説明

電動式ショベルの作動油回路

【課題】暖房装置の熱源として作動油を利用することができ、かつ暖房運転の有無にかかわらず作動油を確実に冷却することができる電動式ショベルの作動油回路を提供する。
【解決手段】電動モータ25によって駆動する油圧ポンプ26と、油圧ポンプ26から複数の油圧アクチュエータ29への作動油の流れをそれぞれ制御する複数のコントロールバルブ30と、作動油の戻りライン34とを備えた電動式ショベルの作動油回路において、戻りライン34に分岐・接続するバイパスライン35と、バイパスライン35の分岐点に設けた切替弁36と、バイパスライン35に設けたオイルクーラ37と、オイルクーラ37で暖められた空気を運転室7に送り込むブロアファン38と、バイパスライン35の接続点より下流側に設けたオイルクーラ39と、暖房運転スイッチ40と、暖房運転スイッチ40の指示に応じて切替弁36を制御するコントローラ42とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動式ショベルに係わり、特に、運転室を暖房する暖房装置を備えた電動式ショベルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、排気ガスを排出せず、騒音及び振動も大幅に低減する利点を有することから、エンジンの代わりに電動モータを搭載した電動式作業機械が提唱されている。この電動式作業機械においては、エンジンを搭載しないことから、暖房装置の熱源としてエンジン冷却後の温水を利用することができない。そこで、例えば油圧アクチュエータの作動によって温度上昇した作動油を利用する方法が提唱されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の電動式フォークリフトにおいては、荷役装置を駆動する複数の油圧アクチュエータ(詳細には、リフトシリンダ及びティルトシリンダ)と、荷役操作レバーの操作に応じて複数の油圧アクチュエータへの作動油の供給をそれぞれ制御する複数のコントロールバルブと、これら複数のコントロールバルブとオイルタンクとの間のオイル管路途中に挿入されたオイルクーラと、このオイルクーラで作動油との熱交換により暖められた空気(温風)を運転者側に送るブロアとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−29690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来技術を電動式ショベルに適用する場合は、以下のような課題が生じる。特許文献1では、明確に記載されていないが、暖房運転を行う場合はブロアを駆動し、暖房運転を行わない場合はブロアを停止する。すなわち、暖房運転を行う場合はオイルクーラで作動油が冷却されるが、暖房運転を行わない場合は作動油が冷却されない。ここで、電動式ショベルは、電動式フォークリフトと比べて、油圧アクチュエータの数が多く、また走行停止状態で作業を行う場合が多い等の理由から、作動油が非常に高温となる。そのため、暖房運転を行わない場合でも作動油を冷却しなければ、作動油の改質や油配管のシール損傷などといった不具合が生じる。
【0006】
本発明の目的は、暖房装置の熱源として作動油を利用することができ、かつ暖房運転の有無にかかわらず作動油を確実に冷却することができる電動式ショベルの作動油回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、電動モータと、前記電動モータによって駆動する油圧ポンプと、複数の油圧アクチュエータと、操作手段の操作に応じて前記油圧ポンプから前記複数の油圧アクチュエータへの作動油の流れをそれぞれ制御する複数のコントロールバルブと、前記複数のコントロールバルブからオイルタンクへ作動油を戻す戻りラインとを備えた電動式ショベルの作動油回路において、前記戻りラインから分岐して前記戻りラインに合流するバイパスラインと、前記戻りラインにおける前記バイパスラインの分岐点に設けられ、前記戻りライン側及び前記バイパスライン側のうちの一方に切替えて作動油を流出する切替弁と、前記バイパスラインに設けられて作動油を冷却する第1オイルクーラと、前記第1オイルクーラで作動油との熱交換によって暖められた空気を運転室に送り込むブロアファンと、前記戻りラインにおける前記バイパスラインの合流点より下流側に設けられて作動油を冷却する第2オイルクーラと、暖房運転の開始・終了を指示可能な暖房運転指示手段と、前記暖房運転指示手段の指示に応じて前記切替弁を制御する弁制御手段とを備える。
【0008】
