説明

電子キーシステムの通信エリア調整装置

【課題】高精度の部品を使用しなくとも、最適な通信エリアを設定することができる電子キーシステムの通信エリア調整装置を提供する。
【解決手段】通常のスマート通信時、車両1が電子キー2から応答を受信できないとき、車外送信機11や車内送信機12の送信強度を強レベルにした状態で、電子キー2の受信強度を規定量増加させるコマンド信号Scmを電子キー2に送信する。これにより、このコマンド信号Scmにて、電子キー2の受信強度を1段階高くする。そして、スマート通信が成立するか否かを確認し、スマート通信が成立しなければ、コマンド信号Scmを再送信し、スマート通信が確立するまでコマンド信号Scmの送信を繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子キーから無線送信された電波にてID照合が可能な電子キーシステムの通信エリア調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両には、車両からの通信を契機に狭域無線通信(通信距離:数m)により電子キーとID照合を行うキー操作フリーシステムが搭載されている(特許文献1等参照)。キー操作フリーシステムでは、車両からリクエスト信号を電子キーに送信し、このリクエスト信号により起動した電子キーが返信してきたID信号でID照合を行う。そして、車外に位置する電子キーとID照合が成立すれば、ドアロック施解錠が許可/実行され、車内に位置する電子キーとID照合が成立すれば、車内のエンジンスイッチの単なる押し操作のみでのエンジン始動が許可される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−262915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両において、車内又は車外で必要となる通信エリアは、作動エリアの確保及び車内外誤判定の防止のため、厳密なエリア形成が必要となる。そのため、車両アンテナや電子キーともども、性能ばらつきを小さくする必要がある。よって、高精度の部品を使用したり、製造時に個別チューニングが必要となったりするので、コストや手間がかかる問題があった。
【0005】
本発明の目的は、高精度の部品を使用しなくとも、最適な通信エリアを設定することができる電子キーシステムの通信エリア調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記問題点を解決するために、本発明では、車両からの通信を契機に無線通信により電子キーをID照合する電子キーシステムの通信エリア調整装置において、前記車両に設けられ、前記ID照合時に車両側からの電波を送信する車両側送信手段の送信強度を切り換え可能な送信強度切換手段と、前記車両に設けられ、前記ID照合の通信時において前記電子キーからの応答結果を基に、前記電子キーの受信強度を規定量変化させる旨のコマンド信号を、前記車両側送信手段から前記電子キーに送信する受信強度切換要求手段と、前記電子キーに設けられ、前記車両側送信手段から受信した前記コマンド信号を基に、前記電子キーの受信強度を切り換えて、前記車両側送信手段及び前記電子キーの間の通信エリアを調整する受信強度切換手段とを備えたことを要旨とする。
【0007】
本発明の構成によれば、通常のID照合の通信において、車両が電子キーからの受ける通信の応答結果を基に、電子キーの受信強度を規定量変化させるコマンド信号を電子キーに送信する。そして、このコマンド信号にて電子キーの受信強度を切り換えて、車両と電子キーとの間の通信エリアを調整する。このため、車両から単にコマンド信号を電子キーに送信するだけで通信エリアの調整が可能となるので、高精度な部品を使用しなくとも通信エリアを最適範囲に調整することが可能となる。
【0008】
本発明では、前記受信強度切換要求手段は、前記ID照合の通信時において当該車両が前記電子キーからの応答を受信できないとき、前記電子キーの受信強度を規定量増加させる旨のコマンド信号を、前記車両側送信手段の送信強度を高くして該車両側送信手段から前記電子キーに送信し、前記受信強度切換手段は、前記車両側送信手段から受信した前記コマンド信号を基に、前記電子キーの受信強度を高くして、前記車両側送信手段及び前記電子キーの間の通信エリアを調整することを要旨とする。この構成によれば、通常のID照合の通信において車両が電子キーからの応答を受信できないとき、車両側送信手段の送信強度を高くした状態で、電子キーの受信強度を規定量増加させるコマンド信号を電子キーに送信する。そして、このコマンド信号にて電子キーの受信強度を高くして、車両と電子キーとの間の通信エリアを調整する。このため、車両から単にコマンド信号を電子キーに送信するだけで、通信エリアの所定範囲に広げることが可能となる。
【0009】
本発明では、前記車両側送信手段から前記コマンド信号を前記電子キーに送信して該電子キーの受信強度を1段階ずつ増加させる処理を、前記ID照合の通信において前記電子キーから応答が得られるまで繰り返し実行するリトライ手段を備えたことを要旨とする。この構成によれば、車両から電子キーにコマンド信号を送信して電子キーの受信強度を1段階ずつ上げていく処理が、通常のID照合の通信が成立するまで繰り返し継続されるので、通信エリアの最適化に一層効果が高くなる。
【0010】
