説明

電化製品用の制御装置

【課題】 制御装置を簡単に構成すること、およびそれに確実な動作を与えることを可能にする電化製品用の制御装置を提供する。
【解決手段】 電化製品用の制御装置は制御パネルを有する。容量接触スイッチまたは近接スイッチ用の複数の容量センサ素子は、制御パネルの下部に配置され、指を当ててセンサ素子にわたって指を移動させることによる操作のために、細長いスライダを形成するように連続する列で配置される。センサ素子は全て同じであり、長方形を有し、この場合、センサ素子の各々は、互いに向き合うセンサ素子の第1の側面の一方と整列され、センサ素子の各々は、互いに平行にセンサ素子の側面の全てと整列される。したがって、センサ素子は、連続する列に関して同じ方法で整列され、この場合、センサ素子が配置される列を形成するために、第1の側面が15°〜90°の角度だけ回転される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電化製品用の制御装置であって、その制御装置が、容量接触スイッチまたは近接スイッチを形成するために、容量センサ素子を有する制御パネルを有する制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、指がセンサ素子の上部の制御パネルに当てられたときに、すなわち、曲がり検出されることによって、圧電センサ素子により動作する制御装置を開示している。
【0003】
さらに、特許文献2は、細長い制御装置が、いわゆるスライダ形状であり、指を当ててスライダにわたって指を線状に移動させることによって動作されることを開示している。特に、このことは、例えば、複数のレベルでまたは特定の範囲で出力を非常に適切に設定することを可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第2010/007531A1号明細書
【特許文献2】国際公開第2007/036247A号パンフレット
【特許文献3】米国特許第5,917,165A号明細書
【特許文献4】米国特許第5,973,417A号明細書
【特許文献5】米国特許第7,511,242B号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来技術の課題を回避することができ、特に、制御装置を簡単に構成すること、およびそれに確実な動作を与えることを可能にする冒頭に記載した種類の制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1の特徴を有する制御装置によって達成される。本発明の有利かつ好ましい改良形態は、別の請求項の主題であり、以下により詳細に説明される。請求項の記載内容は、明確な参照により明細書の記載内容に含まれる。
【0007】
本発明は、容量センサ素子が、連続する列で配置され、したがって、指が、制御装置に、特に制御パネルに置かれ、それにわたって移動される上記のような操作用の細長い制御装置を形成することを意図する。センサ素子は、この場合、有利には互いに同じ距離に配置される。さらに、センサ素子の全ては、同じまたは同一であり、この場合、有利には長方形を有することができる。本発明によれば、センサ素子の第1の側面の各々が互いに向き合うように、センサ素子が配置される。特に、互いに向き合う側面、したがって他の側面の各々も平行に整列され、センサ素子が、連続する列に関して同じ方法で整列され、同じ角度に回転される。このことは、上記第1の側面が、列に対してまたはその延長部の方向に、15°〜90°の角度だけ回転可能であることによるものである。有利な一改良形態では、角度は、45°〜80°、好ましくは46°〜75°であってもよい。特に、センサ素子が長方形であり、正方形からそれほど逸脱していない場合、角度は45°とは異なるかまたはそれよりもいくらか大きいべきである。この場合、角度は、代わりに、45°よりも若干小さくてもよく、例えば15°〜44°であってもよい。
【0008】
センサ素子の相互に回転またはずらされるこの配置は、センサ素子を実質的に重ねるか、またはさらに実際に若干重ねることを可能にする。このことは、センサ素子にまたはそれらの上に置かれた指の位置を決定する際に、より優れた直線性および正確性を可能にする。特に、例えば特許文献3または特許文献4に対応する接触スイッチの容量センサ素子用の通常の判定方法では、指が、実際に、センサ素子の列に沿った2つのセンサ素子の間の中央にある場合に、これによって、より強い信号レベルが生じる。さらに、容量センサ素子の場合、指がセンサ素子の中心点からセンサ素子の間の中間空間に近づいたときに、信号レベルが減少することになり、このことを十分に正確に識別することもできるように、これらのセンサ素子は、互いに非常に近接して配置されてはならず、依然として、互いに一定の距離だけ離れているべきであることに留意されたい。さらに、センサ素子は決して接触してはならない。距離は、センサ素子の最小の延長部よりも小さい、すなわち、一般には、細長いセンサ素子の幅または短い側面よりも若干小さい大きさのオーダであってもよい。
【0009】
