説明

電子カメラ

【課題】 撮影後にユーザに大きな負担をかけることなく、且つ、撮影時の露出条件に拘らずに、十分な流し撮り効果が得られる電子カメラを提供する
【解決手段】 本発明の電子カメラは、連続撮影により複数の画像データを生成する撮像部と、動き検出部と、流し撮り効果付与部とを有する。動き検出部は、少なくともいずれかの画像データを比較対象として用いることで、比較対象の画像データよりも撮影時刻が後の画像データが示す画像中の被写体の動き情報を取得する。流し撮り効果付与部は、動き情報に基づいて、画像データが示す画像における主要被写体と背景とを判別し、背景のブレ量を増大させる画像処理を前記画像データに施すことで、修正画像データを生成する。従って、撮影時の露出条件に拘らずに、且つ、撮影後にユーザに操作を要求することなく、流し撮り効果のある画像を自動的に作成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子カメラに関し、特に、流し撮りに関する。
【背景技術】
【0002】
電子カメラを使用して流し撮りを行う場合、通常、主要被写体の動いている方向に合わせて撮影者が電子カメラを振りながら撮影することになる。そのようにすれば、撮像画像における主要被写体以外の部分では、電子カメラを振った方向に隣接する画素間の差分が小さくなり、主要被写体の躍動感を演出できる(以下、流し撮り効果という)。流し撮りの際のシャッタースピードは、通常、躍動感を出すために一般撮影の場合より遅くされる。実際にどの程度のシャッタースピードが適切であるかは、主要被写体の運動速度により様々である。従って、十分な流し撮り効果が得られるように設定することは、熟練していないユーザにとっては容易ではなかった。
【0003】
そこで、特許文献1は、十分な流し撮り効果が得られるシャッタースピードTを自動設定している。具体的には、センサにより検出されるカメラの角速度と、焦点距離との積により、フィルム面上における背景の流れ速度Vを求めている。そして、『希望する背景の流れ量L』を『背景の流れ速度V』で割った値を『シャッタースピードT』としている。この場合、主要被写体に対する背景の流れ量は一定になるので、常に決まった流し撮り効果が得られる。
【特許文献1】特開平5−232562号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の発明は、上述のように優れた作用効果を有している。しかし、実際の流し撮り撮影では、シャッタースピード等の露出条件に制約がかかる場合が想定される。例えば、周囲が明るいために、シャッタースピードを十分に遅くできないことが考えられる。従って、撮影時の露出条件に拘らずに十分な流し撮り効果を得る方法が望まれていた。
なお、撮影後において、ユーザ自身が撮像画像に画像処理を施すことにより、流し撮り効果を得る方法もある。この方法は、撮像画像において主要被写体と背景とを分離する作業と、背景においてのみ隣接画素間の差分を小さくする作業とが必要になる。このような作業は、熟練していないユーザにとっては必ずしも容易ではなく、作業負担が大きい。
【0005】
本発明の目的は、撮影後にユーザに大きな負担をかけることなく、且つ、撮影時の露出条件に拘らずに、十分な流し撮り効果が得られる電子カメラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の電子カメラは、撮像部と、動き検出部と、流し撮り効果付与部とを備えたことを特徴とする。撮像部は、連続撮影により複数の画像データを生成する。動き検出部は、少なくともいずれかの画像データを比較対象として用いることで、比較対象の画像データよりも撮影時刻が後の画像データが示す画像中の被写体の動き情報を取得する。流し撮り効果付与部は、動き情報に基づいて、画像データが示す画像における主要被写体と背景とを判別し、背景のブレ量を増大させる画像処理を画像データに施すことで、修正画像データを生成する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の電子カメラにおいて、以下の点を特徴とする。即ち、動き情報の取得に際して、動き検出部は、取得対象の画像データと比較して撮影時刻が前であると共に画素数が同じ画像データから、取得対象の画像データと撮影時刻が最も近いものを選択し、選択した画像データと、取得対象の画像データとを比較する。
請求項3の発明は、請求項1の電子カメラにおいて、以下の点を特徴とする。即ち、動き情報の取得に際して、動き検出部は、取得対象の画像データよりも撮影時刻が前である複数の画像データ同士を比較する。
【0008】
請求項4の電子カメラは、測光部と、撮像部と、動き検出部と、流し撮り効果付与部とを備えたことを特徴とする。測光部は、撮影時に、露出条件を設定するための画像信号を生成する。撮像部は、被写体を撮像して画像データを生成する。動き検出部は、画像信号が示す画像に基づいて、画像データが示す画像中の被写体の動き情報を取得する。流し撮り効果付与部は、動き情報に基づいて、画像データが示す画像における主要被写体と背景とを判別し、背景のブレ量を増大させる画像処理を画像データに施すことで、修正画像データを生成する。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかの電子カメラにおいて、動き情報により示される動き量が多いほど背景のブレ量が多くなるように、流し撮り効果付与部が前記画像処理を施すことを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1〜請求項5のいずれかの電子カメラにおいて、以下の点を特徴とする。第1に、前記画像処理は、特定の方向に隣接する画素間の差分を小さくするものである。第2に、流し撮り効果付与部は、前記特定の方向を、動き情報により示される被写体の移動方向に合わせる。
