説明

電化厨房機器提案システム

【課題】担当者の技量に依存することなくガス厨房機器の有効熱量と同等の電化厨房機器を出力して、顧客への一律なサービスを提供する。
【解決手段】電化厨房機器の電気容量を格納した電化厨房機器データDB42と、ガス厨房機器のガス消費量から電化厨房機器の電気容量へ換算する換算係数を格納する換算係数データDB41と、前記電化厨房機器のランニングコストを格納したランニングコストデータDB45と、前記電化厨房機器のイニシャルコストを格納したイニシャルコストDB44と、を有し、制御部2は、入力部6から入力されたガス厨房機器のガス消費量に基づいてガス厨房機器の有効熱量と同等の電気容量を有する電化厨房機器選択して出力部7へ出力する。ユーザによって機器の選定が行われると、制御部2は、電化厨房機器とガス厨房機器のランニングコストとイニシャルコストを記載した提案書を出力部7に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス厨房機器を電化厨房機器に変更する場合に、既存のガス厨房機器の有効熱量と同等の電化厨房機器を選択して提案する電化厨房機器提案システムに関する。
【背景技術】
【0002】
住宅の購入やリフォーム等の場合において、エネルギ効率や安全性等の観点からガス厨房機器から電化厨房機器へ変更することが注目されている。
このような厨房機器の選定には、コンピュータシステムを用いて厨房機器の選定を支援すること行われており、たとえば、給湯器、ガスコンロ等の厨房機器を選定する際に、顧客が重視しているコストや環境性能などに基づいて機器の選定を支援するシステムとして、特定の基本データに基づいて特定の建物に設置する候補となる設備機器データを取得して設備機器組合せを作成し、設備機器の使用パターンデータ、冷暖房負荷計算データを作成し、それらデータを使用して各設備機器組合せに関するエネルギ消費量を算出し、算出したエネルギ消費量を使用して設備機器組合せのコストと環境負荷値を算出し、設備機器組合せにコスト、環境負荷値を結合して設備機器組合せ評価データを作成し、アンケート項目に対する回答に基づいてコストと環境負荷値に関する評価パラメータを作成し、評価パラメータを使用して設備機器組合せ評価データの各設備機器組合せを並び替え、その結果を表示し、表示された各設備機器組合せの一覧から一つの設備機器組合せを選択する設備機器選定支援システムが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−48244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ガスを熱源とするガス厨房機器から電気を熱源とする電化厨房機器に変更する場合、ガス厨房機器の加熱能力(kcal/h)をそのまま電化厨房機器の能力(kW)に換算すると電化厨房機器はガス厨房機器と比較して熱効率に優れているため加熱能力が過大となる不都合がある。
そこで、従来においては、それぞれの担当者が、自身の経験則に基づき、既存のガス厨房機器に対してそれに見合った電化厨房機器を選定し提案するようにしていた。このため、従来の電化厨房機器提案サービスは、担当者の技量に依存するものとなっており、担当者によって提案にばらつきが生じやすく、選択された各電化厨房機器に基づき算出されるイニシャルコストやランニングコストにもばらつきが生じ、顧客への一律なサービスの提供が困難となっていた。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、担当者の技量に依存することなくガス厨房機器の有効熱量と同等の電化厨房機器を出力するとともに、担当者によって選定された電化厨房機器のイニシャルコストとランニングコストを出力することができ、顧客への一律なサービスの提供が可能な電化厨房機器提案システムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するために、本発明に係る電化厨房機器提案システムは、ガス厨房機器のガス消費量から電化厨房機器の電気容量へ換算する換算係数を格納する換算係数データベースと、電化厨房機器毎の電気容量を少なくとも格納した電化厨房機器データベースと、前記厨房機器毎のランニングコストを格納するランニングコストデータベースと、前記電化厨房機器のイニシャルコストを格納するイニシャルコストデータベースと、ユーザによる入力