説明

電動式直動アクチュエータおよび電動ブレーキ装置

【課題】電動ブレーキ装置が通常のブレーキ動作をする際にクリアランス設定を行なうことを可能とする電動式直動アクチュエータを提供する。
【解決手段】摩擦パッド7でブレーキディスク2を押圧する荷重の大きさを検出する荷重センサ14と、温度による荷重センサ14への影響を補正するための温度センサ37と、電子制御装置50とを設け、その電子制御装置50は、荷重センサ14で検出される荷重の大きさに基づいて、その荷重の大きさに対応する電動モータ15の位置からクリアランスが所定の大きさとなる電動モータ15の位置までの電動モータ15の回転角θを算出し、その回転角θを目標値として電動モータ15を回転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電動モータで駆動される回転軸の回転を直動部材の直線運動に変換し、その直動部材で対象物を押圧する電動式直動アクチュエータ、およびその電動式直動アクチュエータを用いた電動ブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用ブレーキ装置として、摩擦パッドを油圧シリンダで駆動してブレーキディスクを押圧する油圧ブレーキ装置が採用されてきたが、近年、ABS(アンチロックブレーキシステム)等のブレーキ制御の導入に伴い、油圧回路を使用しない電動ブレーキ装置が注目されている。
【0003】
電動ブレーキ装置は、電動モータで駆動する回転軸の回転を直動部材の直線運動に変換する電動式直動アクチュエータを用い、この電動式直動アクチュエータで駆動するブレーキパッドでブレーキディスクを押圧することによって、制動力を発生するものである。
【0004】
この電動ブレーキ装置では、ブレーキを解除したときのブレーキパッドとブレーキディスクの間のクリアランスが狭すぎると、ブレーキディスクの振れ等によりブレーキパッドがブレーキディスクに接触して抵抗となり、燃費の低下やブレーキパッドの異常摩耗が生じるおそれがある。他方、クリアランスが広すぎると、ブレーキパッドがブレーキディスクに接触する位置まで移動するのに要する時間が長くなり、ブレーキをかけたときの応答性が低下してしまう。
【0005】
そのため、ブレーキを解除したときのブレーキパッドとブレーキディスクの間のクリアランスは所定の範囲に調整する必要がある。そこで、ブレーキパッドとブレーキディスクの間のクリアランスを自動で調整するために、例えば、特許文献1,2に記載の電動ブレーキ装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−203561号公報
【特許文献2】特許第4000675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の電動ブレーキ装置は、電動モータに所定の大きさの電流を流してブレーキパッドをブレーキディスクに押圧し、その状態から電動モータを停止させてフリー状態とし、このときの反力によってブレーキパッドが押し戻されてブレーキディスクから離反するようにし、その自然停止したときのブレーキパッドの位置を基準として、ブレーキパッドとブレーキディスクの間のクリアランスを設定するものである。
【0008】
しかしながら、この特許文献1の電動ブレーキ装置では、クリアランスを設定する際に、まず電動モータに所定の大きさの電流を流すという動作(すなわち、通常のブレーキ動作とは異なる特別な動作)が必要である。この動作は、特許文献1に記載されるような航空機の車輪を制動するブレーキ装置においては問題なく実行することが可能であるが、車両用のブレーキ装置においては実行できるタイミングが非常に限定されてしまう。
【0009】
また、特許文献2に記載の電動ブレーキ装置は、ブレーキディスクを押圧する荷重の大きさを検出する荷重センサと、ブレーキディスクへの押圧を解除するときに、ブレーキパッドとブレーキディスクの間のクリアランスが所定の大きさとなるように電動モータを制御するクリアランス制御手段とを有する。このクリアランス制御手段は、ブレーキパッドが後退する過程で、荷重センサの出力の微分値が急変するときのブレーキパッドの位置を基準として、ブレーキパッドとブレーキディスクの間のクリアランスを設定するものであり、温度による影響を受けにくいという利点がある。
【0010】
しかしながら、荷重センサの出力の微分値は、実際には荷重がゼロとなる近辺では不安定な値となるため、微分値が急変するタイミングを安定して捉えることは、事実上困難であった。
【0011】
