説明

電動式後輪駆動装置を備えた車体後部構造

【課題】この発明は、電動式後輪駆動装置を強固に支持しつつ、これと複数のラテラルアームを有するサスペンション装置とを干渉が生じることなく並設させることができる車体後部構造を提供することを目的とする。
【解決手段】サブフレーム4の前部ラテラルメンバ4Fが、その中央部に、平面視で車両前向きに屈曲して突出した前方突出部41を有し、後輪駆動装置7では、車両前方側から後方側に向けて電動モータ71、減速ギヤユニット72、ディファレンシャルギヤユニット73の順に、これらが車両平面視で重ならずに車両正面視で上下方向に重なるように車両前後方向に一列に配列され、後輪駆動装置7の前部が、前部ラテラルメンバ4Fの前方突出部41に、後部が後部ラテラルメンバ4Rに支持されて、前部ラテラルメンバ4F及び後部ラテラルメンバ4Rの間に前後方向に延在するよう配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、リヤサイドフレームの下部に、複数のサスペンションラテラルアームの取付け基部をなすサブフレームが配設される車体後部構造に関し、特に、電動モータを有する電動式後輪駆動装置を備えたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の後輪を駆動させる方式として、例えば、下記特許文献1のように、電動モータの回転駆動力を利用したいわゆる電動式のものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
このように、後輪の駆動方式を電動式とした場合、後輪駆動装置としては、電動モータと、該電動モータの出力軸の回転数を減じてトルクを増大させる減速ギヤユニットと、ディファレンシャルギヤユニットとを基本的な構成要素として有したものが用いられている。
【0004】
下記特許文献1では、後輪駆動装置を配設するにあたり、これを車体後部の下部において後輪懸架用のリヤサスペンション装置と並設させている。
【0005】
そして、下記特許文献1では、リヤサスペンション装置として、左右のトレーリングアームを連結すべく車幅方向に延在するクロスビームを設けた所謂カップルドビーム式のトーションビームサスペンションが採用されている。
【0006】
この場合、リヤサスペンション装置として、トーションビームサスペンションを採用していることにより、車体後部の下部の車体フロア下方では、主にクロスビームが車幅方向に延設されるのみとなっている。このため、車体後部の下部において、後輪駆動装置の設置スペースを確保することが可能になっている。
【0007】
ところで、車輪を懸架するサスペンション装置としては、この他にも、例えば、ホイールサポートが複数のサスペンションラテラルアームに支持されるものがある。
【0008】
このような構成をなすリヤサスペンション装置を車両に搭載するにあたっては、これを車体後部の下部に配設された専用のフレーム部材を介して車体に取付ける必要がある。下記特許文献2では、前記ラテラルアームの取付け基部をなすフレーム部材として、車幅方向両側部にて車両前後方向に延在する左右部と、車幅方向に延在する前後のラテラル(クロス)メンバとを略枠状に組合わせたサブフレームが開示されている。
【特許文献1】特開2005−96676号公報
【特許文献2】特開2007−83908号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、上述したような複数のラテラルアームを有するリヤサスペンション装置を車体後部に配設したものにおいて、前記特許文献1と同様電動式の後輪駆動装置を車体後部の下部にて並設することが考えられる。
【0010】
しかしながら、この場合、車体後部では、前記複数のサスペンションラテラルアームが配設され、さらには、前後左右にわたってサブフレームの各メンバが配設されていることにより、後輪駆動装置を配設しようとしても、前記ラテラルアームやサブフレームと干渉する懸念があり、後輪駆動装置の配設スペースを確保することは困難である。
【0011】
そこで、後輪駆動装置の構成要素となる電動モータ、減速ギヤユニット、ディファレンシャルギヤユニットを車両平面視で重なるように上下方向に積み重ねてユニット化し、これを前記サブフレームの各メンバにより囲まれた車幅方向中央部の領域内に収納させることで、後輪駆動装置とラテラルアームとの干渉、及び後輪駆動装置とサブフレームとの干渉を回避するように構成することも考えられる。
【0012】
しかしながら、この場合、車高が高く設定された車種であって、車体フロアの床面を高くすることによりフロア下方の高さを確保できるものに限られてしまい、車高が低い車種では、サスペンション装置と後輪駆動装置との並設を実現できないという欠点がある。
【0013】
また、上述した後輪駆動装置を車体後部の下部に配設するにあたっては、電動モータの駆動に伴う反力や、後輪の回転時においてディファレンシャルギヤユニット側に作用する反力等に抗して後輪駆動装置を強固に支持する必要がある。
【0014】
この発明は、電動式後輪駆動装置を強固に支持しつつ、これと複数のラテラルアームを有するサスペンション装置とを干渉が生じることなく並設させることができる車体後部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明の電動式後輪駆動装置を備えた車体後部構造は、左右後輪ホイールハウスの車内側を前後に延在する左右一対のリヤサイドフレームの下部に、複数のサスペンションラテラルアームの取付け基部をなしつつ、車幅方向にわたって延在するサブフレームが、左右それぞれ前後に離間した少なくとも2箇所ずつで締結固定される一方、電動モータと、該電動モータの出力軸の回転数を減じてトルクを増大させる減速ギヤユニットと、該減速ギヤユニットの出力の向きを後輪のドライブシャフト延在方向に変換するディファレンシャルギヤユニットとを有する後輪駆動装置が備えられ、前記サブフレームは、その前部で左右部を連結する前部ラテラルメンバと、その後部で前記左右部を連結する後部ラテラルメンバとを有するとともに、前記前部ラテラルメンバが、その中央部に、車両平面視で車両前向きに屈曲して突出した前方突出部を有しており、前記後輪駆動装置では、車両前方側から後方側に向けて前記電動モータ、前記減速ギヤユニット、前記ディファレンシャルギヤユニットの順に、これらが車両平面視で重ならずに車両正面視で上下方向に重なるように一列に配列され、前記後輪駆動装置は、その前部が、前記前部ラテラルメンバの前方突出部に、後部が前記後部ラテラルメンバにそれぞれ支持されて、これら前部ラテラルメンバ及び後部ラテラルメンバの間に前後方向に延在するよう配置されるものである。