【0010】
請求項7の発明は、請求項1〜請求項6のいずれかの電子カメラにおいて、以下の点を特徴とする。第1に、撮影時における電子カメラの手振れを検出する手振れ検出部を有する。第2に、流し撮り効果付与部は、検出された手振れに基づいて動き情報を補正し、補正後の動き情報に基づいて、修正画像データを生成する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一形態では、動き検出部は、連続撮影により生成された画像データの少なくともいずれかを比較対象として用い、比較対象の画像データよりも撮影時刻が後の画像データに対し動き情報を取得する。そして、流し撮り効果付与部は、動き情報に基づいて主要被写体と背景とを判別し、背景のブレ量を増大させる画像処理を施す。従って、撮影時の露出条件に拘らずに、且つ、撮影後にユーザに操作を要求することなく、流し撮り効果のある画像を自動的に作成できる。
【0012】
本発明の別の一形態では、動き検出部は、測光部により露出条件の設定用に生成された画像信号が示す画像に基づいて、撮像部により生成された画像データに対し動き情報を取得する。そして、上述と同様に背景のブレ量を増大させる画像処理が施されるので、上述と同様の効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態における電子カメラ8のブロック図である。第1の実施形態は、請求項1、請求項2、請求項5〜請求項7に対応する。図に示すように、電子カメラ8は、撮影レンズ12と、シャッタ16と、撮像素子20と、アナログ信号処理部24と、画像用A/D変換部26と、条件設定用A/D変換部28と、焦点検出部30と、タイミングジェネレータ32と、シャッタ駆動部36と、MPU(Micro Processor Unit)40と、角速度検出部44と、操作部46と、システムバス48と、画像処理部52と、メモリ56と、記録部64と、交換可能な記録媒体68と、モニタ制御部72と、液晶モニタ76とを有している。なお、シャッタ16に代えて、撮像素子20の駆動制御により電荷蓄積時間を変更する、いわゆる電子シャッターを用いるものであっても、両者を併用するものであってもよい。
【0014】
MPU40は、電子カメラ8のシステム制御を行う。撮影レンズ12は、レンズ群82と、移動したレンズの位置を検出するエンコーダ84と、透過光量を調節する絞り86と、レンズ群82や絞り86を駆動する駆動モータ88と、レンズCPU90とを有している。レンズ群82は、ピントを合わせるための合焦用レンズ、画角調節用に移動可能なズーム用レンズ、手振れ補正用のレンズを有している。
【0015】
操作部46は、露出条件や撮影モード等を設定するための釦群や、レリーズ釦、電源釦等を有している(図示せず)。撮像素子20は、連写撮影時には、一定の時間間隔(フレームレート)で電荷の蓄積及び排出を繰り返し、1画像分の画素信号を連続的に出力する。本実施形態の主な特徴は、静止画用に撮像した各画像に対して動きベクトルを算出し、画像処理によって、動きベクトルの算出対象となった画像に流し撮り効果を電子カメラ8が自動的に付与することである。以下、この動きベクトルについて説明する。
【0016】
図2は、撮像素子20の露光のタイミングを示し、どの時点で撮影された画像を用いて動きベクトルを算出するかを示す説明図である。時間軸に対する目盛りが太線で示された時刻(t0、t3、t6、t9)には、全有効画素の画素信号が読み出され、画像用A/D変換部26から静止画用の画像データが出力される。時間軸に対する目盛りが細線で示さた時刻(t1、t2、t4、t5、t7、t8、t10)には、間引き読み出しによる画像データが生成され、この画像データは、焦点制御や露出条件の設定に用いられる。t0〜t10の撮影間隔は全て同じであり、この間隔は撮像素子20のフレームレートに相当する。
【0017】
第1の実施形態では、静止画用に読み出された画像データの内、撮影時刻が最も直前になるものと比較して、動きベクトルを算出する。例えば、時刻t3に撮影された画像と、時刻t6に撮影された画像とを比較して、時刻t6に撮影された画像に対する動きベクトルを算出する。なお、図2では、静止画用に1画像分を読み出した後、2画像を間引き読み出しているが、これは一例であり、連写間隔(静止画用の画像の撮像間隔)は任意に設定可能である。
【0018】
図3は、動きベクトルの算出方法、及び流し撮り効果を付与する画像処理の説明図である。図3(a)は、図2の時刻t3に撮影された静止画用の画像であり、この例では、画像の中央に写っている走者が主要被写体である。図3(b)は、図2の時刻t6に撮影された静止画用の画像である。説明の簡単化のため、連写撮影時において主要被写体の進行方向に電子カメラ8を振る操作が適切に行われ、連写撮影により生成された各画像内における主要被写体の位置は、殆ど変わらないとする。また、シャッタースピードが速く、図3(a)、(b)のように元の画像では流し撮り効果が十分ではないとする。
