説明

電動式建設機械

【課題】 複数のバッテリを搭載したバッテリ搭載台を防水シートによって覆うと共に、この防水シートをバッテリ搭載台に確実に固定する。
【解決手段】 複数のバッテリ29を搭載したバッテリ搭載台28の外側面に、複数個のU字状の磁石位置決め部材35を固着する。また、下端側が開口端36Aとなった防水シート36をバッテリ搭載台28に被せて装着した後、各磁石位置決め部材35の位置で、防水シート36の外側からバッテリ搭載台28に磁石44を吸着させる。これにより、バッテリ搭載台28と各磁石44との間で防水シート36を挟込み、この防水シート36をバッテリ搭載台28に確実に固定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力源として電動モータを備えた油圧ショベル、ホイールローダ等の電動式建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、掘削作業や解体作業に用いられる油圧ショベル等の建設機械は、エンジンによって油圧ポンプを駆動することにより、走行用の油圧モータ、旋回用の油圧モータ、作業装置を構成する各種の油圧シリンダ等の油圧アクチュエータに向けて作動用の圧油(作動油)を供給する構成となっている。
【0003】
一方、例えば倉庫等の建造物内で掘削作業や解体作業を行うときに、エンジンからの排気ガスによって作業環境が低下するのを防止するため、エンジンに代って油圧ポンプを駆動する動力源としての電動モータと、この電動モータへの給電を行うバッテリとを備えた電動式の油圧ショベルが提案されている。
【0004】
ところで、電動式の油圧ショベルでは、長時間に亘って稼働できるように多数のバッテリを搭載する必要がある。このため、ミニショベルと呼ばれる小型の油圧ショベルに多数のバッテリを搭載する場合には、通常、上部旋回体のベースとなる車体フレームの後部側に、多数のバッテリを効率良く搭載できるバッテリ搭載台(バッテリテーブル)を設け、これら多数のバッテリをカウンタウエイトとしても利用する構成としている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−44408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した電動式の油圧ショベルにおいては、搭載したバッテリに雨水や洗浄水等が付着するのを防止する必要がある。このため、バッテリを搭載したバッテリ搭載台全体を、ビニールシート等の防水シートを用いて覆うことが考えられる。この場合、防水シートをバッテリ搭載台に固定する方法としては、防水シートに取付孔を穿設し、この取付孔に挿通したバンドをバッテリ搭載台に縛りつける方法が考えられる。
【0007】
しかし、バンドを挿通するための取付孔を防水シートに穿設した場合には、防水シートに飛散した雨水等が取付孔を通じて防水シートの内側に落下し、バッテリ搭載台に搭載されたバッテリに付着してしまうという問題がある。
【0008】
また、バッテリ搭載台に搭載された各バッテリは、油圧ショベルの作動時に熱を発生するため、バンドを緩く締めつけてバッテリ搭載台と防水シートとの間に隙間を形成し、この隙間を流れる外気によってバッテリを冷却することが考えられる。
【0009】
しかし、バンドを緩く締めつけた場合には、バッテリ搭載台に対して防水シートが位置ずれしてしまい、防水シートによってバッテリ搭載台を確実に覆うことができなくなるという問題がある。
【0010】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、複数のバッテリを搭載したバッテリ搭載台を防水シートによって覆うと共に、この防水シートをバッテリ搭載台に確実に固定することができるようにした電動式建設機械を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するため本発明は、支持構造体をなす車体フレームと、該車体フレームに搭載された電動モータと、該電動モータに電力を供給するバッテリと、前記車体フレームの後部側に設けられ該バッテリを搭載するバッテリ搭載台とを備えてなる電動式建設機械に適用される。
【0012】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記バッテリを搭載した前記バッテリ搭載台を覆う防水シートを設け、前記バッテリ搭載台の外側面には複数の磁石位置決め部材を設け、前記防水シートで前記バッテリ搭載台を覆った状態で、前記各磁石位置決め部材の位置には前記バッテリ搭載台との間で前記防水シートを挟んで固定する複数の磁石を設けたことにある。
【0013】
請求項2の発明は、前記バッテリ搭載台は複数段のテーブルを上,下方向に積重ねた枠状体として形成し、前記各テーブルの外側面には、前記磁石位置決め部材をそれぞれ設ける構成としたことにある。
【0014】
請求項3の発明は、前記各磁石位置決め部材は上側が開いたU字状またはL字状の枠体により形成し、前記磁石は該枠体内に収まる形状としたことにある。
【0015】
請求項4の発明は、前記防水シートは可撓性を有する樹脂シートを用いて下端側が開口した袋体により形成し、前記防水シートは前記バッテリ搭載台にその上端側から被せて装着する構成としたことにある。
【0016】
請求項5の発明は、前記防水シートの後面は、左,右方向の中間部に取付開口部が形成された固定シート面と、前記取付開口部を覆う位置に設けられ前記防水シートを前記バッテリ搭載台に被せるときに前記固定シート面に対して離れる可動シート面とにより構成し、前記固定シート面と可動シート面との間には、前記防水シートを前記バッテリ搭載台に装着した状態で前記可動シート面を前記固定シート面の取付開口部を覆う位置に保持する保持具を設ける構成としたことにある。
【0017】
