電動車両
【課題】電動車両において天候情報を加味して高精度の航続距離を算出する。
【解決手段】走行予定ルートにおける天候情報を入手し、高圧バッテリ2のSOCを検出し、直近の所定区間の区間平均電費を算出する(STEP122〜125)。天候情報に基づき今後の運転補助用補機17の使用状態を予測して、運転補助用補機17の今後の消費電力量を算出し、高圧バッテリ2のSOCから運転補助用補機17の今後の消費電力量に回される分を差し引いて得られるSOCに区間平均電費を掛けて航続距離を算出する(STEP126〜127)。
【解決手段】走行予定ルートにおける天候情報を入手し、高圧バッテリ2のSOCを検出し、直近の所定区間の区間平均電費を算出する(STEP122〜125)。天候情報に基づき今後の運転補助用補機17の使用状態を予測して、運転補助用補機17の今後の消費電力量を算出し、高圧バッテリ2のSOCから運転補助用補機17の今後の消費電力量に回される分を差し引いて得られるSOCに区間平均電費を掛けて航続距離を算出する(STEP126〜127)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機の駆動力を使って走行する電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
電動車両の一例の電気自動車は、電動機と共にバッテリを搭載し、バッテリの電力により作動する電動機により駆動輪を駆動して走行する。電動車両では、バッテリの現在の充電状態(SOC:State Of Charge)としての現在の残電力量により走行できる航続距離
を運転者に情報として報知することが一般的に行われる。運転者は、走行中に電欠が起こらないように、報知された航続距離に基づきバッテリを充電スタンド等において充電することになる。
【0003】
従来の電動車両では、例えば、経路の道路情報、交通情報、道路種別、天気、温度、エアコンの使用状況等が加味されて、航続距離が算出されている(例:特許文献1の段落0010参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−21522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電動車両では、航続距離の算出精度については、航続距離に影響を与える種々の因子を加味して航続距離を算出する方が有利であることは理解される。しかしながら、特許文献1は、航続距離を天気や温度に基づいて具体的にどのように算出すれば、算出精度を上げることができるのかを明らかにしていない。
【0006】
本発明の目的は、天候情報を加味して航続距離を算出する場合に、算出精度を向上させた電動車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明の電動車両は、バッテリと、前記バッテリの電力により作動して駆動輪を駆動する電動機と、前記バッテリの電力により作動する運転補助用補機とを備えた電動車両であって、前記バッテリの残電力量を検出する残電力量検出部と、前記電動機による単位消費電力量当たりの走行距離としての電費を算出する電費算出部と、天候情報を入手する天候情報入手部と、各天候状態と各天候状態において使用が予測される運転補助用補機との対応関係を設定した対応関係情報を記憶する情報記憶部と、前記天候情報入手部が入手した天候情報と前記情報記憶部が記憶している対応関係情報とに基づき運転補助用補機についての今後の使用状況を予測し、予測した使用状況に基づき運転補助用補機についての今後の補機予測消費電力を予測する予測部と、前記残電力量検出部が検出した残電力量と前記電費算出部が算出した電費と前記予測部が予測した補機予測消費電力とに基づき航続距離を算出する航続距離算出部とを備えることを特徴とする。
【0008】
第1発明によれば、各天候状態と各天候状態において使用が予測される運転補助用補機との対応関係を設定しておき、入手した天候情報に基づき運転補助用補機についての今後の使用状況を予測し、予測した使用状況に基づき運転補助用補機についての今後の補機予測消費電力を予測する。そして、バッテリの残電力量と電費と補機予測消費電力とに基づき航続距離を算出する。これにより、バッテリの残電力量のうち運転補助用補機について
の今後の補機予測消費電力の分が考慮されて、航続距離が算出されるので、航続距離の算出精度を向上させることができる。
【0009】
第2発明の電動車両は、第1発明において、前記航続距離算出部は、前記予測部が予測した補機予測消費電力に基づき今後の単位走行距離当たりの補機予測消費電力量の逆数としての補機予測消費電力率を算出し、前記電費算出部が算出した電費から該補機予測消費電力率を引いて得られる値に、前記残電力量検出部が検出した残電力量を掛けて得られる値に基づき航続距離を算出することを特徴とする。
【0010】
第2発明によれば、電費から補機予測消費電力率を引いて得られる値に、バッテリの残電力量を掛けて得られる値に基づき航続距離が算出される。この結果、バッテリの残電力量のうち運転補助用補機について予測される今後の使用による消費電力量分を除いて、航続距離を算出することになるので、高精度の航続距離を算出することができる。
【0011】
第3発明の電動車両は、第2発明において、前記予測部は、予定走行ルートを出発地から目的地に向かって又は目的地まで複数の区間に区分し、前記天候情報入手部が入手した天候情報と前記情報記憶部が記憶している対応関係情報とに基づき運転補助用補機についての今後の使用状況を区間別に予測し、予測した区間別使用状況に基づき運転補助用補機についての今後の区間別の補機予測消費電力を予測し、前記航続距離算出部は、現在位置を含む区間から目的地に向かって各区間に対し、前記予測部が予測した区間別補機予測消費電力と前記電費算出部が算出した電費とに基づき区間別消費電力量を算出するとともに、当該区間別消費電力量に基づき当該区間の走行終了時の前記バッテリの残電力量を次の区間の走行開始時の前記バッテリの予測残電力量として算出し、かつ当該区間の走行開始時の前記バッテリの予測残電力量により当該区間を走破可能か否かを判断し、最初に走破不能と判断された区間より1つ手前の走破可能の区間に基づき航続距離を算出することを特徴とする。
【0012】
第3発明によれば、今後の予定走行ルートについて現在位置から目的地の方へ複数の区間に区分し、運転補助用補機についての区間別の使用状況を予測し、予測した区間別使用状況に基づき運転補助用補機についての今後の区間別の補機予測消費電力を予測する。そして、現在位置に近い方の区間から目的地の方の区間へ順番に、各区間に対し、区間別補機予測消費電力と電費とに基づき区間別消費電力量を算出するとともに、該区間を区間の走行開始時の前記バッテリの予想残電力量により走破可能か否かを判断し、最初に走破不能と判断された区間より1つ手前の走破可能の区間に基づき航続距離を算出する。これにより、今後の予定走行ルートが複数の区間を含み、各区間における天候状態が異なっていて運転補助用補機についての使用状態が異なっている場合にも、航続距離を的確に算出することができる。
【0013】
第4発明の電動車両は、第1〜第3発明のいずれか1つにおいて、前記天候情報入手部が、天候情報配信サーバに通信回線を介して接続可能になっている携帯型通信装置であることを特徴とする。
【0014】
第4発明によれば、ユーザーが一般的に携帯している携帯電話機等の携帯型通信装置を通信機として利用し、天候情報は、該携帯型通信装置が通信回線を介してネット上の天候情報源として天候情報配信サーバに接続されることにより、入手される。この結果、通信機のコストを抑えつつ、適切な天候情報を円滑に入手することができる。
【0015】
第5発明の電動車両は、第1〜第3発明のいずれか1つにおいて、前記天候情報入手部が、天候情報源又は天候情報源に接続されている外部充電装置から、ケーブルを介して前記バッテリの充電用電力の給電と共に天候情報を受信する受電部であることを特徴とする。
【0016】
第5発明によれば、電動車両は、外部充電装置からのバッテリ充電用電力の受電に並行して、外部充電装置から天候情報を受信することができるので、天候情報を能率的に入手することができる。
【0017】
第6発明の電動車両は、第5発明において、前記受電部が、自車における前記運転補助用補機の消費電力履歴を前記外部充電装置へ授与することを特徴とする。
【0018】
第6発明によれば、電動車両が、受電部を介して外部充電装置へ運転補助用補機の消費電力履歴を授与することにより、外部充電装置は、バッテリの充電のために訪れる複数の電動車両から運転補助用補機の消費電力履歴を収集して、該消費電力履歴から近辺の天候情報を入手することができ、この情報を、バッテリの充電のために訪れた次の電動車両へ提供することができる。外部充電装置が入手した天候情報には、電動車両が外部充電装置の場所に立ち寄る前に、該電動車両の走行予定ルートを逆行して来た別の電動車両からの運転補助用補機の消費電力履歴に基づく天候情報が含まれることがある。この結果、電動車両は、走行予定ルートについての天候情報を外部充電装置から入手して、該天候情報に基づき的確な航続距離を算出することができる。
【0019】
第7発明の電動車両は、第1〜第6発明のいずれか1つにおいて、前記天候情報入手部がナビゲーション装置に装備され、該ナビゲーション装置の前記天候情報入手部が、現在位置に基づき特定した地域の天候情報を無線通信により入手することを特徴とする。
【0020】
第7発明によれば、ナビゲーション装置の天候情報入手部が、自車の現在位置に基づき特定した地域(例:当該電動車両がこれから走行すると予想される地域)の天候情報を、無線通信媒体を介して入手する。一般的なナビゲーション装置は、無線通信機能を装備済みであるので、天候情報入手に伴う通信機のコスト増大を回避することができる。
【0021】
第8発明の電動車両は、第7発明において、該ナビゲーション装置の前記天候情報入手部が、自車が所定距離を走行するごとに、又は所定時間が経過するごとに天候情報を入手することを特徴とする。
【0022】
第8発明によれば、航続距離は定期的に更新されるので、最新の天気状態及び残電力量に基づき最新の航続距離が提供される。
【0023】
第9発明の電動車両は、第8発明において、前記ナビゲーション装置の前記天候情報入手部が、現在位置が天候状態の変化の速い地域内にあるときは、天候状態の変化の遅い地域内にあるときよりも、前記所定距離又は前記所定時間を短くすることを特徴とする。
【0024】
天候状態の変化は地域により差がある。第9発明によれば、現在位置が天候状態の変化の早い地域内にあるときは、天候情報の入手の時間間隔を早めて、該地域の天候変化に的確に追従して、航続距離を更新することができる。
【0025】
第10発明の電動車両は、第7〜第9発明のいずれか1つにおいて、前記ナビゲーション装置が、目的地が設定されているときは前記航続距離算出部が算出した航続距離に基づき前記目的地からの航続距離を前記目的地への到達前に報知する報知部を備えることを特徴とする。
【0026】
現在位置からの航続距離についての情報だけでなく、目的地到着時の航続距離の情報があれば、有益である。なぜならば、目的地近辺にバッテリの充電場所がないとき、目的地からの航続距離は、復路において、又は目的地からさらに別の場所へ移動するときにおいて、途中で電欠することなく次の充電ができるか否かの目安になり、もし、目的地からの航続距離が十分でない場合には、目的地に到達する前に、予め充電を行っておく必要があると判断する情報になるからである。第10発明によれば、目的地からの航続距離を報知して、電動車両が目的地到達する前にバッテリの充電を行うべきか否かを運転者に的確に判断させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】電気自動車の主要部構成図。
【図2】電気自動車に装備される航続距離算出システムの構成図。
【図3】航続距離算出システムにおける航続距離算出方法の第1部分のフローチャート。
【図4】航続距離算出システムにおける航続距離算出方法の第2部分のフローチャート。
【図5】航続距離算出システムにおける航続距離算出方法の第3部分のフローチャート。
【図6】航続距離算出システムにおける航続距離算出方法の第4部分のフローチャート。
【図7】ナビゲーション情報処理システムが検索した出発地−目的地間の複数の推奨ルートが表示されている画面を示す図。
【図8】各検索ルートについての航続距離が表示されている画面を示す図。
【図9】天候を考慮したときと考慮しないときとのディスプレイにおける航続距離の具体的表示態様を示す図。
【図10】電気自動車が充電スタンドにおいて充電を行っている期間の天候情報の授受方法のフローチャート。
【図11】ナビ間情報管理サーバが各電気自動車から収集した天候情報を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、電動車両の一例の電気自動車の主要部1を示す。図において、高圧バッテリ2は、電気自動車に搭載される電装品に対して直接又は間接の電力源になっており、コンタクタ3を介して空調装置4、PCU(Power Control Unit)5及び直流/直流変換器6に接続されている。空調装置4は、車内の気温を調整する。PCU5は、三相ブラシレスモータから構成される電動機7への三相電流を制御する。直流/直流変換器6は、高圧バッテリ2の出力直流電圧を、それより低圧の直流電圧へ変換する。