【0019】
本実施形態では一例として、公知のブロックマッチング法により動きベクトルを算出する。これにはまず、動きベクトルの算出対象となる画像を多数のブロックに分割する。各ブロックのサイズは例えば、縦方向及び横方向の画素数が4〜16である。そして、動きベクトルの算出対象となる各ブロックとの差分が最も少ない画像領域(前記ブロックと縦横のサイズは同じ)を、比較対象となる画像の中からそれぞれ抽出する。ここでの『差分が少ない』とは、例えばブロック内の各画素同士で色を比較した場合に殆ど変わらないことである。
【0020】
次に、算出対象の各ブロックと、そのブロックに対して抽出された画像領域とで、画像内における位置を比較することで動きベクトルを決定する。即ち、抽出された画像領域の画像内位置を起点とし、算出対象のブロックの画像内位置を終点とするベクトルを、動きベクトルとする。
図3(c)は、時刻t6に撮影された画像(図3(b))における、任意の一ブロックに着目した図である。図3(d)は、時刻t3に撮影された画像(図3(a))において、図3(c)のブロックとの差分が最も少ない画像領域である。そして、図3(c)、(d)を比較することで、図3(c)のブロックに対する動きベクトルは、図3(c)内の矢印に示すようになる。
【0021】
なお、図から分かるように、この例での主要被写体は水平方向に右に移動中と考えられるが、動きベクトルの方向は、主要被写体の進行方向とは反対になる。また、主要被写体に対応するブロックでは動きベクトルの大きさ(スカラー量、図3(c)の矢印の長さに相当)は小さくなり、主要被写体以外の部分(背景)では、動きベクトルの大きさは大きくなる。即ち、動きベクトルの大きさは、被写体の移動量(または移動速度)を示す。本実施形態では、動きベクトルの大きさの違いに基づいて画像中のどの領域が主要被写体に対応するかを判別し、背景に対して流し撮り効果を付与する。
【0022】
次に、流し撮り効果を付与する画像処理について説明する。本実施形態では一例として、移動平均フィルタにより、その画像処理を行う。具体的には、ある画素の画素値は、動きベクトルの方向に隣接する画素の画素値と平均される。図3(e)は、動きベクトルが示す方向が水平に右方向であり、5点移動平均フィルタを用いる場合の処理方法を示す。図に黒く塗り潰した画素の画素値は、それに水平方向右側に位置する4つの画素(図では斜線で示した画素)の画素値と平均される。
【0023】
本実施形態では、背景と認識された全ての画素に対してこのような処理を行い、流し撮り効果を付与する。なお、実際には動きベクトルの方向、即ち、流し撮りの際に撮影者が電子カメラ8を振る方向は、水平方向または垂直方向になるとは限らない。従って、動きベクトルの方向がどの方向であっても、移動平均する方向(移動平均の際に平均に用いられる複数の画素を繋ぐ方向)は、動きベクトルの方向に合わせる。
【0024】
そして、動きベクトルの大きさが大きいほど、平均する画素数を多くして、流し撮り効果を大きくする。これは、動きベクトルの大きさは、撮影時にカメラを振った速さ、即ち、主要被写体の進行速度に比例するので、主要被写体の動きが速いほど流し撮り効果を大きくするのが自然だからである。図3(f)は、時刻t6に撮影された画像(図3(b))の背景に対してのみ、移動平均フィルタを施した修正画像の一例である。
【0025】
図4は、電子カメラ8の動作を示す流れ図である。以下、図に示すステップ番号に従って、電子カメラ8の動作を説明する。
[ステップS1]電子カメラ8の電源釦がオンされると、電源オン処理が行われる。この後、ユーザは、操作部46の釦群を操作して、露出条件や撮影モードなどを設定する。ここでは、電子カメラ8が流し撮り用の撮影モードに設定されるものとする。なお、実際には公知の他の撮影モードに設定される場合もあるが、それらは本願には関係がないので、説明を省略する。
【0026】
[ステップS2]撮像素子20は、露光されて電荷の蓄積及び排出を繰り返し、画像信号を所定のフレームレートで連続的に出力する。これら画像信号は、アナログ信号処理部24によりクランプ処理や感度補正処理が施された後、画像用A/D変換部26及び条件設定用A/D変換部28に連続的に入力される。画像用A/D変換部26は、A/D変換により動画用の画像データを連続的に生成する。この画像データは、カラープロセス処理等が画像処理部52により施された後、液晶モニタ76に動画表示される。動画表示は、レリーズ釦が全押しされるまで継続される。
【0027】
また、条件設定用A/D変換部28は、入力される画像信号をA/D変換して、画素数が間引きされた画像データを生成し、焦点検出部30及びMPU40に順次入力する。MPU40は、この画像データに基づいて露出条件等を設定し、焦点検出部30は、この画像データからコントラスト値を求め、MPU40に伝達する。MPU40及びレンズCPU90は、コントラスト値が最大となるように撮影レンズ12の焦点制御を行う。
【0028】
