説明

電動車両

【課題】バッテリケースに、充電台と電源コードの両方から同時に充電電流が供給されるのを防止することを課題とする。
【解決手段】バッテリケース12を充電台20に装着した状態で、電源コード18の差込口19が形成されるバッテリケース12の収納部17底面と充電台20上面とが近接して対向するよう構成することにより、バッテリケース12の差込口19に電源コード18が差し込まれた状態で、バッテリケース12が充電台に装着されるのを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アシスト自転車や電動二輪車等の電動車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、蓄電池を内蔵したバッテリケースを車体に着脱自在に装着し、蓄電池からの給電によりモータを駆動して走行する電動アシスト自転車が知られているが、走行途中で、電力切れを起こす虞がある。
【0003】
そこで、バッテリケースの下部に充電器を一体的に装着可能に構成し、必要に応じて、充電器に電源コードを接続して商用電源からバッテリケース内の蓄電池を充電するものが提案された(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−33893
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の電動アシスト自転車は、充電器を装着した状態と、充電器を取り外した状態の両方の状態のバッテリケースを車体に装着可能に構成している。
【0006】
しかしながら、充電器を装着した状態と、取り外した状態とでは、バッテリケースの車体への取り付け位置が異なるため、バッテリケースを確実に固定することが困難であり、バッテリケースの不完全な装着による通電不良が発生したり、バッテリケースの盗難が生じる虞があった。
【0007】
そこで、バッテリケースを車体から取り外した状態では、従来通りバッテリケースを充電台に載置して充電を行い、車体に装着した状態では、電源コードをバッテリケースに接続して商用電源から充電を行うように構成することが考えられる。
【0008】
しかしながら、バッテリケースを充電台に載置した状態で、バッテリケースに電源コードが接続され、充電台と電源コードの両方からバッテリケースに充電電流が供給される誤使用が発生する虞があった。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、バッテリケースに、充電台と電源コードの両方から同時に充電電流が供給されるのを防止し得る電動車両を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1の構成は、車輪を駆動するモータと、車体に着脱自在に装着され、前記モータに給電する蓄電池を内蔵するバッテリケースと、該バッテリケースが着脱自在に装着され、前記蓄電池を充電する充電台とを備え、前記バッテリケースには、商用電源に接続される電源コードの差込口を設けると共に、前記充電台には、前記バッテリケースに電源コードが接続された状態で、電源コードに当接してバッテリケースの充電台への装着を阻止する阻止手段を形成することを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項2の構成は、車輪を駆動するモータと、車体に着脱自在に装着され、前記モータに給電する蓄電池を内蔵するバッテリケースと、該バッテリケースが着脱自在に装着され、前記蓄電池を充電する充電台とを備え、前記バッテリケースには、商用電源に接続される電源コードの差込口を設けると共に、前記充電台には、前記バッテリケースが装着された状態で、前記バッテリケースの差込口を覆い、前記差込口への電源コードの接続を阻止する阻止手段を形成することを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項3の構成は、車輪を駆動するモータと、車体に着脱自在に装着され、前記モータに給電する蓄電池を内蔵するバッテリケースと、該バッテリケースが着脱自在に装着され、前記蓄電池を充電する充電台とを備え、前記バッテリケースには、商用電源に接続される電源コードの差込口を設けると共に、前記バッテリケースを前記充電台に装着した状態で、前記バッテリケースの差込口への電源コードの接続を充電台により阻止すると共に、前記バッテリケースの差込口に電源コードを接続した状態で、前記充電台に電源コードを当接させることによりバッテリケースの充電台への装着を阻止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の構成によれば、充電台と電源コードの両方から同時にバッテリケースに充電電力が供給されるのを簡単な構成で、確実に防止することができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態における電動アシスト自転車を示す側面図である。
【図2】同電動アシスト自転車の充電状態を示す側面図である。
【図3】同充電台にバッテリケースを載置した状態を示す側面図である。