【0029】
低圧バッテリ16は、直流/直流変換器6による変換後の直流電圧により充電される。運転補助用補機17は、具体的な複数の運転補助用補機を総称している。運転補助用補機17に包含される具体的な運転補助用補機については図2で後述する。
【0030】
高圧バッテリSOC監視部10は、高圧バッテリ2の残電力量としてのSOCを検出する。ECU(車両システム制御装置)11は、運転補助用補機17及びナビゲーション情報処理システム21と共に航続距離算出システム20を構成するとともに、電気自動車に搭載される電装品の作動を制御する。受電コネクタ12は、高圧バッテリ2の充電時には、充電スタンド50(図2)の充電器49へ電力ケーブルを介して接続され、電力ケーブルを介して充電器49から供給される電力により高圧バッテリ2を送る。ECU11は、高圧バッテリSOC監視部10から検出信号を受けるとともに、受電コネクタ12のオン、オフを切替えて、ECU11の充電開始時期及び終了時期を制御する。
【0031】
図2において、航続距離算出システム20は、ECU11と、ナビゲーション情報処理システム21とを備える。ワイパ24、リア熱線25、フロント熱線26、ドアミラー熱線27、コンプレッサ28、ヒータ29、フォグランプ30、ヘッドライト31及びメータランプ32は、構造及び作用は周知のものと同一であり、運転補助用補機17(図1)として航続距離算出システム20に装備され、特には視界確保の運転補助の役目を果たす。ワイパ24、リア熱線25、フロント熱線26、ドアミラー熱線27、コンプレッサ28、ヒータ29、フォグランプ30、ヘッドライト31及びメータランプ32は、ECU11からの制御信号に基づき作動及び停止を切替えられる。
【0032】
コンプレッサ28はエアコンに装備され、ヒータ29は車室の暖房を実施する。コンプレッサ28及びヒータ29は、雨天時の電気自動車のフロントガラスの曇り止めを行うデフロスタとして使用される。コンプレッサ28は、空調装置4(図1)の要素でもある。
【0033】
なお、天候情報に含まれる天候には、雨,晴,曇り,雪などの他に、気温,湿度,気圧、周囲の明るさを含めることができる。
【0034】
降雨センサ37、外気温センサ38、室温センサ39及び湿度センサ40は、天候状態検出機器類であり、出力をECU11へ送る。充電状態検知システム44は、電気自動車が充電スタンド50の充電器49へ接続されている期間、受電コネクタ12(図1)の所定の端子の電圧を検出し、充電器49との接続の有無や、電気自動車の充電の進捗度を検出する。
【0035】
ナビゲーション情報処理システム21は、ECU11とデータを相互に授受し、報知機器としてのディスプレイ54とスピーカ55とを備える。ディスプレイ54は、後述の図9の切替ボタンについて説明するように、タッチパネルとなっている。スイッチ56は、ディスプレイ54のパネルに配備され、使用者の操作によりナビゲーション情報処理システム21の作動及び停止を切替える。
【0036】
なお、後述の航続距離は、ディスプレイ54及び/又は運転席の計器パネルに視覚表示される。航続距離は、スピーカ55から音声で出力することもできる。
【0037】
日付情報部57は、現在の時間及び日付を含むカレンダーを保持する。データベース58は、全国の地図やPOI(Point of Interests:お気に入り地点)等の情報を蓄積している。GPS(Global Positioning System)59は現在位置を検出する。通信部61は、携帯電話を介して又は直接、公衆無線データ回線へ接続され、インターネットに接続される。通信部61と携帯電話とは、ブルートゥース(登録商標:Bluetooth)やWi−Fi(Wireless Fidelity)等の無線やUSBケーブル等の有線により接続される。
【0038】
図3〜図6を参照して、航続距離算出システム20における航続距離算出方法について説明する。該航続距離算出方法は、ECU11又はナビゲーション情報処理システム21が対応のソフトウェアを実行することにより実施される。その場合、ECU11又はナビゲーション情報処理システム21内のCPUは、本発明の電費算出部、天候情報入手部、情報記憶部、予測部及び航続距離算出部の機能を実現する。なお、記憶部としての情報記憶部は、CPUとの別の記憶装置(図示せず)として用意することもできる。
【0039】
STEP101では、電気自動車の運転スイッチがオンにされる。運転スイッチのオンに伴い、高圧バッテリ2又は低圧バッテリ16の電力が電動機7及び電装品へ供給可能になる。また、運転スイッチのオフに伴い、高圧バッテリ2及び低圧バッテリ16の電力は、電動機7及び電装品への供給を禁止される。
【0040】
STEP102では、携帯電話等の通信装置と車両との通信リンクが確立されたか否かを判定し、確立され次第、STEP103へ進む。通信リンクは、典型的にはブルートゥース(登録商標:Bluetooth)等の無線通信規格を利用した無線リンクであるが、LANケーブル等を使った有線リンクであってもよい。通信装置は、ナビゲーション情報処理システム21がインターネット上の天候情報配信サーバへアクセスして、天候情報を入手するのに使用される。
【0041】
STEP103では、GPS59の出力に基づき現在位置を割り出す。STEP104では、運転者がナビゲーション情報処理システム21に目的地を入力したか否かを調べ、目的地の入力が有れば、STEP120(図4)へ進み、無ければ、STEP105へ進む。
【0042】
STEP105〜STEP112は、運転スイッチがオンにされた後、目的地が入力されない場合に、走行開始前に航続距離を算出する処理に関わる。
【0043】
STEP105では、高圧バッテリSOC監視部10の出力に基づき高圧バッテリ2のSOCを算出する。高圧バッテリ2の電圧とSOCとには対応関係があるので、高圧バッテリ2の電圧に基づき高圧バッテリ2のSOCを算出することができる。
【0044】
STEP106では、区間の平均電費を算出する。電費とは、電気自動車が高圧バッテリ2の単位電力量を使って走行できる距離を意味する。区間とは、典型的には、現在位置を該区間の終端地点とし、該区間の始端地点を、現在時刻から所定時間前の地点、電気自動車が現在位置まで走行して来たルートを逆行して所定距離前の走行地点、又はその他の基準で選択された地点とする直近区間である。状況に応じて、区間の終端地点として現在位置以外を選択することができる。
【0045】
STEP106における区間平均消費電力は、該区間を複数の等長区間部分に分割し、各等長区間部分の各境界地点における消費電力の平均値としたり、該区間の走行時間を複数の等長時間部分に分割し、各等長時間部分の各境界地点の走行時刻における消費電力の平均値としたりすることができる。
【0046】
STEP107では、区間平均電費による航続距離を算出する。ここで、STEP105で算出したSOCについて、電力量換算の値をSoとする。また、STEP106で算出した区間平均電費をEmとする。SOCの単位は、通常は、満充電時の電力量に対する現在の残電力量の百分率であるが、ここでは、航続距離の算出のために、Soに換算され、Soの単位はWs(ワット秒)とする。Emの単位はm/Ws(メートル/ワット秒)とする。
【0047】
航続距離の算出の具体的な仕方の一例では、航続距離=So×Emである。
【0048】
区間平均電費に代えて、複数の走行因子(例:道路の勾配率、車速、乗員数及び荷物重量)について幾つかの典型的な組合せを想定し、各組合せごとに電費(以下、「事前設定電費」という。)を予め設定し、記憶することができる。そして、現在の走行状況に近い組合せ(この組合せは各種センサからの入力に基づき検出する。)についての事前設定電費Epを用いて、航続距離=So×Epとすることもできる。この場合は、STEP107は省略することができる。
【0049】
STEP108では、現在位置に対してその近接地域の天候情報が有るか無いかを調べ、有れば、STEP109へ進み、無ければ、STEP112へ進む。天候情報が存在するものとして検索する場所は、例えば、STEP102で通信リンクを確立した通信装置を介して接続されている、インターネット上の各種天候情報サーバである。その他としては、後述の図10で述べるように、外部充電装置としての充電スタンド50の充電器49からの天候情報の入手が可能になっている場合には、充電器49内が天候情報の有無の検索場所になったり、充電器49から自車の記憶装置への天候情報入手後では、該記憶装置が天候情報の有無の検索場所になったりする。
【0050】
インターネット上で天候情報を提供先サーバとして、現在の天気又は天気予報の情報を提供している気象庁のサーバを含めることができる。さらには、著名なポータルサイトのサーバを含めることができる。ポータルサイトのサーバには、天候情報として、アクセス者から提供された各地の現在の天候情報を収集して、ほぼピンポイントの地域(市町村内の地区単位)の天候についての回答数を表示するサイトを有しており、電気自動車は、このようなサイトから近接地域の天候情報(回答数最大の天候を各地区の天候と判断する。)を入手することができる。
【0051】
STEP108の天候情報は、典型的には現在の天候状態であるが、今後の天候、すなわち天気予報に関する情報であってもよいし、両者を含んでいてもよい。天気予報には、今後の時間帯別の天気予報(例:現在を0として、3時間ごとの時間帯としての0−3、3−6、・・・を設定し、0−3の時間帯は曇り、3−6の時間帯は雨等、・・・)が航続距離の算出の能率化上、有利である。
【0052】
STEP109では、天候情報を入手する。STEP110では、入手した天候情報に基づき運転補助用補機17についての今後の使用状態を予測し、予測した今後の使用 状態に基づき運転補助用補機17についての今後の消費電力を予測する。
【0053】
STEP110における運転補助用補機17についての今後の使用状態の予測では、例えば、STEP109で入手した、近接地域の現在の天候情報が雨であれば、雨天用の運転補助用補機17としてワイパ24、リア熱線25、フロント熱線26、ドアミラー熱線27、コンプレッサ28及びヒータ29の使用が予測される。なお、これらの全部を運転補助用補機17とすることなく、ソフトウェア設計者の判断で運転補助用補機17とするものを取捨選択することができる。
【0054】
また、STEP109で入手した、近接地域の現在の天候情報が霧であれば、運転補助用補機17としてフォグランプ30の使用が予測されるともに、濃霧であれば、さらに走行予定時刻が朝夕であれば、フォグランプ30の他にヘッドライト31の併用も予測される。
【0055】
なお、STEP110で算出される消費電力は、使用が予測される全部の運転補助用補機17の消費電力の総和である。
【0056】
STEP111では、運転補助用補機17の消費電力を考慮した航続距離を算出する。STEP111における航続距離の種々の具体的な算出方式について説明する。
【0057】
第1例として、電気自動車の今後の走行全般にわたり、運転補助用補機17が使用される場合について説明する。STEP110で算出した消費電力に基づき単位走行距離当たりの消費電力量の逆数を消費電力率Ec[単位:m/Ws(メートル/(ワット・秒)]として算出する。STEP106で算出した区間平均電費をEm[単位:m/Ws]とする。この場合、運転補助用補機17の消費電力を考慮した航続距離は、航続距離=So・(Em−Ec)から算出される。なお、「・」は乗算を意味する。
【0058】
第2例として、途中の所定区間のみ、運転補助用補機17が使用されると予測される場合について説明する。該所定区間の長さをLとすると、運転補助用補機17の消費電力を考慮した航続距離は、航続距離=(So−Ec・L)・Emから算出される。
【0059】
第3例として、今後の走行予定ルートに運転補助用補機17が使用される区間と使用されない区間とが交互に切り替わる場合について説明する。その場合、各区間ごとに、使用される運転補助用補機17を区間別天候情報に基づき予測し、消費電力量について区間別の電動機7と運転補助用補機17とを合計した消費電力量を算出する。そして、現在位置に近い区間から遠方(例:目的地の方)の区間へ順番に、各区間開始時の高圧バッテリ2の残電力量により該区間の走破が可能であるか否かを調べていく。
【0060】
そして、現在位置に近い区間から遠方の区間へ順番に、各区間の走破の可否を調べていき、最初に走破不能と判断された区間(説明の便宜上、該区間を「基準区間」と呼ぶことにする。)では、バッテリの現在の残電力量により走行すると、電欠が生じることになる。したがって、基準区間より遠方の区間については、各区間の走行開始時の高圧バッテリ2の予測の残電力量により該区間の走破が可能であるか否かの判断は省略するとともに、現在位置から該基準区間より1つ手前の区間の終端(=基準区間の始端)までを航続距離とすることができる。