本発明では、前記受信強度切換要求手段は、実行した1回目の前記ID照合の通信で通信確立を確認したとき、前記電子キーの受信強度を規定量低下させる旨のコマンド信号を当該電子キーに送信することにより、当該コマンド信号にて前記受信強度切換手段に前記電子キーの受信強度を低くすることを要旨とする。この構成によれば、1回目(最初)でID照合の通信が確立するとき、電子キーの受信強度を規定量低下させるコマンド信号を電子キーに送信して、電子キーの受信強度を低くする。このため、電子キーが無駄に起動しなくなるので、電子キーの電源を省電力化することが可能となる。
【0011】
本発明では、前記受信強度切換要求手段は、前記電子キーの受信強度を規定量低下させる旨のコマンド信号の送信を、前記車両が前記電子キーから応答を受信できなくなるまで繰り返し行い、前記電子キーの受信強度を、前記車両が前記電子キーから前記応答を受信することができなくなった直前の値に設定することを要旨とする。この構成によれば、車両から電子キーにコマンド信号を送信して電子キーの受信強度を1段階ずつ下げていく処理が、通常のID照合の通信成立しなくなるまで繰り返し実行される。このため、電子キーの受信強度が通信確立に最低限必要な強度に設定されるので、電子キーの電源の省電力化に一層効果が高くなる。
【0012】
本発明では、前記受信強度切換要求手段は、前記車両側送信手段の送信強度を通常送信強度とした状態下で前記電子キーの受信強度を下げきっても、いまだ前記ID照合の通信が確立するとき、前記車両側送信手段の送信強度を弱送信強度に切り換えて、前記コマンド信号の送信を行うことにより、前記電子キーの受信強度の調整を再実行することを要旨とする。この構成によれば、車両側送信手段の送信強度を切り換えることによっても通信エリアを調整するので、通信エリアの範囲最適化に一層効果が高くなる。
【0013】
本発明では、前記通信エリアの調整は、前記電子キーが車内に位置するか否かを確認するときに必要な車内通信エリアと、前記電子キーが車外に存在するか否かを確認するときに必要な車外通信エリアとの少なくともいずれか一方の調整であることを要旨とする。この構成によれば、車内通信エリアや車外通信エリアを、好適な範囲に設定することが可能となる。よって、電子キーが車外や車内に位置することを、より精度よく判定することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、高精度の部品を使用しなくとも、電子キーシステムにおいて最適な通信エリアを設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】一実施形態のキー操作フリーシステムのブロック図。
【図2】車外通信エリア及び車内通信エリアの領域例を示す模式図。
【図3】(a)は通常のスマート通信のタイムチャート、(b)はコマンド信号送信時のスマート通信のタイムチャート。
【図4】通信エリア調整時に車両の送信機が実行するフローチャート。
【図5】(a),(b)は車内通信エリアを広げる様子を示す説明図。
【図6】(a),(b)は車内通信エリアを狭くする様子を示す説明図。
【図7】(a),(b)は車内通信エリアを狭くする様子を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した電子キーシステムの通信エリア調整装置の一実施形態を図1〜図7に従って説明する。
図1に示すように、車両1には、車両1からの通信を契機に狭域無線通信(通信距離:数m)により電子キー2とID照合を行うキー操作フリーシステム3が搭載されている。キー操作フリーシステム3には、車外に位置する電子キー2とID照合が成立すると、乗降車する一連の操作過程の中で車両ドアが自動で施解錠されるエントリ機能がある。また、キー操作フリーシステム3には、車内に位置する電子キー2とID照合が成立すると、車内のプッシュモーメンタリ式のエンジンスイッチ4を単に押し操作するのみでエンジン5を始動することが可能なエンジン始動機能がある。
【0017】
この場合、車両1には、電子キー2とのID照合を行う照合ECU6と、車載電装品の動作を管理するボディECU7と、エンジン5を制御するエンジンECU8とが設けられ、これらが車内バス9を通じて接続されている。照合ECU6のメモリ10には、車両1に登録された電子キー2のIDコードが記憶されている。照合ECU6には、車外にLF(Low Frequency)帯の電波を送信可能な車外送信機11と、車内にLF電波を送信可能な車内送信機12と、UHF(Ultra High Frequency)帯の電波を受信可能な車両受信機13とが接続されている。なお、車外送信機11及び車内送信機12が車両側送信手段を構成する。
【0018】
電子キー2には、電子キー2の動作を制御するキー制御部14が設けられている。キー制御部14のメモリ15には、電子キー2のIDコードが登録されている。本例のメモリ15は、データ書き換え可能な不揮発性メモリが使用されている。キー制御部14には、LF電波を受信可能な受信部16と、UHF電波を送信可能な送信部17とが接続されている。
【0019】
電子キー2が車外にあるとき、車外送信機11は、車外に数mの電波の通信エリア(図2に示す車外通信エリアEot)を形成して車外スマート通信を実行する。このとき、図3に示すように、車外送信機11は、待機状態の電子キー2を起動状態に切り換えるウェイク信号SwkをLF電波によって断続的に送信する。電子キー2は、車外通信エリアEotに進入してウェイク信号Swkを受信すると、起動状態に切り換わる。電子キー2は、起動状態に切り換わると、その旨を通知すべくアック信号Sac1をUHF電波により送信する。
【0020】
照合ECU6は、ウェイク信号Swkを送信してから一定時間内にアック信号Sac1を受信すると、車外スマート通信が確立したと認識し、ID照合として車外スマート照合を開始する。本例の場合、車外スマート照合には、例えばチャレンジレスポンス認証やIDコード認証等が含まれる。
