説明

電動送風機とそれを備えた電気掃除機

【課題】本発明の目的は、騒音を低減しつつ優れた吸込仕事率を発揮することができる電動送風機及びそれを用いた電気掃除機を提供することにある。
【解決手段】モータと、モータの回転軸に連結されるファンと、一方が開口された有底形状でありモータを覆うモータハウジングと、ファンを覆うファンハウジングと、モータハウジングの側面を覆うカバーとを有し、モータの回転軸の端部は軸受を介してモータハウジングの底部に支持され、モータハウジングは側面に1つ以上の排気口を有し、カバーは、発泡体からなるカバーベースと、補強部材と、からなり、モータハウジングの開口から底部に向かう方向における補強部材の長さは、モータハウジングの開口から底部に向かう方向におけるカバーベースの長さよりも短く、かつモータハウジングの開口から底部に向かう方向における排気口の長さよりも長く、補強部材を排気口を覆う位置に設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動送風機とそれを備える電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電気掃除機の電動送風機は、モータと、このモータの回転軸に連結されたファンとがハウジング内に収納されて構成されている。このような電動送風機においては、モータの外径よりも大きい外径のファンが取り付けられており、ハウジングは、モータを収納するための円筒形状のモータハウジングと、ファンを収納するための、モータハウジングよりも拡径した円筒形状のファンハウジングとが一体となるように形成されている。
【0003】
そして、掃除機本体内に配置された電動送風機は、吸口体を有するホースが接続される掃除機本体の前側に向いてファン側が位置し、掃除機本体の後側に向いてモータ側が位置している。
【0004】
このような電気掃除機においては、モータが起動してファンが回転すると、ファンがファンハウジングの前に形成された吸入口から空気をファンハウジング内に吸い込み、モータハウジングの後部に形成された排気口から空気を排出する。これにより、電気掃除機は、吸口体及びホースを介して空気を本体内に吸い込むと共に、吸い込んだ空気に含有するゴミを所定の紙パックやサイクロン室で分離した後、空気を電動送風機のハウジング内から排気口を介して電気掃除機の本体外に排出する。
【0005】
ところで、一般にモータを所定のハウジング内に備える種々の産業機器においては、モータの騒音や振動を低減するために、発泡体からなるカバーをハウジングに設けることがある。したがって、モータの騒音や振動を低減するために、電気掃除機の電動送風機においても、モータハウジングの周囲にカバーを設けることが望ましい。このようなカバーを備えた電動送風機は特許文献1に記載されている。
【0006】
また、モータハウジングの外周面全体を覆うようにカバーが設けられており、該カバーの外周側にカバーと略同面積の補強帯が設けられている電動送風機が特許文献2に記載されている。
【0007】
その一方で、近年の電気掃除機は、従来の電気掃除機に比べて一段とモータの高出力化が図られており、モータは40000rpmを超える高速回転が可能となっている。そして、電気掃除機は、そのようなモータのパフォーマンスが十分に反映されるように、電動送風機の排気抵抗を低く抑える必要もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−346732号公報
【特許文献2】特開2011−163153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の発明においては、モータハウジングの外周面全体を覆うようにカバーを配置しており、排気口からの空気の排出が妨げられる恐れがある。同様に特許文献2に記載の発明においては、モータハウジングの外周面全体を覆うようにカバーと補強帯とを配置しており、排気口からの空気の排出が妨げられる恐れがある。