【0061】
また、基準区間の途中で電欠が生じることになるので、この途中地点までの現在位置からの距離を航続距離として算出することもできる。具体的な算出の仕方について述べると、基準区間の始端における高圧バッテリ2の残電力量に、(Em−Ec)を掛けて得られる距離をLaとし、現在位置から基準区間の始端までの距離をLbとし、La+Lbを航続距離とする。
【0062】
STEP112では、STEP107又はSTEP111で算出した航続距離をディスプレイ54(ディスプレイ54に代えて運転席の計器パネルも可)に表示する。STEP111が実行された場合は、STEP111で算出した航続距離がディスプレイ54に表示され、STEP111が実行されなかった場合は、STEP107で算出した航続距離がディスプレイ54に表示される。STEP112の実行後は、図6のSTEP151、STEP152又はSTEP153の実行待ち状態へ進む。
【0063】
図4について説明する。図4のフローチャート部分は、運転スイッチがオンにされた後、目的地が入力された場合に、走行開始前に先立ち航続距離を算出する処理に関わる。
【0064】
STEP120では出発地(=現在位置)から目的地までのルートを検索する。検索の結果、得られたルートは後述のSTEP128においてディスプレイ54に航続距離と共に表示される。
【0065】
STEP121では、STEP120で検索したルートについて天候情報が有るか否かが判定され、有れば、STEP122へ進み、無ければ、STEP122をスキップして、STEP123へ進む。STEP121において天候情報の有無を調べる場所は、STEP108のときと同一である。
【0066】
STEP122は、前述のSTEP109(図3)と同一の処理内容であり、説明は省略する。STEP123〜STEP125は前述のSTEP105〜STEP107(図3)と同一の処理内容であり、説明は省略する。STEP126では、STEP122で天候情報が入手されていれば、該入手した天候情報に基づき運転補助用補機17についての今後の使用状態を予測し、予測した今後の使用状態に基づき運転補助用補機17についての今後の消費電力を算出し、また、STEP122で天候情報が入手されていなければ、今後の消費電力を0とする。STEP127は、前述のSTEP111(図3)と同一の処理内容であり、説明は省略する。
【0067】
STEP128では、STEP120で検索した複数のルートを地図に重ねてディスプレイ54に表示するとともに、各ルート別に航続距離をディスプレイ54に表示する。図7及び図8を参照して、検索ルート及びルート別航続距離についての具体的な表示態様について説明する。
【0068】
図7に示すように、ナビゲーション情報処理システム21がSTEP120で検索した結果、見つかったルート候補がディスプレイ54において地図上に表示される。ルート候補の検索基準は、出発地から目的地まで最短距離又は最短時間で行くことができるルートであるが、通常、出発地と目的地とをつなぐルートで、走行距離又は走行時間が短い、上位から所定数のルートが検索結果としてディスプレイ54に表示される。図7の場合には、ルートA,Bの2つが検索結果として表示されている。
【0069】
ルートAでは、途中の雨地域Rを通ることになっている。したがって、ルートAについての航続距離の算出は、前述のSTEP111で説明した第2例の算出方式に従う。
【0070】
ルートBでは、雨地域Rの通過がないので、ルートBについての航続距離の算出は、前述のSTEP107で説明した算出方式に従う。
【0071】
また、図8に示すように、ルートA,Bの各種情報が、ディスプレイ54に対比して表示される。図7の検索ルート表示画面と、図8の航続距離表示画面とは、運転者が所定の切替操作部を操作することにより相互に切替え可能になっている。あるいは、ディスプレイ54の一画面上で、図7及び図8の画面を左右に同時に表示してもよい。
【0072】
また、ディスプレイ54には、図7の画面における2つのルートA,Bを、互いに異なる色で表示してもよい。この場合、図8の画面では、ルートA,Bの情報の表示領域の上のバー71a,71bを、図7の画面におけるルートA,Bの色と同一の色で表示して、図7の画面におけるルートA,Bと図8の画面のルートA,Bの情報との対応を運転者に分かり易くすることができる。あるいは、ディスプレイ54の画面を左右に分割して、図7及び図8の画面を、分割画面分の一方及び他方に表示して、同時に表示することもできる。
【0073】
図8の画面の情報には、出発地から目的地までのルート距離、現在の航続距離、目的地到着時の残航続距離、天候情報(降雨情報)を考慮した残航続距離が含まれる。ただし、ルートBについては途中の雨区間がないので、天候情報(降雨情報)を考慮した残航続距離の表示は省略される。
【0074】
ルート距離はルートAの方がルートBより短くなっている。現在の航続距離は、単純に高圧バッテリ2の残電力量に電費を掛けた値であり、ルートA,Bのどちらを選択しても同一の120kmとなっている。図8の例では、目的地到着時のものとして表示する残航続距離は、目的地までの天候を考慮しないで、すなわち運転補助用補機17の使用に伴う運転補助用補機17の消費電力を考慮しないで算出した値であるので、現在の航続可能距離からルートA,Bの距離を引いたものとなり、ルートAについては52.8km、ルートBについては48.6kmとなっている。
【0075】
これに対して、ルートAの雨地域Rにおける運転補助用補機17の使用を考慮して、ルートAについて算出した降雨情報考慮の残航続距離では、雨地域Rを通過中の運転補助用補機17の使用に伴う消費電力量が考慮されている。したがって、ルートAに関連して表示される降雨情報考慮の目的地到着時の残航続距離は、47kmであり、ルートBについての目的地到着時の残航続距離としての48.6kmより短くなっている。したがって、高圧バッテリ2の電力を節約する観点からは、ルートBを選択することが有利であることが分かる。
【0076】
図4に戻って、STEP129では、電気自動車の運転者は、ナビゲーション情報処理システム21が目的地までのルート候補として、図7及び図8のように表示しているルートA,Bに対し、1つを選択する。電気自動車の残電力量を重視する運転者はルートBを選択することになる。運転者がルートを選択次第、図5のSTEP135へ進む。
【0077】
図5において、STEP135では、運転者がSTEP129で選択した走行ルートについて、案内を開始する。走行ルート案内開始と共に航続距離表示も開始される。航続距離は、走行ルート案内期間中に所定のタイミングで繰り返し算出されて、最新のものがディスプレイ54又は運転席の計器パネルに表示される。次のSTEP136〜STEP145は、走行ルートの案内中、航続距離を更新する処理に関する。
【0078】
STEP136、又は、137は、航続距離の算出・更新のタイミングとしての所定のイベントの発生を調べる処理である。STEP136、又は、137で発生の判定対象となっているイベントの発生が検知されるや否や、STEP138へ進み、いずれのイベントも検出されない間は、STEP138への進行は待機状態となる。
【0079】
STEP136における監視対象のイベントは、後述のSTEP138〜STEP145において航続距離を算出処理した時刻から一定時間が経過したこと、又は航続距離を算出処理した地点から一定距離走行したことである。STEP137における監視対象のイベントは、航続距離が現在位置から目的地までの距離より短くなったことである。STEP136,137は、順次処理することもできるし、次のSTEP138への進行の待機期間において並行して実行することもできる。
【0080】
STEP138では、走行予定ルートについての天候情報が有るか否かを調べ、有れば、STEP139へ進み、無ければ、STEP139をスキップして、STEP140へ進む。なお、STEP138において天候情報が存在するものとして検索する場所は、図4のSTEP121のときと同一である。
【0081】
STEP139〜STEP144の処理内容は、図4において前述したSTEP122〜STEP127のものと同一である。相違点は、STEP139〜STEP144は、走行ルートの案内中に繰り返し実施するのに対し、STEP122〜STEP127は、ルート検索時に1回だけ実施することである。
【0082】
STEP145における航続距離の具体的な表示について、図9を参照して説明する。図9は、運転者が図7のルートAのように、目的地の途中に運転補助用補機の使用が予想される雨地域Rを含む走行ルートを案内中でかつ雨地域Rへの進入前又は雨地域Rを走行中における航続距離の表示を示している。図9の航続距離は、タッチパネルであるディスプレイ54に表示される。
【0083】
図9(a)は天候を考慮せずに算出した航続距離の表示態様であり、図9(b)は天候を考慮して算出した航続距離の表示態様である。運転者は、表示中の航続距離が天候を考慮したものか否かを、航続距離の文字の下の「(天候考慮せず)」及び「(天候考慮)」の表示文字から判断することができる。運転者が、右端の切替ボタンを指でタッチするごとに、図9(a)と図9(b)の表示とが交互に切り替わるようになっている。
【0084】
航続距離は、天候を考慮したか否かに関係なく、現在力の航続距離と、目的地到着時の航続距離との2つが表示される。当然ながら、現在位置からの航続距離≧目的地到着時の航続距離となる。
【0085】
図9(b)の現在位置から航続距離は、雨地域Rにおいて予想される運転補助用補機17の使用に伴う電力消費のために、図9(a)の現在位置から航続距離より短い値になる。
【0086】
図5のSTEP137で述べたように、航続距離<目的地までの距離と判定された場合、STEP145では、図9(b)における目的地からの航続距離の欄に、「電欠します」と、負の航続距離とが上段及び下段にそれぞれ表示される。この例では、負の航続距離は具体的に「−20km」になっている。これは電気自動車が目的地に到着する手前の20kmの地点で残電力量が0Wになることを意味する。
【0087】
ナビゲーション情報処理システム21が案内中のルートの出発地において、その時の天候情報に基づき算出した航続距離は、目的地までの距離以上であったにもかかわらず、その後の天候情報や、運転補助用補機17の予想を超える使用のために、出発地を出発した後、目的地への到着前に電欠に変化することが起こり得る。
【0088】
次に、図6のフローチャート部分について説明する。図6のフローチャート部分は、目的地が設定されることなく、電気自動車が走行している期間(非案内期間)における航続距離の更新処理に関する。
【0089】
STEP151、STEP152又はSTEP153は、図3のSTEP112の後に続いて実行される。STEP151、STEP152又はSTEP153は、目的地が設定されていない期間において、航続距離の算出・更新のタイミングとしての所定のイベントの発生を調べる処理である。STEP151、STEP152は、目的地が設定されている期間におけるSTEP136(図5)と同一内容の処理である。STEP153は、STEP137(図5)とは、STEP137が目的地までの距離と対比しているのに対し、基準値と対比している点で相違している。
【0090】
STEP151〜153で発生の判定対象となっている少なくとも1つのイベントの発生が検知されるや否や、STEP154へ進み、いずれのイベントも検出されない間は、STEP154への進行は待機状態となる。イベントの発生間隔は、STEP151〜153のイベント間で異なっている。
【0091】
STEP151における監視対象のイベントは、後述のSTEP154〜STEP163において航続距離を算出処理した時刻から一定時間が経過したことである。STEP152における監視対象のイベントは、後述のSTEP154〜STEP163において航続距離を算出処理した地点から一定距離走行したことである。
【0092】
STEP153における監視対象のイベントは、航続距離が基準値より短くなったことである。該基準値は、典型的には、現在位置に応じて変化する動的な値であり、例えば、現在位置から最も近い充電スタンド50までの距離や現在位置から自宅までの距離である。ただし、自宅には充電設備があることを想定している。
【0093】
STEP154では、GPS59からのGPS信号に基づいて電気自動車の現在位置が割り出される。STEP155では、電気自動車の進行方向が検出される。電気自動車の進行方向は、例えば、今回検出した現在位置が前回検出した現在位置に対してどちらの方角になっているか等、現在位置の変化に基づき検出することができる。
【0094】
STEP156では、進行方向地域の天候情報があるか否かを調べる。天候情報の検索場所は、STEP108において説明したものと同一である。
【0095】