【0021】
照合ECU6は、アック信号Sac1を受信すると、ビークルID認証を行うためにビークルID信号SvhをLF電波により送信する。ビークルID信号Svhには、車体固有のIDであるビークルIDが含まれている。電子キー2は、ビークルID信号Svhを受信すると、ビークルID信号Svh内のビークルIDでビークルID認証を行い、この認証が成立すれば、アック信号Sac2をUHF電波により送信する。
【0022】
照合ECU6は、ビークルID信号Svhを送信してから一定時間内にアック信号Sac2を受信すると、ビークルID認証が成立したと認識し、続いてチャレンジレスポンス認証及びキーID認証を開始する。このとき、照合ECU6は、少なくともチャレンジコード及びキー番号を含むチャレンジ信号SchをLF電波により送信する。チャレンジコードは、送信の度に毎回値が切り換わる乱数である。キー番号は、電子キー2が車両1に登録された何番目のキーかを表す情報である。ちなみに、照合ECU6は、チャレンジ信号Schに対する応答を電子キー2から受け付けることができるまで、キー番号を順次繰り上げて、チャレンジ信号Schの送信を繰り返す。
【0023】
電子キー2は、チャレンジ信号Schを受信すると、チャレンジ信号Sch内のキー番号が合致すれば、レスポンスコードの演算に移行する。このとき、電子キー2は、チャレンジコードを自身の暗号鍵に通してレスポンスコードを演算する。電子キー2は、レスポンスコードの演算後、レスポンスコード及びIDコードを含むレスポンス信号SrsをUHF電波により送信する。
【0024】
照合ECU6は、電子キー2にチャレンジ信号Schを送信する際、自らも自身の暗号鍵にチャレンジコードを通してレスポンスコードを演算する。よって、照合ECU6は、チャレンジ信号Schを送信してから一定時間内にレスポンス信号Srsを受信すると、自ら演算したレスポンスコードと電子キー2のレスポンスコードとを比較するチャレンジレスポンス認証を実行する。また、このとき、照合ECU6は、電子キー2から受け付けたIDコードを認証するIDコード認証も併せて実行する。そして、照合ECU6は、チャレンジレスポンス認証及びIDコード認証の両方が成立することを確認すると、車外スマート照合を成立として処理し、ボディECU7によるドアロック施解錠を許可/実行させる。
【0025】
また、運転者が乗車したことが例えばカーテシスイッチ(図示略)等により検出されると、車外送信機11に代えて今度は車内送信機12からLF電波の送信が開始され、車内に通信エリア(図2に示す車内通信エリアEin)が形成されて車内スマート通信が開始される。このとき、電子キー2が車内通信エリアEinに進入すると、ID照合として車外スマート照合と同様の車内スマート照合が実行される。そして、車内スマート照合が成立すると、エンジンスイッチ4による電源遷移操作/エンジン始動操作が許可される。
【0026】
図1に示すように、本例のキー操作フリーシステム3には、キー操作フリーシステム3の通信エリア(図2に示す車外通信エリアEotや車内通信エリアEin)を最適範囲に調整する通信エリア調整装置18が設けられている。ちなみに、車外通信エリアEotや車内通信エリアEinは、車外送信機11や車内送信機12の送信強度(図5〜図7に示す送信エリアEtr)と、電子キー2の受信強度(図5〜図7に示す受信エリアErc)との組み合わせで決まるものである。
【0027】
本例の通信エリア調整装置18は、例えば電子キー2の受信強度(受信感度)や、車外送信機11又は車内送信機12の送信強度(出力強度)を、スマート通信(車外スマート通信、車内スマート通信)を利用して、その時々の状態に応じた値に設定することにより、車外通信エリアEotや車内通信エリアEinを最適範囲に調整する。また、本例の場合、電子キー2の受信強度が弱すぎるときは高い値に切り換え、電子キー2の受信強度が強すぎるときは低い値に切り換えることにより、キー操作フリーシステム3の通信エリアを最適範囲に設定する。
【0028】
また、本例の通信エリア調整装置18では、スマート通信の際、電子キー2の受信強度を規定量(一定量)変化させる指令(コマンド信号Scm)を電子キー2に送って、電子キー2に受信強度を切り換えさせ、電子キー2が所望の受信強度をとるまで、コマンド信号Scmの送信による受信強度の所定量切り換えを繰り返し行うものである。なお、本例の通信エリア調整装置18では、車外送信機11や車内送信機12の送信強度が最大で、かつ電子キー2の受信強度が最大となっているときに、通信が必ず成立することを前提とする。また、車外送信機11や車内送信機12の送信強度が最小で、かつ電子キー2の受信強度が最小となっているときに、通信が成立しないことも条件とする。
【0029】
この場合、照合ECU6には、車外送信機11及び車内送信機12の送信強度を切り換える送信強度切換部19が設けられている。送信強度切換部19は、車外送信機11及び車内送信機12の送信強度(送信エリアEtr)を、複数段階(例えば通常レベル、強レベル、弱レベルの3段階)に設定可能となっている。車外送信機11や車内送信機12は、自身に流れる電流の高低により、送信強度の強弱が切り換わる。よって、送信強度切換部19は、例えば車外送信機11や車内送信機12のスイッチ(図示略)を切り換えてアンテナに流れる電流を制御することで、車外送信機11や車内送信機12の送信強度を切り換える。なお、送信強度切換部19が送信強度切換手段に相当する。
【0030】