[ステップS3]レリーズ釦が全押しされると、それに同期して、設定された露出条件で公知の連写撮影が行われて、一定の時間間隔で静止画用の画像データが画像用A/D変換部26から出力される。この画像データは、画像処理部52によりホワイトバランス調整、色補間処理が施された後、メモリ56に記憶される。また、連写の間隔が撮像素子20のフレームレートよりも長く設定されている場合、図2に示したように、静止画用の画像の撮影間隔に、条件設定用A/D変換部28から間引き読み出しされた画像データが出力される。
【0029】
同時に、角速度検出部44は、水平方向及び垂直方向の電子カメラ8の振れ(手振れ)を角速度としてそれぞれ検出し、それをMPU40に入力する。なお、本明細書での手振れは、撮影者の意図に反して撮影の瞬間に電子カメラ8がブレてしまうものと、流し撮りの際に撮影者が電子カメラ8を意図的に振ったものの両方を含むものとする。本実施形態では流し撮り撮影を想定しているので、ここでの角速度は主に後者を示し、電子カメラ8をどの方向にどれだけの速さで振ったかが検出される。また、ここでの水平方向及び垂直方向は、互いに直交し、撮像素子20の受光面に平行な方向とする。
【0030】
[ステップS4]MPU40は、レリーズ釦の押圧が解除されたか否かを随時判定する。解除されない場合、連写撮影を続けさせ、解除された場合、ステップS5に進む。
[ステップS5]MPU40は、レリーズ釦の押圧の解除に同期して、連写撮影を終了させる。
[ステップS6]MPU40は、メモリ56に記憶された静止画用の画像データを読み出し、読み出した各々に対して、ブロック毎の動きベクトルを前述の手順で算出する。
【0031】
なお、動きベクトルの算出の際に比較する画像データは、静止画用の画像データの内、撮影時刻が最も直前のものであるため、連写の始めに撮影されたものは、比較すべき静止画用の画像データがない。従って、連写の始めに撮影されたものは、連写開始前、且つ、最後に撮影されたスルー画用の画像データと比較する。その際、連写の始めに撮影された画像データは、比較するものと同じ画素数になるように解像度(画素数)を低減する。動きベクトルは、移動方向と、移動量とに分けて、ブロック毎にデジタルデータとしてメモリ56に一旦記憶される。
【0032】
[ステップS7]MPU40は、静止画用の各画像データに対して、主要被写体を写しているブロックと、それ以外(背景)を写しているブロックとを判別する。具体的には例えば、動きベクトルの大きさが所定値以下であるブロックを主要被写体のブロックとする。ここでの所定値は例えば、全ブロックの動きベクトルの大きさの平均値に基づいて決定すればよい。
【0033】
次に、MPU40は、連写撮影時に角速度検出部44が検出した2方向の角速度に基づいて、背景に対応するブロックの動きベクトルを補正する。即ち、背景に対応する各ブロックの動きベクトルの方向は、本来、連写期間中において撮影者が電子カメラ8を振った方向と同じになると考えられる。しかし実際には、主要被写体が移動時に光源の一部を遮った等の様々な原因により、ブロックによっては両者の方向が大きく異なるものが生じると考えられる。そこで本実施形態では、それを補正する。
【0034】
具体的には、2方向の角速度により与えられる方向を、『流し撮り方向』とする。そして、流し撮り方向と、背景の各ブロックの動きベクトルが示す方向とを比較し、大きく異なるブロックに対しては、動きベクトルのデータを削除する。或いは、流し撮り方向と大きく異なる動きベクトルは、その周囲の数ブロックの動きベクトルを平均したものに修正してもよい。
【0035】
[ステップS8]画像処理部52は、MPU40の指令に従って、連写により生成された静止画用の画像データに対して、背景のブロックのみに前述したように移動平均を施すことにより、修正画像データを作成する。ここで、移動平均を施す方向は、例えば、背景の全ブロックの動きベクトルの方向の平均、或いは、最も頻度の多い方向にすればよい。また、背景のブロックの動きベクトルの大きさ(の平均値)が大きいほど、移動平均の際に平均に用いる画素数を多くする。
【0036】
[ステップS9]修正画像データは、画像処理部52によりガンマ補正、輪郭強調、圧縮等が施された後、記録部64を介して記録媒体68に記録される。なお、修正画像データと共に、修正前の静止画用の画像データも共に記録してもよい。以上が本実施形態の動作説明である。
このように第1の実施形態では、連写撮影の直後に、静止画用の各画像データに対してブロック毎に動きベクトルを求め、動きベクトルの大きさの違いに基づいて、主要被写体と背景とを判別する。そして、動きベクトルに基づいて、背景のブロックに対して移動平均を施し、流し撮り効果を付与する。従って、シャッタースピードを十分に遅くできなくても、即ち、露出条件に拘らずに、且つ、撮影後のユーザの操作を要求することなく、流し撮り効果のある画像を自動的に作成できる。
【0037】
また、移動平均を施す方向は動きベクトルの方向に合わせ、動きベクトルの大きさが大きいほど、移動平均の際に平均に用いる画素数を多くする。従って、主要被写体の進行方向及び進行速度に合った躍動感のある画像が得られる。
さらに、角速度検出部44が検出した角速度により与えられる流し撮り方向と比較して、方向が大きく異なる動きベクトルは、削除または修正する。このため、様々な原因によって一部のブロックの動きベクトルの方向が流し撮り方向と大きく異なっても、そのようなブロックの動きベクトルは、移動平均する方向の決定には反映されない。従って、移動平均した方向と、撮影時に電子カメラ8を振った方向とが異なって違和感が生じることはない。