STEP157〜STEP163の処理内容は、図5で前述したSTEP139〜STEP145のものと同一である。STEP163における航続距離の具体的表示態様は、図9(a)及び(b)において、「目的地から」を「基準位置から」に置き換えたものになる。基準位置は、図6のSTEP153の基準値に対応する地点であり、例えば、自宅等である。
【0096】
図10は電気自動車が充電スタンド50において充電を行っている期間の天候情報の授受方法のフローチャートである。運転者は、電気自動車の電欠を回避するために、適宜、充電スタンド50に立ち寄り、充電スタンド50の充電器49(図2)からの電力によりを高圧バッテリ2を充電する。
【0097】
STEP181では、充電器49から延びる充電ケーブル先端の充電コネクタ(図示せず)が、受電コネクタ12に接続されたか否かを充電状態検知システム44の出力に基づき判定する。充電コネクタが受電コネクタ12に接続されると、受電コネクタ12の所定の端子電圧が閾値以上に上昇する。
【0098】
STEP182では、充電器49から高圧バッテリ2への充電を開始する。STEP183では、充電器49の充電コネクタが受電コネクタ12に接続される直前まで運転補助用補機17が作動していたか否かを調べ、作動していたならば、STEP184へ接続し、作動していなかったならば、STEP185へ進む。運転補助用補機17が直前まで作動していることは、現在位置の現在の天候が雨や霧等であることを意味する。
【0099】
STEP184では、運転補助用補機17の作動状況を受電コネクタ12−充電器49間の充電ケーブルの信号線を介して充電器49へ送信する。運転補助用補機17の作動状況とは、具体的には、運転補助用補機17に含まれるどの補機が充電開始前に作動していたかの情報である。充電器49は、充電中の電気自動車からの情報により近接地域の天候(例:雨、霧及びそれら以外)を知得することができる。
【0100】
充電器49が設置されている充電スタンド50は、充電のために立ち寄って来る電気自動車からの天候情報を単独で収集してもよいし、別の場所にある同一販売系列等の天候情報共有関係の充電スタンド50と共通の天候情報管理サーバに接続されていて、充電スタンド50同士がネットワークを構成していてもよい。前者の場合には、各充電スタンド50に立ち寄った電気自動車のみからの天候情報を収集する。後者の場合には、所定地域の複数の充電スタンド50に立ち寄った電気自動車からの天候情報を共有して、該所定地域内の天候情報を把握することができる。
【0101】
STEP185では、高圧バッテリ2の充電完了までの残り時間が一定時間以下であるか否かを調べ、STEP186へ進む。残り時間が一定時間より長ければ、一定時間以下になるまで待つ。この理由は、充電スタンド50における高圧バッテリ2の充電には長い時間を要することがあり、充電終了間際に、STEP186以降の入手処理を行った方が、充電開始直後に入手処理を行うよりも、最新の天候情報を入手して、電気自動車の記憶装置に記憶することができるからである。
【0102】
STEP186では、充電スタンド50に近接する地域の天候情報が有るか否かを調べる。天候情報が存在するものとして検索する場所は充電スタンド50の充電器49を介して接続されている充電スタンド50内のサーバ又は前述の天候情報管理サーバとなる。
【0103】
STEP186において、充電スタンド50に近接する地域の天候情報が有ると判断されれば、STEP187へ進み、該天候情報を、充電ケーブルの信号線を介して受信して、天候情報授受方法の処理を終了する。
【0104】
各電気自動車が航続距離算出に使用する天候情報を各電気自動車へ提供する仕方として、充電スタンド50以外に、VICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)や、ナビ間情報共有ネットワークを利用することもできる。VICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)の情報には、チェーン規制や、雨又は風による最高速度制限が含まれることがあり、それらより、地域の天候を判断することができる。
【0105】
ナビ間情報共有ネットワークでは、ナビ間情報管理サーバは、各電気自動車のナビゲーション情報処理システム21から通信部61を介して各種データを受信し、受信した各種データに基づいて有用な情報を各電気自動車からの要求に応じて有用な情報を通信部61へ送信するようになっている。各種データには、電気自動車の各種センサが検知した情報を含む。
【0106】
図11はナビ間情報管理サーバが各電気自動車から受信した天候情報の一例である。各ナビゲーション情報処理システム21のユーザ(使用者)からの天候情報には、市区町村単位の所在、天候情報のデータの送信時間と共に、ワイパ24(Fr(フロント)ワイパ)、フロント熱線26(Fr熱線)、リア熱線25(Rr(リア)熱線)、ドアミラー熱線27、コンプレッサ28及びヒータ29の作動状況や、降雨センサ37及び外気温センサ38の検知情報も含まれる。なお、図11において“○”は作動状態、“×”は作動停止状態を示し、“−”は、対応機器が装備されておらず、情報の入手がないことを示している。
【0107】
ナビ間情報管理サーバは、日本全国にサービス網を構築しており、日本全国のナビゲーション情報処理システム21から天候情報を収集する。ナビ間情報管理サーバは、各ナビゲーション情報処理システム21からの運転補助用補機17について使用情報、天候関連の各種センサ(例:図1の降雨センサ37〜湿度センサ40)に基づいて各地域の現在の天候状態を把握したり、各ユーザーが現在の天候状態において各地域でどのような運転補助用補機17が使用されているかを分析する。さらに、これらの収集情報に基づき天気予報を行うこともできる。
【0108】
各ナビゲーション情報処理システム21は、自車の現在位置をナビ間情報管理サーバへ送信し、ナビ間情報管理サーバは、受信した現在位置に基づき該現在位置近辺の天候情報をナビゲーション情報処理システム21へ返す。図11において、ユーザーA〜Eの部分を黒枠で囲ってあるが、ナビ間情報管理サーバは、ナビゲーション情報処理システム21からの現在位置情報に基づき、この囲い範囲が該ナビゲーション情報処理システム21の近辺地域と判断したことを表している。
【0109】
ナビ間情報管理サーバは、天候情報と共に、近辺地域内で他の電気自動車が使用している運転補助用補機17の情報を送り、各電気自動車は、近辺地域の他の電気自動車が使用している運転補助用補機17に基づき自車における運転補助用補機17の今後の使用を予測することもできる。
【0110】
電気自動車は、現在走行している地域及びこれから向かおうとしている地域に応じて、図5のSTEP136や図7のSTEP151,52の実行間隔を調整することができる。例えば、現在走行している地域及びこれから向かおうとしている地域が、天候の変わり易い地域(天候状態の変化が速い地域)としての山岳地域となっている場合に、実行間隔を短くし(例:実行間隔は、非山岳地域の1時間に対し、山岳地域ではその半分の30分。)、航続距離の更新時期を早める。
【0111】
なお、現在位置が、山岳地域等の天候の変わり易い地域にあるか否かは、現在位置とデータベース58の地図情報とを照合して、判断することができる。また、天候の変わり易い地域として、図5のSTEP136や図7のSTEP151,52の実行間隔を短縮する地域は、運転者に予め登録させておくことができる。
【0112】
電気自動車は、現在走行している地域及びこれから向かおうとしている地域の天候情報について、通信部61を介してインターネット上の所定の天候情報サーバへアクセスし、該天候情報サーバから入手することができる。天候情報サーバには、市区町村単位の地域ごとに、インターネットユーザから寄せられた天候(例:「晴れ」、「曇り」、「雨」及び「雪」)を提供している。電気自動車は、このような天候情報サーバにアクセスして、
現在走行している地域及びこれから向かおうとしている地域の現在の天候状態を把握し、かつ今後の天候状態も予測することができる。
【0113】
本発明を実施形態について説明したが、本発明はその要旨の範囲内で種々に変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0114】
1・・・電気自動車(電動車両)、2・・・高圧バッテリ、17・・・運転補助用補機、10・・・高圧バッテリSOC監視部(残電力量検出部)、20・・・航続距離算出システム、21・・・ナビゲーション情報処理システム(電費算出部、天候情報ナビゲーション情報処理システム(電費算出部、天候情報入手部、情報記憶部、予測部及び航続距離算出部)、50・・・充電スタンド(外部充電装置)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機の駆動力を使って走行する電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
電動車両の一例の電気自動車は、電動機と共にバッテリを搭載し、バッテリの電力により作動する電動機により駆動輪を駆動して走行する。電動車両では、バッテリの現在の充電状態(SOC:State Of Charge)としての現在の残電力量により走行できる航続距離
を運転者に情報として報知することが一般的に行われる。運転者は、走行中に電欠が起こらないように、報知された航続距離に基づきバッテリを充電スタンド等において充電することになる。
【0003】
従来の電動車両では、例えば、経路の道路情報、交通情報、道路種別、天気、温度、エアコンの使用状況等が加味されて、航続距離が算出されている(例:特許文献1の段落0010参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−21522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電動車両では、航続距離の算出精度については、航続距離に影響を与える種々の因子を加味して航続距離を算出する方が有利であることは理解される。しかしながら、特許文献1は、航続距離を天気や温度に基づいて具体的にどのように算出すれば、算出精度を上げることができるのかを明らかにしていない。
【0006】
本発明の目的は、天候情報を加味して航続距離を算出する場合に、算出精度を向上させた電動車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明の電動車両は、バッテリと、前記バッテリの電力により作動して駆動輪を駆動する電動機と、前記バッテリの電力により作動する運転補助用補機とを備えた電動車両であって、前記バッテリの残電力量を検出する残電力量検出部と、前記電動機による単位消費電力量当たりの走行距離としての電費を算出する電費算出部と、天候情報を入手する天候情報入手部と、各天候状態と各天候状態において使用が予測される運転補助用補機との対応関係を設定した対応関係情報を記憶する情報記憶部と、前記天候情報入手部が入手した天候情報と前記情報記憶部が記憶している対応関係情報とに基づき運転補助用補機についての今後の使用状況を予測し、予測した使用状況に基づき運転補助用補機についての今後の補機予測消費電力を予測する予測部と、前記残電力量検出部が検出した残電力量と前記電費算出部が算出した電費と前記予測部が予測した補機予測消費電力とに基づき航続距離を算出する航続距離算出部とを備えることを特徴とする。
【0008】
第1発明によれば、各天候状態と各天候状態において使用が予測される運転補助用補機との対応関係を設定しておき、入手した天候情報に基づき運転補助用補機についての今後の使用状況を予測し、予測した使用状況に基づき運転補助用補機についての今後の補機予測消費電力を予測する。そして、バッテリの残電力量と電費と補機予測消費電力とに基づき航続距離を算出する。これにより、バッテリの残電力量のうち運転補助用補機について
の今後の補機予測消費電力の分が考慮されて、航続距離が算出されるので、航続距離の算出精度を向上させることができる。
【0009】
第2発明の電動車両は、第1発明において、前記航続距離算出部は、前記予測部が予測した補機予測消費電力に基づき今後の単位走行距離当たりの補機予測消費電力量の逆数としての補機予測消費電力率を算出し、前記電費算出部が算出した電費から該補機予測消費電力率を引いて得られる値に、前記残電力量検出部が検出した残電力量を掛けて得られる値に基づき航続距離を算出することを特徴とする。
【0010】
第2発明によれば、電費から補機予測消費電力率を引いて得られる値に、バッテリの残電力量を掛けて得られる値に基づき航続距離が算出される。この結果、バッテリの残電力量のうち運転補助用補機について予測される今後の使用による消費電力量分を除いて、航続距離を算出することになるので、高精度の航続距離を算出することができる。
【0011】