照合ECU6には、通常のスマート通信の際、照合ECU6が電子キー2からの応答を受信できたか否かを確認する応答確認部20が設けられている。通常のスマート通信とは、コマンド信号Scmを含まない単にID照合を目的とする認証通信である。応答確認部20は、スマート通信時、ウェイク信号Swkに対する電子キー2からの応答であるアック信号Sac1を受信できたか否かを確認することにより、応答有無を判定する。なお、応答確認部20が受信強度切換要求手段及びリトライ手段を構成する。
【0031】
照合ECU6には、スマート通信時において照合ECU6が電子キー2からの応答を受信できなかったとき、電子キー2の受信強度(受信エリアErc)を規定量変化させるためのコマンド信号Scmを電子キー2に送信させるコマンド送信部21が設けられている。コマンド信号Scmは、電子キー2の受信強度を1段階切り換える指令信号(要求信号)の一種であって、例えば電子キー2の受信強度を1段階高くする指令や、電子キー2の受信感度を1段階低くする指令である。なお、コマンド送信部21が受信強度切換要求手段及びリトライ手段を構成する。
【0032】
コマンド送信部21は、車外送信機11や車内送信機12の送信強度を通常レベルにして最初に行うスマート通信時に、照合ECU6が電子キー2からの応答を受けることができないと、電子キー2の受信強度を高い値に切り換える処理(受信強度増加処理)を実行する。このとき、コマンド送信部21は、車外送信機11や車内送信機12の送信強度を強レベルに切り換えた上で、電子キー2の受信強度を規定量高くするコマンド信号Scmを電子キー2に送信する。本例の場合、コマンド送信部21は、スマート通信を再実行させ、このコマンド送信スマート通信時においてコマンド信号Scmを電子キー2に送り渡す。また、本例のコマンド信号Scmは、チャレンジ信号Schに含められて電子キー2に送信される。
【0033】
キー制御部14のメモリ15には、電子キー2の受信強度を設定するのに必要な受信強度設定データDxが書き込まれている。電子キー2の受信強度は、メモリ15内の受信強度設定データDxの書き込み値に基づく値に設定される。本例の場合、メモリ15はデータの上書きが可能であるので、電子キー2の受信強度はメモリ設定、つまり受信強度設定データDxの書き換えにより、自由に設定可能である。なお、受信強度設定データDxが受信強度切換手段を構成する。
【0034】
キー制御部14には、車両1から受信したコマンド信号Scmを基に電子キー2の受信強度を切り換える受信強度切換部22が設けられている。受信強度切換部22は、車両1から受信したコマンド信号Scmを基に、メモリ15の受信強度設定データDxを書き換えることにより、電子キー2の受信強度を設定する。また、本例の受信強度切換部22は、コマンド信号Scmに準ずる規定量だけ受信強度を切り換えるべく受信強度設定データDxを書き換える。なお、受信強度切換部22が受信強度切換手段に相当する。
【0035】
照合ECU6には、コマンド信号Scmにより電子キー2の受信強度を切り換えさせた後、通常のスマート通信を再実行し、電子キー2が所望の受信強度をとるまで処理を繰り返させる動作確認部23が設けられている。動作確認部23は、コマンド信号Scmを電子キー2に送信して電子キー2の受信強度を高く切り換えた後、通常のスマート通信を再度実行(リトライ)し、電子キー2から応答を得ることができるか否かを確認する。このとき、動作確認部23は、電子キー2から応答を受け付けることができなければ、電子キー2の受信強度をもう1段階上げるために、受信強度増加処理を再度実行する。そして、コマンド送信部21は、電子キー2から応答が得られるまで、受信強度増加処理を繰り返し実行する。なお、動作確認部23が受信強度切換要求手段及びリトライ手段を構成する。
【0036】
また、コマンド送信部21は、1回目(最初)の通常のスマート通信時に、電子キー2から応答を受けることができると、電子キー2の受信強度を低い値に切り換える処理(受信強度低下処理)を実行する。これは、電子キー2の受信強度を極力低い値に切り換えておくことで、電子キー2が無駄に電波応答しないようにし、電子キー2の電源を省電力化するためである。
【0037】
このとき、コマンド送信部21は、車外送信機11や車内送信機12の送信強度を通常レベル(強レベルに切り換えるのも可)に維持した上で、電子キー2の受信強度を規定量低くするコマンド信号Scmを電子キー2に送信する。この場合も、コマンド送信部21は、スマート通信を利用して、電子キー2の受信強度を規定量下げるコマンド信号Scmを電子キー2に送り渡す。
【0038】
受信強度切換部22は、受信強度を下げるコマンド信号Scmを車両1から受信すると、このコマンド信号Scmを基にメモリ15の受信強度設定データDxを書き換え、電子キー2の受信強度を規定量低下させる。よって、電子キー2の受信強度が規定量低い値に切り換わる。
【0039】
動作確認部23は、コマンド信号Scmを電子キー2に送信して電子キー2の受信強度を低く切り換えた後、通常のスマート通信を再度実行(リトライ)し、電子キー2から応答を得ることができるか否かを確認する。このとき、動作確認部23は、電子キー2から応答を受け付けると、電子キー2の受信強度をもう1段階下げるために、受信強度低下処理を再度実行する。そして、コマンド送信部21は、電子キー2からの応答がなくなるまで、受信強度低下処理を繰り返し実行する。
【0040】
動作確認部23は、受信強度低下処理の際、電子キー2の受信強度を最小値まで低くしても応答が得られてしまう場合、車外送信機11や車内送信機12の送信強度を弱レベルに切り換えて、受信強度低下処理を再実行する。つまり、車外送信機11や車内送信機12の送信強度が弱レベルに下げられ、この状況下で電子キー2がどの受信強度でスマート通信が成立するのかが確認される。そして、この確認時、スマート照合が成立しなくなった1つ前の受信強度が電子キー2の受信強度として設定される。
