説明

電圧制御装置

【課題】入力される多相交流の電圧を昇圧して、高電圧を安定的に供給できる電圧制御装置を提供する。
【解決手段】電圧制御装置10は、三相交流電圧のゼロクロス点を測定するゼロクロス検出手段20と、ゼロクロス点を検出した、例えばT相と、T相と同極性のR相との相間の導通を指示する電圧調整手段50と、電圧調整手段50からの指示により各相間を導通させる相間導通手段80とを備えている。電圧調整手段50は、相間導通を、ゼロクロス点から開始したり、ゼロクロス点から位相角をシフトさせた位置から開始したりして、相間導通期間の開始時間、期間幅、シフト量とを、電圧測定手段30により測定された電圧を監視しながらPID制御にて決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多相交流の電圧制御を行う電圧制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多相交流の電圧制御の方法としては、様々であるが、従来の電圧制御装置の一例として、特許文献1に記載されたものが知られている。
この特許文献1には、電圧のゼロクロス点を検出すると、ゼロクロス点に同期して交流スイッチを導通させて負荷に電力を供給して、負荷電流実効値積分回路の出力を増加させ、その値が第1の閾値以上となると、交流スイッチをオフ状態とし、その後積分値が、第2の閾値以下になると、電力供給を再開する交流発電機の出力電力のサイクル制御装置が記載されている。
また、この特許文献1には、発電機の出力電圧を検出し、この出力電圧が予め定めた基準電圧以下であれば導通指令の出力を停止して、交流スイッチをオフ状態とするようにしてもよいことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−199399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1では、交流スイッチとして、一対のサイリスタを逆並列接続したものを使用しており、単に電力の供給を導通または遮断しているだけの調整回路であるため、発電機からの出力を低下させる範囲で電圧を調整するしかなく、負荷に対して出力電圧を更に高めて供給するようなものではない。従って、入力される多相交流の電圧を昇圧して、高電圧を安定的に供給できる電圧制御装置が望まれている。
【0005】
そこで本発明は、入力される多相交流の電圧を昇圧して、高電圧を安定的に供給できる電圧制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電圧制御装置は、多相交流電圧のゼロクロス点を測定するゼロクロス検出手段と、前記ゼロクロス検出手段がゼロクロス点を検出した一の相を基準相とし、該一の相と同極性の他の相を被導通相として、基準相と被導通相との相間の導通を指示する電圧調整手段と、前記電圧調整手段からの指示により各相間を導通させる相間導通手段とを備えたことを特徴とする。
本発明では、電圧調整手段が、基準相と被導通相との相間導通を相間導通手段に指示することにより、基準相と被導通相との合計電圧を出力させることができる。
【0007】
前記電圧調整手段は、前記相間導通手段による相間の導通を、基準相のゼロクロス点から被導通相が基準相と同極性であるまでの期間内で、基準相のゼロクロス点から開始したり、また、前記相間導通手段による相間の導通を、基準相のゼロクロス点から位相角をシフトさせた位置から開始したりすることができる。そうすることで、負荷への電圧が不足するときに、相間を導通させ所望とする電圧に昇圧させることができる。
【0008】
また、多相交流が整流された電圧を測定する電圧測定手段を備え、前記電圧調整手段は、前記電圧測定手段からの測定電圧と、設定された指示電圧とに基づいて相間導通する期間をPID制御(比例制御(Proportional Control)、積分制御(Integral Control)、微分制御(Derivative Control))により決定することにより、安定した高電圧を負荷へ供給することができる。
【0009】
前記相間導通手段は、相間をMOSトランジスタにより導通させるものであり、前記電圧調整手段は、前記MOSトランジスタのゲートへ相間の導通をスイッチ信号として指示するものとすると、簡易な回路構成で相間導通を図ることができるので、小型化が可能であり、コスト抑制を図ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、被導通相が基準相と同極性である期間内で、基準相と被導通相との合計電圧を出力させることができるので、入力される多相交流の電圧を昇圧して、高電圧を安定的に供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係る電圧制御装置の構成を示す図である。