【0016】
この構成によれば、電動モータ、減速ギヤユニット、及びディファレンシャルギヤユニットを、車両平面視で重ならずに車両正面視で上下方向に重なるように車両前後方向に(車幅方向中央部において)一列に配列することにより、後輪駆動装置の上下方向の幅を抑えつつ、サスペンションラテラルアームとの干渉を回避することができ、車高の程度に関わりなくこれを車体後部の下部に配設することができる。
さらに、サブフレームは、元々リヤサスペンション装置を支持すべく高い剛性を有している。従って、サブフレームの前方突出部により、後輪駆動装置との干渉を回避しながらこれを強固に支持することができる。
このため、電動式後輪駆動装置を強固に支持しつつ、これと複数のラテラルアームを有するサスペンション装置とを干渉が生じることなく並設させることができる。
【0017】
この発明の一実施態様においては、前記電動モータの出力軸と、前記減速ギヤユニットからの出力を受ける前記ディファレンシャルギヤユニットの入力軸とが車両前後方向を指向しており、前記前方突出部には、前記電動モータの出力軸側の基部を固定するモータ固定部が形成されるとともに、前記電動モータは、前記前方突出部から前方に突出した状態で支持され、前記電動モータの基部は、前記モータ固定部に対して着脱自在とされるものである。
【0018】
この構成によれば、電動モータの基部が、モータ固定部に対して着脱自在とされることにより、電動モータ故障時の脱着交換が容易になるだけでなく、世界各地の市場の車両走行環境等に応じて電動モータを仕様の異なるものに容易に変更して生産することができる。
【0019】
この発明の一実施態様においては、前記電動モータの出力軸と、前記減速ギヤユニットからの出力を受ける前記ディファレンシャルギヤユニットの入力軸とが車両前後方向を指向しており、前記後輪駆動装置に沿ってその左右に前記前方突出部の左右辺部が前後方向に延在しているものである。
【0020】
この構成によれば、車両前後方向に延在した後輪駆動装置の前部を、サブフレーム以外の部材を利用することなく支持することができる。
【0021】
この発明の一実施態様においては、前記前方突出部の前辺部は、前記電動モータ又は前記減速ギヤユニットの下方で左右に延在するものである。
【0022】
この構成によれば、後輪駆動装置と路面との間に前方突出部が介在することになるため、後輪駆動装置が路面と干渉することを防止できる。また、前方突出部の前方への突出量を抑制することができるため、前部ラテラルメンバの軽量化、つまりはサブフレームの軽量化を図ることができる。
【0023】
この発明の一実施態様においては、前記前方突出部が、前記サブフレームの前記リヤサイドフレームへの締結部より前方に位置し、前記サブフレームの直前の車体フロア下方に配置される燃料タンクの中央後部に形成された後ろ向き凹部に入り込むように配設されるものである。
【0024】
この構成によれば、車両前後方向に延在する後輪駆動装置と燃料タンクとの干渉を回避することが可能になる一方、後向き凹部の左右の部位を相対的に車両後方のサブフレーム近傍まで突出させることにより、燃料タンクの容量を確保することができる。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、電動モータ、減速ギヤユニット、及びディファレンシャルギヤユニットを、車両平面視で重ならずに車両正面視で上下方向に重なるように車両前後方向に(車幅方向中央部において)一列に配列することにより、後輪駆動装置の上下方向の幅を抑えつつ、サスペンションラテラルアームとの干渉を回避することができ、車高の程度に関わりなくこれを車体後部の下部に配設することができる。
さらに、サブフレームの前方突出部により、後輪駆動装置との干渉を回避しながらこれを強固に支持することができる。
このため、電動式後輪駆動装置を強固に支持しつつ、これと複数のラテラルアームを有するサスペンション装置とを干渉が生じることなく並設させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
(第1実施形態)
まず、図1〜図8に示す第1実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る車体後部構造を示す底面図であり、図2は、後輪駆動装置の支持構造を示す斜視図、図3は、後輪駆動装置の構造及び支持構造を概念的に示す概略平面図である。
【0027】
図1に示すように、本実施形態に係る車体後部構造では、図中二点鎖線で示す左右後輪用のホイールハウス1、1の車内側において、リヤサイドフレーム2、2(車体剛性部材)を、車両前後方向に延在するように設け、このリヤサイドフレーム2と、車体後部のフロアパネルを構成するリヤフロア3との間には、車両の前後方向に延びる閉断面を形成している。
【0028】
また、図1に示すように、左右一対のリヤサイドフレーム2、2の下部には、サブフレーム4(いわゆるサスペンションクロスメンバ)を取付けている。
【0029】