この発明が解決しようとする課題は、電動ブレーキ装置が通常のブレーキ動作をする際にクリアランス設定を行なうことを可能とする電動式直動アクチュエータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、電動モータで駆動される回転軸と、その回転軸の回転を直動部材の直線運動に変換する直動機構とを有し、前記直動部材で対象物を押圧する電動式直動アクチュエータにおいて、前記対象物を押圧する荷重の大きさを検出する荷重センサと、温度によるその前記荷重センサへの影響を補正する温度補償手段と、前記対象物への押圧を解除するときに、前記直動部材と対象物の間のクリアランスが所定の大きさとなるように前記電動モータを制御するクリアランス制御手段とを設け、そのクリアランス制御手段は、前記荷重センサで検出される荷重の大きさに基づいて、その荷重の大きさに対応する前記電動モータの位置から前記クリアランスが所定の大きさとなる前記電動モータの位置までの電動モータの回転角を算出し、その回転角を目標値として前記電動モータを回転させるものである構成を採用した。
【0013】
この電動式直動アクチュエータを採用すると、対象物への押圧を解除するときに、荷重センサで検出される荷重の大きさに基づいて算出される回転角を目標値として電動モータを回転させることにより、クリアランスを所定の大きさに設定することができる。そのため、この電動式直動アクチュエータを電動ブレーキ装置に使用すると、通常のブレーキ動作においてブレーキを解除するときに、クリアランス設定を行なうことが可能となる。また、温度による前記荷重センサへの影響を温度補償手段で補正するので、正確なクリアランス設定を行なうことが可能である。
【0014】
前記荷重センサとしては、前記対象物を押圧する荷重の反力を受けてたわみを生じるフランジ部材と、磁気センサと、その磁気センサに対する相対位置が前記フランジ部材のたわみにより変化するよう配置された磁界を発生する磁気ターゲットとからなるものを採用すると好ましい。
【0015】
この荷重センサは、フランジ部材が荷重の反力を受けてたわみを生じると、磁気ターゲットと磁気センサの相対位置が変化し、その相対位置の変化に応じて磁気センサの出力信号が変化するので、磁気センサの出力信号に基づいて荷重の大きさを検出することができる。そして、この荷重センサは、互いに非接触に配置された磁気ターゲットと磁気センサの相対位置の変化を利用して荷重の大きさを検出するので、衝撃荷重やせん断荷重が荷重センサに入力されてもセンサが故障しにくく、高い耐久性を確保することができる。
【0016】
前記磁気ターゲットとして、前記磁気ターゲットと磁気センサの相対変位方向に対して直交する方向を磁化方向とする複数の永久磁石を、反対の極性を有する磁極が前記磁気ターゲットと磁気センサの相対変位方向に並ぶように配置したものを採用し、その隣り合う磁極の境目の近傍に前記磁気センサを配置すると好ましい。
【0017】
このようにすると、磁気センサの出力信号は、磁気ターゲットと磁気センサの軸方向の相対変位に対して急峻に変化し、一方、軸方向以外の方向の相対変位に対してはあまり変化しないという軸方向の指向性を示す。そのため、磁気センサの出力信号が外部振動の影響を受けにくく、安定した精度で荷重の大きさを検出することができる。
【0018】
また、前記荷重センサとして、前記直動部材に設けた歪センサを採用することも可能である。
【0019】
前記直動機構として、例えば、次のものを採用することができる。
1)前記回転軸の外周の円筒面に転がり接触する複数の遊星ローラと、その複数の遊星ローラを自転可能かつ公転可能に保持し、軸方向移動を規制されたキャリヤと、前記複数の遊星ローラを囲むように配置された外輪部材と、その外輪部材の内周に設けられた螺旋凸条と、その螺旋凸条と係合するように前記各遊星ローラの外周に設けられた螺旋溝または円周溝とを有する遊星ローラ式の直動機構。
2)前記回転軸と一体に回転するねじ軸と、そのねじ軸を囲むように設けられたナットと、前記ねじ軸の外周に形成されたねじ溝と前記ナットの内周に形成されたねじ溝の間に組み込まれた複数のボールとを有するボールねじ式の直動機構。
3)前記回転軸と一体に回転する回転ディスクと、その回転ディスクの軸方向前方に対向して配置された直動ディスクと、前記回転ディスクの直動ディスクに対する対向面に形成された傾斜溝と前記直動ディスクの回転ディスクに対する対向面に形成された傾斜溝との間に組み込まれたボールとを有するボールランプ式の直動機構。
【0020】
前記電動モータの回転角を検出する回転角検出手段を更に設ける場合、前記クリアランス制御手段は、その回転角検出手段で検出される電動モータの回転角が前記目標値と一致するまで前記電動モータを減圧方向に回転させる構成とすることができる。このとき、前記回転角検出手段としては、レゾルバや、ホール素子や、前記電動モータに電力を供給する線間電圧に基づいて回転角を推定する電源装置などを採用することができる。
【0021】
また、この発明では、上記電動式直動アクチュエータを組み込んだ電動ブレーキ装置として、上記電動式直動アクチュエータの直動部材でブレーキディスクを押圧するようにした電動ブレーキ装置を提供する。
【発明の効果】
【0022】