つまり、電気掃除機としては、電動送風機の排気抵抗が増してモータの出力に見合った吸込仕事率を十分に発揮することができなくなる恐れがある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、騒音を低減しつつ優れた吸込仕事率を発揮することができる電動送風機及びそれを備えた電気掃除機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では、モータと、前記モータの回転軸に連結されるファンと、一方が開口された有底形状であり前記モータを覆うモータハウジングと、前記モータハウジングの開口側に設けられ前記ファンを覆うファンハウジングと、前記モータハウジングの側面を覆うカバーとを有し、前記モータの回転軸の端部は軸受を介して前記モータハウジングの底部に支持され、前記モータハウジングは側面に1つ以上の排気口を有し、前記カバーは、発泡体からなるカバーベースと、補強部材と、からなり、前記モータハウジングの開口から底部に向かう方向における前記補強部材の長さは、前記モータハウジングの開口から底部に向かう方向における前記カバーベースの長さよりも短く、かつ前記モータハウジングの開口から底部に向かう方向における前記排気口の長さよりも長く、前記補強部材を前記排気口を覆う位置に設けた。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、モータと、前記モータの回転軸に連結されるファンと、一方が開口された有底形状であり前記モータを覆うモータハウジングと、前記モータハウジングの開口側に設けられ前記ファンを覆うファンハウジングと、前記モータハウジングの側面を覆うカバーとを有し、前記モータの回転軸の端部は軸受を介して前記モータハウジングの底部に支持され、前記モータハウジングは側面に1つ以上の排気口を有し、前記カバーは、発泡体からなるカバーベースと、補強部材と、からなり、前記モータハウジングの開口から底部に向かう方向における前記補強部材の長さは、前記モータハウジングの開口から底部に向かう方向における前記カバーベースの長さよりも短く、かつ前記モータハウジングの開口から底部に向かう方向における前記排気口の長さよりも長く、前記補強部材を前記排気口を覆う位置に設けたことにより、騒音を低減しつつ優れた吸込仕事率を発揮することができる電気掃除機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る電気掃除機の外観斜視図である。
【図2】図1に示す電気掃除機の掃除機本体の縦断面図である。
【図3】図1に示す電気掃除機の電動送風機の半縦断面図である。
【図4】本発明の電気掃除機における電動送風機にカバーと補強帯が取り付けられた様子を示す斜視図である。
【図5】図4の電動送風機を後側から見た際の、カバーの配置を示す電動送風機の背面図である。
【図6】本発明の電気掃除機における電動送風機にカバーと補強帯が取り付けられた様子を示す模式側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施形態について適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
なお、以下の説明における前後の方向は、図1に示す掃除機本体201の前後の方向を基準とする。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係る電気掃除機10は、後記する電動送風機20(図2参照)を内側に収納する掃除機本体201を備えると共に、この掃除機本体201の前側には、ホース202と、手元操作部203と、延長管204と、吸口体205とがこの順番に接続されて構成されている。
【0017】
なお、図1中、符号206は、手元操作部203に設けられ、電動送風機20(図2参照)をオンオフするスイッチ操作部である。
【0018】
掃除機本体201は、図2に示すように、所定のケースC内の前側に集塵室12が区画されると共に、後側に電動送風機室15が区画されている。この集塵室12と電動送風機室15とは、フィルタ部14を介して連通している。
【0019】
集塵室12には、紙パック13が収納されている。この紙パック13の開口は、ホース202(図1参照)が接続されるホース継ぎ手11側に位置するように配置されている。
【0020】
なお、本実施形態の電気掃除機10では、紙パック13を使用する方式について説明しているが、本発明はサイクロン方式のものであってもよい。ちなみに、サイクロン方式の電気掃除機は、集塵室12に対応する部分にサイクロン室が形成されることとなる。
【0021】
電動送風機室15には、電動送風機20が収納されている。この電動送風機20は、その前側に形成された後記する吸入口26がフィルタ部14側(掃除機本体201の前側)に向くように、そして、後記する第1排気口27が電動送風機室15の後端側に向くように配置されて、防振ゴム17を介して電動送風機室15内に懸架されている。
【0022】
この電動送風機20には、後記するように、カバー16(図4参照)が取り付けられているが、図2においては、作図の便宜上、その記載を省略している。
【0023】
