説明

電子カメラ

【課題】 本発明は、複数の画像エンジンを用いた場合の消費電力を抑制できる電子カメラを提供する。
【解決手段】 電子カメラは、撮像部と、複数のデータ処理部と、複数のメモリと、切替部とを備える。撮像部は、被写体の像を撮像し、画像を生成する。データ処理部は、画像やシステム情報のデータ処理を行う。メモリは、複数のデータ処理部毎にそれぞれが接続され、データ処理用に分類した分類データを記録する。切替部は、分類データ毎に設定された属性情報に応じて、分類データの記録先のメモリを切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像データを画像処理するための画像エンジンを複数搭載した画像処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。上記の画像処理装置では、2つの画像エンジンにより画像処理を並列処理することで処理速度の向上が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−227519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数の画像エンジンには、画像処理用にメモリが各々接続されている。複数の画像エンジンは、例えば、画像データを画像処理するための画像処理用のデータを各々のメモリに振り分ける。ここで、画像処理を行う際、複数の画像エンジンが画像エンジン間で画像処理用のデータの転送処理をする場合、データ量によってはいわゆるトラフィックが増大して消費電力が大きくなる問題がある。
【0005】
本発明では、上記事情に鑑み、複数の画像エンジンを用いた場合の消費電力を抑制できる電子カメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係る電子カメラは、撮像部と、複数のデータ処理部と、複数のメモリと、切替部とを備える。撮像部は、被写体の像を撮像し、画像を生成する。データ処理部は、画像やシステム情報のデータ処理を行う。メモリは、複数のデータ処理部毎にそれぞれが接続され、データ処理用に分類した分類データを記録する。切替部は、分類データ毎に設定された属性情報に応じて、分類データの記録先のメモリを切り替える。
【0007】
第2の発明は、第1の発明において、属性情報は、分類データの使用頻度と、分類データの優先度と、分類データのデータ容量のうちの少なくとも1つである。
【0008】
第3の発明は、第2の発明において、優先度は、ユーザの選択入力に基づいて設定された分類データの優先度である。切替部は、選択入力による優先度に応じて、分類データの記録先のメモリを切り替える。
【0009】
第4の発明は、第1から第3の何れか1の発明において、各々のデータ処理部は、分類データを圧縮又は伸長する圧縮伸長部をそれぞれ含む。各々のデータ処理部は、データ処理部間の分類データの転送速度が分類データの伸長速度よりも速い場合には伸長した分類データを転送し、転送速度が伸長速度以下の場合には圧縮した分類データを転送する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の画像エンジンを用いた場合の消費電力を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態の電子カメラ1の構成例を説明するブロック図
【図2】機能ブロックデータの不揮発性メモリへの初期配置の一例を示す図
【図3】第1テーブルデータ50の一例を示す図
【図4】第2テーブルデータ51の一例を示す図
【図5】電子カメラ1の電源オン時における動作の一例を示すフローチャート
【図6】電子カメラ1の電源オフ時における動作の一例を示すフローチャート
【図7】優先度、使用頻度の設定後における機能ブロックデータの不揮発性メモリへの配置の一例を示す図
【図8】第2フラッシュメモリ19から機能ブロックデータを読み出す場合の転送処理の一例を示すフローチャート
【図9】ユーザ入力による優先度(優先機能)の設定例を説明する図
【図10】ユーザ入力による優先度(優先機能)の設定例を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本実施形態の電子カメラ1の構成例を説明するブロック図である。本実施形態の電子カメラ1は、後述するスレーブ側の画像エンジンへのアクセスを制限することにより、消費電力を抑制する電源制御システムを有する。この電源制御システムの一例は、後述するフローの処理により実現される。
【0013】