この発明の電動式直動アクチュエータは、対象物への押圧を解除するときに、荷重センサで検出される荷重の大きさに基づいて算出される回転角を目標値として電動モータを回転させることにより、クリアランスを所定の大きさに設定することができる。そのため、この電動式直動アクチュエータを電動ブレーキ装置に使用すると、通常のブレーキ動作においてブレーキを解除するときにクリアランス設定を行なうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の実施形態の電動式直動アクチュエータを組み込んだ電動ブレーキ装置を示す断面図
【図2】図1の電動式直動アクチュエータ近傍の拡大断面図
【図3】図2のIII−III線に沿った断面図
【図4】図2のIV−IV線に沿った断面図
【図5】図2の荷重センサ近傍の拡大断面図
【図6】図1に示す電動モータを制御する電子制御装置のブロック図
【図7】(a)は図1に示す電動モータの回転角とブレーキ荷重の対応関係を示す図、(b)は図1に示す電動モータの回転角と外輪部材の位置の対応関係を示す図
【図8】図6の電子制御装置によるクリアランス制御を示すフロー図
【図9】直動機構としてボールねじ機構を採用した例を示す電動式直動アクチュエータの拡大断面図
【図10】直動機構としてボールランプ機構を採用した例を示す電動式直動アクチュエータの拡大断面図
【図11】図10のXI−XI線に沿った断面図
【図12】(a)は図10に示すボールと傾斜溝の関係を示す図、(b)は(a)に示す状態から回転ディスクと直動ディスクが相対回転して両ディスクの間隔が拡大した状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1に、この発明の実施形態の電動式直動アクチュエータ1を用いた車両用の電動ブレーキ装置を示す。この電動ブレーキ装置は、車輪と一体に回転するブレーキディスク2を間に挟んで対向する対向片3,4をブリッジ5で連結した形状のキャリパボディ6と、左右一対の摩擦パッド7,8とを有する。そして、対向片3のブレーキディスク2に対する対向面に開口する収容孔9に電動式直動アクチュエータ1が組み込まれている。
【0025】
摩擦パッド7,8は、それぞれ対向片3,4とブレーキディスク2の間に設けられており、車輪を支持するナックル(図示せず)に固定されたマウント(図示せず)に対してブレーキディスク2の軸方向に移動可能に支持されている。また、キャリパボディ6も、ブレーキディスク2の軸方向にスライド可能にマウントに支持されている。
【0026】
図2に示すように、電動式直動アクチュエータ1は、回転軸10と、回転軸10の外周の円筒面に転がり接触する複数の遊星ローラ11と、これらの遊星ローラ11を囲むように配置された外輪部材12と、遊星ローラ11を自転可能かつ公転可能に保持するキャリヤ13と、外輪部材12の軸方向後方に配置された荷重センサ14とを有する。
【0027】
回転軸10は、図1に示す電動モータ15の回転が歯車16を介して入力されることにより回転駆動される。回転軸10は、対向片3を軸方向に貫通して形成された収容孔9の軸方向後側の開口から一端が突出した状態で収容孔9に挿入され、収容孔9からの突出部分に歯車16がスプライン嵌合して回り止めされている。歯車16は、収容孔9の軸方向後側の開口を塞ぐようにボルト17で固定した蓋18で覆われている。蓋18には回転軸10を回転可能に支持する軸受19が組み込まれている。
【0028】
図3に示すように、遊星ローラ11は、回転軸10の外周の円筒面に転がり接触しており、回転軸10が回転したときに遊星ローラ11と回転軸10の間の摩擦によって遊星ローラ11も回転するようになっている。遊星ローラ11は、周方向に一定の間隔をおいて複数設けられている。
【0029】
図2に示すように、外輪部材12は、キャリパボディ6の対向片3に設けられた収容孔9内に収容され、その収容孔9の内周で軸方向にスライド可能に支持されている。外輪部材12の軸方向前端には、摩擦パッド7の背面に形成された係合凸部20に係合する係合凹部21が形成され、この係合凸部20と係合凹部21の係合によって、外輪部材12がキャリパボディ6に対して回り止めされている。
【0030】
外輪部材12の内周には螺旋凸条22が設けられ、遊星ローラ11の外周には、螺旋凸条22に係合する円周溝23が設けられており、遊星ローラ11が回転したときに、外輪部材12の螺旋凸条22が円周溝23に案内されて、外輪部材12が軸方向に移動するようになっている。この実施形態では遊星ローラ11の外周にリード角が0度の円周溝23を設けているが、円周溝23のかわりに螺旋凸条22と異なるリード角をもつ螺旋溝を設けてもよい。
【0031】
キャリヤ13は、遊星ローラ11を回転可能に支持するキャリヤピン13Aと、その各キャリヤピン13Aの軸方向前端の周方向間隔を一定に保持する環状のキャリヤプレート13Cと、各キャリヤピン13Aの軸方向後端の周方向間隔を一定に保持する環状のキャリヤ本体13Bとからなる。キャリヤプレート13Cとキャリヤ本体13Bは遊星ローラ11を間に軸方向に対向しており、周方向に隣り合う遊星ローラ11の間に配置された連結棒24を介して連結されている。
【0032】
