説明

電動車両

【課題】バッテリケースの揺動による異音の発生を抑制する。
【解決手段】前輪3及び後輪8を備えた車体と、前輪3又は後輪8を駆動する電動駆動源と、電動駆動源に給電するためのバッテリを内蔵するバッテリケース25と、車体に配設され、バッテリケース25の下部を車幅方向へ回動自在に保持する下部固定装置16と、車体に配設され、バッテリケース25の上部を所定位置で固定する上部固定装置23とを備え、上部固定装置23は、車体に固定される取付部20と、取付部20から出没自在に支持されるスライドピン22と、スライドピン22をバッテリケース25に向かって付勢する付勢手段とを有し、スライドピン22の先端形状を、先端になるに従って小径となる形状に形成し、バッテリケース25には、スライドピン22の先端が嵌合するスライトピン22の先端形状と略同形状の嵌合部31を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アシスト自転車や電動二輪車等の電動車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電動車両には、電動アシスト自転車や電動二輪車等があり、例えば、特許文献1に示される電動アシスト自転車が知られている。特許文献1の電動アシスト自転車は、後輪に電動駆動源としてハブモータが配設され、シートチューブと後輪との間にバッテリケースが配設され、バッテリケース内には、ハブモータへの電力供給を行うためのバッテリが内蔵されている。また、シートチューブと後輪との間には、バッテリケースを電動アシスト自転車の車体の所定位置に保持するために、バッテリケースの下部を保持する下部固定装置と、バッテリケースの上部を保持する上部固定装置とを備えている。
【0003】
下部固定装置は、バッテリケースを、車幅方向に回動自在にバッテリケースの下部を保持するように構成され、上部固定装置は、下方へ向けて付勢されるスライドピンを備えている。
【0004】
バッテリケース上面には、バッテリケース下部を下部固定装置に保持させて車幅方向へ回動させた際に、スライドピンと対応する位置に誘導溝が形成されている。また、誘導溝内には、スライドピンと係合して、バッテリケースの車幅方向への回動を規制する係合爪部が形成されている。
【0005】
この構成により、上部固定装置のスライドピンをバッテリケース上面の係合爪部に係合させてバッテリケースの装着方向への脱落するのを防止すると共に、スライドピンをバッテリケースの誘導溝側壁に当接させることによりバッテリケースの車幅方向への回動を阻止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−231493
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の構成では、スライドピンを係合爪部に係合させた状態で、係合爪部と誘導溝側壁とにスライドピンが当接することで、バッテリケースの脱落を防止する構成であるため、組立精度や寸法精度を考慮して、スライドピンの幅寸法より係合爪部と誘導溝側壁との間の間隔を大きく形成している。そのため、未舗装の道路のように路面状態が悪く、凹凸がある路面を走行する際等には、走行中の震動によりバッテリケースが車幅方向へ揺動し、係合爪部及び誘導溝側壁とスライドピンとが衝突し、異音が発生する虞があった。特に、寸法誤差等によりスライドピンの幅寸法より係合爪部と誘導溝側壁との間隔が大きくなる場合には、バッテリケースの車幅方向への移動量が大きくなり、異音の発生が多く、その音も大きくなる傾向がある。
【0008】
本発明は、上記問題を解決し、走行中の異音の発生を低減させることができる電動車両を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第一の発明は、前輪及び後輪を備えた車体と、前記前輪又は後輪を駆動する電動駆動源と、該電動駆動源に給電するためのバッテリを内蔵するバッテリケースと、前記車体に配設され、前記バッテリケースの下部を車幅方向へ回動自在に保持する下部固定装置と、前記車体に配設され、前記バッテリケースの上部を所定位置で固定する上部固定装置とを備え、該上部固定装置は、前記車体に固定される取付部と、該取付部から出没自在に支持されるスライドピンと、該スライドピンを前記バッテリケースに向かって付勢する付勢手段とを有し、前記スライドピンの先端形状を、先端になるに従って小径となる形状に形成し、前記バッテリケースには、前記スライドピンの先端が嵌合するスライトピンの先端形状と略同形状の嵌合部を有することを特徴とする。
【0010】
前記スライドピンは、先端が略円錐形状に形成されることが好ましい。
【0011】
または、前記スライドピンは、先端の車幅方向断面が略三角形状に形成されることが好ましい。
【0012】
