電動送風機
【課題】エンドブラケットに起因する乱流発生を抑制し、電動送風機の性能向上を図る。
【解決手段】モータケース2内に配設されるステータ3と、ステータ3の略中央に配設され、モータケース2の開口から突出する回転軸5を有するロータ4と、モータケース2の開口に架設されるとともに、回転軸を保持するエンドブラケット6と、回転軸5に装着される遠心ファン18と、エンドブラケット6と遠心ファン18との間に配設されるディフューザ15と、エンドブラケット6及び遠心ファン18を覆うファンカバー19とを備え、エンドブラケット6は、ディフューザ15によって形成される流路内に位置する脚部7を有し、脚部7は、基部7Aと基部7Aからディフューザ側へ向けて立設される折り曲げ部11とで構成されるとともに、基部7Aと折り曲げ部11とで形成される空間に樹脂を充填させて形成されるモールド部12を有することを特徴とする。
【解決手段】モータケース2内に配設されるステータ3と、ステータ3の略中央に配設され、モータケース2の開口から突出する回転軸5を有するロータ4と、モータケース2の開口に架設されるとともに、回転軸を保持するエンドブラケット6と、回転軸5に装着される遠心ファン18と、エンドブラケット6と遠心ファン18との間に配設されるディフューザ15と、エンドブラケット6及び遠心ファン18を覆うファンカバー19とを備え、エンドブラケット6は、ディフューザ15によって形成される流路内に位置する脚部7を有し、脚部7は、基部7Aと基部7Aからディフューザ側へ向けて立設される折り曲げ部11とで構成されるとともに、基部7Aと折り曲げ部11とで形成される空間に樹脂を充填させて形成されるモールド部12を有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機に用いられる電動送風機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から電気掃除機に用いられる電動送風機は、一端が開口された円筒状のモータケース内に配設されるステータと、ステータの中央に配設され、回転軸を有するロータと、ロータの回転軸によって回転する遠心ファンと、遠心ファンから吐出される吐出気流を整流するためのディフューザとで構成されている。
【0003】
モータケースの一端側には、開口を跨ぐように、略中央にベアリングを備えたエンドブラケットが架設されており、他端側には、モータケース底部の略中央にベアリングが配設されている。ロータの回転軸は、両端がモータケース及びエンドブラケットに、ベアリングを介して、回動自在に保持されるようになっている。
【0004】
ディフューザは、渦巻き状の固定翼が上面と下面に形成されたもので、エンドブラケットを覆うようにモータケース一端側に配設され、略中央から回転軸が貫通するようになっている。遠心ファンは、ディフューザ上面側から回転軸に装着され、ファンカバーは、ディフューザ及び遠心ファンを覆うようにモータケース一端側に嵌着される。ディフューザ及び遠心ファンがファンカバーで覆われることで、ディフューザの固定翼の間には、遠心ファンからの吐出気流が流れる流路が形成される。
【0005】
この構成により、遠心ファンからの吐出気流は、ディフューザ上面の固定翼の間を流れ、ディフューザの外周で反転し、ディフューザ下面側の固定翼の間を流れた後、モータケース内に導入される。モータケース内に導入された吐出気流は、ロータやステータを冷却し、発熱によるエネルギー損失を低減させるようになっている(特許文献1)。
【0006】
エンドブラケットは、ロータの回転軸を保持しているが、エンドブラケットの剛性が低いと、遠心ファンの回転時に、エンドブラケットが弾性変形してしまい、電動送風機の振動発生の原因になる。そのため、エンドブラケットを構成するフレームの端部を折り曲げることで、エンドブラケットの強度を高め、電動送風機の振動発生を防止するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−270637
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
モータケースの遠心ファン側にエンドブラケットが架設され、エンドブラケットを覆うようにディフューザが配設されるため、ディフューザの下面側の流路を流れる吐出気流の一部は、エンドブラケットによって阻害される。特に、エンドブラケットは強度を高めるために、端部を折り曲げた形状としているため、吐出気流が、エンドブラケットの端部に衝突し、乱流が発生するという問題があった。乱流が発生すると、送風効率が低下し、電動送風機の性能が低下する問題があった。
