説明

電動式吸入器

【課題】片手で簡単に使用することができる電動式吸入器を提供する。
【解決手段】この電動式吸入器は、液体を貯留するタンク71および液体を噴霧する噴霧ノズル80を含む噴霧装置50と、タンク71の少なくとも一部を覆う本体部20と、噴霧ノズル80の少なくとも一部を覆うノズル収納部24とを含む。ノズル収納部24は、本体部20の上面に設けられるものであり、使用者が本体部20を片手で把持した状態において本体部20を把持した手の指を乗せることができる指置部としてノズル収納部24が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンクに貯留された液体を噴霧する噴霧ノズルを有する噴霧装置を備える電動式吸入器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、据え置き型の電動式吸入器が記載されている。この電動式吸入器は、本体部の上面の前方の端部から上方かつ前方に向けて突出する噴霧ノズルを備えている。使用者は、噴射ノズルの先端に対して口の位置を合わせることにより、口腔に対して適切な噴霧を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−105103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の電動式吸入器の本体部を片手で把持して使用すると、噴霧ノズルが本体部の上方かつ前方に向けて突出しているため、本体部を持つ手と噴霧口とが離れてしまう。このため、噴霧口を口腔に対して適切な状態を維持して噴霧を行うことが難しく、片手での使い勝手について改良の余地がある。
【0005】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、片手で簡単に使用することができる電動式吸入器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的を達成するための手段について記載する。
・本発明の電動式吸入器は、液体を貯留するタンクおよび前記液体を噴霧する噴霧ノズルを含む噴霧装置と、前記タンクの少なくとも一部を覆う本体部と、前記噴霧ノズルの少なくとも一部を覆うノズル収納部とを含む電動式吸入器において、前記ノズル収納部は前記本体部の上面に設けられるものであり、使用者が前記本体部を片手で把持した状態において前記本体部を把持した手の指を乗せることができる指置部として前記ノズル収納部が形成されることを特徴としている。
【0007】
・この電動式吸入器においては、前記噴霧ノズルの開口側から開口側とは反対側の背面側に向かうにつれて上方から下方に向けて前記ノズル収納部の上面が傾斜していることが好ましい。
【0008】
・この電動式吸入器においては、前記噴霧ノズルの中心軸と前記ノズル収納部の上面とが平行であることが好ましい。
・この電動式吸入器においては、前記ノズル収納部の平面視において、前記噴霧ノズルの全体および前記ノズル収納部の全体が前記本体部の外周よりも内側に設けられることが好ましい。
【0009】
・この電動式吸入器においては、前記ノズル収納部の平面視において、前記噴霧ノズルの中心軸と直交する方向の前記本体部の最大の長さが、前記噴霧ノズルの中心軸に沿う方向の前記本体部の最大の長さよりも小さいことが好ましい。
【0010】
・この電動式吸入器においては、前記本体部の外面のうち、前記噴霧ノズルの開口側の面を前面として、噴霧ノズルの中心軸に対して前面とは反対側の面を後面としたとき、この後面は、中間部が外側に突出して湾曲していることが好ましい。
【0011】
・この電動式吸入器においては、前記噴霧装置を操作するためのスイッチを備え、このスイッチは、前記本体部または前記ノズル収納部の外面であって、前記使用者が前記本体部を片手で把持した状態かつ前記本体部を把持した手の指を前記ノズル収納部の上面に乗せた状態において、前記本体部を把持している手の指により操作することのできる位置に設けられることが好ましい。
【0012】
・この電動式吸入器においては、前記本体部への取り付けおよび前記本体部からの取り外しができるキャップを備え、このキャップが前記本体部に取り付けられた状態において前記ノズル収納部の全体が前記キャップにより覆われることが好ましい。
【0013】