第二の発明は、前輪及び後輪を備えた車体と、前記前輪又は後輪を駆動する電動駆動源と、該電動駆動源に給電するためのバッテリを内蔵するバッテリケースと、前記車体に配設され、前記バッテリケースの下部を車幅方向へ回動自在に保持する下部固定装置と、前記車体に配設され、前記バッテリケースの上部を所定位置で固定する上部固定装置とを備え、該上部固定装置は、前記バッテリケース上部の回動方向先行側の側面と対向するカバーとを有し、該カバーと前記バッテリケースとの相対向する面の一方に磁石を、他方に磁性体を配設することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、バッテリケースを所定位置に保持した状態を確実に維持することができ、寸法誤差や組立誤差が生じた場合であっても、バッテリケースを確実に保持することができ、バッテリケースの揺動による異音の発生を抑制することができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第一実施形態における電動車両の側面図である。
【図2】同バッテリケースの着脱を示す斜視図である。
【図3】同バッテリケースの着脱を示す側面図である。
【図4】同バッテリケースが車体に固定された様子を示す側面図である。
【図5】同下部固定装置の上面図である。
【図6】同バッテリケースの上面図である。
【図7】第二実施形態におけるバッテリケースの着脱を示す側面図である。
【図8】第三実施形態におけるバッテリケースの着脱を示す側面図である。
【図9】同バッテリケースが車体に固定された状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の第一実施形態を図1乃至図6に基づいて以下に詳述する。
【0016】
図1に示すように、1は上端にハンドル2が設けられ、下端に前輪3を支持するフロントパイプ、4は前記フロントパイプ1を回動自在に保持するメインフレームで、後方へ延出している。5は前記メインフレーム4の後端に溶接され、上方斜め後方に延出するシートチューブで、上端に座部としてサドル6が配設されている。7は前記シートチューブ5の下部に溶接され、後方へ延出する一対のチェーンステイで、後端側で後輪8を保持している。9は一端が前記シートチューブ5上部に溶接されるシートステイで、他端が前記チェーンステイ7後端に接続されている。前記フロントパイプ1と、前記メインフレーム4と、前記シートチューブ5と、前記チェーンステイ7と、前記シートステイ9とで自転車フレーム、すなわち車体を構成している。
【0017】
10は前記シートチューブ5下端に車幅方向に貫通するクランク軸で、該クランク軸10にはペダル11と、チェーンリング12とが配設されている。13は前記後輪8の回転軸に備えられるスプロケットで、該スプロケット13と前記チェーンリング12とにチェーン14が架設される。この構成により、ペダル11を漕ぐことで、チェーン14を介して、チェーンリング12の回転がスプロケット13に伝達され、後輪8が回転するようになっている。
【0018】
15は前記前輪3に電動駆動源として配設されるハブモータで、前記クランク軸10に設けた図示しないトルクセンサにより前記ペダル11に加わる踏力を検出し、トルクセンサの出力に基づいて図示しない制御回路が踏力に応じて前記ハブモータ15を制御し、人力による走行をアシストすることができるようになっている。
【0019】
図5に示すように、16は前記シートチューブ5と前記後輪8との間に位置する下部固定部で、一端側を前記シートチューブ5に近接させて前記チェーンステイ7に固定される。前記下部固定装置16には、保持壁17が前記チェーンリング12の反対側の面を開口するように略コ字状に上方に向かって突出形成されており、前記シートチューブ5側と前記後輪8側の保持壁17には、相対向する面に切込部18が形成されている。また、前記保持壁17に囲まれた空間には、前記ハブモータ15及び制御回路等と電気的に接続される接続端子19が上方に向かって突設されている。
【0020】
20は前記シートチューブ5の上部に固定される取付部で、筒状のスリーブ21を下方に向かって突設している。22は前記取付部20内に支持され、先端部が略円錐形状に形成された略円柱形状のスライドピンで、前記取付部20内に配設された図示しない付勢手段により下方に向かって付勢され、前記スリーブ21にガイドされた状態で、下方に向かって出没自在に支持されている。前記取付部20、付勢手段、及びスライドピン22により上部固定装置23が構成されている。また、前記上部固定装置23の取付部20には、キー差込口24が設けられており、キーを差し込んで回転させることで、前記スライドピン22を付勢力に抗して上方へ押し上げられるように構成されている。
【0021】
図3乃至図4に示すように、25は縦長の略直方体形状のバッテリケースで、前記ハブモータ15や制御回路等への電力供給を行うためのバッテリとして、充電式電池(図示せず)が内蔵されている。前記バッテリケース25は、上端に把持部27が形成されており、バッテリケース25を容易に持ち運びできるようになっている。また、前記バッテリケース25底面には、前記バッテリケース内に内蔵されているバッテリと電気的に接続される接点(図示せず)が形成されている。