【0009】
本発明は、この問題を解決するために、簡単な構成によって、エンドブラケットに起因する乱流発生を抑制し、電動送風機の性能向上を図る電動送風機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
電気掃除機に使用される電動送風機であって、一端が開口されたモータケースと、該モータケース内に配設されるステータと、該ステータの略中央に配設され、前記モータケースの開口から突出する回転軸を有するロータと、前記モータケースの開口に架設されるとともに、前記回転軸を回転自在に貫通した状態で保持するエンドブラケットと、前記エンドブラケットから貫通した前記回転軸に装着される遠心ファンと、前記エンドブラケットと前記遠心ファンとの間に配設されるディフューザと、前記エンドブラケット及び前記遠心ファンを覆うファンカバーとを備え、前記ディフューザは、前記ファンカバーで覆われることで、前記遠心ファンからの吐出気流をモータケース内に導入する流路が形成され、前記エンドブラケットは、前記流路内に位置する脚部を有し、前記脚部は、基部と、該基部の両側端部にディフューザ側へ向けて立設される折り曲げ部とを有し、前記脚部のディフューザ側には、基部上の折り曲げ部間の空間に、両側の折り曲げ部より上方位置まで樹脂を充填してモールド部を形成することを特徴とする。
【0011】
前記モールド部は、断面形状において中央部分が最も高く、前記折り曲げ部側が最も低くなる山形状に形成することが好ましい。
または、前記モールド部は、折り曲げ部を含む脚部外周全体を覆うよう構成することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
請求項1及び請求項2によると、乱流発生を引き起こすエンドブラケットの折り曲げ部をモールド部で覆うことができ、折り曲げ部に起因する乱流発生を抑制することができる等の効果を奏する。
【0013】
請求項3によると、断面が山形状となるようにモールド部を形成することによって、モールド部に衝突する吐出気流をモールド部の裾方向に誘導することができるため、送風効率の低下を防止することができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】電動送風機を示す部分断面図である。
【図2】モータケースのエンドブラケットを示す斜視図である。
【図3】本実施形態におけるディユーザの上面図である。
【図4】同ディフューザの下面図である。
【図5】同ディフューザに遠心ファンを配設した状態の上面図である。
【図6】同ディフューザに遠心ファンを配設した状態の側面図である。
【図7】同エンドブラケットのモールド部を示す斜視図である。
【図8】同エンドブラケット脚部及びモールド部の断面図である。
【図9】別の実施形態におけるエンドブラケット脚部及びモールド部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態を図1乃至図8に基づいて以下に詳述する。尚、説明の便宜上、方向の定義として、後述するロータ4の回転軸方向において、遠心ファン18側を上側、整流子13側を下側とする。
【0016】
図1は電動送風機1の全体を示す斜視図である。2は一端が開口された有底円筒形状のモータケースで、該モータケース2内にステータ3が配設される。前記ステータ3は、二本の磁極を内側に向けたステータコアにコイルを巻回させて形成され、略中央にロータ4が配設される。前記ロータ4は回転軸5を有し、該回転軸5の径方向に複数のティースを有するロータコアにコイルを巻回させて形成される。
【0017】
前記モータケース2一端側には、モータケース2の開口を跨ぐように、エンドブラケット6が架設されており、該エンドブラケット6は、前記モータケース2に架設するための脚部7と、前記回転軸5を保持するためのベアリング8を備えた中央部9とで構成されている。10は前記モータケース2有底側の略中央に配設されるベアリングである。前記ロータ4の回転軸5は、前記ベアリング8、10を介して、一端側を前記モータケース2、他端側を前記エンドブラケット6に回転自在に保持されるとともに、回転軸5が前記エンドブラケット6から突出するようになっている。