このサブフレーム4は、車両の前後方向に延びる左右の側部クロスメンバ4S、4Sと、前部において車幅方向に延び、側部クロスメンバ4S、4Sの前部を連結する前部ラテラルメンバ4Fと、後部において車幅方向に延び、側部クロスメンバ4S、4Sの後部を連結する後部ラテラルメンバ4Rとにより、底面視で略枠状に組合わされたサブフレームであって、このサブフレーム4には後述するリヤサスペンション装置5のサスペンションラテラルアームをなすアッパーアーム51、ロアアーム52、及びトーコントロールリンク53を介して、左右の後輪を懸架している。
【0030】
ここで、リヤサスペンション装置5は、後輪を回転自在に支持するホイールサポート54と、ホイールサポート54から車両前方向に延びて、前端がリヤサイドフレーム2に揺動自在に取付けられたトレーリングアーム55とを備えている。
【0031】
ホイールサポート54には、複数のアーム取付部が形成されており、このアーム取付部には、上述したアッパーアーム51、ロアアーム52、トーコントロールリンク53の車幅方向外側端部が取付けられている。
【0032】
ホイールサポート54の上側には、アッパーアーム51用の取付部が設けられており、この取付部に車幅方向に延びるアッパーアーム51の車幅方向外側端部が揺動自在に支持されている。アッパーアーム51の車幅方向内側端部は、図1では図示を省略しているが、サブフレーム4の側部クロスメンバ4Sに揺動自在に取付けられている。
【0033】
また、ホイールサポート54の下側には、ロアアーム52用の取付部が設けられており、この取付部に車幅方向に延びるロアアーム52の車幅方向外側端部が揺動自在に支持されている。ロアアーム52の車幅方向内側端部は、サブフレーム4の後部ラテラルメンバ4Rに揺動自在に取付けられている。
【0034】
また、ホイールサポート54には、トーコントロールリンク53用の取付部が形成されており、この取付部に車幅方向に延びるトーコントロールリンク53の車幅方向外側端部が揺動自在に支持されている。トーコントロールリンク53の車幅方向内側端部は、サブフレーム4の前部ラテラルメンバ4Fに揺動自在に取付けられている。なお、トーコントロールリンク53は、左右の車輪2の開き具合を調整する役割を有している。
【0035】
リヤサスペンション装置5では、このトーコントロールリンク53が平面視でアッパーアーム51及びロアアーム52の前方に配置され、平面視で3つのリンクが略平行に並んだE字状に配置されている。
【0036】
なお、図1中符号56で示す部材は、ダンパーであり、ホイールサポート54の下方には、ダンパー56を取付けるための取付部が形成されている。
【0037】
ところで、サブフレーム4は、上述したようにアッパーアーム51、ロアアーム52、トーコントロールリンク53の車体側取付け基部を成すとともに、車体底部、詳しくは左右のリヤサイドフレーム2、2下部に、前後に離間した2箇所ずつで図1〜図3に示すブッシュマウント6、6、…を介して締結固定されている。
【0038】
上述のブッシュマウント6は、図2に示すように、外筒6aと、スリーブ6bと、これら両者6a、6b間に介設したゴム部材6cとを備えており、ボルト等の締結部材を、ブッシュマウント6のスリーブ6bに貫通し、締付けることで、サブフレーム4のラテラルメンバ4F、4Rは、複数のブッシュマウント6、6、…を介してリヤサイドフレーム2、2に支持されている。
【0039】
また、本実施形態では、上述したようにサブフレーム4を略枠状に組合せて形成することにより、前後のラテラルメンバ4F、4R及び側部メンバ4S、4Sに囲まれた閉領域A1が形成されており、この閉領域A1内には、後輪を独立して回転駆動するための後輪駆動装置7が配設されている。
【0040】
後輪駆動装置7は、主に後輪の駆動源となる電動モータ71と、該電動モータ7駆動時の出力軸71a(図1、図3参照)の回転数を減じてトルクを増大させる減速ギヤユニット72と、該減速ギヤユニット72からの出力の向きを後輪のドライブシャフト8延在方向に変換するディファレンシャルギヤユニット(以下、デフギヤユニットと略記する。)73とを有する電動式の駆動装置である。
【0041】
このうち、電動モータ71の片側にはコネクタCが取付けられている。このコネクタCに対し、給電線及び信号線をなすワイヤハーネスWH(図2参照)を接続することで、電動モータ71は車両に搭載された不図示の電源及びモータ制御装置に接続され、回転駆動可能な状態となる。
【0042】
また、サブフレーム4及び後輪駆動装置7の直前のリヤフロア3の下方には、燃料タンク9が配設されている。そして、その中央部には、他の部位よりも底面が上方に隆起したトンネル部91が車両前後方向に延在するように形成されており、該トンネル部91の凹部空間には、排気管10が配設されている。
【0043】
排気管10は、車両前部からトンネル部91を通って車両後方に延び、その下流端にて消音手段としてのメインサイレンサ11に接続されている。なお、このメインサイレンサ11に接続されているパイプ部材はテールパイプ12である。
【0044】
本実施形態では、上述した後輪駆動装置7によって、エンジン(不図示)の駆動力を後輪に伝達する伝達部材としてのプロペラシャフトが省略されており、これによって、燃料タンク9のトンネル部91における排気管10の配設スペースを大きく確保することが可能になっている。
【0045】
ここで、後輪駆動装置7の構成、及びその支持構造について詳細に説明する。
【0046】
後輪駆動装置7は、図1〜図3に示すように、車両前方側から後方側に向けて電動モータ71、減速ギヤユニット72、デフギヤユニット73の順に、これらが車両平面視で重ならずに車両正面視で上下方向に重なるように車両前後方向に(車幅方向中央部において)一列に配列されており、かつ電動モータ71の出力軸71a、減速ギヤユニット72の出力軸72a、及び該出力軸72aの出力を受けるデフギヤユニット73の入力軸73aが車両前後方向を指向するように(車両前後方向に略一致するように)配列されている。
【0047】
また、電動モータ71の後端側及び減速ギヤユニット72の前端側にはそれぞれフランジ部71b、72bが設けられており、これらが重ね合わされて互いに締結されている。これにより、電動モータ71と減速ギヤユニット72とが一体化され、前側ユニット部74が構成されている。