第3発明の電動車両は、第2発明において、前記予測部は、予定走行ルートを出発地から目的地に向かって又は目的地まで複数の区間に区分し、前記天候情報入手部が入手した天候情報と前記情報記憶部が記憶している対応関係情報とに基づき運転補助用補機についての今後の使用状況を区間別に予測し、予測した区間別使用状況に基づき運転補助用補機についての今後の区間別の補機予測消費電力を予測し、前記航続距離算出部は、現在位置を含む区間から目的地に向かって各区間に対し、前記予測部が予測した区間別補機予測消費電力と前記電費算出部が算出した電費とに基づき区間別消費電力量を算出するとともに、当該区間別消費電力量に基づき当該区間の走行終了時の前記バッテリの残電力量を次の区間の走行開始時の前記バッテリの予測残電力量として算出し、かつ当該区間の走行開始時の前記バッテリの予測残電力量により当該区間を走破可能か否かを判断し、最初に走破不能と判断された区間より1つ手前の走破可能の区間に基づき航続距離を算出することを特徴とする。
【0012】
第3発明によれば、今後の予定走行ルートについて現在位置から目的地の方へ複数の区間に区分し、運転補助用補機についての区間別の使用状況を予測し、予測した区間別使用状況に基づき運転補助用補機についての今後の区間別の補機予測消費電力を予測する。そして、現在位置に近い方の区間から目的地の方の区間へ順番に、各区間に対し、区間別補機予測消費電力と電費とに基づき区間別消費電力量を算出するとともに、該区間を区間の走行開始時の前記バッテリの予想残電力量により走破可能か否かを判断し、最初に走破不能と判断された区間より1つ手前の走破可能の区間に基づき航続距離を算出する。これにより、今後の予定走行ルートが複数の区間を含み、各区間における天候状態が異なっていて運転補助用補機についての使用状態が異なっている場合にも、航続距離を的確に算出することができる。
【0013】
第4発明の電動車両は、第1〜第3発明のいずれか1つにおいて、前記天候情報入手部が、天候情報配信サーバに通信回線を介して接続可能になっている携帯型通信装置であることを特徴とする。
【0014】
第4発明によれば、ユーザーが一般的に携帯している携帯電話機等の携帯型通信装置を通信機として利用し、天候情報は、該携帯型通信装置が通信回線を介してネット上の天候情報源として天候情報配信サーバに接続されることにより、入手される。この結果、通信機のコストを抑えつつ、適切な天候情報を円滑に入手することができる。
【0015】
第5発明の電動車両は、第1〜第3発明のいずれか1つにおいて、前記天候情報入手部が、天候情報源又は天候情報源に接続されている外部充電装置から、ケーブルを介して前記バッテリの充電用電力の給電と共に天候情報を受信する受電部であることを特徴とする。
【0016】
第5発明によれば、電動車両は、外部充電装置からのバッテリ充電用電力の受電に並行して、外部充電装置から天候情報を受信することができるので、天候情報を能率的に入手することができる。
【0017】
第6発明の電動車両は、第5発明において、前記受電部が、自車における前記運転補助用補機の消費電力履歴を前記外部充電装置へ授与することを特徴とする。
【0018】
第6発明によれば、電動車両が、受電部を介して外部充電装置へ運転補助用補機の消費電力履歴を授与することにより、外部充電装置は、バッテリの充電のために訪れる複数の電動車両から運転補助用補機の消費電力履歴を収集して、該消費電力履歴から近辺の天候情報を入手することができ、この情報を、バッテリの充電のために訪れた次の電動車両へ提供することができる。外部充電装置が入手した天候情報には、電動車両が外部充電装置の場所に立ち寄る前に、該電動車両の走行予定ルートを逆行して来た別の電動車両からの運転補助用補機の消費電力履歴に基づく天候情報が含まれることがある。この結果、電動車両は、走行予定ルートについての天候情報を外部充電装置から入手して、該天候情報に基づき的確な航続距離を算出することができる。
【0019】
第7発明の電動車両は、第1〜第6発明のいずれか1つにおいて、前記天候情報入手部がナビゲーション装置に装備され、該ナビゲーション装置の前記天候情報入手部が、現在位置に基づき特定した地域の天候情報を無線通信により入手することを特徴とする。
【0020】
第7発明によれば、ナビゲーション装置の天候情報入手部が、自車の現在位置に基づき特定した地域(例:当該電動車両がこれから走行すると予想される地域)の天候情報を、無線通信媒体を介して入手する。一般的なナビゲーション装置は、無線通信機能を装備済みであるので、天候情報入手に伴う通信機のコスト増大を回避することができる。
【0021】
第8発明の電動車両は、第7発明において、該ナビゲーション装置の前記天候情報入手部が、自車が所定距離を走行するごとに、又は所定時間が経過するごとに天候情報を入手することを特徴とする。
【0022】
第8発明によれば、航続距離は定期的に更新されるので、最新の天気状態及び残電力量に基づき最新の航続距離が提供される。
【0023】
第9発明の電動車両は、第8発明において、前記ナビゲーション装置の前記天候情報入手部が、現在位置が天候状態の変化の速い地域内にあるときは、天候状態の変化の遅い地域内にあるときよりも、前記所定距離又は前記所定時間を短くすることを特徴とする。
【0024】
天候状態の変化は地域により差がある。第9発明によれば、現在位置が天候状態の変化の早い地域内にあるときは、天候情報の入手の時間間隔を早めて、該地域の天候変化に的確に追従して、航続距離を更新することができる。
【0025】
第10発明の電動車両は、第7〜第9発明のいずれか1つにおいて、前記ナビゲーション装置が、目的地が設定されているときは前記航続距離算出部が算出した航続距離に基づき前記目的地からの航続距離を前記目的地への到達前に報知する報知部を備えることを特徴とする。
【0026】
現在位置からの航続距離についての情報だけでなく、目的地到着時の航続距離の情報があれば、有益である。なぜならば、目的地近辺にバッテリの充電場所がないとき、目的地からの航続距離は、復路において、又は目的地からさらに別の場所へ移動するときにおいて、途中で電欠することなく次の充電ができるか否かの目安になり、もし、目的地からの航続距離が十分でない場合には、目的地に到達する前に、予め充電を行っておく必要があると判断する情報になるからである。第10発明によれば、目的地からの航続距離を報知して、電動車両が目的地到達する前にバッテリの充電を行うべきか否かを運転者に的確に判断させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】電気自動車の主要部構成図。
【図2】電気自動車に装備される航続距離算出システムの構成図。
【図3】航続距離算出システムにおける航続距離算出方法の第1部分のフローチャート。
【図4】航続距離算出システムにおける航続距離算出方法の第2部分のフローチャート。
【図5】航続距離算出システムにおける航続距離算出方法の第3部分のフローチャート。
【図6】航続距離算出システムにおける航続距離算出方法の第4部分のフローチャート。
【図7】ナビゲーション情報処理システムが検索した出発地−目的地間の複数の推奨ルートが表示されている画面を示す図。
【図8】各検索ルートについての航続距離が表示されている画面を示す図。
【図9】天候を考慮したときと考慮しないときとのディスプレイにおける航続距離の具体的表示態様を示す図。
【図10】電気自動車が充電スタンドにおいて充電を行っている期間の天候情報の授受方法のフローチャート。
【図11】ナビ間情報管理サーバが各電気自動車から収集した天候情報を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、電動車両の一例の電気自動車の主要部1を示す。図において、高圧バッテリ2は、電気自動車に搭載される電装品に対して直接又は間接の電力源になっており、コンタクタ3を介して空調装置4、PCU(Power Control Unit)5及び直流/直流変換器6に接続されている。空調装置4は、車内の気温を調整する。PCU5は、三相ブラシレスモータから構成される電動機7への三相電流を制御する。直流/直流変換器6は、高圧バッテリ2の出力直流電圧を、それより低圧の直流電圧へ変換する。
【0029】
低圧バッテリ16は、直流/直流変換器6による変換後の直流電圧により充電される。運転補助用補機17は、具体的な複数の運転補助用補機を総称している。運転補助用補機17に包含される具体的な運転補助用補機については図2で後述する。
【0030】
高圧バッテリSOC監視部10は、高圧バッテリ2の残電力量としてのSOCを検出する。ECU(車両システム制御装置)11は、運転補助用補機17及びナビゲーション情報処理システム21と共に航続距離算出システム20を構成するとともに、電気自動車に搭載される電装品の作動を制御する。受電コネクタ12は、高圧バッテリ2の充電時には、充電スタンド50(図2)の充電器49へ電力ケーブルを介して接続され、電力ケーブルを介して充電器49から供給される電力により高圧バッテリ2を送る。ECU11は、高圧バッテリSOC監視部10から検出信号を受けるとともに、受電コネクタ12のオン、オフを切替えて、ECU11の充電開始時期及び終了時期を制御する。
【0031】
図2において、航続距離算出システム20は、ECU11と、ナビゲーション情報処理システム21とを備える。ワイパ24、リア熱線25、フロント熱線26、ドアミラー熱線27、コンプレッサ28、ヒータ29、フォグランプ30、ヘッドライト31及びメータランプ32は、構造及び作用は周知のものと同一であり、運転補助用補機17(図1)として航続距離算出システム20に装備され、特には視界確保の運転補助の役目を果たす。ワイパ24、リア熱線25、フロント熱線26、ドアミラー熱線27、コンプレッサ28、ヒータ29、フォグランプ30、ヘッドライト31及びメータランプ32は、ECU11からの制御信号に基づき作動及び停止を切替えられる。
【0032】
コンプレッサ28はエアコンに装備され、ヒータ29は車室の暖房を実施する。コンプレッサ28及びヒータ29は、雨天時の電気自動車のフロントガラスの曇り止めを行うデフロスタとして使用される。コンプレッサ28は、空調装置4(図1)の要素でもある。
【0033】
なお、天候情報に含まれる天候には、雨,晴,曇り,雪などの他に、気温,湿度,気圧、周囲の明るさを含めることができる。
【0034】
降雨センサ37、外気温センサ38、室温センサ39及び湿度センサ40は、天候状態検出機器類であり、出力をECU11へ送る。充電状態検知システム44は、電気自動車が充電スタンド50の充電器49へ接続されている期間、受電コネクタ12(図1)の所定の端子の電圧を検出し、充電器49との接続の有無や、電気自動車の充電の進捗度を検出する。
【0035】
ナビゲーション情報処理システム21は、ECU11とデータを相互に授受し、報知機器としてのディスプレイ54とスピーカ55とを備える。ディスプレイ54は、後述の図9の切替ボタンについて説明するように、タッチパネルとなっている。スイッチ56は、ディスプレイ54のパネルに配備され、使用者の操作によりナビゲーション情報処理システム21の作動及び停止を切替える。
【0036】
なお、後述の航続距離は、ディスプレイ54及び/又は運転席の計器パネルに視覚表示される。航続距離は、スピーカ55から音声で出力することもできる。
【0037】
日付情報部57は、現在の時間及び日付を含むカレンダーを保持する。データベース58は、全国の地図やPOI(Point of Interests:お気に入り地点)等の情報を蓄積している。GPS(Global Positioning System)59は現在位置を検出する。通信部61は、携帯電話を介して又は直接、公衆無線データ回線へ接続され、インターネットに接続される。通信部61と携帯電話とは、ブルートゥース(登録商標:Bluetooth)やWi−Fi(Wireless Fidelity)等の無線やUSBケーブル等の有線により接続される。
【0038】
図3〜図6を参照して、航続距離算出システム20における航続距離算出方法について説明する。該航続距離算出方法は、ECU11又はナビゲーション情報処理システム21が対応のソフトウェアを実行することにより実施される。その場合、ECU11又はナビゲーション情報処理システム21内のCPUは、本発明の電費算出部、天候情報入手部、情報記憶部、予測部及び航続距離算出部の機能を実現する。なお、記憶部としての情報記憶部は、CPUとの別の記憶装置(図示せず)として用意することもできる。
【0039】
STEP101では、電気自動車の運転スイッチがオンにされる。運転スイッチのオンに伴い、高圧バッテリ2又は低圧バッテリ16の電力が電動機7及び電装品へ供給可能になる。また、運転スイッチのオフに伴い、高圧バッテリ2及び低圧バッテリ16の電力は、電動機7及び電装品への供給を禁止される。
【0040】
STEP102では、携帯電話等の通信装置と車両との通信リンクが確立されたか否かを判定し、確立され次第、STEP103へ進む。通信リンクは、典型的にはブルートゥース(登録商標:Bluetooth)等の無線通信規格を利用した無線リンクであるが、LANケーブル等を使った有線リンクであってもよい。通信装置は、ナビゲーション情報処理システム21がインターネット上の天候情報配信サーバへアクセスして、天候情報を入手するのに使用される。
【0041】
