説明

電子スチルカメラシステム

【目的】行楽地や娯楽施設等におけるカメラの利用を促進する電子スチルカメラシステムを提供する。
【構成】電子スチルカメラ本体と外部装置を別体とし、通信手段によりデータの転送を可能とする電子スチルカメラには受信器9と発信器10とを設け、カメラの撮像系3および記録系から映像信号処理系と画像出力系を外部装置16として分離する。撮影条件や画像出力装置、TV方式等の違いによる映像信号処理プロセスの違いを外部装置側の映像信号処理部で吸収して処理することによって、カメラ本体の構成を簡略化し、かつ受信器9と発信器10による通信手段を使ったサービスを可能とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、撮影した画像を半導体メモリや磁気記録媒体に記録する電子スチルカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、行楽地等においては、カメラを必要に応じて現地調達でき、又面倒なフィルム交換をせずに済むという便利さから”使い捨てカメラ”と呼ばれるレンズ付きフィルムが多く市場に出回っている。このレンズ付きフィルムがユーザーに受けている点は、画質においては、普通のコンパクトカメラに劣るものではあっても、写真を撮りたいときに撮りたい場所で安価に入手できるという手軽さがあるためである。つまり、実はユーザーのニーズはカメラにあるのではなく、撮影した画像が映っているフィルムにあり、それをDPEしたプリント判にあるということが言える。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年地球環境に優しいエコロジー商品なるものが注目されており、無公害、省資源商品に対するメーカー、ユーザー双方の関心が高まっているが、使い捨てカメラであるレンズ付きフィルムは、使用後にフィルムを取り出した残りのレンズ等の部品が無駄になるということからこれらのリサイクルが行われている。また、フィルムを現像するための化学薬品も環境破壊のもとになるために、廃棄に関しては、適切な廃棄処理が必要になるなど実は様々な手間が掛かっている。
【0004】しかも、実際に撮影した写真のプリント判を得るためには、フィルムを現像に出さなければならず、手軽で便利とは言え即時性という点では、まだ物足りなさが残るものである。
【0005】このような観点から、近年半導体メモリや磁気ディスク等の記録媒体上に撮影した画像を記録する電子スチルカメラが注目されており、特に、最近小型薄型の電子スチルカメラが多数特許出願されている(特開平1ー220979、特開平1ー220980他)。しかし、電子スチルカメラのように電子映像を記録再生するには、レンズや固体撮像素子等の撮像系の他に、撮影時の撮影条件や出力装置に応じて撮像素子から読み出される画像信号に対して露出補正やγ補正やホワイトバランス等の様々な映像信号処理を施さなければならず、またデジタル記録方式の場合には、ICカード等の記録媒体に多くの画像を記録するためには、画像信号の情報圧縮を行わなければならないので、実際に美しい画像を記録再生することが可能な電子スチルカメラをカードサイズまで小型化し、しかも前記使い捨てカメラ(レンズ付きフィルム)のように低価格で提供することは容易ではない。
【0006】しかし、ユーザーが本当に必要としているのは、カメラでもフィルムでもなく、撮影した画像そのものであり、その画像の画像データもしくはプリント判である。また、一般ユーザーが遊園地やスキー場等の行楽地で、もっと手軽に写真を撮りたいという要望があることは、前記レンズ付きフィルムの売れ行きからも明らかである。
【0007】本出願人は、この点に着目して、行楽地において、電子スチルカメラを貸出して、ユーザーは撮影した画像の画像データやハードコピーを持ち帰るというシステムを考案したが、実用にあたっては、NTSC,HDTV,PAL等のTV信号の規格による違いがあること、ビデオテープやICメモリカード、DAT,FD、フォトCDなどユーザーが使用している画像再生装置には、様々な種類の記録媒体が使われていることにより、それぞれの方式に対応した映像信号処理機能を持った多種類のカメラを使い分けて貸出さなければならず、またそのままカメラを貸出してしまっては事業として成立たなくなってしまう。