請求項6の発明は、前記防水シートには前記バッテリ搭載台の上側を覆う上面を除いたいずれかの面に通気口を設け、該通気口により前記防水シートの下端側から取込んだ外気を当該防水シートの内側を通じて外部に排出させる構成としたことにある。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、防水シートによってバッテリ搭載台を覆った状態で、バッテリ搭載台に複数の磁石を吸着させることにより、バッテリ搭載台と磁石との間で防水シートを挟持し、防水シートをバッテリ搭載台に確実に固定することができる。この結果、防水シートによってバッテリを雨水等から保護し、その寿命を延ばすことができる。この場合、防水シートを磁石を用いてバッテリ搭載台に固定することができるので、緊縛用のバンドを用いて防水シートをバッテリ搭載台に縛りつける必要がなく、このバンドを挿通するための取付孔を防水シートに穿設する必要もない。この結果、防水シートの内側への雨水等の侵入を抑えることができ、バッテリ搭載台に搭載された各バッテリを雨水等から確実に保護することができる。
【0019】
しかも、バッテリ搭載台の外側面に設けられた磁石位置決め部材によって、バッテリ搭載台に対する各磁石の取付け位置を予め設定することができる。この結果、複数の磁石を、磁石位置決め部材によってバランス良くバッテリ搭載台に配置することができ、これら各磁石によって防水シートを確実にバッテリ搭載台に固定することができる。さらに、バッテリ搭載台に磁石を吸着させるだけで防水シートを固定することができるので、防水シートを固定するときの作業性を高めることができる。
【0020】
請求項2の発明によれば、バッテリ搭載台を構成する各テーブルの外側面に複数の磁石位置決め部材を設けることにより、バッテリ搭載台に対し、複数の磁石位置決め部材をバランス良く分配することができる。従って、各磁石位置決め部材の位置でバッテリ搭載台に磁石を吸着させることにより、これら各磁石によって防水シートを確実に固定することができる。
【0021】
請求項3の発明によれば、各磁石位置決め部材をU字状またはL字状の枠体として形成し、この枠体内に磁石を収めることにより、磁石を上,下方向と水平方向とに位置決めすることができる。この結果、仮に防水シートが風に煽られたとしても、磁石がバッテリ搭載台から脱落したり、初期の取付け位置から位置ずれするのを抑えることができる。この結果、複数の磁石を、長期に亘ってバッテリ搭載台の適正箇所に位置決めしておくことができ、これら各磁石によって防水シートをバランス良く固定することができる。
【0022】
さらに、予めバッテリ搭載台に設けられた磁石位置決め部材の位置に各磁石を配置するだけで、バッテリ搭載台に対して防水シートを固定することができるので、磁石を用いて防水シートを固定するときの作業性を高めることができる。
【0023】
請求項4の発明によれば、袋体からなる防水シートの下端側は開口しているので、バッテリ搭載台の上端側から防水シートを被せることにより、バッテリ搭載台を防水シートによって容易に覆うことができる。
【0024】
請求項5の発明によれば、固定シート面に対して可動シート面を離すことにより、固定シート面の取付開口部を開放することができるので、防水シートをバッテリ搭載台に被せるときの作業性を高めることができる。一方、防水シートをバッテリ搭載台に装着した状態では、保持具を用いて可動シート面を固定シート面の取付開口部を覆う位置に保持することにより、雨水等の侵入を確実に防止することができ、各バッテリを保護することができる。
【0025】
請求項6の発明によれば、防水シートをバッテリ搭載台に装着した状態において、防水シートの下端側から取込まれた外気を、防水シートの内部を通過させ、通気口を通じて外部に排出することができる。このように、防水シートの内部を外気が流通することにより、バッテリ搭載台に搭載された各バッテリの冷却を行うことができ、各バッテリの耐久性や信頼性を高めることができる。この場合、防水シートは、バッテリ搭載台と磁石との間に挟持されるので、防水シートとバッテリ搭載台の外側面との間の隙間を可及的に小さくすることができる。この結果、防水シートの内部に大量の外気を流通させることができ、各バッテリに対する冷却効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1の実施の形態による電動式の油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】油圧ショベルを上方からみた平面図である。
【図3】上部旋回体を外装カバー、後部カバー、キャノピを取外した状態で上方からみた平面図である。
【図4】図3中の上部旋回体から防水シートを取外した状態を示す平面図である。
【図5】前部車体から後部車体を取外した状態を示す分解斜視図である。
【図6】前部フレームと後部フレームとを示す分解斜視図である。
【図7】後部フレームを単体で示す斜視図である。
【図8】後部フレームにバッテリ搭載台を取付けた状態を示す斜視図である。
【図9】バッテリ搭載台を分解して示す分解斜視図である。
【図10】バッテリ搭載台にバッテリを搭載した状態を示す斜視図である。
【図11】バッテリを搭載したバッテリ搭載台を防水シートで覆った状態を示す斜視図である。
【図12】防水シートを単体で示す斜視図である。
【図13】可動後シート面を上方にめくり上げた状態を防水シートの後側からみた斜視図である。
【図14】後部フレーム、バッテリ搭載台、バッテリ、防水シート、磁石等を示す正面図である。
【図15】固定後シート面、可動後シート面、ガードパイプ等を、図14中のA部を拡大して示す部分拡大図である。
【図16】固定後シート面に対し可動後シート面を上方にめくり上げた状態を示す図15と同様位置の部分拡大図である。
【図17】固定後シート面の取付開口部を可動後シート面によって覆った状態を示す図15と同様位置の部分拡大図である。
【図18】バッテリ搭載台、防水シート、磁石位置決め部材、磁石等を、図14中のB部を拡大して示す部分拡大図である。
【図19】防水シート、磁石位置決め部材、磁石等を図18中の矢示XIX−XIX方向からみた断面図である。
【図20】バッテリ搭載台の上方から防水シートを被せる状態を示す正面図である。
【図21】ガードパイプを避けるために可動後シート面を上方にめくり上げた状態を示す正面図である。
