説明

電圧制御発振器および関連システム

【課題】位相雑音および出力が改善された電圧制御発振器および関連システムを提供する。
【解決手段】電圧制御発振器は、第1の可変静電容量素子(120)と、第2の可変静電容量素子(122)と、可変静電容量素子(120、122)間に結合され、出力ノード(104)において、発振信号の振動周波数において可変静電容量素子(120、122)の間にインダクタンスを提供する誘導素子(132)とを含む。第1の可変静電容量素子(120)は第1の制御電圧ノード(110)および出力ノード(104)の間に結合され、第2の可変静電容量素子(122)は第1の制御電圧ノード(110)に結合され、第2の誘導素子(134)は第2の可変静電容量素子(122)および第2の制御電圧ノード(112)の間に結合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載される主題は、一般的には電子回路に関し、より詳細には、本主題の実施形態は、電圧制御発振器ならびに関連する回路トポロジおよびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
電圧制御発振器(VCO)は、印加電圧(または制御電圧)に応答して所望の周波数で振動する発振信号を生成するのに一般的に使用される。例えば、位相ロックループ(PLL)は、特定の振動周波数を有する信号を生成するのにVCOを利用する場合がある。ほとんどのシステムにおいて、VCOは、所定の入力電圧範囲にわたる可能な振動周波数の範囲に対応するように設計される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2010/092491号パンフレット
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】ヘガジ イー.(HEGAZI, E.)他著、「低LC発振器位相ノイズへのフィルタリング技術(A Filtering Technique to Lower LC Oscillator Phase Noise)」、IEEEソリッドステート回路ジャーナル(IEEE Journal of Solid-State Circuits)、2001年12月、第36巻、第12号、p.1921−1930
【非特許文献2】サル ディー.(SALLE, D.)他著、「Fractional-N周波数シンセサイザを用いた完全集積型77GHzFMCWレーダー・トランスミッター(A Fully Integrated 77GHz FMCW Radar Transmitter Using a Fractional-N Frequency Synthesizer)」、第6回欧州レーダー会議議事録「Proceedings of the 6th European Radar Conference」、2009年9月30日−10月2日、p.149−152
【非特許文献3】シャナン エッチ.(SHANAN, H.)他著、「CMOS LC電圧制御発振器における低減されたフリッカ・ノイズ・アップ・コンバージョンのための技術(A Technique to Reduce Flicker Noise Up-Conversion in CMOS LC Voltage-Controlled Oscillators)」第30回欧州ソリッドステート回路会議、2004年9月21−23、p.123−126
【非特許文献4】ザン ジェー.エッチ.シー.(ZHAN, J.H.C.)他著、「低電圧高性能動作のためのMOS VOCの比較研究(A Comparative Study of MOS VCOs for Low Voltage High Performance Operation)」、低電力電気機器及び設計における国際シンポジウム議事録(Proc. Of 2004 Int. Symp. On Low Power Electronics and Design)、p.244−247
【非特許文献5】ザン ジェー.エッチ.シー.(ZHAN, J.H.C.)他著、「コモンMOS VCOトポロジの比較研究(A Comparative Study of Common MOS VCO Topologies)」、インターネット(URL:http://domino.watson.ibm.com/acas/w3www_acas.nsf/images/projects_03.04/$FILE/kornegay.pdf)
【非特許文献6】カーマン イー.(CARMAN, E.)他著、「Vバンド及びWバンドブロードバンド・モノリシック周波数拡散逓倍器(V-Band and W-Band Broad-Band, Monolithic Distributed Frequency Multipliers)」、IEEEマイクロ波および導波路通信(IEEE Microwave and Guided Wave Letters)、第2巻、第6号,1992年6月、p.253−354
【非特許文献7】ロッドウェル エム.(RODWELL, M.)他著、「超高速電気機器及び光学電気機器における能動及び非線形波動伝搬デバイス(Active and Nonlinear Wave Propagation Devices in Ultrafast Electronics and Optoelectronics)」、IEEE 議事録(Proceedings of the IEEE)、第82巻、第7号、1994年7月7日、p.1037−1059
【図面の簡単な説明】
【0005】
以下の図面と併せて考察して詳細な説明および請求項を参照することで、より完全に本主題を理解することができる。これらの図面では全般にわたり同様の参照符号は類似の要素を示している。
【図1】本発明の1つの実施形態による電圧制御発振器モジュールの概略図である。
【図2】本発明の1つの実施形態による、図1の電圧制御発振器モジュールにおいて使用するのに適した共振器構成のレイアウトの上面図である。
【図3】本発明の1つの実施形態による、図1の電圧制御発振器モジュールとともに使用するのに適した送信機システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
下記の詳細な記載は本来説明のためのものに過ぎず、本主題の実施形態またはこのような実施形態の適用および使用を限定することを意図しない。本明細書において使用される場合、「例示的な(exemplary)」という単語は、「例、事例、または説明としての役割を果たす」ことを意味する。例示として本明細書に記載される一切の実施態様は、必ずしも他の実施態様よりも好適または有利であるとは解釈されない。さらに、上記技術分野、背景技術、または以下の詳細な説明で提示される、いかなる表示または暗示された理論によっても束縛されることは意図されていない。