STEP103では、GPS59の出力に基づき現在位置を割り出す。STEP104では、運転者がナビゲーション情報処理システム21に目的地を入力したか否かを調べ、目的地の入力が有れば、STEP120(図4)へ進み、無ければ、STEP105へ進む。
【0042】
STEP105〜STEP112は、運転スイッチがオンにされた後、目的地が入力されない場合に、走行開始前に航続距離を算出する処理に関わる。
【0043】
STEP105では、高圧バッテリSOC監視部10の出力に基づき高圧バッテリ2のSOCを算出する。高圧バッテリ2の電圧とSOCとには対応関係があるので、高圧バッテリ2の電圧に基づき高圧バッテリ2のSOCを算出することができる。
【0044】
STEP106では、区間の平均電費を算出する。電費とは、電気自動車が高圧バッテリ2の単位電力量を使って走行できる距離を意味する。区間とは、典型的には、現在位置を該区間の終端地点とし、該区間の始端地点を、現在時刻から所定時間前の地点、電気自動車が現在位置まで走行して来たルートを逆行して所定距離前の走行地点、又はその他の基準で選択された地点とする直近区間である。状況に応じて、区間の終端地点として現在位置以外を選択することができる。
【0045】
STEP106における区間平均消費電力は、該区間を複数の等長区間部分に分割し、各等長区間部分の各境界地点における消費電力の平均値としたり、該区間の走行時間を複数の等長時間部分に分割し、各等長時間部分の各境界地点の走行時刻における消費電力の平均値としたりすることができる。
【0046】
STEP107では、区間平均電費による航続距離を算出する。ここで、STEP105で算出したSOCについて、電力量換算の値をSoとする。また、STEP106で算出した区間平均電費をEmとする。SOCの単位は、通常は、満充電時の電力量に対する現在の残電力量の百分率であるが、ここでは、航続距離の算出のために、Soに換算され、Soの単位はWs(ワット秒)とする。Emの単位はm/Ws(メートル/ワット秒)とする。
【0047】
航続距離の算出の具体的な仕方の一例では、航続距離=So×Emである。
【0048】
区間平均電費に代えて、複数の走行因子(例:道路の勾配率、車速、乗員数及び荷物重量)について幾つかの典型的な組合せを想定し、各組合せごとに電費(以下、「事前設定電費」という。)を予め設定し、記憶することができる。そして、現在の走行状況に近い組合せ(この組合せは各種センサからの入力に基づき検出する。)についての事前設定電費Epを用いて、航続距離=So×Epとすることもできる。この場合は、STEP107は省略することができる。
【0049】
STEP108では、現在位置に対してその近接地域の天候情報が有るか無いかを調べ、有れば、STEP109へ進み、無ければ、STEP112へ進む。天候情報が存在するものとして検索する場所は、例えば、STEP102で通信リンクを確立した通信装置を介して接続されている、インターネット上の各種天候情報サーバである。その他としては、後述の図10で述べるように、外部充電装置としての充電スタンド50の充電器49からの天候情報の入手が可能になっている場合には、充電器49内が天候情報の有無の検索場所になったり、充電器49から自車の記憶装置への天候情報入手後では、該記憶装置が天候情報の有無の検索場所になったりする。
【0050】
インターネット上で天候情報を提供先サーバとして、現在の天気又は天気予報の情報を提供している気象庁のサーバを含めることができる。さらには、著名なポータルサイトのサーバを含めることができる。ポータルサイトのサーバには、天候情報として、アクセス者から提供された各地の現在の天候情報を収集して、ほぼピンポイントの地域(市町村内の地区単位)の天候についての回答数を表示するサイトを有しており、電気自動車は、このようなサイトから近接地域の天候情報(回答数最大の天候を各地区の天候と判断する。)を入手することができる。
【0051】
STEP108の天候情報は、典型的には現在の天候状態であるが、今後の天候、すなわち天気予報に関する情報であってもよいし、両者を含んでいてもよい。天気予報には、今後の時間帯別の天気予報(例:現在を0として、3時間ごとの時間帯としての0−3、3−6、・・・を設定し、0−3の時間帯は曇り、3−6の時間帯は雨等、・・・)が航続距離の算出の能率化上、有利である。
【0052】
STEP109では、天候情報を入手する。STEP110では、入手した天候情報に基づき運転補助用補機17についての今後の使用状態を予測し、予測した今後の使用 状態に基づき運転補助用補機17についての今後の消費電力を予測する。
【0053】
STEP110における運転補助用補機17についての今後の使用状態の予測では、例えば、STEP109で入手した、近接地域の現在の天候情報が雨であれば、雨天用の運転補助用補機17としてワイパ24、リア熱線25、フロント熱線26、ドアミラー熱線27、コンプレッサ28及びヒータ29の使用が予測される。なお、これらの全部を運転補助用補機17とすることなく、ソフトウェア設計者の判断で運転補助用補機17とするものを取捨選択することができる。
【0054】
また、STEP109で入手した、近接地域の現在の天候情報が霧であれば、運転補助用補機17としてフォグランプ30の使用が予測されるともに、濃霧であれば、さらに走行予定時刻が朝夕であれば、フォグランプ30の他にヘッドライト31の併用も予測される。
【0055】
なお、STEP110で算出される消費電力は、使用が予測される全部の運転補助用補機17の消費電力の総和である。
【0056】
STEP111では、運転補助用補機17の消費電力を考慮した航続距離を算出する。STEP111における航続距離の種々の具体的な算出方式について説明する。
【0057】
第1例として、電気自動車の今後の走行全般にわたり、運転補助用補機17が使用される場合について説明する。STEP110で算出した消費電力に基づき単位走行距離当たりの消費電力量の逆数を消費電力率Ec[単位:m/Ws(メートル/(ワット・秒)]として算出する。STEP106で算出した区間平均電費をEm[単位:m/Ws]とする。この場合、運転補助用補機17の消費電力を考慮した航続距離は、航続距離=So・(Em−Ec)から算出される。なお、「・」は乗算を意味する。
【0058】
第2例として、途中の所定区間のみ、運転補助用補機17が使用されると予測される場合について説明する。該所定区間の長さをLとすると、運転補助用補機17の消費電力を考慮した航続距離は、航続距離=(So−Ec・L)・Emから算出される。
【0059】
第3例として、今後の走行予定ルートに運転補助用補機17が使用される区間と使用されない区間とが交互に切り替わる場合について説明する。その場合、各区間ごとに、使用される運転補助用補機17を区間別天候情報に基づき予測し、消費電力量について区間別の電動機7と運転補助用補機17とを合計した消費電力量を算出する。そして、現在位置に近い区間から遠方(例:目的地の方)の区間へ順番に、各区間開始時の高圧バッテリ2の残電力量により該区間の走破が可能であるか否かを調べていく。
【0060】
そして、現在位置に近い区間から遠方の区間へ順番に、各区間の走破の可否を調べていき、最初に走破不能と判断された区間(説明の便宜上、該区間を「基準区間」と呼ぶことにする。)では、バッテリの現在の残電力量により走行すると、電欠が生じることになる。したがって、基準区間より遠方の区間については、各区間の走行開始時の高圧バッテリ2の予測の残電力量により該区間の走破が可能であるか否かの判断は省略するとともに、現在位置から該基準区間より1つ手前の区間の終端(=基準区間の始端)までを航続距離とすることができる。
【0061】
また、基準区間の途中で電欠が生じることになるので、この途中地点までの現在位置からの距離を航続距離として算出することもできる。具体的な算出の仕方について述べると、基準区間の始端における高圧バッテリ2の残電力量に、(Em−Ec)を掛けて得られる距離をLaとし、現在位置から基準区間の始端までの距離をLbとし、La+Lbを航続距離とする。
【0062】
STEP112では、STEP107又はSTEP111で算出した航続距離をディスプレイ54(ディスプレイ54に代えて運転席の計器パネルも可)に表示する。STEP111が実行された場合は、STEP111で算出した航続距離がディスプレイ54に表示され、STEP111が実行されなかった場合は、STEP107で算出した航続距離がディスプレイ54に表示される。STEP112の実行後は、図6のSTEP151、STEP152又はSTEP153の実行待ち状態へ進む。
【0063】
図4について説明する。図4のフローチャート部分は、運転スイッチがオンにされた後、目的地が入力された場合に、走行開始前に先立ち航続距離を算出する処理に関わる。
【0064】
STEP120では出発地(=現在位置)から目的地までのルートを検索する。検索の結果、得られたルートは後述のSTEP128においてディスプレイ54に航続距離と共に表示される。
【0065】
STEP121では、STEP120で検索したルートについて天候情報が有るか否かが判定され、有れば、STEP122へ進み、無ければ、STEP122をスキップして、STEP123へ進む。STEP121において天候情報の有無を調べる場所は、STEP108のときと同一である。
【0066】
STEP122は、前述のSTEP109(図3)と同一の処理内容であり、説明は省略する。STEP123〜STEP125は前述のSTEP105〜STEP107(図3)と同一の処理内容であり、説明は省略する。STEP126では、STEP122で天候情報が入手されていれば、該入手した天候情報に基づき運転補助用補機17についての今後の使用状態を予測し、予測した今後の使用状態に基づき運転補助用補機17についての今後の消費電力を算出し、また、STEP122で天候情報が入手されていなければ、今後の消費電力を0とする。STEP127は、前述のSTEP111(図3)と同一の処理内容であり、説明は省略する。
【0067】
STEP128では、STEP120で検索した複数のルートを地図に重ねてディスプレイ54に表示するとともに、各ルート別に航続距離をディスプレイ54に表示する。図7及び図8を参照して、検索ルート及びルート別航続距離についての具体的な表示態様について説明する。
【0068】
図7に示すように、ナビゲーション情報処理システム21がSTEP120で検索した結果、見つかったルート候補がディスプレイ54において地図上に表示される。ルート候補の検索基準は、出発地から目的地まで最短距離又は最短時間で行くことができるルートであるが、通常、出発地と目的地とをつなぐルートで、走行距離又は走行時間が短い、上位から所定数のルートが検索結果としてディスプレイ54に表示される。図7の場合には、ルートA,Bの2つが検索結果として表示されている。
【0069】
ルートAでは、途中の雨地域Rを通ることになっている。したがって、ルートAについての航続距離の算出は、前述のSTEP111で説明した第2例の算出方式に従う。
【0070】
ルートBでは、雨地域Rの通過がないので、ルートBについての航続距離の算出は、前述のSTEP107で説明した算出方式に従う。
【0071】
また、図8に示すように、ルートA,Bの各種情報が、ディスプレイ54に対比して表示される。図7の検索ルート表示画面と、図8の航続距離表示画面とは、運転者が所定の切替操作部を操作することにより相互に切替え可能になっている。あるいは、ディスプレイ54の一画面上で、図7及び図8の画面を左右に同時に表示してもよい。
【0072】
また、ディスプレイ54には、図7の画面における2つのルートA,Bを、互いに異なる色で表示してもよい。この場合、図8の画面では、ルートA,Bの情報の表示領域の上のバー71a,71bを、図7の画面におけるルートA,Bの色と同一の色で表示して、図7の画面におけるルートA,Bと図8の画面のルートA,Bの情報との対応を運転者に分かり易くすることができる。あるいは、ディスプレイ54の画面を左右に分割して、図7及び図8の画面を、分割画面分の一方及び他方に表示して、同時に表示することもできる。
【0073】
図8の画面の情報には、出発地から目的地までのルート距離、現在の航続距離、目的地到着時の残航続距離、天候情報(降雨情報)を考慮した残航続距離が含まれる。ただし、ルートBについては途中の雨区間がないので、天候情報(降雨情報)を考慮した残航続距離の表示は省略される。
【0074】
ルート距離はルートAの方がルートBより短くなっている。現在の航続距離は、単純に高圧バッテリ2の残電力量に電費を掛けた値であり、ルートA,Bのどちらを選択しても同一の120kmとなっている。図8の例では、目的地到着時のものとして表示する残航続距離は、目的地までの天候を考慮しないで、すなわち運転補助用補機17の使用に伴う運転補助用補機17の消費電力を考慮しないで算出した値であるので、現在の航続可能距離からルートA,Bの距離を引いたものとなり、ルートAについては52.8km、ルートBについては48.6kmとなっている。
【0075】