【図22】バッテリ搭載台に防水シートを装着した状態を示す正面図である。
【図23】磁石位置決め部材の変形例を示す図18と同様の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る電動式建設機械の実施の形態を、油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0028】
図中、1は電動式の油圧ショベルを示し、この油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に搭載され、該下部走行体2と共に車体を構成する上部旋回体3とを備えている。上部旋回体3の前部側には、土砂の掘削作業等を行うスイング式の作業装置4が設けられ、該作業装置4は、スイングポスト4A、ブーム4B、アーム4C、バケット4D、ブームシリンダ4E、アームシリンダ4F、バケットシリンダ4G等により構成されている。
【0029】
ここで、本実施の形態による上部旋回体3は、図5に示すように、前部側に位置する前部車体5と、該前部車体5の後端側に取付けられる後述の後部車体10とにより大略構成されている。
【0030】
前部車体5は、後述する前部フレーム13を有し、該前部フレーム13の左側には、オペレータが着席する運転席6と、該運転席6を上方から覆うキャノピ6Aとが配置されている。また、前部フレーム13の右側には、電動モータ7、油圧ポンプ8、作動油タンク9等が配設され、電動モータ7によって油圧ポンプ8を駆動することにより、作動油タンク9に貯溜された作動油が、走行用および旋回用の油圧モータ(いずれも図示せず)、作業装置4を構成する各シリンダ4E,4F,4G等の油圧機器に向けて供給される構成となっている。
【0031】
次に、10は前部車体5の後端側に取付けられる後部車体を示している。この後部車体10は、前部車体5と共に上部旋回体3を構成するものである。ここで、後部車体10は、後述する後部フレーム20を有し、該後部フレーム20には、後述するバッテリ搭載台28を用いて多数のバッテリ29が搭載されている。そして、これら各バッテリ29によって電動モータ7への給電が行われる構成となっている。
【0032】
11は上部旋回体3のベースとなる車体フレームとしての旋回フレームを示し、該旋回フレーム11は、図6に示すように、前部車体5のベースとなる後述の前部フレーム13と後部車体10のベースとなる後述の後部フレーム20とを連結ピン12等を用いて連結することにより構成されている。即ち、本実施の形態による旋回フレーム11は、別部材として形成された前部フレーム13と後部フレーム20とを一体に連結することにより構成されている。
【0033】
次に、旋回フレーム11の前部側を構成する前部フレーム13について説明する。この前部フレーム13は、前部車体5のベースとなるもので、上述した運転席6、キャノピ6A、電動モータ7、油圧ポンプ8、作動油タンク9等が搭載されるものである。
【0034】
ここで、前部フレーム13は、厚肉な鋼板等を用いて形成され前,後方向に延びた底板14と、該底板14の上面側に立設され左,右方向で対面しつつ前,後方向に延びた左縦板15,右縦板16と、左張出しビーム17Aを介して底板14および左縦板15の左側に配設され前,後方向に延びた左サイドフレーム17と、右張出しビーム18Aを介して底板14および右縦板16の右側に配設され前,後方向に延びた右サイドフレーム18とにより大略構成されている。
【0035】
左縦板15と右縦板16の前端側には段付き円筒状のスイングブラケット19が固定され、該スイングブラケット19によって作業装置4のスイングポスト4Aを揺動可能に支持する構成となっている。左縦板15の後端側には左,右方向に貫通するピン挿通孔15Aが設けられ、右縦板16の後端側には左,右方向に貫通するピン挿通孔16Aが設けられ、これら各ピン挿通孔15A,16Aにそれぞれ連結ピン12が挿通される構成となっている。
【0036】
次に、旋回フレーム11の後部側を構成する後部フレーム20について説明する。この後部フレーム20は、後部車体10のベースとなるもので、図7に示すように、後述するベースフレーム部21と、外周フレーム部22と、左,右の支柱23,24と、ガードパイプ26とにより大略構成されている。そして、後部フレーム20は、連結ピン12等を用いて前部フレーム13の後端側に着脱可能に取付けられ、後述のバッテリ搭載台28を支持するものである。
【0037】
21は後部フレーム20のベースとなるベースフレーム部を示し、該ベースフレーム部21は、左,右方向に延びる長方形状の前面板21Aと、該前面板21Aと前,後方向で対面する後面板21Bと、前面板21Aと後面板21Bとを挟んで左,右方向で対面する左側面板21C,右側面板21Dと、これら前面板21A、後面板21B、左側面板21C、右側面板21Dの下端側を閉塞する底板21Eとにより、全体として前,後方向に延びる長方形の枠状に形成されている。
【0038】
左側面板21Cの上端側は、右側面板21Dとは反対方向に水平に折曲げられた左水平フランジ板21Fとなり、右側面板21Dの上端側は、左側面板21Cとは反対方向に水平に折曲げられた右水平フランジ板21Gとなっている。そして、左水平フランジ板21Fと右水平フランジ板21Gとの上面側には、後述の各弾性支持部材27が取付けられるようになっている。
【0039】
22はベースフレーム部21の後端側に設けられた外周フレーム部を示し、該外周フレーム部22は、例えば上部旋回体3の旋回中心を中心とした円弧状に形成されている。この外周フレーム部22は、ベースフレーム部21の後面板21B、左側面板21Cおよび右側面板21Dに溶接等の手段を用いて固着されている。
【0040】
23は後部フレーム20の後端側に設けられた左支柱で、該左支柱23は、ベースフレーム部21を構成する左側面板21Cの後側に配置されている。この左支柱23は、中空な角筒体からなり、ベースフレーム部21の後端部および外周フレーム部22等に溶接されることにより上,下方向に伸長している。
【0041】