【0007】
本明細書において記載される主題の実施形態は、比較的低い位相雑音および/または、対象となる特定の振動周波数におけるもしくはその近くでの比較的高い出力を達成することができる電圧制御発振器(VCO)に関する。例えば、VCOが主に対象となる特定の振動周波数で動作する用途では、VCOをより広い範囲の振動周波数に対応するように設計するよりも、位相雑音を低減しかつ/または効率を向上させることが望ましい。下記により詳細に説明されるように、例示的なVCOは、発振器構成および共振器構成を含み、共振器構成は、発振器構成の出力と直流(DC)電圧(DC同調電圧または制御電圧)との間に分散される複数の可変静電容量素子(またはバラクタ)を含む。これに関連して、可変静電容量素子の端子のセットの間に無視できないインダクタンスが存在する場合、一対の可変静電容量素子は「分散されている」。換言すれば、この一対の可変静電容量素子は、無視できないインダクタンスが存在しない場合は、分散されておらず(または「集中している」)互いに電気的に並列に構成されるであろう。例示的な実施形態において、下記により詳細に説明されるように、可変静電容量素子は、上記発振周波数において無視できない長さを有する伝送線路素子を使用して分散され、可変静電容量素子間のインダクタンスによって共振器構成の線質係数(またはQ値)が向上する。結果として、上記発振周波数におけるVCOに関する位相雑音および出力が改善されることができる。
【0008】
ここで図1を参照すると、例示的な電圧制御発振器モジュール100は、限定ではなく、一対の出力ノード104、106において一対の発振信号を生成するのを促進するように構成される発振器構成102と、発振器構成102の出力ノード104、106に結合される共振器構成108とを含む。共振器構成108は、第1の制御電圧ノード110と第2の制御電圧ノード112との間の直流(DC)電圧差分に基づく可能な共振周波数の範囲からの特定の共振周波数に対して調整されることが可能であり、出力ノード104、106における発振信号の振動周波数は、共振器構成108によって提供される調整された共振周波数によって調節されるかまたは他の様態で影響を受ける。本明細書において使用される場合、「振動周波数(oscillation frequency)」、「発振周波数(oscillating frequency)」およびそれらの変形は、出力ノード104、106における発振信号の周波数を指すものとして理解されるべきである。さらに、「に対応する(corresponding to)」および類似の意味の他の単語は本明細書において、振動周波数の文脈において振動周波数と調整された共振周波数との間の関係を説明するのに使用される場合があり、振動周波数が調整された共振周波数に等しいことを暗示または他の様態で要求するものとして解釈されるべきではない。実際には、成分変動または寄生容量、インダクタンス、および/または抵抗のようなさまざまな回路レベルの効果が一般的に、振動周波数が調整された共振周波数と異なるという結果をもたらし、実際には、振動周波数と調整された共振周波数とは30〜50パーセント以上異なる場合がある。
【0009】
説明されている実施形態において、発振器構成102は、出力ノード104、106における発振信号を促進するように構成される一対の交差結合されたトランジスタ114、116を含む能動回路構成として実現される。これに関連して、出力ノード104、106における発振信号は差分発振信号の成分であり、すなわち、第1の出力ノード104における第1の発振信号と、第2の出力ノード106における第2の発振信号との間の位相差は実質的に180°に等しい。換言すれば、第1の出力ノード104における第1の発振信号は、第2の出力ノード106における第2の発振信号の論理逆である(または相補的である)。図1において説明されているように、n型トランジスタを使用する実施態様について、第1のトランジスタ114のドレイン端子および第2のトランジスタ116のゲート端子は各々第1の出力ノード104に結合され、第1のトランジスタ114のゲート端子および第2のトランジスタ116のドレイン端子は各々第2の出力ノード106に結合される。トランジスタ114、116のソース端子は共通のソースノード118において互いに結合され、それによって、トランジスタ114、116のゲート電圧およびドレイン電圧はすべて同じソース電圧に対して基準化される。例示的な実施形態において、共通のソースノード118はVCOモジュール100のためのDC接地基準電圧に結合されるかまたは他の様態でそれを受け取るように構成され、出力ノード104、106における公称DC電圧は、飽和領域においてトランジスタ114、116をバイアスするバイアス電圧として機能し、その結果として、トランジスタ114、116は交差結合構成によって上記振動周波数においてオン状態とオフ状態との間で振動することになる。なお、図1は交差結合発振器構成102のためにn型MOSFET(例えば、NMOS)を使用する実施態様を図示しているが、(例えば、交差結合発振器構成102のために、接地および電源端子を入れ替えてバイポーラ接合型トランジスタまたはPMOSトランジスタを使用して)多数の均等な回路が実施されてもよく、または交差結合発振器構成102は(例えば、NMOSおよびPMOSトランジスタの両方を使用して)相補的に実施されてもよい。
【0010】
上記のように、共振器構成108は、可能な共振周波数の範囲からの特定の共振周波数に対して調整されることが可能であり、調整共振周波数は、出力ノード104、106における発振信号の振動周波数を決定するかまたは他の様態で影響を与える。例示的な実施形態において、第1の制御電圧ノード110は第1のDC制御電圧(または同調電圧)を受け取り、第2の制御電圧ノード112は第2のDC制御電圧を受け取る。例示的な実施形態において、共振器構成108は、複数の可変静電容量素子120、122、124、126、128、130と、複数の誘導素子132,134,136,138,140,142を含むタンク回路として実現される。可変静電容量素子120,122,124,126,128,130のそれぞれのキャパシタンスは、それぞれの可変静電容量素子120,122,124,126,128,130の端子間のそれぞれのDC電圧差に基づく。このように、共振器構成108の調整共振周波数は、ノード110における第1の制御電圧とノード112における第2の制御電圧との間のDC電圧差に基づく。図2の文脈において下記により詳細に説明されるように、例示的な実施形態において、各可変静電容量素子120,122,124,126,128,130は、電気的に互いに並列に構成される1つまたは複数のバラクタを含むバラクタ構成として実現される。
