説明

電動車両

【課題】電動コンプレッサ等の大型化を抑制する電動車両を提供する。
【解決手段】バッテリ18を用いて走行用モータを駆動制御するパワーコントロールユニット30と、エアコンコンプレッサ118とを備える電動車両において、一端がバッテリ18側に接続され、他端が、パワーコントロールユニット30内に設けられ、且つ、バッテリ18の直流電力を交流電力に変換する電力変換モジュール60と、エアコンコンプレッサ118側とに各々接続されるように分岐点181〜185を有する導電部材180を有し、導電部材180の分岐点181〜185とエアコンコンプレッサ118との間には、コイル117が介装され、導電部材180とコイル117は、パワーコントロールユニット30内に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動コンプレッサ等の大型化を抑制する電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
下記に示す特許文献1には、半導体スイッチング素子等が実装されたパワー系基板と、制御通信回路が実装されたCPU基板とを備えたインバータモジュールが収容される第1収容部と、インバータモジュールに高電圧電源からの直流電力を供給する高電圧ラインに設けられるコモンモードコイル、ノーマルモードコイル、平滑コンデンサ等の高電圧系部品が収容される第2収容部とが、インバータ一体型電動コンプレッサのハウジングの外周に設けることが記載されている。
【0003】
これにより、コモンモードコイル、ノーマルモードコイル、平滑コンデンサ等の高電圧系部品から放出される電磁ノイズを第2収容部によって遮蔽し、該電磁ノイズが第1収容部に収容されているインバータモジュールへと伝搬するのを遮断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−275606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、コモンモードコイル、ノーマルモードコイル、平滑コンデンサ等の高電圧部品を収容するための第2収容部が別体として必要となるとともに、第2収納部の防水のためのシール材等も必要となるため、部品点数が増大し、且つ、インバータ一体型電動コンプレッサが大型化し、インバータ一体型電動コンプレッサのレイアウトの自由度が低下する。
【0006】
そこで、本発明は、電動コンプレッサの大型化を抑制する電動車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、蓄電装置を用いて走行用モータを駆動制御するパワーコントロールユニットと、電動コンプレッサとを備える電動車両において、一端が前記蓄電装置側に接続され、他端が、前記パワーコントロールユニット内に設けられ且つ前記蓄電装置の直流電力を交流電力に変換する電力変換モジュールと、前記電動コンプレッサ側とに各々接続されるように分岐点を有する導電部材を有し、前記導電部材の前記分岐点と前記電動コンプレッサとの間には、コイルが介装され、前記導電部材と前記コイルは、前記パワーコントロールユニット内に配置されることを特徴とする。
【0008】
これにより、前記パワーコントロールユニットの内部に前記コイルを配置するので、別体の収納部を設ける必要がなく、部品点数の増加を抑制することができる。また、従来技術に比べ、前記電動コンプレッサの大型化を抑制することでき、前記電動コンプレッサのレイアウトの自由度が向上する。また、前記導電部材及び前記コイルは、前記パワーコントロールユニット内に配置されるので、防水性能の低下を抑制することができる。例えば、前記パワーコントロールユニットの外部の電線に前記コイルを設ける場合は、該電線のシールド部分や被覆等を剥した上で前記コイルを取り付けなければならず、組み付け工数が増大するとともに、防水性能も低下してしまうが、本発明では、そのような弊害も生じない。
【0009】
前記パワーコントロールユニットの筐体内には、前記電力変換モジュールを収容する電力変換モジュール収容ケースが設けられている。これにより、前記導電部材や前記コイルにおいて発生するノイズが前記電力変換モジュールに伝わることを抑制することができる。従って、前記電力変換モジュールのノイズによる誤動作を防止することができる。
【0010】