キャリヤ本体13Bは、滑り軸受25を介して回転軸10に支持され、回転軸10に対して相対回転可能となっている。遊星ローラ11とキャリヤ本体13Bの間には、遊星ローラ11の自転がキャリヤ本体13Bに伝達するのを遮断するスラスト軸受26が組み込まれている。
【0033】
各キャリヤピン13Aは、周方向に間隔をおいて配置された複数のキャリヤピン13Aに外接するように装着された縮径リングばね27で径方向内方に付勢されている。この縮径リングばね27の付勢力によって、遊星ローラ11の外周は回転軸10の外周に押さえ付けられ、回転軸10と遊星ローラ11の間の滑りが防止されている。縮径リングばね27の付勢力を遊星ローラ11の軸方向全長にわたって作用させるため、キャリヤピン13Aの両端に縮径リングばね27,27が設けられている。
【0034】
荷重センサ14は、軸方向に間隔をおいて対向する円環板状のフランジ部材30および支持部材31と、磁界を発生する磁気ターゲット32と、磁界の強さを検出する磁気センサ33とを有し、支持部材31がフランジ部材30の軸方向後方に位置するよう収容孔9内に嵌め込まれている。
【0035】
図4、図5に示すように、フランジ部材30は、支持部材31に向けて突出する筒部34を有する。筒部34の外径面は、支持部材31の内径面と径方向に対向しており、筒部34の外径面に形成された面取り部35に磁気ターゲット32が固定され、支持部材31の内径面に形成された軸方向溝36に磁気センサ33と温度センサ37が固定されている。フランジ部材30および支持部材31は、磁性体で形成されている。
【0036】
支持部材31は、フランジ部材30との対向面の外径側部分に環状突起38を有し、その環状突起38でフランジ部材30の外径側部分を支持し、フランジ部材30と支持部材31の間隔を保持している。
【0037】
磁気ターゲット32は、径方向内端と径方向外端に磁極を有するように半径方向に磁化された2個の永久磁石39からなる。2個の永久磁石39は、反対の極性を有する磁極(すなわちN極とS極)が軸方向に並ぶように隣接して配置されている。
【0038】
永久磁石39としては、ネオジム磁石を使用すると、省スペースで強力な磁界が発生するので、荷重センサ14の分解性能を高くすることができるが、サマリウムコバルト磁石、アルニコ磁石、フェライト磁石などを使用してもよい。サマリウムコバルト磁石またはアルニコ磁石を使用すると、永久磁石39の温度上昇に伴う磁界の減少を抑えることができる。また、プラセオジム磁石、サマリウム窒化鉄磁石を使用することもできる。
【0039】
磁気センサ33は、2個の永久磁石39の隣り合う磁極の境目の近傍で磁気ターゲット32と軸直交方向(図では半径方向)に対向するように配置されている。磁気センサ33としては、磁気抵抗素子(いわゆるMRセンサ)や、磁気インピーダンス素子(いわゆるMIセンサ)を使用することも可能であるが、ホールICを使用するとコスト面で有利であり、また耐熱性の高いホールICが市販されているので、高い摩擦熱が生じる電動ブレーキの用途に好適である。
【0040】
温度センサ37は、荷重センサ14の近傍の温度を検出する。温度センサ37としては、熱電対を使用することも可能であるが、温度に応じて電気抵抗の大きさが変化する測温抵抗体(サーミスタ)を使用すると、熱電対を使用する場合よりも温度誤差が少なく、長期にわたって安定した検出精度を確保することができる。
【0041】
図2に示すように、フランジ部材30の外周と支持部材31の外周には断面円弧状の位置決め溝40,41が形成され、この位置決め溝40,41に共通のキー部材42を嵌め込むことで、磁気ターゲット32の周方向位置と磁気センサ33の周方向位置が合致するようにフランジ部材30と支持部材31が周方向に位置決めされている。
【0042】
キャリヤ13とフランジ部材30の間には、キャリヤ13と一体に公転する間座43と、間座43とフランジ部材30の間で軸方向荷重を伝達するスラスト軸受44とが組み込まれている。フランジ部材30の内周には、回転軸10を回転可能に支持する転がり軸受45が組み込まれている。
【0043】
荷重センサ14は、支持部材31の外周縁を、収容孔9の内周に装着した止め輪46,80で係止することによって軸方向の前方および後方への移動が規制されている。そして、この荷重センサ14は、間座43とスラスト軸受44とを介してキャリヤ本体13Bを軸方向に支持することで、キャリヤ13の軸方向後方への移動を規制している。また、キャリヤ13は、回転軸10の軸方向前端に装着された止め輪47で軸方向前方への移動も規制されている。したがって、キャリヤ13は、軸方向前方と軸方向後方の移動がいずれも規制され、キャリヤ13に保持された遊星ローラ11も軸方向移動が規制された状態となっている。
【0044】
電動モータ15には、電動モータ15の回転角を検出する回転角検出手段48が組み込まれている。回転角検出手段48としては、レゾルバやホール素子を採用することができる。また、回転角検出手段48として、電動モータ15に電力を供給する線間電圧に基づいて回転角を推定する電源装置を採用することも可能である。
【0045】