また、前記エンドブラケット6は、強度を高めるために、端部を上側に折り曲げた形状に形成されている。すなわち、前記エンドブラケット6の脚部7は、略水平に形成された平板状の基部7Aと、該基部7A両端から上側に延設されるリブ状の折り曲げ部11とで構成される。
12は前記エンドブラケット6の脚部7の上側を覆うモールド部で、前記基部7A上の折り曲げ部11間の空間に、両側の折り曲げ部11より上方位置まで樹脂を充填して形成される。前記モールド部12は、図7に示すように、断面形状において中央部分が最も高く、前記折り曲げ部11側が最も低くなる山形状に形成され、モールド部12の両端側の高さが、折り曲げ部11の高さと略等しくなるように構成される。
尚、モールド部12に充填される樹脂は、耐熱性を有する樹脂が好ましく、紫外線硬化樹脂を用いることにより製造性を向上することができる。
13は前記回転軸5の一端側に配設される整流子、14はモータケース2に配設され、前記整流子13に当接するように付勢されたカーボンブラシである。
【0018】
15は前記エンドブラケット6を覆うように配設されるディフューザで、上面略中央にファン収納部16と、上面及び下面の外周側に渦状に立設される固定翼17とを備えている。前記ディフューザ15は、下面側略中央に前記エンドブラケット6中央部9が嵌合し、前記ファン収納部16略中央から前記回転軸5が貫通した状態で、前記エンドブラケット6にネジ止め固定される。18は前記ファン収納部16から貫通した前記回転軸5に装着される遠心ファンで、前記ロータ4の回転により、回転軸方向から空気を吸い込み、側面から吐出気流を吐出するようになっている。
【0019】
19はディフューザ15及び遠心ファン18を覆うように前記モータケース2一端側に嵌着されるファンカバーで、前記ディフューザを覆うことで、該ディフューザ15の上面側の固定翼17間にディフューザ流路20が形成され、下面側の固定翼17間にガイド流路21が形成されるようになっている。
而して、遠心ファン18からの吐出気流は、ディフューザ流路20によって整流された後、ガイド流路21を通って、モータケース2内に導入される。ガイド流路21からモータケース2へ向かう流路に位置するモールド部12の断面積が、山形状になるように形成されているので、スムーズに山形状に沿ってモールド部12の裾方向に誘導され、モータケース2内に導入される。
また、モールド部12は、折り曲げ部11を覆っているので、エンドブラケット6の折り曲げ部11が、ガイド流路21を流れる吐出気流に対して壁となることを防止でき、折り曲げ部11による乱流の発生を防ぐことができる。
さらに、前記エンドブラケット6は、折り曲げ部11により、モールド用の樹脂を充填しやすくすることができ、充填作業時の樹脂の漏れを防止することができるとともに、樹脂を折り曲げ部11が抱え込むように保持するので、モールド部12の破損を防止することができる。
【0020】
また、前記エンドブラケット6の脚部7には図示しないネジ孔が形成され、該ネジ孔に図示しないネジを螺合することにより前記エンドブラケット6を前記モータケース2にネジ止め固定しているが、該ネジの頭は、前記モールド部12により覆われるため、吐出気流がネジの頭に当たることがなく、ネジの頭による乱流の発生も防止することができる。
【0021】
尚、上記実施形態では、モールド部12は、脚部7上面の折り曲げ部11間に樹脂を充填して形成されているが、折り曲げ部11を含めて脚部7外周全体を覆うように樹脂を充填して形成してもよい。この場合、前記モールド部12は、前記折り曲げ部11が露出するように形成されてもよく、モールド部12と露出した折り曲げ部上端がなめらかな面を形成するように構成することが好ましい。
また、モールド部12は、気流の急激な変化や、吹き溜まりができないように形成すればよく、断面を山形状とせずに、両端の折り曲げ部11先端を結ぶように平らに充填して形成してもよい。
【0022】
以上の構成により、エンドブラケットに起因する乱流の発生を防止することで、電動送風機の性能向上を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、電動送風機に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0024】
1 電動送風機
2 モータケース
3 ステータ
4 ロータ
5 回転軸