【0041】
次に、本例のキー操作フリーシステム3の通信エリア調整装置18の動作を、図4のフローチャートを用いて説明する。なお、ここでは、車内スマート通信を例に挙げて説明することとし、例えば電子キー2が確実に車内に存在する車両走行時に、通信エリア調整装置18に動作を実行させることにする。
【0042】
ステップ101において、車内送信機12は、送信強度を通常レベルにした状態で、通常の車内スマート通信を実行する。
ステップ102において、応答確認部20は、通常の車内スマート通信時において、電子キー2からの応答を受信できたか否かを判定する。本例の場合、応答確認部20は、電子キー2が起動状態に切り換わったときに送信してくるアック信号Sac1の有無を確認することにより、電子キー2の応答有無を判定する。そして、このとき、電子キー2からの応答がなければステップ103に移行し、電子キー2からの応答があればステップ106に移行する。
【0043】
ところで、図5(a)に示すように、車内送信機12の送信強度が通常レベルのときに届く電波の送信エリアをEtr1とした場合、この送信エリアEtr1の電波が届かない領域に電子キー2が位置していると、電子キー2は車内送信機12からの電波を受信することができない。よって、電子キー2は通常のスマート通信を実行することができず、照合ECU6は電子キー2から応答を受けることができないので、車内スマート通信が成立しないことを確認する。よって、図5(a)の例では、ステップ102の判定のとき、ステップ103に移行する。
【0044】
ステップ103において、図5(b)に示すように、コマンド送信部21は、電子キー2の受信強度増加処理を行うために、電子キー2の受信強度を1段階増加させるコマンド信号Scmを、車内スマート通信を利用して電子キー2に送信する。このとき、コマンド送信部21は、車内送信機12の送信強度を強レベルに切り換えて、車内送信機12の送信エリアをEtr2に拡張した状態で車内スマート通信を実行し、チャレンジ信号Schにコマンド信号Scmを付加して、コマンド信号Scmを電子キー2に送信する。これにより、車内送信機12から離れた位置に電子キー2が位置していても、この電子キー2にコマンド信号Scmが届くことになる。
【0045】
このとき、電子キー2は、車内スマート通信の通信過程においてコマンド信号Scmを取得する。そして、受信強度切換部22は、受信したコマンド信号Scmを基にメモリ15の受信強度設定データDxを書き換えて、電子キー2の受信強度を1段階高い値に設定する。なお、受信強度切換部22は、車内スマート照合の通信成立を条件に、受信強度設定データDxの上書きを実行する。
【0046】
ステップ104において、動作確認部23は、車内送信機12の送信強度を通常レベルにした状態で、通常の車内スマート通信を再度実行する。つまり、受信強度を1段階上げた電子キー2で、通常の車内スマート通信が確立するか否かを確認する。
【0047】
ステップ105において、応答確認部20は、通常の車内スマート通信において、電子キー2からの応答を受信できたか否かを判定する。このとき、受信強度を1段階上げた電子キー2で通常の車内スマート通信が成立すれば、電子キー2が充分な受信強度を有しているとして、受信強度増加処理を終了する。
【0048】
一方、電子キー2の受信強度を1段階上げても車内スマート通信が確立しない場合には、ステップ103に戻り、電子キー2の受信強度を1段階上げるために、コマンド信号Scmを再送信する。つまり、電子キー2の受信強度を、もう1段階上げる処理を実行する。そして、通常の車内スマート通信が確立するまで、電子キー2の受信強度を1段階ずつ上げていく処理を繰り返し実行する。これにより、車内スマート通信が確立する受信強度が、電子キー2の最終的な受信強度として電子キー2に設定される。
【0049】
また、図6(a)に示すように、送信強度が通常レベルの車内送信機12の送信エリアEtr1と電子キー2の受信エリアErcとが重なっていて、電子キー2が車内送信機12の車内通信エリアEinに予め位置している場合には、最初(1回目)の通常の車内スマート通信で通信が確立する。よって、図6(a)の例では、ステップ102の判定のとき、ステップ106に移行する。
【0050】
本例の場合、ステップ106以降では、電子キー2からの電子キー2の受信強度を目一杯まで下げるために、受信強度低下処理を実行する。これは、電子キー2の受信強度を極力小さな値に設定することにより、無駄に起動してしまう状況を押さえて、電子キー2の電源を省電力化するためである。
【0051】
ステップ106において、図6(b)に示すように、コマンド送信部21は、電子キー2の受信強度低下処理を行うために、電子キー2の受信強度を1段階低下させるコマンド信号Scmを、車内スマート通信を利用して電子キー2に送信する。このとき、コマンド信号Scmの送信強度は、通常レベル又は強レベルのどちらでもよい。また、コマンド送信部21は、このときもコマンド信号Scmをチャレンジ信号Schに付加して、電子キー2に送信する。
【0052】
電子キー2は、車内スマート通信の通信課程においてコマンド信号Scmを取得すると、受信強度切換部22にて電子キー2の受信強度を1段階低下させる。つまり、受信強度切換部22は、受信したコマンド信号Scmを基に受信強度設定データDxを書き換えて、電子キー2の受信強度を1段階低い値に設定する。なお、このときも、車内スマート照合の成立を条件に、受信強度設定データDxの上書きを行う。
【0053】