電動送風機20は、図3に示すように、送風機構23がファンハウジング21内に収納され、モータ30がモータハウジング22内に収納されて構成されている。
【0024】
送風機構23は、遠心ファン24とディフューザ25とを備えている。
【0025】
遠心ファン24は、後記するモータ30の回転軸35にナット等の締結具で固定され、起動したモータ30によって回転軸35の軸周りに回転するようになっている。本実施形態での遠心ファン24の外径は、モータ30の外径よりも大きい。
【0026】
ディフューザ25は、遠心ファン24の遠心方向に配置されたディフューザベーン25aと、このディフューザベーン25aの後方に、仕切板25bを介して配置されたリターンガイドベーン25cとで構成されている。
【0027】
モータ30は、図3に示すように、固定子31と、電機子32と、ブラシ33とを備えて構成されている。
【0028】
固定子31は、電機子32の周囲を取り囲むように配置される固定子鉄心31aと、この固定子鉄心31aに巻回された界磁巻線31bとを備えて構成されている。
【0029】
電機子32は、固定子31の内側で前後方向に延びるように配置され、その両端を軸受34で支承される回転軸35と、この回転軸35に取り付けられる電機子鉄心40と、この電機子鉄心40に巻回された電機子巻線36と、電機子巻線36と電気的に接続されると共に回転軸35の後部に取り付けられる整流子37とを備えている。
【0030】
なお、固定子鉄心31aの内周面と電機子鉄心40の外周面とは、所定のギャップを有するように配置されている。
【0031】
ブラシ33は、本実施形態に係るモータ30においては、整流子37を挟むように一対設けられ、これらは後記するモータハウジング22の後部に取り付けられたブラシホルダ38に保持されている。また、ブラシ33は、回転軸35と共に回転する整流子37に対して摺接可能となっていると共に、固定子31の界磁巻線31bと電気的に接続されている。
【0032】
このモータ30においては、このモータ30の図示しない端子間に商用交流電圧が印加されると、電動機電流は、界磁巻線31bを介してブラシ33に流れる。また、ブラシ33と整流子37との摺接によって電機子32の電機子巻線36に電流が流れる。この際、整流子37の整流作用に基づいて固定子31及び電機子32にそれぞれ生起した磁束の相互作用によって、固定子31の内側で電機子32が電動機電流の大きさに応じた所定の回転速度及びトルクで回転する。
【0033】
ファンハウジング21及びモータハウジング22は、互いに外径の異なる略円筒形状に形成されており、ファンハウジング21の外径は、モータハウジング22の外径よりも大きくなっている。
【0034】
モータハウジング22には、図3から図5に示すように、4つの第1排気口27(27a,27a,27b,27b)が形成されている。なお、図3から図5において、符号16は、後に詳しく説明するカバーである。
【0035】
第1排気口27aは、図4及び図5に示すように、モータハウジング22の後部で一対のブラシホルダ38,38のそれぞれに隣接するように形成されている。具体的には、第1排気口27a,27aは、モータハウジング22の周面から後端面に跨るように形成されている。
【0036】
また、第1排気口27bは、図3に示すように、モータハウジング22の周面で矩形に開口するように形成されると共に、図5に示すように、前記した第1排気口27aとでブラシホルダ38を挟むように、モータハウジング22の周面に形成されている。
【0037】
ファンハウジング21には、図3に示すように、その前面に前記した吸入口26が形成されている。この吸入口26は、いわゆる目玉部とも称される。
【0038】
また、ファンハウジング21には、吸入口26が形成される前面とは反対側の後面に第2排気口28が円弧状の長穴として形成されている。更に詳しく説明すると、この第2排気口28は、図4及び図5に示すように、モータハウジング22から拡径したファンハウジング21に続く段差部分29に形成されている。
【0039】
本実施形態での第2排気口28は、図5に示すように、ファンハウジング21の周方向に沿って延びるスリット状の長穴で形成されており、モータ30(図3参照)の回転軸35の中心39に対して相互に点対称となる位置に一対形成されている。そして、第2排気口28,28の位置は、モータ30の回転軸35方向から見ると、一対のブラシホルダ38,38の位置に対して、位相が略90度ずれた位置となっている。
【0040】