【0011】
図1に示されるように、各可変静電容量素子120,122,124,126,128,130は、第1の制御電圧ノード110に接続される端子(例えば、カソード端子)を有し、各可変静電容量素子120,122,124,126,128,130の反対側の端子(例えば、アノード端子)は誘導素子132,134,136,138のうちの1つを介して別の可変静電容量素子120,122,124,126,128,130の反対側の端子に結合される。例えば、例示的な実施形態において、第1の可変静電容量素子120は、第1の制御電圧ノード110に接続される第1の端子(例えば、カソード端子)と、第1の出力ノード104に接続される第2の端子(例えば、アノード端子)を有し、それによって、第1の可変静電容量素子120は、ノード104、110の間で電気的に直列であり、第2の可変静電容量素子122は、その第1の端子(例えば、そのカソード端子)が第1の制御電圧ノード110に接続されるとともに、その第2の端子(例えば、そのアノード端子)が別のノード150に接続され、それによって、第2の可変静電容量素子122は、ノード110、150の間で電気的に直列である。第1の誘導素子132は、第1の出力ノード104とノード150との間に直列に接続され、第1の出力ノード104における発振信号の発振周波数においてノード104、150の間で無視できないインダクタンスを提供する。第1の誘導素子132のインダクタンスは結果として、第1の出力ノード104とノード150との間に無視できない交流(AC)電圧差分をもたらす。例示的な実施形態において、ノード104、150の間のAC電圧差は、第1の出力ノード104における発振信号の振幅の約5パーセントよりも大きい。同様に、第3の可変静電容量素子124は、その第1の端子が第1の制御電圧110に接続されるとともに、その第2の端子が別のノード152に接続され、第2の誘導素子134はノード150、152の間に直列に結合され、上記振動周波数においてノード150、152の間で無視できないインダクタンス(および、それによる無視できないAC電圧差)を提供する。同様に、第4の可変静電容量素子126は、その第1の端子が第1の制御電圧ノード110に接続されるとともに、その第2の端子が第2の出力ノード106に接続され、第5の可変静電容量素子128は、その第1の端子が第1の制御電圧ノード110に接続されるとともに、その第2の端子がノード154に接続され、第6の可変静電容量素子130は、その第1の端子が第1の制御電圧ノード110に接続されるとともに、その第2の端子がノード156に接続され、第3の誘導素子136はノード106、154の間に直列に結合されて第2の出力ノード106とノード154との間にインダクタンスを提供し、第4の誘導素子138はノード154、156の間に直列に結合されて、ノード154とノード156との間にインダクタンスを提供する。
【0012】
説明されている実施形態において、第5の誘導素子140は、第2の制御電圧ノード112と、ノード152において第3の可変静電容量素子124の第2の端子との間に直列に結合され、第6の誘導素子142は、第2の制御電圧ノード112と、ノード156において第6の可変静電容量素子130の第2の端子との間に直列に結合される。例示的な実施形態において、誘導素子132,134,136,138,140,142の各々は、マイクロストリップ線路または別の導体素子のような伝送線路素子として実現され、これは、当該伝送線路素子内の発振信号の波長に対して無視できない長さを有し、無視できないインダクタンスを提供する。これに関連して、マイクロストリップ線路の場合、マイクロストリップ線路の長さは、当該マイクロストリップ線路と接地平面との間の誘電体媒質内の発振信号の波長に対して無視できない。1つまたは複数の実施形態によると、誘導素子132,134,136,138の各々は、伝送線路素子(例えば、マイクロストリップ線路)として実現され、これは、当該伝送線路素子内の発振信号の波長の約百分の一以上の長さを有する。伝送線路素子132,134,136,138の長さは、当該伝送線路素子132,134,136,138にわたる無視できないAC電圧降下をもたらすインダクタンスを提供する。伝送線路素子132,134,136,138にわたるAC電圧降下によって、上側の可変静電容量素子124、130(すなわち、第2の制御電圧ノード112に最も近い可変静電容量素子)へ/から流れる電流は可変静電容量素子122、128へ/から流れる電流よりも小さく、後者の電流は、出力ノード104,106に結合される下側の可変静電容量素子120、126へ/から流れる電流よりも小さい。結果として、共振器構成108内の抵抗損が、集中した可変静電容量素子を有する(例えば、隣接する可変静電容量素子が第1の制御電圧ノード110とそれぞれの出力ノード104、106の間で事実上並列になっている)従来の共振器と比較して低減され、それによって線質係数(またはQ値)が改善され、共振器構成108の位相雑音が低減する。
【0013】
なお図1を参照すると、可変静電容量素子120,122,124,126,128,130のキャパシタンス、および、それによる共振器構成108によって提供される共振周波数を制御するためにノード110における第1の制御電圧(または同調電圧)とノード112における第2の制御電圧(または同調電圧)との間のDC電圧差が可変静電容量素子120,122,124,126,128,130の両端に印加される。例示的な実施形態において、制御電圧ノード110、112における可能な制御電圧の範囲に対する、可変静電容量素子120,122,124,126,128,130よって提供されることができる可能なキャパシタンスの範囲、および誘導素子132,134,136,138,140,142のインダクタンスは、共振周波数108のための可能な共振周波数の所望の範囲を提供するように選択される。例えば、1つの実施形態によれば、誘導素子132,134,136,138,140,142は約80ピコヘンリー(pH)〜約100pHの範囲内の合計実効インダクタンスを提供し、可変静電容量素子は、約35GHz〜約45GHzの範囲内のVCOモジュール100のための可能な振動周波数の範囲を提供するために、約−2.5ボルト〜約2.5ボルトの制御電圧差分に対して約26フェムトファラッド(fF)〜約128fFの範囲内のキャパシタンスを有するように設計される。