【図4】同電源コードを差し込んだ状態のバッテリケースを充電台に載置する状態を示す側面図である。
【図5】本発明の他の実施形態における電動アシスト自転車の同充電状態を示す側面図である。
【図6】同充電台にバッテリケースを載置した状態を示す側面図である。
【図7】同充電台にバッテリケースを載置した状態を他の方向から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態を図1乃至図4に基づいて以下に詳述する。
【0016】
図1及び図2に示すように、1は上端にハンドル2が設けられ、下端に前輪3を支持するフロントパイプ、4は前記フロントパイプ1を回動自在に保持するメインフレームで、後方へ延出している。5は前記メインフレーム4の後端に固定され、上方斜め後方に延出するシートチューブで、上端に座部としてサドル6が配設されている。7は前記シートチューブ5の下部に固定され、後方へ延出する一対のチェーンステイで、後端側で後輪8を保持している。9は一端が前記シートチューブ5上部に溶接されるシートステイで、他端が前記チェーンステイ7後端に接続されている。前記フロントパイプ1と、前記メインフレーム4と、前記シートチューブ5と、前記チェーンステイ7と、前記シートステイ9とで車体を構成している。
【0017】
10はペダルで、前記シートチューブ5下端に車幅方向に貫通するクランク軸に配設されたスプロケットと前記後輪8のスプロケットとの間に架設されたチェーン(いずれも図示せず)を介してペダル10の回転を後輪8に伝達している。
【0018】
11は前記前輪3に配設される電動駆動源としてのハブモータで、前記ペダル10に加わる踏力を図示しないトルクセンサにより検出し、トルクセンサの出力に基づいて図示しない制御回路が踏力に応じて前記ハブモータ11を駆動し、人力による走行をアシストすることができるようになっている。
【0019】
12は前記ハブモータ15や制御回路等への電力供給を行うための蓄電池を内蔵するバッテリケースで、下部固定装置13と、上部固定装置14により前記シートチューブ5と後輪8との間に着脱自在に装着されている。前記バッテリケース12は、上部に持ち運び用の把持部15が形成され、前記バッテリケース12下部には、蓄電池への充放電用端子16が配設されている。前記充放電端子16は、前記バッテリケース12を前記下部固定装置13と上部固定装置14により車体の所定位置に固定した状態で、前記下部固定装置13に配設した図示しない端子に電気的に接続され、前記ハブモータ11や制御回路等に給電する。
【0020】
17は前記バッテリケース12の後輪8側の側面に突出形成される収納部で、充電回路が収納されると共に、収納部17の底面に電源コード18が着脱自在に装着される差込口19が形成されており、差込口19に電源コード18を差し込むことにより、図2に示す如く、前記バッテリケース12を車体に装着した状態で、商用電源によってバッテリケース12内の蓄電池を充電可能としている。
【0021】
20は急速充電機能を有する充電回路を内蔵した充電台で、上面に前記バッテリケース12が着脱自在に装着される装着部21が凹設されている。前記装着部21底面には、充電端子22が配設されており、前記バッテリケース12が前記装着部21に装着された状態で、前記バッテリケース12の充放電端子16と充電端子22が電気的に接続され、バッテリケース12の蓄電池に充電するように構成されている。
【0022】
而して、図3に示す如く、バッテリケース12を車体から取り外し、充電台20に載置してバッテリケース12の蓄電池を充電する。また、図2に示す如く、バッテリケース12を車体に装着した状態で、電源コード18をバッテリケース12の差込口19に接続して、バッテリケース12の蓄電池を充電する。
【0023】
しかしながら、電源コード18を接続した状態のバッテリケース12を、充電台20に誤って載置する虞がある。この場合、充電台20からと電源コード18からの充電電力が蓄電池に供給されるため、予め設定された充電電力以上の電流が供給されることになり、蓄電池が劣化する虞があると共に、充電台20の充電回路とバッテリケース12の充電回路が相互の電気的な干渉により誤動作を生じる虞がある。
【0024】
本実施形態では、前記バッテリケース12を前記充電台20に装着した状態で、前記バッテリケース12の収納部17底面と充電台20上面とが近接して対向するよう構成されており、前記バッテリケース12の収納部17底面と前記充電台20上面との間隔と、前記充電台20の充電端子22の高さとを合計した寸法を、前記電源コード18のプラグ18aの長さより短く設定している。上記寸法関係に設定することにより、バッテリケース12に充電台20と電源コード18の両方が同時に接続されるのを阻止する阻止手段を構成している。
【0025】
この構成により、前記バッテリケース12の収納部17に形成した差込口19に電源コード18を差し込んだ状態で、誤って前記バッテリケース12を充電台20に装着しようとする際には、図4に示す如く、電源コード18のプラグ18aが充電台20の上面に当接して、バッテリケース12の充放電端子16と充電台20の充電端子22とが接続することがない。また、図3に示す如く、バッテリケース12を充電台20に載置した状態では、バッテリケース12の収納部17底面と充電台20上面とが近接して対向するため、収納部17の差込口19に電源コード18を差し込むのが阻止される。従って、充電台20と電源コード18の両方から同時にバッテリケース12に充電電力が供給されるのを確実に防止することができる。