24は左支柱23と対をなして後部フレーム20の後端側に設けられた右支柱で、該右支柱24は、ベースフレーム部21を構成する右側面板21Dの後側に配置されている。この右支柱24も中空な角筒体からなり、ベースフレーム部21の後端部および外周フレーム部22等に溶接されることにより上,下方向に伸長している。そして、左支柱23の上端側と右支柱24の上端側との間は連結梁25によって連結され、該連結梁25を介して左支柱23と右支柱24とが一体化されている。
【0042】
26は左,右の支柱23,24から外周フレーム部22に沿って前方へと延びるガードパイプを示し、該ガードパイプ26は、例えば中空な丸パイプ材を用いて形成されている。このガードパイプ26は、外周フレーム部22に沿って湾曲しつつ外周フレーム部22の左端側と左支柱23との間に架渡された左ガード部26Aと、外周フレーム部22に沿って湾曲しつつ外周フレーム部22の右端側と右支柱24との間に架渡された右ガード部26Bとにより構成されている。そして、ガードパイプ26は、図10に示すように、後述するバッテリ搭載台28に搭載された多数のバッテリ29を外側から取囲むことにより、これら各バッテリ29を保護するものである。
【0043】
そして、図6に示すように、前部フレーム13を構成する左縦板15の後端側と右縦板16の後端側とにより、後部フレーム20のベースフレーム部21を左,右方向から挟込み、左縦板15のピン挿通孔15Aとベースフレーム部21の左側面板21Cとに連結ピン12を挿通すると共に、右縦板16のピン挿通孔16Aとベースフレーム部21の右側面板21Dとに連結ピン12を挿通した状態で、前部フレーム13と後部フレーム20とをボルト等(図示せず)を用いて締結することにより、旋回フレーム11が形成されている。
【0044】
27は後部フレーム20を構成するベースフレーム部21の周囲に設けられた複数の弾性支持部材(マウント部材)を示している。各弾性支持部材27は、ベースフレーム部21の左水平フランジ板21F上に前,後方向に間隔をもって複数個(例えば4個)設けられると共に、右水平フランジ板21G上に前,後方向に間隔をもって複数個(例えば4個)設けられている。これら各弾性支持部材27は、ベースフレーム部21に対して後述するバッテリ搭載台28の基台30を弾性的に支持するものである。
【0045】
次に、後部フレーム20のベースフレーム部21に取付けられるバッテリ搭載台について説明する。
【0046】
28は後部フレーム20のベースフレーム部21上に各弾性支持部材27を介して弾性的に支持されたバッテリ搭載台を示し、該バッテリ搭載台28は、多数のバッテリ29を効率良く収納した状態で後部フレーム20に取付けられるものである。この場合、図8および図9に示すように、バッテリ搭載台28は、後述の基台30と、バッテリテーブル31とからなる枠状体として形成されている。
【0047】
ここで、バッテリ搭載台28に搭載される各バッテリ29は、左,右方向に延びる直方体状をなし、互いに電気的に接続されている。そして、各バッテリ29からの電力が電動モータ7に供給されることにより、当該電動モータ7が駆動される構成となっている。
【0048】
30はバッテリ搭載台28のベースとなる基台で、該基台30は、各弾性支持部材27を介して後部フレーム20のベースフレーム部21上に弾性的に支持されるものである。この基台30は、前面板30Aと、後面板30Bと、左側面板30Cと、右側面板30Dと、底板30Eとにより、全体として後部フレーム20のベースフレーム部21よりも一回り小さな長方形の枠状に形成されている。
【0049】
一方、左側面板30Cの上端側には左水平フランジ板30Fが設けられ、右側面板30Dの上端側には右水平フランジ板30Gが設けられている。そして、ベースフレーム部21の内側に基台30を配置し、ベースフレーム部21の左水平フランジ板21Fと基台30の左水平フランジ板30Fとの間に弾性支持部材27を設けると共に、ベースフレーム部21の右水平フランジ板21Gと基台30の右水平フランジ板30Gとの間に弾性支持部材27を設けることにより、基台30が複数の弾性支持部材27を介してベースフレーム部21に弾性的に支持されている。また、基台30の底板30E上には、複数のバッテリ29が搭載される構成となっている。
【0050】
次に、31は基台30上に取付けられたバッテリテーブルを示し、該バッテリテーブル31は、後述する下段テーブル32と、中段テーブル33と、上段テーブル34とを上,下方向に積重ねた枠状体として構成されている。そして、図10に示すように、バッテリテーブル31を構成する各段のテーブル32,33,34上に多数のバッテリ29を効率良く搭載することができる構成となっている。
【0051】
32は基台30上に取付けられた下段テーブルを示している。この下段テーブル32は、角パイプ等を用いて枠状に形成された下枠組み部材32Aと、下枠組み部材32Aの左,右方向の中央部に配置され前,後方向に延びた中央プレート32Bと、下枠組み部材32Aの左側に配置された左側プレート32Cと、下枠組み部材32Aの後部右側に配置された右側プレート32Dと、下枠組み部材32Aの後部側に立設された矩形の枠状をなす上枠組み部材32Eとにより大略構成されている。
【0052】
この下段テーブル32は、下枠組み部材32Aが基台30上にボルト等を用いて締結されることにより当該基台30上に固定されている。そして、下段テーブル32の中央プレート32B、左側プレート32C、右側プレート32D上には、それぞれ複数個のバッテリ29が搭載される構成となっている。また、下枠組み部材32Aの前面32A1、後面32A2、左側面32A3、右側面32A4は、下段テーブル32の外側面を構成し、この下枠組み部材32Aの前面32A1、後面32A2、左側面32A3、右側面32A4には、後述の磁石位置決め部材35が設けられている。
【0053】
