説明

電動車両のモータ冷却構造

【課題】電動車両のパワーユニットケース内において駆動モータを効率良く冷却できる電動車両のモータ冷却構造を提供する。
【解決手段】伝動ケース59のファン54bに隣接する左側面には、エアフィルタ41を備えた伝動ケースカバー59aが装着され、伝動ケースカバー59aの車体後側と伝動ケース59との間には通気用の間隙が確保されている。伝動ケースカバー59aには、前記間隙部に面して冷却風取入口59bが形成されている。クランク軸22に同期してファン54bが回転すると、冷却風取入口59bから伝動ケースカバー59a内に外気が取り入れられ、エアフィルタ41で濾過された後に伝動ケース59内に導入され、無段変速機23が強制的に冷却される。その後、この冷却気は一部が中央部排気口42から伝動ケース59外へ排出され、それ以外は無段変速機23の従動側へ導かれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動モータを動力あるいは補助動力として走行する電動車両のモータ冷却構造に関する。
【背景技術】
【0002】
モータを動力とした電動車両は、エンジンを動力とした従来の自動車に較べて大気汚染がなく騒音公害も小さく、加減速の応答性が良い反面、現在のところバッテリの能力的限界から航続距離が小さく、また走行距離当りのエネルギ単価も高くて経済性に劣るという欠点がある。そこで、このようなモータ単独で走行する電動車両の欠点を補いつつ、その利点を生かすものとして、モータとエンジンとを搭載したハイブリッド型の電動車両が実用化されている。
【0003】
一方、変速機としてベルト式の無段変速機を備え、これがパワーユニットケース内に収容される車両では、駆動側および従動側の各プーリとベルトとの摩擦熱によりパワーユニットケース内が加熱される。このため、特許文献1に開示されているように、パワーユニットケースには、その内部に外気を効率良く導入して冷却する排風構造が採用される。
【特許文献1】特開昭62−16530号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動車両では、発熱量の大きな駆動モータがベルト式の無段変速機と共にパワーユニットケース内に収容される。しかしながら、上記した従来の冷却構造は、発熱源が変速機やスタータモータに限定されるために発熱量が比較的小さいエンジン車両用のパワーユニットを対象としていたために、これをそのまま発熱量の大きな電動車両に適用しても、パワーユニットケース内部を十分に冷却することが難しいことがあった。
【0005】
本発明の目的は、上記した従来技術の課題を解決し、電動車両のパワーユニットケース内において駆動モータを効率良く冷却できる電動車両のモータ冷却構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するために、本発明は、電動車両のモータ冷却構造において、以下のような手段を講じた点に特徴がある。
【0007】
(1)駆動輪に連結された駆動モータと、駆動モータを収容するパワーユニットケースと、パワーユニットケース内へ外気を冷却気として導入する吸気口と、前記駆動モータの近傍に設けられた排気口とを具備し、前記吸気口と排気口とが、前記駆動モータのステータとロータとの間隙を介して連通していることを特徴とする。
【0008】
(2)前記排気口が車両の側面視において駆動モータの投影領域内に配置されたことを特徴とする。
【0009】
(3)前記排気口を所定の間隙を隔てて覆うカバー部材を備えたことを特徴とする。
【0010】
(4)駆動プーリおよび従動プーリを無端ベルトで連結して構成される無段変速機と、前記駆動プーリと同軸状に設けられた吸気ファンと、前記駆動モータと従動プーリとを同軸状に連結する駆動軸とを含み、前記吸気口が前記吸気ファンの近傍に設けられたことを特徴とする。
【0011】
(5)ステータの外周側にロータが配置されるアウターロータ型モータと、前記アウターロータのヨークと対向し、当該ロータと同軸状に連結されたファンとを含み、前記アウターロータのヨークとファンとの間に所定の間隙が設けられたことを特徴とする。
【0012】
(6)前記ロータのヨークに通気口が開口されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、以下のような効果が達成される。
【0014】
(1)請求項1の発明によれば、駆動モータを効率良く冷却できるので冷却ファンを小型化できるのみならず、パワーユニットケース内の温度上昇を低く抑えられるので、無段変速機の耐久性を向上させることができる。
【0015】
(2)請求項2の発明によれば、駆動モータのステータから発生する熱を車両の側面から効率良く排出できるようになる。
【0016】
(3)請求項3の発明によれば、車両外部からパワーユニットケース内への泥や水の侵入を防止しながら、パワーユニットケース内の熱を車両外部へ効率良く排気できるようになる。
【0017】