本発明においては、例えば暖房運転指示手段による暖房運転の開始指示がある場合、弁制御手段は、切替弁をバイパスライン側に切替える。これにより、複数のコントロールバルブからオイルタンクへの戻り油は、第1オイルクーラ及び第2オイルクーラを経由する。そして、第1オイルクーラで作動油との熱交換によって暖められた空気がブロアファンによって運転室に送り込まれる。したがって、暖房装置の熱源として作動油を利用することができる。一方、例えば暖房運転指示手段による暖房運転の終了指示がある場合、弁制御手段は、切替弁を戻りライン側に切替える。これにより、複数のコントロールバルブからオイルタンクへの戻り油は、第1オイルクーラを経由せず、第2オイルクーラを経由する。すなわち、暖房運転の有無に関係なく、戻り油は第2オイルクーラを必ず経由する。したがって、暖房運転の有無にかかわらず、作動油を確実に冷却することができる。
【0009】
(2)上記(1)において、好ましくは、作動油の温度を検出する油温センサをさらに備え、前記弁制御手段は、前記暖房運転指示手段による暖房運転開始の指示があって前記油温センサで検出された作動油の温度が予め設定された閾値より大きい場合、前記切替弁を前記バイパスライン側に切替え、前記暖房運転指示手段による暖房運転開始の指示があって前記油温センサで検出された作動油の温度が前記閾値以下である場合、前記切替弁を前記戻りライン側に切替える。
【0010】
これにより、作動油の過冷却を防止することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、暖房装置の熱源として作動油を利用することができ、かつ暖房運転の有無にかかわらず作動油を確実に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の適用対象である電動式ショベルの全体構造を表す側面図である。
【図2】本発明の一実施形態における電動式ショベルの作動油回路を表す概略図である。
【図3】本発明の他の実施形態における電動式ショベルの作動油回路を表す概略図である。
【図4】本発明の他の実施形態におけるコントローラの制御処理内容を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0014】
図1は、本発明の適用対象である電動式ショベルの全体構造を表す側面図である。
【0015】
この図1において、電動式ショベルは、左右の履帯(クローラ)1を備えた下部走行体2と、この下部走行体2の上部に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、この上部旋回体3の基礎下部構造をなす旋回フレーム4と、この旋回フレーム4の前部に水平方向に回動可能に取り付けられたスイングポスト5と、このスイングポスト5に上下方向に回動可能に(俯仰可能に)取り付けられた多関節型のフロント作業機6と、旋回フレーム4上の左側に設けられたキャノピータイプの運転室7と、旋回フレーム4上の後側に設けられバッテリ(図示せず)を収納するバッテリ搭載部8とを備えている。
【0016】
下部走行体2は、略H字形状のトラックフレーム9と、このトラックフレーム9の左右両側の後端近傍に回転可能に支持された左右の駆動輪10と、これら左右の駆動輪10をそれぞれ駆動する左右の走行用油圧モータ11と、トラックフレーム9の左右両側の前端近傍に回転可能に支持され、履帯1を介し駆動輪10の駆動力でそれぞれ回転される左右の従動輪(アイドラ)12とを備えている。
【0017】
また、トラックフレーム9の前側には、排土用のブレード13が上下動可能に設けられており、ブレード13は、ブレード用油圧シリンダ(図示せず)により上下動するようになっている。また、トラックフレーム9の中央部と旋回フレーム4との間には、旋回輪(図示せず)が設けられており、この旋回輪の径方向内側には、下部走行体2に対し旋回フレーム4を旋回させる旋回用油圧モータ(図示せず)が設けられている。
【0018】
スイングポスト5は、垂直ピン(図示せず)を介して旋回フレーム4に対し水平方向に回動可能となっている。そして、スイング用油圧シリンダ(図示せず)によりスイングポスト5が水平方向に回動し、これによってフロント作業機6が左右にスイングするようになっている。
【0019】
フロント作業機6は、スイングポスト5に回動可能に連結されたブーム14と、このブーム14の先端部に回動可能に結合されたアーム15と、このアーム15の先端部に回動可能に結合されたバケット16とを備えている。そして、ブーム14、アーム15、及びバケット16は、ブーム用油圧シリンダ17、アーム用油圧シリンダ18、及びバケット用油圧シリンダ19により動作するようになっている。