ステップ107において、動作確認部23は、電子キー2の受信強度を1段階下げた状態で通常のスマート通信が成立するか否かを確認するために、車内送信機12の送信強度を通常レベルにした状態で通常の車内スマート通信を実行する。
【0054】
ステップ108において、応答確認部20は、通常のスマート通信において、電子キー2からの応答を受信できたか否かを判定する。このとき、電子キー2からの応答があればステップ109に移行し、電子キー2からの応答がなければステップ110に移行する。
【0055】
このとき、電子キー2からの応答をいまだ受信すれば、ステップ109に移行する。ステップ109において、コマンド送信部21は、車内送信機12の送信強度が通常レベルの状況下で、電子キー2の受信強度を最小値まで下げたか否かを判定する。つまり、車内送信機12の送信強度が通常レベルのとき、電子キー2の受信強度を、最も低い値まで下げきったか否かを判定する。このとき、電子キー2の受信強度を最小値まで下げきっていれば、ステップ111に移行する。
【0056】
一方、電子キー2の受信強度を最小値まで下げきっていなければ、ステップ106に戻り、電子キー2の受信強度がもう1段階下げられる。つまり、電子キー2の受信強度を1段階下げても車内スマート通信がまだ確立する場合には、ステップ106に戻り、電子キー2の受信強度を1段階下げるコマンド信号Scmの送信を再実行する。そして、通常の車内スマート通信が確立しなくなるまで、コマンド信号Scmを送信して電子キー2の受信強度を1段階ずつ下げていく処理を繰り返し実行する。これにより、車内スマート通信が成立しなくなる1つ手前の受信強度が、電子キー2の最終的な受信強度として電子キー2に設定される。
【0057】
ステップ108の判定でステップ110に移行したとき、ステップ110において、コマンド送信部21は、電子キー2の受信強度を最後調整値の1つ前の値に戻すために、受信強度を1段階増加させるコマンド信号Scmを電子キー2に送信する。これにより、電子キー2の受信強度が必要最小限の低い値に設定される。
【0058】
また、図7(a)に示すように、電子キー2が車内送信機12の極近傍に位置する場合は、車内送信機12の送信強度が通常レベルの状況下で電子キー2の受信強度を下げきっても、車内スマート通信が確立する状態が維持されてしまう。このため、図7(a)の例では、ステップ109の判定のとき、ステップ111に移行する。
【0059】
ステップ111において、まずコマンド送信部21は、受信強度を最小値まで下げきってしまった電子キー2の受信強度を所定値まで戻すために、受信強度を1段階増加させるコマンド信号Scmを電子キー2に送信する。なお、このとき、コマンド信号Scmを電子キー2に複数回送って、所定量回復させてもよい。
【0060】
ステップ112において、動作確認部23は、車内送信機12の送信強度を弱レベルに切り換えて、車内送信機12の送信エリアをEtr3にした状態で、通常の車内スマート通信を再度実行する。つまり、車内送信機12の送信強度を弱めた状態で、通常の車内スマート通信が確立するか否かを確認する。
【0061】
ステップ113において、応答確認部20は、車内送信機12の送信強度を弱レベルに下げた通常のスマート通信において、電子キー2からの応答を受信できたか否かを判定する。このとき、電子キー2からの応答を受信しなければ、電子キー2が最低限必要な受信強度に切り換わったとして、ステップ110に移行し、受信強度低下処理を終了する。一方、電子キー2からの応答をいまだ受信していれば、ステップ114に移行する。
【0062】
ステップ114において、コマンド送信部21は、送信強度が弱レベルの車内送信機12から、電子キー2の受信強度を1段階低下させるコマンド信号Scmを、車内スマート通信を利用して電子キー2に送信する。このときも、コマンド送信部21は、スマート通信を利用してコマンド信号Scmを電子キー2に送信する。
【0063】
ステップ115において、動作確認部23は、送信強度が弱レベルの車内送信機12で、受信強度を更に下げた電子キー2とスマート通信が成立するか否かを確認するために、車内送信機12の送信強度を弱レベルにした状態で通常の車内スマート通信を実行する。
【0064】
ステップ116において、応答確認部20は、車内送信機12の送信強度を弱レベルとした状態での通常のスマート通信において、電子キー2からの応答を受信できたか否かを判定する。このとき、電子キー2からの応答を受信しなければ、電子キー2が最低限必要な受信強度に切り換わったとして、受信強度低下処理を終了する。
【0065】
一方、電子キー2からの応答をいまだ受信していれば、ステップ114に戻り、もう1段階下げる処理を実行する。つまり、電子キー2の受信強度を1段階下げても車内スマート通信がまだ確立する場合には、ステップ114に戻り、電子キー2の受信強度を1段階下げるコマンド信号Scmの送信を再実行する。そして、通常の車内スマート通信が確立しなくなるまで、電子キー2の受信強度を1段階ずつ下げていく処理を繰り返し実行し、電子キー2の受信強度を最小限必要な値に設定する。
【0066】
なお、以上は、車内通信エリアEinの調整の説明であるが、車外通信エリアEotの調整の場合も、調整の基本的な動作は車内通信エリアEinのときと同じである。よって、車外通信エリアEotの調整の説明は、車内通信エリアEinの調整の説明をもって省略する。
【0067】
以上により、本例においては、通常のスマート通信時、車両1が電子キー2から応答を受信できないとき、車外送信機11や車内送信機12の送信強度を強レベルにして、電子キー2の受信強度を規定量増加させるコマンド信号Scmを電子キー2に送信する。これにより、電子キー2の受信強度を1段階引き上げる。そして、電子キー2の受信強度を上げた後、通常のスマート通信を実行して通信が確立するか否かを確認し、通常のスマート通信が確立するまで、コマンド信号Scmの送信を繰り返して、電子キー2の受信強度を1段階ずつ引き上げる。