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題に対する考察から、あえて映像信号処理プロセスのための種々の補正値つまり映像信号処理データの算出を例えば行楽地の敷地内に常設された専用の外部装置に行わせて、その映像信号処理データを必要に応じて無線で伝送しておけば、ユーザーはこの情報を受信器により受信して記録し、映像信号処理テーブル及び画像データの記録メモリを持ったカメラを借りて撮影を行い、必要なときに外部装置に取り付けられたデータ転送装置やハードコピー装置で、ICカード等に画像データを圧縮転送してもらい受けたり、ハードコピーとして受取ることができるように電子スチルカメラシステムを構成し、行楽地の敷地外では、撮影や再生が不可能となるようにすることによって前記問題点の解決をはかるようにした。
【0009】具体的には、撮像手段及び記録手段と通信手段を備えてなる電子スチルカメラ本体と、映像信号処理手段と画像出力手段と通信手段を備えてなる外部装置とから構成し、前記電子スチルカメラ本体及び外部装置双方に設けられた通信手段により映像信号処理データを送受信して電子スチルカメラ本体又は外部装置で映像信号の処理を行うように電子スチルカメラシステムを構成した。
【0010】
【作用】上記のように、本発明を構成したので、電子スチルカメラシステムを遊園地やスキー場、ゴルフ場の施設や敷地等の特定の地域でレンタル用に用いることによって、ユーザはカメラを持ち歩かなくても撮りたいときに撮りたい場所で手軽且つ安価に写真撮影を行うことが出来、しかも撮影した画像を本来必要としている画像データやハードコピーの形で選択的かつ即時に手に入れることが出来るようになる。
【0011】しかも本発明における電子スチルカメラ本体は、映像信号処理データを伝送する外部装置と一緒に使用しなければならず、心ないユーザが持ち帰ってしまったしても使用することは出来ないために、貸出したカメラが回収できないという恐れが低減する。
【0012】また、本発明の構成により電子スチルカメラに露出補正やホワイトバランス等の映像信号処理を行うための特別な付加回路や画像情報圧縮回路を搭載する必要がなくなり、電子スチルカメラ本体の構成の簡略化による小型化、低価格化が実現可能となり、さらに映像信号処理データを算出する外部装置を最適な状態に調整しておけば、撮影者による適正露出補正値の調整などの手間を掛けずに、良好な状態の撮影が可能になるために、簡単なカメラ構成で高画質のデジタル映像信号処理を行った高品質の画像を得ることが可能になる。
【0013】本発明の電子スチルカメラシステムは、ユーザが所持するカメラと施設内の各所に設置された外部装置の間で通信手段を有しているために通信機能を映像処理信号データの通信以外にも、例えば遊園地では迷子情報や乗物の案内や混雑情報等のサービス情報を通信することも可能であるし、スキー場では危険地域に近ずいたときの警告に利用したり、ゴルフ場では電子スチルカメラの即時性を生かして連写機能によるフォームのチェックに利用するなどの、それぞれの行楽地独自の様々な応用が可能となる。
【0014】更に、外部装置からの撮影禁止信号を発信させることにより撮影する場所や時間帯を制限することもできるので、従来まではカメラの持込み厳禁であった場所にも時間帯や場所や撮影者を限定して撮影させることも可能となる。
【0015】
【実施例】以下、図面を用いて本発明の実施例を詳細に説明する。
【0016】図において、同じ部位は同じ符号で示す。
【0017】図1は、本発明の電子スチルカメラシステムを構成する主として電子スチルカメラ35側の実施例を示す回路ブロック図である。
【0018】図2は、本発明の電子スチルカメラシステムを構成する主として外部装置16の実施例を示す回路ブロック図である。
【0019】図1において、35は電子スチルカメラであり、16は外部装置である。電子スチルカメラ35は、レンズ1、ミラー2、カメラ撮像系3、固体撮像素子4、固体撮像素子駆動回路5、A/D変換器6、映像信号処理部7、ビデオRAM8、受信器9、発信器10、CPU11、レリーズボタン12、外部出力端子13、LED14、ファインダ15とから構成されている。
【0020】外部装置16は、図2に示すように、レンズ17、固体撮像素子18、固体撮像素子駆動装置19、A/D変換器20、ビデオRAM21、映像信号処理データ算出部22、発信器23、受信器24、CPU25、ネットワーク接続端子26、カメラ接続端子27、映像信号処理部28、出力装置選択スイッチ29、選択ボタン30、ハードコピー出力装置31、ICカードスロット32、D/A変換器33、再生モニタ34とから構成されている。
