説明

電子キー車外持ち出し警報制御装置

【課題】ユーザにとって真に必要な状況のときに電子キーの持ち出し警報を報知することができる電子キー車外持ち出し警報制御装置を提供する。
【解決手段】照合ECU5は、電子キー車外持ち出し警報制御の動作態様を設定する動作設定部21を備える。動作設定部21は、乗員が降車する際、車両1に1人しか乗車していないことを確認すると、電子キー車外持ち出し警報制御をオフに設定する。また、動作設定部21は、車両1に複数乗員が乗車している際、乗員降車時、車内に乗員が残った状態であれば、電子キー車外持ち出し警報制御をオンに設定し、全乗員が降車する状況であれば、電子キー車外持ち出し警報制御をオフに設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両電源オン中に電子キーが車外に持ち出されると警報を報知する電子キー車外持ち出し警報制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多くの車両には、車両からの通信を契機に狭域(例えば数m)の無線通信によって電子キーをID照合するキー操作フリーシステムが搭載されている。このキー操作フリーシステムでは、電子キーが車外に位置するときにID照合(車外スマート照合)が成立すれば、車両ドアの施解錠が許可/実行され、電子キーが車内に位置するときにID照合(車内スマート照合)が成立すれば、車内のエンジンスイッチの単なる押し操作によってのエンジン始動が許可される。
【0003】
このキー操作フリーシステムには、車両電源がオン状態で電子キーが車外に持ち出された際に警報を吹鳴する電子キー車外持ち出し警報機能が設けられているものもある(特許文献1等参照)。電子キー車外持ち出し警報機能は、車両電源オンかつ車速なしの状況下でドア開閉を検出すると、キー操作フリーシステムで車内に電子キーが存在するか否かを確認し、車内に電子キーがなければ、電子キーが車外に持ち出されたとして警報を吹鳴する。よって、電子キーが車外に持ち出されたままの車両の再発進が防止されるので、例えば目的地に到着してエンジンを停止したとき、手元に電子キーがなくてエンジンが再始動できなくなる問題が生じない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−208525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、例えば車両に運転者1人のみ乗車しているとき、電子キーを所持した運転者が例えばトランクの荷物を取ろうとエンジンを始動したままドア開閉して降車すると、電子キー車外持ち出し警報機能が作動してしまうことになる。即ち、車両に1人乗りのときも電子キーの持ち出し警報が吹鳴してしまい、運転者が煩わしく感じていた。また、複数人乗車中、誰も降車せずにドアを開閉した際、ノイズなどの影響によって電子キーが車内に存在しないと判定されると、このときも警報が吹鳴してしまう問題があった。
【0006】
本発明の目的は、ユーザにとって真に必要な状況のときに電子キーの持ち出し警報を報知することができる電子キー車外持ち出し警報制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記問題点を解決するために、本発明では、電子キーとの無線通信によってID照合を行う車両に搭載され、車両電源がオン中に車速が閾値以下でドアが開閉された際、前記電子キーが車外に持ち出されたことを検出すると警報を報知する電子キー車外持ち出し警報制御を実行する電子キー車外持ち出し警報制御装置において、乗員降車時に車内における乗員の有無を検出する検出手段と、乗員降車時、前記車内に乗員が存在していれば前記電子キー車外持ち出し警報制御をオンに設定し、前記車内に乗員が存在していなければ前記電子キー車外持ち出し警報制御をオフに設定する動作設定手段とを備えたことを要旨とする。
【0008】
本発明の構成によれば、例えば停車中(車両電源オン、車速なし)の車両から乗員が降車する際、車内に乗員が存在していなければ、電子キー車外持ち出し警報制御がオフに設定される。このため、停車中の車両からの乗員降車時、車内に誰もいないという電子キー車外持ち出し警報の実施必要のない状況下では、同警報を報知させずに済むので、無駄な警報による煩わしさをユーザに感じさせずに済む。一方、例えば停車中の車両から乗員が降車する際、車内に乗員が存在していれば、電子キー車外持ち出し警報制御がオンに設定される。このため、停車中の車両からの乗員降車時、車内に乗員がいるという電子キー車外持ち出し警報の実施必要のある状況下では、同警報を報知することが可能となるので、通常通り、電子キー車外持ち出し警報が実施可能となる。以上により、ユーザにとって真に必要な状況のときに電子キー持ち出し警報を報知することが可能となる。