前記パワーコントロールユニットの筐体内には、前記コイルを収容するコイル収容部が設けられている。これにより、前記パワーコントロールユニットに振動が加えられた場合であっても、前記コイルが前記パワーコントロールユニットの前記筐体内の他の部品と接触することを防止することができ、前記コイルの損傷を防止することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る電動車両によれば、パワーコントロールユニットの内部にコイルを配置するので、別体の収納部を設ける必要がなく、部品点数の増加を抑制することができる。また、従来技術に比べ、電動コンプレッサの大型化を抑制することでき、電動コンプレッサのレイアウトの自由度が向上する。また、導電部材及びコイルは、パワーコントロールユニット内に配置されるので、防水性能の低下を抑制することができる。例えば、パワーコントロールユニットの外部の電線に前記コイルを設ける場合は、該電線のシールド部分や被覆等を剥した上で該コイルを取り付けなければならず、組み付け工数が増大するとともに、防水性能も低下してしまうが、本発明では、そのような弊害も生じない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態の電動車両の概略構成を模式化した概略構成斜視図である。
【図2】実施の形態の電動車両の概略構成を模式化した概略構成側面図である。
【図3】図1に示すパワーコントロールユニットの外観斜視図である。
【図4】図3に示すパワーコントロールユニットの分解斜視図である。
【図5】図4に示すヒートシンクの上面図である。
【図6】図4に示すロアケースの底面図である。
【図7】パワーコントロールユニットの回路図である。
【図8】図5のヒートシンクの上部にアッパーケースを配置したときの上面図である。
【図9】図5に示す収容部の外観図である。
【図10】ノーマルモードコイルに代えて、コモンモードコイルを設けた場合の収容部の外観図である。
【図11】ノーマルモードコイルに代えて、コモンモードコイルを設けた場合のパワーコントロールユニットの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係るパワーコントロールユニットを有する電動車両について、好適な実施の形態を掲げ、添付の図面を参照しながら以下、詳細に説明する。
【0014】
図1は、電動車両(電気自動車)10の概略構成を模式化した概略構成斜視図、図2は、電動車両10の概略構成を模式化した概略構成側面図である。なお、本実施の形態では、車体12の鉛直方向を上下方向とし、該鉛直方向に垂直な方向を水平方向とする。また、電動車両10の進行方向を前、後退方向を後、進行方向に向かって左方向を左、右方向を右とする。
【0015】
電動車両10は、車体12内部に、前輪14L、14Rと後輪16L、16Rとの間で、且つ、車体12の底部に設けられた高電圧を出力するバッテリ(蓄電装置)18と、フロアパネル20を介してバッテリ18の上方に設けられる車室22と、該車室22とは隔てられて車体12の前方に区画されたモータルーム24と、該モータルーム24を覆うダッシュパネル26と、ダッシュパネル26の下方で、且つ、該モータルーム24に設けられた回転電機の一種である走行用モータ(外部電気機器)28の上方に載置されたパワーコントロールユニット(Power Control Unit)30とを備える。ダッシュパネル26は、ダッシュパネルロア26aとダッシュパネルアッパー26bとを有する。ダッシュパネル26は、モータルーム24と車室22とを仕切るものであり、モータルーム24からの汚れ、水、臭い等の浸入を防ぐ構造を有する。
【0016】
電源ケーブル34は、バッテリ18に蓄積された電力をパワーコントロールユニット30に伝達するためのものであり、電源ケーブル34の一端はバッテリ18の電源コネクタ36に接続され、他端はパワーコントロールユニット30の電源コネクタ94(図7参照)に接続される。パワーコントロールユニット30は、バッテリ18から供給される直流電力を三相(U、V、W相)の交流電力に変換し、該変換した三相の交流電力を走行用モータ28に供給することで走行用モータ28を駆動制御する。
【0017】
パワーコントロールユニット30は、直流電力を三相の交流電力に変換する電力変換モジュール60(図4、図5、図7参照)と電力変換モジュール60を制御することで走行用モータ28を駆動させるECU70(図4、図7参照)とを有する。走行用モータ28とパワーコントロールユニット30とは、三相交流電力ケーブル(電力供給線)38を介して接続されており、三相交流電力ケーブル38の一端は走行用モータ28の電力コネクタ40に接続され、三相交流電力ケーブル38の他端はパワーコントロールユニット30の電力コネクタ42(電力コネクタ42a、42b、42c)に接続される。パワーコントロールユニット30を走行用モータ28の上方に配置させるので、高電圧の三相交流電力ケーブル38を短くすることができる。
【0018】