電子カメラ1は、図1に示す通り撮像光学系10と、撮像部11と、第1ASIC(画像エンジン:Application Specific Integrated Circuit)12と、データバス13と、第2ASIC14と、記録インターフェース部(以下「記録I/F部」という)15と、表示モニタ16と、第1フラッシュメモリ17と、第1SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)18と、第2フラッシュメモリ19と、第2SDRAM20と、操作部21と、電源部22と、CPU(Central Processing Unit)23とを備える。なお、撮像部11、第1ASIC12、操作部21及び電源部22は、CPU23と接続されている。
【0014】
撮像光学系10は、ズームレンズとフォーカスレンズとを含む複数のレンズ群で構成されている。なお、簡単のため、図1では、撮像光学系10を1枚のレンズとして図示する。
【0015】
撮像部11は、例えば、撮像素子と、アナログフロントエンド(AFE)回路と、A/D変換部と、デジタルフロントエンド(DFE)回路とを有している。撮像素子は、被写体の像を撮像する。AFE回路は、撮像素子が出力する画像信号に対してアナログ信号処理を施す。A/D変換部は、アナログの画像信号をデジタルの画像信号に変換する。DFE回路は、A/D変換後の画像信号にデジタル信号処理を施す。撮像部11の出力は、第1ASIC12及び第2ASIC14に接続されている。そして、撮像部11は、例えば、CPU23の指示により画像信号を画像データとして時分割処理で第1ASIC12と第2ASIC14とに出力する。
【0016】
第1ASIC12及び第2ASIC14は、撮像部11から出力された画像データに各種の画像処理(例えば、輪郭強調処理、色補間処理等)を施す回路である。第1ASIC12及び第2ASIC14は、何れも同等の処理能力を備えており、両者はASIC専用のデータバス13を介して接続されている。
【0017】
第1ASIC12には、記録I/F部15、表示モニタ16、第1フラッシュメモリ17、及び第1SDRAM18が接続されている。第2ASIC14には、第2フラッシュメモリ19及び第2SDRAM20が接続されている。第1SDRAM18及び第2SDRAM20は、画像データを一時的に記録する揮発性のバッファメモリである。第1フラッシュメモリ17及び第2フラッシュメモリ19は、後述の機能ブロックデータを記録する不揮発性メモリである。なお、フラッシュメモリは、内部の基本回路の構成によってNOR(否定論理和)型とNAND(否定論理積)型との2つのタイプが知られている。NOR型は、NAND型に比べて高速なランダムアクセスが可能である。その反面、NOR型は、集積化に向いておらずメモリの大容量化に課題がある。また、NOR型は、NAND型に比べてデータの書き込みにより多くの消費電力を必要とする。本実施形態では、高速処理の観点から第1フラッシュメモリ17及び第2フラッシュメモリ19にNOR型を採用する。そのため、本実施形態では、フラッシュメモリに対しても消費電力を抑制する手段を提供する。
【0018】
また、第1ASIC12は、第1圧縮伸長部12aと、第1ASIC用インターフェース部(以下「第1ASIC用I/F部」という)12bとを内蔵している。また、第2SDRAM20は、第2圧縮伸長部14aと、第2ASIC用インターフェース部(以下「第1ASIC用I/F部」という)14bとを内蔵している。第1圧縮伸長部12a及び第2圧縮伸長部14aは、画像データや機能ブロックデータに対して、CPU23の指示により圧縮処理又は伸長処理を施す。ここで、第1圧縮伸長部12a及び第2圧縮伸長部14aは、例えばバイナリデータを対象としたデータ圧縮やデータ伸長のアルゴリズムに基づいて、圧縮処理又は伸長処理を行う。なお、第2圧縮伸長部14aは、機能ブロックデータを第2フラッシュメモリ19に記録する場合、圧縮処理を施す。第1ASIC用I/F部12bと第2ASIC用I/F部14bとは、ASIC用の専用のデータバス13を介して、データの送受信を行う通信インターフェースを提供する。
【0019】
ここで、第1ASIC12及び第2ASIC14で扱われる機能ブロックデータについて説明する。機能ブロックデータは、画像処理のプログラムやパラメータファイル等を機能別に分類してブロック化したデータである。各々のASICは、フラッシュメモリ17から機能ブロックデータを読み出して、第1SDRAM18に記録されている画像データに対し、各種の画像処理を施す。
【0020】