操作を行う入力部と、ユーザにデータを表示する出力部と、前記それぞれのデータベース、前記入力部及び前記出力部を管理する制御部とを備え、前記制御部は、ユーザによって前記入力部を介して入力された前記ガス厨房機器のガス消費量を入力値とし、前記換算係数データベースに記憶された換算係数に基づき、同程度の有効熱量を有する電気容量を算出する電気容量算出手段と、前記電気容量算出手段に基づいて算出された電気容量と前記電化厨房機器データベースに記録された電気容量と一致又は近似する電化厨房機器を選択し、前記出力部に選択された電化厨房機器の情報を出力する電化厨房機器選択出力手段と、ユーザによって前記入力部を介して選定された電化厨房機器の電気容量から、合計電気設備容量を算出する合計電気設備容量算出手段と、前記合計電気設備容量が所定の値を超えるか否かを判定する合計電気容量判定手段と、前記選定された電化厨房機器について前記ランニングコストデータベースに基づいてランニングコストを算出するランニングコスト算出手段と、前記選定された電化厨房機器について前記イニシャルコストデータベースに基づいてイニシャルコストを算出するイニシャルコスト算出手段と、前記ランニングコスト算出手段に基づいて算出されたランニングコスト及び前記イニシャルコスト算出手段に基づいて算出されたイニシャルコストに基づいて提案書を作成し、前記出力部に出力する提案書作成出力手段と、を具備することを特徴としている。
ここで、有効熱量とは、たとえば、ガス厨房機器のガス消費量に対して熱効率を乗じて得た仕事量の値である。
【0007】
前記制御部は、ユーザによって前記入力部を介して入力された前記ガス厨房機器のガス消費量を入力値とし、前記換算係数データベースに記憶された電化厨房機器換算係数に基づき、同程度の有効熱量を有する電気容量を算出する電気容量算出手段と、前記電気容量算出手段に基づいて算出された電気容量と前記電化厨房機器データベースに記録された電気容量と一致又は近似する電化厨房機器を選択し、前記出力部に選択された電化厨房機器の情報を出力する電化厨房機器選択出力手段と、を具備することによって、担当者は、自身の経験則によらずガス厨房機器の有効熱量と同等の電化厨房機器を選定することが可能となる。
また、前記制御部は、ユーザによって前記入力部を介して選定された電化厨房機器の電気容量から、合計電気設備容量を算出する合計電気設備容量算出手段と、前記合計電気設備容量が所定の値を超えるか否かを判定する合計電気容量判定手段と、前記ランニングコストデータベースに基づいてランニングコストを算出するランニングコスト算出手段と、電化厨房機器について前記イニシャルコストデータベースに基づいてイニシャルコストを算出するイニシャルコスト算出手段と、前記ランニングコスト算出手段に基づいて算出されたランニングコスト及び前記イニシャルコスト算出手段に基づいて算出されたイニシャルコストに基づいて提案書を作成し、前記出力部に出力する提案書作成出力手段とを具備することにより、担当者によって選定された厨房機器に基づいてイニシャルコストとランニングコストが記載された提案書を出力することが可能となる。
ここで、電気容量算出手段は、前記ガス厨房機器のガス消費量の単位を換算するガス消費量換算手段と、前記換算係数データベースから前記換算係数を決定する換算係数決定手段と、前記電化厨房機器の有効熱量と前記換算係数に基づいて前記電化厨房機器の電気容量を算出する算出手段とを具備するものである。
また、ランニングコストとは、電化厨房機器の電気消費量や使用量等の合計に基づいて算出される月間又は年間の予測使用料金である。
また、イニシャルコストとは、厨房機器の施設への導入費用であり、たとえば、機器本体の単価だけではなく電力規格を変更する場合の工事費等も含めた費用であってもよい。
【0008】
また、前記換算係数データベースは、ガス厨房機器のガス消費量から電化厨房機器の電気容量へ換算する換算係数の代わりに、前記ガス厨房機器の熱効率と前記電化厨房機器の熱効率との比を換算係数として格納し、前記電気容量算出手段は、前記ガス厨房機器のガス消費量から前記換算係数データベースに記憶された熱交換率の比に基づき、同等の前記電化厨房機器の電気容量を算出するものであることが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