33は下段テーブル32上に取付けられた中段テーブルを示し、該中段テーブル33も、角パイプ等を用いて枠状に形成された下枠組み部材33Aと、下枠組み部材33Aの中央部に配置された中央プレート33Bと、下枠組み部材33Aの左側に配置された左側プレート33Cと、下枠組み部材33Aの後部右側に配置された右側プレート33Dと、下枠組み部材33Aの後部側に立設された上枠組み部材33Eとにより大略構成されている。また、下枠組み部材33Aの前端側には、複数本の下向き取付脚33Fが下向きに突設され、下枠組み部材33Aの左,右方向の両端側には、上向き取付脚33Gが上向きに突設されている。
【0054】
この中段テーブル33は、下枠組み部材33Aを下段テーブル32の上枠組み部材32E上に載置した状態で、下向き取付脚33Fを下段テーブル32の下枠組み部材32Aにボルト等を用いて締結することにより、下段テーブル32上に固定されている。そして、中段テーブル33の中央プレート33B、左側プレート33C、右側プレート33D上には、それぞれ複数個のバッテリ29が搭載される構成となっている。また、下枠組み部材33Aの前面33A1、後面33A2、左側面33A3、右側面33A4は、中段テーブル33の外側面を構成し、この下枠組み部材33Aの前面33A1、後面33A2、左側面33A3、右側面33A4には、後述の磁石位置決め部材35が設けられている。
【0055】
34は中段テーブル33上に取付けられた上段テーブルを示し、該上段テーブル34も、角パイプ等を用いて枠状に形成された枠組み部材34Aと、枠組み部材34Aの中央部に配置された中央プレート34Bと、枠組み部材34Aの左側に配置された左側プレート34Cと、枠組み部材34Aの右側に配置された右側プレート34Dとにより大略構成されている。この場合、上段テーブル34の各プレート34B,34C,34Dは、バッテリ搭載台28の上面を構成している。また、上段テーブル34の右前端部には、中央部が開口し冷却ファン(図示せず)が取付けられる冷却ファン取付枠34Eが立設されている。
【0056】
この上段テーブル34は、枠組み部材34Aを中段テーブル33の上枠組み部材33E上に載置した状態で、枠組み部材34Aの左,右方向の両端部を中段テーブル33の上向き取付脚33Gにボルト等を用いて締結することにより、中段テーブル33上に固定されている。そして、上段テーブル34の中央プレート34B、右側プレート34D上には、それぞれ複数個のバッテリ29が搭載される構成となっている。また、枠組み部材34Aの前面34A1、後面34A2、左側面34A3、右側面34A4は、上段テーブル34の外側面を構成し、この枠組み部材34Aの後面34A2、左側面34A3、右側面34A4には、後述の磁石位置決め部材35が設けられている。
【0057】
次に、35は各段のテーブル32,33,34の外側面、即ちバッテリ搭載台28の外側面に設けられた複数個の磁石位置決め部材を示している。この磁石位置決め部材35は、下段テーブル32を構成する下枠組み部材32Aの前面32A1、後面32A2、左,右の側面32A3,32A4と、中段テーブル33を構成する下枠組み部材33Aの前面33A1、後面33A2、左,右の側面33A3,33A4と、上段テーブル34を構成する枠組み部材34Aの後面34A2、左,右の側面34A3,34A4とに、それぞれ複数個ずつ設けられている。
【0058】
このように、各磁石位置決め部材35は、バッテリ搭載台28を構成する下段テーブル32、中段テーブル33、上段テーブル34の前面、後面、左側面および右側面に、上,下方向と左,右方向とに間隔をもって設けられ、後述する各磁石44をバッテリ搭載台28に対して位置決めするものである。
【0059】
ここで、図18および図19に示すように、磁石位置決め部材35は、断面円形状をなす丸棒材を折曲げることにより、上側が開いたU字状の枠体として形成されている。即ち、磁石位置決め部材35は、水平方向に延びる下枠部35Aと、該下枠部35Aの両端側から鉛直上向きに屈曲した一対の側枠部35Bとにより構成されている。そして、磁石位置決め部材35の下枠部35Aに、後述する磁石44の下端側を係止させることにより、当該磁石44を上,下方向に位置決めすると共に、各側枠部35B間に磁石44を配置することにより、当該磁石44を水平方向に位置決めすることができる構成となっている。
【0060】
次に、バッテリ搭載台28に搭載された多数のバッテリ29を覆う防水シート36について説明する。
【0061】
36は多数のバッテリ29を覆う防水シートを示し、該防水シート36は、多数のバッテリ29が搭載されたバッテリ搭載台28を覆うことにより、雨水や洗浄水等が各バッテリ29に付着するのを防止するものである。ここで、防水シート36は、図12および図13に示すように、例えばビニールシート等の可撓性を有する樹脂シートを用いて、下端側が開口端36Aとなった袋体として形成されている。
【0062】
即ち、防水シート36は、下段テーブル32、中段テーブル33、上段テーブル34からなるバッテリテーブル31の上側を覆う上シート面37と、前側を覆う前シート面38と、左側を覆う左シート面39と、右側を覆う右シート面40と、後側を覆う後シート面41とにより構成されている。
【0063】
この場合、上シート面37は、前,後方向の前側に位置する前側上シート面37Aと、前,後方向の後側に位置し、前側上シート面37Aよりも上側に配置された後側上シート面37Bとからなっている。そして、前側上シート面37Aは中段テーブル33と対面し、後側上シート面37Bは上段テーブル34と対面するものである。
【0064】
前シート面38は、左,右方向の左側に位置し前側上シート面37Aの前端側から下方へと延びる左下側前シート面38Aと、左,右方向の左側に位置し後側上シート面37Bの前端側から前側上シート面37Aへと延びる左上側前シート面38Bと、左,右方向の右側に位置し後側上シート面37Bの前端側から下方へと延びる右側前シート面38Cとからなっている。そして、左下側前シート面38Aは、下段テーブル32および中段テーブル33の左側部位と対面し、左上側前シート面38Bは、上段テーブル34の左側部位と対面し、右側前シート面38Cは、各段のテーブル32,33,34の右側部位と対面するものである。
【0065】