【0038】
以下、第1の実施形態の補足事項を説明する。
第1の実施形態では、背景のブロックのみに移動平均を施す例を述べたが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。主要被写体には、背景よりも弱めの移動平均を施して、さらに速度感を演出してもよい(後述の第3の実施形態についても同様)。
また、撮影時刻が前になる1つの画像データとの比較により動きベクトルを算出する例を述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。算出対象の画像データと、撮影時刻がその前になる複数の画像データとを比較することで動きベクトルを算出してもよい(後述の第2の実施形態についても同様)。
【0039】
また、静止画用の画像データの内、撮影時刻が最も直前のものと比較することで動きベクトルを算出する例を述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。例えば、図2において、時刻t4、t5に間引き読み出しされた2つの画像データを比較することで、時刻t6の静止画用の画像データに対する動きベクトルを算出してもよい(後述の第2の実施形態についても同様)。即ち、動きベクトルは、算出対象の画像データの前になる2つの画像データ同士を比較することで求めてもよい。この場合、第1の実施形態は、請求項1、請求項3、請求項5〜請求項7に対応する。
【0040】
或いは、静止画用に読み出された画像データか、間引き読み出しがされた画像データかに拘らず、撮影時刻が直前になる画像データと比較して動きベクトルを算出してもよい(後述の第2の実施形態についても同様)。即ち、図2では、時刻t6の画像データに対する動きベクトルは、時刻t5の画像データ(画素数が間引かれたもの)と比較して求める。この場合、時刻t6の画像データを、時刻t5の画像データと同じ画素数になるように低解像度に変換する処理が必要になる。
【0041】
第1の実施形態では、動きベクトルに基づいて主要被写体と背景とを判別する例を述べたが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。例えば、液晶モニタ76をタッチパネル式のもので構成し、レリーズ前にスルー画表示がされているときに、液晶モニタ76上でユーザに主要被写体を選択させてもよい。即ち、液晶モニタ76上でタッチされた領域の輪郭と色とを、主要被写体として画像的に記憶する。そして、記憶した画像に基づいて画像データにおける主要被写体のブロックを判別し、さらに動きベクトルを算出後、動きベクトルの方向及び大きさに合わせて移動平均を施せばよい。
【0042】
なお、図4のステップS6〜S9の処理は、パーソナルコンピュータなどの編集装置で行うものであってもよい。この場合、編集装置には、ステップS6〜S9を実行するプログラムがインストールされ、入力された画像データに対してステップS6〜S9の処理が実行される。この際、編集装置には必要に応じて、角速度検出部44が検出した角速度情報が入力される。
【0043】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態を説明する。第1の実施形態との主な違いは、第2の実施形態では修正画像データを作成せず、元の画像データと、それに対して求めた動きベクトルとを1つのファイルにして記録することである。従って、電子カメラの構成は第1の実施形態と同様なので、図1に相当するブロック図等の重複する説明は省略する。
【0044】
図5は、第2の実施形態における電子カメラ8の動作を示す流れ図であり、図中のステップS21〜S27の処理は、第1の実施形態のステップS1〜S7とそれぞれ同様である。従って、ステップS28のみを説明する。
[ステップS28]画像処理部52は、連写により生成された静止画用の全画像データに対して、ガンマ補正、輪郭強調、圧縮等を施す。この後、記録部64は、MPU40の指令に従って、静止画用の画像データと、その画像データに対して算出された全ブロックの動きベクトルとが含まれた1ファイルを作成する。
【0045】
各ブロックの動きベクトルは、例えばファイルのヘッダに含めればよい。ここで、動きベクトルが示す情報は、移動方向と移動量である。従って、ブロックの位置と、そのブロックの動きベクトルが示す移動方向と、移動量とが対応付けられてファイルが作成される。なお、記録される動きベクトルは、ステップS27での補正後であり、全ブロックに対して存在するとは限らない。記録部64は、このようなファイルを静止画用の全画像データに対して作成し、それらを記録媒体68に記録する。即ち、記録部64は、動きベクトルと、その算出対象となった静止画用の画像データとが含まれる1ファイルを生成するファイル生成部として機能する。
【0046】
このように第2の実施形態では、連写により生成された各画像データは、ブロック毎の動きベクトルが添付された1ファイルとして記録される。従って、記録媒体68を介してそのファイルをコンピュータ等の画像処理装置に転送後、適切な画像処理を施せば、流し撮り効果のある画像が得られる。従って、撮像画像に対し、事後的な画像処理により流し撮り効果を付与すれば、撮影時の露出条件に拘らずに流し撮り効果のある画像が得られる。