【0009】
本発明では、前記動作設定手段は、ドアが開操作された際、車内に人が存在するか否かの確認を実行することを要旨とする。この構成によれば、ドア開を検出した際に車内の乗員人数の確認を行うようにしたので、好適なタイミングで乗員人数の判定を行うことが可能となる。
【0010】
本発明では、前記動作設定手段は、車両電源がオン、かつ車速が閾値以下のとき、前記ドアが開操作されたことを検出すると、車内に人が存在するか否かの確認を実行することを要旨とする。この構成によれば、乗員人数の判定開始の条件を、車両電源がオン、車速が閾値以下、ドアの開操作の3条件としたので、乗員人数の判定開始の精度を向上することが可能となる。即ち、乗員人数判定を無駄に行うことがなくなる。
【0011】
本発明では、前記動作設定手段は、1人しか乗車していない前記車両で、その乗員が降車したことを確認すると、前記電子キー車外持ち出し警報制御をオフに設定することを要旨とする。この構成によれば、車両に運転者が1人で乗車している際、例えば停車中(車両電源オン、車速なし)の車両から、運転者がキーを所持して一時的に降車するときには、電子キー車外持ち出し警報制御がオフに設定される。このため、例えば1人乗りしている車両から、運転者がトランク等を開けようとして一時的に降車する場合であっても、電子キー車外持ち出し警報が報知されないので、無駄な警報による煩わしさを運転者に感じさせずに済む。
【0012】
本発明では、前記動作設定手段は、複数人乗車した前記車両において、1人でも降車を確認しつつ降車が済んだ際に車内に乗員が1人でも残っていれば、前記電子キー車外持ち出し警報制御をオンに設定し、全乗員が降車すれば、前記電子キー車外持ち出し警報制御をオフに設定することを要旨とする。この構成によれば、車両に複数人が乗車している際、例えば停車中の車両から、車内に人が残った状態で乗員が降車した際には、電子キー車外持ち出し警報制御がオンに設定される。このため、車内に人が残った状態で乗員が降車した際には、電子キー車外持ち出し警報が報知されるので、車両電源がオン状況下で車内に乗員が残っているにも拘わらず、電子キーが車外に持ち出されてしまうことが防止される。一方、例えば停車中の車両から、全乗員(キー所持者、他乗員)が降車した際には、電子キー車外持ち出し警報制御がオフに設定される。このため、全乗員が降車した際には、電子キー車外持ち出し警報制御が実施されないので、不要な警報を実行させずに済む。
【0013】
本発明では、前記電子キー車外持ち出し警報制御は、車両電源がオンであることと、車速が閾値以下であることと、ドアが閉であることとを条件に、車内におけるID照合を行い、当該ID照合が成立しなければ、前記電子キーが車外に持ち出されたとして、警報を報知する制御であることを要旨とする。この構成によれば、例えば車両に設置済みの電子キーシステムを用いて電子キーの車外持ち出し判定を行うことが可能となるので、電子キーの車外持ち出しの判定において、新たな部品追加が不要となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ユーザにとって真に必要な状況のときに電子キーの持ち出し警報を報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】一実施形態における電子キー車外持ち出し警報制御装置の構成図。
【図2】1人のみ乗車する車両から乗員が降車する様子を示す説明図。
【図3】複数人乗車する車両から一乗員のみが降車する様子を示す説明図。
【図4】複数人乗車する車両から全乗員が降車する様子を示す説明図。
【図5】電子キー車外持ち出し警報動作設定機能の動作内容を示すフローチャート。
【図6】別例における電子キー車外持ち出し警報制御装置の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した電子キー車外持ち出し警報制御装置の一実施形態を図1〜図5に従って説明する。