・この電動式吸入器においては、前記スイッチはスライド式のものであり、前記スイッチの操作位置として噴霧を行うための第1位置および噴霧を停止するための第2位置を有するものであり、前記第2位置は、前記第1位置よりも下方に設けられるものであり、前記キャップが前記本体部に取り付けられた状態において、前記キャップの端部により前記スイッチが前記第2位置に固定されることが好ましい。
【0014】
・この電動式吸入器においては、前記タンクは前記本体部への取り付けおよび前記本体部からの取り外しができるものであり、前記タンクの外面には前記液体の貯留量の指標となる目印部が突出して設けられ、前記タンクが前記本体部に取り付けられた状態において、前記目印部は使用者が指をかけることができるところに位置するところに位置することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、片手で簡単に使用することができる電動式吸入器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態の電動式吸入器について、(a)はその正面構造を示す正面図、(b)はその平面構造を示す平面図。
【図2】同実施形態の電動式吸入器について、その分解斜視構造を示す斜視図。
【図3】同実施形態の電動式吸入器について、図1(b)のA−A線に沿う断面構造を示す断面図。
【図4】同実施形態の電動式吸入器について、キャップおよびスイッチの関係を示す動作図。
【図5】同実施形態の電動式吸入器を使用するときの使用態様を示す動作図。
【図6】同実施形態の電動式吸入器について、本体部からタンクを取り外すときの動作態様を示す動作図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1〜図6を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
図1に電動式吸入器1を示す。電動式吸入器1は、使用者が把持する筐体10と、筐体10の上部に被覆されるキャップ30と、筐体10の内部に設けられる噴霧装置50(図2参照)とを含む。
【0018】
以下では、電動式吸入器1についての各方向をそれぞれ次のように示す。
電動式吸入器1の長手方向に沿う方向を「高さ方向Z」とする。高さ方向Zにおいて、筐体10側からキャップ30側に向かう方向を「上方」とする。また、高さ方向Zにおいて、キャップ30側から筐体10側に向かう方向を「下方」とする。
【0019】
電動式吸入器1の平面視において、電動式吸入器1の噴霧ノズル80の長手方向に沿う方向を「奥行方向X」とする。また、奥行方向Xにおいて、噴霧ノズル80の背面側から開口側に向かう方向を「前方」とする。また、奥行方向Xにおいて、噴霧ノズル80の開口側から背面側に向かう方向を「後方」とする。
【0020】
高さ方向Zと直交し、かつ奥行方向Xと直交する方向を「幅方向Y」とする。また、幅方向Yにおいて、噴霧ノズル80の背面側から電動式吸入器1を見たときの右側に向かう方向を「右方」とする。また、噴霧ノズル80の背面側から電動式吸入器1を見たときの左側に向かう方向を「左方」とする。
【0021】
筐体10は、噴霧するための液体を貯留するタンク71を覆う本体部20と、本体部20の上面に設けられて噴霧ノズル80のノズル本体81(図3参照)を覆うノズル収納部24とを含む。また、本体部20の外周面には、噴霧装置50を操作するスイッチ41を含むスイッチ部40が設けられている。
【0022】
図1(b)に示されるように、本体部20の外周壁21は、平面視において、幅方向Yよりも奥行方向Xに大きい楕円形をなしている。外周壁21は、本体部20の左方の壁部を形成する左側壁部21Aと、右方の壁部を構成する右側壁部21Bと、前方の壁部を構成する前側壁部21Cと、後方の壁部を形成する後側壁部21Dとを含む。これら側壁部21A〜21Dは、外周壁21を4等分している。また、本体部20は、これら側壁部21A〜21Dの上方に突出して形成されるとともに、奥行方向Xおよび幅方向Yにおいて、外周壁21の外周面よりも内側に設けられるキャップ嵌込部22を含む。
【0023】
左側壁部21Aおよび右側壁部21Bは、それぞれその幅方向Yの中央が最も外側に向かって突出するように湾曲している。また、前側壁部21Cおよび後側壁部21Dは、その奥行方向Xの中央が最も外側に向かって突出するように湾曲している。左側壁部21Aおよび右側壁部21Bは、前側壁部21Cおよび後側壁部21Dよりも大きく湾曲している。
【0024】