電動モータ15は、図6に示す電子制御装置50で制御される。電子制御装置50には、磁気センサ33からブレーキディスク2を押圧する荷重の大きさに対応する信号が入力され、温度センサ37から磁気センサ33の近傍の温度に対応する信号が入力され、回転角検出手段48から電動モータ15の回転角に対応する信号が入力される。また、電子制御装置50からは電動モータ15の回転角を制御する制御信号が出力される。
【0046】
ここで、磁気センサ33の出力信号を処理する電子制御装置50には、温度センサ37の出力信号に基づいて、温度による磁気センサ33への影響を補正する温度補償機能が内蔵されている。この温度補償機能は、温度上昇に伴って永久磁石39が発生する磁界が減少するので、その減少分を補うように磁気センサ33の出力信号を補正するものである。
【0047】
次に上述した電動式直動アクチュエータ1の動作例を説明する。
【0048】
電動モータ15を作動させると、回転軸10が回転し、遊星ローラ11がキャリヤピン13Aを中心に自転しながら回転軸10を中心に公転する。このとき螺旋凸条22と円周溝23の係合によって外輪部材12と遊星ローラ11が軸方向に相対移動するが、遊星ローラ11はキャリヤ13と共に軸方向の移動が規制されているので、遊星ローラ11は軸方向に移動せず、外輪部材12が軸方向に移動する。このようにして、電動式直動アクチュエータ1は、電動モータ15で駆動される回転軸10の回転を外輪部材12の直線運動に変換し、その外輪部材12とキャリパボディ6に設けられた対向片4によって摩擦パッド7,8をブレーキディスク2に押圧することで、電動ブレーキ装置の制動力を発生させる。
【0049】
摩擦パッド7でブレーキディスク2を押圧するとき、外輪部材12はブレーキディスク2を押圧する荷重の反力を受け、その反力は、遊星ローラ11、キャリヤ13、間座43、スラスト軸受44を介してフランジ部材30に伝達する。そして、その反力によってフランジ部材30が軸方向後方にたわみ、磁気ターゲット32と磁気センサ33の相対位置が変化する。このとき、その相対位置の変化に応じて磁気センサ33の出力信号が変化するので、磁気センサ33の出力信号に基づいてブレーキディスク2を押圧する荷重の大きさを検出することができる。
【0050】
ここで、摩擦パッド7でブレーキディスク2を押圧するときの磁気ターゲット32と磁気センサ33の相対位置の変化量は極めて小さい。例えば、ブレーキディスク2を押圧する荷重の大きさが30kNのとき、磁気ターゲット32と磁気センサ33の相対位置の変化量は軸方向に0.1mm程度と極めて微小であるが、上記荷重センサ14は、複数の永久磁石39を反対の磁極が磁気ターゲット32と磁気センサ33の相対変位方向に並ぶように配置し、その隣り合う磁極の境目の近傍に磁気センサ33を配置しているので、磁気センサ33の出力信号が、磁気ターゲット32と磁気センサ33の相対位置の変化に対して急峻に変化し、磁気ターゲット32と磁気センサ33の相対位置の変化量を高精度に検出することができる。しかも、この荷重センサ14は、互いに非接触に配置された磁気ターゲット32と磁気センサ33の相対位置の変化を利用して荷重の大きさを検出するので、衝撃荷重やせん断荷重が荷重センサに入力されてもセンサが故障しにくく、高い耐久性を確保することができる。
【0051】
ところで、上記電動ブレーキ装置は、ブレーキを解除したときの摩擦パッド7,8とブレーキディスク2の間のクリアランスが狭すぎると、ブレーキディスク2の振れ等により摩擦パッド7,8がブレーキディスク2に接触して抵抗となり、車両の燃費の低下や摩擦パッド7,8の異常摩耗が生じるおそれがある。他方、クリアランスが広すぎると、摩擦パッド7,8がブレーキディスク2に接触する位置まで移動するのに要する時間が長くなり、ブレーキをかけたときの応答性が低下してしまう。
【0052】
そこで、電子制御装置50は、通常のブレーキ動作においてブレーキを解除するときに、荷重センサ14で検出される荷重の大きさと回転角検出手段48で検出される電動モータ15の回転角とに基づいて電動モータ15の回転角を制御し、ブレーキ解除時の摩擦パッド7,8とブレーキディスク2の間のクリアランスを所定の大きさに保つようにしている。以下、このクリアランス制御を、図8に示すフロー図に基づいて説明する。
【0053】
まず、摩擦パッド7,8でブレーキディスク2を押圧するブレーキ動作があったとき、その直前に荷重センサ14で検出された荷重の大きさに基づいて、その荷重の大きさに対応する電動モータ15の位置から、摩擦パッド7,8とブレーキディスク2の間のクリアランスが所定の大きさ(例えば0.5mm)となる電動モータ15の位置までの電動モータ15の回転角θを算出する(ステップS,S)。
【0054】