図1に示すように、車両1には、車両1からの通信を契機に狭域(通信距離:約数m)の無線通信(スマート通信)によって電子キー2とID照合(スマート照合)を行うキー操作フリーシステム3が設けられている。キー操作フリーシステム3では、車外の電子キー2と車外スマート照合が成立すれば、乗降車する一連のドア開閉操作の過程で車両ドアが自動で施解錠され、車内の電子キー2と車内スマート照合が成立すれば、車内に設置されたエンジンスイッチ4の単なる押し操作による車両電源の遷移操作が許可される。
【0017】
キー操作フリーシステム3には、電子キー2とID照合を行う照合ECU(Electronic Control Unit)5と、車載電装品の電源を管理するボディECU6と、エンジンを制御するエンジンECU7とが設けられ、これらが車内のバス8を通じて接続されている。照合ECU5には、電子キー2の固有のIDコードが登録されている。照合ECU5には、車外にLF(Low Frequency)帯の電波を送信可能な車外送信機9と、車内にLF電波を送信可能な車内送信機10と、UHF(Ultra High Frequency)帯の電波を受信可能な車両受信機11とが接続されている。
【0018】
車両ドアのアウトサイドハンドル12には、アンロック操作を検出するタッチセンサ13と、ロック操作を検出するロックボタン14とが設けられている。タッチセンサ13及びロックボタン14は、電気配線を介して照合ECU5に接続されている。
【0019】
電子キー2が車外に位置するとき、照合ECU5は、車外送信機9からリクエスト信号Srqを断続的に送信して車外スマート通信を実行する。電子キー2は、この車外通信エリアに進入してリクエスト信号Srqを受信すると、待機状態から起動状態に切り換わり、スマート照合用のID信号Sidを送信する。ID信号Sidには、電子キー2に登録されたIDコードが含まれている。照合ECU5は、車外の電子キー2から送信されたID信号Sidを車両受信機11で受信すると、車外スマート照合を実行し、この照合が成立すれば、ボディECU6による車両ドアのドアロック施解錠を許可/実行させる。このため、車両ドアの施錠時、車外スマート照合が成立する状況下において、タッチセンサ13にてアウトサイドハンドル12がタッチ操作されたことを検出すると、車両ドアが解錠される。一方、車両ドアの解錠時、ロックボタン14が操作されると、車外スマート照合が開始され、照合が成立すれば、車両ドアが施錠される。
【0020】
電子キー2が車内に進入すると、車外送信機9に代わり、今度は車内送信機10がリクエスト信号Srqの送信を開始することにより車内スマート通信が実行される。そして、車内において車外と同様の車内スマート照合が実行され、この照合が成立すれば、エンジンスイッチ4による車両電源の遷移操作/エンジン始動操作が許可される。
【0021】
キー操作フリーシステム3には、電子キー2が車内にある状態で車両ドアが施錠されてしまうことを防止する電子キー車内置き忘れ警報機能が設けられている。この場合、ボディECU6には、電子キー車内置き忘れ警報制御を実行する車内置き忘れ警報制御部15が設けられている。ボディECU6には、車両ドアの開閉状態を検出するドアカーテシスイッチ16が接続されている。ドアカーテシスイッチ16は、ドア開閉検出信号(ドア開検出信号/ドア閉検出信号)をボディECU6に出力する。ボディECU6には、車内/車外に音声を報知可能なブザー17が接続されている。ボディECU6には、各種計器類を表示するコンビネーションメータ18が接続されている。
【0022】
車内置き忘れ警報制御部15は、車両電源(イグニッションスイッチ)がオフ(ACCオフ、IGオフ)かつ車両ドアの全てが閉状態の際、ロックボタン14が操作されたことを検出すると、電子キー車内置き忘れ警報制御を実行する。このとき、車内置き忘れ警報制御部15は、車内スマート照合が成立するか否かを確認することにより、電子キー2の車内置き忘れを判定する。車内置き忘れ警報制御部15は、車内スマート照合が成立することを確認すると、電子キー2が車内に置き忘れてあると認識し、その旨をブザー17で吹鳴する。
【0023】
キー操作フリーシステム3には、エンジン始動中に電子キー2が車外に持ち出されたか否かを判定する電子キー車外持ち出し警報機能が設けられている。この場合、ボディECU6には、電子キー車外持ち出し警報制御を実行する車外持ち出し警報制御部19が設けられている。
【0024】