図1(a)に示されるように、ノズル収納部24は、キャップ嵌込部22の上方に突出して形成される。ノズル収納部24は、キャップ嵌込部22の上面に設けられるとともに、後方から前方に向かうにつれて下方から上方に向けて傾斜して形成される。ノズル収納部24の上面24Aは、噴霧ノズル80の中心軸C1に対して平行となっている。また、ノズル収納部24の外周面は、キャップ嵌込部22の外周面22Aよりも内側に形成される。噴霧ノズル80の噴霧口84を備える開口部82は、ノズル収納部24から露出している。
【0025】
左側壁部21Aには、奥行方向Xにおいて中央かつ高さ方向Zにおいて上方の端部にスイッチ部40が設けられている。スイッチ41は、図中二点鎖線で示される上方の第1位置と、実線で示される下方の第2位置との間で本体部20に対してスライドすることができる。
【0026】
前側壁部21Cの前方かつ下方には、噴霧する液体を貯留するためのタンク71を本体部20に取り付けるためのタンク挿入口23が形成されている。
キャップ30は、筒状をなすとともに下方の端部が開口かつ上方の端部が閉口している。キャップ30の外周面30Aは、本体部20の外周壁21の外周面の形状と一致している。また、内周面30Bは、キャップ嵌込部22の外周面22Aの形状と一致している。キャップ30の内周面30Bをキャップ嵌込部22の外周面22Aに嵌め込むことにより、キャップ30が本体部20に固定される。
【0027】
ノズル収納部24の全体および噴霧ノズル80の全体は、キャップ嵌込部22の外周面22Aよりも内側に形成される。これにより、キャップ30の内周面がキャップ嵌込部22の外周面22Aに嵌め込まれたとき、ノズル収納部24の全体および噴霧ノズル80の全体は、キャップ30の内周面30Bの内側に収納される。
【0028】
図2および図3を参照して、噴霧装置50の構成について説明する。
図2に示されるように、本体部20の内部には、噴霧装置50が設けられている。噴霧装置50は、噴霧のために空気の送出を行う駆動部60と、液体を噴霧ノズル80に供給するための液体供給部70と、液体を噴霧する噴霧ノズル80と、駆動部60に電力を供給する電源部90とを含む。
【0029】
駆動部60は、空気を送出するポンプ61と、ポンプ61から送出された空気を噴霧ノズル80に供給する空気チューブ62とを含む。
液体供給部70は、液体が貯留されるタンク71と、タンク71の上方を密閉するタンクキャップ74と、タンクキャップ74と噴霧ノズル80とを接続する接続チューブ75とを含む。タンクキャップ74の下方の端部には、液体を濾過するためのフィルター部73が設けられている。
【0030】
タンク71の外周面には、目印部71Aが突出して設けられている。この目印部71Aは、タンク71内に貯留することのできる液体の上限量の指標となる位置に設けられている。これにより、使用者はタンク71内に貯留することのできる液体の上限量を知ることができる。なお、タンク71に貯留される液体としては、水または薬液等を用いることができる。
【0031】
タンク71の上方の端部の外周には、Oリング72が設けられる。このため、タンク71の上方の端部の外周がタンクキャップ74の内側に取り付けられたとき、タンク71とタンクキャップ74とがOリング72を介して密閉される。
【0032】
図3に示されるように、噴霧ノズル80は、内部孔83を備えるノズル本体81と、ノズル本体81の開口側に設けられて噴霧口84を備える開口部82とを含む。噴霧ノズル80の内部には、噴霧のための液体および空気が流通するための内部孔83が形成されている。内部孔83は、長手方向が噴霧ノズル80の中心軸C1に沿う長孔として形成されている。内部孔83の前方の端部には、噴霧口84が形成されている。
【0033】
また、噴霧ノズル80の後方の壁部には、内部孔83と空気チューブ62とを接続する空気供給孔85が形成されている。噴霧ノズル80の下方の壁部かつ奥行方向Xにおいて噴霧ノズル80の中間部の端部には、内部孔83と接続チューブ75とを接続する液体供給孔86が形成されている。噴霧ノズル80の下方の壁部、かつ奥行方向Xにおいて液体供給孔86よりも前方の端部には、内部孔83と接続チューブとを接続する液体戻し孔87が形成されている。
【0034】
図2に示されるように、電源部90は、電源となる電池91と、電池91を支持する電池支持部92とを含む。電池91の電源は、スイッチ41のスライドにともなってスイッチ金具44の接続状態が切り替えられることにより、オンまたはオフに切り替えられる。スイッチ41が上方の第1位置にあるとき、回路が接続されてポンプ61が駆動するため、噴霧装置50が駆動して噴霧が実行される。スイッチ41が下方の第2位置にあるとき、回路が切断されてポンプ61は駆動しない。