図2は、機能ブロックデータの不揮発性メモリへの初期配置の一例を示す図である。図2(a)は、機能ブロックの配置例を示している。第1フラッシュメモリ17には、機能ブロック1〜機能ブロック3が記録されている。また、第2フラッシュメモリ19には、機能ブロック4〜機能ブロック6が記録されている。各機能ブロックには、機能ブロックに対応する機能ブロックデータが格納されている。
【0021】
図2(b)は、図2(a)の機能ブロックに対応する機能ブロックデータの具体的な内容を示している。機能ブロックデータとしては、例えば、画像処理用に用いられる画像処理ガンマテーブル(機能ブロック1)、撮像制御に用いられる撮像制御パラメータテーブル(機能ブロック2)、画像表示用のGUI(Graphical User Interface)用画像データ(機能ブロック3)、日本語の表示用のGUI用日本語フォントデータ(機能ブロック4)、英語の表示用のGUI用英語フォントデータ(機能ブロック5)、中国語の表示用のGUI用中国語フォントデータ(機能ブロック6)等がある。
【0022】
また、記録I/F部15には、着脱自在の記録媒体30を接続するためのコネクタ(不図示)が形成されている。そして、記録I/F部15は、そのコネクタに接続された記録媒体30にアクセスして画像の記録処理等を行う。この記録媒体30は、例えば、不揮発性のメモリカードである。図1では、コネクタに接続された後の記録媒体30を示している。表示モニタ16は、CPU23の指示に応じて各種画像や電子カメラ1の操作メニュー等を表示する。
【0023】
また、操作部21は、電子カメラ1を操作するための指示入力を受け付ける複数の釦を有している。例えば、操作部21は、半押し操作と全押し操作(撮像動作開始)との指示入力とを受け付けるレリーズ釦、電子カメラ1の操作メニューの設定条件を選択若しくは実行する操作釦、電子カメラ1本体の電源のオン又はオフを受け付ける電源釦等を有している。電源部22は、電子カメラ1の各部に電力を供給する。電力の供給開始及び供給停止は、CPU23から指示により行う。
【0024】
CPU23は、各種演算及び電子カメラ1の制御を行うプロセッサである。また、CPU23は、切替部23aと、電源制御部23bとしても機能する。なお、本実施形態では、第2ASIC14は、CPU23に接続されていない。そのため、CPU23は、第1ASIC12を介して第2ASIC14を制御する。これにより、第1ASIC12(マスター側)と第2ASIC14(スレーブ側)とは、データ処理に関して主従関係を形成する。これにより、CPU23は、第1ASIC12(マスター側)を優先的に利用する。ただし、CPU23は、例えば、並列処理を必要とする画像処理等を行う場合には、第1ASIC12と共に第2ASIC14も利用する。
【0025】
切替部23aは、機能ブロックデータ毎に設定された属性情報に応じて、機能ブロックデータの記録先を第1フラッシュメモリ17又は第2フラッシュメモリ19の間で切り替える。上記の属性情報は、例えば、機能ブロックデータの優先度、使用頻度である。ここで、機能ブロックデータの記録先は、CPU23により決定される。具体的には、CPU23は、例えば、属性情報等を管理した第1テーブルデータ50(後述する図3参照)に基づいて、機能ブロックデータの記録先を決定する。なお、CPU23は、機能ブロックデータの使用回数をカウントする第2テーブルデータ51(後述する図4参照)を利用して、機能ブロックの使用頻度を判定する。これらのテーブルデータは、CPU23内のメモリ(不図示)に記録されている。なお、第1テーブルデータ50及び第2テーブルデータ51は、第1フラッシュメモリ17に記録されていても良い。
【0026】
図3は、第1テーブルデータ50の一例を示す図である。図4は、第2テーブルデータ51の一例を示す図である。第1テーブルデータ50は、機能ブロック毎に、優先度や使用頻度の属性情報、現在のフラッシュメモリの記録先、機能ブロックデータの伸長処理の有無を示すフラグ等を管理するデータである。ここで、図中、第1FMは第1フラッシュメモリ17を表し、第2FMは第2フラッシュメモリ19を表している。また、第2テーブルデータ51は、機能ブロック毎に使用回数の履歴をカウントするメモリである。CPU23は、使用回数の履歴として、例えば、電子カメラ1の使用開始時(ユーザの購入後)からの使用回数を算出しても良い。或いは、CPU23は、使用回数の履歴に基づいて、月単位等で使用回数を算出しても良い。図4では、使用回数を説明の便宜上、N1〜N6の記号で表記している。
【0027】