【0014】
図1は、説明を目的とし記述を容易にするための、VCOモジュール100の簡略化された表現であり、図1は本主題の用途または範囲を限定するようには決して意図されていないことが理解されるべきである。従って、図1は回路素子および/または端子間の直接電気接続を図示しているが、代替的な実施形態は、実質的に同様に機能しながら、介在する回路素子および/または構成要素を採用してもよい。さらに、図1は、共振器構成108を発振器構成102の出力ノード104、106に接続されているものとして図示しているが、他の実施形態においては、その全体が参照により本明細書に援用される、本出願の譲受人に譲受される、「電圧制御発振器および関連システム(VOLTAGE−CONTROLLED OSCILLATORS AND RELATED SYSTEMS)」と題する、2011年3月18日に出願された米国特許出願第13/051,611号明細書に記載されているように、共振器構成108が発振器構成102に容量結合されてもよい。
【0015】
ここで、図2を参照すると、図1のVCOモジュール100内で共振器構成108として使用するのに適した例示的な共振器構成200は、限定ではなく、複数の可変静電容量素子202,204,206,208,210,212と、複数の伝送線路素子220,222,224,226,228,230とを含む。上記のように、第1のセットの可変静電容量素子202、204、206は各々第1の制御電圧ノード240に(例えば、第1の制御電圧ノード110に)結合され、可変静電容量素子202、204、206は、外部回路(例えば、発振器構成102の第1の出力ノード104)に結合されるように構成されるノード244と、第2の制御電圧ノード242(例えば、第2の制御電圧ノード112)との間に分散される。同様に、第2のセットの可変静電容量素子208、210、212は各々第1の制御電圧ノード240に結合され、可変静電容量素子208、210、212は、外部回路に(例えば、発振器構成102の第2の出力ノード106に)結合されるように構成される第2のノード246と、第2の制御電圧ノード242との間に分散される。
【0016】
例示的な実施形態において、可変静電容量素子202,204,206,208,210,212の各々は、互いに電気的に並列に構成される1つまたは複数のバラクタを含むバラクタ構成として実現される。例えば、第1の可変静電容量素子202(例えば、第1の可変静電容量素子120)は、基板201(例えば、半導体基板、回路基板、または別の適切な電子基板)を覆って形成される1つまたは複数のMOSバラクタを含むことができ、1つまたは複数のバラクタのカソード端子(複数の場合もあり)は第1の制御電圧ノード240に結合され、このカソード端子は(例えば、第1の可変静電容量素子202を覆って形成される金属層内の)金属配線または別の導体素子として実現されることができる。同様に、第2の可変静電容量素子204(例えば、第2の可変静電容量素子122)は、第1の制御電圧ノード240に結合されるカソード端子(複数の場合もあり)を有する、基板201を覆う1つまたは複数のMOSバラクタを含む。第1の伝送線路素子220(例えば、第1の誘導素子132)は、第1の可変静電容量素子202のバラクタ(複数の場合もあり)のアノード端子(複数の場合もあり)と、第2の可変静電容量素子204のバラクタ(複数の場合もあり)のアノード端子(複数の場合もあり)との間に接続される。図2に示されるように、第1の可変静電容量素子202および第2の可変静電容量素子204は、当該第1の可変静電容量素子202と第2の可変静電容量素子204との間の第1の伝送線路素子220の長さ250に対応する距離をおいて分散または他の様態で離間される。第1の伝送線路素子220の長さ250は、第1の可変静電容量素子202のアノード端子(複数の場合もあり)と第2の可変静電容量素子204のアノード端子(複数の場合もあり)との間に無視できないAC電圧降下を成すインダクタンスを提供するために、ノード244に結合される外部回路によって生成され、かつ第1の伝送線路素子220内を伝搬する信号の周波数において無視できない。例示的な実施形態において、第1の可変静電容量素子202と第2の可変静電容量素子204との間の第1の伝送線路素子220の長さ250は、ノード244における発振信号の波長の百分の一よりも大きい。例えば、1つの実施形態において、ノード244における信号は、40GHzの周波数で発振し、第1の伝送線路素子220の長さ250は約40ミクロン(μm)以上である。
【0017】
同様に、第2の可変静電容量素子204および第3の可変静電容量素子206は、当該第2の可変静電容量素子204と第3の可変静電容量素子206との間に結合される第2の伝送線路素子222の長さ252に対応する距離をおいて分散または他の様態で離間され、第2の伝送線路素子222の長さ252は、上記振動周波数において第2の可変静電容量素子204のアノード端子(複数の場合もあり)と第3の可変静電容量素子206のアノード端子(複数の場合もあり)との間の無視できないAC電圧降下を提供する。同様に、第4の可変静電容量素子208および第5の可変静電容量素子210は、当該第4の可変静電容量素子208と第5の可変静電容量素子210との間に結合される第3の伝送線路素子226の長さ254に対応する距離をおいて分散されて、ノード246における発振信号の周波数において第4の可変静電容量素子208と第5の可変静電容量素子210との間のAC電圧降下を提供し、第5の可変静電容量素子210および第6の可変静電容量素子212は、当該第5の可変静電容量素子210と第6の可変静電容量素子212との間に結合される第4の伝送線路素子228の長さ256に対応する距離をおいて分散されて、第5の可変静電容量素子210と第6の可変静電容量素子212との間のAC電圧降下を提供する。説明されている実施形態において、差動型の実施のために、共振器構成200は実質的に対称であり、それによって、第3の伝送線路素子224の長さ254は第1の伝送線路素子220の長さ250に実質的に等しく、第4の伝送線路素子226の長さ256は、第2の伝送線路素子222の長さ252に実質的に等しい。
【0018】