【0035】
噴霧ノズル80の噴霧の態様について説明する。なお、図中の実線の矢印Aは、液体のタンク71から噴霧ノズル80への供給経路を示す。破線の矢印Bは、液体の噴霧ノズル80からタンク71への戻り経路を示す。一点鎖線の矢印Cは、ポンプ61から噴霧ノズル80への空気の供給経路を示す。
【0036】
ポンプ61の駆動によって空気チューブ62を介して空気供給孔85に空気が送りこまれることにより、空気は内部孔83の内部を後方から前方に向かって流れる。このとき、ベンチュリ効果によって内部孔83内の圧力が低下するため、タンクキャップ74および接続チューブ75および液体供給孔86を介して内部孔83に液体が供給される。内部孔83に供給された液体は空気の流れとともに、噴霧口84から噴霧ノズル80の外部に噴霧される。噴霧口84の内側に付着するなどして外部に噴霧されずに噴霧ノズル80内に溜まった液体は、液体戻し孔87および接続チューブ75およびタンクキャップ74を介してタンク71に戻される。
【0037】
図4を参照して、キャップ30とスイッチ部40との関係について説明する。
図4(a)に示されるように、スイッチ部40は、本体部20の左側壁部21Aに設けられるスライド面43と、スライド面43上を上方の第1位置および下方の第2位置にスライドするスイッチ41とを含む。スイッチ41の上方の端部である突出部42は、スイッチ41が第1位置にあるとき、高さ方向Zにおいてキャップ嵌込部22と対応する位置に突出する。スイッチ41が第1位置にあるとき電源がオンとなるとともに噴霧装置50が駆動する状態に維持される。また、スイッチ41が第2位置にあるとき電源がオフとなるとともに噴霧装置50が停止した状態に維持される。
【0038】
筐体10からキャップ30が取り外されているとき、スイッチ41の位置は、第1位置および第2位置のいずれにも変更することができる。
図4(b)に示されるように、筐体10にキャップ30が取り付けられているとき、スイッチ41の突出部42は、キャップ30のキャップ端部31のスイッチ41と対応する部分により下方に押されてスイッチ41が第2位置に維持される。すなわち、電源のオフが維持される。
【0039】
図5を参照して、電動式吸入器1の操作手順について説明する。
(手順1)キャップ30を外した状態の筐体10を右手に持つ。このとき、親指を左側壁部21Aにかけ、中指および薬指および小指は右側壁部21Bにかける。また、人差し指をノズル収納部24の上面24Aにかける。
(手順2)人差し指を目印として噴霧口84の位置を口に合わせる。
(手順3)スイッチ41を右手の親指で第2位置から第1位置にスライドさせて噴霧を開始する。
【0040】
図6を参照して、タンク71を取り外すときの操作手順について説明する。
図6(a)に示されるように、使用者はタンク71の目印部71Aに指先をかけて、下方に押す。これにより、タンクキャップ74(図3参照)からタンク71が外れる。これにより、図6(b)に示されるように、タンク71は、タンク挿入口23を介して筐体10の外部に取り外される。
【0041】
タンク71を再び取り付けるときには、タンク挿入口23を介してタンク71を筐体10の内部に押し込む。これにより、タンク71とタンクキャップ74とがOリング72を介して固定される。
【0042】
本実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)電動式吸入器1のノズル収納部24は、本体部20の上面に設けられるとともに、使用者が本体部20を片手で把持した状態において、本体部20を把持した手の指を乗せることができる指置部としてノズル収納部24が形成される。これにより、使用者は吸入器1を片手で簡単に使用することができる。
【0043】
また、使用者は噴霧時において、ノズル収納部24の上面に乗せた指を目印とすることができるため、噴霧口84の位置を把握しやすくなる。これにより、使用者は自身の咽喉に対して噴霧口84の方向および距離を適切な位置に設定するときに、その作業を容易に行うことができる。
【0044】
(2)電動式吸入器1は、噴霧ノズル80の背面側から開口側に向かうにつれて下方から上方に向けてノズル収納部24の上面24Aが傾斜している。このため、使用者が筐体10を把持した状態において、ノズル収納部24の上面24Aに人差し指を乗せやすい。