【0022】
図2及び図5に示すように、前記バッテリケース25の下端には、相対向する側面に枢支軸26が突設される装着部28が形成されており、該枢支軸26を前記保持壁17の前記シートチューブ5側と前記後輪8側の切込部18に係止させることができるようになっている。この構成により、バッテリケース25は、下部固定装置16の保持壁17の開口から装着部28を挿入し、保持壁17の切込部18に装着部28の枢支軸26を係止した状態で、枢支軸26と切込部18との係止部分を支点として車幅方向へ回動させることができる。
【0023】
前記バッテリケース25上面には、車幅方向へ誘導溝29が形成されており、該誘導溝29は、前記装着部28を前記下部固定装置16に保持させた状態で、前記バッテリケース25を車幅方向へ回動する際の回動方向先行側(以下、回動方向先行側と称し、反対側を回動方向後行側という)を開口しており、回動方向先行側から回動方向後行側に向かって漸次溝幅が幅狭になるように構成されている。
【0024】
30は前記誘導溝29内に形成される突起部で、上面に嵌合部31が凹設されている。前記嵌合部31は、底部が前記スライドピン22の先端が略合致する略円錐形状に形成され、内径が前記スライドピン22の外径より少許大径に形成されており、前記バッテリケース25を取り外す方向に力が加えられた際に、スライドピン22側面が嵌合部31内面に当接してバッテリケース25の回動を阻止するように構成されている。
【0025】
32は前記誘導溝29の溝底から前記突起部30の上端まで繋ぐように漸次高さが高くなるように形成された傾斜リブで、前記スライドピン22をバッテリケース25の回動に伴って誘導溝29底面から突起部30の上面に案内するようになっている。33は前記突起部30の上面の回動方向後行側に形成される回動規制リブで、前記誘導溝を塞ぐように形成されている。この構成により、長期使用により塵埃が付着する等によって、スライドピン22の摺動性が悪くなるなどの原因によって、スライドピン22が突起部30の嵌合部31を乗り越えた際に、前記上部固定装置23取付部20のスリーブ21側面が当接してバッテリケース25の回動を規制するようになっている。
【0026】
而して、バッテリケース25の装着部28を下部固定装置16に保持させて、車幅方向へ回動させると、上部固定装置23のスライドピン22が、バッテリケース25上面の誘導溝29に案内される。さらにバッテリケース25を回動させることで、誘導溝29内に形成された傾斜リブ32により、スライドピン22が突起部30の上面に案内され、スライドピン22と嵌合部31とが嵌合する。スライドピン22と嵌合部31との嵌合により、バッテリケース25が、下部固定装置16及び上部固定装置23によってシートチューブ5と後輪8との間の所定位置に固定される。バッテリケース25が所定位置に固定されると、バッテリは接続端子19を介して、ハブモータ15等と電気的に接続される。
【0027】
誘導溝29は回動方向先行側から回動方向後行側に向かって漸次溝幅が幅狭に形成されているため、バッテリケース25を回動させる際、スリーブ21が誘導溝29側面によって案内されて、スライドピン22と嵌合部31との位置あわせを容易に、且つ確実にできる。
【0028】
また、スライドピン22の先端は略円錐形状に形成され、嵌合部31はスライドピン22の先端形状にほぼ合致する略円錐形状に形成されているので、嵌合部31にスライドピン22が挿入されると、夫々の傾斜面によって、スライドピン22と嵌合部31とが完全に嵌合する位置まで確実に案内される。スライドピン22が付勢手段により嵌合部31に嵌合する方向に付勢されているため、走行時にバッテリケース25に振動が加わっても、スライドピン22が嵌合部31に嵌合した状態が維持され、バッテリケース25を確実に保持することができ、異音の発生を抑制することができる。
【0029】
さらに、スライドピン22を付勢手段により付勢する構成とすることで、バッテリケース25と上部固定装置23との間に上下方向に組立誤差や寸法誤差が生じても、スライドピン22の上部固定装置23からの突出代寸法内の誤差であれば、スライドピン22の先端を嵌合部31に確実に嵌合させることができ、バッテリケース25を車体に確実に固定することができ、バッテリケース25と上部固定装置23との間に生じる上下方向の組立誤差や寸法誤差による装着不良を解消することができる。
【0030】
バッテリケース25を取り外す方向に大きな力が加えられた際には、スライドピン22側面が嵌合部31内面に当接してバッテリケース25の回動を阻止し、バッテリケース25が不用意に脱落するのを防止すると共に、バッテリケース25の盗難を防止している。バッテリケース25を取り外す際には、キー差込口24にキーを差し込み回転して、スライドピン22を上方へ移動させてスライドピン22の嵌合部31への係合を外すことにより、バッテリケース25を車幅方向へ回動し、車体から取り外しを可能としている。