【0068】
このため、電子キー2がどの位置にあっても、車外通信エリアEotや車内通信エリアEinはスマート通信が確立する最適の範囲に調整されるので、スマート通信の成立性が確保される。また、通常のスマート通信が成立するまで車両1から電子キー2にコマンド信号Scmを繰り返し送信して電子キー2の受信強度を1段階ずつ上げていくという簡単な処理にてエリア調整が可能となるので、高精度の部品を使用しなくても最適なエリア範囲を設定することも可能である。
【0069】
従って、電子キー2の出荷時に、受信性能の公差を広くすることが可能となるので、低コスト部品の使用が可能となる。また、車両1ごとに通信エリアEot,Einの個別調整が不要となるので、製造工程の簡素化にも効果が高くなる。つまり、出荷検査の簡便化も可能となる。
【0070】
また、1回目の通常のスマート通信で通信が確立する場合には、電子キー2の受信強度を規定量低下させるコマンド信号Scmを電子キー2に送信し、電子キー2の受信強度を1段階下げる。そして、通常のスマート通信が確立しなくなるまで、コマンド信号Scmの送信を繰り返して、電子キー2の受信強度を1段階ずつ引き下げ、電子キー2の受信強度を必要最小限の値に調整する。このため、電子キー2が無駄に起動しなくなるので、電子キー2の電源の省電力化が可能となる。
【0071】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)通常のスマート通信時、車両1が電子キー2から応答を受信できないとき、車外送信機11や車内送信機12の送信強度を強レベルにした状態で、電子キー2の受信強度を規定量増加させるコマンド信号Scmを電子キー2に送信する。そして、このコマンド信号Scmにて、電子キー2の受信強度を1段階高くして通信エリアEot,Einを調整する。このため、車両1から単にコマンド信号Scmを電子キー2に送信するだけで通信エリアEot,Einの調整が可能となるので、高精度な部品を使用しなくとも通信エリアEot,Einを最適範囲に調整することができる。
【0072】
(2)電子キー2の受信強度を規定量増加させるコマンド信号Scmを車両1から電子キー2に送信して電子キー2の受信強度を1段階ずつ上げる場合、この処理を通常のスマート通信が成立するまで繰り返し実行する。よって、通信エリアEot,Einはスマート通信が成立する必要最低限のエリアに設定されるので、通信エリアEot,Einの最適化に一層効果が高くなる。
【0073】
(3)1回目(最初)のスマート通信で通信が確立するとき、電子キー2の受信強度を規定量低下させるコマンド信号Scmを車両1から電子キー2に送信して、電子キー2の受信強度を低くする。このため、電子キー2の受信エリアErcが狭くなることにより、電子キー2が無駄に起動しなくなるので、電子キー2の電源を省電力化することができる。
【0074】
(4)電子キー2の受信強度を規定量低下させるコマンド信号Scmを車両1から電子キー2に送信して電子キー2の受信強度を1段階ずつ下げる場合、この処理を通常のスマート通信が成立しなくなるまで繰り返し実行される。このため、電子キー2の受信強度が通信確立に最低限必要な強度に設定されるので、電子キー2の電源の省電力化に一層効果が高くなる。
【0075】
(5)車内送信機12(車外送信機11)の送信強度を通常レベルとした状態下で電子キー2の受信強度を下げきったとき、今度は車内送信機12(車外送信機11)の送信強度を弱レベルに切り換えて、同様の受信強度低下処理を実行する。このため、車内通信エリアEin(車外通信エリアEot)の範囲最適化に一層効果が高くなる。
【0076】
(6)車外通信エリアEotや車内通信エリアEinを好適な範囲に設定することが可能となるので、電子キー2が車外や車内に位置することを、より精度よく判定することができる。
【0077】
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・コマンド信号Scmは、スマート通信を用いるとき、チャレンジ信号Schに含まれて電子キー2に送信されることに限定されず、例えばビークルID信号Svhに付加してもよい。
【0078】
・コマンド信号Scmの送信は、通常のスマート通信が成立(不成立)となるまで繰り返し実行されることに限らず、1度きりの送信としてもよい。
・コマンド信号Scmは、スマート通信を利用して電子キー2に送信される形態をとることに限定されず、他の通信に変更してもよい。
【0079】
・コマンド信号Scmは、毎回同じ信号内容のものが送信されることに限定されず、例えば、送信の度に増加量(低下量)が異なる信号としてもよい。
・電子キー2の受信強度変更は、メモリ15の設定変更により行う形式に限定されず、他の形式に適宜変更可能である。
【0080】
・キー操作フリーシステム3は、往路と復路で電波の周波数が異なることに限定されず、例えば同じとしてもよい。
・キー操作フリーシステム3は、車外と車内とで区別された送信機(車外送信機11、車内送信機12)を用いたものに限定されない。例えば、車両1の運転席側と助手席側とに送信機を設け、これら送信機からの電波送信に対する電子キー2の応答の判定ロジックにより、電子キー2の車内外判定を行うものでもよい。
【0081】
・キー操作フリーシステム3は、車両1からウェイク信号Swk、ビークルID信号Svh、チャレンジ信号Schが、電子キー2からの応答に応じて順番に送信されることに限定されず、これらが一度に電子キー2に送信されてもよい。