車外持ち出し警報制御部19は、車両電源(イグニッションスイッチ)がオン(ACCオン、IGオン)、車速なし、ドア閉を条件に、車内スマート照合を行って電子キー車外持ち出し警報制御を実行する。このとき、車外持ち出し警報制御部19は、車内スマート照合が成立しないことを確認すると、電子キー2が車外に持ち出されたと認識し、その旨をブザー17やコンビネーションメータ18で報知する。車外持ち出し警報は、ブザー17による所定回数の吹鳴や、コンビネーションメータ18による吹鳴及び画面表示などがある。車外持ち出し警報は、例えば車両電源がオンに切り換わったり車内に電子キー2が戻されたりすると停止する。
【0025】
本例の電子キー車外持ち出し警報機能には、電子キー車外持ち出し警報機能の動作を車内の乗員人数を考慮に入れて設定する電子キー車外持ち出し警報動作設定機能が設けられている。本例の電子キー車外持ち出し警報動作設定機能は、車両ドアを開閉して乗員が降車した際、車内に1人以上の乗員が残っている場合にのみ、電子キー持ち出し警報制御を実施するように動作設定する。
【0026】
この場合、ボディECU6には、シートに人が着座しているか否かを検出するシートセンサ20が接続されている。シートセンサ20は、運転席シート、助手席シート、後部右側シート、後部左側シートなどの各シートに設けられている。シートセンサ20は、着座有無を通知する着座検出信号(オン信号/オフ信号)をボディECU6に出力する。また、ボディECU6は、シートセンサ20の検出結果を、車内のバス8を介して照合ECU5に転送する。なお、シートセンサ20が検出手段を構成する。
【0027】
照合ECU5には、電子キー車外持ち出し警報機能の動作を設定する動作設定部21が設けられている。動作設定部21は、図2に示すように、例えば運転者が1人乗りしている車両1において、車両電源オン(ACCオン、IGオン)及び車速なしの状況下で、キー所持者がドア開閉して降車したことを検出すると、電子キー車外持ち出し警報制御を実施しない旨の通知として非動作要求を、バス8を介してボディECU6の車外持ち出し警報制御部19に出力する。また、動作設定部21は、図3に示すように、複数人が乗車する車両1において、車両電源オン(ACCオン、IGオン)及び車速なしの状況下で、車内に1人以上残った状態でキー所持者が降車したことを検出すると、電子キー車外持ち出し警報制御を実施する旨の通知として動作実行要求を、バス8を介してボディECU6の車外持ち出し警報制御部19に出力する。さらに、動作設定部21は、図4に示すように、複数人が乗車する車両1において、車両電源オン(ACCオン、IGオン)及び車速なしの状況下で、全乗員(キー所持者、他乗員)が降車したことを検出すると、バス8を介して車外持ち出し警報制御部19に非動作要求を出力する。なお、動作設定部21が動作設定手段に相当する。
【0028】
車外持ち出し警報制御部19は、動作設定部21から動作実行要求を入力すると、電子キー車外持ち出し警報制御を実行する。即ち、車外持ち出し警報制御部19は、車両電源オン(ACCオン、IGオン)、車速なし及びドア閉を認識する状況下において車内スマート照合を実施し、これが成立するか否かを確認することにより、電子キー2が車外に持ち出されたか否かを判定し、電子キー2が車外に持ち出されていれば、その旨をブザー17やコンビネーションメータ18で報知する。一方、車外持ち出し警報制御部19は、動作設定部21から非動作要求を入力すると、電子キー車外持ち出し警報制御を実行せず、停止状態で待機する。
【0029】
次に、電子キー車外持ち出し警報動作設定機能の動作を、図5のフローチャートの流れに沿って説明する。なお、図5のフローチャートは、車両電源オン(ACCオン、IGオン)で、かつ車速が閾値(例えば「0」)以下の条件を満たすときに逐次実行される。
【0030】
ステップ101において、動作設定部21は、車両1においてどこか1箇所で車両ドアが開操作されたか否かを判定する。このとき、ドア開操作を検出すればステップ102に移行し、ドア開操作を検出しなければステップ101で待機する。
【0031】
ステップ102において、動作設定部21は、シートセンサ20のセンサ出力を基に、2席以上でオン信号を入力したか否かを判定する。このとき、図2に示すように、車両1に1人のみ乗車する場合であれば、ステップ102の判定でNOとなり、ステップ103に移行する。よって、動作設定部21は、ステップ102でNOと判定したとき、非動作要求を車外持ち出し警報制御部19に出力する。
【0032】