【図2】図1に示す電圧制御装置の相間導通手段の一例を示す図であり、(A)はRS間を導通させるためのスイッチ回路を示す図、(B)はST間を導通させるためのスイッチ回路を示す図、(C)はRT間を導通させるためのスイッチ回路を示す図である。
【図3】図1に示す電圧制御装置の電圧調整手段の電圧制御方法を説明するためのフローチャートである。
【図4】(A)および(B)は、相間導通のデューティ比の調整を説明するための波形図である。
【図5】相間導通の位相角の調整を説明するための波形図であり、(A)は相間導通期間が基準相のゼロクロス点から被導通相が基準相と同極性であるまでの期間内とした場合を示す波形図、(B)は相間導通期間が被導通相のゼロクロス点を超えて位相角をシフトした場合を示す波形図である。
【図6】PID制御する電圧調整手段を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態に係る電圧制御装置を図面に基づいて説明する。図1に示すように、本実施の形態では、発電機Gからの三相交流を、整流器RCを介して負荷Lに供給する場合を説明する。
電圧制御装置10は、ゼロクロス検出手段20と、電圧測定手段30と、回転測定手段40と、電圧調整手段50と、相間導通手段60と、操作盤70とを備えている。
【0013】
ゼロクロス検出手段20は、三相のうちT相の交流が0Vを通過する時を示すゼロクロス点を検出して電圧調整手段50へ通知するものである。本実施の形態では、T相のゼロクロス点を検知しているが、R相でも、またはS相でも、更に三相全てのゼロクロス点を検出するようにしてもよい。ゼロクロス検出手段20は、交流電圧をAD変換によりデジタルデータに変換することで、コンピュータに動作させたプログラムによりゼロクロス点を検出することができる。
【0014】
電圧測定手段30は、三相交流が整流器RCにより整流された直流の電圧を測定するものである。この電圧測定手段30は、AD変換器を使用することができ、デジタルデータとして電圧調整手段50へ出力される。
回転測定手段40は、発電機Gのロータの回転角度、速度を測定するためのタイミング信号を電圧調整手段50へ通知する機能を有している。本実施の形態では、回転測定手段40として、ロータリーエンコーダを使用しており、タイミング信号としてはカウンタ値が出力される。
【0015】
電圧調整手段50は、電圧測定手段30からの測定された電圧と、操作盤70から入力された設定電圧とに基づいてPID制御を行うことで、相間導通手段60による相間を導通する期間(以下、これを相間導通期間と称す。)を演算して電圧調整するものである。この導通制御は、コンピュータに電圧制御プログラムを動作させることで機能させている。なお、本実施の形態では、電圧調整手段50とゼロクロス検出手段20とは別ブロックとしているが、ゼロクロス検出手段20のAD変換器からのデジタルデータが0Vを示すものであるか否かを、電圧調整手段50にて動作させる電圧制御プログラム内で判断させてゼロクロス点を検出するようにして、ゼロクロス検出手段20の検出機能部分と、電圧調整手段50とを一体的に構成してもよい。
【0016】
相間導通手段60は、電圧調整手段50からの指示により、R相とS相、S相とT相、T相とR相のそれぞれを個別に導通させる機能を有する。相間導通手段60は例えば、図2に示す回路とすることができる。
【0017】
ここで、相間導通手段60の一例について図2に基づいて説明する。
図2(A)〜同図(C)に示すスイッチ手段61は、3つの同じスイッチ回路61により構成されている。図2(A)はR相とS相とを導通させるものであり、図2(B)はS相とT相とを導通させるものであり、図2(C)はR相とT相とを導通させるものである。このように図2(A)〜(C)は同じであるため、図2(A)のみを説明する。
【0018】
スイッチ回路61は、R相に接続される端子T1がnMOSトランジスタN1のドレイン(D)に接続されている。nMOSトランジスタN1のソース(S)は、nMOSトランジスタN2のドレイン(D)に接続されている。nMOSトランジスタN2のソース(S)は、S相に接続される端子T2に接続されている。nMOSトランジスタN1,N2のゲート(G)は電圧調整手段50の相間導通の指示(スイッチ信号)を出力する端子に接続されている。このスイッチ信号によりnMOSトランジスタN1,N2はオンしたりオフしたりする。
【0019】