6 エンドブラケット
7 脚部
7A 基部
8 ベアリング
9 中央部
10 ベアリング
11 折り曲げ部
12 モールド部
13 整流子
14 カーボンブラシ
15 ディフューザ
16 ファン収納部
17 固定翼
18 遠心ファン
19 ファンカバー
20 ディフューザ流路
21 ガイド流路
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機に用いられる電動送風機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から電気掃除機に用いられる電動送風機は、一端が開口された円筒状のモータケース内に配設されるステータと、ステータの中央に配設され、回転軸を有するロータと、ロータの回転軸によって回転する遠心ファンと、遠心ファンから吐出される吐出気流を整流するためのディフューザとで構成されている。
【0003】
モータケースの一端側には、開口を跨ぐように、略中央にベアリングを備えたエンドブラケットが架設されており、他端側には、モータケース底部の略中央にベアリングが配設されている。ロータの回転軸は、両端がモータケース及びエンドブラケットに、ベアリングを介して、回動自在に保持されるようになっている。
【0004】
ディフューザは、渦巻き状の固定翼が上面と下面に形成されたもので、エンドブラケットを覆うようにモータケース一端側に配設され、略中央から回転軸が貫通するようになっている。遠心ファンは、ディフューザ上面側から回転軸に装着され、ファンカバーは、ディフューザ及び遠心ファンを覆うようにモータケース一端側に嵌着される。ディフューザ及び遠心ファンがファンカバーで覆われることで、ディフューザの固定翼の間には、遠心ファンからの吐出気流が流れる流路が形成される。
【0005】
この構成により、遠心ファンからの吐出気流は、ディフューザ上面の固定翼の間を流れ、ディフューザの外周で反転し、ディフューザ下面側の固定翼の間を流れた後、モータケース内に導入される。モータケース内に導入された吐出気流は、ロータやステータを冷却し、発熱によるエネルギー損失を低減させるようになっている(特許文献1)。
【0006】
エンドブラケットは、ロータの回転軸を保持しているが、エンドブラケットの剛性が低いと、遠心ファンの回転時に、エンドブラケットが弾性変形してしまい、電動送風機の振動発生の原因になる。そのため、エンドブラケットを構成するフレームの端部を折り曲げることで、エンドブラケットの強度を高め、電動送風機の振動発生を防止するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−270637
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
モータケースの遠心ファン側にエンドブラケットが架設され、エンドブラケットを覆うようにディフューザが配設されるため、ディフューザの下面側の流路を流れる吐出気流の一部は、エンドブラケットによって阻害される。特に、エンドブラケットは強度を高めるために、端部を折り曲げた形状としているため、吐出気流が、エンドブラケットの端部に衝突し、乱流が発生するという問題があった。乱流が発生すると、送風効率が低下し、電動送風機の性能が低下する問題があった。
【0009】
本発明は、この問題を解決するために、簡単な構成によって、エンドブラケットに起因する乱流発生を抑制し、電動送風機の性能向上を図る電動送風機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
電気掃除機に使用される電動送風機であって、一端が開口されたモータケースと、該モータケース内に配設されるステータと、該ステータの略中央に配設され、前記モータケースの開口から突出する回転軸を有するロータと、前記モータケースの開口に架設されるとともに、前記回転軸を回転自在に貫通した状態で保持するエンドブラケットと、前記エンドブラケットから貫通した前記回転軸に装着される遠心ファンと、前記エンドブラケットと前記遠心ファンとの間に配設されるディフューザと、前記エンドブラケット及び前記遠心ファンを覆うファンカバーとを備え、前記ディフューザは、前記ファンカバーで覆われることで、前記遠心ファンからの吐出気流をモータケース内に導入する流路が形成され、前記エンドブラケットは、前記流路内に位置する脚部を有し、前記脚部は、基部と、該基部の両側端部にディフューザ側へ向けて立設される折り曲げ部とを有し、前記脚部のディフューザ側には、基部上の折り曲げ部間の空間に、両側の折り曲げ部より上方位置まで樹脂を充填してモールド部を形成することを特徴とする。