また、第2排気口28,28は、モータ30の回転軸35方向から見ると、ブラシ33の形成位置以外の位置に形成されている。言い換えると、モータ30の回転軸35の軸方向から見て、第2排気口28,28は、ブラシホルダ38の輪郭を避けるように形成されている。
【0041】
ちなみに、第2排気口28の形状及び数は、特に制限はなく、その形状は、円形、楕円形、多角形等に形成することができるし、その数は3以上とすることができる。
【0042】
次に、カバー16について説明する。
【0043】
カバー16は、図4及び図5に示すように、モータハウジング22、つまり特許請求の範囲にいう「モータの配置位置に対応するハウジング部分」の周面を取り囲むように配置された筒状体であり、モータ30の回転軸35(図5参照)に直交する断面視で略楕円形状を呈している。
【0044】
本実施形態でのカバー16は、板状のカバー16をモータハウジング22の周面を巻回し、その端縁同士を接合して形成したものであり、底面が楕円形状の略円筒で構成されている。このカバー16は、予め筒状に成形したものであってもよい。
【0045】
ここで、カバー16の前後方向(軸方向)の長さは、モータハウジング22に形成される第1排気口27a,27bを確実に覆うことができる長さとする。つまり、カバー16の前後方向(軸方向)の長さが第1排気口27a,27bの前後方向(軸方向)の長さよりも長いものとする。このようにすることで、第1排気口27a,27bから流出する空気とともに発生する流体音を確実に低減し、騒音を抑えることができる。一般的な家庭用電気掃除機におけるファンハウジング21から後方ハウジング部分は60mm前後のため、カバー16の前後方向の長さとしては60mmから長くても80mm程度あればよい。なお、第1排気口27a,27bの内側には電動送風機20のモータ30が位置しているため、カバー16により第1排気口27a,27bを覆うことにより万が一モータ30から発火が起きた場合に第1排気口27a,27bから周囲へ火が飛び掃除機本体が延焼するのを防止する効果もある。
【0046】
以上のようなカバー16は、連続気泡の発泡体からなる所定の厚さを有する板状のカバーベース16aと、このカバーベース16aの外周面を被覆するように配置される板状の補強帯16bとで構成されている。本実施例においては、カバーベース16a、補強帯16bのどちらも可撓性を有しており、上記のように略円筒形状カバー16の作成を行うことができる。カバーベース16aは、モータ20の騒音や振動を低減するために用いられている。
【0047】
本実施形態での発泡体は、難燃処理を施したウレタンフォームが使用されている。この発泡体としては、連続気泡を有するものであれば特に制限はないが、難燃性を有する弾性体であることが望ましい。カバーベース16aが難燃性を有する弾性体であれば、モータ20からの万が一の発火を抑える効果を得ることができる。カバーベース16aを単体で使用する場合、その強度と難燃性を確保するために厚みは10mm程度とするのが好ましい。ただし補強帯16bを設ける場合にはカバーベース16aの厚みを5mm程度に抑え、排気抵抗を軽減することができる。
【0048】
補強帯16bは、カバーベース16aを組み込む際に強度を確保する効果と、モータ20からの発火を抑える効果を得るために設けられている。補強帯16bは板状に抜いたものを、カバーベース16aに重ねてモータハウジング22の周面を巻回し、その端縁同士を接合して形成すると部品点数が削減できる。ただしあらかじめ単体で巻回してその端縁同士を接合して形成し、組み立ての際に同じく筒状に形成したカバーベース16aに重ねてもよい。補強帯16bの材質は、所定の強度と可撓性を有するものであれば特に制限はないが、中でもガラス繊維からなる織布又は不織布であれば入手が容易でありコスト面や加工性、通気性を考慮すると望ましい。また、耐炎化されたアクリル繊維からなる織布又は不織布などでもよい。厚みは0.5mm程度あればその強度と難燃性を確保できる。
【0049】
そして、本実施形態での補強帯16bの前後方向の長さはカバーベース16aの前後方向の長さより短くなっており、側面方向から見た場合に第1排気口27a,27bを覆う位置に来るように設けられている。本実施例においては、カバーベース16aの前後方向の長さはモータハウジング22の前後方向の長さよりも長く、モータハウジング22を覆うように設けられている。モータハウジング22をカバーベース16aで覆うことにより、モータ20の振動がモータハウジング22に伝わったとしても、モータハウジング22から掃除機本体への振動の伝達の抑制と、モータ20の騒音を低減することができる。
【0050】