更に、スイッチ回路61は、端子T1,T2のそれぞれに、並列接続された抵抗RおよびダイオードD1と、この抵抗RおよびダイオードD1に直列接続されたコンデンサCとを備えている。2つのコンデンサCの接続点は、nMOSトランジスタN1のソースとnMOSトラジスタN2のドレインとの接続点に接続され、発電機Gのフレームグランドと接続されている。これらの抵抗R,コンデンサC,ダイオードD1によりスパイク性のノイズを除去する。
【0020】
図1に戻って、操作盤70は、電圧調整手段50に設定電圧を入力する際に使用されるもので、キーボートと表示盤とから形成されている。
発電機Gは、それぞれの位相が120°(2π/3)ずつずれた三相交流を発電する永久磁石式発電機である。なお、この発電機Gはランデル型発電機でも使用することができる。界磁整流器RCは、三相交流を全波整流して直流を出力する三相ブリッジ整流器である。
【0021】
以上のように構成された本発明の実施の形態に係る電圧制御装置10の動作および使用状態について、図面に基づいて説明する。なお、操作盤70により予め希望電圧値(指令電圧)が入力されているものとする。
【0022】
まず、電圧調整手段50は、回転測定手段40からのタイミング信号により発電機Gの回転数を算出して、回転数が所定以上となったか否かを判定する(ステップS10)。
ステップS10にて発電機Gの回転数が所定以上であれば、ゼロクロス検出手段20はT相の電圧値を読み込み、ゼロクロス点か否かを判定する(ステップS20)。ゼロクロス点でなければステップS50へ移行する。
【0023】
ステップS20にてT相の電圧値を監視したときにゼロクロス点であった場合、電圧調整手段50は、ゼロクロス点が検出されてからの時間を回転測定手段40のカウンタ値により計測するために、カウンタ値をリセットする(ステップS30)。また、ステップS20にてゼロクロス点が検出されたので、ゼロクロス検出手段20によるゼロクロス点の検出を停止してステップS50へ移行する(ステップS40)。
ステップS10にて発電機Gの回転数が所定未満であれば、相間導通手段60を非作動状態(開放状態)とする(ステップS70)。そして、ステップS50へ移行する。
【0024】
ステップS50では、回転測定手段40のカウンタ値の読み込みを開始する。次に、電圧調整手段50は、電圧測定手段30から電圧値を読み込む(ステップS80)
【0025】
次に、電圧調整手段50は相間導通期間を算出するための演算を行う。ここで、相間導通期間について、図4から図6に基づいて説明する。
まず、ゼロクロス点からの導通であるが、図4(A)に示すように、例えば、T相を基準相とすると、このT相と同極性の他の相であるS相が被導通相となる。T相とS相とが同極性となる期間内で導通させる。つまり、T相がプラス電圧となるゼロクロス点P1からS相がプラス電圧からマイナス電圧となるまでのゼロクロス点P2までの間の期間内でST間を導通させる。同様にして、S相がマイナス電圧となるゼロクロス点P2からR相がマイナス電圧からプラス電圧となるまでのゼロクロス点P3までの間の期間内でRS間を導通させる。また、R相がプラス電圧となるゼロクロス点P3からT相がプラス電圧からマイナス電圧となるまでのゼロクロス点P4までの間の期間内でRT間を導通させる。
【0026】
次のサイクルでは、T相がマイナス電圧となるゼロクロス点P4からS相がマイナス電圧からプラス電圧となるまでのゼロクロス点P5までの間の期間でST間を導通させる。また、S相がプラス電圧となるゼロクロス点P5からR相がプラス電圧からマイナス電圧となるまでのゼロクロス点P6までの間の期間内でRS間を導通させる。更に、R相がマイナス電圧となるゼロクロス点P6からT相がマイナス電圧からプラス電圧となるまでのゼロクロス点P7までの間の期間内でRT間を導通させる。
このように、電圧調整手段50は、まず、同極性の状態の相間を導通させることで、一方の相の電圧と他方の相の電圧が加算されて、整流器RCに出力されるので、あたかも発電機Gから高電圧が出力されたような状態となる。
【0027】
この相間導通は、一回の導通が1サイクルに対して最大16.67%の期間(デューティ比)となる。これは、最大導通期間を超えると、次の相間導通のタイミングと重なってしまうためである。従って、一回の導通で最大で16.67%以下に抑える必要がある。しかし、理論上は、相間導通の最大導通期間を、ゼロクロス点から開始して16.67%となるまでの間に設定することができるが、実際は相間導通するための時間の遅延などを考慮すると、デューティ比を短くするのが望ましい。
【0028】