CPU23は、第1テーブルデータ50での優先度を、例えば、「高」と「低」との2種類に分類する。具体的には、CPU23は、「高」と「低」との分類を、第1ASIC12側の使用頻度に応じて行っても良い。或いは、CPU23は、ユーザ入力により「高」と「低」との分類を行っても良い。さらに、CPU23は、優先度を「高」と「低」との2種類に分類するだけではなく、細かく優先順位を設定しても良い。
【0028】
また、CPU23は、第1テーブルデータ50での使用頻度を、「大」、「中」、「小」に分類する。具体的には、CPU23は、「大」、「中」、「小」の分類を第2テーブルデータ51の使用回数(例えば過去数カ月間)に応じて行う。切替部23aは、第1テーブルデータ50を参照し、必要に応じて第1フラッシュメモリ17と第2フラッシュメモリ19との間で、機能ブロックデータの転送処理を行う(詳細は後述する)。
【0029】
また、CPU23は、機能ブロックデータの記録先が切り替わった場合、第1テーブルデータ50上で該当する機能ブロックの現在の記録先(記録状態)の欄を書き換える。また、CPU23は、機能ブロックデータ毎に伸長又は圧縮状態を第1テーブルデータ50上のフラグのオンオフで管理する。CPU23は、例えば、圧縮された機能ブロックデータが伸長された場合、該当する機能ブロックについて第1テーブルデータ50上のフラグの欄をオン(伸長済み)にする。
【0030】
電源制御部23bは、電子カメラ1の各部への電力の供給開始又は電力の供給停止を電源部22を介して各部単位で制御する。
【0031】
次に、本実施形態の電子カメラ1における機能ブロックデータの転送処理の一例を説明する。図5は、電子カメラ1の電源オン時における動作の一例を示すフローチャートである。ここで、操作部21が電子カメラ1の電源オンの指示入力を受け付けた場合、CPU23は、図5に示すフローの処理を開始させる。
【0032】
ステップS101:CPU23の電源制御部23bは、第1ASIC12の電源をオンし、電力の供給を開始する。さらに、電源制御部23bは、撮像部11、表示モニタ16、第1フラッシュメモリ17、第1SDRAM18の電源をオンし、電力の供給を開始する。
【0033】
ステップS102:CPU23は、第2フラッシュメモリ19から第1フラッシュメモリ17に機能ブロックデータの転送処理を行うか否かを判定する。具体的には、CPU23は、第1テーブルデータ50を参照し、例えば優先度が高く、かつ使用頻度が中以上の機能ブロックデータが第2フラッシュメモリ19に存在するか否かを判定する。上記の機能ブロックデータが存在する場合には(ステップS102:Yes)、CPU23は、ステップS103の処理に移行する。上記の機能ブロックデータが存在しない場合には(ステップS103:No)、CPU23は、ステップS106の処理に移行する。なお、CPU23は、第1フラッシュメモリ17のメモリ容量を管理する。そして、CPU23は、メモリの残容量に余裕がある場合には、優先度が低く、かつ使用頻度が中以上の機能ブロックデータも第1フラッシュメモリ17に転送処理しても良い。
【0034】
ステップS103:電源制御部23bは、第2ASIC14の電源をオンし、電力の供給を開始する。
【0035】
ステップS104:切替部23aは、機能ブロックデータの転送処理を行う。具体的には、先ず、切替部23aは、第1ASIC12及び第2ASIC14に機能ブロックデータの転送処理の指示を出す。次に、第2ASIC14は、切替部23aの指示に基づいて、第2フラッシュメモリ19からデータ転送する機能ブロックデータを読み出す。続いて、第2ASIC14は、データバス13を介して、第2ASIC用I/F部14bから第1ASIC用I/F部12bに機能ブロックデータを送信する。続いて、第1ASIC12は、第1ASIC用I/F部12bで受信した機能ブロックデータを第1フラッシュメモリ17に記録する。
【0036】
ステップS105:電源制御部23bは、第2ASIC14の電源をオフし、電力の供給を停止する。
【0037】
ステップS106:CPU23は、電子カメラ1の制御を行うシステムの起動処理を行うと共に、図5に示すフローの処理を終了させる。
【0038】
以上より、CPU23は、第2ASIC14の電源をオンした場合、機能ブロックデータの転送処理の後にオフにする。CPU23は、第1ASIC12の電源をオンした後、第2ASIC14、第2フラッシュメモリ19、第2SDRAM20の使用を制限することにより、スレーブ側の消費電力を抑制することができる。
【0039】
次に、図6のフローの処理を参照しつつ、電子カメラ1の電源オフ時における動作の一例を説明する。図6は、電子カメラ1の電源オフ時における動作の一例を示すフローチャートである。ここで、操作部21が電子カメラ1の電源オフの指示入力を受け付けた場合、CPU23は、図6に示すフローの処理を開始させる。
