること無く載置されているため、型締め時に可動プラテン41が撓んでも、その変形が可動プレート台43に伝わらないようになっている。型開閉装置によって可動プレート台43が移動すると、それに伴ない可動プレート40と可動プラテン41が一体的に型開閉動作する。可動プラテン41の片方の面には、タイバー17と係合離脱のハーフナットと図示せぬ押出装置が、実施例1と同様に取り付けられている。
【0031】
図4に、型締力が負荷されている状態を示す。型締力発生機構の動作により、固定プレート、タイバー、ハーフナットを介して型締力が伝わると、可動プラテン41は図のように撓む。この時、可動プラテンの連結面は、図のように弓形に変形し、可動プレートとは、接触部41cのみが当接する。接触部41cは、金型の取付け面範囲内に位置しているため、金型を真後ろから押すことができ、型締力を樹脂などの圧力が高くバリが発生しやすい中央部に効果的に負荷することができる。
実施例1においては、固定側のみ金型の真後ろから型締力を負荷する構造であったが、実施例2においては、さらに可動側も金型の真後ろから型締力を負荷できるので、効果はより一層大きくなる。
成形のための型開閉や型締めの動作は、実施例1と同様である。
【実施例3】
【0032】
その他の実施例として、型締力発生機構を可動プラテンと可動プレートの間に装着し、固定側は固定盤1つにする構造や、さらに固定盤を固定プラテンと固定プレートの分割し、間に実施例2のような連結部を設ける構造にすることも可能である。
【0033】
上記の実施の形態は本発明の一例であり、本発明は、該実施の形態により制限されるものではなく、請求項に記載される事項によってのみ規定されており、上記以外の実施の形態も実施可能である。
【産業上の利用可能性】
【0034】
アルミニウム製品やプラスチック製品を生産する成形工場において活用でき、工場内設置スペースの縮小や、運転時の省エネ化に貢献する。
【符号の説明】
【0035】
10 固定型
11 可動型
13 固定プレート
14 固定プラテン
15 可動盤
17 タイバー
17a タイバー係合部
18 固定ナット
19 ハーフナット
19a 右ハーフナット
19b 左ハーフナット
20 型締力発生機構
20a 中心線
22 射出穴
24 マシンベース
25 固定キー
26 可動台
27 スライドレール
28 スライドブロック
29 ナット取付けブロック
30 型開閉用ボールねじ軸
31 型開閉用ボールねじナット
32 ねじ軸支持台
33 型開閉用ブレーキ
34 ねじ軸サポート台
35 カップリング
36 型開閉用サーボモータ
40 可動プレート
40a 連結部平面
41 可動プラテン
41a 円錐面
41b 連結平面
41c 接触部
42 固定ボルト
43 可動プレート台
50 型締力支持台
51 スプラインサポート
52 取付けボルト
53 ナットホルダー
54 スプライン
55 型締ボールねじ軸
56 型締ボールねじナット
57 ウオームホイール
58 ウオーム
59 ナットホルダー固定ボルト
60 円すいころ軸受け
61 ベアリングナット
62 アンギュラ軸受け
63 ベアリング押さえ
64 皿ばね
65 スペーサ
70 ウオームホルダー
71 ウオーム押さえ
72 オイルシール
73 ウオーム用アンギュラ軸受け
75 型締用電磁ブレーキ
76 モータサポート
77 型締用カップリング
78 型締用モータ
80 ハーフナットサポート
81 ハーフナット用ボールねじ軸
82 ハーフナット用ボールねじナット
83 ボールねじ受け台
84 ハーフナット用カップリング
85 ハーフナット用モータ
88 ハーフナット係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マシンベースと、
前記マシンベース上に固定的に載置され固定型を保持する固定プレートと、
前記固定プレートの反金型側に摺動可能に載置されている固定プラテンと、
前記固定プラテンと結合するタイバーと、
前記マシンベース上に型開閉方向に摺動可能に載置され、可動型を保持し、前記タイバーと係合離脱が可能なハーフナットを備える可動盤と、
前記可動盤を開閉動作駆動することができる型開閉装置と、
前記固定プレートと前記固定プラテンの間に装着され、モータと型締用ねじによって動作し型締力および離型力を発生することができる複数の型締力発生機構と、
から構成される型締装置であって、
前記型締用ねじの中心線は、前記金型の取付け面の範囲内に配置されていることを特徴とする型締装置。
【請求項2】
請求項1に記載の型締装置において、
前記可動盤は、前記可動型を保持する可動プレートと、前記ハーフナットを保持する可動プラテンから構成され、
型締時における前記可動プレートと前記可動プラテンとの連結部の接触部は、前記金型の取付け面の範囲内に配置されており、
型締力による前記可動プラテンの撓みは、前記可動プレートに伝わらない構造である、
ことを特徴とする型締装置。
【請求項3】
請求項2に記載の型締装置において、
型締力が負荷されていない状態においては、前記連結部は、前記可動プレートと前記可動プラテンのどちらか一方の面は平面であり、他方の面は中央部が平面であり周囲部は円錐面または角錐面であり、また前記平面は前記可動型の取付け面と平行である、
ことを特徴とする型締装置。
【請求項4】
マシンベースと、
前記マシンベース上に固定的に載置され固定型を保持する固定盤と、
前記固定盤と結合するタイバーと、
前記マシンベース上に型開閉方向に摺動可能に載置され、可動型を保持する可動プレートと、
前記可動プレートの反金型側に摺動可能に載置され、前記タイバーと係合離脱が可能なハーフナットを保持する可動プラテンと、
前記可動プレートと前記可動プラテンを一体的に開閉動作駆動することができる型開閉装置と、
前記可動プレートと前記可動プラテンの間に装着され、モータと型締用ねじによって動作し型締力および離型力を発生することができる複数の型締力発生機構と、
から構成される型締装置であって、
前記型締用ねじの中心線は、前記金型の取付け面の範囲内に配置されていることを特徴とする型締装置。
【請求項5】
請求項4に記載の型締装置において、
前記固定盤は、前記固定型を保持する固定プレートと、前記タイバーと結合する固定プラテンから構成され、
型締時における前記固定プレートと前記固定プラテンとの連結部の接触部は、前記金型の取付け面の範囲内に配置されており、
型締力による前記固定プラテンの撓みは、前記固定プレートに伝わらない構造である、
ことを特徴とする型締装置。
【請求項6】
請求項5に記載の型締装置において、
型締力が負荷されていない状態においては、前記連結部は、前記固定プレートと前記固定プラテンのどちらか一方の面は平面であり、他方の面は中央部が平面であり周囲部は円錐面または角錐面であり、また前記平面は前記固定型の取付け面と平行である、
ことを特徴とする型締装置。
【請求項7】
前記型締力発生機構には、前記型締用ねじの動作を拘束できる電磁ブレーキが装着されており、型締中は前記電磁ブレーキの作用によって型締力を保持することが可能である、
ことを特徴とする請求項1から6に記載の型締装置。
【請求項8】
前記型開閉装置は、サーボモータと型開閉用ボールねじの組み合わせ、あるいはリニアモータから構成される、
ことを特徴とする請求項1から7に記載の型締装置。
【請求項9】
前記ハーフナットは、モータとねじの作用により前記ターバーとの係合離脱の動作を行なう、
ことを特徴とする請求項1から8に記載の型締装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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