【0020】
運転室7は、運転者が着座する運転席(座席)20と、この運転席20の左側に設けられた左のコンソールボックス21と、運転席20の右側に設けられた右のコンソールボックス(図示せず)とを備えている。運転席20の前方には、左右の走行用操作レバー22が設けられている。左の走行用操作レバー22のさらに左側の足元部分には、オプション用操作ペダル(図示せず)が設けられ、右の走行用操作レバー22のさらに右側の足元部分には、スイング用操作ペダル(図示せず)が設けられている。左のコンソールボックス21の前部には、十字操作式の旋回・アーム用操作レバー23と誤操作防止用のロックレバー24が設けられている。右のコンソールボックスの前部には、十字操作式のバケット・ブーム用操作レバー(図示せず)とブレード用操作レバー(図示せず)が設けられている。
【0021】
上部旋回体2には、バッテリからの電力によって駆動する電動モータ25(後述の図2参照)と、この電動モータ25を制御するインバータ装置(図示せず)と、電動モータ25によって駆動する油圧ポンプ26(後述の図2参照)及びパイロットポンプ27(後述の図2参照)と、作動油を貯留するオイルタンク28(後述の図2参照)等が搭載されている。
【0022】
図2は、本発明の一実施形態における電動式ショベルの作動油回路(油圧回路)を表す概略図である。なお、この図2において、便宜上、油圧アクチュエータ、コントロールバルブ、及び操作装置を1組のみ示す。
【0023】
図2において、電動モータ25によって駆動する油圧ポンプ26及びパイロットポンプ27と、複数の油圧アクチュエータ29(詳細には、上述した左右の走行用油圧モータ11、ブレード用油圧シリンダ、旋回用油圧モータ、スイング用油圧シリンダ、ブーム用油圧シリンダ17、アーム用油圧シリンダ18、及びバケット用油圧シリンダ19であり、図中では代表して油圧シリンダを示す)と、油圧ポンプ26から複数の油圧アクチュエータ29への作動油の流れをそれぞれ制御する複数のコントロールバルブ30(詳細には、左右の走行用コントロールバルブ、ブレード用コントロールバルブ、旋回用コントロールバルブ、スイング用コントロールバルブ、ブーム用コントロールバルブ、アーム用コントロールバルブ、及びバケット用コントロールバルブ)と、複数の油圧パイロット方式の操作装置31(詳細には、左右の走行用操作レバー22を備えた操作装置、ブレード用操作レバーを備えた操作装置、スイング用操作ペダルを備えた操作装置、旋回・アーム用操作レバー23を備えた操作装置、及びバケット・ブーム用操作レバーを備えた操作装置)と、パイロットポンプ27からの元圧を遮断可能とするロックバルブ32とが設けられている。
【0024】
ロックバルブ32は、パイロットポンプ27と複数の操作レバー装置31との間の油圧管路に設けられており、ロックレバー34の操作に応じて切換えられて油圧管路を連通・遮断可能とするものである。すなわち、ロックレバー34を下降位置(下げた状態)に引き下げると、ロックバルブ32のソレノイド駆動部が通電されて、ロックバルブ32が図中左側に示す連通位置に切換えられる。これにより、パイロットポンプ27からの元圧が操作レバー装置31へ導かれるようになっている。一方、ロックレバー32を上昇位置(上げた状態)に引き上げると、ロックバルブ32のソレノイド駆動部が通電されず、バネの付勢力で、ロックバルブ32が図中右側に示す遮断位置に切換えられる。これにより、パイロットポンプ27からの元圧が遮断されるようになっている。
【0025】
操作装置31は、詳細を図示しないが、操作レバー(又は操作ペダル)の操作量に応じてパイロットポンプ27からの元圧(1次パイロット圧)を減圧した操作パイロット圧(2次パイロット圧)を出力する一対の減圧弁を備えている。そして、例えば操作レバー(又は操作ペダル)を一方側に操作すると、一方側の減圧弁で生成した操作パイロット圧がコントロールバルブ30の一方側のパイロット操作部へ出力されて、コントロールバルブ30が一方側に切り換えられる。これにより、油圧ポンプ26から吐出ライン33を介して供給された作動油が油圧アクチュエータ29の一方側に供給され、油圧アクチュエータ29の他方側からの作動油が戻りライン34を介してオイルタンク28へ戻される。一方、例えば操作レバー(又は操作ペダル)を反対側に操作すると、他方側の減圧弁で生成した操作パイロット圧がコントロールバルブ30の他方側のパイロット操作部へ出力されて、コントロールバルブ30が反対側に切換えられる。これにより、油圧ポンプ26から吐出ライン33を介して供給された作動油が油圧アクチュエータ29の他方側に供給され、油圧アクチュエータ29の一方側からの作動油が戻りライン34を介してオイルタンク28へ戻されるようになっている。