【0040】
ステップS201:CPU23は、機能ブロックデータの転送処理が完了するまで、電源の遮断禁止の設定をする。
【0041】
ステップS202:CPU23は、N番目(初期値N=1)の機能ブロックの優先度をチェックする。具体的には、CPU23は、第1テーブルデータ50を参照して、N番目(初期値N=1)の機能ブロックの優先度が「低」である場合(ステップS202:Yes)、CPU23は、ステップS203の処理に移行する。一方、優先度が「低」でない場合(ステップS202:No)、CPU23は、ステップS203の処理に移行する。
【0042】
ステップS203:CPU23は、N番目の機能ブロックの使用頻度をチェックする。具体的には、CPU23は、第1テーブルデータ50を参照して、N番目の機能ブロックの使用頻度が「低」である場合(ステップS203:Yes)、CPU23は、ステップS204の処理に移行する。一方、使用頻度が「低」でない場合(ステップS203:No)、CPU23は、ステップS205の処理に移行する。
【0043】
ステップS204:この場合は、機能ブロックデータの優先度は低く、使用頻度は小さい。そのため、CPU23は、N番目の機能ブロックデータの記録先をスレーブ側の第2フラッシュメモリ19に決定する。
【0044】
ステップS205:CPU23は、N番目の機能ブロックデータの記録先をマスター側の第1フラッシュメモリ17に決定する。
【0045】
ステップS206:CPU23は、全ての機能ブロックデータについてチェックしたか否かを判定する。全ての機能ブロックデータについてチェックが終了していない場合(ステップS206:No)、CPU23は、ステップS209の処理に移行し、Nの値をインクリメント(N=N+1)する。そして、CPU23は、ステップS202の処理に戻る。一方、全ての機能ブロックデータについてチェックが終了した場合(ステップS206:Yes)、CPU23は、ステップS207の処理に移行する。
【0046】
ステップS207:切替部23aは、第1テーブルデータ50に基づいて、機能ブロックデータの転送処理を行う。ただし、切替部23aは、第1テーブルデータ50に基づいて、転送処理が不要の場合には、機能ブロックデータの転送処理を行わない。
【0047】
図7は、優先度、使用頻度の設定後における機能ブロックデータの不揮発性メモリへの配置の一例を示す図である。図7(a)は、図2(a)の初期状態から転送後の機能ブロックの配置を示す図である。図7(a)では、説明の便宜上、機能ブロック毎に優先度、使用頻度を示している。第1フラッシュメモリ17に記録されていた機能ブロック3の機能ブロックデータは、優先度が低く、使用頻度が小さいため、切替部23aの転送処理により第2フラッシュメモリ19に記録される。また、第2フラッシュメモリ19に記録されていた機能ブロック5の機能ブロックデータは、優先度が低いものの、使用頻度が大きいため、切替部23aの転送処理により第1フラッシュメモリ17に記録される。
【0048】
図7(b)は、図7(a)の機能ブロックに対応する機能ブロックデータの具体的な内容を示している。この例では、GUI用画像データ(機能ブロック3の機能ブロックデータ)の記録先が、第1フラッシュメモリ17から第2フラッシュメモリ19に切り替えられたことになる。また、GUI用英語フォントデータ(機能ブロック5の機能ブロックデータ)の記録先が、第2フラッシュメモリ19から第1フラッシュメモリ17に切り替えられたことになる。
【0049】
ステップS208:CPU23は、電源の遮断を開始する。具体的には、電源制御部23bは、各ブロックに対する電力の供給停止を行う。CPU23は、図6に示すフローの処理を終了させることで、電子カメラ1の電源をオフにする。
【0050】
以上より、CPU23は、第1フラッシュメモリ17に例えば使用頻度が大きい機能ブロックデータを入れ替える。そのため、次回の使用時には、CPU23は、使用頻度が大きい機能ブロックデータをマスター側の第1ASIC12で使用するため、必要のない限りスレーブ側の回路を駆動させずに済む。これにより、CPU23は、スレーブ側の消費電力を抑制することができる。
【0051】
次に、電子カメラ1の使用中に、第2フラッシュメモリ19から機能ブロックデータを読み出す場合の転送処理の一例を説明する。例えば、ユーザが操作部21の操作メニューから選択した処理に用いられる機能ブロックデータが第2フラッシュメモリ19に記録されている場合に、以下に示すフローの処理が実行される。ここでは、第2ASIC14の電源は、オフになっていることとする。