左シート面39は、その全域に亘って同一平面を形成し、各段のテーブル32,33,34の左端部と対面するものである。一方、右シート面40は、前,後方向の前側に位置する前側右シート面40Aと、前側右シート面40Aの後側に位置する後側右シート面40Bとからなっている。そして、前側右シート面40Aは、下段テーブル32および中段テーブル33の右端部と対面し、後側右シート面40Bは、各段のテーブル32,33,34の右端部と対面するものである。
【0066】
次に、後シート面41は、左シート面39と右シート面40との間を連結し、左,右方向の中間部に取付開口部41Aが形成された固定後シート面41Bと、取付開口部41Aを開,閉するように固定後シート面41Bに対して接近または離間が可能に設けられた可動後シート面41Cとにより構成されている。そして、後シート面41は、各段のテーブル32,33,34の後端部と対面するものである。
【0067】
このように、防水シート36は、バッテリ搭載台28の外形形状に対応する凹凸形状をもって形成され、防水シート36をバッテリ搭載台28に被せたときに、防水シート36とバッテリ搭載台28の外側面との間、防水シート36と各バッテリ29との間に形成される隙間を小さく抑えることができる構成となっている。
【0068】
ここで、後部フレーム20に取付けられたバッテリ搭載台28に対し、防水シート36を上方から被せて装着する場合には、後部フレーム20の左,右の支柱23,24およびガードパイプ26と防水シート36との干渉を回避する必要がある。このため、防水シート36を構成する後シート面41の取付開口部41Aは、ガードパイプ26が取付けられた左,右の支柱23,24を収容できる大きさに設定されている。また、固定後シート面41Bのうち取付開口部41Aを挟む左,右の端縁部は、左,右の支柱23,24と左,右方向で対面するように後方へと折曲げられた後方折曲面41B1となっている。
【0069】
一方、可動後シート面41Cは、取付開口部41Aよりも僅かに大きく形成され、可動後シート面41Cの左,右方向の両端縁部は、固定後シート面41Bの後方折曲面41B1と対面するように前方に折曲げられた前方折曲面41C1となっている。そして、可動後シート面41Cの上端部は、取付開口部41Aの上方で固定後シート面41Bに縫合または接着等の手段を用いて上,下方向に回動可能に接続されている。これにより、可動後シート面41Cは、防水シート36をバッテリ搭載台28に被せるときには、その下端側を上方にめくり上げることにより固定後シート面41Bから離れてガードパイプ26を回避する(図21参照)。一方、可動後シート面41Cは、防水シート36をバッテリ搭載台28に装着した状態では、固定後シート面41Bに当接して取付開口部41Aを覆う構成となっている(図22参照)。
【0070】
また、固定後シート面41Bに設けられた左,右の後方折曲面41B1には、ガードパイプ26を外周側から取囲む合計4個の円筒突起部41B2が、左,右方向に突出して設けられている。この場合、図16等に示すように、各円筒突起部41B2には、後方折曲面41B1の後端縁部に開口する直線状のスリット41B3が設けられ、このスリット41B3を開くことにより、円筒突起部41B2内にガードパイプ26を収容することができる構成となっている。
【0071】
一方、図16および図17に示すように、可動後シート面41Cに設けられた左,右の前方折曲面41C1には、固定後シート面41Bの各円筒突起部41B2に対応する位置に、4個の結束バンド部41C2が設けられている。この結束バンド部41C2は、固定後シート面41Bの円筒突起部41B2によってガードパイプ26を外周側から取囲み、可動後シート面41Cによって取付開口部41Aを覆った状態で、円筒突起部41B2の外周側に巻付けられるものである。この場合、結束バンド部41C2の両端部には面ファスナ41C3が設けられ、この面ファスナ41C3を接続することにより、円筒突起部41B2の外周側に結束バンド部41C2を巻付けた状態を保持することができる構成となっている。
【0072】
42は固定後シート面41Bと可動後シート面41Cとの間に設けられた保持具としての面ファスナを示している。この面ファスナ42は、可動後シート面41Cを取付開口部41Aを覆う位置に保持するものである。ここで、面ファスナ42は、固定後シート面41Bの各後方折曲面41B1の後端部に上,下方向に延びて設けられた固定側ファスナ42Aと、可動後シート面41Cの各前方折曲面41C1の前端部に上,下方向に延びて設けられた可動側ファスナ42Bとにより構成されている。そして、可動後シート面41Cによって取付開口部41Aを覆った状態で、可動側ファスナ42Bを固定側ファスナ42Aに接続することにより、固定後シート面41Bに対して可動後シート面41Cが固定され、当該可動後シート面41Cを取付開口部41Aを覆った状態に保持することができるものである。
【0073】
43は防水シート36を構成する前シート面38に設けられた通気口を示している。この通気口43は、右側前シート面38Cの上端側に設けられ、バッテリテーブル31の上段テーブル34に設けられた冷却ファン取付枠34Eを外側から覆っている。そして、冷却ファン取付枠34Eに取付けた冷却ファン(図示せず)により、図14中に矢印Fで示すように、防水シート36の下端側から当該防水シート36内に外気を取込み、この外気を通気口43を通じて外部に排出するものである。
【0074】
44はバッテリ搭載台28に着脱可能に吸着して設けられた複数個の磁石を示している。図18および図19に示すように、これら各磁石44は、磁石位置決め部材35の位置でバッテリ搭載台28に吸着されることにより、当該バッテリ搭載28との間で防水シート36を挟んで固定するものである。ここで、磁石44は、コ字型に折曲げられた金属板からなるコア部材44Aと、該コア部材44Aに固着された四角形状の磁石本体44Bとにより構成されている。そして、図14に示すように、バッテリ搭載台28に防水シート36を被せて装着した状態で、バッテリ搭載台28に固着された複数の磁石位置決め部材35の位置に磁石44を配置することにより、防水シート36をバッテリ搭載台28に対して固定することができる構成となっている。