ここで、図7(a)に示すように、電動モータ15の回転角とブレーキディスク2を押圧する荷重との対応関係はあらかじめ測定して把握することが可能である。この対応関係は、キャリパボディ6の剛性や、電動式直動アクチュエータ1の各構成部材の剛性によって決定される。また、図7(b)に示すように、電動モータ15の回転角と外輪部材12の位置との対応関係もあらかじめ測定して把握することが可能である。この対応関係は、主に回転軸10の回転運動を外輪部材12の直線運動に変換する直動機構の変換率によって決定される。これらの対応関係と、荷重センサ14で検出される荷重の大きさとから、摩擦パッド7,8とブレーキディスク2の間のクリアランスが所定の大きさとなる電動モータ15の位置までの電動モータ15の回転角θを算出することができる。
【0055】
次に、ブレーキディスク2の押圧を解除してブレーキを解除するときに、電動モータ15を減圧方向(摩擦パッド7がブレーキディスク2から離反する方向)に回転駆動して、クリアランス設定を開始する(ステップS,S)。
【0056】
クリアランス設定を開始した後は、ステップSで算出した回転角θを目標値として電動モータ15の減圧方向への回転を継続し、回転角検出手段48で検出される電動モータ15の回転角が、ステップSで算出した回転角θと一致したときに電動モータ15の回転を停止し、クリアランス設定を完了する(ステップS,S)。
【0057】
以上のように、この電動ブレーキは、通常のブレーキ動作においてブレーキを解除するときに、クリアランス設定を行なうことができる。
【0058】
ところで、摩擦パッド7,8でブレーキディスク2を押圧するとき、摩擦パッド7,8とブレーキディスク2の間に摩擦熱が生じ、その摩擦熱によって、摩擦パッド7,8の周囲は高温にさらされる。そのため、もし仮に荷重センサ14をディスク押圧部材(外輪部材12、対向片4、摩擦パッド7,8)近傍に配置すれば、荷重センサ14が高温となり、温度変化の影響を大きく受けるおそれがある。
【0059】
これに対し、この電動ブレーキは、荷重センサ14を外輪部材12よりも軸方向後方に配置しているので、摩擦パッド7,8から荷重センサ14までの距離が長く、荷重センサ14の周囲が高温になりにくい。そのため、荷重センサ14が温度変化の影響を受けにくい。
【0060】
さらに、この電動ブレーキは、磁気センサ33の処理回路に、温度センサ37の出力信号に基づいて、温度による磁気センサ33への影響を補正する温度補償部が設けられているので、より正確なクリアランス調整を行なうことが可能である。
【0061】
上記実施形態では、ブレーキを掛けたときの電動モータ15の位置から、クリアランスが所定の大きさとなる電動モータ15の位置までの電動モータ15の回転角θを算出し、その後ブレーキを解除するときに、回転角θを目標値として電動モータ15を回転させるようにしたが、その他に、例えば、ブレーキを解除する過程でブレーキ荷重が特定のしきい値を上から下にまたぐときに荷重センサ14で検出される荷重の大きさに基づいて、そのときの電動モータ15の位置から、クリアランスが所定の大きさとなる電動モータ15の位置までの電動モータ15の回転角θを算出するようにしてもよい。
【0062】
上記実施形態では、磁気ターゲット32と磁気センサ33の相対位置の変化量を高精度に検出するため、磁気ターゲット32の磁化方向が磁気ターゲット32と磁気センサ33の相対変位方向と直交するように磁気ターゲット32を配置したが、磁気ターゲット32の磁化方向がフランジ部材30のたわみによって変位する方向と平行となるように磁気ターゲット32を配置し、フランジ部材30のたわみによって変化する磁気ターゲット32と磁気センサ33のクリアランスを磁界の強さの変化として検出するように、磁気ターゲット32の近傍にその磁化方向に対向して磁気センサ33を配置してもよい。
【0063】
上記実施形態では、摩擦熱による影響を極力避けるために、ディスク押圧部材(外輪部材12、対向片4、摩擦パッド7,8)の軸方向後方に荷重センサ14を配置したが、荷重センサ14として摩擦パッド7,8に配置した歪センサを採用することも可能である。また、荷重センサ14としては、静電容量センサ、リラクタンス検出センサ、光学センサ等を利用したものを採用することも可能である。
【0064】
上記実施形態では、回転軸10の回転を直動部材(ここでは外輪部材12と摩擦パッド7)の直線運動に変換する直動機構として、回転軸10の外周の円筒面に転がり接触する複数の遊星ローラ11と、その複数の遊星ローラ11を自転可能かつ公転可能に保持し、軸方向移動を規制されたキャリヤ13と、複数の遊星ローラ11を囲むように配置された外輪部材12と、その外輪部材12の内周に設けられた螺旋凸条22と、その螺旋凸条22と係合するように各遊星ローラ11の外周に設けられた円周溝23とを有する遊星ローラ式の直動機構を例に挙げて説明したが、この発明は、他の構成の直動機構を採用した電動式直動アクチュエータにも同様に適用することができる。
【0065】
例えば、直動機構としてボールねじ式の直動機構を採用した電動式直動アクチュエータの例を図9に示す。以下、上記実施形態に対応する部分は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0066】