【0021】例えば、遊園地内の屋外及び屋内の各施設には、随所に外部装置16という映像信号処理機能と画像(データ)出力機能を備えた装置が随所に設置されている。この外部装置16では、遊園地の開演時間中は、CPU25の制御によって随時固体撮像素子18から信号が読み出されており、読み出された画像信号は、A/D変換器20でデジタルデータに変換されてビデオRAM21に書込まれていく。そして映像信号処理データ算出部22では、露出を補正するために行うAGC(オートゲインコントロール)のための補正値や、撮像素子18の光電変換特性とハードコピー出力装置31や再生モニタ34等の画像出力装置の入出力特性との違いを補うためのγ補正値や、ホワイトバランスを調整するための補正値等の映像信号処理に必要なデータの算出が行われている。
【0022】さて、遊園地内の電子スチルカメラ35貸出し所で電子スチルカメラ35を借りたユーザーが撮影を行うためには、撮影者がファインダ15をのぞきながらカメラアングルを決めて撮影動作に入り、レリーズボタン12を半押し状態にすると、カメラCPU11の制御によってカメラ35側の発信器10からカメラID信号(映像信号処理データ獲得要求信号)が発信される。
【0023】そして、撮影者の近くにある外部装置16側ではカメラ35から発信されたこのカメラID信号を指向性を持った受信器24で受信し、受信信号の強度等から外部装置16側のCPU25が受信した信号が有効であると判断すると、映像信号処理データ算出部22および発信器23に命令を出して、発信器23からカメラ35に映像信号処理データを発信する。カメラ35側では、外部装置16から発信された映像信号処理データを受信器9で受信して、そのデータを映像信号処理部7の中にあるメモリに記録していく。映像信号処理部7では、映像信号に必要なデータを全てメモリに記録し終わると、カメラCPU11に対してレディ信号を出す。カメラCPU11は、映像信号処理部7がレディ信号によりレディ状態になると、LED14を点灯させて撮影者に撮影可能状態になったことを知らせる。この時、撮影禁止場所であったり、撮影禁止時間であれば外部装16置から撮影禁止信号が返されるので、カメラCPU11は、LED14を点滅させるなどして撮影の禁止をカメラ35の所持者に知らせるように構成することも出来る。
【0024】撮影者は、ファインダ15でLED14の点灯を確認して、レリーズボタン12を更に押し込むことによってミラー2が跳ね上がり、固体撮像素子4上に結像した画像が、光電変換されて固体撮像素子駆動装置5の制御によって読み出され、る。そしてA/D変換器6でデジタル化された画像データが、映像信号処理部7の中の映像信号処理データが記録されているメモリを参照する形で補正処理されて、ビデオRAM8に書込まれる。CPU11は、画像データの記録が正常に終了するとLED14を消灯して一連の撮影動作を終え、ビデオRAM8のメモリ容量不足等で異常終了すると、LED14を点滅させて撮影者に撮影動作が失敗したことを知らせる。
【0025】つぎに、撮影者が撮影した画像を確認したいときや撮影した画像の画像データを自分の持っている電子手帳のICカードに転送したり、ハードコピーをとる場合の説明を行う。
【0026】まず、ユーザーが最寄の外部装置16のカメラ接続端子27にカメラ35の出力端子13を接続すると、カメラCPU11の制御によってカメラ35のビデオRAM8に記録されている一番目の画像データが読み出されて、出力端子13から出力され、外部装置16側ではまず外部装置CPU25の制御によって出力装置選択スイッチ29のスイッチ29cが再生モニタ34の側に接続されて、外部装置16のカメラ接続端子27から入力された画像データに外部装置16側の映像信号処理部28で画素補完やマトリクス演算等の映像信号処理が行われた後、D/A変換器33でアナログ信号に変換されて再生モニタ34に表示される。
【0027】ユーザーは、再生モニタ34に表示された画像を見て、例えば次の画像を見たければ、選択ボタン30の次画面のボタンを押せば、外部装置CPU25からカメラCPU11に命令が出されて、カメラ35側のビデオRAM8から次の画像が読み出されて、外部装置16の再生モニタ34に表示される。また、自分の持っているICカードに画像データを転送したければ、外部装置16のICカードスロット32にICカードを差込んで、選択ボタン30の転送ボタンと自分の使用している再生機の機種ボタンを押せば、外部装置16側の映像信号処理部28で必要な映像信号処理が行われ、図示しないエンコーダで画像情報圧縮が行われて、ICカードに転送される。さらにハードコピーを取りたければ、図示しないコイン投入口に規定の料金を支払って選択ボタン30のハードコピー出力装置31からハードコピーがプリント出力される。29a、29bはハードコピー出力、ICカード転送を切換えるスイッチである。
