説明

電子スリットカメラ装置

【課題】 リニアセンサを使用した電子スリットカメラ等、画像取込装置において、任意の移動体の速度を測定できるようにすることを目的とする。また、取込んだ画像のリニアリティーを補正することを目的とする。
【解決手段】 一次元リニアセンサを使用したカメラにおいて、一つのレンズ系で得られた光学像を分光光学系により2経路に分岐し、一方のレンズ焦点面に画像取込用の第1のリニアセンサを移動体に直交して取付け、第2のリニアセンサを他方の焦点面に前記第1のリニアセンサと直交する位置に取付けたことを特徴とするリニアセンサカメラを有する電子スリットカメラ。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リニアセンサを使用した電子スリットカメラ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のリニアセンサを使用した画像取込装置は、移動体の移動方向に対し直交するようにリニアセンサを配置し、その移動体を画像メモリに記録していた。
【0003】しかし、この記録した画像は、リニアセンサの一定した取込み周期により記録されるため、取込まれた画像は撮像された移動体の速度によりそのリニアリティーが変化するという問題点がある。
【0004】また、移動体の速度を測定しようとした場合、その移動体の寸法が明確でないと算出されない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、リニアセンサを使用した電子スリットカメラ等、画像取込装置において、任意の移動体の速度を測定できるようにすることを目的とする。
【0006】また、取込んだ画像のリニアリティーを補正することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を達成するため、一次元リニアセンサを使用したカメラにおいて、一つのレンズ系で得られた光学像を分光光学系により2経路に分岐し、一つのレンズ焦点面に画像取込用の第1のリニアセンサを撮像する移動体に直交して取付け、もう一つの焦点面にそれと直交する第2のリニアセンサを取り付けたものである。すなわち、第2のリニアセンサは撮像する移動体に平行して取付けたものである。本発明はこれら第1、第2のリニアセンサカメラを使用し、それぞれのリニアセンサから得られた映像信号を画像メモリに記録し、その情報から速度の算出及び画像のリニアリティーの補正を行うものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の一実施例として、移動する自動車の速度の測定方法及び、リニアリティーの補正方法を図1〜図3により説明する。
【0009】図1は、この実施例の原理を示す図である。すなわち、本実施例において一つのレンズ系2で得られた光学像を分光光学系5−1,5−2により二経路に分岐し、一つのレンズ焦点面に画像取込用の第1のリニアセンサ4−1を撮像する移動体1に直交する方向に取付ける。もう一つの焦点面にそれと直交する第2のリニアセンサ4−2を撮像する移動体1に平行する方向に取付ける。このように第1、第2のリニアセンサ4−1,4−2と分光光学系5−1,5−2で構成したのがリニアセンサカメラ3であり、その撮像状態の概念を示したものが図2である。1は移動体で自動車を図示している。
【0010】図3は、上記リニアセンサカメラ3を使用した画像取込装置7の構成を示す。
【0011】上記リニアセンサカメラ3を移動体1である自動車の通過するライン上に設置し、第1、第2のリニアセンサ4−1,4−2を同期した一定の時間で走査する。各リニアセンサ4−1,4−2から得られる電気信号を各走査毎にA/D変換器8−1,8−2によりA/D変換し、それを時系列に画像メモリ9−1,9−2に記録することにより図4、5に示すような概念の画像が記録される。
【0012】移動方向に直交した第1のリニアセンサ4−1から得られる画像は、図4に示すような従来の画像取込装置で得られる画像であり、通常はこの画像で移動体の記録または着順判定等を行う。
【0013】上記画像の記録と同期し、移動方向に平行した第2のリニアセンサ4−2から得られた画像の概念図を図5に示す。この場合、移動体の移動方向と平行にリニアセンサ4−2を配置しているため移動体の外形は画像として捕らえることはできないが、移動体の幅及び一走査毎に移動した距離が画像として捕らえることができる。
【0014】それぞれのリニアセンサ4−1,4−2から得られた画像は、それぞれ別の画像メモリ9−1,9−2に記録される。
【0015】画像としてモニタ12に表示する場合は、各画像メモリ内のデータをD/A変換10し、映像信号としてモニタ12に出力するが、通常は移動体の外形が判る画像メモリ9−1の画面を表示することとする。もちろん画像メモリ9−2の表示および双方を重畳して表示することも可能である。これらの切替制御はCPU11の制御により行なわれる。
【0016】移動体1の速度の測定方法を図6により説明する。