【0048】
さらに、前側ユニット部74の後方では、減速ギヤユニット72とデフギヤユニット73との間にて、出力軸72aと入力軸73aとがカップリング75を介して連結されている。
【0049】
また、本実施形態では、図1〜図3に示すように、サブフレーム4の前部ラテラルメンバ4Fが、その中央部に平面視で車両前向きに屈曲して突出した前方突出部41を有しており、カップリング75より前方に位置する前側ユニットが、その前端部が前方突出部41の前辺部41aに近接して、前方突出部41に包囲されるように配置されている。
【0050】
前方突出部41は、サブフレーム4(前部ラテラルメンバ4F)のリヤサイドフレーム2、2への締結部よりも前方に位置しており、燃料タンク9の中央後部に形成された後向き凹部92に入り込むように配置されている。
【0051】
図4は、前側ユニット部を拡大して示す平面図であり、図5は、前側ユニット部の前部ラテラルメンバへの取付けを説明するための分解斜視図である。後輪駆動装置7において、カップリング75の前方側では、図1、図2、図4、図5に示すように、減速ギヤユニット72の車幅方向両端部に車外側に延びるアーム部72cが形成されるとともに、その先端部には、ブッシュマウント76が配設されている。そして、前部ラテラルメンバ4Fの前方突出部41には、後輪駆動装置7に沿ってその左右で車両前後方向に延在する左右辺部41b、41bが形成され、そこには、ブッシュマウント76に対応して車幅方向内側に突出する支持突部41cが形成されている。
【0052】
ブッシュマウント76は、外筒76aと、スリーブ76bと、これら両者76a、76b間に介設したゴム部材76cとを備えており、図5に示すように、ボルトB1等の締結部材を、ブッシュマウント76のスリーブ76b及び支持突部41cの締結孔41dに貫通し、締付けることで、電動モータ71が配設された前側ユニット部74の左右2箇所を、ブッシュマウント76を介して前方突出部41の左右辺部41bに支持させている。
【0053】
図6は、デフギヤユニットの後部ラテラルメンバへの取付けを説明するための分解斜視図である。後輪駆動装置7において、カップリング75の後方側では、ボルトB2等の締結部材により、デフギヤユニット73の上面部が、図1、図2、図6に示すように支持アーム77に締結されるとともに、この支持アーム77の左右両端部に形成されたブッシュマウント77A、77Aを介して後部ラテラルメンバ4Rに支持されている。
【0054】
ブッシュマウント77Aは、外筒77aと、スリーブ77bと、これら両者77a、77b間に介設したゴム部材77cとを備えており、ボルトB3等の締結部材を、図6に示すように、ブッシュマウント77Aのスリーブ77b、及び後部ラテラルメンバ4Rの車幅方向中央部に取付けられた支持ブラケット13の2つの締結孔13a、13aに貫通し、締付けることで、デフギヤユニット73上面部の左右2箇所を、ブッシュマウント77A及び支持ブラケット13を介して後部ラテラルメンバ4Rに支持させている。
【0055】
また、デフギヤユニット73の前端部には、車両前後方向に延在しつつ、比較的曲げ剛性が大きく設定された後輪用パワープラントフレーム(以下、後輪用PPFと略記する。)78の基部78aが取付けられており、デフギヤユニット73は、図1〜図3、及び図7に示すように、この後輪用PPF78を介して前部ラテラルメンバ4Fに連結され、支持されている。
【0056】
具体的には、後輪用PPF78の前端部において、図7に示すように、外筒78bと、スリーブ78cと、これら両者78b、78c間に介設したゴム部材78dとを備えたブッシュマウント78Aが配設される一方、前方突出部41の左右辺部41bの片側(ここでは右側)には、図1、図2、図7に示すように、車両前方に突出しつつ締結孔41fが形成された支持突部41eが配設されている。
【0057】
そして、図7に示すように、ボルトB4等の締結部材を、ブッシュマウント78Aのスリーブ78c及び、支持突部41eの締結孔41fに貫通し、締付けることで、デフギヤユニット73の前端部を、ブッシュマウント78Aを介して左右辺部41bに支持させている。
【0058】
そして、このブッシュマウント78Aによるデフギヤユニット73の支持位置は、図1〜図3に示すように、ブッシュマウント76による前側ユニット部74の支持位置の近傍に設定されている。
【0059】
このように、本実施形態に係る車体後部構造では、前部ラテラルメンバ4Fにおいてその中央部に前方突出部41を有するとともに、車両前方側から後方側に向けて電動モータ71、減速ギヤユニット72、デフギヤユニット73が、車幅方向中央部において、車両平面視で重ならずに車両正面視で上下方向に重なるように一列に配列された後輪駆動装置7を備えている。そして、この後輪駆動装置7の前部が、前部ラテラルメンバ4Fの前方突出部41、後部が、後部ラテラルメンバ4Rにそれぞれ支持され、後輪駆動装置7は、これら前部ラテラルメンバ4F及び後部ラテラルメンバ4Rの間に前後方向に延在するよう配置されている。
【0060】
ここで、後輪駆動装置7において、電動モータ71、減速ギヤユニット72、デフギヤユニット73を、車両平面視で重ならずに車両正面視で上下方向に重なるように車両前後方向に(車幅方向中央部において)一列に配列することにより、後輪駆動装置7の上下方向の幅を抑えつつ、複数のラテラルアーム(アッパーアーム51、ロアアーム52、トーコントロールリンク53)との干渉を回避することができ、車高の程度に関わりなくこれを車体後部の下部に配設することができる。
【0061】
さらに、サブフレーム4は、元々リヤサスペンション装置5を支持すべく高い剛性を有している。従って、サブフレーム4の前方突出部41により、後輪駆動装置7との干渉を回避しながらこれを強固に支持することができる。
【0062】