【0011】
前記モールド部は、断面形状において中央部分が最も高く、前記折り曲げ部側が最も低くなる山形状に形成することが好ましい。
または、前記モールド部は、折り曲げ部を含む脚部外周全体を覆うよう構成することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
請求項1及び請求項2によると、乱流発生を引き起こすエンドブラケットの折り曲げ部をモールド部で覆うことができ、折り曲げ部に起因する乱流発生を抑制することができる等の効果を奏する。
【0013】
請求項3によると、断面が山形状となるようにモールド部を形成することによって、モールド部に衝突する吐出気流をモールド部の裾方向に誘導することができるため、送風効率の低下を防止することができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】電動送風機を示す部分断面図である。
【図2】モータケースのエンドブラケットを示す斜視図である。
【図3】本実施形態におけるディユーザの上面図である。
【図4】同ディフューザの下面図である。
【図5】同ディフューザに遠心ファンを配設した状態の上面図である。
【図6】同ディフューザに遠心ファンを配設した状態の側面図である。
【図7】同エンドブラケットのモールド部を示す斜視図である。
【図8】同エンドブラケット脚部及びモールド部の断面図である。
【図9】別の実施形態におけるエンドブラケット脚部及びモールド部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態を図1乃至図8に基づいて以下に詳述する。尚、説明の便宜上、方向の定義として、後述するロータ4の回転軸方向において、遠心ファン18側を上側、整流子13側を下側とする。
【0016】
図1は電動送風機1の全体を示す斜視図である。2は一端が開口された有底円筒形状のモータケースで、該モータケース2内にステータ3が配設される。前記ステータ3は、二本の磁極を内側に向けたステータコアにコイルを巻回させて形成され、略中央にロータ4が配設される。前記ロータ4は回転軸5を有し、該回転軸5の径方向に複数のティースを有するロータコアにコイルを巻回させて形成される。
【0017】
前記モータケース2一端側には、モータケース2の開口を跨ぐように、エンドブラケット6が架設されており、該エンドブラケット6は、前記モータケース2に架設するための脚部7と、前記回転軸5を保持するためのベアリング8を備えた中央部9とで構成されている。10は前記モータケース2有底側の略中央に配設されるベアリングである。前記ロータ4の回転軸5は、前記ベアリング8、10を介して、一端側を前記モータケース2、他端側を前記エンドブラケット6に回転自在に保持されるとともに、回転軸5が前記エンドブラケット6から突出するようになっている。
また、前記エンドブラケット6は、強度を高めるために、端部を上側に折り曲げた形状に形成されている。すなわち、前記エンドブラケット6の脚部7は、略水平に形成された平板状の基部7Aと、該基部7A両端から上側に延設されるリブ状の折り曲げ部11とで構成される。
12は前記エンドブラケット6の脚部7の上側を覆うモールド部で、前記基部7A上の折り曲げ部11間の空間に、両側の折り曲げ部11より上方位置まで樹脂を充填して形成される。前記モールド部12は、図7に示すように、断面形状において中央部分が最も高く、前記折り曲げ部11側が最も低くなる山形状に形成され、モールド部12の両端側の高さが、折り曲げ部11の高さと略等しくなるように構成される。
尚、モールド部12に充填される樹脂は、耐熱性を有する樹脂が好ましく、紫外線硬化樹脂を用いることにより製造性を向上することができる。
13は前記回転軸5の一端側に配設される整流子、14はモータケース2に配設され、前記整流子13に当接するように付勢されたカーボンブラシである。
【0018】