【0028】なお、図2中では出力装置としてハードコピー出力装置31とICカードスロット32と再生モニタ34の3つの出力装置しか図示していないが、図2の構成からも明らかなように、VTRやDATのカセット、FDやフォトCDのスロットを取り付けたり、電話回線等の通信回線に接続するなど様々な出力装置を接続することも可能である。
【0029】次に本発明の作用に示した電子スチルカメラと外部装置の通信機能とカメラに内蔵された半導体メモリを利用したサービスについての説明を行う。
【0030】例えば、遊園地に入場して電子スチルカメラ35を借り受ける時に、イニシャルコストをいくらか支払い、カメラ35内部のビデオRAM8に前払い料金情報を記録してもらい、園内で乗車した乗物の料金やレストランでの飲食代が引き落とされるようにしてキャッシュレスサービスを行うことができる。
【0031】また、迷子探しや待ち合せに遅れた場合に連絡を取りたい場合には、園内の近くのサービスカウンタやサービスダイヤルに連絡すると、遊園地の中央管理室のホストコンピュータからネットワークを介して園内の各外部装置16に命令が送られて、各外部装置16の発信器23から電子スチルカメラ35に対してカメラID信号とカメラID番号の獲得要求信号が送られ、電子スチルカメラ35側では受信器9で受信したこのカメラID信号が自分のカメラID番号であれば、CPU11によって図示しない警告手段からユーザーに対し警告が発せられるとともに、発信器10から外部装置16にカメラID信号が返される。カメラID信号が返されると、この信号を受信した近くの外部装置16がネットワーク接続端子26に接続されたネットワークを通して外部装置16の端末番号をホストコンピュータに返すことにより、カメラ35の所持者の居場所を割出して迷子探しや待ち合せの連絡を取ることが可能となる。
【0032】この他にも、例えば本発明のシステムをスキー場において使用する場合には、カメラ35内蔵のメモリにリフト券の使用情報を記録できるようにしたり、通信機能を滑走禁止区域に入って滑走する者の取り締まりや遭難した者の救出や迷子探しに役立てたり、カメラを防水構造にする等のサービスを行うことが出来る。またゴルフ場では、スコアの計算機能によるフォームのチェックサービスを持たせるなど様々な応用サービスが可能となる。
【0033】さらに、図2、図3をもとに本発明の電子スチルカメラシステムの他の実施例を説明する。
【0034】図3は、本発明によるレンタル電子スチルカメラシステムで使われる主として電子スチルカメラ35の別の実施例を示す回路ブロック図である。
【0035】行楽地の敷地内には、屋外及び屋内の各施設の随所に、図2に示す外部装置16という映像信号処理機能と画像(データ)出力機能を備えた装置が随所に設置されている。この外部装置16では、施設の営業時間中はCPU25の制御によって随時固体撮像素子18から信号が読み出されており、読み出された画像信号はA/D変換器20でデジタルデータに変換されて、ビデオRAM21に書込まれていく。そして映像信号処理データ算出部22で、露出を補正するために行うAGCのための補正値や再生モニタ34等の画像出力装置の入出力特性との違いを補うためのγ補正値や、ホワイトバランスを調整するための補正値等の映像信号処理に必要なデータの算出が行われている。
【0036】さて、施設内の電子スチルカメラ35貸出し所で、図3に示すような電子スチルカメラ35を借りたユーザーが撮影を行うためには、撮影者がファインダ15をのぞきながらカメラアングルを決めて撮影動作に入り、レリーズボタン12を半押し状態にすると、カメラCPU11の制御によってカメラ35側の発信器10からカメラID信号(映像信号処理データ獲得要求信号)が発信される。
【0037】そして、撮影者の近くにある外部装置16がカメラ35から発信されたこのカメラID信号を指向性を持った受信器24で受信し、受信信号の強度等から外部装置16側のCPU25が受信した信号が有効であると判断すると、発信器23に命令を出してカメラ35に対してレディ信号と外部装置端末番号および撮影時間の信号を返信する。