これに対して、ルートAの雨地域Rにおける運転補助用補機17の使用を考慮して、ルートAについて算出した降雨情報考慮の残航続距離では、雨地域Rを通過中の運転補助用補機17の使用に伴う消費電力量が考慮されている。したがって、ルートAに関連して表示される降雨情報考慮の目的地到着時の残航続距離は、47kmであり、ルートBについての目的地到着時の残航続距離としての48.6kmより短くなっている。したがって、高圧バッテリ2の電力を節約する観点からは、ルートBを選択することが有利であることが分かる。
【0076】
図4に戻って、STEP129では、電気自動車の運転者は、ナビゲーション情報処理システム21が目的地までのルート候補として、図7及び図8のように表示しているルートA,Bに対し、1つを選択する。電気自動車の残電力量を重視する運転者はルートBを選択することになる。運転者がルートを選択次第、図5のSTEP135へ進む。
【0077】
図5において、STEP135では、運転者がSTEP129で選択した走行ルートについて、案内を開始する。走行ルート案内開始と共に航続距離表示も開始される。航続距離は、走行ルート案内期間中に所定のタイミングで繰り返し算出されて、最新のものがディスプレイ54又は運転席の計器パネルに表示される。次のSTEP136〜STEP145は、走行ルートの案内中、航続距離を更新する処理に関する。
【0078】
STEP136、又は、137は、航続距離の算出・更新のタイミングとしての所定のイベントの発生を調べる処理である。STEP136、又は、137で発生の判定対象となっているイベントの発生が検知されるや否や、STEP138へ進み、いずれのイベントも検出されない間は、STEP138への進行は待機状態となる。
【0079】
STEP136における監視対象のイベントは、後述のSTEP138〜STEP145において航続距離を算出処理した時刻から一定時間が経過したこと、又は航続距離を算出処理した地点から一定距離走行したことである。STEP137における監視対象のイベントは、航続距離が現在位置から目的地までの距離より短くなったことである。STEP136,137は、順次処理することもできるし、次のSTEP138への進行の待機期間において並行して実行することもできる。
【0080】
STEP138では、走行予定ルートについての天候情報が有るか否かを調べ、有れば、STEP139へ進み、無ければ、STEP139をスキップして、STEP140へ進む。なお、STEP138において天候情報が存在するものとして検索する場所は、図4のSTEP121のときと同一である。
【0081】
STEP139〜STEP144の処理内容は、図4において前述したSTEP122〜STEP127のものと同一である。相違点は、STEP139〜STEP144は、走行ルートの案内中に繰り返し実施するのに対し、STEP122〜STEP127は、ルート検索時に1回だけ実施することである。
【0082】
STEP145における航続距離の具体的な表示について、図9を参照して説明する。図9は、運転者が図7のルートAのように、目的地の途中に運転補助用補機の使用が予想される雨地域Rを含む走行ルートを案内中でかつ雨地域Rへの進入前又は雨地域Rを走行中における航続距離の表示を示している。図9の航続距離は、タッチパネルであるディスプレイ54に表示される。
【0083】
図9(a)は天候を考慮せずに算出した航続距離の表示態様であり、図9(b)は天候を考慮して算出した航続距離の表示態様である。運転者は、表示中の航続距離が天候を考慮したものか否かを、航続距離の文字の下の「(天候考慮せず)」及び「(天候考慮)」の表示文字から判断することができる。運転者が、右端の切替ボタンを指でタッチするごとに、図9(a)と図9(b)の表示とが交互に切り替わるようになっている。
【0084】
航続距離は、天候を考慮したか否かに関係なく、現在力の航続距離と、目的地到着時の航続距離との2つが表示される。当然ながら、現在位置からの航続距離≧目的地到着時の航続距離となる。
【0085】
図9(b)の現在位置から航続距離は、雨地域Rにおいて予想される運転補助用補機17の使用に伴う電力消費のために、図9(a)の現在位置から航続距離より短い値になる。
【0086】
図5のSTEP137で述べたように、航続距離<目的地までの距離と判定された場合、STEP145では、図9(b)における目的地からの航続距離の欄に、「電欠します」と、負の航続距離とが上段及び下段にそれぞれ表示される。この例では、負の航続距離は具体的に「−20km」になっている。これは電気自動車が目的地に到着する手前の20kmの地点で残電力量が0Wになることを意味する。
【0087】
ナビゲーション情報処理システム21が案内中のルートの出発地において、その時の天候情報に基づき算出した航続距離は、目的地までの距離以上であったにもかかわらず、その後の天候情報や、運転補助用補機17の予想を超える使用のために、出発地を出発した後、目的地への到着前に電欠に変化することが起こり得る。
【0088】
次に、図6のフローチャート部分について説明する。図6のフローチャート部分は、目的地が設定されることなく、電気自動車が走行している期間(非案内期間)における航続距離の更新処理に関する。
【0089】
STEP151、STEP152又はSTEP153は、図3のSTEP112の後に続いて実行される。STEP151、STEP152又はSTEP153は、目的地が設定されていない期間において、航続距離の算出・更新のタイミングとしての所定のイベントの発生を調べる処理である。STEP151、STEP152は、目的地が設定されている期間におけるSTEP136(図5)と同一内容の処理である。STEP153は、STEP137(図5)とは、STEP137が目的地までの距離と対比しているのに対し、基準値と対比している点で相違している。
【0090】
STEP151〜153で発生の判定対象となっている少なくとも1つのイベントの発生が検知されるや否や、STEP154へ進み、いずれのイベントも検出されない間は、STEP154への進行は待機状態となる。イベントの発生間隔は、STEP151〜153のイベント間で異なっている。
【0091】
STEP151における監視対象のイベントは、後述のSTEP154〜STEP163において航続距離を算出処理した時刻から一定時間が経過したことである。STEP152における監視対象のイベントは、後述のSTEP154〜STEP163において航続距離を算出処理した地点から一定距離走行したことである。
【0092】
STEP153における監視対象のイベントは、航続距離が基準値より短くなったことである。該基準値は、典型的には、現在位置に応じて変化する動的な値であり、例えば、現在位置から最も近い充電スタンド50までの距離や現在位置から自宅までの距離である。ただし、自宅には充電設備があることを想定している。
【0093】
STEP154では、GPS59からのGPS信号に基づいて電気自動車の現在位置が割り出される。STEP155では、電気自動車の進行方向が検出される。電気自動車の進行方向は、例えば、今回検出した現在位置が前回検出した現在位置に対してどちらの方角になっているか等、現在位置の変化に基づき検出することができる。
【0094】
STEP156では、進行方向地域の天候情報があるか否かを調べる。天候情報の検索場所は、STEP108において説明したものと同一である。
【0095】
STEP157〜STEP163の処理内容は、図5で前述したSTEP139〜STEP145のものと同一である。STEP163における航続距離の具体的表示態様は、図9(a)及び(b)において、「目的地から」を「基準位置から」に置き換えたものになる。基準位置は、図6のSTEP153の基準値に対応する地点であり、例えば、自宅等である。
【0096】
図10は電気自動車が充電スタンド50において充電を行っている期間の天候情報の授受方法のフローチャートである。運転者は、電気自動車の電欠を回避するために、適宜、充電スタンド50に立ち寄り、充電スタンド50の充電器49(図2)からの電力によりを高圧バッテリ2を充電する。
【0097】
STEP181では、充電器49から延びる充電ケーブル先端の充電コネクタ(図示せず)が、受電コネクタ12に接続されたか否かを充電状態検知システム44の出力に基づき判定する。充電コネクタが受電コネクタ12に接続されると、受電コネクタ12の所定の端子電圧が閾値以上に上昇する。
【0098】
STEP182では、充電器49から高圧バッテリ2への充電を開始する。STEP183では、充電器49の充電コネクタが受電コネクタ12に接続される直前まで運転補助用補機17が作動していたか否かを調べ、作動していたならば、STEP184へ接続し、作動していなかったならば、STEP185へ進む。運転補助用補機17が直前まで作動していることは、現在位置の現在の天候が雨や霧等であることを意味する。
【0099】
STEP184では、運転補助用補機17の作動状況を受電コネクタ12−充電器49間の充電ケーブルの信号線を介して充電器49へ送信する。運転補助用補機17の作動状況とは、具体的には、運転補助用補機17に含まれるどの補機が充電開始前に作動していたかの情報である。充電器49は、充電中の電気自動車からの情報により近接地域の天候(例:雨、霧及びそれら以外)を知得することができる。
【0100】
充電器49が設置されている充電スタンド50は、充電のために立ち寄って来る電気自動車からの天候情報を単独で収集してもよいし、別の場所にある同一販売系列等の天候情報共有関係の充電スタンド50と共通の天候情報管理サーバに接続されていて、充電スタンド50同士がネットワークを構成していてもよい。前者の場合には、各充電スタンド50に立ち寄った電気自動車のみからの天候情報を収集する。後者の場合には、所定地域の複数の充電スタンド50に立ち寄った電気自動車からの天候情報を共有して、該所定地域内の天候情報を把握することができる。
【0101】
STEP185では、高圧バッテリ2の充電完了までの残り時間が一定時間以下であるか否かを調べ、STEP186へ進む。残り時間が一定時間より長ければ、一定時間以下になるまで待つ。この理由は、充電スタンド50における高圧バッテリ2の充電には長い時間を要することがあり、充電終了間際に、STEP186以降の入手処理を行った方が、充電開始直後に入手処理を行うよりも、最新の天候情報を入手して、電気自動車の記憶装置に記憶することができるからである。
【0102】
STEP186では、充電スタンド50に近接する地域の天候情報が有るか否かを調べる。天候情報が存在するものとして検索する場所は充電スタンド50の充電器49を介して接続されている充電スタンド50内のサーバ又は前述の天候情報管理サーバとなる。
【0103】
STEP186において、充電スタンド50に近接する地域の天候情報が有ると判断されれば、STEP187へ進み、該天候情報を、充電ケーブルの信号線を介して受信して、天候情報授受方法の処理を終了する。
【0104】
各電気自動車が航続距離算出に使用する天候情報を各電気自動車へ提供する仕方として、充電スタンド50以外に、VICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)や、ナビ間情報共有ネットワークを利用することもできる。VICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)の情報には、チェーン規制や、雨又は風による最高速度制限が含まれることがあり、それらより、地域の天候を判断することができる。
【0105】
ナビ間情報共有ネットワークでは、ナビ間情報管理サーバは、各電気自動車のナビゲーション情報処理システム21から通信部61を介して各種データを受信し、受信した各種データに基づいて有用な情報を各電気自動車からの要求に応じて有用な情報を通信部61へ送信するようになっている。各種データには、電気自動車の各種センサが検知した情報を含む。
【0106】
図11はナビ間情報管理サーバが各電気自動車から受信した天候情報の一例である。各ナビゲーション情報処理システム21のユーザ(使用者)からの天候情報には、市区町村単位の所在、天候情報のデータの送信時間と共に、ワイパ24(Fr(フロント)ワイパ)、フロント熱線26(Fr熱線)、リア熱線25(Rr(リア)熱線)、ドアミラー熱線27、コンプレッサ28及びヒータ29の作動状況や、降雨センサ37及び外気温センサ38の検知情報も含まれる。なお、図11において“○”は作動状態、“×”は作動停止状態を示し、“−”は、対応機器が装備されておらず、情報の入手がないことを示している。
【0107】
ナビ間情報管理サーバは、日本全国にサービス網を構築しており、日本全国のナビゲーション情報処理システム21から天候情報を収集する。ナビ間情報管理サーバは、各ナビゲーション情報処理システム21からの運転補助用補機17について使用情報、天候関連の各種センサ(例:図1の降雨センサ37〜湿度センサ40)に基づいて各地域の現在の天候状態を把握したり、各ユーザーが現在の天候状態において各地域でどのような運転補助用補機17が使用されているかを分析する。さらに、これらの収集情報に基づき天気予報を行うこともできる。