【0075】
なお、45は運転席6を取囲んで前部フレーム13上に配設された外装カバーを示し、該外装カバー45は、前部フレーム13上に搭載された電動モータ7、油圧ポンプ8、作動油タンク9等の搭載機器を収容するものである。46は後部フレーム20上に配設された後部カバーを示し、該後部カバー46は、後部フレーム20上に取付けられたバッテリ搭載台28と、該バッテリ搭載台28に搭載された多数のバッテリ29と、これらを覆う防水シート36等を収容するものである。
【0076】
本実施の形態による電動式の油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、この油圧ショベル1は、バッテリ搭載台28を介して後部フレーム20に搭載された多数のバッテリ29からの電力によって電動モータ7を回転させ、油圧ポンプ8を駆動する。そして、運転席6に着席したオペレータが操作レバーを操作することにより、上部旋回体3を旋回させつつ作業装置4によって土砂等の掘削作業を行うことができる。
【0077】
ここで、本実施の形態による油圧ショベル1は、バッテリ搭載台28に搭載された複数のバッテリ29に雨水、洗浄水等が付着するのを防止するため、バッテリ搭載台28全体を防水シート36によって覆う構成となっており、以下、バッテリ搭載台28を防水シート36によって覆う作業について説明する。
【0078】
まず、図20に示すように、複数のバッテリ29を搭載したバッテリ搭載台28に、その上方から防水シート36を被せる。このとき、防水シート36の後シート面41が、後部フレーム20の左,右の支柱23,24およびガードパイプ26と干渉するのを回避するため、図21に示すように、可動後シート面41Cの下端側を上方にめくり上げることにより、可動後シート面41Cを固定後シート面41Bから離間させた状態で、防水シート36を下方に下ろす。
【0079】
そして、図16および図17に示すように、固定後シート面41Bの円筒突起部41B2によってガードパイプ26を外周側から取囲み、可動後シート面41Cによって取付開口部41Aを覆った状態で、可動後シート面41Cに設けた結束バンド部41C2を、円筒突起部41B2の外周側に巻付ける。また、可動後シート面41Cに設けた可動側ファスナ42Bを、固定側ファスナ42Aに接続することにより、可動後シート面41Cを取付開口部41Aを覆った状態に保持する。
【0080】
これにより、図22に示すように、バッテリ29が搭載されたバッテリ搭載台28に防水シート36を装着することができる。この状態で、図14に示すように、バッテリ搭載台28の下段テーブル32、中段テーブル33、上段テーブル34に固着された複数の磁石位置決め部材35の位置に、防水シート36の外側から磁石44を吸着させる。これにより、バッテリ搭載台28と各磁石44との間で防水シート36を挟んで固定することができ、防水シート36を長期に亘って確実に固定することができる。
【0081】
一方、油圧ショベル1の稼動時には、バッテリ搭載台28を構成する上段テーブル34の冷却ファン取付枠34Eに取付けた冷却ファン(図示せず)が回転する。この場合、防水シート36の前シート面38には、冷却ファン取付枠34Eと対応する位置に通気口43が設けられている。これにより、冷却ファン(図示せず)が回転すると、図14中の矢印Fで示すように、防水シート36の下端側の開口端36Aから当該防水シート36内に外気を取込み、この外気を通気口43を通じて外部に排出することができる。
【0082】
このように、防水シート36の内部を外気が流通することにより、バッテリ搭載台28に搭載された各バッテリ29の冷却を行うことができ、各バッテリ29の耐久性や信頼性を高めることができる。この場合、防水シート36は、バッテリ搭載台28と複数の磁石44との間に挟持されるので、防水シート36とバッテリ搭載台28の外側面との間の隙間を可及的に小さくすることができる。この結果、防水シート36の内部に大量の外気を流通させることができ、各バッテリ29に対する冷却効果を高めることができる。
【0083】
かくして、本実施の形態による油圧ショベル1は、防水シート36によってバッテリ搭載台28を覆った状態で、バッテリ搭載台28に複数の磁石44を吸着させることにより、バッテリ搭載台28と各磁石44との間で防水シート36を挟持し、当該防水シート36をバッテリ搭載台28に確実に固定することができる。この結果、防水シート36によってバッテリ29を雨水等から保護し、その寿命を延ばすことができる。
【0084】
この場合、防水シート36を磁石44を用いてバッテリ搭載台28に固定することにより、緊縛用のバンドを用いて防水シート36をバッテリ搭載台28に縛りつける必要がなく、このバンドを挿通するための取付孔を防水シート36に穿設する必要もない。この結果、防水シート36の内側への雨水等の侵入を確実に抑えることができ、バッテリ搭載台28に搭載された各バッテリ29を雨水等から確実に保護することができる。また、緊縛用のバンドを挿通するための取付孔を不要にできるので、防水シート36がバッテリ搭載台28に対して位置ずれすることがなく、各磁石44によって防水シート36をバッテリ搭載台28の適正な位置で確実に固定しておくことができる。
【0085】
しかも、バッテリ搭載台28を構成する各段のテーブル32,33,34の外側面に固着した複数の磁石位置決め部材35によって、バッテリ搭載台28に対する各磁石44の取付け位置を予め設定することができる。この結果、複数の磁石44を、磁石位置決め部材35によってバランス良くバッテリ搭載台28に配置することができ、これら各磁石44によって防水シート36を確実にバッテリ搭載台28に固定することができる。さらに、バッテリ搭載台28に磁石44を吸着させるだけで防水シート36を固定することができるので、防水シート36を固定するときの作業性を高めることができる。
【0086】