補強帯16bの前後方向の長さは第1排気口27の前後方向の長さよりも長くモータハウジング22の前後方向の長さよりも短く、第1排気口27を覆うように設けられているため、モータ20の騒音をより確実に低減することができる。また、モータ20からの万が一の発火が起きた場合も第1排気口27を通り掃除機本体に移ることを防いでいる。また、モータ20からの万が一の発火が起きた場合も第1排気口27を通り掃除機本体に移ることを防いでいる。
【0051】
また、本実施形態においては第1排気口27a,27aは、モータハウジング22の周面から後端面に跨るように形成されているため、より確実に騒音の低減および延焼の防止を図るためには側面だけでなく後端面側も覆うのが望ましい。そのための形態としてはカバーベース16aおよび補強帯16bを後端面側まで伸ばし袋状に成型することや、後端面側のみを覆う別部材のカバー16を追加すること等が挙げられる。
【0052】
次に、本実施形態に係る電気掃除機10の動作について説明しながら作用効果について説明する。
【0053】
この電気掃除機10は、図3に示す電動送風機20のモータ30によって回転した遠心ファン24は、吸入口26から吸い込んだ空気を昇圧して吸込気流を発生させる。そして、吸込気流は、ディフューザ25を介して、モータハウジング22内の風路から第1排気口27から排気されると共に、ファンハウジング21の第2排気口28から排気される。
【0054】
その一方で、電気掃除機10は、電動送風機20が空気を吸入口26から吸い込むことによって、塵埃を含有する空気を、前記した吸口体205(図1参照)等を介してホース継ぎ手11側から集塵室12内に吸引する。吸引された塵埃を含有する空気は、紙パック13内に導入される。そして、紙パック13でろ過された空気は、フィルタ部14を介して電動送風機20の吸入口26から吸い込まれることとなる。この際、集塵室12内に吸引された空気に含有する塵埃の大部分は、紙パック13で取り除かれると共に、フィルタ部14を空気が通過することによって細かな塵埃も取り除かれる。
【0055】
そして、以上のような電気掃除機10によれば、電動送風機20が吸入口26から吸い込んだ空気は、前記したように、第1排気口27から排出されると共に、第2排気口28からも排出されるので、2方向の空気の排出経路が確保される。したがって、このような電動送風機20を備える電気掃除機10によれば、電動送風機20における排気抵抗が減少するので、吸込仕事率を向上させることができる。
【0056】
また、この電気掃除機10によれば、第2排気口28がモータ30の回転軸35を中心として円周方向に延びて形成されているので、遠心ファン24が生起した吸込気流は、効率よく第2排気口28から排出される。その結果、電気掃除機10の吸込仕事率を、より確実に向上させることができる。
【0057】
また、この電気掃除機10によれば、第2排気口28がモータ30の回転軸35を中心として円周方向に複数形成されているので、遠心ファン24が生起した吸込気流は、効率よく第2排気口28から排出される。その結果、電気掃除機10の吸込仕事率を、より確実に向上させることができる。
【0058】
また、この電気掃除機10によれば、第2排気口28は、モータ30の回転軸35方向から見て、ブラシ33(ブラシホルダ38)の形成位置以外の位置に形成されており、ブラシ33(ブラシホルダ38)の輪郭を避けるように形成されているので、第2排気口28から排出される気流がブラシホルダ38に突き当たることなく、円滑に排出されることとなる。その結果、第2排気口28からの排気抵抗が低く抑えられるので、電気掃除機10の吸込仕事率を、より確実に向上させることができる。
【0059】
図6は、本発明の電気掃除機における電動送風機の模式側面図であり、第1排気口27に対するカバーベース16aと補強帯16bの配置の様子を示す図である。
【0060】
また、この電気掃除機10によれば、カバーベース16aがウレタンフォームを含む材料によって構成されているので、モータ30の騒音及び振動を効率よく低減すると共に、その通気性によって、電動送風機20における排気抵抗をより低く抑えることができる。
【0061】