【0082】
・電子キーシステムは、キー操作フリーシステム3に限定されず、他の認証システムに適宜変更可能である。
・電子キーシステムで使用する周波数は、LFやUHFに限定されず、例えばHF(High Frequency)などの他の周波数に変更してもよい。
【0083】
・車外送信機11や車内送信機12の配置位置や個数は、適宜変更可能である。
・通信エリア調整装置18は、車外通信エリアEot及び車内通信エリアEinの少なくとも一方の調整に適用されればよい。
【0084】
・通信エリア調整装置18は、車外通信エリアEotや車内通信エリアEinの調整に使用されることに限らず、他のエリア調整に適宜使用可能である。
・通信エリア調整装置18は、受信強度増加処理及び受信強度低下処理の少なくとも一方を実行する装置であればよい。
【符号の説明】
【0085】
1…車両、2…電子キー、11…車両側送信手段を構成する車外送信機、12…車両側送信手段を構成する車内送信機、18…通信エリア調整装置、19…送信強度切換手段としての送信強度切換部、20…受信強度切換要求手段及びリトライ手段を構成する応答確認部、21…受信強度切換要求手段及びリトライ手段を構成するコマンド送信部、22…受信強度切換手段としての受信強度切換部、23…受信強度切換要求手段及びリトライ手段を構成する動作確認部、Scm…コマンド信号、Dx…受信強度切換手段を構成する受信強度設定データ、Ein…車内通信エリア、Eot…車外通信エリア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両からの通信を契機に無線通信により電子キーをID照合する電子キーシステムの通信エリア調整装置において、
前記車両に設けられ、前記ID照合時に車両側からの電波を送信する車両側送信手段の送信強度を切り換え可能な送信強度切換手段と、
前記車両に設けられ、前記ID照合の通信時において前記電子キーからの応答結果を基に、前記電子キーの受信強度を規定量変化させる旨のコマンド信号を、前記車両側送信手段から前記電子キーに送信する受信強度切換要求手段と、
前記電子キーに設けられ、前記車両側送信手段から受信した前記コマンド信号を基に、前記電子キーの受信強度を切り換えて、前記車両側送信手段及び前記電子キーの間の通信エリアを調整する受信強度切換手段と
を備えたことを特徴とする電子キーシステムの通信エリア調整装置。
【請求項2】
前記受信強度切換要求手段は、前記ID照合の通信時において当該車両が前記電子キーからの応答を受信できないとき、前記電子キーの受信強度を規定量増加させる旨のコマンド信号を、前記車両側送信手段の送信強度を高くして該車両側送信手段から前記電子キーに送信し、
前記受信強度切換手段は、前記車両側送信手段から受信した前記コマンド信号を基に、前記電子キーの受信強度を高くして、前記車両側送信手段及び前記電子キーの間の通信エリアを調整する
ことを特徴とする請求項1に記載の電子キーシステムの通信エリア調整装置。
【請求項3】
前記車両側送信手段から前記コマンド信号を前記電子キーに送信して該電子キーの受信強度を1段階ずつ増加させる処理を、前記ID照合の通信において前記電子キーから応答が得られるまで繰り返し実行するリトライ手段を備えた
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子キーシステムの通信エリア調整装置。
【請求項4】
前記受信強度切換要求手段は、実行した1回目の前記ID照合の通信で通信確立を確認したとき、前記電子キーの受信強度を規定量低下させる旨のコマンド信号を当該電子キーに送信することにより、当該コマンド信号にて前記受信強度切換手段に前記電子キーの受信強度を低くする
ことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の電子キーシステムの通信エリア調整装置。
【請求項5】
前記受信強度切換要求手段は、前記電子キーの受信強度を規定量低下させる旨のコマンド信号の送信を、前記車両が前記電子キーから応答を受信できなくなるまで繰り返し行い、前記電子キーの受信強度を、前記車両が前記電子キーから前記応答を受信することができなくなった直前の値に設定する
ことを特徴とする請求項4に記載の電子キーシステムの通信エリア調整装置。
【請求項6】
前記受信強度切換要求手段は、前記車両側送信手段の送信強度を通常送信強度とした状態下で前記電子キーの受信強度を下げきっても、いまだ前記ID照合の通信が確立するとき、前記車両側送信手段の送信強度を弱送信強度に切り換えて、前記コマンド信号の送信を行うことにより、前記電子キーの受信強度の調整を再実行する
ことを特徴とする請求項5に記載の電子キーシステムの通信エリア調整装置。
【請求項7】
前記通信エリアの調整は、前記電子キーが車内に位置するか否かを確認するときに必要な車内通信エリアと、前記電子キーが車外に存在するか否かを確認するときに必要な車外通信エリアとの少なくともいずれか一方の調整である
ことを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の電子キーシステムの通信エリア調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−2114(P2013−2114A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133489(P2011−133489)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】