また、各磁石位置決め部材35をU字状の枠体として形成し、この磁石位置決め部材35内に磁石44を収めることにより、磁石44を上,下方向と水平方向とに位置決めすることができる。この結果、仮に防水シート36が風に煽られたとしても、磁石44がバッテリ搭載台28から脱落したり、初期の取付け位置から位置ずれするのを抑えることができる。この結果、複数の磁石44を、長期に亘ってバッテリ搭載台28の適正箇所に位置決めしておくことができ、これら各磁石44によって防水シート36をバランス良く固定することができる。
【0087】
さらに、予めバッテリ搭載台28に設けられた磁石位置決め部材35の位置に各磁石44を配置するだけで、バッテリ搭載台28に対して防水シート36を固定することができるので、複数の磁石44を用いて防水シート36を固定するときの作業性を高めることができる。
【0088】
また、防水シート36は、下端側が開口端36Aとなった袋体として形成されているので、バッテリ搭載台28の上端側から防水シート36を被せることにより、バッテリ搭載台28を防水シート36によって容易に覆うことができ、その作業性を高めることができる。
【0089】
さらに、防水シート36の後シート面41を、左,右方向の中間部に取付開口部41Aが形成された固定後シート面41Bと、固定後シート面41Bに対して移動可能となった可動後シート面41Cとにより構成している。従って、固定後シート面41Bに対して可動後シート面41Cを離すだけで取付開口部41Aを開放することができ、防水シート36の後シート面41が、後部フレーム20の左,右の支柱23,24およびガードパイプ26と干渉するのを回避することができ、防水シート36をバッテリ搭載台28に被せるときの作業性を高めることができる。
【0090】
なお、上述した実施の形態では、磁石位置決め部材35を、丸棒材を折曲げることにより上側が開いたU字状の枠体として形成している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図23に示す変形例のように、丸棒材を折曲げることによりL字状の枠体として形成された磁石位置決め部材47を用いてもよい。
【0091】
また、上述した実施の形態では、防水シート36の前シート面38に通気口43を設けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば左シート面39、右シート面40、後シート面41等の上シート面37を除いくいずれかの面に通気口を設ける構成としてもよい。
【0092】
さらに、上述した実施の形態では、電動式建設機械として油圧ショベル1を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えばホイールローダ、油圧クレーン等の他の建設機械にも広く適用することができるものである。
【符号の説明】
【0093】
1 油圧ショベル(建設機械)
7 電動モータ
11 旋回フレーム(車体フレーム)
28 バッテリ搭載台
29 バッテリ
30 基台
31 バッテリテーブル
32 下段テーブル
32A1,33A1,34A1 前面(外側面)
32A2,33A2,34A2 後面(外側面)
32A3,33A3,34A3 左側面(外側面)
32A4,33A4,34A4 右側面(外側面)
33 中段テーブル
34 上段テーブル
35,47 磁石位置決め部材
36 防水シート
36A 開口端
41 後シート面
41A 取付開口部
41B 固定後シート面
41C 可動後シート面
42 面ファスナ(保持具)
43 通気口
44 磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持構造体をなす車体フレームと、該車体フレームに搭載された電動モータと、該電動モータに電力を供給するバッテリと、前記車体フレームの後部側に設けられ該バッテリを搭載するバッテリ搭載台とを備えてなる電動式建設機械において、
前記バッテリを搭載した前記バッテリ搭載台を覆う防水シートを設け、
前記バッテリ搭載台の外側面には複数の磁石位置決め部材を設け、
前記防水シートで前記バッテリ搭載台を覆った状態で、前記各磁石位置決め部材の位置には前記バッテリ搭載台との間で前記防水シートを挟んで固定する複数の磁石を設ける構成としたことを特徴とする電動式建設機械。
【請求項2】
前記バッテリ搭載台は複数段のテーブルを上,下方向に積重ねた枠状体として形成し、前記各テーブルの外側面には、前記磁石位置決め部材をそれぞれ設ける構成としてなる請求項1に記載の電動式建設機械。
【請求項3】
前記各磁石位置決め部材は上側が開いたU字状またはL字状の枠体により形成し、前記磁石は該枠体内に収まる形状としてなる請求項1または2に記載の電動式建設機械。
【請求項4】
前記防水シートは可撓性を有する樹脂シートを用いて下端側が開口した袋体により形成し、前記防水シートは前記バッテリ搭載台にその上端側から被せて装着する構成としてなる請求項1,2または3に記載の電動式建設機械。
【請求項5】
前記防水シートの後面は、左,右方向の中間部に取付開口部が形成された固定シート面と、前記取付開口部を覆う位置に設けられ前記防水シートを前記バッテリ搭載台に被せるときに前記固定シート面に対して離れる可動シート面とにより構成し、前記固定シート面と可動シート面との間には、前記防水シートを前記バッテリ搭載台に装着した状態で前記可動シート面を前記固定シート面の取付開口部を覆う位置に保持する保持具を設ける構成としてなる請求項4に記載の電動式建設機械。
【請求項6】
前記防水シートには前記バッテリ搭載台の上側を覆う上面を除いたいずれかの面に通気口を設け、
該通気口により前記防水シートの下端側から取込んだ外気を当該防水シートの内側を通じて外部に排出させる構成としてなる請求項4または5に記載の電動式建設機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−19181(P2013−19181A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153788(P2011−153788)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)