以上述べたように、本発明に係る電化厨房機器提案システムによれば、前記制御部は、ユーザによって前記入力部を介して入力された前記ガス厨房機器のガス消費量を入力値とし、前記換算係数データベースに記憶された電化厨房機器換算係数に基づき、同程度の有効熱量を有する電気容量を算出する電気容量算出手段と、前記電気容量算出手段に基づいて算出された電気容量と前記電化厨房機器データベースに記録された電気容量と一致又は近似する電化厨房機器を選択し、前記出力部に選択された電化厨房機器の情報を出力する電化厨房機器選択出力手段と、を具備することによって、担当者は、自身の経験則によらずガス厨房機器と同等の有効熱量の電化厨房機器を選定することが可能となり、顧客への一律なサービスの提供が可能となる。
また、前記制御部は、ユーザによって前記入力部を介して選定された電化厨房機器の電気容量から、合計電気設備容量を算出する合計電気設備容量算出手段と、前記合計電気設備容量が所定の値を超えるか否かを判定する合計電気容量判定手段と、前記ランニングコストデータベースに基づいてランニングコストを算出するランニングコスト算出手段と、電化厨房機器について前記イニシャルコストデータベースに基づいてイニシャルコストを算出するイニシャルコスト算出手段と、前記ランニングコスト算出手段に基づいて算出されたランニングコスト及び前記イニシャルコスト算出手段に基づいて算出されたイニシャルコストに基づいて提案書を作成し、前記出力部に出力する提案書作成出力手段とを具備することにより、イニシャルコストとランニングコストとが記載された提案書が出力されるため、担当者は、ガス厨房機器と電化厨房機器のコストを比較しながら設備仕様により適切な電化厨房機器の選定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、電化厨房機器提案システムの全体を示すブロック図である。
【図2】図2は、家庭用厨房機器における換算係数データベースの一態様を示す表である。
【図3】図3は、業務用厨房機器における換算係数データベースの一態様を示す表である。
【図4】図4は、電化厨房機器提案システムの動作例を示すフローチャートである。
【図5】図5は、図4のステップ106で示す電化厨房機器の電気容量の算出サブルーチンを示すフローチャートである。
【図6】図6は、ガス厨房機器の電気容量への換算係数を示した表である。
【図7】図7は、ガス厨房機器の出力部の表示例であり、(a)は、電気厨房契約加入の可否の判定に必要な消費電力を表した表であり、(b)は、厨房機器専用変圧器の増設が必要か否かの判定に必要な消費電力を表した表である。
【図8】図8は、提案書フォーマットの一例を示すものである。
【図9】図9は、イニシャルコストの出力例を示した表である。
【図10】図10は、ランニングコストの出力例を示した表である。
【図11】図11は、厨房機器ごとの熱源別効率の比(消費量比率)を換算係数とした場合の換算係数データベースの一態様を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の電化厨房機器提案システムについて図面を参照して説明する。
【実施例】
【0012】
図1に示されるように、電化厨房機器提案システム1は、CPU,ROM,RAM等により構成され、メモリに与えられた所定のプログラムにしたがってシステム全体を制御する制御部2と、各種データベース等が記憶された記憶装置4と、ユーザによるデータ入力等の操作を行うキーボード等の入力部6と、モニターやプリンタ等の出力部7とが内部バスやLAN等の伝送路8を介して接続されている。
【0013】
記憶装置4は、例えばハードディスクドライブで構成されるものであり、ガス厨房機器に対する電化厨房機器への換算係数が格納された換算係数データベース(換算係数DB)41と、各種電化厨房機器の情報を格納した電化厨房機器データベース(電化厨房機器DB)42と、電化厨房機器の導入費用が記憶されたイニシャルコストデータベース(イニシャルコストDB)44と、厨房機器毎のランニングコストが記憶されたランニングコストデータベース(ランニングコストDB)45とを有している。
【0014】