【0031】
以上の通り、例えば、未舗装の道路のように路面状態が悪く、凹凸がある路面を走行する際にも、走行中の震動によるバッテリケース25の揺動を防止することができる。また、寸法精度や組立精度に誤差があっても確実にバッテリケースを固定することができる。従って、スライドピン22と誘導溝29壁面や嵌合部31との衝突を防ぐことができ、走行中の異音の発生を低減させることができるようになっている。
【0032】
尚、上記第一実施形態では、スライドピン22の先端形状を円錐としているが、角錐等のように先端になるに従って小径となる形状に形成であってもよい。円錐や多角形の角錐であると、さまざまな向きに斜面を有する形状であるため、例えば、寸法誤差や組立誤差等により、バッテリケース25が上部固定装置23に対して、車幅方向以外の方向に傾いた状態で下部固定装置16に保持される場合でも、スライドピン22と嵌合部31とが完全に嵌合する位置まで確実に案内させることができる。
【0033】
また、上記第一実施形態では、スライドピン22の先端形状と嵌合部31の形状をほぼ合致する形状に形成しているが、スライドピン22の先端がなす角度より、嵌合部31の角度を大きく形成しても良い。
【0034】
次に、本発明の第二実施形態を図7に基づいて以下に詳述する。尚、上述した第一実施形態と同一部品は同一符号を附して説明を省略する。
【0035】
図7に示すように、前記取付部20に備えられたスライドピン34は、先端が車幅方向断面を略三角形状に形成された角柱形状に形成される。35は前記バッテリケース25上面に形成され、前記スライドピン34の先端形状に略合致する形状に形成される嵌合部である。
【0036】
スライドピン34と嵌合部35は、車幅方向の両側面に傾斜面が形成されているため、嵌合部35にスライドピン34が挿入されると、夫々の傾斜面によって、スライドピン34と嵌合部35とが完全に嵌合する位置まで確実に案内される。スライドピン34は付勢手段により嵌合部35に嵌合する方向に付勢されているため、走行時にバッテリケース25に振動が加わっても、スライドピン34が嵌合部35に嵌合した状態が維持され、バッテリケース25を確実に保持することができる。
【0037】
また、スライドピン34を付勢手段により付勢する構成とすることで、バッテリケース25と上部固定装置23との間に上下方向に組立誤差や寸法誤差が生じても、スライドピン34の上部固定装置23からの突出代寸法内の誤差であれば、スライドピン34の先端を嵌合部35に確実に嵌合させることができ、バッテリケース25を車体に確実に固定することができ、バッテリケース25と上部固定装置23との間に生じる上下方向の組立誤差や寸法誤差による装着不良を解消することができる。
【0038】
さらに、スライドピン34の先端形状を、車幅方向断面においてのみ、先端になるにつれて小径となる形状とすることで、スライドピンの強度を第一実施形態よりも向上させることができる。
【0039】
以上の通り、例えば、未舗装の道路のように路面状態が悪く、凹凸がある路面を走行する際にも、走行中の震動によるバッテリケース25の揺動を防止することができる。また、寸法精度や組立精度に誤差があっても確実にバッテリケース25を固定することができる。従って、スライドピン34と誘導溝29壁面や嵌合部35との衝突を防ぐことができ、走行中の異音の発生を低減させることができるようになっている。
【0040】
尚、第一実施形態及び第二実施形態では、スライドピン22、34は上下動するように構成されているが、車体の前後方向に摺動する構成としても良い。具体的には、バッテリケース側面に断面略T字状の誘導溝を形成し、上部固定装置に誘導溝内に挿入される略T字状のスリーブを形成し、スリーブからスライドピンを車体の前後方向に突出する構成等がある。この構成によると、上部固定装置の略T字状のスリーブを誘導溝に挿入することで、バッテリケースの車体の後方側への回動を阻止し、スライドピンを誘導溝の嵌合部に嵌合させてバッテリケースの脱落を防止することができる。
【0041】
次に、本発明の第三実施形態を図8乃至図9に基づいて以下に詳述する。尚、上述した実施形態と同一部品は同一符号を附して説明を省略する。
【0042】
36は前記誘導溝29に溝底から垂直に立設される係止リブ、37は該係止リブ36の回動方向先行側に隣接して形成される傾斜リブで、前記誘導溝29の溝底から前記係止リブ36の上端まで繋ぐように漸次高さが高くなるように形成される。38は前記取付部20のスリーブ21に対して出没自在に構成されるスライドピンで、前記係止リブ36と係合して前記バッテリケース25の車幅方向への回動を規制できるよう構成されている。
【0043】