本発明の別の有利な改良形態では、センサ素子は、長方形であるだけでなく、特に少なくとも10%の長さの差がある長い側面および短い側面も有する。センサ素子の斜めの位置決めまたは可能な重なりは、センサ素子の長い側面が互いに向き合うと特に有利であり、このことは、センサ素子が列の長さ延長部に対して横方向であることを意味する。この場合、センサ素子は、それらの長さをそれらの幅の約2倍に、好ましくは最大2倍の長さに構成することが可能である。
【0010】
センサ素子が配置される列は有利には直線である。この場合、説明したように、全てのセンサ素子が同じ方法で整列される。
【0011】
さらに、隣接するセンサ素子が重なることが可能である。それらの隣接するセンサ素子は、列の長手方向延長部に沿って若干重なる方向成分を有するように重なることができる。重なりは比較的小さく、例えばセンサ素子の長さの少なくとも5%〜20%であるべきである。さらに、この重なりは、列の長手方向延長部に対するセンサ素子の斜めの位置決めに関連する。この場合、センサ素子が細長くなく、例えば、それらの長さがそれらの幅の約2倍であることが有利であり、そしてこのことが実際に上記小さい重なりで生じるように、斜めの位置決めの角度およびそれらのセンサ素子の間の距離を構成することが有利であることが実際に確認されている。
【0012】
原則として、本質的に、導電性であるそれらの容量センサ素子の領域が重要であるので、容量センサ素子を、必要に応じて構成および製造することができ、制御パネルの底部に配置することができる。既述した特許文献3から知られているように、導電性および弾性の材料、特にプラスチックからなるセンサ素子体が有利に使用される。その場合、センサ素子体は有利にはブロック状であり、それらのセンサ素子体の頂部は制御パネルの底部に取り付けられる。それらのセンサ素子体自体は、プリント回路基板のセンサ素子体によって形成された電気接触部に配置され、それを有することができる。このようなセンサ素子体の高さは、有利には、センサ素子体の長さおよび幅よりも小さく、例えばその幅の4分の1〜3分の1であるべきである。
【0013】
これらの特徴および別の特徴は、請求項においてだけでなく、明細書および図面においても示されており、個々の特徴の各々は、本発明の実施形態のサブコンビネーションの形でまたは他の分野において、それら自体でまたは2つ以上の群で実現することができ、本明細書で保護が請求される、それら自体で保護に値する有利な実施形態を表すことができる。本願が個々の部分および副題に細分されても、これらの副題になされる説明の一般性は制限されない。
【0014】
本発明の例示的な実施形態を以下により詳細に説明し、図面に概略的に示す。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】センサ素子が一列に配置されるプリント回路基板を有する本発明による制御装置の平面図である。
【図2】互いに斜めにずらして配置される、図1と同様の2つの異なるセンサ素子の2つの拡大概略図である。
【図3】互いに斜めにずらして配置される、図1と同様の2つの異なるセンサ素子の2つの拡大概略図である。
【図4】異なるセンサ素子の上部に制御パネルを有する本発明による制御装置の概略側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、多数の容量センサ素子15が正確に言うと2つの群に配置され、センサ素子15の全てが、破線で示した1つの延長線Eに沿って配置されるプリント回路基板13を有する本発明による制御装置11の一実施例を示している。この場合、センサ素子15は、互いに比較的近接して配置され、明確に理解できるように、互いに斜めにずらされ、線Eに対して回転され、正確に言うとこの場合、センサ素子15の各々は約30°の角度だけ反時計回り方向に回転される。このことは、互いに向き合うセンサ素子の上記第1の側面が線Eに対して約60°の角度にあることを意味する。このことから理解できるように、センサ素子15は、線Eの方向において重なっておらず、センサ素子の対応する角部の各々が互いに近接している。さらに、このような重なりなしでも、より優れた判定性能の本発明による利点を実現することができる。長方形のセンサ素子15は、左上への他方の第2の方向におけるよりも、右上への斜めの第1の方向における方が長く、特に、長方形のセンサ素子は第1の方向における方が約10%長い。
【0017】
さらに、別の構成要素、正確に言うと、LED16aおよび7セグメント表示器の両方、ならびに他の電気構成要素および電子構成要素16bがプリント回路基板13に設けられる。
【0018】
図2は、若干異なる構造の、正確に言うとより細くてより長いセンサ素子115の拡大図を示している。これらのセンサ素子115は、延長線ELに対して角度αだけ、正確に言うとこの場合、約15°だけ反時計回り方向にさらに回転される。さらに、センサ素子115の幅Bと、センサ素子115の互いに向き合う第1の側面の間の距離を示すギャップ幅Sとが図示されている。Lは長さを表し、Bはセンサ素子115の幅を表す。UEは、右側のセンサ素子115の左上角部が、センサ素子115の第1の長い側面と線Eとの交点に対して垂直に重なる張り出しを表す。Aはセンサ素子の中心点の間の距離を表し、さらに、この距離は、線Eに沿ったセンサ素子115の間の距離に一致する。
【0019】