ステップ103において、車外持ち出し警報制御部19は、動作設定部21から入力した非動作要求により、電子キー車外持ち出し警報制御をオフに設定する。即ち、図2に示すように運転者が1人乗りしている車両1において、車両電源オン(ACCオン、IGオン)かつ車速なしの状況下で、ドア開閉を伴いキー所持者(運転者)が降車した際には、電子キー車外持ち出し警報制御が実施されない。このため、1人乗りしている車両1で、エンジンを始動させたまま運転者が降車しても、電子キー車外持ち出し警報が吹鳴されず、運転者に不快な思いをさせずに済む。
【0033】
一方、ステップ102の判定において、図3及び図4に示すように、車両1に複数人乗車する場合であれば、ステップ102の判定でYESとなり、ステップ104に移行する。動作設定部21は、2席以上でシートセンサ20のオン信号を入力すると、ボディECU6内のメモリ(図示略)のシートセンサフラグを「0」にして、その旨を保持する。
【0034】
ステップ104において、動作設定部21は、シートセンサ20のセンサ出力を監視する。即ち、動作設定部21は、シートセンサ20のセンサ出力がオン→オフに切り換わったものがあるか否かを監視することにより、乗員が降車したか否かを確認する。動作設定部21は、シートセンサ20のセンサ出力がオフに切り換わったことを確認すると、シートフラグセンサを「1」に切り換え、その旨を保持する。
【0035】
ステップ105において、動作設定部21は、車両1の全ドアが閉状態になったか否かを判定する。このとき、全ドアが閉状態になっていればステップ106に移行し、全ドアが閉状態になっていなければステップ104の処理を継続する。
【0036】
ステップ106において、動作設定部21は、シートセンサフラグが「1」で、かつシートセンサ20からのセンサ出力が1席以上でオンか否かを判定する。このとき、図4に示すように、車両1に複数人乗車する状況下において全乗員が降車する場合であれば、ステップ106の判定でNOとなり、ステップ103に移行する。よって、動作設定部21は、ステップ106の判定でNOと判定したとき、非動作要求を車外持ち出し警報制御部19に出力する。このため、図4の場合は、電子キー車外持ち出し警報制御がオフとなり、実施されないことになる。
【0037】
一方、図3に示すように、車両1に複数人乗車する状況下において、車内に乗員が残った状態でキー所持者が降車する場合であれば、ステップ106の判定でYESとなり、ステップ107に移行する。よって、動作設定部21は、ステップ106の判定でYESと判定したとき、動作実行要求を車外持ち出し警報制御部19に出力する。
【0038】
ステップ107において、車外持ち出し警報制御部19は、動作設定部21から入力した動作実行要求により、電子キー車外持ち出し警報制御をオンに設定する。即ち、図3に示すように車内に乗員が残った状態でキー所持者が降車すると、電子キー車外持ち出し警報がブザー17やコンビネーションメータ18で報知される。これにより、キー所持者は車両電源がオンしたまま降車したことに気付くので、電子キー2が車内に戻され、車内に電子キー2を置いた状態に維持される。
【0039】
以上により、本例においては、車両電源オン及び車速なしの状況下でドアが開操作されると、各シートに設置されたシートセンサ20のセンサ出力を確認する。このとき、シートセンサ20のセンサ出力が1席のみでオンする場合、車両1が1人乗車されていると認識し、電子キー車外持ち出し警報制御をオフに設定する。このため、例えば運転者が車両1に1人で乗車しているとき、仮にエンジンをかけたままトランクの荷物を取りに行こうとして降車しても、電子キー車外持ち出し警報が報知されずに済む。よって、無駄に警報が報知されないので、運転者に煩わしさを感じさせずに済む。
【0040】
一方、車両電源オン及び車速なしの状況下でドアが開操作されたとき、シートセンサ20のセンサ出力が2席以上でオンする場合には、全てのドアが閉操作されるまでに、オン信号を出力するシートセンサ20がオフ出力に切り換わるか否かを監視する。そして、全ドアが閉状態となった際、1席以上のシートセンサ20でオンが維持されていれば、車内に乗員が残っていると認識し、電子キー車外持ち出し警報制御をオンに設定する。このため、車内に乗員がいる状況でキー所持者が降車した場合には、電子キー車外持ち出し警報が報知されるので、車両電源オン中の電子キーの車外持ち出しをユーザに通知することが可能となる。
【0041】
逆に、全ドアが閉状態となった際、全てのシートセンサ20がオフ出力になっていれば、車内に乗員が残っていないと認識し、電子キー車外持ち出し警報制御をオフに設定する。このため、車内に乗員が残っていないにも拘わらず、電子キー車外持ち出し警報が報知されずに済むので、無駄な警報を実施させずに済む。