図3はパワーコントロールユニット30の外観斜視図、図4はパワーコントロールユニット30の分解斜視図を示す。パワーコントロールユニット30は、ヒートシンク50と、ヒートシンク50の上部に設けられるアッパーケース52と、アッパーケース52の上部を覆う上カバー54と、ヒートシンク50の下部に設けられるロアケース56と、ロアケース56の下部を覆う下カバー58とを有する。ヒートシンク50、アッパーケース52、上カバー54、ロアケース56、及び下カバー58は、アルミ等の金属で構成されてもよい。ヒートシンク50、アッパーケース52、上カバー54、ロアケース56、及び下カバー58は、パワーコントロールユニット30の筐体を構成する。
【0019】
ヒートシンク50の上面略中央には電力変換モジュール60が、ヒートシンク50の上面右側には、外部からバッテリ18を充電する際に用いられる急速充電用デバイス(充電用デバイス)62、ヒューズ98a、98b(図5、図7参照)等が設けられ、ヒートシンク50の左側上方には、電力変換モジュール60とアッパーケース52の電力コネクタ42a、42b、42cとを接続する三相端子64a、64b、64cが設けられている。電力変換モジュール60は、バッテリ18の直流電力を三相(U、V、W相)の交流電力に変換し、該変換した各相の交流電力を三相端子64a、64b、64cに出力する。三相端子64a、64b、64cは、その中間部がヒートシンク50の上面左側に設けられた三相端子台66に支持される。
【0020】
電力変換モジュール60は、複数のスイッチング素子を有するスイッチングモジュールを筐体内に内蔵する。この複数のスイッチング素子がオンオフされることで、電力変換モジュール60は、バッテリ18からの直流電力を三相の交流電力に、又は、走行用モータ28から三相の交流電力を直流電力に変換する。
【0021】
ヒートシンク50とアッパーケース52とで、急速充電用デバイス62を収納する充電デバイス室72と、ヒューズ98a、98b等を収納するヒューズ室74、電力変換モジュール60を収納する電力変換室76、三相端子64a、64b、64cを収納する三相端子室78とが形成される。充電デバイス室72は、充電デバイス室72内へのアクセスを可能にするアッパーケース52の上面に形成された第1開口部(充電デバイス室開口部)72aを有し、ヒューズ室74は、ヒューズ室74内へのアクセスを可能にするアッパーケース52の上面に形成された第2開口部(ヒューズ室開口部)74aを有し、電力変換室76は、電力変換室76内へのアクセスを可能にするアッパーケース52の上面に形成された第3開口部(電力変換室開口部)76aを有し、三相端子室78は、三相端子室78内へのアクセスを可能にするアッパーケース52の上面に形成された第4開口部(三相端子室開口部)78aを有する(図4、図8参照)。電力変換モジュール60を制御するECU(制御装置)70は、急速充電用デバイス62の上方であって、充電デバイス室72内に設けられている。
【0022】
上カバー54は、第1開口部72aを覆う第1上カバー54aと、第2開口部74aを覆う第2上カバー54bと、第3開口部76aを覆う第3上カバー54cと、第4開口部78aを覆う第4上カバー54dとを有する。充電デバイス室72は、ヒューズ室74、電力変換室76、及び三相端子室78より高く形成されているので、第1開口部72aは、第2開口部74a〜第4開口部78aに比べ、高い位置に形成されている。
【0023】
電力変換モジュール60の上方、且つ、第3開口部76aの下方で、平滑コンデンサ96(図7参照)を有するコンデンサモジュール80がアッパーケース52の内壁に吊り下げられるように取り付けられている。平滑コンデンサ96は、電力変換モジュール60と電気的に接続され、バッテリ18からの電力を平滑化するものである。コンデンサモジュール80は、平滑コンデンサ96を筐体で収納したものである。
【0024】
ロアケース56の底面には、バッテリ18を充電する充電器82と、電動車両10に搭載された低電圧系のデバイス(電装品)に低電圧の電力を供給するためにバッテリ18の電圧を降圧させるDC/DCコンバータ84とが設けられている。DC/DCコンバータ84及び充電器82は、長方形の筐体に収納されたものであり、DC/DCコンバータ84より部品数が多く大きくなり易い充電器82の筐体は、DC/DCコンバータ84の筐体よりも大きい。
【0025】
ヒートシンク50は、流体が流入される流入部86と、流体が流出する流出部88とを有する。ヒートシンク50の底面とロアケース56の上面とで前記流体が流れる流路(図示略)が形成される。流入部86から流入した前記流体は、ヒートシンク50とロアケース56によって形成された前記流路を通って流出部88から流出する。流入部86から流入した流体は、ヒートシンク50とロアケース56によって形成された流路を通って流出部88から流体が流出する。これにより、ヒートシンク50は、ヒートシンク50の上面側に設けられた電力変換モジュール60及び急速充電用デバイス62等、及び、ヒートシンク50の底面側に設けられた充電器82及びDC/DCコンバータ84が発熱した熱量を放熱させて冷却することができる。