【0108】
各ナビゲーション情報処理システム21は、自車の現在位置をナビ間情報管理サーバへ送信し、ナビ間情報管理サーバは、受信した現在位置に基づき該現在位置近辺の天候情報をナビゲーション情報処理システム21へ返す。図11において、ユーザーA〜Eの部分を黒枠で囲ってあるが、ナビ間情報管理サーバは、ナビゲーション情報処理システム21からの現在位置情報に基づき、この囲い範囲が該ナビゲーション情報処理システム21の近辺地域と判断したことを表している。
【0109】
ナビ間情報管理サーバは、天候情報と共に、近辺地域内で他の電気自動車が使用している運転補助用補機17の情報を送り、各電気自動車は、近辺地域の他の電気自動車が使用している運転補助用補機17に基づき自車における運転補助用補機17の今後の使用を予測することもできる。
【0110】
電気自動車は、現在走行している地域及びこれから向かおうとしている地域に応じて、図5のSTEP136や図7のSTEP151,52の実行間隔を調整することができる。例えば、現在走行している地域及びこれから向かおうとしている地域が、天候の変わり易い地域(天候状態の変化が速い地域)としての山岳地域となっている場合に、実行間隔を短くし(例:実行間隔は、非山岳地域の1時間に対し、山岳地域ではその半分の30分。)、航続距離の更新時期を早める。
【0111】
なお、現在位置が、山岳地域等の天候の変わり易い地域にあるか否かは、現在位置とデータベース58の地図情報とを照合して、判断することができる。また、天候の変わり易い地域として、図5のSTEP136や図7のSTEP151,52の実行間隔を短縮する地域は、運転者に予め登録させておくことができる。
【0112】
電気自動車は、現在走行している地域及びこれから向かおうとしている地域の天候情報について、通信部61を介してインターネット上の所定の天候情報サーバへアクセスし、該天候情報サーバから入手することができる。天候情報サーバには、市区町村単位の地域ごとに、インターネットユーザから寄せられた天候(例:「晴れ」、「曇り」、「雨」及び「雪」)を提供している。電気自動車は、このような天候情報サーバにアクセスして、
現在走行している地域及びこれから向かおうとしている地域の現在の天候状態を把握し、かつ今後の天候状態も予測することができる。
【0113】
本発明を実施形態について説明したが、本発明はその要旨の範囲内で種々に変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0114】
1・・・電気自動車(電動車両)、2・・・高圧バッテリ、17・・・運転補助用補機、10・・・高圧バッテリSOC監視部(残電力量検出部)、20・・・航続距離算出システム、21・・・ナビゲーション情報処理システム(電費算出部、天候情報ナビゲーション情報処理システム(電費算出部、天候情報入手部、情報記憶部、予測部及び航続距離算出部)、50・・・充電スタンド(外部充電装置)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリと、前記バッテリの電力により作動して駆動輪を駆動する電動機と、前記バッテリの電力により作動する運転補助用補機とを備えた電動車両であって、
前記バッテリの残電力量を検出する残電力量検出部と、
前記電動機による単位消費電力量当たりの走行距離としての電費を算出する電費算出部と、
天候情報を入手する天候情報入手部と、
各天候状態と各天候状態において使用が予測される運転補助用補機との対応関係を設定した対応関係情報を記憶する情報記憶部と、
前記天候情報入手部が入手した天候情報と前記情報記憶部が記憶している対応関係情報とに基づき運転補助用補機についての今後の使用状況を予測し、予測した使用状況に基づき運転補助用補機についての今後の補機予測消費電力を予測する予測部と、
前記残電力量検出部が検出した残電力量と前記電費算出部が算出した電費と前記予測部が予測した補機予測消費電力とに基づき航続距離を算出する航続距離算出部とを備えることを特徴とする電動車両。
【請求項2】
請求項1記載の電動車両において、
前記航続距離算出部は、前記予測部が予測した補機予測消費電力に基づき今後の単位走行距離当たりの補機予測消費電力量の逆数としての補機予測消費電力率を算出し、前記電費算出部が算出した電費から該補機予測消費電力率を引いて得られる値に、前記残電力量検出部が検出した残電力量を掛けて得られる値に基づき航続距離を算出することを特徴とする電動車両。
【請求項3】
請求項2記載の電動車両において、
前記予測部は、予定走行ルートを出発地から目的地に向かって又は目的地まで複数の区間に区分し、前記天候情報入手部が入手した天候情報と前記情報記憶部が記憶している対応関係情報とに基づき運転補助用補機についての今後の使用状況を区間別に予測し、予測した区間別使用状況に基づき運転補助用補機についての今後の区間別の補機予測消費電力を予測し、
前記航続距離算出部は、現在位置を含む区間から目的地に向かって各区間に対し、前記予測部が予測した区間別補機予測消費電力と前記電費算出部が算出した電費とに基づき区間別消費電力量を算出するとともに、当該区間別消費電力量に基づき当該区間の走行終了時の前記バッテリの残電力量を次の区間の走行開始時の前記バッテリの予測残電力量として算出し、かつ当該区間の走行開始時の前記バッテリの予測残電力量により当該区間を走破可能か否かを判断し、最初に走破不能と判断された区間より1つ手前の走破可能の区間に基づき航続距離を算出することを特徴とする電動車両。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の電動車両において、
前記天候情報入手部は、天候情報配信サーバに通信回線を介して接続可能になっている携帯型通信装置であることを特徴とする電動車両。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の電動車両において、
前記天候情報入手部は、天候情報源としての又は天候情報源へ接続されている外部充電装置から、ケーブルを介して前記バッテリの充電用電力の給電と共に天候情報を受信する受電部であることを特徴とする電動車両。
【請求項6】
請求項5記載の電動車両において、
前記受電部は、自車における前記運転補助用補機の消費電力履歴を前記外部充電装置に与えることを特徴とする電動車両。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の電動車両において、
前記天候情報入手部はナビゲーション装置に装備され、
該ナビゲーション装置の前記天候情報入手部は、現在位置に基づき特定した地域の天候情報を無線通信により入手することを特徴とする電動車両。
【請求項8】
請求項7記載の電動車両において、
該ナビゲーション装置の前記天候情報入手部は、自車が所定距離を走行するごとに又は所定時間が経過するごとに、天候情報を入手することを特徴とする電動車両。
【請求項9】
請求項8記載の電動車両において、
前記ナビゲーション装置の前記天候情報入手部は、現在位置が、天候状態の変化の速い地域内にあるときは、天候状態の変化の遅い地域内にあるときよりも、前記所定距離又は前記所定時間を短くすることを特徴とするとする電動車両。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか1項に記載の電動車両において、
前記ナビゲーション装置は、目的地が設定されているときは、前記航続距離算出部が算出した航続距離に基づき前記目的地からの航続距離を前記目的地への到達前に報知する報知部を備えることを特徴とする電動車両。
【請求項1】
バッテリと、前記バッテリの電力により作動して駆動輪を駆動する電動機と、前記バッテリの電力により作動する運転補助用補機とを備えた電動車両であって、
前記バッテリの残電力量を検出する残電力量検出部と、
前記電動機による単位消費電力量当たりの走行距離としての電費を算出する電費算出部と、
天候情報を入手する天候情報入手部と、
各天候状態と各天候状態において使用が予測される運転補助用補機との対応関係を設定した対応関係情報を記憶する情報記憶部と、
前記天候情報入手部が入手した天候情報と前記情報記憶部が記憶している対応関係情報とに基づき運転補助用補機についての今後の使用状況を予測し、予測した使用状況に基づき運転補助用補機についての今後の補機予測消費電力を予測する予測部と、
前記残電力量検出部が検出した残電力量と前記電費算出部が算出した電費と前記予測部が予測した補機予測消費電力とに基づき航続距離を算出する航続距離算出部とを備えることを特徴とする電動車両。
【請求項2】
請求項1記載の電動車両において、
前記航続距離算出部は、前記予測部が予測した補機予測消費電力に基づき今後の単位走行距離当たりの補機予測消費電力量の逆数としての補機予測消費電力率を算出し、前記電費算出部が算出した電費から該補機予測消費電力率を引いて得られる値に、前記残電力量検出部が検出した残電力量を掛けて得られる値に基づき航続距離を算出することを特徴とする電動車両。
【請求項3】
請求項2記載の電動車両において、
前記予測部は、予定走行ルートを出発地から目的地に向かって又は目的地まで複数の区間に区分し、前記天候情報入手部が入手した天候情報と前記情報記憶部が記憶している対応関係情報とに基づき運転補助用補機についての今後の使用状況を区間別に予測し、予測した区間別使用状況に基づき運転補助用補機についての今後の区間別の補機予測消費電力を予測し、
前記航続距離算出部は、現在位置を含む区間から目的地に向かって各区間に対し、前記予測部が予測した区間別補機予測消費電力と前記電費算出部が算出した電費とに基づき区間別消費電力量を算出するとともに、当該区間別消費電力量に基づき当該区間の走行終了時の前記バッテリの残電力量を次の区間の走行開始時の前記バッテリの予測残電力量として算出し、かつ当該区間の走行開始時の前記バッテリの予測残電力量により当該区間を走破可能か否かを判断し、最初に走破不能と判断された区間より1つ手前の走破可能の区間に基づき航続距離を算出することを特徴とする電動車両。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の電動車両において、
前記天候情報入手部は、天候情報配信サーバに通信回線を介して接続可能になっている携帯型通信装置であることを特徴とする電動車両。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の電動車両において、
前記天候情報入手部は、天候情報源としての又は天候情報源へ接続されている外部充電装置から、ケーブルを介して前記バッテリの充電用電力の給電と共に天候情報を受信する受電部であることを特徴とする電動車両。
【請求項6】
請求項5記載の電動車両において、
前記受電部は、自車における前記運転補助用補機の消費電力履歴を前記外部充電装置に与えることを特徴とする電動車両。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の電動車両において、
前記天候情報入手部はナビゲーション装置に装備され、
該ナビゲーション装置の前記天候情報入手部は、現在位置に基づき特定した地域の天候情報を無線通信により入手することを特徴とする電動車両。
【請求項8】
請求項7記載の電動車両において、
該ナビゲーション装置の前記天候情報入手部は、自車が所定距離を走行するごとに又は所定時間が経過するごとに、天候情報を入手することを特徴とする電動車両。
【請求項9】
請求項8記載の電動車両において、
前記ナビゲーション装置の前記天候情報入手部は、現在位置が、天候状態の変化の速い地域内にあるときは、天候状態の変化の遅い地域内にあるときよりも、前記所定距離又は前記所定時間を短くすることを特徴とするとする電動車両。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか1項に記載の電動車両において、
前記ナビゲーション装置は、目的地が設定されているときは、前記航続距離算出部が算出した航続距離に基づき前記目的地からの航続距離を前記目的地への到達前に報知する報知部を備えることを特徴とする電動車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図10】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図10】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【公開番号】特開2013−68590(P2013−68590A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244033(P2011−244033)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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