ここで、換算係数データベース41は、同じ有効熱量を得るためのガス厨房機器のガス消費量(kW)に対する電化厨房機器の消費電力(kW)との比が換算係数として格納されており、図2に示されるように、厨房機器メーカーカタログに基づき、各機器についてメーカーや型式、容量毎に比較機器リストを整理して前記比率(換算係数)を求めたデータや、図3に示されるように、業態や型式、容量毎に業務用電化厨房設計指針等のモデル厨房(ガス、電化)での比較機器リストを整理して前記比率(換算係数)を求めたデータが格納されており、例えば、テーブルレンジにおいては、図2に示されるように、取り扱いがあるD社の機器に対して容量毎に換算係数(消費量の比率:0.28,0.30)が格納され、また、図3に示されるように、和食レストラン、ホテルバンケット、中華レストランに対して、換算係数(消費量の比率:0.29,0.35,0.32,0.30)がそれぞれ格納されている。
【0015】
電化厨房機器データベース42は、電化厨房機器毎の電気容量、メーカー等の情報が格納されている。
【0016】
イニシャルコストデータベース44は、電化厨房機器ごとの本体の価格や、電化厨房機器を導入する設備に電気容量の規格変更工事が必要となった場合等の工事費用が格納されている。
【0017】
ランニングコストデータベース45は、それぞれの厨房機器の使用に係るコスト、すなわち、時間、エネルギ使用量、回収年数、環境評価、ライフサイクルコスト等が格納されている。
【0018】
制御部2による動作処理例が、図4においてフローチャートとして示され、以下、このフローチャートに基づき本システムの動作処理例を説明する。尚、ここで示される処理例は、予めインストールされた制御プログラムを実行させることによりハードウエア資源との協働により具現される。
【0019】
先ず、担当者は、厨房にある既存の各ガス厨房機器に対して、ガス消費量(ガス厨房機器カタログ記載の容量か銘版容量:kg/h)や台数を入力部6を介して入力する(ステップS101)。この入力操作は、キーボードで直接入力しても、それぞれの項目を選択することによって入力してもよい。
【0020】
この処理の後に、所定の操作が行われることで、制御部2は、各ガス厨房機器と同等の有効熱量を有する電化厨房機器の電気容量を算出する(ステップS102)。ここで、このステップS102における電気容量算出処理は、図5に示されるように、担当者によって入力された各ガス厨房機器のガス消費量の単位をkWに換算し(S201)、また、換算係数データベース41に基づき、ガス厨房機器のガス消費量を電化厨房機器の電気容量へ換算する換算係数(ガス厨房機器のガス消費量(kW)と電化厨房機器の消費電力(kW)との比)を決定する。この換算係数の決定は、選択できる電化厨房機器が複数ある場合には、例えば、図6に示されるように、最も値が大きい換算係数を抽出することで決定される(S202)。
【0021】
例えば、ガス厨房機器がガスレンジであれば、図2の「テーブルレンジ」の換算係数と、図3の「テーブルレンジ」の換算係数のうち、最も大きい値である0.35が抽出され、ガス厨房機器がガスフライヤーであれば、図2の「フライヤー」の換算係数と、図3の「フライヤー」の換算係数のうち、最も大きい値である0.6が選択される。
【0022】
そして、次のステップS203において、ステップS201で算出されたガス消費量(kW)にステップS202で決定された換算係数を乗じて、それぞれのガス厨房機器に対応する(同等の有効熱量を有する)電化厨房機器の電気容量を算出する(S203)。
【0023】
以上のようにして、電化厨房機器の電気容量が算出された後に、制御部2は、電化厨房機器データベース42に基づき、算出された電気容量と一致する電化厨房機器の有無を判定する(S103)。
【0024】
このステップS103において、ステップS102で算出された電気容量と一致する電化厨房機器があると判定された場合には、電気容量が一致する電化厨房機器を抽出して、モニター等の出力部7に出力表示させる(S104)。
【0025】
これに対して、ステップS103において、算出された電気容量と一致する電化厨房機器がないと判定された場合には、ステップS102において算出された電気容量に最も近い電化厨房機器を抽出し、これを出力部7に出力表示させる(S105)。
【0026】
以上の処理を経て電気容量が一致又は近似する電化厨房機器が出力部7に表示されると、担当者は、この中から顧客の使用状況(接地スペース、コンロ口数等)に合わせて最適な機種の絞り込みを行い、機器を選定する(S106)。
【0027】