【0042】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)停車中(車両電源オン、車速なし)の車両1からドア開閉操作を経て乗員が降車する際、車内に乗員が存在していなければ、電子キー車外持ち出し警報制御がオフに設定され、車内に乗員が存在していれば、電子キー車外持ち出し警報制御がオンに設定される。このため、ユーザにとって真に必要な状況のときにのみ、電子キー車外持ち出しの警報を報知させることができる。
【0043】
(2)仮に誰も降車せずにドアを開閉した際、ノイズ等により車内スマート照合が成立しない状況になっても、シートセンサ20の出力により、「シートフラグ=0」、つまり誰も降車(移動)していないと判定されているので、電子キー車外持ち出し警報は報知されない。よって、警報の誤動作を防止することができる。
【0044】
(3)ドア開を検出した際に車内の乗員人数の確認を行うようにしたので、好適なタイミングで乗員人数の判定を行うことができる。
(4)乗員人数の判定開始の条件を、車両電源がオンであることと、車速が閾値(本例の場合は「0」)以下であることと、ドアの開操作があったこととの3条件としたので、乗員人数の判定開始の精度をよくすることができる。即ち、乗員人数判定を無駄に行うことがなくなる。
【0045】
(5)車両1に運転者が1人で乗車している際、停車中の車両1から運転者が電子キー2を所持して一時的に降車するときには、電子キー車外持ち出し警報制御がオフに設定される。このため、例えば1人乗りしている車両1から運転者がトランク等を開けようとして一時的に降車する場合であっても、電子キー車外持ち出し警報が報知されないので、無駄な警報による煩わしさを運転者に感じさせずに済む。
【0046】
(6)車両1に複数人が乗車している際、停車中の車両1から、車内に人が残った状態で乗員が降車した際には、電子キー車外持ち出し警報制御がオンに設定され、全乗員が降車して車内に人が残っていない際には、電子キー車外持ち出し警報制御がオフに設定される。このため、複数人乗車する車両1において、電子キー車外持ち出し警報制御を精度よく実施することができる。
【0047】
(7)電子キー車外持ち出し制御は、電子キー2が車外に持ち出された否かを、車内スマート照合の成立可否を確認することにより行う。このため、電子キー2の車外持ち出しを、キー操作フリーシステム3を利用して行うので、電子キー2の車外持ち出し有無の判定に際して、新たな部品追加を不要とすることができる。
【0048】
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・図6に示すように、乗員人数判定は、他のECU31を使用して判定する方式としてもよい。この場合、撮影部材(例えば、カメラ等)32で車内を撮影し、撮影部材32の画像データを、他のECU31としての画像処理ECUに出力する。そして、画像処理ECUが画像データを基に乗員有無を判定し、その判定結果をボディECU6に出力することで電子キー車外持ち出し警報制御の動作を設定する。なお、撮影部材32が検出手段を構成する。
【0049】
・図6の場合、撮影部材32は、カメラに代えて、赤外線センサ等を使用してもよい。
・図6の場合、他のECU31は、画像処理ECUに限定されず、使用するセンサに応じて適宜変更可能である。
【0050】
・動作設定部21は、照合ECU5や他のECU31に設けられることに限定されず、ボディECU6など、別の場所に設けてもよい。
・検出手段は、シートセンサ20に限定されず、車内における乗員の有無を検出できるものであれば、他のセンサやスイッチに適宜変更可能である。
【0051】
・電子キー車外持ち出し警報は、ブザー17やコンビネーションメータ18を用いた方式に限定されず、他の方式に適宜変更可能である。
・電子キー車外持ち出し警報制御の制御態様は、実施形態に記載した例に限定されず、他の方式に適宜変更可能である。
【0052】
・乗員人数判定開始は、ドア開操作時であることに限定されず、例えば車速が「0」となったときなど、他のタイミングに変更可能である。
・キー操作フリーシステム3は、例えば車両1から離間すると自動でロックされ、車両1に近づくと自動で施錠するものでもよい。
【0053】
・キー操作フリーシステム3は、例えば運転席側と助手席側とに各々送信機(送信アンテナ)を備え、これら送信機から送信されるリクエスト信号Srqに対する電子キー2の応答の論理判定によって、電子キー2の位置を判定するものでもよい。