【0045】
(3)電動式吸入器1は、噴霧ノズル80の中心軸C1とノズル収納部24の上面24Aとが平行である。このため、使用者がノズル収納部24の上面24Aに指を乗せた状態において、噴霧口84からの噴霧の方向を把握しやすい。
【0046】
また、噴霧ノズル80の中心軸C1に対してノズル収納部24の上面24Aが傾斜している場合と比較して、ノズル収納部24が高さ方向Zにおいて大型化することを抑制することができる。
【0047】
(4)電動式吸入器1は、平面視において噴霧ノズル80の全体およびノズル収納部24の全体が本体部20の外周よりも内側に設けられる。このため、平面視において噴霧ノズル80およびノズル収納部24の少なくとも一方が本体部20の外周よりも外側に突出して設けられる場合と比較して、電動式吸入器1が大型化することを抑制することができる。
【0048】
(5)電動式吸入器1は、平面視において、噴霧ノズル80の中心軸C1と直交する幅方向Yの本体部20の最大の長さが、噴霧ノズル80の中心軸C1に沿う奥行方向Xの本体部20の最大の長さよりも小さい。これにより、使用者は、後側壁部21Dを右手の掌に沿わせた状態で筐体10を把持するとき、右手の指を左側壁部21Aおよび右側壁部21Bにかけやすくなる。このため、本体部20の幅方向Yの最大の大きさが長いものと比較して、使用者が筐体10を片手で把持することが容易となる。
【0049】
(6)電動式吸入器1は、本体部20の外周壁21の外周面のうち、噴霧ノズル80の開口側の面を前面として、噴霧ノズル80の中心軸C1に対して前面とは反対側の面を後面としたとき、この後面は、中間部が外側に突出して湾曲している。このため、後面が、例えば平面である場合と比較して、使用者は電動式吸入器1を片手で把持しやすくなる。
【0050】
(7)電動式吸入器1は、噴霧装置50を操作するためのスイッチ41を備える。このスイッチ41は、本体部20またはノズル収納部24の外面に設けられる。また、このスイッチ41は、使用者が本体部20を右手で把持した状態かつノズル収納部24の上面24Aに本体部20を把持した右手の人差し指を乗せた状態において、本体部20を把持している右手の親指により操作することのできる位置に設けられる。このため、使用者は電動式吸入器1を持ち替えることなく、スイッチ41を操作することができる。
【0051】
(8)電動式吸入器1は、本体部20への取り付けおよび本体部20からの取り外しができるキャップ30を備える。このキャップ30を本体部20に取り付けられた状態においてノズル収納部24の全体は、キャップ30により覆われる。このため、キャップ30が本体部20に取り付けられた状態において、筐体10およびキャップ30の外部に液体が漏れることが抑制される。また、噴霧を行わないときには本体部20にキャップ30が取り付けられることにより、噴霧口84に汚れが付着することを抑制することができる。
【0052】
また、平面視において、キャップ30は本体部20の外周と同一の形状をしているため、キャップ30が本体部20の外周よりも大きい場合と比較して、電動式吸入器1が大型化することを抑制することができる。
【0053】
(9)電動式吸入器1のスイッチ41はスライド式のものであり、スイッチ41の操作位置として噴霧を行うための第1位置および噴霧を停止するための第2位置を有する。第2位置は、第1位置よりも下方に設けられる。そして、キャップ30が本体部20に取り付けられた状態において、キャップ30のキャップ端部31によりスイッチ41が第2位置に固定される。このため、キャップ30が本体部20に取り付けられた状態において、噴霧が停止した状態が維持されることになる。これにより、キャップ30が本体部20に取り付けられた状態で噴霧が行われることが抑制される。
【0054】
(10)電動式吸入器1のタンク71は、本体部20への取り付けるおよび本体部20からの取り外しができる。タンク71の外面には液体の貯留量となる目印部71Aが突出して設けられている。タンク71が本体部20に取り付けられた状態において、目印部71Aは、使用者が指をかけることができるところに位置する。このため、使用者は目印部71Aに指をかけることにより、タンク71を本体部20から容易に取り外すことができる。
【0055】
(11)電動式吸入器1は、片手で把持することのできる小型のものである。このため、使用者が携帯することが容易となる。これにより、使用者は外出先で簡便に吸入を行うことができる。
【0056】
(その他の実施形態)