【0026】
ここで本実施形態の大きな特徴として、戻りライン34の上流側から分岐して戻りライン34の下流側に接続するバイパスライン35が設けられ、この戻りライン34におけるバイパスライン35の分岐点に切替弁(三方弁)36が設けられている。また、バイパスライン35には作動油を冷却するオイルクーラ37が設けられ、このオイルクーラ37で作動油との熱交換により暖められた空気をダクト等を介して運転室7(詳細には、例えば運転者の足元)に送り込むブロアファン38が設けられており、これらオイルクーラ37及びブロアファン38が暖房装置を構成している。また、戻りライン34におけるバイパスライン35の接続点より下流側にはオイルクーラ39が設けられている。なお、オイルクーラ37の冷却能力は、オイルクーラ39の冷却能力に対して20%以下となっている。
【0027】
また、運転室7内には、暖房運転スイッチ40(暖房運転指示手段)及び風量切替スイッチ41(暖房風量指示手段)が設けられている。暖房運転スイッチは、暖房運転のON(開始)・OFF(終了)を指示可能とし、その指示信号をコントローラ42に出力するようになっている。風量切替スイッチ41は、暖房風量を段階的に(詳細には、例えば強風・中風・弱風の3段階のうちのいずれかに)指示可能とし、その指示信号をコントローラ42に出力するようになっている。
【0028】
コントローラ42は、暖房運転スイッチ40からON信号が入力された場合、切替弁36のソレノイド駆動部を通電し、切替弁36を図中上側の切替位置に切替える。すなわち、切替弁36をバイパスライン36側に切替えて作動油を流出させる。これと同時に、ブロアファン38を駆動する。このとき、風量切替スイッチ41からの指示信号に応じてブロアファン38の回転数を可変制御する。一方、例えば暖房運転スイッチ40からOFF信号が入力された場合、切替弁36のソレノイド駆動部を通電せず、バネの付勢力で、切替弁36を図中下側の切替位置に切替える。すなわち、切替弁36を戻りライン34側に切替えて作動油を流出させる。これと同時に、ブロアファン38を停止するようになっている。
【0029】
このように本実施形態においては、例えば暖房運転スイッチ40による暖房運転の開始指示がある場合、切替弁36をバイパスライン36側に切替えるので、複数のコントロールバルブ30からオイルタンク28への戻り油は、オイルクーラ37及びオイルクーラ39を経由する。そして、オイルクーラ37で作動油との熱交換によって暖められた空気がブロアファン38によって運転室7に送り込まれる。したがって、暖房装置の熱源として作動油を利用することができる。一方、例えば暖房運転スイッチ40による暖房運転の終了指示がある場合、切替弁36を戻りライン34側に切替えるので、複数のコントロールバルブ30からオイルタンク28への戻り油は、オイルクーラ37を経由せず、オイルクーラ39を経由する。すなわち、暖房運転の有無に関係なく、戻り油はオイルクーラ39を必ず経由する。したがって、暖房運転の有無にかかわらず、作動油を確実に冷却することができる。その結果、作動油の改質や油配管のシール損傷などといった不具合を回避することができる。
【0030】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。本実施形態は、作動油の温度に応じて切替弁を切替える実施形態である。
【0031】
図3は、本実施形態における電動式ショベルの作動油回路を表す概略図である。
図である。なお、この図3において、上記一実施形態と同等の部分は、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0032】
本実施形態では、オイルクーラ39の下流側に作動油の温度を検出する油温センサ43が設けられ、この油温センサ43からの検出信号がコントローラ42に出力されている。コントローラ42Aは、暖房運転スイッチ40及び油温センサ43からの信号に応じて切替弁36及びブロアファン38を制御するようになっている。このようなコントローラ42Aの制御手順を以下説明する。
【0033】
図4は、コントローラ42Aの制御処理内容を表すフローチャートである。
【0034】