【0052】
図8は、第2フラッシュメモリ19から機能ブロックデータを読み出す場合の転送処理の一例を示すフローチャートである。ここで、操作部21が第2フラッシュメモリ19に記録されている機能ブロックデータを使用する指示入力を受け付けた場合、CPU23は、図8に示すフローの処理を開始させる。
【0053】
ステップS301:CPU23の電源制御部23bは、第2ASIC14の電源をオンし、電力の供給を開始する。
【0054】
ステップS302:CPU23は、第1ASIC12と第2ASIC14との間の転送速度が第1ASIC12側での機能ブロックデータの伸長速度よりも速いか否かを判定する。具体的には、CPU23は、第1ASIC12の使用状況をチェックする。
【0055】
ここで、第1ASIC12が現在行っている画像処理の負荷が一定以上である場合、第2フラッシュメモリ19の圧縮された機能ブロックデータを第1フラッシュメモリ17に転送させても、第1ASIC12は、機能ブロックデータの伸長処理に時間がかかる(第1のケース)。つまり、上記の第1のケースは、転送速度が第1ASIC12側での機能ブロックデータの伸長速度よりも速い場合に相当する。したがって、上記の第1のケースでは、第2ASIC14側で第2フラッシュメモリ19の圧縮された機能ブロックデータを伸長した後に、切替部23aによって、転送処理を行うことが好ましい。
【0056】
また、例えば、伸長された機能ブロックデータのデータ容量によっては、第1ASIC12と第2ASIC14との間でトラフィックを増大させるため、機能ブロックデータの転送処理に時間がかかる(第2のケース)。つまり、上記の第2のケースでは、転送速度が第1ASIC12側での機能ブロックデータの伸長速度以下の場合に相当する。したがって、上記の第2のケースでは、切替部23aは、圧縮された機能ブロックデータの状態のままで転送処理を行うことが好ましい。これにより、CPU23は、第1ASIC12と第2ASIC14との間でのトラフィック増大に伴う消費電力の増加を抑制できる。
【0057】
よって、転送速度がデータ伸長速度よりも速い場合(ステップS302:Yes)、CPU23は、ステップS303の処理に移行する。一方、転送速度がデータ伸長速度以下の場合(ステップS302:No)、CPU23は、ステップS304の処理に移行する。
【0058】
ステップS303:CPU23からの指示を受けた第2ASIC14は、機能ブロックデータの伸長処理を行うと共に、第1テーブルデータ50のフラグを更新する。
【0059】
ステップS304:CPU23の切替部23aは、機能ブロックデータの転送処理を行う。
【0060】
ステップS305:電源制御部23bは、データの転送処理が終了した後に第2ASIC14の電源をオフし、電力の供給を停止する。
【0061】
ステップS306:第1ASIC12は、第2ASIC14から転送されてきた機能ブロックデータに対応する第1テーブルデータ50のフラグの設定を参照する。機能ブロックデータが伸長されている場合(ステップS306:Yes)、CPU23は、ステップS308の処理に移行する。一方、機能ブロックデータが伸長されていない場合(ステップS306:No)、CPU23は、ステップS307の処理に移行する。
【0062】
ステップS307:第1ASIC12は、機能ブロックデータの伸長処理を行う。
【0063】
ステップS308:CPU23は、第2ASIC14から転送されてきた機能ブロックデータに基づくデータ処理を行う。その後、CPU23は、図8に示すフローの処理を終了させる。
【0064】
以上より、CPU23は、第1ASIC12と第2ASIC14との間でのトラフィック増大による消費電力の増加を抑制できる。
【0065】
以上、本実施形態の電子カメラ1は、スレーブ側の画像エンジン、不揮発性メモリ及び揮発性メモリに対して、消費電力を抑制する電源制御を行うことができる。これにより、本発明は、複数の画像エンジンを用いた場合の消費電力を抑制できる。
(実施形態の補足事項)