【0026】
図5はヒートシンク50の上面図、図6はロアケース56の底面図、図7はパワーコントロールユニット30の回路図である。
【0027】
電力変換モジュール60は、電源コネクタ94(図7参照)に接続され、電源ケーブル34を介してバッテリ18を電源コネクタ94に接続することで、電力変換モジュール60とバッテリ18とが接続される。電力変換モジュール60とバッテリ18との間に、電圧を平滑化するコンデンサモジュール80の平滑コンデンサ96が並列に接続されている。コンデンサモジュール80は、DC/DCコンバータ84、充電器82、及び急速充電用デバイス62、及びヒューズ98a、98bとバスバーによって電気的に接続されている。
【0028】
これにより、DC/DCコンバータ84、充電器82、急速充電用デバイス62、及びヒューズ98a、98bは、バッテリ18と接続される。バスバーは、銅板等の金属板を打ち抜き加工することで形成される。急速充電用デバイス62は、ダイオード(急速充電用ダイオード)100、第1メインコンタクタ(第1急速充電用コンタクタ)102、第2メインコンタクタ(第2急速充電用コンタクタ)104、抵抗R、及びプレコンタクタ106を有する。このように、高電圧部品(電力変換モジュール60、DC/DCコンバータ84、充電器82、及び急速充電用デバイス62等)を1つの筐体に収納することで、高電圧ケーブルを用いることなくバスバーで接続することができ、パワーコントロールユニット30を小型化することができ、更に、コストが低廉になる。
【0029】
コンデンサモジュール80は、図5に示すように、第1正端子110a、第1負端子110b、第2正端子112a、第2負端子112b、第3正端子114a、第3負端子114bとを有し、第1正端子110a、第2正端子112a、及び第3正端子114aは互いに導通しており、第1負端子110b、第2負端子112b、及び第3負端子114bは互いに導通している。第2正端子112a及び第2負端子112bは、バスバー115a、115b、及び、電源ケーブル94a、94b(図6参照)を介して電源コネクタ94に接続されており、これにより、第2正端子112aはバッテリ18の正極側と、第2負端子112bはバッテリ18の負極側とにそれぞれ接続される。
【0030】
電力変換モジュール60は、第2正端子112a及び第2負端子112bに接続される図示しない接続正端子及び接続負端子(接続端子)を有し、電力変換モジュール60の前記接続正端子は、第2正端子112aとバスバー115aの一端とに接続され、電力変換モジュール60の前記接続負端子は、第2負端子112bとバスバー115bの一端とに接続されている。電源ケーブル94a、94bは、ヒートシンク50の下方から貫通孔50a、50bを通ってパワーコントロールユニット30内に挿入され、バスバー115a、115bの他端に接続されている。
【0031】
第1正端子110aと、ヒューズ98a、98bの一端と、及びダイオード100のカソードとは、単一のバスバー116によって接続されており、バスバー116とバッテリ18とは同電位である。第1正端子110aと接続されていないヒューズ98aの他端は、ノーマルモードコイル117を介して、電動コンプレッサの一種であるエアコンコンプレッサ118に接続され、第1正端子110aと接続されていないヒューズ98bの他端は、ヒータ120に接続される(図5、図7参照)。このノーマルモードコイル117を設ける場合は、エアコンコンプレッサ118の共振周波数を変更することで、エアコンコンプレッサ118の共振周波数をパワーコントロールユニット30の共振周波数帯からずらすことができ、エアコンコンプレッサ118及びパワーコントロールユニット30間で共振現象が発生することを抑制することができる。このヒューズ98a、98b、ノーマルモードコイル(コイル)117は、収容部(コイル収容部)121に設けられている。
【0032】
ダイオード100のカソードは、抵抗R、プレコンタクタ106を介して、第1メインコンタクタ102の一端に接続され、ダイオード100のアノードは、バスバー122によって第1メインコンタクタ102の前記一端に接続される。第1負端子110bは、バスバー124によって第2メインコンタクタ104の一端に接続される。
【0033】
第3正端子114aは、図5及び図6に示すように、バスバー126、128によって充電器82の第4正端子130aと、バスバー126、132によってDC/DCコンバータ84の第5正端子134aとにそれぞれ接続され、第3負端子114bは、バスバー136、138によって充電器82の第4負端子130bと、バスバー136、140によってDC/DCコンバータ84の第5負端子134bとにそれぞれ接続されている。