(4)請求項4の発明によれば、無段変速機の駆動側に設けた吸気ファンのみで、無段変速機の駆動側のみならず、ベルトおよび従動側まで冷却できるようになる。
【0018】
(5)請求項5の発明によれば、アウターロータのヨークとファンとの間に通風路が形成されるので、アウターロータ型モータを効率良く冷却できるようになる。
【0019】
(6)請求項5の発明によれば、アウターロータ型モータのステータで発生した熱がロータのヨークに形成された通気口から、前記ヨークとファンとの間に形成された通風路を経由して外部へ排気されるので、アウターロータ型モータをさらに効率良く冷却できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明のモータ冷却構造を適用したスクータ型ハイブリッド車両の一実施形態の側面図である。
【0021】
ハイブリッド車両は、車体前方に前輪WFを軸支するフロントフォーク1を有し、このフロントフォーク1はヘッドパイプ2に枢支されており、ハンドル3の操作によって操舵可能とされている。ヘッドパイプ2からは後方かつ下方に向けてダウンパイプ4が取り付けられており、このダウンパイプ4の下端からは中間フレーム5が略水平に延設されている。さらに、中間フレーム5の後端からは、後方かつ上方に向けて後部フレーム6が形成されている。
【0022】
このように構成された車体フレーム10には、動力源としてのエンジンおよびモータ、ならびに動力伝達機構を含むパワーユニット11の一端が枢着されている。パワーユニット11は、その後方の他端側に駆動輪である後輪WRが回転可能に取り付けられると共に、後部フレーム6に取り付けられたリヤクッションにより吊り下げられている。
【0023】
車体フレーム10の外周は車体カバー13で覆われ、車体カバー13の後方かつ上面には搭乗者が着座するシート14が固定されている。シート14よりも前方には搭乗者が足を置くステップフロア15が形成されている。シート14の下方には、ヘルメットや荷物等を収納するためのユーティリティスペースとして機能する収納ボックス100が設けられている。
【0024】
図2は、上記したハイブリッド車両のシステム構成を示したブロック図であり、前記パワーユニット11は、エンジン20と、エンジン始動機および発電機として機能するACGスタータモータ21aと、クランク軸22に連結されてエンジン20の動力を後輪WRへ伝達する無段変速機(動力伝達手段)23と、前記無段変速機23を変化させる変速モータ77と、クランク軸22と無段変速機23の入力軸との間の動力伝達を断接させる発進クラッチ40と、発動機または発電機として機能する駆動モータ21bと、エンジン20および駆動モータ21bから後輪WR側には動力を伝達するが、後輪WRからエンジン20側には動力を伝達しない一方向クラッチ44と、無段変速機23の出力を減速して後輪WRに伝達する減速機構69とを備え、これらをパワーユニットケース内に収容して構成される。
【0025】
エンジン20の動力は、クランク軸22から発進クラッチ40、無段変速機23、一方向クラッチ44、駆動軸60および減速機構69を介して後輪WRに伝達される。他方、駆動モータ21bの動力は、駆動軸60および減速機構69を介して後輪WRに伝達される。つまり、本実施形態では駆動軸60が駆動モータ21bの出力軸を兼ねている。
【0026】
ACGスタータモータ21aおよび駆動モータ21bにはバッテリ74が接続されている。このバッテリ74は、駆動モータ21bが発動機として機能する際、およびACGスタータモータ21aが始動機として機能する際は、これらモータ21a、21bに電力を供給し、ACGスタータモータ21aおよび駆動モータ21bが発電機として機能する際は、これらの回生電力が充電されるように構成されている。
【0027】
エンジン20の吸気管16内には空気量を制御するスロットルバルブ17が回動自在に設けられている。このスロットルバルブ17は、搭乗者が操作するスロットルグリップ(不図示)の操作量に応じて回動される。スロットルバルブ17とエンジン20との間には、燃料を噴射するインジェクタ18と、吸気管内の負圧を検出する負圧センサ19が配設されている。
【0028】
次に、図3を参照しながらエンジン20および駆動モータ21bを含むパワーユニット11の構成について説明する。
【0029】
エンジン20は、クランク軸22にコンロッド24を介して連結されたピストン25を備えている。ピストン25は、シリンダブロック26に設けられたシリンダ27内を摺動可能であり、シリンダブロック26はシリンダ27の軸線が略水平になるように配設されている。シリンダブロック26の前面にはシリンダヘッド28が固定され、シリンダヘッド28およびシリンダ27ならびにピストン25で混合気を燃焼させる燃焼室20aが形成されている。
【0030】