(1)上記実施形態では、切替部23aは、優先度と使用頻度との兼ね合いで、フラッシュメモリの記録先を切り替えていたが、ユーザ入力による優先度を優先して切り替えても良い。図9及び図10は、ユーザ入力による優先度(優先機能)の設定例を説明する図である。図9(a)は、表示モニタ16に表示された優先度設定のメニュー画面である。図9(a)では、優先度の設定として、「階調補正強」、「高感度高速撮影」「塗り絵」、「日本語」の項目が優先的に選択されていることを表している。なお、「その他」は、階層メニューでさらに他の項目を選択することができることを表している。図9(b)では、ユーザ入力で設定された優先度の高い機能ブロックデータが第1フラッシュメモリ17に記録されている状態を表している。また、図10(a)では、図9(a)と比較して「日本語」の代わりに優先度の高い項目として「英語」が設定されたことを表している。これにより、切替部23aは、優先度に応じて機能ブロックデータを入れ替える。図10(b)は、マスター側の第1フラッシュメモリ17にGUI用英語フォントデータが記録され、スレーブ側の第2フラッシュメモリ19にGUI用日本語フォントデータが記録された状態を表している。
【0066】
なお、ユーザ入力による優先度の設定の後、CPU23は、使用頻度に応じてさらに優先順位を設定して良い。切替部23aは、優先順位の高い項目を第1フラッシュメモリ17に記録するようにしても良い。
【0067】
また、ユーザがよく使用する項目を予め登録できるマイメニュー機能を有する電子カメラの場合、切替部23aは、マイメニュー画面で設定された項目の機能ブロックデータを優先度の高い項目としてマスター側のメモリ(第1フラッシュメモリ17)に記録するようにしても良い。また、メニュー履歴を記録する機能を有する電子カメラの場合、切替部23aは、メニュー履歴で使用頻度の高い項目の機能ブロックデータをマスター側のメモリ(第1フラッシュメモリ17)に記録するようにしても良い。
【0068】
(2)上記実施形態では、CPU23は、カメラ側のGUIで優先度等を設定したが、例えば、PC通信、外部のインターフェース等からの指示により、優先度等を設定しても良い。
【0069】
(3)上記実施形態では、ASIC(画像エンジン)に、フラッシュメモリ、SDRAMが配線接続される例を説明したが、ASIC内に、フラッシュメモリ、SDRAMが内蔵されたASICを用いても良い。
【0070】
(4)上記実施形態では、ASIC(画像エンジン)を2つ用いた場合を例示したが、これに限定されず、例えば、1つのマスター側のASICに対して、複数のスレーブ側のASICを用いても良い。
【0071】
(5)上記実施形態では、属性情報として優先度や使用頻度を採用したが、機能ブロックデータのデータ容量を属性情報に加えても良い。そして、切替部23aは、例えば、データ容量の大きい機能ブロックデータをマスター側のメモリ(第1フラッシュメモリ17)に記録するようにしても良い。
【符号の説明】
【0072】
1・・・電子カメラ、11・・・撮像部、12・・・第1ASIC、14・・・第2ASIC、17・・・第1フラッシュメモリ、19・・・第2フラッシュメモリ、23a・・・切替部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の像を撮像し、画像を生成する撮像部と、
前記画像やシステム情報のデータ処理を行う複数のデータ処理部と、
前記複数のデータ処理部毎にそれぞれが接続され、前記データ処理用に分類した分類データを記録する複数のメモリと、
前記分類データ毎に設定された属性情報に応じて、前記分類データの記録先のメモリを切り替える切替部と、
を備えることを特徴とする電子カメラ。
【請求項2】
請求項1に記載の電子カメラにおいて、
前記属性情報は、前記分類データの使用頻度と、前記分類データの優先度と、前記分類データのデータ容量のうちの少なくとも1つであることを特徴とする電子カメラ。
【請求項3】
請求項2に記載の電子カメラにおいて、
前記優先度は、ユーザの選択入力に基づいて設定された前記分類データの優先度であって、
前記切替部は、前記選択入力による優先度に応じて、前記分類データの記録先のメモリを切り替えることを特徴とする電子カメラ。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れか1項記載の電子カメラにおいて、
各々のデータ処理部は、前記分類データを圧縮又は伸長する圧縮伸長部をそれぞれ含み、
各々のデータ処理部は、データ処理部間の前記分類データの転送速度が前記分類データの伸長速度よりも速い場合には伸長した分類データを転送し、前記転送速度が前記伸長速度以下の場合には圧縮した分類データを転送することを特徴とする電子カメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−39291(P2012−39291A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176274(P2010−176274)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】