【0034】
充電器82の第6正端子142a及び第6負端子142bは、ケーブル92aを介してコネクタ92に接続され、DC/DCコンバータ84の第7正端子144a及び第7負端子144bは、パワーコントロールユニット30の外部に導出したケーブル146に接続されている。これにより、DC/DCコンバータ84によって降圧された電力は、ケーブル146によって電動車両10に搭載された低電圧系のデバイスに供給可能となる。
【0035】
また、電力変換モジュール60は、図5に示すように、U相端子148a、V相端子148b、W相端子148cを有し、U相端子148aに三相端子64aが接続され、V相端子148bに三相端子64bが接続され、W相端子148cに三相端子64cが接続される。
【0036】
図6に示すようにDC/DCコンバータ84及び充電器82は、長手方向がお互いに直交するように配置され、DC/DCコンバータ84の長辺と充電器82の短辺とが隣り合うように配置されている。
【0037】
コネクタ92に接続されたプラグ93が商業用コンセントに接続されることで、100V又は200Vの交流電力が充電器82に供給され、充電器82は、バッテリ18を普通充電する(図7参照)。
【0038】
図8は、図5のヒートシンク50の上部にアッパーケース52を配置したときの上面図である。なお、図8においては、コンデンサモジュール80の図示を省略している。アッパーケース52には、急速充電用コネクタ152が設けられており、第1メインコンタクタ102の他端及び第2メインコンタクタ104の他端が、バスバー154a、154bを介して急速充電用コネクタ152に接続される。急速充電用コネクタ152には、サービスエリア等や給電ステーションに設けられた図示しない高圧の直流電力を供給する急速充電器の充電器側コネクタ156と接続するコネクタ158が接続される(図7参照)。前記急速充電器の充電器側コネクタ156とコネクタ158とが接続されることで、前記急速充電器はバッテリ18を急速充電する。
【0039】
図9は、収容部121の外観図である。ヒューズ98a、98bは収容部121の上面に設けられ、ノーマルモードコイル117は、収容部121の内部に設けられる。バスバー160の一端部162には、バスバー116が接続されるとともに(図5参照)、他端部164には、ヒューズ98a、98bの一端がボルトB1、B2で接続固定される。ヒューズ98bの他端は、図示しない導電性の部材とボルトB3で接続固定され、該導電性の部材を介してヒータ120の+端子に接続される。ヒューズ98aの他端は、バスバー166とボルトB4で接続固定され、バスバー166を介してノーマルモードコイル117の一端に接続固定される。ノーマルモードコイル117の他端は、バスバー168の一端とボルトB5で接続固定される。バスバー168の他端は、図示しない導電性の部材とボルトB6で接続固定される。これにより、ノーマルモードコイル117の他端は、該バスバー168及び該導電性の部材を介してエアコンコンプレッサ118の+端子に接続される。バスバー170は、バスバー124(図5参照)と接続され、ヒータ120の−端子と接続する図示しない導電性の部材がボルトB7によって接続固定され、エアコンコンプレッサ118の−端子と接続する図示しない導電性の部材がボルトB8によって接続固定される。
【0040】
パワーコントロールユニット30は、このような構成を有することで、図7に示すような回路になる。図7に示す導電部材180は、一端がバッテリ18側に接続され、他端が、電力変換モジュール60、急速充電用デバイス62、充電器82、及びDC/DCコンバータ84と、エアコンコンプレッサ118側及びヒータ120側とに接続されるように分岐点181〜185を有する。
【0041】
導電部材180は、パワーコントロールユニット30内に設けられたバスバーによって構成され、導電部材180は、正ライン180a、負ライン180bとを有する。正ライン180aは、バスバー115a、116、122、126、128、132、154a、160、166、168等で構成され、負ライン180bは、バスバー115b、124、136、138、140、154b、170等で構成される。
【0042】
分岐点181〜185は、導電部材180の正ライン180a、負ライン180bに設けられた正側分岐点181a〜185aと負側分岐点181b〜185bとを有する。ここで、正側分岐点181aは第2正端子112aに相当し、負側分岐点181bは第2負端子112bに相当し、正側分岐点182a、183aは、第3正端子114aに相当し、負側分岐点182b、183bは第3負端子114bに相当する。また、正側分岐点184aは第1正端子110aに相当し、負側分岐点184bは第1負端子110bに相当し、正側分岐点185aはバスバー160に相当し、負側分岐点185bはバスバー170に相当する。