【0047】
そして、流し撮り効果を付与する画像処理は、動きベクトルに基づいて行えば簡単にできるので、手間はかからない。なぜなら、例えば第1の実施形態と同様に、動きベクトルの大きさが所定値以上のブロックを背景とみなし、背景のブロックに対して、最も頻度が多い動きベクトルの方向に移動平均を施すだけでよいからである。即ち、従来は、撮影後の画像処理により流し撮り効果を付与する場合、画像中の被写体の動き情報がなかったので手間を要したが、第2の実施形態では動き情報があるので、撮影後においてユーザに大きな処理負担が要求されることはない。
【0048】
さらに、流し撮り効果を付与する前の元の画像データを記録して残すので、流し撮り効果の大きい修正画像、流し撮り効果の小さい修正画像等、用途に応じた修正画像データを適宜作成できる。
なお、第2の実施形態では、ステップS28で作成したファイルを記録媒体68に記録したが、記録媒体68に記録しないでもよい。その場合、作成したファイルは例えば、無線により電子カメラ8から離れたコンピュータに伝送後、そのコンピュータにおいて流し撮り効果を付与する画像処理を行い、修正画像データを作成すればよい(後述の第4の実施形態についても同様)。
【0049】
さらに、第1及び第2の実施形態の両方を適用することも可能である。即ち、第1の実施形態のステップS9において更に、ステップS28で述べた手順より、修正前の画像データに動きベクトルを添付した1ファイルを作成する。そして、修正前の画像データに動きベクトルが添付されたファイルと、修正画像データのファイルの両方を記録する。この場合、第1及び第2の実施形態の両方の効果が得られる。
【0050】
なお、図5のステップS26〜S28の処理は、パーソナルコンピュータなどの編集装置で行うものであってもよい。この場合、編集装置には、ステップS26〜S28を実行するプログラムがインストールされ、入力された画像データに対してステップS26〜S28の処理が実行される。この際、編集装置には必要に応じて、角速度検出部44が検出した角速度情報が入力される。
【0051】
<第3の実施形態>
次に、請求項4〜請求項7に対応する第3の実施形態を説明する。第1及び第2の実施形態ではコンパクトタイプの電子カメラでの連写撮影を想定して説明したが、第3の実施形態では、一眼レフタイプの電子カメラでの単写撮影を想定して説明する。第3の実施形態では、ペンタプリズムやファインダ等からなる観察光学系があるのでスルー画表示は行われず、測光部の出力に基づいて動きベクトルを算出する。なお、前述の図1で説明した要素と実質的に同一機能の要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0052】
図6は、第3の実施形態における電子カメラのブロック図である。図に示すように、電子カメラ100は、撮影レンズ12と、観察光学系120と、クイックリターンミラー124と、シャッタ16と、撮像素子20と、アナログ信号処理部24と、A/D変換部128と、タイミングジェネレータ32と、システムバス48と、MPU136と、シャッタ駆動部36と、焦点検出部140と、測光部144と、測色部148と、角速度検出部44と、操作部46と、画像処理部52と、メモリ56と、記録部64と、記録媒体68と、モニタ制御部72と、液晶モニタ76とを有している。
【0053】
撮影レンズ12は、レンズ群82と、エンコーダ84と、絞り86と、駆動モータ88と、レンズCPU90とを有している。測光部144は、格子状に配列された例えば1000個以上の測光素子を有し、これら測光素子が光電変換により生成する画像信号をMPU136に入力する。なお、各測光素子の受光面上には、3原色のいずれかのカラーフィルタが例えばベイヤー配列されている。従って、測光素子から出力される画像信号に基づいて、カラーの画像データが生成可能である。MPU136は、電子カメラ100のシステム制御を行う。
【0054】
図7は、第3の実施形態の電子カメラ100の動作を示す流れ図である。以下、図中のステップ番号に従って、第3の実施形態の電子カメラ100の動作を説明する。なお、第3の実施形態においても、撮影者が流し撮りを行うものとして説明する。
[ステップS41]第1の実施形態のステップS1と同様の処理が行われる。
[ステップS42]測光部144の各測光素子は、露光され、一定の時間間隔で電荷の蓄積及び排出を繰り返し、画像信号を連続的に出力する。この画像信号は、色補間等が施された後、カラーの画像データに変換される。MPU136は、このカラーの画像データに基づいて露出条件を設定する。
【0055】
また、測色部148は、撮影光源の色温度を検出し、MPU136に伝達する。MPU136は、この色温度に基づいて、ホワイトバランス調整の条件を決定する。さらに、焦点検出部140、MPU136、レンズCPU90、及び駆動モータ88は、公知の位相差方式の焦点検出動作により、選択されているフォーカスエリアの被写体にピントを合わせる。
【0056】