図9において、直動アクチュエータは、回転軸10と、回転軸10と一体に設けられたねじ軸60と、ねじ軸60を囲むように設けられたナット61と、ねじ軸60の外周に形成されたねじ溝62とナット61の内周に形成されたねじ溝63の間に組み込まれた複数のボール64と、ナット61のねじ溝63の終点から始点にボール64を戻す図示しないリターンチューブと、ナット61の軸方向後方に配置された荷重センサ14とを有する。
【0067】
ナット61は、キャリパボディ6の対向片3に設けられた収容孔9内に、キャリパボディ6に対して回り止めされた状態で軸方向にスライド可能に収容されている。ねじ軸60の軸方向後端にはねじ軸60と一体に回転する間座43が設けられ、その間座43がスラスト軸受44を介して荷重センサ14で支持されている。ここで、荷重センサ14は、間座43とスラスト軸受44とねじ軸60とを介してナット61を軸方向に支持することで、ナット61の軸方向後方への移動を規制している。
【0068】
この電動式直動アクチュエータは、回転軸10を回転させることによって、ねじ軸60とナット61を相対回転させて、ナット61を軸方向前方に移動させ、そのナット61とキャリパボディ6に設けた対向片4によって摩擦パッド7,8をブレーキディスク2に押圧することで、制動力を発生させる。このとき、ねじ軸60は、軸方向後方への反力を受け、その反力は、間座43、スラスト軸受44を介して荷重センサ14に伝達する。そのため、上記実施形態と同様、通常のブレーキ動作においてブレーキを解除するときに、荷重センサ14で検出される荷重の大きさに基づいて電動モータ15の回転角を制御することで、クリアランス調整を行なうことが可能である。
【0069】
また、直動機構としてボールランプ式の直動機構を採用した電動式直動アクチュエータを適用した例を図10に示す。
【0070】
図10において、直動アクチュエータは、回転軸10と、回転軸10の外周に回り止めされた回転ディスク70と、回転ディスク70の軸方向前方に対向して配置された直動ディスク71と、回転ディスク70と直動ディスク71の間に挟まれた複数のボール72と、直動ディスク71の軸方向後方に配置された荷重センサ14とを有する。
【0071】
直動ディスク71は、キャリパボディ6の対向片3に設けられた収容孔9内に、キャリパボディ6に対して回り止めされた状態で軸方向にスライド可能に収容されている。回転ディスク70の軸方向後端には回転ディスク70と一体に回転する間座43が設けられ、その間座43がスラスト軸受44を介して荷重センサ14で支持されている。ここで、荷重センサ14は、間座43とスラスト軸受44とを介して回転ディスク70を軸方向に支持することで回転ディスク70の軸方向後方への移動を規制している。
【0072】
図10、図11に示すように、回転ディスク70の直動ディスク71に対する対向面70aには、周方向の一方向に沿って深さが次第に浅くなる傾斜溝73が形成され、直動ディスク71の回転ディスク70に対する対向面71aには、周方向の他方向に沿って深さが次第に浅くなる傾斜溝74が形成されている。図12(a)に示すように、ボール72は、回転ディスク70の傾斜溝73と直動ディスク71の傾斜溝74の間に組み込まれており、図12(b)に示すように、直動ディスク71に対して回転ディスク70が相対回転すると、傾斜溝73,74内をボール72が転動して、回転ディスク70と直動ディスク71の間隔が拡大するようになっている。
【0073】
この電動式直動アクチュエータは、回転軸10を回転させることによって、直動ディスク71と回転ディスク70を相対回転させて、直動ディスク71を軸方向前方に移動させ、その直動ディスク71とキャリパボディ6に設けた対向片4によって摩擦パッド7,8をブレーキディスク2に押圧することで、制動力を発生させる。このとき、直動ディスク71は、軸方向後方への反力を受け、その反力は、間座43、スラスト軸受44を介して荷重センサ14に伝達する。そのため、上記実施形態と同様、通常のブレーキ動作においてブレーキを解除するときに、荷重センサ14で検出される荷重の大きさに基づいて電動モータ15の回転角を制御することで、クリアランス調整を行なうことが可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 電動式直動アクチュエータ
2 ブレーキディスク
7,8 摩擦パッド
10 回転軸
11 遊星ローラ
12 外輪部材
13 キャリヤ
14 荷重センサ
15 電動モータ
22 螺旋凸条
23 円周溝
30 フランジ部材
32 磁気ターゲット
33 磁気センサ
37 温度センサ
39 永久磁石
48 回転角検出手段
50 電子制御装置
60 ねじ軸
61 ナット
62,63 ねじ溝
64 ボール
70 回転ディスク
70a 対向面
71 直動ディスク
71a 対向面
72 ボール
73,74 傾斜溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータ(15)で駆動される回転軸(10)と、その回転軸(10)の回転を直動部材(12,7)の直線運動に変換する直動機構とを有し、前記直動部材(12,7)で対象物(2)を押圧する電動式直動アクチュエータにおいて、