【0038】電子スチルカメラ35側では、外部装置16から発信されたレディ信号と外部装置端末番号および撮影時間の信号を受信器9で受信すると、カメラCPU11はビデオRAM8に画像ヘッダ情報として外部装置端末番号と撮影時間のデータを書込み、LED14を点灯させて撮影者に撮影可能状態になったことを知らせる。
【0039】このとき、撮影の禁止場所であったり、撮影禁止時間であると外部装置16から撮影禁止信号が返されるので、カメラCPU11はLED14を点滅させるなどそて撮影の禁止をカメラ35の所持者に知らせるように構成することも出来る。
【0040】撮影者は、ファインダ15でLED14の点灯を確認して、レリーズボタン12をさらに押込むことによってミラー2が跳ね上がり、固体撮像素子4上に結像した画像が光電変換されて固体撮像素子駆動装置5の制御によって読み出され、A/D変換器6でデジタル化された画像データがビデオRAM8に書込まれる。CPU11は、画像データの記録が正常に終了すると、LED14を消灯して一連の撮影動作を終え、ビデオRAM8のメモリ容量不足等で異常終了するとLED14を点滅させて撮影者に撮影動作が失敗したことを知らせる。
【0041】一方外部装置16側では、外部装置CPU25の制御によって、映像信号処理データ算出部22で随時算出されている撮影時の撮影条件に応じた映像信号処理を行うために必要な映像信号処理データが、映像信号処理データ算出部22から読み出されて、外部装置端末番号と撮影時間のデータと一緒にネットワーク接続端子27から図示しないホストコンピュータに転送される。
【0042】ここで、撮影者が撮影した画像を確認したいときや撮影した画像の画像データを自分の持っている電子手帳のICカードに転送したり、ハードコピーをとる場合の説明を行う。
【0043】まず、ユーザーが最寄の外部装置16のカメラ接続端子27にカメラの出力端子13を接続すると、カメラCPU11の制御によってカメラのビデオRAM8に記録されている一番目の画像データの外部装置端末番号と撮影時間に関するデータが読み出されて外部装置16に出力され、外部装置16側ではまず外部装置CPU25の制御によって出力装置選択スイッチ29が再生モニタ34の側に接続されて、更にネットワークを介してホストコンピュータにアクセスして、入力された外部装置端末番号と撮影時間の映像信号処理データを読み出して、映像信号処理部28内部の映像信号処理テーブルにロードした後、カメラ35側にレディ信号を返す。
【0044】外部装置16からレディ信号が返ると、カメラ35のビデオRAM8から画像データが読み出されて外部装置16に出力され、外部装置16側の映像信号処理部28で、内部の映像信号処理メモリにロードされたデータの参照によるデジタル方式のAGCやγ補正、ホワイトバランスの補正処理や、画素補完およびマトリクス演算等の映像信号処理が行われた後、D/A変換器33でアナログ信号に変換されて再生モニタ34に表示される。
【0045】ユーザーは、再生モニタ34に表示された画像を見て、例えば次の画像を見たければ、選択ボタン30の次画面のボタンを押せば、外部装置CPU25からカメラCPU11に命令が出されて、同様にして次の画像が外部装置16の再生モニタ34に表示される。また、自分の持っているICカードに画像データを転送したければ、ICカードスロット32にICカードを差込んで、選択ボタン30の転送ボタンと自分の使用している再生機の機種ボタンを押せば、外部装置16側の映像信号処理部28で必要な映像信号処理が行われ、図示しないエンコーダで画像情報圧縮が行われてICカードに転送される。ハードコピーを取りたければ、図示しないコイン投入口に規定の料金を支払って、選択ボタン30のハードコピーボタンを押せば映像信号処理部28で必要な映像信号処理がなされて、ハードコピー出力装置31からハードコピーがプリント出力される。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の構成ならびに方法によれば、ユーザーは行楽地に行って、写真を撮りたいときに撮りたい場所で必要な画像(データ)だけをすぐに手にすることができるようになり、また画質を劣化させることなく、電子スチルカメラの構成を簡略化できるので小型軽量薄型化および低価格化をはかることが可能となる。