シリンダヘッド28には、燃焼室20aへの混合気の吸気または排気を制御するバルブ(不図示)と、点火プラグ29とが配設されている。バルブの開閉は、シリンダヘッド28に軸支されたカム軸30の回転により制御される。カム軸30は一端側に従動スプロケット31を備え、従動スプロケット31とクランク軸22の一端に設けた駆動スプロケット32との間には無端状のカムチェーン33が掛け渡されている。カム軸30の一端には、エンジン20を冷却するウォータポンプ34が設けられている。ウォータポンプ34は、その回転軸35がカム軸30と一体に回転するように取り付けられている。したがって、カム軸30が回転するとウォータポンプ34を稼動させることができる。
【0031】
クランク軸22を軸支してパワーユニットケースの一部をなすクランクケース48の車幅方向右側にはステータケース49が連結されており、その内部にACGスタータモータ21aが収納されている。このACGスタータモータ21aは、いわゆるアウターロータ形式のモータであり、そのステータ51は、ステータケース49に固定されたティースに導線を巻き掛けたコイル50から構成される。
【0032】
一方、アウターロータ52はクランク軸22に固定されており、ステータの外周を覆う略円筒形状を有している。また、アウターロータ52の内周面にはマグネット53が配設されている。前記クランク軸22の車幅方向右側の端部には、ACGスタータモータ21aを冷却するためのファン54aが、アウターロータ52のヨーク52aとの間に通気用の間隙を設けて取り付けられており、このファン54aがクランク軸22に同期して回転すると、ステータケース49のカバー55の側面55aに形成された冷却風取入口39から冷却用の空気がパワーユニットケース内に取り入れられる。
【0033】
クランクケース48の車幅方向左側には、パワーユニットケースの一部をなす伝動ケース59が連結されており、その内部にはクランク軸22の左端部に固定されたファン54b、発進クラッチ40を介してクランク軸22に駆動側が連結された無段変速機23、無段変速機23の従動側に連結された駆動モータ21bが収納されている。ファン54bは、伝動ケース59内に収容された無段変速機23および駆動モータ21bを冷却するものであり、無段変速機23に対して駆動モータ21bと同側、すなわち、本実施例では共に車幅方向左側に配置されている。
【0034】
無段変速機23は、クランクケース48から車幅方向に突出したクランク軸22の左端部に発進クラッチ40を介して装着された駆動側伝動プーリ58と、クランク軸22と平行な軸線を持って伝動ケース59に軸支された駆動軸60に一方向クラッチ44を介して装着された従動側伝動プーリ62との間に、無端状のVベルト(無端ベルト)63を巻き掛けて構成されるベルトコンバータである。
【0035】
駆動側伝動プーリ58は、図4の要部拡大図に示すように、スリーブ58dを介してクランク軸22に対して周方向への回転自在に装着されており、スリーブ58d上に固着された駆動側固定プーリ半体58aと、スリーブ58dに対して、その軸方向へは摺動可能であるが周方向へは回転不能に取り付けられた駆動側可動プーリ半体58cとを備える。前記駆動側可動プーリ半体58cには、軸受け56を介して変速リング57が回転自在に取り付けられている。
【0036】
前記変速リング57には、その外周大径部にギヤ61が周方向に沿って形成されると共に、内周には軸方向に沿って台形ネジ65が形成されている。前記台形ネジ65には、軸受け66を介して前記スリーブ58dに対して周方向へは回転自在であるが軸方向へは摺動不能に取り付けられた台形ネジ67が噛合している。前記変速リング57のギヤ61にはウォームホイール75が噛合し、このウォームホイール75には、変速比を制御する変速モータ77の回転軸に連結されたウォームギヤ76が噛合している。
【0037】
他方、従動側伝動プーリ62は、スリーブ62dを介して駆動軸60に、その軸方向の摺動は規制されているが周方向には回転自在に取り付けられた従動側固定プーリ半体62aと、スリーブ62d上に、その軸方向への摺動可能に取り付けられた従動側可動プーリ半体62bとを備える。
【0038】
そして、これら駆動側固定プーリ半体58aと駆動側可動プーリ半体58cとの間、および従動側固定プーリ半体62aと従動側可動プーリ半体62bとの間にそれぞれ形成された断面略V字状のベルト溝に、無端状の5ベルト63が巻き掛けられている。従動側可動プーリ半休62bの背面側(車幅方向左側)には、従動側可動プーリ半体62bを従動側固定プーリ半体62a側に向けて常時付勢するスプリング(弾性部材)64が配設されている。
【0039】
無段変速機23の変速比を変化させる際は、変速モータ77を変速比のアップ/ダウンに応じた方向へ駆動する。変速モータ77の駆動力はウォームギヤ76およびウォームホイール75を介して変速リング57のギヤ61に伝達され、この変速リング57を回転させる。変速リング57は台形ネジ65、67を介してスリーブ58dと噛合しているので、その回転方向がシフトアップ方向であれば、変速リング57はクランク軸22上を図中左方向へ移動し、これに伴って駆動側可動プーリ半体58cが駆動側固定プーリ半休58a側に摺動する。