そして、選定が完了すると、制御部2は、選定されたそれぞれの電化厨房機器の電気容量から、合計電気設備容量を算出する(S107)。この合計電気設備容量の算出結果は、データ入力された既存のガス厨房機器の機器名やガス消費量、台数、電化厨房機器への換算係数、その換算係数を用いて算出された電化厨房機器の消費電力等と共に、例えば、図7のようにモニター等の出力部7に表示させるようにしてもよい。ここで、図7(a)のように表示させることで、電気厨房契約加入の可否の判定に利用することが可能となり、また、図7(b)のように表示させることで、ガス厨房機器を電化厨房機器に変更したことでどの程度の電気容量になるか、即ち、厨房機器専用変圧器の増設が必要になるか等の検討に利用することが可能となる。
【0028】
その後、制御部2は、この算出された合計電気設備容量が所定容量以上であるか否かを判定し(S108,S109)、電気厨房契約が加入可能であるか否か(割引対象となるか否か)、厨房機器専用の変圧器の導入(高圧計量)が必要になるか否かを判定し、それぞれの判定結果に基づき、対応する提案書を作成する処理を行う。
【0029】
具体的には、合計電気設備容量が30kW以上であるか否かを判定し(S108)、30kW未満であると判定された場合には、電気厨房契約の加入は不可である(厨房割引の適用がない)ものとみなして、厨房割引の適用がない場合のランニングコストをランニングコストデータベース45に基づき算出し(S110)、また、イニシャルコストデータベース44に基づき、ガス厨房機器の代わりに新たに導入する電化厨房機器本体の価格をイニシャルコストとして算出し、これら算出されたランニングコストやイニシャルコストを記憶する(S111)。
【0030】
また、合計電気設備容量が30kW以上であると判定された場合には、電気厨房契約の加入が可能である(厨房割引の適用がある)ものとみなして、厨房割引の適用がある場合のランニングコストをランニングコストデータベース45に基づき算出し(S112)、また、イニシャルコストデータベース44に基づき、ガス厨房機器の代わりに新たに導入する電化厨房機器本体の価格をイニシャルコストとして算出し、これら算出されたランニングコストやイニシャルコストを記憶する(S113)。
【0031】
さらに、制御部2は、合計電気設備容量が50kW以上であるか否かを判定し(S109)、50kW以上であると判定された場合には、厨房機器専用変圧器(高圧計量)が必要であるとみなして、厨房機器専用変圧器(高圧計量)の導入が必要であり、且つ、厨房割引の適用がある場合のランニングコストをランニングコストデータベース45に基づき算出し(S114)、また、イニシャルコストデータベース44に基づき、厨房機器専用変圧器と、ガス厨房機器の代わりに新たに導入する電化厨房機器本体の価格をイニシャルコストとして算出し、これら算出されたランニングコストやイニシャルコストを記憶する(S115)。
【0032】
以上のようにして、合計電気設備容量に応じてランニングコストとイニシャルコストとが算出された後に、制御部2は、担当者に対して他の提案の有無を確認要請し(S116)、担当者の確認操作により他の提案が有ると判定されれば、ステップS106以降の処理を再度行い、他の提案が無いと判定されれば、ステップS111,S113,S115で記憶されたランニングコストやイニシャルコストに基づき、既存のガス厨房機器を電化厨房機器に取替えた場合の提案書を所定のフォームでプリンタ等の出力部7によって出力する(S117)。
【0033】
図8は、この提案書の一例を示すもので、この例では、既存のガス厨房機器の一部を電化厨房機器に入れ替え、合計電気設備容量を電気厨房契約ができない(割引対象とならない)容量に設定した場合(A案)と、既存のガス厨房機器の一部を電化厨房機器に入れ替え、合計電気設備容量を電気厨房契約が可能となる(割引対象となる)容量に設定した場合(B案)と、既存のガス厨房機器の全てを電化厨房機器に入れ替えた場合(C案)とのエネルギ使用量、イニシャルコスト、ランニングコスト等が比較できるように記載されている。
【0034】
また、それぞれの案についてのイニシャルコストの仔細が図9に示されるように出力され、また、それぞれの案でのランニングコストの仔細が図10に示されるように出力される。
【0035】
したがって、担当者は、自身の技量に拘わらず、同じレベルの提案サービスを行うことが可能となるので、担当者が異なっても提案にばらつきが生じることがなくなり、顧客に対して一律なサービスを提供することが可能となる。ガス厨房機器を電化厨房機器に置き換えた場合のイニシャルコストやランニングコストも把握できるので、ユーザの利便性の向上を図ることが可能となる。