[ステップS43]レリーズ釦が全押しされると、それに同期して、設定された露出条件で撮像素子20が露光され、公知の動作により静止画用の画像データがA/D変換部128から出力される。このとき、測光部144は、継続して画像信号を生成し、MPU136に入力する。静止画用の画像データは、画像処理部52によりホワイトバランス調整、色補間処理が施された後、メモリ56に記憶される。また、レリーズ釦の全押しのタイミングの前後において、角速度検出部44は、水平方向及び垂直方向の電子カメラ100の振れを角速度としてそれぞれ検出し、それをMPU136に入力する。
【0057】
[ステップS44]MPU136は、静止画用の画像データに対するブロック毎の動きベクトルを、測光部144からの画像信号により得られる複数の画像データ同士を比較して算出する。ここで、動きベクトルの算出に際しては、例えば以下のタイミングで生成された画像信号を用いればよい。撮像素子20の露光と同じ時刻に測光素子が露光されたことにより測光部144が出力した画像信号と、その直前に測光部144が出力した画像信号とを用いる。或いは、撮像素子20の露光の直前に測光素子が露光されたことにより測光部144が出力した2つの画像信号を用いる。
【0058】
[ステップS45]MPU136は、静止画用の画像データにおいて、主要被写体を写しているブロックと、背景を写しているブロックとを判別する。この判別は、第1の実施形態と同様に動きベクトルに基づいて行われる。そして、MPU136は、角速度検出部44が検出した2方向の角速度に基づいて、背景に対応するブロックの動きベクトルを第1の実施形態と同様に補正する。
【0059】
[ステップS46]画像処理部52は、MPU136の指令に従って、静止画用の画像データに対して第1の実施形態と同様に背景のブロックに移動平均を施し、修正画像データを作成する。
[ステップS47]修正画像データは、画像処理部52によりガンマ補正、輪郭強調、圧縮等が施された後、記録部64を介して記録媒体68に記録される。なお、修正画像データと共に、修正前の静止画用の画像データも共に記録してもよい。以上が第3の実施形態の動作説明である。このように第3の実施形態では、撮像素子20の露光により生成される画像データではなく、測光部144の出力から得られる画像データに基づいて動きベクトルを算出するが、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0060】
<第4の実施形態>
次に、第4の実施形態を説明する。第3の実施形態との主な違いは、第4の実施形態では修正画像データを作成せず、元の画像データと、それに対して求めた動きベクトルとを1つのファイルにして記録することである。従って、電子カメラの構成は第3の実施形態と同様なので、図6に相当するブロック図等の重複する説明は省略する。
【0061】
図8は、第4の実施形態の電子カメラの動作を示す流れ図であり、図中のステップS61〜S65の処理は、第3の実施形態のステップS41〜S45とそれぞれ同様である。従って、ステップS66のみを説明する。
[ステップS66]画像処理部52は、静止画用の画像データに対して、ガンマ補正、輪郭強調、圧縮等を施す。この後、記録部64は、MPU136の指令に従って、静止画用の画像データ(移動平均による修正は施されていない)と、それに対して算出された全ブロックの動きベクトルとが含まれた1ファイルを作成する。ここでのファイルの作成方法は、第2の実施形態のステップS28と同様である。このように第4の実施形態では、測光部144の出力から得られる画像データに基づいて動きベクトルを算出するが、第2の実施形態と同様の効果が得られる。
【0062】
なお、第1及び第2の実施形態の場合と同様に、第3及び第4の実施形態の両方を適用することも可能である。即ち、第3の実施形態のステップS47において更に、ステップS66と同様に修正前の画像データに動きベクトルを添付したファイルを作成する。そして、修正前の画像データに動きベクトルが添付されたファイルと、修正画像データのファイルの両方を記録する。
【0063】
<本発明の補足事項>
第1及び第2の実施形態は、コンパクトタイプの電子カメラ8での連写撮影として説明したが、第3及び第4の実施形態のように単写撮影としても実行可能である。また、第3及び第4の実施形態は、一眼レフタイプの電子カメラ100での単写撮影として説明したが、第1及び第2の実施形態のように連写撮影としても実行可能である。また、以上に開示した『動きベクトルを算出し、それに基づいて撮像画像に自動的に流し撮り効果を付与する技術思想』、及び『動きベクトルが添付されたファイルを作成する技術思想』は、流し撮り以外の撮影形態にも適用可能である。
【0064】
請求項と実施形態との対応関係は、例えば以下の通りである。
請求項記載の撮像部は、シャッタ16、撮像素子20、アナログ信号処理部24、画像用A/D変換部26(またはA/D変換部128)、タイミングジェネレータ32、シャッタ駆動部36と、これらに画像データを生成させるMPU40(136)の機能とに対応する。
【0065】
請求項記載の動き情報は、動きベクトルに対応する。
請求項記載の動き検出部は、動きベクトルを算出するMPU40(136)の機能に対応する。
請求項記載の流し撮り効果付与部は、動きベクトルに基づいて背景のブロックと主要被写体のブロックとを判別するMPU40(136)の機能と、背景のブロックに移動平均を施す画像処理部52の機能と対応する。
【0066】