このため、電動式の後輪駆動装置7を強固に支持しつつ、これとラテラルアーム(アッパーアーム51、ロアアーム52、トーコントロールリンク53)を有するサスペンション装置5とを干渉が生じることなく並設させることができる。
【0063】
また、電動モータ71の入力軸71a及びデフギヤユニット73の出力軸73aを、車両前後方向を指向するように配列し、後輪駆動装置7に沿ってその左右に左右辺部41b、41bを延在させるように構成したことで、車両前後方向に延在した後輪駆動装置7の前部を、サブフレーム4以外の部材を利用することなく支持することができる。
【0064】
また、サブフレーム4(前部ラテラルメンバ4F)のリヤサイドフレーム2、2への締結部よりも前方に位置する前方突出部41を入り込ませる後向き凹部92を燃料タンク9の中央後部に形成することで、車両前後方向に延在する後輪駆動装置7と燃料タンク9との干渉を回避することが可能になる一方、後向き凹部92の左右の部位を相対的に車両後方のサブフレーム4近傍まで突出させることにより、燃料タンク9の容量を確保することができる。
【0065】
ところで、上述したように車両前方側から電動モータ71、減速ギヤユニット72、デフギヤユニット73を一列に配列した場合、後輪駆動装置7の作動時、電動モータ71が出力軸72aを図8中太矢印αで示すようにX軸回りに回転駆動することで、電動モータ71側では、この回転駆動に伴う反力α′(図8中太矢印で示す)が作用する一方、ドライブシャフト8が図8中太矢印βで示すようにY軸周りに回転することで、デフギヤユニット73側では、この後輪の回転に起因する反力β′が作用する。
【0066】
このように、車両走行時に、後輪駆動装置7にはその前後に異なる向きの力が作用するため、この中間部に大きな応力集中を生じる。このため、後輪駆動装置7を一つのケーシングの内部に電動モータ71、減速ギヤユニット72、及びデフギヤユニット73を収容して単一の剛体として構成する場合には、そのケーシングを応力集中に耐えるよう強固にする必要があり、厚肉化等により過大な重量増加が予想されるため、実質上困難となる。
【0067】
一方、電動モータ71、減速ギヤユニット72、デフギヤユニット73の3つを一体化せずに別個に配置した場合は、特に、これらの間で駆動力を伝達する出力軸71a、72a、及び入力軸73aには、図中太矢印β′で示す力が作用して、これらが例えば車両側面視で山形に曲げられる状態となる(ワインドアップ現象)。
【0068】
この場合、入出力軸71a〜73aで偏角及び偏心が生じてしまい、電動モータ71の駆動力を後輪にうまく伝達させることが困難になるという問題が生じる。
【0069】
そこで、本実施形態では、減速ギヤユニット72とデフギヤユニット73との間にカップリング75を備えている。これにより、後輪駆動装置7における応力集中の影響を抑制しながら電動モータ71、減速ギヤユニット72、デフギヤユニット73をアッセンブリすることが可能になり、各入出力軸71a、72a、73a同士がなす偏角及び偏心をカップリング75で吸収することで、電動モータ71の駆動力を後輪に確実に伝達させることが可能になる。
【0070】
さらに、本実施形態のように、後輪駆動装置7の前後部を、前部、後部ラテラルメンバ4F、4Rによって支持することにより、カップリング75の前後で後輪駆動装置7を適切に支持することができる。このため、電動モータ71の駆動に伴う反力や、後輪の回転時にデフギヤユニット73側に作用する反力によって発生する振動を、車室等の車体側に伝達させないようにすることができる。
【0071】
そして、ブッシュマウント6、6、…を介してサブフレーム4を支持していることにより、上述した振動が車体側へ伝達されることを確実に防止できる。
【0072】
また、カップリング75より前側の前側ユニット部74を前部ラテラルメンバ4Fに支持させ、カップリング75より後側のデフギヤユニット73を後部ラテラルメンバ4Rに支持させることにより、前後のいずれかに荷重が偏ること無く安定的に後輪駆動装置7を支持することができる。
【0073】
また、カップリング75を境界にして考えた時に、デフギヤユニット73側と前部ラテラルメンバ4Fとを後輪用PPF78で連結することで、後輪用PPF78の大きな曲げ剛性により、カップリング75の前後における相対変位を規制し、前側ユニット部74に対する後輪回転時におけるデフギヤユニット73のワインドアップ現象(上下方向の首振り現象)を抑制することができる。このため、電動モータ71の回転駆動に対する後輪駆動の応答性を向上させることができる。
【0074】
さらに、後輪用PPF78を前部ラテラルメンバ4Fに連結することで、デフギヤユニット73側の振動の影響を前側ユニット部74に与えることを防止できる。
【0075】
また、特に図3にて概念的に示すように、カップリング75の前方側の前側ユニット部74をブッシュマウント76により2箇所で支持しているため、この2つの支持点を適切に設定することで、電動モータ71の回転駆動に起因する、前部ユニット74がX軸周りに回ろうとする挙動を、その両側位置で効果的に阻止することができる。
【0076】
さらに、本実施形態では、特に図3にて概念的に示すように、カップリング75の後方側のデフギヤユニット73側を、ブッシュマウント77A、77Aの2箇所に加え、後輪用PPF78により合計3箇所で支持している。ブッシュマウント77A、77Aは、後輪の回転に起因してデフギヤユニット73の前部が持ち上がろうとするときの回転軸の近くを支持し、後輪用PPF78によりこの持ち上がろうとする挙動を長いモーメントアームで効果的に阻止することにより、前記振動を確実に抑制できる。
【0077】
なお、各ブッシュマウント6、76、77A、78Aについて、その軸方向は、振動を吸収する方向や、力が作用する方向に応じて適切な向きに設定することができる。
【0078】
(第2実施形態)