前記対象物(2)を押圧する荷重の大きさを検出する荷重センサ(14)と、温度による前記荷重センサ(14)への影響を補正する温度補償手段(37,50)と、前記対象物(2)への押圧を解除するときに、前記直動部材(7)と対象物(2)の間のクリアランスが所定の大きさとなるように前記電動モータ(15)を制御するクリアランス制御手段(50)とを設け、そのクリアランス制御手段(50)は、前記荷重センサ(14)で検出される荷重の大きさに基づいて、その荷重の大きさに対応する前記電動モータ(15)の位置から前記クリアランスが所定の大きさとなる前記電動モータ(15)の位置までの電動モータ(15)の回転角(θ)を算出し、その回転角(θ)を目標値として前記電動モータ(15)を回転させるものであることを特徴とする電動式直動アクチュエータ。
【請求項2】
前記荷重センサ(14)は、前記対象物(2)を押圧する荷重の反力を受けてたわみを生じるフランジ部材(30)と、磁気センサ(33)と、その磁気センサ(33)に対する相対位置が前記フランジ部材(30)のたわみにより変化するよう配置された磁界を発生する磁気ターゲット(32)とからなる請求項1に記載の電動式直動アクチュエータ。
【請求項3】
前記磁気ターゲット(32)は、前記磁気ターゲット(32)と磁気センサ(33)の相対変位方向に対して直交する方向を磁化方向とする複数の永久磁石(39)を、反対の極性を有する磁極が前記磁気ターゲット(32)と磁気センサ(33)の相対変位方向に並ぶように配置したものであり、その隣り合う磁極の境目の近傍に前記磁気センサ(33)が配置されている請求項2に記載の電動式直動アクチュエータ。
【請求項4】
前記荷重センサ(14)は、前記直動部材(12,7)に設けた歪センサである請求項1に記載の電動式直動アクチュエータ。
【請求項5】
前記直動機構は、前記回転軸(10)の外周の円筒面に転がり接触する複数の遊星ローラ(11)と、その複数の遊星ローラ(11)を自転可能かつ公転可能に保持し、軸方向移動を規制されたキャリヤ(13)と、前記複数の遊星ローラ(11)を囲むように配置された外輪部材(12)と、その外輪部材(12)の内周に設けられた螺旋凸条(22)と、その螺旋凸条(22)と係合するように前記各遊星ローラ(11)の外周に設けられた螺旋溝または円周溝(23)とを有する遊星ローラ式の直動機構である請求項1から4のいずれかに記載の電動式直動アクチュエータ。
【請求項6】
前記直動機構は、前記回転軸(10)と一体に回転するねじ軸(60)と、そのねじ軸(60)を囲むように設けられたナット(61)と、前記ねじ軸(60)の外周に形成されたねじ溝(62)と前記ナット(61)の内周に形成されたねじ溝(63)の間に組み込まれた複数のボール(64)とを有するボールねじ式の直動機構である請求項1から4のいずれかに記載の電動式直動アクチュエータ。
【請求項7】
前記直動機構は、前記回転軸(10)と一体に回転する回転ディスク(70)と、その回転ディスク(70)の軸方向前方に対向して配置された直動ディスク(71)と、前記回転ディスク(70)の直動ディスク(71)に対する対向面(70a)に形成された傾斜溝(73)と前記直動ディスク(71)の回転ディスク(70)に対する対向面(71a)に形成された傾斜溝(74)との間に組み込まれたボール(72)とを有するボールランプ式の直動機構である請求項1から4のいずれかに記載の電動式直動アクチュエータ。
【請求項8】
前記電動モータ(15)の回転角を検出する回転角検出手段(48)を更に有し、前記クリアランス制御手段(50)は、その回転角検出手段(48)で検出される電動モータ(15)の回転角が前記目標値と一致するまで前記電動モータ(15)を減圧方向に回転させる請求項1から7のいずれかに記載の電動式直動アクチュエータ。
【請求項9】
前記回転角検出手段(48)がレゾルバである請求項8に記載の電動式直動アクチュエータ。
【請求項10】
前記回転角検出手段(48)がホール素子である請求項8に記載の電動式直動アクチュエータ。
【請求項11】
前記回転角検出手段(48)が、前記電動モータ(15)に電力を供給する線間電圧に基づいて回転角を推定する電源装置である請求項8に記載の電動式直動アクチュエータ。
【請求項12】
電動式直動アクチュエータ(1)の直動部材(12,7)でブレーキディスク(2)を押圧する電動ブレーキ装置において、前記電動式直動アクチュエータ(1)が請求項1から11のいずれかに記載の電動式直動アクチュエータであることを特徴とする電動ブレーキ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−92207(P2013−92207A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234980(P2011−234980)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】