図8乃至図9に示すように、前記取付部20には、前記チェーンリング12側にカバー39が備えられている。前記カバー39は、前記バッテリケース25が所定位置に固定されている状態で、前記バッテリケース25上部の回動方向先行側の側面に近接して対向するように構成されている。前記バッテリケース25側面には、磁性体40が配置され、前記カバー39の前記磁性体40と対向する位置に、磁性体40に吸着する磁石41が配置されている。
【0044】
この構成によると、バッテリケース25が、下部固定装置16及び上部固定装置23を介して、所定位置に固定された状態で、磁石41と磁性体40が吸着するので、係止リブ36及び誘導溝29壁面とスライドピン38との間に隙間が生じた場合でも、バッテリケース25の揺動を抑制することができ、異音の発生を防止することができる。
【0045】
尚、上記第三実施形態では、前記カバー39に前記磁石41を配設し、前記バッテリケースに前記磁性体40を配設したが、逆であっても良く、また、バッテリケースとカバーの両方に磁石を配設しても良い。
【0046】
また、カバー39は、バッテリケース25が所定位置に固定される際、バッテリケース25の誘導溝29の開口を覆うため、誘導溝29内に塵埃が入り込み、バッテリケース25上面が汚れることを防止することができる。また、誘導溝29を介してスライドピン38に塵埃を含んだ水が侵入するのを防止することができ、スライドピン38に塵埃が付着してスライドピン38の摺動性が低下するのを防止することができる。
【0047】
尚、上記第一実施形態乃至第三実施形態では、人力による走行をアシストする電動駆動源として、前輪3にハブモータ15を配設する構成としているが、後輪8にハブモータを配設する構成であってもよい。また、前輪3又は後輪8を駆動する電動駆動源は、ハブモータ以外の電動式駆動源を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、電動アシスト自転車や電動二輪車等の電動車両に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 フロントパイプ
2 ハンドル
3 前輪
4 メインフレーム
5 シートチューブ
6 サドル
7 チェーンステイ
8 後輪
9 シートステイ
10 クランク軸
11 ペダル
12 チェーンリング
13 スプロケット
14 チェーン
15 ハブモータ
16 下部固定装置
17 保持壁
18 切込部
19 接続端子
20 取付部
21 スリーブ
22 スライドピン
23 上部固定装置
24 キー差込口
25 バッテリケース
26 枢支軸
27 把持部
28 装着部
29 誘導溝
30 突起部
31 嵌合部
32 傾斜リブ
33 回動規制リブ
34 スライドピン
35 嵌合部
36 係止リブ
37 傾斜リブ
38 スライドピン
39 カバー
40 磁性体
41 磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪及び後輪を備えた車体と、前記前輪又は後輪を駆動する電動駆動源と、該電動駆動源に給電するためのバッテリを内蔵するバッテリケースと、前記車体に配設され、前記バッテリケースの下部を車幅方向へ回動自在に保持する下部固定装置と、前記車体に配設され、前記バッテリケースの上部を所定位置で固定する上部固定装置とを備え、
該上部固定装置は、前記車体に固定される取付部と、該取付部から出没自在に支持されるスライドピンと、該スライドピンを前記バッテリケースに向かって付勢する付勢手段とを有し、前記スライドピンの先端形状を、先端になるに従って小径となる形状に形成し、
前記バッテリケースには、前記スライドピンの先端が嵌合するスライトピンの先端形状と略同形状の嵌合部を有することを特徴とする電動車両。
【請求項2】
前記スライドピンは、先端が略円錐形状に形成されることを特徴とする請求項1記載の電動車両。
【請求項3】
前記スライドピンは、先端が車幅方向断面を略三角形状に形成された角柱形状に形成されることを特徴とする請求項1記載の電動車両。
【請求項4】
前輪及び後輪を備えた車体と、前記前輪又は後輪を駆動する電動駆動源と、該電動駆動源に給電するためのバッテリを内蔵するバッテリケースと、前記車体に配設され、前記バッテリケースの下部を車幅方向へ回動自在に保持する下部固定装置と、前記車体に配設され、前記バッテリケースの上部を所定位置で固定する上部固定装置とを備え、
該上部固定装置は、前記バッテリケース上部の回動方向先行側の側面と対向するカバーとを有し、
該カバーと前記バッテリケースとの相対向する面の一方に磁石を、他方に磁性体を配設することを特徴とする電動車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−176714(P2012−176714A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41565(P2011−41565)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)