次に、図9〜図12に示す第2実施形態について説明する。図9は、第2実施形態に係る後輪駆動装置の支持構造を示す斜視図、図10は、後輪駆動装置の構造及び支持構造を概念的に示す概略平面図、図11は、電動モータを拡大して示す平面図、図12は、電動モータの前部ラテラルメンバへの取付けを説明するための分解斜視図である。なお、図9〜図12において、第1実施形態と同様の構成要素については、同一の番号を付して説明を省略する。
【0079】
本実施形態に係る後輪駆動装置107では、図9、図10に示すように、カップリング175の前方側に電動モータ171のみが配設される一方、カップリング175の後方側においては、減速ギヤユニット172とデフギヤユニット173とが連結され、後側ユニット部174を構成している。本実施形態では、電動モータ171と減速ギヤユニット172との間、具体的には、出力軸171aと入力軸172aとの間にカップリング175が配設されている。
【0080】
そして、電動モータ171に対する後輪の回転時におけるデフギヤユニット173のワインドアップ現象を抑制すべく、後側ユニット部174のうち減速ギヤユニット172の上面部が、ボルトB5、B5により後輪用PPF178に締結され、後側ユニット部174は、図9、図10に示すように、後輪用PPF178を介して前部ラテラルメンバ4Fに連結され、支持されている。
【0081】
なお、後輪用PPF178においても、前端部には図9に示すようにブッシュマウント178Aが配設されており、これが、後輪用PPF78と同様前方突出部41の左右辺部41bに形成された支持突部41eに締結されている。
【0082】
また、カップリング175の前方側では、図11に示すように、電動モータ171の車幅方向両端部において、車幅方向外側に延びるアーム部171cが取付けられるとともに、その先端部には、外筒176aと、スリーブ176bと、ゴム部材176cを備えたブッシュマウント176が配設されている。
【0083】
そして、図12に示すように、ボルトB6等の締結部材を、ブッシュマウント176のスリーブ176b及び支持突部41cの締結孔41dに貫通し、締付けることで、電動モータ171の左右2箇所を、ブッシュマウント176を介して前方突出部41の左右辺部41bに支持させている。
【0084】
また、本実施形態においても、カップリング175より前方に位置する前側ユニットが、その前端部が前方突出部41の前辺部41aに近接して、前方突出部41に包囲されるように配置されている。
【0085】
他方、カップリング175の後方側では、第1実施形態と同様、図9、図10に示すように、デフギヤユニット173の上面部が支持アーム77に締結され、この支持アーム77のブッシュマウント77A、77Aを介して後部ラテラルメンバ4Rに支持されている。
【0086】
このような構成であっても、上述した第1実施形態と同様、サブフレーム4で後輪駆動装置107を強固に支持しつつも、この後輪駆動装置107とリヤサスペンション装置5とを干渉が生じることなく並設させることができる。
【0087】
また、電動モータ171と減速ギヤユニット172との間にカップリング175を備えることにより、後輪駆動装置107における応力集中の影響を抑制しながら電動モータ171、減速ギヤユニット172、デフギヤユニット173をアッセンブリすることが可能になる。そして、出力軸171a、入力軸172a、173a(図10参照)間の偏角及び偏心をカップリング175で吸収することができ、電動モータ171の駆動力を後輪に確実に伝達させることが可能になる。
【0088】
また、特に図10にて概念的に示すように、カップリング175の前方側の電動モータ171をブッシュマウント176により2箇所で支持しているため、この2つの支持点を適切に設定することで、電動モータ171の回転駆動に起因する、これがX軸周りに回ろうとする挙動を、その両側位置で効果的に阻止することができる。
【0089】
さらに、カップリング175の後方側の後側ユニット部174を、ブッシュマウント77A、77Aの2箇所に加え、後輪用PPF178により合計3箇所で支持している。ブッシュマウント77A、77Aは、後輪の回転に起因してデフギヤユニット173の前部が持ち上がろうとするときの回転軸の近くを支持し、後輪用PPF178によりこの持ち上がろうとする挙動を長いモーメントアームで効果的に阻止することにより、前記振動を確実に抑制できる。
【0090】
なお、その他の作用効果は、上述した第1実施形態と同様である。
【0091】
(第3実施形態)
ところで、上述した各実施形態では、前方突出部41の前辺部41aに、電動モータ71、171が後方から近接した配置になっているが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、図13、図14に示すサブフレーム204のように、前部ラテラルメンバ204Fに形成された前方突出部241の前辺部241aを電動モータ71、減速ギヤユニット72の下方にて左右に延在させ、この前辺部241aの上方を電動モータ71が越えて前方に延出するようにしてもよい。なお、図13、図14において第1実施形態と同様の構成要素については、同一の番号を付して説明を省略する。
【0092】
本実施形態の場合、前方突出部241では、図示のように、左右部241b、241bが前方に向かうにつれて下方に傾斜するように形成されている。
【0093】
このような構成により、後輪駆動装置7(電動モータ71)と路面との間に前方突出部241が介在することになるため、後輪駆動装置7(電動モータ71)が路面と干渉することを防止できる。また、前方突出部241の前方への突出量を抑制することができるため、前部ラテラルメンバ204Fの軽量化、つまりはサブフレーム204の軽量化を図ることができる。
【0094】
なお、その他の作用効果は、上述した第1実施形態と同様である。
【0095】
また、図13に示す各部位241c、241eは、第1実施形態における支持突部41c、41eに対応するものであり、その作用等は略同様である。
【0096】
(第4実施形態)