差Dは、センサ素子の幅Bおよび2倍の張り出しUEが距離Aから減算された場合に生じる大きさである。したがって、Dは、線Eの方向における、互いに最も近接して配置されるセンサ素子115のそれらの2つの点の間の距離に一致する。
【0020】
図3は、距離Aが同じであり、角度αが約40°であり、正確に言うと、計算した場合に図2の大きさDと比較してマイナスの大きさDである場合に、右側のセンサ素子115が左側のセンサ素子115に実際にどのように重なるかを示している。
【0021】
Sの値は以下の式を用いて決定される。
【0022】
S=(A−B−(B/2)×sin(α)×tan(α))×cos(α)
張り出しUEは以下の式を用いて計算される。
【0023】
UE=(L/2)×sin(α)
したがって、角度αは以下の式を用いて決定することができる。
【0024】
α=arcsin(2UE/L)
次の表は、幅B=8mmのセンサ素子について、張り出しUEの値を増加させたときの角度α、ギャップ幅Sおよび大きさDを表す。この表は、もちろん、距離Aの値にも関係する。図2では、センサ素子115は互いに重なっておらず、対照的に、図3では、センサ素子115が既に重なっている。
【表1】

【0025】
図4は、本発明による制御装置11の別の概略断面図を示している。プリント回路基板13は、制御装置11の制御パネル12の下方に、そこからある距離に、およびそれに対して平行に配置される。この場合、その図はプリント回路基板13の2つのセンサ素子15と15’を示している。右側のセンサ素子15は、本質的にブロック状、すなわち中実立方体であり、弾性材料、特に導電性プラスチックからなる。制御パネル12の底部に押し付けられるセンサ素子15の頂部は、当業者が理解できるように、制御パネル12の頂部の対応する領域に容量接触スイッチ18を形成する。図3の左側のセンサ素子15’の他の実施形態は、空洞を有し、したがって、特許文献5に対応する空洞断面形状である。さらにこの場合、制御パネル12の底部のセンサ素子15’の頂部は、制御パネル12の頂部に容量接触スイッチ18’を形成する。
【符号の説明】
【0026】
11 制御装置
12 制御パネル
13 プリント回路基板
15 容量センサ素子
15’ センサ素子
16a LED
16b 他の電気構成要素および電子構成要素
18 容量接触スイッチ
18’ 容量接触スイッチ
115 センサ素子
A 距離
B センサ素子115の幅
E 延長線
L 長さ
S ギャップ幅
α 角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御パネルを有する電化製品用の制御装置であって、容量接触スイッチまたは近接スイッチ用の複数の容量センサ素子が、前記制御パネルの下部に配置され、指を当てて前記センサ素子にわたって前記指を移動させることによる操作のために、細長い連続する列で配置され、前記センサ素子が同一であり、長方形を有し、前記センサ素子の各々が、互いに向き合う前記センサ素子の第1の側面の一方と整列され、前記センサ素子の各々が、互いに平行に前記センサ素子の側面の全てと整列され、したがって、前記連続する列に関して同じ方法で整列され、前記センサ素子が配置される前記列に対して、前記第1の側面が15°〜90°の角度だけ回転される制御装置。
【請求項2】
前記センサ素子が、15°〜44°のまたは45°〜80°の角度だけ回転される請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記センサ素子が46°〜75°の角度だけ回転される請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記センサ素子が、長い側面と短い側面とを有する請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記センサ素子の前記側面が少なくとも10%の長さの差を有する請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記センサ素子の前記長い側面が互いに向き合う請求項4に記載の制御装置。
【請求項7】
前記センサ素子が配置される前記列が直線である請求項1に記載の制御装置。
【請求項8】
隣接するセンサ素子が、前記列の長手方向延長部の方向成分において、前記センサ素子の長さの少なくとも5%〜20%だけ少なくとも部分的に重なる請求項1に記載の制御装置。
【請求項9】
前記センサ素子が、前記制御パネルの前記底部に配置される導電性の弾性センサ素子体によって形成される請求項1に記載の制御装置。
【請求項10】
前記センサ素子体が、前記センサ素子体の幅および長さよりも小さい高さを有する請求項9に記載の制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−82166(P2011−82166A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−226447(P2010−226447)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(597022218)エーゲーオー エレクトロ・ゲレーテバウ ゲーエムベーハー (64)
【Fターム(参考)】