【0040】
この摺動した分だけ駆動側可動プーリ半体58cが駆動側固定プーリ半体58aに近接し、駆動側伝動プーリ58の溝幅が減少するので、駆動側伝動プーリ58と5ベルト63との接触位置が駆動側伝動プーリ58の半径方向外側にずれ、5ベルト63の巻き掛け径が増大する。これに伴い、従動側伝動プーリ62においては、従動側固定プーリ半体62aと従動側可動プーリ半体62bとにより形成される溝幅が増加する。つまり、クランク軸22の回転数に応じて、Vベルト63の巻き掛け径(伝達ピッチ径)が連続的に変化し、変速比が自動的かつ無段階に変化する。
【0041】
発進クラッチ40は、上記スリーブ58dに固着されたカップ状のアウタケース40aと、クランク軸22の左端部に固着されたアウタプレート40bと、アウタプレート40bの外周部にウェイト40cを介して半径方向外側を向くように取り付けられたシュー40dと、シュー40dを半径方向内側に付勢するためのスプリング40eとを備えて構成されている。
【0042】
エンジン回転数、すなわちクランク軸22の回転数が所定値(例えば、3000rpm)以下の場合には、クランク軸22と無段変速機23との間の動力伝達は発進クラッチ40により遮断されている。エンジン回転数が上昇し、クランク軸22の回転数が上記所定値を越えると、ウェイト40cに働く遠心力がスプリング40eにより半径方向内側に働く弾性力に抗し、ウェイト40cが半径方向外側に移動することによって、シュー40dがアウタケース40aの内周面を所定値以上の力で押圧される。これにより、クランク軸22の回転がアウタケース40aを介してスリーブ58dに伝達され、該スリーブ58dに固定された駆動側伝動プーリ58が駆動される。
【0043】
一方向クラッチ44は、カップ状のアウタクラッチ44aと、このアウタクラッチ44aに同軸に内挿されたインナクラッチ44bと、このインナクラッチ44bからアウタクラッチ44aに対して一方向のみ動力を伝達可能にするローラ44cとを備えている。アウタクラッチ44aは、駆動モータ21bのインナーロータ本体を兼ね、インナーロータ本体と同一部材で構成されている。インナクラッチ44bの内周と駆動軸60とは互いにスプライン結合されている。
【0044】
無段変速機23の従動側伝動プーリ62に伝達されたエンジン20側からの動力は、従動側固定プーリ半体62a、インナクラッチ44b、アウタクラッチ44aすなわちインナーロータ本体、駆動軸60および減速機構69を介して後輪WRに伝達されるのに対して、車両押し歩きの際や回生動作時等における後輪WR側からの動力は、減速機構69、駆動軸60、インナーロータ本体すなわちアウタクラッチ44aまでは伝達されるが、このアウタクラッチ44aがインナクラッチ44bに対して空転するので、無段変速機23およびエンジン20に伝達されることはない。
【0045】
図3へ戻り、減速機構69は、伝動ケース59の後端部右側に連なる伝達室70内に設けられており、駆動軸60および後輪WRの車軸68と平行に軸支された中間軸73を備えると共に、駆動軸60の右端部および中間軸73の中央部にそれぞれ形成された第1の減速ギヤ対71と、中間軸73および車軸68の左端部にそれぞれ形成された第2の減速ギヤ対72とを備えて構成されている。このような構成により、駆動軸60の回転は所定の減速比にて減速され、これと平行に軸支された後輪WRの車軸68に伝達される。
【0046】
次いで、本実施形態における冷却構造について、前記図4および図5,6を参照して説明する。図5はパワーユニット11を車幅方向左側から見込んだ側面図であり、図6は、前記ACGスタータモータ21a近傍の要部拡大図である。
【0047】
図4、5に示したように、伝動ケース59の前記ファン54bに隣接する左側面には、エアフィルタ41を備えた伝動ケースカバー59aが装着され、伝動ケースカバー59aの車体後側と伝動ケース59との間には通気用の間隙が確保されている。伝動ケースカバー59aには、前記間隙部に面して冷却風取入口59bが形成されている。クランク軸22に同期してファン54bが回転すると、前記冷却風取入口59bから伝動ケースカバー59a内に外気が取り入れられ、エアフィルタ41で濾過された後に伝動ケース59内に導入され、無段変速機23が強制的に冷却される。その後、この冷却気は一部が中央部排気口42から伝動ケース59外へ排出され、それ以外は無段変速機23の従動側へ導かれる。
【0048】
従動側では、伝動ケース59の駆動モータ21bに隣接する側面に排気口43が開口されており、その表面には所定の間隙を確保して伝動ケースカバー46が装着されている。前記排気口43は、駆動モータ21bのステータ84とロータ83との間隙を介して前記駆動側の冷却風取入口59bと連通しているので、この冷却風取入口59bから取り入れられた冷却気は、駆動モータ21bのステータ84およびロータ83の間隙を抜けることで駆動モータ21bを冷却し、その後、前記排気口43から外部へ排出される。
【0049】