【0054】
・キー操作フリーシステム3の通信方式は、狭域無線通信に限定されず、例えば近距離無線通信など、他の通信方式を採用可能である。
・キー操作フリーシステム3で使用する電波の周波数は、LFやUHFに限定されず、他の周波数に変更可能である。
【0055】
・キー操作フリーシステム3は、エンジンスイッチ4を押し操作してエンジンを始動可能なプッシュ式に限定されず、例えばノブを回すことによりエンジンを始動させるロータリ式でもよい。
【0056】
・降車の検出方式は、ドア開閉とシート着座とを確認する方式に限定されず、他の方式に適宜変更可能である。
・ドア開閉は、ドアカーテシスイッチ16を用いた方式に限定されず、他の方式に適宜変更可能である。
【0057】
・乗車人数判定は、車両電源オン、車速が閾値以下、及びドア開を条件に実行されることに限定されず、例えば逐次実行されてもよい。
・ドア開のとき、乗員が1人のみの場合、電子キー車外持ち出し警報制御をオフに設定し、乗員が複数の場合、電子キー車外持ち出し警報制御をオンに設定するようにしてもよい。
【0058】
・車両1が1人乗りであるか否かの判定は、省略することが可能である。
【符号の説明】
【0059】
1…車両、2…電子キー、20…検出手段を構成するシートセンサ、21…動作設定手段としての動作設定部、32…検出手段を構成する撮影部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子キーとの無線通信によってID照合を行う車両に搭載され、車両電源がオン中に車速が閾値以下でドアが開閉された際、前記電子キーが車外に持ち出されたことを検出すると警報を報知する電子キー車外持ち出し警報制御を実行する電子キー車外持ち出し警報制御装置において、
乗員降車時に車内における乗員の有無を検出する検出手段と、
乗員降車時、前記車内に乗員が存在していれば前記電子キー車外持ち出し警報制御をオンに設定し、前記車内に乗員が存在していなければ前記電子キー車外持ち出し警報制御をオフに設定する動作設定手段と
を備えたことを特徴とする電子キー車外持ち出し警報制御装置。
【請求項2】
前記動作設定手段は、ドアが開操作された際、車内に人が存在するか否かの確認を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の電子キー車外持ち出し警報制御装置。
【請求項3】
前記動作設定手段は、車両電源がオン、かつ車速が閾値以下のとき、前記ドアが開操作されたことを検出すると、車内に人が存在するか否かの確認を実行する
ことを特徴とする請求項2に記載の電子キー車外持ち出し警報制御装置。
【請求項4】
前記動作設定手段は、1人しか乗車していない前記車両で、その乗員が降車したことを確認すると、前記電子キー車外持ち出し警報制御をオフに設定する
ことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の電子キー車外持ち出し警報制御装置。
【請求項5】
前記動作設定手段は、複数人乗車した前記車両において、1人でも降車を確認しつつ降車が済んだ際に車内に乗員が1人でも残っていれば、前記電子キー車外持ち出し警報制御をオンに設定し、全乗員が降車すれば、前記電子キー車外持ち出し警報制御をオフに設定する
ことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の電子キー車外持ち出し警報制御装置。
【請求項6】
前記電子キー車外持ち出し警報制御は、車両電源がオンであることと、車速が閾値以下であることと、ドアが閉であることとを条件に、車内におけるID照合を行い、当該ID照合が成立しなければ、前記電子キーが車外に持ち出されたとして、警報を報知する制御である
ことを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の電子キー車外持ち出し警報制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−100676(P2013−100676A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244746(P2011−244746)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】