また、このような電気掃除機10によれば、カバーベース16aと補強帯16bとにより第1排気口27を覆うことで、第1排気口27から流出する空気に対する排気抵抗はカバーベース16aと補強帯16bが重なっている流出方向が最も大きくなるため、空気はカバーベース16aのみに覆われている前後部分に分散して流れようとするため、それに伴う流体音も前後に分散することが可能となり、騒音を低減することができる。また、カバーベース16aと補強帯16bからなるカバー16が第1排気口27を覆っているので、例えばモータ30が老朽化することでブラシ33に対する整流子37の摺接時に万一火花が発生したとしても、第1排気口27からその火花が周囲に飛散することをカバー16によって防止することができる。また、補強帯16bを設けていることによりカバーベース16aは極力薄くすることが可能になり、また、補強帯16bは第1排気口27の上のみを覆っているため、気流は補強帯16bが覆われていないカバーベース16aのみに覆われている領域から流出することが可能となるため、電動送風機20における排気抵抗をより低く抑えることができる。これにより、モータの出力に見合った吸込仕事率を十分に発揮することができる。
【0062】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、種々の他の形態で実施することができる。なお、以下に本発明の他の実施形態について説明するが、前記実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0063】
前記実施形態に係る電気掃除機10の電動送風機20は、カバー16として、カバーベース16aとその周囲に補強帯16bを覆ったものを使用したが、補強帯16aをモータハウジング22側にしその周囲をカバーベース16aで覆ってもよい。
【0064】
このような第1変形例に係る電気掃除機10によれば、補強帯16bがカバー16の内側に配置されているので、カバー16をモータ30に組み込もうとしてブラシホルダ38に引っかかった際にカバーベース16aが破損するのを防止することができる。
【0065】
また、別実施形態として、カバーベース16aを2枚用意し、カバーベース16aとカバーベース16aの間に補強帯16bを設ける構成としても良い。本構成によると高い防音性や振動抑制効果を得ることが可能となる。
【0066】
更に別の実施形態として、補強帯16aを2枚用意し、カバーベース16aの内外に設ける構成としても良い。本構成によると万一の火花発生の更なる抑制が可能となり、2枚の補強帯16aを第1排気口27を覆うように設ければ第1の実施形態と同程度の排気抵抗となりモータの出力に見合った吸込仕事率を十分に発揮することができる。
【符号の説明】
【0067】
10 電気掃除機
16 カバー
16a カバーベース
16b 補強帯
20 電動送風機
21 ファンハウジング
22 モータハウジング
23 送風機構
24 遠心ファン
25 ディフューザ
26 吸入口
27,27a,27b 第1排気口
28 第2排気口
29 段差部分
30 モータ
31 固定子
33 ブラシ
34 軸受
35 回転軸
37 整流子
38 ブラシホルダ
C ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、前記モータの回転軸に連結されるファンと、一方が開口された有底形状であり前記モータを覆うモータハウジングと、前記モータハウジングの開口側に設けられ前記ファンを覆うファンハウジングと、前記モータハウジングの側面を覆うカバーとを有し、
前記モータの回転軸の端部は軸受を介して前記モータハウジングの底部に支持され、
前記モータハウジングは側面に1つ以上の排気口を有し、
前記カバーは、発泡体からなるカバーベースと、補強部材と、からなり、
前記モータハウジングの開口から底部に向かう方向における前記補強部材の長さは、前記モータハウジングの開口から底部に向かう方向における前記カバーベースの長さよりも短く、かつ前記モータハウジングの開口から底部に向かう方向における前記排気口の長さよりも長く、
前記補強部材を前記排気口を覆う位置に設けたことを特徴とする電動送風機。
【請求項2】
請求項1に記載の電動送風機において、前記補強部材は、難燃性を有することを特徴とする電動送風機。
【請求項3】
掃除機本体と、該掃除機本体に接続されるホースと、該ホースに接続される延長管と、該延長管に接続される吸口体と、を有し、前記掃除機本体内部に電動送風機を備える電気掃除機において、
前記電動送風機は、請求項1又は2に記載の電動送風機であることを特徴とする電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−85852(P2013−85852A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231236(P2011−231236)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】