図6を参照し、ACGスタータモータ21aのアウターロータ52において、そのヨーク52aには通気口85が開口されている。さらに、本実施形態ではモータケース86の側面にも排気口87が開口されている。ACGスタータモータ21aに同期してファン54aが回転すると、カバー55の側面55aに形成された冷却風取入口39から外気が取り入れられ、ACGスタータモータ21aを冷却して前記排気口87から外部へ排出される。また、本実施形態ではアウターロータ52のヨーク52aとファン54aとが所定の間隙dを確保して対向配置されているので、冷却風取入口39から取り入れられた外気がACGスタータモータ21aを冷却して、前記ヨーク52aに開口された通気口85から前記ヨーク52aとファン54aとの間隙を経由して通排気口87から外部へ排気されるので、ACGスタータモータ21aを効率良く冷却できるようになる。
【0050】
なお、上記した実施形態では、冷却風取入口59bから伝動ケースカバー59a内に導入されたた冷却風が、排気口42,43から排気されるものとして説明したが、排気口42を塞ぐことにより、伝動ケースカバー59a内に導入された冷却風の全てが排気口43から排気されるようにしても良い。
【0051】
このように、伝動ケースカバー内59a内に導入された冷却風の全てを排気口43から排出させれば、駆動モータ21bに供給される冷却風の量が多くなるので、駆動モータ21をさらに効率良く冷却させることができる。
【0052】
あるいは、排気口42をバイメタル等の熱感知性部材によって開閉動作する蓋体で覆い、伝動ケースカバー59a内が所定温度以下であれば排気口42を閉じ、伝動ケースカバー59a内が所定温度を越えると排気口42を開くように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係るハイブリッド車両の一実施例による二輪車の側面図である。
【図2】図1に示す二輪車のシステム構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す二輪車のパワーユニットの断面図である。
【図4】図3の要部拡大図である。
【図5】図5の側面図である。
【図6】図3の要部拡大図である。
【符号の説明】
【0054】
11…パワーユニット、20…エンジン、21b…駆動モータ、23…無段変速機、41…フィルタ、43,87…排気口、44…一方向クラッチ、52a…ロータヨーク、46,59a…伝動ケースカバー、59b…冷却風取入口、60…駆動軸、77…変速モータ、85…通気口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両のモータ冷却構造において、
駆動輪に連結された駆動モータと、
前記駆動モータおよびその動力伝達機構を収容するパワーユニットケースと、
前記パワーユニットケース内へ外気を冷却気として導入する吸気口と、
前記駆動モータの近傍に設けられた排気口とを具備し、
前記吸気口と排気口とが、前記駆動モータのステータとロータとの間隙を介して連通していることを特徴とする電動車両のモータ冷却構造。
【請求項2】
前記排気口が車両の側面視において前記駆動モータの投影領域内に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の電動車両のモータ冷却構造。
【請求項3】
前記排気口を所定の間隙を隔てて覆うカバー部材を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の電動車両のモータ冷却構造。
【請求項4】
駆動プーリおよび従動プーリを無端ベルトで連結して構成される無段変速機と、
前記駆動プーリと同軸状に設けられた吸気ファンと、
前記駆動モータと従動プーリとを同軸状に連結する駆動軸とが、前記パワーユニットケース内にさらに収容され、
前記吸気口が前記吸気ファンの近傍に設けられたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の電動車両のモータ冷却構造。
【請求項5】
電動車両のモータ冷却構造において、
ステータの外周側にロータが配置されるアウターロータ型モータと、
前記ロータのヨークと回転軸方向に対向し、当該ロータと同軸状に連結されたファンとを含み、
前記ロータのヨークとファンとの間に所定の間隙が設けられたことを特徴とする電動車両のモータ冷却構造。
【請求項6】
前記ロータのヨークに通気口が開口されたことを特徴とする請求項5に記載の電動車両のモータ冷却構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−50809(P2006−50809A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−229416(P2004−229416)
【出願日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】