なお、上述した構成においては、ガス厨房機器のガス消費量から電化厨房機器の電気容量へ換算する換算係数として、換算係数データベース41に格納されている対応厨房機器のデータのうち、最も換算係数が大きいものを使用するようにしたが、換算係数が複数ある場合には(選択できる電化厨房機器が複数ある場合には)、その平均値を採用するようにしてもよい。
【0036】
また、上述の構成においては、換算係数をガス消費量と電気容量との比で表した係数を利用するようにしたが、図11に示されるように、厨房機器ごとの熱源別効率の比(消費量比率)を換算係数として用いるようにしてもよい。例えば、ガス厨房機器の消費量にそのガス厨房機器の熱効率を乗じることで、有効熱量を算出でき、この有効熱量を電化厨房機器の熱効率で除することで、対応する電化厨房機器の電気容量を算出することができるため、それぞれのガス厨房機器に対して、ガス厨房機器熱効率/電化厨房機器熱効率を換算係数として決定しておけば、既存のガス厨房機器のそれぞれに対して同等の有効熱量を有する電化厨房機器の電気容量を算出することが可能となる。
【符号の説明】
【0037】
1 電化厨房機器提案システム
2 制御部
4 記憶装置
41 換算データベース
42 電化厨房機器データベース
44 イニシャルコストデータベース
45 ランニングコストデータベース
6 入力部
7 出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス厨房機器のガス消費量から電化厨房機器の電気容量へ換算する換算係数を格納する換算係数データベースと、電化厨房機器毎の電気容量を少なくとも格納した電化厨房機器データベースと、前記厨房機器毎のランニングコストを格納するランニングコストデータベースと、前記電化厨房機器のイニシャルコストを格納するイニシャルコストデータベースと、ユーザによる入力操作を行う入力部と、ユーザにデータを表示する出力部と、前記それぞれのデータベース、前記入力部及び前記出力部を管理する制御部とを備え、
前記制御部は、
ユーザによって前記入力部を介して入力された前記ガス厨房機器のガス消費量を入力値とし、前記換算係数データベースに記憶された換算係数に基づき、同程度の有効熱量を有する電気容量を算出する電気容量算出手段と、
前記電気容量算出手段に基づいて算出された電気容量と前記電化厨房機器データベースに記録された電気容量と一致又は近似する電化厨房機器を選択し、前記出力部に選択された電化厨房機器の情報を出力する電化厨房機器選択出力手段と、
ユーザによって前記入力部を介して選定された電化厨房機器の電気容量から、合計電気設備容量を算出する合計電気設備容量算出手段と、
前記合計電気設備容量が所定の値を超えるか否かを判定する合計電気容量判定手段と、
前記選定された電化厨房機器について前記ランニングコストデータベースに基づいてランニングコストを算出するランニングコスト算出手段と、
前記選定された電化厨房機器について前記イニシャルコストデータベースに基づいてイニシャルコストを算出するイニシャルコスト算出手段と、
前記ランニングコスト算出手段に基づいて算出されたランニングコスト及び前記イニシャルコスト算出手段に基づいて算出されたイニシャルコストに基づいて提案書を作成し、前記出力部に出力する提案書作成出力手段と、
を具備することを特徴とする電化厨房機器提案システム。
【請求項2】
前記換算係数データベースは、ガス厨房機器のガス消費量から電化厨房機器の電気容量へ換算する換算係数の代わりに、前記ガス厨房機器の熱効率と前記電化厨房機器の熱効率との比を換算係数として格納し、
前記電気容量算出手段は、前記ガス厨房機器のガス消費量から前記換算係数データベースに記憶された熱交換率の比に基づき、同等の前記電化厨房機器の電気容量を算出するものであることを特徴とする請求項1に記載の電化厨房機器提案システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−170708(P2011−170708A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−35183(P2010−35183)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)