なお図2を参照すると、第5の伝送線路素子228(例えば、第5の誘導素子140)は第3の可変静電容量素子206と第2の制御電圧ノード242との間に結合され、第6の伝送線路素子230(例えば、第6の誘導素子142)は第6の可変静電容量素子212と第2の制御電圧ノード242との間に結合される。上記のように、伝送線路素子220,222,224,226,228,230を組み合わせた長さは、共振器構成200のために所望の共振周波数(またはその範囲)を提供するように選択される。説明されている実施形態において、各伝送線路素子220,222,224,226,228,230は、基板201を覆って形成されるマイクロストリップ線路として実現される。図2は、個別に、かつそれらの端部において隣接する伝送線路素子に接触するかまたは他の様態で接続する伝送線路素子220,222,224,226,228,230を図示しているが、実際には、伝送線路素子220,222,224,226,228,230は一体的に形成されてもよい。例えば、単一のマイクロストリップ線路がノード244とノード246との間に、当該マイクロストリップ線路の中間点が第2の制御電圧ノード242に結合されるとともに可変静電容量素子202,204,206,208,210,212が、当該可変静電容量素子202,204,206,208,210,212の間にマイクロストリップ線路の所望の長さ250,252,254,256を提供するためにマイクロストリップ線路に沿って適切な距離をおいて離間されている状態で提供されてもよい。
【0019】
図3は、図1のVCOモジュール100とともに使用するのに適した送信機システム300の例示的な実施形態を示す。図3は、説明を目的とし記述を容易にするための、送信機システムの簡略化された表現であり、図3は本主題の用途または範囲を限定するようには決して意図されていないことが理解されるべきである。これらの方針に沿って、図3の送信機システム300は、図1のVCOモジュール100を利用することができる1つの例示的なシステムに過ぎず、図1のVCOモジュール100はさまざまな異なる電気的システムにおいて利用されることができ、図1のVCOモジュール100は任意の特定のシステムにおける実施に限定されることは意図されないことが理解されよう。
【0020】
送信機システム300の説明されている実施形態は、限定ではなく、基準発振器302と、位相検出器304と、ループフィルタ306と、VCOモジュール308と、バッファ310と、分周器構成312と、周波数逓倍器314と、電力増幅器316と、バラン318と、アンテナ320とを含む。図3の説明されている実施形態において、基準発振器302、位相検出器304、ループフィルタ306、VCOモジュール308、バッファ310、および分周器構成312は、下記により詳細に説明されるように、送信機システム300の入力322に提供される入力信号に基づく所望の振動周波数を有する周波数変調発振信号を生成する位相ロックループ(PLL)として構成される。1つまたは複数の実施形態によれば、送信機システム300は、自動車レーダ用途のために構成され、VCOモジュール308は、約38GHz〜約41GHzの範囲内の振動周波数のために構成され、アンテナ320によって送信される周波数変調信号は、約76GHz〜約81GHzの範囲内の周波数を有する。図3は、説明を目的とし記述を容易にするための、送信機システム300の簡略化された表現であり、図3は本明細書に記載されている主題の用途または範囲を限定するようには決して意図されていないことが理解されるべきである。
【0021】
説明されている実施形態において、基準発振器302は例えば、水晶発振器のような、固定基準周波数を有する基準信号を生成する発振器として実現される。位相検出器304は基準発振器302および分周器構成312に結合され、当該位相検出器304は基準発振器からの基準信号を、分周器構成312からのフィードバック信号と比較して、フィードバック信号と基準信号との間の周波数および/または位相の差に基づいてエラー信号を生成する。1つの実施形態によれば、位相検出器304からのエラー信号は、パルスの持続時間に比例する、VCOモジュール308に提供される基準電圧差分の対応する増大または減少を生成する「アップ」または「ダウン」パルスを含む。ループフィルタ306は、フィードバック信号が基準信号と位相ロックするかまたは他の様態で基準信号にマッチするまで、位相検出器304からのエラー信号をフィルタリングして、基準信号とフィードバック信号との間の(例えば、周波数および/または位相の)差に基づいて変動する基準電圧差分を得るアナログフィルタである。ループフィルタ306はPLLのための支配極も提供し、それによってPLLに関する安定性が確保されることが理解されよう。バッファ310はVCOモジュール308の出力に結合され、分周器構成312および/または周波数逓倍器314から結果として生じる負荷がVCOモジュール308の振動周波数に望ましくない影響を与えることを防止する。分周器構成312は(バッファ310を介して)VCOモジュール308の出力と位相検出器304の入力との間に結合され、当該分周器構成312は、VCOモジュール308からの発振信号(複数の場合もあり)の振動周波数のごく一部に等しい周波数にあるフィードバック信号を生成または他の様態で提供するように構成され、当該ごく一部の量は送信機300の入力322において提供される入力信号に基づいて決定される。例示的な実施形態において、分周器構成312は、入力322において受信される入力信号を表す、PLLによって生成される周波数変調連続波信号をサポートまたは他の様態で実施するように構成される。これに関連して、図3には図示されていないが、実際には、当該技術分野においては明らかであろうように、分周器構成312は、変調器、傾斜波発生器、および周波数変調をサポートするように適切に構成される他の構成要素を含むことができる。
【0022】