【0047】更に、行楽地のTPOにあわせて、カメラに内蔵された通信機能と半導体メモリを利用した拡張機能によるさまざまな応用サービスを行うことが可能となり、しかもユーザーの所持するカメラに対して撮影を禁止させることも可能となるので、従来までは肖像権、秘密保持等の理由でカメラの持込み厳禁であった場所での限定的なカメラの使用を認めることもできるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子スチルカメラシステムを構成する主として電子スチルカメラを示す回路ブロック図である。
【図2】本発明の電子スチルカメラシステムを構成する主として外部装置を示す回路ブロック図である。
【図3】本発明のシステムを構成する主として電子スチルカメラの他の実施例を示す回路ブロック図である。
【符号の説明】
1 レンズ
2 ミラー
3 カメラ撮像系
4 固体撮像素子(カメラ35側)
5 固体撮像素子駆動回路(カメラ35側)
6 A/D変換器(カメラ35側)
7 映像信号処理部(カメラ35側)
8 ビデオRAM(カメラ35側)
9 受信器(カメラ35側)
10 発信器(カメラ35側)
11 CPU(カメラ35側)
12 レリーズボタン
13 外部出力端子
14 LED
15 ファインダ
16 外部装置
17 レンズ(外部装置光学系)
18 固体撮像素子(外部装置16側)
19 固体撮像素子駆動装置(外部装置16側)
20 A/D変換器
21 ビデオRAM(外部装置16側)
22 映像信号処理データ算出部
23 発信器(外部装置16側)
24 受信器(外部装置16側)
25 CPU(外部装置16側)
26 ネットワーク接続端子
27 カメラ接続端子
28 映像信号処理部(外部装置16側)
29 出力装置選択スイッチ
30 選択ボタン
31 ハードコピー出力装置
32 ICカードスロット
33 D/A変換器
34 再生モニタ
35 電子スチルカメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】撮像手段及び記録手段と通信手段を備えてなる電子スチルカメラ本体と、映像信号処理手段と画像出力手段と通信手段を備えてなる外部装置とから構成し、前記電子スチルカメラ本体及び外部装置双方に設けられた通信手段により映像信号処理データを送受信して電子スチルカメラ本体又は外部装置で映像信号の処理を行うように構成したことを特徴とする電子スチルカメラシステム。
【請求項2】撮像系と、カメラID信号を発信する発信器と、映像信号処理データを受信する受信器と、該受信器で受信した映像信号処理データを記録するとともに前記撮像系から読み出された画像信号に対し受信した映像信号処理データに基づいて映像信号処理を施すための映像信号処理部と、該映像信号処理された画像データを記録するための記録媒体とを有する電子スチルカメラと、前記発信器から発信されるカメラID信号を受信し、露出補正・ホワイトバランス・γ補正等の映像信号処理のための補正データを撮影条件に応じて算出するための受信器と、映像信号処理データ算出手段と、算出した映像信号処理データを前記電子スチルカメラに対して発信するための発信器と、外部記録媒体へ画像データを転送するデータ転送手段と、画像出力手段とを有する外部装置とから構成してなる電子スチルカメラシステム。
【請求項3】撮像素子と、カメラID信号を発信する発信器と、常設の外部装置から発信される撮影場所、時間情報又は各種サービス情報を受信するための受信器と、撮影者のレリーズ動作によって前記撮像素子から読み出される画像データを記録するための記録媒体とを有する電子スチルカメラと、該電子スチルカメラで撮影が行われた場所及び時間等の撮影条件に応じて、露出補正・ホワイトバランス・γ補正等の映像信号処理を行うための補正データを算出するための映像信号処理データ算出手段と、算出された映像信号処理データをホストコンピュータに伝送する伝送手段と、撮影場所及び時間を前記電子スチルカメラに対して通信する通信手段と、前記電子スチルカメラで撮影・記録された画像のデータに対して、撮影場所・時間等の撮影条件及び出力装置に対応する映像信号処理データをホストコンピュータから読み出して映像信号処理を行う映像信号処理部と、該映像信号処理部で信号処理された画像データを記録媒体又は通信回線にデータ転送する手段又は画像出力する手段とを有する外部装置とから構成してなる電子スチルカメラシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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