従って、図4(B)に示すように、本実施の形態では、最大導通期間(第1の閾値)を、余裕を持たせるために1サイクルあたり約12%(最大デューティ比)としている。なお、この最大デューティ比は、電圧制御装置10の回路構成、電圧調整手段50として機能するプログラム構成、負荷Lの条件などにより適宜調整することができる。
【0029】
この最大デューティ比で昇圧の度合いが不足するときには、電圧制御装置10は、デューティ比の調整の他に、相間導通期間の幅を維持したまま位相角をシフトさせる。この位相角のシフトについて、図5に基づいて説明する。
図5(A)に示すように、相間導通期間をゼロクロス点P1〜P6から遅延させる。相間導通期間を遅延させるときには、RS間、ST間、RT間の各相間の導通のタイミングを同様にシフトする。そうすることで、図5(B)に示すように、相間導通期間が次のゼロクロス点を超えても、他の相間導通のタイミングと重なってしまうことはない。従って、電圧制御装置10は昇圧の度合いに応じて相間導通期間の位相角のシフトを決定することができる。
このように相間導通期間の位相角をシフトさせることで、一方の相の電圧と他方の相の電圧が加算されるので、整流器RCに高電圧を出力することができる。
【0030】
このようにデューティ比と位相角との調整を行う電圧調整手段50の制御方法について、図6に基づいて説明する。まず、電圧調整手段50は、測定電圧を指令電圧に近づけるための出力電圧を算出する。電圧調整手段50は、出力電圧値をPID制御により演算している。
【0031】
電圧調整手段50では、操作盤70により設定された指令電圧V1から電圧測定手段30により測定された測定電圧V2を減算器51により減算する。そして、指令電圧V1と測定電圧V2との差分から演算部52によるPID制御により出力電圧値を算出する。そして、リミッタ53は、この出力電圧値が上限値または下限値を超えている場合には、出力電圧値を上限値または下限値とする。そして、リミッタ53から出力電圧Voとして出力される。
このように出力電圧Voを指令電圧V1に近づけるために測定電圧V2を負帰還させてPID制御することで、電圧の調整幅の少ない制御を行うことができるので安定した高電圧を負荷Lに供給することができる。
【0032】
このように出力電圧Voが算出されると、電圧調整手段50はこの出力電圧Voに応じてデューティ比の決定と位相角の決定を行う。例えば、指示電圧V1が250Vで、測定電圧V2が150Vであった場合には、電圧調整手段50は差分の100Vを昇圧するためにPID制御により、測定電圧V2をフィードバックすることで上昇する電圧を監視しながら、相間導通期間となるデューティ比と、相間導通期間をずらす位相角のシフト量とを決定していく(ステップS90)。
なお、相間導通期間は、ゼロクロス点から相間導通するデューティ比による調整と、位相角のシフトにより位相角による調整とがあるが、デューティ比による調整だけ所望とする電圧(指示電圧V2)が確保できれば、位相角による調整は行わなくてもよいし、同時に調整するようにしてもよい。
【0033】
次に、電圧調整手段50は、ステップS50にて読み込んだ回転測定手段40からのタイミング信号によりT相の半周期タイミングを判定する(ステップS100)。ステップS100にてT相の半周期のタイミングであった場合には、60°ごとにゼロクロス点が発生するR相とS相とのタイミングを算出して、それぞれのゼロクロス点を算出する(ステップS110)。これにより相間導通手段60に相間導通させるタイミングの基準となる各相のゼロクロス点がわかる。なお、回転測定手段40からのタイミング信号によりT相の半周期タイミングが判定できないときには、各ゼロクロス点の算出ができないためステップS130へ移行する。
【0034】
次に、ステップS90にて算出した相間導通期間のデューティ比と相間導通期間をずらす位相角のシフトとから、相間導通を開始する実時間(相間導通開始時間)と、相間導通を終了する実時間(相間導通終了時間)とを算出することで、デューティ量と位相角量を決める(ステップS120)。
次に、ステップS50にて読み込まれたカウンタ値によりゼロクロス点からの経過時間が判るので、ステップS120にて算出された相間導通開始時間と、相間導通終了時間とから、現在が、相間導通期間中であるか否かを判定する(ステップS130)。相間導通期間中でなければ、電圧調整手段50は、スイッチ回路61(図2参照)への導通解除の指示を示すスイッチ信号のオフを出力してステップS10へ戻る(ステップS140)。
【0035】
ステップS130にて、相間導通期間内との判定であれば、電圧調整手段50は、導通させる相間に対応する相間導通手段60のスイッチ回路61へ導通の指示(スイッチ信号のオン)を出力する(ステップS150)。