例示的な実施形態において、VCOモジュール308は図1の文脈において上記で記載されたVCOモジュール100として実現され、ループフィルタ306からの基準電圧差分が、可変静電容量素子120,122,124,126,128,130のキャパシタンス、およびそれによる、送信機システム300によって送信されるべき周波数変調信号を表す、出力ノード104、106における差分発振信号の振動周波数を制御するために制御電圧ノード110、112に提供される。なお、他の実施形態においては、VCOモジュール100は非差動方式で利用されてもよく、かつ/または送信機システム300のためのPLLは、制御電圧ノードのうちのただ1つ(例えば、制御電圧ノード110)をループフィルタ306の出力に結合し、一方で他方の制御電圧ノード(例えば、制御電圧ノード112)を固定基準電圧に結合することによって、非差動方式で実施されてもよい。説明されている実施形態において、VCOモジュール308の出力(例えば、出力ノード104、106)は、(バッファ310を介して)周波数逓倍器314に結合され、当該周波数逓倍器は、出力ノード104、106から受信される差分発振信号の周波数を逓倍する。周波数逓倍器314の出力は電力増幅器316に提供され、当該電力増幅器は差分発振信号を増幅する。電力増幅器316の出力はバラン318の入力に提供され、当該バランは、増幅された差分発振信号を同じ発振周波数を有するシングルエンド発振信号に変換するように構成される。例示的な実施形態において、アンテナ320はバラン318の出力に結合される導体素子として実現され、バラン318から受信されるシングルエンド発振信号の周波数に対応する周波数にある電磁波を生成または他の様態で発生させるように構成される。このようにして、アンテナ320はVCOモジュール308によって提供される発振信号の発振周波数によって影響される周波数を有する電磁信号を送信または他の様態で放射し、当該周波数はこの例では、周波数逓倍器314に起因してVCOモジュール308の発振周波数の2倍に対応する。例えば、VCOモジュール308が39GHzの振動周波数を有する発振信号を生成している場合、アンテナ320は78GHzの周波数を有する周波数変調電磁信号を送信する。これに関連して、本明細書に記載の共振周波数108によって、VCOモジュール308は、上記で説明されたように、共振器構成108の線質係数を向上させるために、伝送線路132,134,136,138によって分散されている可変静電容量素子120,122,124,126,128,130によって、位相雑音が低減されかつ/または電力効率がより高くなった状態で(例えば、同じ電力入力について電力出力が増大している)、所望の振動周波数(例えば、39GHz)を有する発振信号を生成する。
【0023】
簡潔にするために、電子発振器および/またはVCO、共振器および/またはタンク回路、可変静電容量素子および/またはバラクタ、伝送線路および/またはマイクロストリップ線路、アナログ回路設計、PLL、送信機、ならびに、システムの他の機能的態様(およびシステムの個々の動作構成要素)に関連する従来の技法は、本明細書において詳細に説明されていない場合がある。さらに、本明細書に含まれるさまざまな図面において示されている接続線は、さまざまな要素間の例示的な機能的関係および/または物理結合を表すように意図されている。なお、多くの代替形態または追加の機能的関係または物理接続が本主題の一実施形態において存在してもよい。加えて、特定の専門用語は本明細書においては参照のみを目的として使用されている場合もあり、従って、限定であるようには意図されておらず、「第1の」、「第2の」といった用語、および、構造を指す他のこのような数に関する用語は文脈において明確に指示されていない限り、並びまたは順序を暗示してはいない。
【0024】
本明細書において使用される場合、「ノード」とは、任意の内部または外部の基準点、接続点、接点、信号線、導体素子などを意味し、そこに、所与の信号、論理レベル、電圧、データパターン、電流、または量が存在する。さらに、2つ以上のノードが1つの物理的要素によって実現されてもよい(また、共通のノードにおいて受信または出力されるが、2つ以上の信号が多重化、変調、または他の様態で区別されることができる)。
【0025】
上記の記載は、ともに「接続される」または「結合される」ものとして要素もしくはノードまたは特徴に言及している。本明細書において使用される場合、別途明確に述べられていない限り、「接続される」とは、1つの要素が別の要素に直接的に結び付けられている(または直接的にそれと通信する)ことを意味し、必ずしも機械的にではない。同様に、別途明確に述べられていない限り、「結合される」とは、1つの要素が別の要素に直接的にまたは間接的に結び付けられている(または直接的にもしくは間接的にそれと通信する)ことを意味し、必ずしも機械的にではない。従って、図面に示されている概略図は要素の1つの例示的な構成を図示しているが、追加の介在する要素、デバイス、特徴、または構成要素が図示される主題の実施形態において存在してもよい。
【0026】
結論として、本発明の例示的な実施形態に従って構成されるシステム、デバイス、および装置は以下のものに関する。
電圧制御発振器のための装置が提供される。例示的な電圧制御発振器は、第1の電圧を受け取る第1のノードと、第2の電圧を受け取る第2のノードと、第3のノードと、発振信号を提供するための第4のノードと、第2のノードおよび第3のノードの間に直列に結合される第1の誘導素子と、第1のノードおよび第4のノードの間に直列に結合される第1の可変静電容量素子と、第1のノードおよび第3のノードの間に直列に結合される第2の可変静電容量素子と、発振信号の振動周波数において、第3のノードおよび第4のノードの間にインダクタンスを提供する、第3のノードおよび第4のノードの間に結合される第2の誘導素子とを含む。1つの実施形態において、第2の誘導素子は、発振信号の波長に対して無視できない長さを有する導体素子または伝送線路素子である。さらなる実施形態において、導体素子の長さは発振信号の波長の百分の一よりも大きい。別の実施形態において、第2の誘導素子は、発振信号の波長の百分の一よりも大きい長さを有する伝送線路素子である。1つの実施形態において、伝送線路素子はマイクロストリップ線路である。なお別の実施形態において、第2の誘導素子は、上記振動周波数において無視できないインダクタンスを有するインダクタである。別の実施形態において、インダクタンスは、第1の可変静電容量素子と第2の可変静電容量素子との間にAC電圧差を提供するように構成される。1つの実施形態において、AC電圧差は発振信号の振幅の5パーセントよりも大きい。別の実施形態において、第1の可変静電容量素子は、そのカソード端子が第1のノードに接続されるとともにそのアノード端子が第4のノードに接続される第1のバラクタであり、第2の可変静電容量素子は、そのカソード端子が第1のノードに接続されるとともにそのアノード端子が第3のノードに接続される第2のバラクタであり、インダクタンスは第1のバラクタのアノード端子と第2のバラクタのアノード端子との間のAC電圧差を提供する。なお別の実施形態において、第1の電圧は第1のDC同調電圧であり、第2の電圧は第2のDC同調電圧であり、第1の可変静電容量素子の第1のキャパシタンスは第1のノードと第4のノードとの間の第1の電圧差に基づき、第2の可変静電容量素子の第2のキャパシタンスは第1のノードと第3のノードとの間の第2の電圧差に基づく。別の実施形態において、第1の可変静電容量素子および第2の可変静電容量素子は第3のノードと第4のノードとの間に分散される。