15は前記エンドブラケット6を覆うように配設されるディフューザで、上面略中央にファン収納部16と、上面及び下面の外周側に渦状に立設される固定翼17とを備えている。前記ディフューザ15は、下面側略中央に前記エンドブラケット6中央部9が嵌合し、前記ファン収納部16略中央から前記回転軸5が貫通した状態で、前記エンドブラケット6にネジ止め固定される。18は前記ファン収納部16から貫通した前記回転軸5に装着される遠心ファンで、前記ロータ4の回転により、回転軸方向から空気を吸い込み、側面から吐出気流を吐出するようになっている。
【0019】
19はディフューザ15及び遠心ファン18を覆うように前記モータケース2一端側に嵌着されるファンカバーで、前記ディフューザを覆うことで、該ディフューザ15の上面側の固定翼17間にディフューザ流路20が形成され、下面側の固定翼17間にガイド流路21が形成されるようになっている。
而して、遠心ファン18からの吐出気流は、ディフューザ流路20によって整流された後、ガイド流路21を通って、モータケース2内に導入される。ガイド流路21からモータケース2へ向かう流路に位置するモールド部12の断面積が、山形状になるように形成されているので、スムーズに山形状に沿ってモールド部12の裾方向に誘導され、モータケース2内に導入される。
また、モールド部12は、折り曲げ部11を覆っているので、エンドブラケット6の折り曲げ部11が、ガイド流路21を流れる吐出気流に対して壁となることを防止でき、折り曲げ部11による乱流の発生を防ぐことができる。
さらに、前記エンドブラケット6は、折り曲げ部11により、モールド用の樹脂を充填しやすくすることができ、充填作業時の樹脂の漏れを防止することができるとともに、樹脂を折り曲げ部11が抱え込むように保持するので、モールド部12の破損を防止することができる。
【0020】
また、前記エンドブラケット6の脚部7には図示しないネジ孔が形成され、該ネジ孔に図示しないネジを螺合することにより前記エンドブラケット6を前記モータケース2にネジ止め固定しているが、該ネジの頭は、前記モールド部12により覆われるため、吐出気流がネジの頭に当たることがなく、ネジの頭による乱流の発生も防止することができる。
【0021】
尚、上記実施形態では、モールド部12は、脚部7上面の折り曲げ部11間に樹脂を充填して形成されているが、折り曲げ部11を含めて脚部7外周全体を覆うように樹脂を充填して形成してもよい。この場合、前記モールド部12は、前記折り曲げ部11が露出するように形成されてもよく、モールド部12と露出した折り曲げ部上端がなめらかな面を形成するように構成することが好ましい。
また、モールド部12は、気流の急激な変化や、吹き溜まりができないように形成すればよく、断面を山形状とせずに、両端の折り曲げ部11先端を結ぶように平らに充填して形成してもよい。
【0022】
以上の構成により、エンドブラケットに起因する乱流の発生を防止することで、電動送風機の性能向上を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、電動送風機に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0024】
1 電動送風機
2 モータケース
3 ステータ
4 ロータ
5 回転軸
6 エンドブラケット
7 脚部
7A 基部
8 ベアリング
9 中央部
10 ベアリング
11 折り曲げ部
12 モールド部
13 整流子
14 カーボンブラシ
15 ディフューザ
16 ファン収納部
17 固定翼
18 遠心ファン
19 ファンカバー
20 ディフューザ流路
21 ガイド流路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気掃除機に使用される電動送風機であって、
一端が開口されたモータケースと、該モータケース内に配設されるステータと、該ステータの略中央に配設され、前記モータケースの開口から突出する回転軸を有するロータと、前記モータケースの開口に架設されるとともに、前記回転軸を回転自在に貫通した状態で保持するエンドブラケットと、前記エンドブラケットから貫通した前記回転軸に装着される遠心ファンと、前記エンドブラケットと前記遠心ファンとの間に配設されるディフューザと、前記エンドブラケット及び前記遠心ファンを覆うファンカバーとを備え、
前記ディフューザは、前記ファンカバーで覆われることで、前記遠心ファンからの吐出気流をモータケース内に導入する流路が形成され、
前記エンドブラケットは、前記流路内に位置する脚部を有し、
前記脚部は、基部と、該基部の両側端部にディフューザ側へ向けて立設される折り曲げ部とを有し、