請求項記載のブレ検出部は、撮影時における電子カメラ8(100)のブレを2方向の角速度として検出する角速度検出部44の機能に対応する。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上詳述したように本発明は、電子カメラの分野において大いに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1の実施形態における電子カメラのブロック図である。
【図2】撮像素子の露光のタイミングを示し、どの時点で撮影された画像を用いて動きベクトルを算出するかを示す説明図である。
【図3】動きベクトルの算出方法、及び流し撮り効果を付与する方法の説明図である。
【図4】第1の実施形態における電子カメラの動作を示す流れ図である。
【図5】第2の実施形態における電子カメラの動作を示す流れ図である。
【図6】本発明の第3の実施形態における電子カメラのブロック図である。
【図7】第3の実施形態における電子カメラの動作を示す流れ図である。
【図8】第4の実施形態における電子カメラの動作を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0069】
8 電子カメラ
12 撮影レンズ
16 シャッタ
20 撮像素子
24 アナログ信号処理部
26 画像用A/D変換部
28 条件設定用A/D変換部
30 焦点検出部
32 タイミングジェネレータ
36 シャッタ駆動部
40 MPU
44 角速度検出部
46 操作部
48 システムバス
52 画像処理部
56 メモリ
64 記録部
68 記録媒体
72 モニタ制御部
76 液晶モニタ
82 レンズ群
84 エンコーダ
86 絞り
88 駆動モータ
90 レンズCPU
100 電子カメラ
120 観察光学系
124 クイックリターンミラー
128 A/D変換部
136 MPU
140 焦点検出部
144 測光部
148 測色部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続撮影により複数の画像データを生成する撮像部と、
少なくともいずれかの前記画像データを比較対象として用いることで、比較対象の前記画像データよりも撮影時刻が後の前記画像データが示す画像中の被写体の動き情報を取得する動き検出部と、
前記動き情報に基づいて、前記画像データが示す画像における主要被写体と背景とを判別し、背景のブレ量を増大させる画像処理を前記画像データに施すことで、修正画像データを生成する流し撮り効果付与部と
を備えたことを特徴とする電子カメラ。
【請求項2】
請求項1記載の電子カメラにおいて、
前記動き情報の取得に際して、前記動き検出部は、取得対象の前記画像データと比較して撮影時刻が前であると共に画素数が同じ前記画像データから、取得対象の前記画像データと撮影時刻が最も近いものを選択し、選択した前記画像データと、取得対象の前記画像データとを比較する
ことを特徴とする電子カメラ。
【請求項3】
請求項1記載の電子カメラにおいて、
前記動き情報の取得に際して、前記動き検出部は、取得対象の前記画像データよりも撮影時刻が前である複数の前記画像データ同士を比較する
ことを特徴とする電子カメラ。
【請求項4】
撮影時に、露出条件を設定するための画像信号を生成する測光部と、
被写体を撮像して画像データを生成する撮像部と、
前記画像信号が示す画像に基づいて、前記画像データが示す画像中の前記被写体の動き情報を取得する動き検出部と、
前記動き情報に基づいて、前記画像データが示す画像における主要被写体と背景とを判別し、背景のブレ量を増大させる画像処理を前記画像データに施すことで、修正画像データを生成する流し撮り効果付与部と
を備えたことを特徴とする電子カメラ。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電子カメラにおいて、
前記流し撮り効果付与部は、前記動き情報により示される動き量が多いほど背景のブレ量が多くなるように、前記画像処理を施す
ことを特徴とする電子カメラ。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の電子カメラにおいて、
前記画像処理は、特定の方向に隣接する画素間の差分を小さくするものであり、
前記流し撮り効果付与部は、前記特定の方向を、前記動き情報により示される被写体の移動方向に合わせる
ことを特徴とする電子カメラ。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1項記載の電子カメラにおいて、
撮影時における電子カメラの手振れを検出する手振れ検出部を有し、
前記流し撮り効果付与部は、検出された手振れに基づいて前記動き情報を補正し、補正後の前記動き情報に基づいて、前記修正画像データを生成する
ことを特徴とする電子カメラ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−80844(P2006−80844A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−262157(P2004−262157)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】