なお、本発明の実施態様は上記実施形態に限られるものではなく、例えば以下に示すように変更することもできる。また、以下の各変形例は、上記実施形態についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
【0057】
・上記実施形態では、図1(b)に示されるように、本体部20の奥行方向Xの大きさを本体部20の幅方向Yの大きさよりも大きくしたが、本体部20の奥行方向Xの大きさを本体部20の幅方向Yの大きさよりも小さくすることもできる。
【0058】
・上記実施形態では、図1(b)に示されるように、側壁部21A〜21Dの形状を中央部が両端部よりも外側に突出して曲がった形状としたが、側壁部21A〜21Dのうち少なくとも1つを平らな面にすることもできる。また、側壁部21A〜21Dのうち少なくとも1つを中間部が内側に湾曲して曲がった形状とすることもできる。
【0059】
・上記実施形態では、図1(b)に示されるように、噴霧ノズル80およびノズル収納部24の全体が、平面視において奥行方向Xおよび幅方向Yにおいて外周壁21よりも内側に設けられるようにしたが、噴霧ノズル80の一部およびノズル収納部24の一部の少なくとも一方を、奥行方向Xおよび幅方向Yにおいて外周壁21よりも外側に突出して設けることもできる。
【0060】
・上記実施形態では、図1(a)に示されるように、噴霧ノズル80の中心軸C1が後方から前方に向かうにつれて下方から上方に傾斜しているが、噴霧ノズル80の中心軸C1を奥行方向Xに対して平行にすることもできる。
【0061】
・上記実施形態では、図1(a)に示されるように、ノズル収納部24の上面24Aを噴霧ノズル80の中心軸C1に対して平行な面にしたが、ノズル収納部24の上面24Aを奥行方向Xかつ幅方向Yに沿う形状、すなわち高さ方向Zと直交する面にすることもできる。
【0062】
・上記実施形態では、図1(a)に示されるように、ノズル収納部24の上面24Aを噴霧ノズル80の中心軸C1に対して平行にしたが、途中で湾曲する面とすることもできる。また、ノズル収納部24の上面24Aに段差を設けることもできる。
【0063】
・上記実施形態では、図1(a)に示されるように、ノズル収納部24をキャップ嵌込部22の後方の端部から前方の端部にかけて設けているが、ノズル収納部24をキャップ嵌込部22の後方の端部よりも前方側の部分から前方の端部にかけて設けることもできる。また、ノズル収納部24をキャップ嵌込部22の後方の端部から前方の端部よりも後方側の部分にかけて設けることもできる。
【0064】
・上記実施形態では、図1(a)に示されるように、ノズル収納部24の全体を被覆するキャップ30を採用したが、噴霧口84およびこの付近のみを被覆する噴霧口84の形状に合わせたキャップを採用することもできる。
【0065】
・上記実施形態では、図5に示されるように、右手で筐体10を把持して使用する例を示したが、左手で筐体10を把持して使用することもできる。この場合、スイッチ41を中指で操作することもできる。
【0066】
・上記実施形態では、図1(a)に示されるように、左側壁部21Aにスイッチ41を設けたが、これに代えて、右側壁部21Bにスイッチ41を設けて左手用にすることもできる。
【0067】
・上記実施形態では、図4に示されるように、キャップ30が筐体10に取り付けられた状態で第2位置に固定されるスイッチ41を設けたが、ノズル収納部24の上面24Aに押しボタン式のスイッチを設けることもできる。このとき、キャップ30を筐体10に取り付けた状態においては、スイッチ41が露出しないため、スイッチ41が切り替わることを抑制することができる。
【0068】
・上記実施形態では、図2に示されるように、貯留する液体の上限量の指標となる位置にタンク71の目印部71Aを設けたが、上限量よりも少ない量、例えば液体を追加する残量の指標となるタンク71の下方の位置に設けることもできる。また、目印部71Aを高さ方向Zに沿う形状に変更することもできる。
【0069】
・上記実施形態では、空気の流れにより液体を噴霧する噴霧装置50を採用したが、これに代えて、液体を加温することにより蒸気を発生させる加熱装置を備えるとともに、発生した蒸気を噴霧口から噴霧する噴霧装置を採用することもできる。
【符号の説明】
【0070】