【0026】
次に、本発明の第2実施形態を図5乃至図7に基づいて以下に詳述する。尚、上記実施形態と同一部品は同一符号を伏して説明を省略する。
【0027】
31はバッテリケース、32は前記バッテリケース31の後輪8側の側面に形成される差込口で、充電回路を内蔵した電源コード33が着脱自在に装着され、差込口32に電源コード33を差し込むことにより、前記バッテリケース31を車体に装着した状態で、商用電源によってバッテリケース*内の蓄電池を充電可能としている。
【0028】
34はリフレッシュ機能付きの充電回路を内蔵した充電台で、上面に充電台34に載置されたバッテリケース31の差込口32に対向して阻止部35が突出形成されており、該阻止部35は、充電台34に載置されたバッテリケース31の差込口32を覆うように構成している。より詳しくは、阻止部35は、差込口32に差し込まれた電源コード33のプラグが阻止部35に当接して充電台34の充電端子とバッテリケース31の充放電端子の接続を阻止し得る範囲を覆うように構成している。前記阻止部35を差込口32に対向して差込口32を覆うように形成することにより、バッテリケース31に充電台34と電源コード33の両方が同時に接続されるのを阻止する阻止手段を構成している。
【0029】
この構成により、阻止部35によりバッテリケース31の差込口32が覆われて差込口32に電源コード33が差し込まれるのが阻止される。また、バッテリケース31の差込口32に電源コード33のプラグを差し込んだ状態でバッテリケース31を充電台34に載置しようとすると、電源コード33のプラグが阻止部35に当接してバッテリケース31の充電台34へ載置が阻止される。従って、充電台34と電源コード33の両方から同時にバッテリケース31に充電電力が供給されるのを確実に防止することができる。
【0030】
本願発明は、バッテリケースを充電台に装着した状態で、バッテリケースの差込口への電源コードの接続を充電台により阻止すると共に、バッテリケースの差込口に電源コードを接続した状態で、充電台に電源コードを当接させることによりバッテリケースの充放電端子と充電台の充電端子との接続を阻止するものであり、種々構成の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、電動アシスト自転車や電動二輪車等の電動車両に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0032】
12 バッテリケース
16 充放電端子
17 収納部
18 電源コード
19 差込口
20 充電台
22 充電端子
31 バッテリケース
32 差込口
33 電源コード
34 充電台
35 阻止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪を駆動するモータと、車体に着脱自在に装着され、前記モータに給電する蓄電池を内蔵するバッテリケースと、該バッテリケースが着脱自在に装着され、前記蓄電池を充電する充電台とを備え、
前記バッテリケースには、商用電源に接続される電源コードの差込口を設け、
前記充電台には、前記バッテリケースに電源コードが接続された状態で、電源コードに当接してバッテリケースの充電台への装着を阻止する阻止手段を形成することを特徴とする電動車両。
【請求項2】
車輪を駆動するモータと、車体に着脱自在に装着され、前記モータに給電する蓄電池を内蔵するバッテリケースと、該バッテリケースが着脱自在に装着され、前記蓄電池を充電する充電台とを備え、
前記バッテリケースには、商用電源に接続される電源コードの差込口を設け、
前記充電台には、前記バッテリケースが装着されて状態で、前記バッテリケースの差込口を覆い、前記差込口への電源コードの接続を阻止する阻止手段を形成することを特徴とする電動車両。
【請求項3】
車輪を駆動するモータと、車体に着脱自在に装着され、前記モータに給電する蓄電池を内蔵するバッテリケースと、該バッテリケースが着脱自在に装着され、前記蓄電池を充電する充電台とを備え、
前記バッテリケースには、商用電源に接続される電源コードの差込口を設け、
前記バッテリケースを前記充電台に装着した状態で、前記バッテリケースの差込口への電源コードの接続を充電台により阻止すると共に、前記バッテリケースの差込口に電源コードを接続した状態で、前記充電台に電源コードを当接させることによりバッテリケースの充電台への装着を阻止することを特徴とする電動車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−214154(P2012−214154A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81398(P2011−81398)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)