また、上述した各実施形態では、カップリング75、175の前方側を、ブッシュマウント76、176を介して前方突出部41、241に支持させるような構成となっているが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、図15〜図18に示す後輪駆動装置307のように、カップリング375の前方側の電動モータ371を、サブフレーム304の前部ラテラルメンバ304Fに形成された前方突出部341に直接締結固定することによって後輪駆動装置307の前側を支持するようにしてもよい。なお、図15〜図18において第1実施形態と同様の構成要素については、同一の番号を付して説明を省略する。
【0097】
本実施形態では、前方突出部341の中央前辺部に、図16に示すような締結孔341g及び貫通孔341hが形成されることにより、モータ固定部341aが設定されている。そして、このモータ固定部341aにて電動モータ371の出力軸371a側の基部が固定されることにより、電動モータ371は、図示のように前方突出部341からさらに前方に突出した状態で支持されている。
【0098】
具体的には、電動モータ371の基部において締結孔371dが複数形成されたフランジ部371bが設けられており、図15〜図17に示すように、ボルト等の締結部材B7、B7、…を、電動モータ371の締結孔371d及びモータ固定部341aの締結孔341gに貫通し、締付けることで、電動モータ371をモータ固定部341aに固定することができるようになっている。
【0099】
また、本実施形態では、電動モータ371の出力軸371a(図16、図17参照)、減速ギヤユニット372の出力軸372a、及びデフギヤユニット73の入力軸373a(図16参照)が、車両前後方向を指向するように配列されており、そのうち電動モータ371がモータ固定部341aに固定された状態では、出力軸371aが貫通孔341hを貫通して後方に延出している。これにより、出力軸371aを後方の減速ギヤユニット372に接続することが可能になっている。
【0100】
また、締結部材B7の締結を外すことにより電動モータ371を前方突出部341から取外すことが可能になっており、つまりは、電動モータ371の基部が、モータ固定部341aに対して着脱自在とされている。これにより、電動モータ故障時の脱着交換が容易になるだけでなく、世界各地の市場の車両走行環境等に応じて電動モータ371を仕様の異なるものに容易に変更して生産することができる。
【0101】
例えば、道路状況が良い国に輸出する車(モデル)の場合、例えば降雪路の発進時にアシスト的に後輪を駆動させれば用が足りるので、小さいトルクの小型の電動モータを採用すればよいが、舗装されていない道路が多い国に輸出する車の場合は、時には泥濘路から脱出に後輪を駆動するため、これを応える大きなトルクの大型の電動モータを採用する必要がある。
【0102】
電動モータ371を交換可能にした本実施形態の構成は、一つの生産ライン上で電動モータの仕様が異なる複数の仕向国の車を生産する場合に、電動モータの取付け工程の複雑化のみでこれに対応できるという効果がある。
【0103】
ところで、前方突出部341には、図15、図18に示すように、モータ固定部341aの近傍にて支持突部41eに対応する支持突部341eが備えられており、デフギヤユニット373が、後輪用PPF378を介して前部ラテラルメンバ304Fに連結され、支持されている。
【0104】
デフギヤユニット373の前端部には、電動モータ371、減速ギヤユニット372に対する後輪の回転時におけるワインドアップ現象を抑制すべく後輪用PPF378の基部378aが取付けられる一方、後輪用PPF378の前側では、外筒378bと、スリーブ378cと、ゴム部材378dとを備えたブッシュマウント378Aが配設され、図18に示すように、ボルトB8等の締結部材を、ブッシュマウント378Aのスリーブ378b及び、支持突部341eの締結孔341fに貫通し、締付けることで、デフギヤユニット373の前端部を、ブッシュマウント378Aを介して前方突出部341に支持させている。
【0105】
なお、その他の作用効果は、上述した第1実施形態と同様である。
【0106】
(第5実施形態)
また、上述した各実施形態では、後輪駆動装置7等における応力集中の影響を抑制すべく、その構成部材をカップリング75等によって連結することとしたが、上述した反力の影響が小さく、応力集中の発生が支障を来たす程度のものでない場合には、必ずしもカップリング75等による連結は必要ではない。例えば、図19、図20に示す後輪駆動装置407のように、電動モータ471と、減速ギヤユニット372と、デフギヤユニット473とを直接連結するようにしてもよい。なお、図19、図20において上述した各実施形態と同様の構成要素については、同一の番号を付して説明を省略する。
【0107】
本実施形態では、図19、図20に示すように、後輪駆動装置407の電動モータ471のフランジ部471bを、締結部材B9によって、サブフレーム404の前部ラテラルメンバ404Fに形成された前方突出部441(モータ固定部441a)に締結固定するとともに、デフギヤユニット473を、締結部材B10(図20参照)によって後部ラテラルメンバ404Rに直接締結固定している。
【0108】
なお、図20に示すように、車両前後方向を指向するように配設された部材471a、473aは、それぞれ電動モータ471の出力軸、デフギヤユニット473の入力軸である。
【0109】
(その他の実施形態)
なお、上述した各実施形態では、リヤサスペンション装置5として、複数のラテラルアームが平面視でE字状に配置したものを採用した場合について説明したが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、リヤサスペンション装置が複数のラテラルアームを有し、かつこれらの取付け基部をなすサブフレームが車体後部の下部に配設されるものであればよい。