前記脚部のディフューザ側には、基部上の折り曲げ部間の空間に、両側の折り曲げ部より上方位置まで樹脂を充填してモールド部を形成することを特徴とする電動送風機
【請求項2】
電気掃除機に使用される電動送風機であって、
一端が開口されたモータケースと、該モータケース内に配設されるステータと、該ステータの略中央に配設され、前記モータケースの開口から突出する回転軸を有するロータと、前記モータケースの開口に架設されるとともに、前記回転軸を回転自在に貫通した状態で保持するエンドブラケットと、前記エンドブラケットから貫通した前記回転軸に装着される遠心ファンと、前記エンドブラケットと前記遠心ファンとの間に配設されるディフューザと、前記エンドブラケット及び前記遠心ファンを覆うファンカバーとを備え、
前記ディフューザは、前記ファンカバーで覆われることで、前記遠心ファンからの吐出気流をモータケース内に導入する流路が形成され、
前記エンドブラケットは、前記流路内に位置する脚部を有し、
前記脚部は、基部と、該基部の両側端部にディフューザ側へ向けて立設される折り曲げ部とを有し、
前記折り曲げ部を含む脚部外周全体を覆うモールド部を形成し、
前記モールド部は、折り曲げ部の上端を覆う高さに形成したことを特徴とする電動送風機。
【請求項3】
前記モールド部は、断面形状において中央部分が最も高く、前記折り曲げ部側が最も低くなる山形状に形成することを特徴とする請求項1または請求項2記載の電動送風機。
【請求項1】
電気掃除機に使用される電動送風機であって、
一端が開口されたモータケースと、該モータケース内に配設されるステータと、該ステータの略中央に配設され、前記モータケースの開口から突出する回転軸を有するロータと、前記モータケースの開口に架設されるとともに、前記回転軸を回転自在に貫通した状態で保持するエンドブラケットと、前記エンドブラケットから貫通した前記回転軸に装着される遠心ファンと、前記エンドブラケットと前記遠心ファンとの間に配設されるディフューザと、前記エンドブラケット及び前記遠心ファンを覆うファンカバーとを備え、
前記ディフューザは、前記ファンカバーで覆われることで、前記遠心ファンからの吐出気流をモータケース内に導入する流路が形成され、
前記エンドブラケットは、前記流路内に位置する脚部を有し、
前記脚部は、基部と、該基部の両側端部にディフューザ側へ向けて立設される折り曲げ部とを有し、
前記脚部のディフューザ側には、基部上の折り曲げ部間の空間に、両側の折り曲げ部より上方位置まで樹脂を充填してモールド部を形成することを特徴とする電動送風機
【請求項2】
電気掃除機に使用される電動送風機であって、
一端が開口されたモータケースと、該モータケース内に配設されるステータと、該ステータの略中央に配設され、前記モータケースの開口から突出する回転軸を有するロータと、前記モータケースの開口に架設されるとともに、前記回転軸を回転自在に貫通した状態で保持するエンドブラケットと、前記エンドブラケットから貫通した前記回転軸に装着される遠心ファンと、前記エンドブラケットと前記遠心ファンとの間に配設されるディフューザと、前記エンドブラケット及び前記遠心ファンを覆うファンカバーとを備え、
前記ディフューザは、前記ファンカバーで覆われることで、前記遠心ファンからの吐出気流をモータケース内に導入する流路が形成され、
前記エンドブラケットは、前記流路内に位置する脚部を有し、
前記脚部は、基部と、該基部の両側端部にディフューザ側へ向けて立設される折り曲げ部とを有し、
前記折り曲げ部を含む脚部外周全体を覆うモールド部を形成し、
前記モールド部は、折り曲げ部の上端を覆う高さに形成したことを特徴とする電動送風機。
【請求項3】
前記モールド部は、断面形状において中央部分が最も高く、前記折り曲げ部側が最も低くなる山形状に形成することを特徴とする請求項1または請求項2記載の電動送風機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2012−77649(P2012−77649A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222182(P2010−222182)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】
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