この図4において、まずステップ100にて、暖房運転スイッチ40からON信号が入力されたかどうかを判定する。例えば暖房運転スイッチ40からON信号が入力された場合は、ステップ100の判定が満たされ、ステップ110に移る。ステップ110では、油温センサ43で検出された作動油の温度が予め設定記憶された閾値(例えば23℃)より大きいかどうかを判定する。例えば油温センサ43で検出された作動油の温度が閾値より大きい場合は、ステップ110の判定が満たされ、ステップ120に移る。ステップ120では、切替弁36をバイパスライン35側に切替え、ステップ130に進んで、ブロアファン38を駆動する。
【0035】
一方、例えば暖房運転スイッチ40からOFF信号が入力された場合は、ステップ100の判定が満たされず、ステップ140に移る。また、例えば油温センサ43で検出された作動油の温度が閾値以下である場合は、ステップ110の判定が満たされず、ステップ140に移る。ステップ140では、切替弁36を戻りライン34側に切替え、ステップ150に進んで、ブロアファン38を停止する。
【0036】
このような本実施形態においても、上記一実施形態と同様、暖房装置の熱源として作動油を利用しつつ、暖房運転の有無にかかわらず作動油を確実に冷却することができる。また、本実施形態においては、過冷却を防止することができる。
【0037】
なお、以上においては、油圧パイロット方式の操作装置31を例にとって説明したが、これに限られず、電気レバー方式(詳細には、操作レバー又は操作ペダルの操作量をポテンショメータやセンサ等の検出手段で検出して電気操作信号として出力する方式)の操作装置であってもよい。また、本発明の適用対象として、キャノピータイプの運転室7を備えた電動式ショベルを例にとって説明したが、これに限られず、キャブタイプの運転室を備えた電動式ショベルに適用してもよい。また、本発明の適用対象として、バッテリ搭載型の電動式ショベルを例にとって説明したが、これに限られず、例えば外部の電源設備(商用電源)からの電力供給が可能な電動式ショベル等に適用してもよい。
【符号の説明】
【0038】
25 電動モータ
26 油圧ポンプ
28 オイルタンク
29 油圧アクチュエータ
30 コントロールバルブ
31 操作装置(操作手段)
34 戻りライン
35 バイパスライン
36 切替弁
37 オイルクーラ(第1オイルクーラ)
38 ブロアファン
39 オイルクーラ(第2オイルクーラ)
40 暖房運転スイッチ(暖房運転指示手段)
42 コントローラ(弁制御手段)
42A コントローラ(弁制御手段)
43 油温センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータと、前記電動モータによって駆動する油圧ポンプと、複数の油圧アクチュエータと、操作手段の操作に応じて前記油圧ポンプから前記複数の油圧アクチュエータへの作動油の流れをそれぞれ制御する複数のコントロールバルブと、前記複数のコントロールバルブからオイルタンクへ作動油を戻す戻りラインとを備えた電動式ショベルの作動油回路において、
前記戻りラインの上流側から分岐して前記戻りラインの下流側に接続するバイパスラインと、
前記戻りラインにおける前記バイパスラインの分岐点に設けられ、前記戻りライン側及び前記バイパスライン側のうちの一方に切替えて作動油を流出する切替弁と、
前記バイパスラインに設けられて作動油を冷却する第1オイルクーラと、
前記第1オイルクーラで作動油との熱交換によって暖められた空気を運転室に送り込むブロアファンと、
前記戻りラインにおける前記バイパスラインの接続点より下流側に設けられて作動油を冷却する第2オイルクーラと、
暖房運転の開始・終了を指示可能な暖房運転指示手段と、
前記暖房運転指示手段の指示に応じて前記切替弁を制御する弁制御手段とを備えたことを特徴とする電動式ショベルの作動油回路。
【請求項2】
請求項1記載の電動式ショベルの作動油回路において、作動油の温度を検出する油温センサをさらに備え、前記弁制御手段は、前記暖房運転指示手段による暖房運転開始の指示があって前記油温センサで検出された作動油の温度が予め設定された閾値より大きい場合、前記切替弁を前記バイパスライン側に切替え、前記暖房運転指示手段による暖房運転開始の指示があって前記油温センサで検出された作動油の温度が前記閾値以下である場合、前記切替弁を前記戻りライン側に切替えることを特徴とする電動式ショベルの作動油回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−20640(P2011−20640A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−169283(P2009−169283)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】