【0027】
1つまたは複数の実施形態によると、電圧制御発振器は、第4のノードに結合される発振器構成を含み、当該発振器構成は、発振信号の生成を促進する。1つの実施形態において、電圧制御発振器は発振器構成に結合される第5のノードと第6のノードとをさらに含み、発振器構成は第6のノードにおいて、第4のノードにおける発振信号に対して相補的である第2の発振信号の生成を促進する。第3の可変静電容量素子は第1のノードと第6のノードとの間に直列に結合され、第4の可変静電容量素子は第1のノードと第5のノードとの間に直列に結合され、第3の誘導素子は第2のノードと第5のノードとの間に直列に結合され、第4の誘導素子は第5のノードと第6のノードとの間に直列に結合されて第5のノードと第6のノードとの間に第2のインダクタンスを提供する。1つの実施形態において、電圧制御発振器は、第7のノードであって、第2の誘導素子は第4のノードおよび第7のノードの間に直列に結合される、第7のノードと、第8のノードであって、第4の誘導素子は第6のノードおよび第8のノードの間に直列に結合される、第8のノードとをさらに含む。第5の可変静電容量素子は第1のノードと第7のノードとの間に直列に結合され、第5の誘導素子は第7のノードと第3のノードとの間に直列に結合され、第6の可変静電容量素子は第1のノードと第8のノードとの間に直列に結合され、第6の誘導素子は第8のノードと第5のノードとの間に直列に結合される。1つの実施形態において、発振器構成は、第4のノードに結合されるドレイン端子、および第6のノードに結合されるゲート端子を有する第1のトランジスタと、第6のノードに結合されるドレイン端子、および第4のノードに結合されるゲート端子を有する第2のトランジスタとを含む。
【0028】
別の実施形態によれば、電圧制御発振器は、第1のDC制御電圧を受け取る第1のノードと、第2のDC制御電圧を受け取る第2のノードと、第3のノードと、発振信号を提供するための第4のノードと、第2のノードおよび第3のノードの間に結合される誘導素子と、第3のノードおよび第4のノードの間に分散される複数の可変静電容量素子とを備え、当該複数のうちの各可変静電容量素子は第1のノードに結合される第1の端子を有し、発振信号の発振周波数において一対の上記可変静電容量素子の第2の端子の間にインダクタンスが提供される。
【0029】
なお別の実施形態において、発振信号を生成するための電圧制御発振器モジュールは、出力ノードにおいて発振信号を促進する能動回路構成と、出力ノードに結合される共振器構成とを含む。共振器構成は、出力ノードおよび第1のDC同調電圧に対応する第1のノードの間に直列に結合される第1の可変静電容量素子と、第1のノードおよび第2のノードの間に直列に結合される第2の可変静電容量素子と、出力ノードおよび第2のノードの間に結合され、発振信号の発振周波数において出力ノードおよび第2のノードの間にインダクタンスを提供する第1の誘導素子と、第2のノード、および第2のDC同調電圧に対応する第3のノードの間に直列に結合される第2の誘導素子とを含む。さらなる実施形態において、能動回路構成は、第2の出力ノードにおいて発振周波数を有する第2の発振信号を促進し、共振器構成は、第2の出力ノードおよび第1のノードの間に直列に結合される第3の可変静電容量素子と、第1のノードおよび第4のノードの間に直列に結合される第4の可変静電容量素子と、第2の出力ノードおよび第4のノードの間に結合され、発振周波数において第2の出力ノードおよび第4のノードの間に第2のインダクタンスを提供する第3の誘導素子と、第2のノードおよび第3のノードの間に直列に結合される第4の誘導素子とをさらに含む。なお別の実施形態において、電圧制御発振器モジュールを含み、発振周波数によって影響される送信周波数を有する電磁信号を送信する、電圧制御発振器モジュールに結合されるアンテナをさらに含む送信機のための装置が提供される。例えば、送信周波数は発振周波数の倍数であることができる。
【0030】
前述の詳細な説明の中で少なくとも1つの例示的な実施形態を提示してきたが、膨大な数の変形形態が存在することが理解されるべきである。本明細書に記載される1つまたは複数の例示的な実施形態は、権利を請求する主題の範囲、適用性または構成を限定することを決して意図していないことも理解されるべきである。そうではなく、前述の詳細な説明は、説明された1つまたは複数の実施形態を実行するための有意義な指針を当業者に提供するものである。特許請求の範囲によって画定される範囲から逸脱することなく、既知の均等物および本願の出願時点で予見される均等物を含む、要素の機能および構成におけるさまざまな変更を行うことができることが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧制御発振器であって、
第1の電圧を受け取る第1のノードと、
第2の電圧を受け取る第2のノードと、
第3のノードと、
発振信号を提供するための第4のノードと、
前記第2のノードおよび前記第3のノードの間に結合される第1の誘導素子と、
前記第1のノードおよび前記第4のノードの間に結合される第1の可変静電容量素子と、
前記第1のノードおよび前記第3のノードの間に結合される第2の可変静電容量素子と、
前記第3のノードおよび前記第4のノードの間に結合され、前記発振信号の振動周波数において、前記第3のノードおよび前記第4のノードの間にインダクタンスを提供する、第2の誘導素子とを備える、電圧制御発振器。
【請求項2】
前記第2の誘導素子は、前記発振信号の波長に対して無視できない長さを有する導体素子を含む、請求項1に記載の電圧制御発振器。
【請求項3】
前記導体素子の前記長さは前記波長の百分の一よりも大きい、請求項2に記載の電圧制御発振器。
【請求項4】
前記第2の誘導素子は、前記発振信号の波長の百分の一よりも大きい長さを有する伝送線路素子を含む、請求項1に記載の電圧制御発振器。
【請求項5】
前記伝送線路素子はマイクロストリップ線路を含む、請求項4に記載の電圧制御発振器。
【請求項6】
前記第2の誘導素子は、前記インダクタンスを有するインダクタを含み、
前記インダクタンスは前記振動周波数において無視できない、請求項1に記載の電圧制御発振器。
【請求項7】
前記インダクタンスは、前記第1の可変静電容量素子および前記第2の可変静電容量素子の間にAC電圧差を提供するように構成される、請求項1に記載の電圧制御発振器。