この電圧調整手段50のスイッチ信号のオンにより、図2に示すスイッチ回路61はnMOSトランジスタN1,N2がオンとなることで、端子T1,T2間に電流が流れる。
【0036】
例えば、端子T1に接続された一方の相が、端子T2に接続された他方の相より電圧が高ければ、端子T1からnMOSトラジスタN1,N2を介して端子T2へ電流が流れ、端子T2に接続された他方の相が、端子T1に接続された一方の相より電圧が高ければ、端子T2からnMOSトラジスタN2,N1を介して端子T1へ電流が流れる。このように、MOSトランジスタは対称型素子であるため、ゲートへ導通を指示するスイッチ信号を出力することで、ドレイン、ソースのいずれの電圧が高くても、ドレイン−ソース間を導通状態とすることができる。
【0037】
このようにしてスイッチ回路61により相間が導通する。スイッチ回路61をMOSトランジスタにより構成したことにより、簡易な回路構成で相間導通を図ることができるので、小型化が可能であり、コスト抑制を図ることができる。
なお、本実施の形態では、スイッチ回路61にノイズ除去用の回路(ダイオードD1,抵抗R,コンデンサC)を設けているが、省略することも可能である。その場合には、nMOSトラジスタN1,N2はいずれか一方のみを設けていればよい。
相間導通をさせた後は、ステップS10へ移行して、これらの処理を繰り返す。
【0038】
このように、本実施の形態に係る電圧制御装置によれば、ゼロクロス点から相間を導通したり(デューティ比による調整)、ゼロクロス点から相間導通させるタイミングをシフトしたり(位相角による調整)して、導通した2相の加算された電圧を負荷Lに出力することで、負荷Lに高電圧を安定的に供給することができる。
【0039】
以上、本発明の実施の形態では、三相交流を例に説明したが、一の相と他の相とが同極性となる期間に導通させることができる多相交流であれば、本発明を適用して負荷に昇圧した電圧を供給することができる。
また、本実施の形態では、発電機Gからの三相交流を昇圧する例を説明したが、発生源は他のものでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の電圧制御装置は、多相交流が使用されるものであれば適用できる。特に、本発明の電圧制御装置は、施設に設置したり、冷凍・冷蔵車に搭載したりするのに好適である。
【符号の説明】
【0041】
10 電圧制御装置
20 ゼロクロス検出手段
30 電圧測定手段
40 回転測定手段
50 電圧調整手段
51 減算器
52 演算部
53 リミッタ
60 相間導通手段
61 スイッチ回路
D1 ダイオード
N1,N2 nMOSトラジスタ
T1,T2 端子
R 抵抗
C コンデンサ
70 操作盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多相交流電圧のゼロクロス点を測定するゼロクロス検出手段と、
前記ゼロクロス検出手段がゼロクロス点を検出した一の相を基準相とし、該一の相と同極性の他の相を被導通相として、基準相と被導通相との相間の導通を指示する電圧調整手段と、
前記電圧調整手段からの指示により各相間を導通させる相間導通手段とを備えたことを特徴とする電圧制御装置。
【請求項2】
前記電圧調整手段は、前記相間導通手段による相間の導通を、基準相のゼロクロス点から被導通相が基準相と同極性であるまでの期間内で、基準相のゼロクロス点から開始する請求項1記載の電圧制御装置。
【請求項3】
前記電圧調整手段は、前記相間導通手段による相間の導通を、基準相のゼロクロス点から位相角をシフトさせた位置から開始する請求項1または2記載の電圧制御装置。
【請求項4】
多相交流が整流された電圧を測定する電圧測定手段を備え、
前記電圧調整手段は、前記電圧測定手段からの測定電圧と、設定された指示電圧とに基づいて相間導通する期間をPID制御により決定する請求項1から3のいずれかの項に記載の電圧制御装置。
【請求項5】
前記相間導通手段は、相間をMOSトランジスタにより導通させるものであり、
前記電圧調整手段は、前記MOSトランジスタのゲートへ相間導通をスイッチ信号として指示するものである請求項1から4のいずれかの項に記載の電圧制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−182873(P2012−182873A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42452(P2011−42452)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(511053850)BEETECH株式会社 (1)
【Fターム(参考)】