【0110】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の複数のサスペンションラテラルアームは、アッパーアーム51、ロアアーム52、及びトーコントロールリンク53に対応し、
以下同様に、
左右部は、側部クロスメンバ4Sに対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】この発明の第1実施形態に係る車体後部構造を示す底面図。
【図2】後輪駆動装置の支持構造を示す斜視図。
【図3】後輪駆動装置の構造及び支持構造を概念的に示す概略平面図。
【図4】前側ユニット部を拡大して示す平面図。
【図5】前側ユニット部の前部ラテラルメンバへの取付けを説明するための分解斜視図。
【図6】デフギヤユニットの後部ラテラルメンバへの取付けを説明するための分解斜視図。
【図7】後輪用パワープラントフレームの前部ラテラルメンバへの取付けを説明するための分解斜視図。
【図8】後輪の回転時における後輪駆動装置の挙動を説明するための図。
【図9】この発明の第2実施形態に係る後輪駆動装置の支持構造を示す斜視図。
【図10】後輪駆動装置の構造及び支持構造を概念的に示す概略平面図。
【図11】電動モータを拡大して示す平面図。
【図12】電動モータの前部ラテラルメンバへの取付けを説明するための分解斜視。
【図13】この発明の第3実施形態に係る後輪駆動装置の支持構造を示す斜視図。
【図14】後輪駆動装置の構造及び支持構造を概念的に示す概略平面図。
【図15】この発明の第4実施形態に係る後輪駆動装置の支持構造を示す斜視図。
【図16】後輪駆動装置の構造及び支持構造を概念的に示す概略平面図。
【図17】電動モータの前方突出部への取付けを説明するための分解斜視図。
【図18】デフギヤユニットの後部ラテラルメンバへの取付け、及び後輪用パワープラントフレームの前部ラテラルメンバへの取付けを説明するための分解斜視図。
【図19】この発明の第5実施形態に係る後輪駆動装置の支持構造を示す斜視図。
【図20】後輪駆動装置の構造及び支持構造を概念的に示す概略平面図。
【符号の説明】
【0112】
1…ホイールハウス
2…リヤサイドフレーム
4、204、304、404…サブフレーム
4F、204F、304F、404F…前部ラテラルメンバ
4R、404R…後部ラテラルメンバ
4S…側部クロスメンバ
7、107、307、407…後輪駆動装置
41、241、341、441…前方突出部
51…アッパーアーム
52…ロアアーム
53…トーコントロールリンク
71、171、371、471…電動モータ
72、172、372、472…減速ギヤユニット
73、173、373、473…ディファレンシャルギヤユニット
92…後ろ向き凹部
341a、441a…モータ固定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右後輪ホイールハウスの車内側を前後に延在する左右一対のリヤサイドフレームの下部に、複数のサスペンションラテラルアームの取付け基部をなしつつ、車幅方向にわたって延在するサブフレームが、左右それぞれ前後に離間した少なくとも2箇所ずつで締結固定される一方、
電動モータと、
該電動モータの出力軸の回転数を減じてトルクを増大させる減速ギヤユニットと、
該減速ギヤユニットの出力の向きを後輪のドライブシャフト延在方向に変換するディファレンシャルギヤユニットとを有する後輪駆動装置が備えられ、
前記サブフレームは、その前部で左右部を連結する前部ラテラルメンバと、その後部で前記左右部を連結する後部ラテラルメンバとを有するとともに、
前記前部ラテラルメンバが、その中央部に、車両平面視で車両前向きに屈曲して突出した前方突出部を有しており、
前記後輪駆動装置では、車両前方側から後方側に向けて前記電動モータ、前記減速ギヤユニット、前記ディファレンシャルギヤユニットの順に、これらが車両平面視で重ならずに車両正面視で上下方向に重なるように一列に配列され、
前記後輪駆動装置は、その前部が、前記前部ラテラルメンバの前方突出部に、
後部が前記後部ラテラルメンバにそれぞれ支持されて、これら前部ラテラルメンバ及び後部ラテラルメンバの間に前後方向に延在するよう配置される
電動式後輪駆動装置を備えた車体後部構造。
【請求項2】
前記電動モータの出力軸と、前記減速ギヤユニットからの出力を受ける前記ディファレンシャルギヤユニットの入力軸とが車両前後方向を指向しており、
前記前方突出部には、前記電動モータの出力軸側の基部を固定するモータ固定部が形成されるとともに、
前記電動モータは、前記前方突出部から前方に突出した状態で支持され、
前記電動モータの基部は、前記モータ固定部に対して着脱自在とされる
請求項1記載の電動式後輪駆動装置を備えた車体後部構造。
【請求項3】
前記電動モータの出力軸と、前記減速ギヤユニットからの出力を受ける前記ディファレンシャルギヤユニットの入力軸とが車両前後方向を指向しており、
前記後輪駆動装置に沿ってその左右に前記前方突出部の左右辺部が前後方向に延在している
請求項1記載の電動式後輪駆動装置を備えた車体後部構造。
【請求項4】
前記前方突出部の前辺部は、前記電動モータ又は前記減速ギヤユニットの下方で左右に延在する
請求項3記載の電動式後輪駆動装置を備えた車体後部構造。
【請求項5】
前記前方突出部は、前記サブフレームの前記リヤサイドフレームへの締結部より前方に位置し、
前記サブフレームの直前の車体フロア下方に配置される燃料タンクの中央後部に形成された後ろ向き凹部に入り込むように配設される
請求項2〜4のいずれか一項に記載の電動式後輪駆動装置を備えた車体後部構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2010−137805(P2010−137805A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318162(P2008−318162)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】