【請求項8】
前記AC電圧差は前記発振信号の振幅の5パーセントよりも大きい、請求項7に記載の電圧制御発振器。
【請求項9】
前記第4のノードに結合される発振器構成をさらに備え、該発振器構成は、前記発振信号の生成を促進する、請求項1に記載の電圧制御発振器。
【請求項10】
第5のノードと、
前記発振器構成に結合される第6のノードであって、前記発振器構成は該第6のノードにおいて第2の発振信号の生成を促進し、該第2の発振信号は前記第4のノードにおける前記発振信号に対して相補的である、第6のノードと、
前記第1のノードおよび前記第6のノードの間に結合される第3の可変静電容量素子と、
前記第1のノードおよび前記第5のノードの間に結合される第4の可変静電容量素子と、
前記第2のノードおよび前記第5のノードの間に結合される第3の誘導素子と、
前記第5のノードおよび前記第6のノードの間に結合され、該第5のノードおよび該第6のノードの間に第2のインダクタンスを提供する、第4の誘導素子とをさらに備える、請求項9に記載の電圧制御発振器。
【請求項11】
第7のノードであって、前記第2の誘導素子は前記第4のノードおよび前記第7のノードの間に直列に結合される、第7のノードと、
前記第1のノードおよび前記第7のノードの間に直列に結合される第5の可変静電容量素子と、
前記第7のノードおよび前記第3のノードの間に直列に結合される第5の誘導素子と、
第8のノードであって、前記第4の誘導素子は前記第6のノードおよび前記第8のノードの間に直列に結合される、第8のノードと、
前記第1のノードおよび前記第8のノードの間に直列に結合される第6の可変静電容量素子と、
前記第8のノードおよび前記第5のノードの間に直列に結合される第6の誘導素子と
をさらに備える、請求項10に記載の電圧制御発振器。
【請求項12】
前記発振器構成は、
前記第4のノードに結合されるドレイン端子、および前記第6のノードに結合されるゲート端子を有する第1のトランジスタと、
前記第6のノードに結合されるドレイン端子、および前記第4のノードに結合されるゲート端子を有する第2のトランジスタとを備える、請求項10に記載の電圧制御発振器。
【請求項13】
前記第1の可変静電容量素子は、そのカソード端子が前記第1のノードに接続されるとともにそのアノード端子が前記第4のノードに接続される第1のバラクタを含み、
前記第2の可変静電容量素子は、そのカソード端子が前記第1のノードに接続されるとともにそのアノード端子が前記第3のノードに接続される第2のバラクタを含む、請求項1に記載の電圧制御発振器。
【請求項14】
前記インダクタンスは前記第1のバラクタの前記アノード端子と前記第2のバラクタの前記アノード端子との間にAC電圧差を提供する、請求項13に記載の電圧制御発振器。
【請求項15】
前記第1の電圧は第1のDC同調電圧であり、
前記第2の電圧は第2のDC同調電圧であり、
前記第1の可変静電容量素子の第1のキャパシタンスは前記第1のノードと前記第4のノードとの間の第1の電圧差に基づき、
前記第2の可変静電容量素子の第2のキャパシタンスは前記第1のノードと前記第3のノードとの間の第2の電圧差に基づく、請求項1に記載の電圧制御発振器。
【請求項16】
前記第1の可変静電容量素子および前記第2の可変静電容量素子は前記第3のノードと前記第4のノードとの間に分散される、請求項1に記載の電圧制御発振器。
【請求項17】
電圧制御発振器であって、
第1のDC制御電圧を受け取る第1のノードと、
第2のDC制御電圧を受け取る第2のノードと、
第3のノードと、
発振信号を提供するための第4のノードと、
前記第2のノードおよび前記第3のノードの間に結合される誘導素子と、
前記第3のノードおよび前記第4のノードの間に分散される複数の可変静電容量素子と
を備え、
前記複数のうちの各可変静電容量素子は前記第1のノードに結合される第1の端子を有し、
前記発振信号の発振周波数において一対の前記可変静電容量素子の第2の端子の間にインダクタンスが提供される、電圧制御発振器。
【請求項18】
発振信号を生成する電圧制御発振器モジュールであって、該電圧制御発振器モジュールは、
出力ノードにおいて前記発振信号を促進する能動回路構成と、
前記出力ノードに結合される共振器構成と
を備え、該共振器構成は、
前記出力ノードおよび第1のDC同調電圧に対応する第1のノードの間に結合される第1の可変静電容量素子と、
前記第1のノードおよび第2のノードの間に結合される第2の可変静電容量素子と、
前記出力ノードおよび前記第2のノードの間に結合され、前記発振信号の発振周波数において前記出力ノードおよび前記第2のノードの間にインダクタンスを提供する第1の誘導素子と、
前記第2のノード、および第2のDC同調電圧に対応する第3のノードの間に結合される第2の誘導素子と
を備える、電圧制御発振器モジュール。
【請求項19】
前記能動回路構成は、第2の出力ノードにおいて前記発振周波数を有する第2の発振信号を促進し、
前記共振器構成は、
前記第2の出力ノードおよび前記第1のノードの間に直列に結合される第3の可変静電容量素子と、
前記第1のノードおよび第4のノードの間に直列に結合される第4の可変静電容量素子と、
前記第2の出力ノードおよび前記第4のノードの間に結合され、前記発振周波数において前記第2の出力ノードおよび前記第4のノードの間に第2のインダクタンスを提供する第3の誘導素子と、
前記第2のノードおよび前記第3のノードの間に直列に結合される第4の誘導素子と
をさらに備え、
前記第1の可変静電容量素子は前記出力ノードおよび前記第1のノードの間に直列に結合され、
前記第2の可変静電容量素子は前記第1のノードおよび前記第2のノードの間に直列に結合される、請求項18に記載の電圧制御発振器モジュール。
【請求項20】
請求項19に記載の電圧制御発振器モジュールを含む送信機であって、前記発振周波数によって影響される周波数を有する電磁信号を送信する、前記電圧制御発振器モジュールに結合されるアンテナをさらに備える、送信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−81160(P2013−81160A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−190037(P2012−190037)
【出願日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【出願人】(504199127)フリースケール セミコンダクター インコーポレイテッド (806)
【Fターム(参考)】