1…電動式吸入器、20…本体部、24…ノズル収納部、30…キャップ、41…スイッチ、50…噴霧装置、71…タンク、71A…目印部、81…噴霧ノズル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留するタンクおよび前記液体を噴霧する噴霧ノズルを含む噴霧装置と、前記タンクの少なくとも一部を覆う本体部と、前記噴霧ノズルの少なくとも一部を覆うノズル収納部とを含む電動式吸入器において、
前記ノズル収納部は前記本体部の上面に設けられるものであり、使用者が前記本体部を片手で把持した状態において前記本体部を把持した手の指を乗せることができる指置部として前記ノズル収納部が形成される
ことを特徴とする電動式吸入器。
【請求項2】
請求項1に記載の電動式吸入器において、
前記噴霧ノズルの開口側から開口側とは反対側の背面側に向かうにつれて上方から下方に向けて前記ノズル収納部の上面が傾斜している
ことを特徴とする電動式吸入器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電動式吸入器において、
前記噴霧ノズルの中心軸と前記ノズル収納部の上面とが平行である
ことを特徴とする電動式吸入器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の電動式吸入器において、
前記ノズル収納部の平面視において、前記噴霧ノズルの全体および前記ノズル収納部の全体が前記本体部の外周よりも内側に設けられる
ことを特徴とする電動式吸入器。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の電動式吸入器において、
前記ノズル収納部の平面視において、前記噴霧ノズルの中心軸と直交する方向の前記本体部の最大の長さが、前記噴霧ノズルの中心軸に沿う方向の前記本体部の最大の長さよりも小さい
ことを特徴とする電動式吸入器。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の電動式吸入器において、
前記本体部の外面のうち、前記噴霧ノズルの開口側の面を前面として、噴霧ノズルの中心軸に対して前面とは反対側の面を後面としたとき、この後面は、中間部が外側に突出して湾曲している
ことを特徴とする電動式吸入器。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の電動式吸入器において、
前記噴霧装置を操作するためのスイッチを備え、
このスイッチは、前記本体部または前記ノズル収納部の外面であって、前記使用者が前記本体部を片手で把持した状態かつ前記本体部を把持した手の指を前記ノズル収納部の上面に乗せた状態において、前記本体部を把持している手の指により操作することのできる位置に設けられる
ことを特徴とする電動式吸入器。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の電動式吸入器において、
前記本体部への取り付けおよび前記本体部からの取り外しができるキャップを備え、このキャップが前記本体部に取り付けられた状態において前記ノズル収納部の全体が前記キャップにより覆われる
ことを特徴とする電動式吸入器。
【請求項9】
請求項7を引用する請求項8に記載の電動式吸入器において、
前記スイッチはスライド式のものであり、前記スイッチの操作位置として噴霧を行うための第1位置および噴霧を停止するための第2位置を有するものであり、前記第2位置は、前記第1位置よりも下方に設けられるものであり、前記キャップが前記本体部に取り付けられた状態において、前記キャップの端部により前記スイッチが前記第2位置に固定される
ことを特徴とする電動式吸入器。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の電動式吸入器において、
前記タンクは前記本体部への取り付けおよび前記本体部からの取り外しができるものであり、前記タンクの外面には前記液体の貯留量の指標となる目印部が突出して設けられ、前記タンクが前記本体部に取り付けられた状態において、前記目印部は使用者が指をかけることができるところに位置する
ことを特徴とする電動式吸入器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−65895(P2012−65895A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213956(P2010−213956)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)