【0017】画面上に表示してある画像メモリ9−1の画像の移動体外形の両端に操作器13およびCPU11から制御され表示されるカーソル線14を合わせることにより、それと同期した画像メモリ9−2上のデータを画像処理しその画像の移動した傾きから速度を算出することができる。画面上では、縦軸が距離(寸法)、横軸が時間軸になっているため速度は速度=移動距離(縦軸)15/時間(横軸)16で算出される。
【0018】また、画像メモリ9−2で得られる移動体1の幅と画像メモリ1で得られる移動体1の全形が取込まれた時間から速度を算出することも可能である。
【0019】次に記録された移動体のリニアリティーの補正方法について説明する。
【0020】第1と第2のリニアセンサ4−1,4−2は、一定の周期にて走査しているため、移動体1の速度が変化すると画像メモリ9−1,9−2上に記録される移動体の長さ(時間に対する長さ)が変化する。すなわち、移動速度が速いものは、短時間でラインセンサ上を通過するため画像メモリ上に記録されたデータは画面上の見かけでは短く表示され、移動速度が遅いものは、長時間ラインセンサ上に停滞するため画像メモリ上に記録されたデータは画面上の見かけでは長く表示されたこととなる。
【0021】この速度に対するリニアリティーの補正を行う方法としては、画像メモリ9−2から得られるデータを画像処理し、各走査毎の移動距離(または移動速度)を求め、その速度の変化に従い、画像メモリ9−1で得られた画像を補正するようにする。
【0022】すなわち、リニアセンサカメラ3は、一つの光学系からなっているため、直交するそれぞれの第1、第2のリニアセンサ4−1,4−2の画角は同じである。そのため、画像メモリ9−2から得られる移動距離と時間軸の関係を画像処理によりその傾きを求め、その傾きを45°にすることにより画像のリニアリティーが補正できる。
【0023】その詳細を図7で説明する。
【0024】図7は、移動体1が低速でリニアセンサカメラ上を通過した場合の概念図である。この場合、移動体1は実際の移動体の外形と比較し、画面の見かけ上、横に長く表示される。
【0025】この画像のリニアリティーを補正する場合、画像メモリ9−2の画像データから移動距離と時間の傾きを求める。但し、この時の横軸の時間の単位は画素数で表す。この傾きが縦軸17に対して横軸18が2倍の長さになっている場合、すなわち22.5°であるとすると、この時の補正は、1ライン飛びに間引きを行うという処理を画像メモリ9−1,9−2に施すことにより、傾きを45°に補正し、リニアリティーのとれた画像図8を作成することができる。
【0026】すなわち、画像メモ9−2の縦軸の移動体の幅17を横軸19に反映させることによりこのリニアリティーの補正を行うものである。
【0027】この補正画像は再度画像メモリ9−1に書き込んでも良いし、図示しない画像メモリを設け、そこに記録しても良い。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、電子スリットカメラにおいて、移動体の速度を測定できるとともに、移動体の形状も正確に再現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例におけるリニアセンサカメラを示すブロック図
【図2】本発明の実施例におけるリニアセンサカメラの撮影概念図
【図3】本発明の実施例における画像取込装置の一実施例を示すブロック図
【図4】本発明の実施例における画像メモリ上の概念図
【図5】本発明の実施例における画像メモリ上の概念図
【図6】本発明の実施例における速度算出方法説明図
【図7】本発明の実施例におけるリニアリティー補正の説明図
【図8】本発明の実施例におけるリニアリティー補正後の画面
【符号の説明】
1:移動体(被写体)、2:レンズ、3:リニアセンサカメラ、4:リニアセンサ、5:プリズム、7:画像取込装置、8:A/D変換器、9:画像メモリ、10:D/A変換器、11:CPU、12:モニタ、13:操作器、14:測定カーソル、15:縦軸(移動距離)、16:横軸(時間)、17:移動体の幅、18:時間に対する移動体の長さ、19:移動体の幅に補正

【特許請求の範囲】
【請求項1】 一次元リニアセンサを使用したカメラにおいて、一つのレンズ系で得られた光学像を分光光学系により2経路に分岐し、一方のレンズ焦点面に画像取込用の第1のリニアセンサを移動体に直交して取付け、第2のリニアセンサを他方の焦点面に前記第1のリニアセンサと直交する位置に取付けたことを特徴とするリニアセンサカメラ。
【請求項2】 リニアセンサカメラを有し、該リニアセンサカメラからの電気信号をディジタル化するA/D変換器と、該A/D変換器からのディジタル信号を記録する画像メモリと、該画像メモリに記録された信号を読み出し映像信号に変換するD/A変換器と、それらを制御するCPUを有する画像取込装置において、上記リニアセンサカメラは前記請求項1記載の移動体撮像用のリニアセンサカメラであり前記第2のリニアセンサカメラ出力から移動体の速度を計測することを特徴とする電子スリットカメラ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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