【0043】
ヒューズ98a及びノーマルモードコイル117は、導電部材180の正ライン180aの正側分岐点181aとエアコンコンプレッサ118の+端子との間に介装され、詳しくは、正側分岐点185aとエアコンコンプレッサ118の+端子との間に介装される。ヒューズ98bは、導電部材180の正ライン180aの正側分岐点181aとヒータ120の+端子との間に介装され、詳しくは、正側分岐点185aとヒータ120の+端子との間に介装される。ノーマルモードコイル117を分岐点185とエアコンコンプレッサ118との間で接続するので、分岐点181〜185の何れかとバッテリ18との間にノーマルモードコイル117を接続する場合に比べて、ノーマルモードコイル117に流れる電流が小さくなり、ノーマルモードコイル117のサイズを小さくすることができる。
【0044】
なお、ノーマルモードコイル117に代えて、コモンモードコイル(コイル)を設けるようにしてもよい。コモンモードコイルを設けることで、エアコンコンプレッサ118において発生するラジオノイズを抑制することができる。図10は、コモンモードコイル200を設けた場合の収容部121の外観図であり、図11は、コモンモードコイル200を設けた場合のパワーコントロールユニット30の回路図である。図10においても、ヒューズ98a、98bは、収容部121の上面に設けられ、コモンモードコイル200は、収容部121の内部に設けられる。
【0045】
バスバー202の一端には、ボルトB11によってバスバー116(図5参照)が接続固定され、ヒューズ98bの一端は、ボルトB12によってバスバー202に接続固定される。ヒューズ98bの他端は、図示しない導電性の部材がボルトB13によって接続固定され、該導電性の部材を介してヒータ120の+端子に接続される。バスバー202の他端は、コモンモードコイル200の第1コイル200aの一端とボルトB14によって接続固定され、第1コイル200aの他端は、ボルトB15によってバスバー204の一端と接続固定される。バスバー204の他端は、ボルトB16によってヒューズ98aの一端と接続固定され、ヒューズ98aの他端は、図示しない導電性の部材とボルトB17によって接続固定され、該導電性の部材を介してエアコンコンプレッサ118の+端子に接続される。
【0046】
バスバー206の一端には、ボルトB18によってバスバー124(図5参照)が接続固定され、他端は、コモンモードコイル200の第2コイル200bの一端がボルトB19によって接続固定されている。第2コイル200bの他端は、図示しない導電性の部材がボルトB20によって接続固定され、該導電性の部材を介してエアコンコンプレッサ118の−端子に接続されている。また、バスバー206には、図示しない導電性の部材がボルトB21によって接続固定されており、該導電性の部材は、ヒータ120の−端子に接続されている。この場合の導電部材180の正ライン180aは、バスバー115a、116、122、126、128、132、154a、202、204等で構成され、負ライン180bは、バスバー115b、124、136、138、140、154b、206等で構成される。また、正側分岐点185aはバスバー202に相当し、負側分岐点185bはバスバー206に相当する。
【0047】
ヒューズ98a及びコモンモードコイル200の第1コイル200aは、導電部材180の正ライン180aの正側分岐点181aとエアコンコンプレッサ118の+端子との間に介装され、詳しくは、正側分岐点185aとエアコンコンプレッサ118の+端子との間に介装される。ヒューズ98bは、導電部材180の正ライン180aの正側分岐点181aとヒータ120の+端子との間に介装され、詳しくは、正側分岐点185aとヒータ120の+端子との間に介装される。コモンモードコイル200の第2コイル200bは、導電部材の負ライン180bの負側分岐点181bとエアコンコンプレッサ118の−端子との間に介装され、詳しくは、負側分岐点185bとエアコンコンプレッサ118の−端子との間に介装される。
【0048】
コモンモードコイル200を分岐点185とエアコンコンプレッサ118との間で接続するので、分岐点181〜185の何れかとバッテリ18との間にコモンモードコイル200を接続する場合に比べて、コモンモードコイル200に流れる電流が小さくなり、コモンモードコイル200のサイズを小さくすることができる。
【0049】
このように、パワーコントロールユニット30の内部にコイル(ノーマルモードコイル117又はコモンモードコイル200)を配置するので、別体の収納部を設ける必要はなく、部品点数の増加を抑制することができる。また、従来技術に比べ、エアコンコンプレッサ118の大型化を抑制することができ、エアコンコンプレッサ118のレイアウトの自由度が向上する。また、導電部材180及びコイル(ノーマルモードコイル117又はコモンモードコイル200)は、パワーコントロールユニット30内に配置されるので、防水性能の低下を抑制することができる。例えば、パワーコントロールユニット30の外部の電線にコイル(ノーマルモードコイル117又はコモンモードコイル200)を設ける場合は、該電線のシールド部分や被覆等を剥した上でコイル(ノーマルモードコイル117又はコモンモードコイル200)を取り付けなければならず、組み付け工数が増大するとともに、防水性能も低下してしまうが、本発明ではそのような弊害も生じない。
【0050】
また、パワーコントロールユニット30の筐体内には、電力変換モジュール60を収容するケースが設けられているので、導電部材180やコイル(ノーマルモードコイル117又はコモンモードコイル200)において発生するノイズが電力変換モジュール60に伝わることを抑制することができる。従って、電力変換モジュール60のノイズによる誤作動を防止することができる。
【0051】
パワーコントロールユニット30の筐体内には、コイル(ノーマルモードコイル117又はコモンモードコイル200)を収容する収容部121が設けられているので、パワーコントロールユニット30に振動が加えられた場合であっても、コイル(ノーマルモードコイル117又はコモンモードコイル200)がパワーコントロールユニット30内の他の部品と接触することを防止することができ、コイル(ノーマルモードコイル117又はコモンモードコイル200)の損傷を防止することができる。
【0052】
以上、本発明について好適な実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0053】
10…電動車両 12…車体
18…バッテリ 28…走行用モータ
30…パワーコントロールユニット 34、94a、94b…電源ケーブル
36、94…電源コネクタ 38…三相交流電力ケーブル
40、42、42a、42b、42c…電力コネクタ
50…ヒートシンク 52…アッパーケース
54…上カバー 56…ロアケース
58…下カバー 60…電力変換モジュール
62…急速充電用デバイス 64a、64b、64c…三相端子
66…三相端子台 70…ECU
72…充電デバイス室 72a…第1開口部
74…ヒューズ室 74a…第2開口部
76…電力変換室 76a…第3開口部
78…三相端子室 78a…第4開口部
80…コンデンサモジュール 82…充電器
84…DC/DCコンバータ 98a、98b…ヒューズ
100…ダイオード 102…第1メインコンタクタ
104…第2メインコンタクタ 106…プレコンタクタ
115a、115b、116、122、124、126、128、132、136、138、140、154a、154b、160、166、168、170、202、204、206…バスバー
117…ノーマルモードコイル 118…エアコンコンプレッサ
120…ヒータ 121…収容部
200…コモンモードコイル 200a…第1コイル
200b…第2コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置を用いて走行用モータを駆動制御するパワーコントロールユニットと、電動コンプレッサとを備える電動車両において、
一端が前記蓄電装置側に接続され、他端が、前記パワーコントロールユニット内に設けられ且つ前記蓄電装置の直流電力を交流電力に変換する電力変換モジュールと、前記電動コンプレッサ側とに各々接続されるように分岐点を有する導電部材を有し、
前記導電部材の前記分岐点と前記電動コンプレッサとの間には、コイルが介装され、
前記導電部材と前記コイルは、前記パワーコントロールユニット内に配置される
ことを特徴とする電動車両。
【請求項2】
請求項1に記載の電動車両において、
前記パワーコントロールユニットの筐体内には、前記電力変換モジュールを収容する電力変換モジュール収容ケースが設けられている
ことを特徴とする電動車両。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電動車両において、
前記パワーコントロールユニットの筐体内には、前記コイルを収容するコイル収容部が設けられている
ことを特徴とする電動車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−115957(P2013−115957A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261230(P2011−261230)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】