説明

電子タイマ

【課題】コスト低減を図りつつ、セット時間の精度を向上させることができる電子タイマを提供する。
【解決手段】プリント基板17の前面に、第1の接点19Aと第2の接点19Bを有する金属端子18を取付け、可変抵抗ユニット30の係合孔部31に三個の係合片26を係合して可変抵抗ユニット30の裏面をスペーサ27に衝合させ、可変抵抗ユニット30の係止孔部31に係止ピン28を係止することで、時間設定つまみ87を保持するつまみ軸23に可変抵抗ユニット30を取付け、可変抵抗ユニット30の表面の第1、第2の導電パターンP1,P2に金属端子18の第1、第2の接点9A,9Bを摺接するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイマ時間設定機構を改良したアナログタイマである電子タイマに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電子タイマにおけるタイマ時間設定機構としては、機器本体側の歯車ボックスに設けられたプリント基板の前面の中央に可変抵抗ユニットを実装し、歯車ボックスの軸支用ボスに回転自在に支承されたつまみ軸に摺動子収納部材を設け、この摺動子収納部材に摺動子を取付け、この摺動子を可変抵抗ユニットに常時摺接させた構成にしてあり、つまみ軸に設けた時間設定つまみを所望の時間目盛まで回すことにより、時間設定つまみと一体に摺動子収納部材を介して摺動子を可変抵抗ユニット上に摺動させて、所望の抵抗値にセットすることによって時間設定を完了するようにしたものであり、電源を投入することにより、この電子タイマは設定された仕様で動作するようになる(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平04−103394号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般に、発振回路を仕込んだ専用のICがプリント基板上にあり、この発振回路は可変抵抗ユニットと対で発振周波数が決まる。すなわち、発振回路の発振周波数がタイマの時間精度を決めることになる。従来の電子タイマでは、ICの性能がばらついた場合、このばらつきが或る範囲内に有るという前提で可変抵抗ユニットの精度を絞っていく。例えば、精度が±10%あるとして可変抵抗ユニットの精度を認識し、これをレーザートリミングすることによって調整すると共に、時間設定つまみで設定したタイマ時間精度との関係で可変抵抗ユニットの抵抗値をチューニングするためにチップコンデンサー又はチューニング抵抗から構成するタイマ時間精度チューニング部品が使用されており、これら、レーザートリミング作業やタイマ精度チューニング作業は電子タイマとして組み立てた後に行う必要がある。
【0004】
しかしながら、従来かかるタイマ時間精度チューニング部品と可変抵抗ユニットとは、コストメリットを出すために、機器本体側のプリント基板とは別の小片の子基板を用いて共に実装するようにしていた。
【0005】
このように、同一の子基板に可変抵抗ユニットおよびタイマ時間精度チューニング部品を実装していたために、可変抵抗ユニット及びタイマ時間精度チューニング部品毎にそれぞれ精度誤差を有しているにも拘らず、電子タイマとして組み立てられた後では、可変抵抗ユニット或いはタイマ時間精度チューニング部品毎の精度誤差がどうであるかを把握することができず、時間設定つまみにより設定したタイマセット時間精度のチューニング作業を難しくしていた。
【0006】
また、従来の電子タイマでは、可変抵抗ユニット及びタイマ時間精度チューニング部品が共に同一の子基板上に実装されているが、可変抵抗ユニットとタイマ時間チューニング部品とは、それぞれ子基板への実装温度が異なるために、実装作業を別工程とする必要があり、しかも、可変抵抗ユニットの基板への実装にハンダ付け用の銀ベースのペーストが必要になって、コスト高になるという課題があった。
【0007】
本発明は、上記の課題に着目してなされたものであって、その目的とするところは、コスト低減を図りつつ,セット時間の精度を向上させることができる電子タイマを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、本発明に係る電子タイマは、機器本体に回転操作可能に設けられた操作部の変位操作で可変抵抗ユニットの抵抗値を変更して、この抵抗値に応じてタイマ時間を設定するタイマ時間設定手段を有する電子タイマにおいて、前記タイマ時間設定手段は、前記可変抵抗ユニットと共に、この可変抵抗ユニットの摺動パターンに摺接する接点部材及び前記可変抵抗ユニットの抵抗値を前記操作部において設定したタイマ時間との関係においてタイマ時間精度をチューニングするためのチップコンデンサー又はチューニング抵抗から構成するタイマ時間精度チューニング部品を有しており、前記可変抵抗ユニットを前記操作部側に取付け、且つ、前記接点部材及び前記タイマ時間精度チューニング部品を前記機器本体側のプリント基板に取付けるようにしたことを特徴とする。
【0009】
したがって、本発明においては、可変抵抗ユニットを操作部側に取付けいるのに対し、タイマ時間精度チューニング部品を機器本体側のプリント基板上に実装するようにしたために、電子タイマとして組み立てた後においても、操作部で設定したタイマ時間精度を調整するための作業として、可変抵抗ユニットの抵抗値のトリミング作業及びタイマ時間精度チューニング部品のチューニング作業を可変抵抗ユニット或いはタイマ時間精度チューニング部品毎の精度誤差を把握しながら行うことができることになり、操作部で設定したタイマ時間精度向上のための作業を簡略化することができ、コストの低減に寄与することになる。
【0010】
また、可変抵抗ユニットを操作部側に取付けると共にタイマ時間精度チューニング部品を機器本体側のプリント基板側に取り付けたことにより、可変抵抗ユニット側の実装温度を考慮することなく実装作業を行うことができ、しかも、可変抵抗ユニットをプリント基板に実装するのに必要であったハンダ付け用の銀ベースのペーストを廃止することができることになって、この点からもコスト低減に寄与していることになる。
【0011】
また、可変抵抗ユニットを操作部側に取付けたことにより、操作部の操作とプリント基板側のICとをペアにした状態で、可変抵抗ユニットのトリミングが可能になり、部品精度をラフにすることができる。
【0012】
また、一般に、可変抵抗ユニットを実装する場合、チップコンデンサーとセットでないといけない。従来では、プリント基板上の別の場所にチップコンデンサーを実装することはできないが、可変抵抗ユニットを操作部側に取付けたことにより、チップコンデンサーとの調整が可能になる。
【0013】
また、上記した本発明に係る電子タイマにおいて、本発明に係る電子タイマは、操作部は、時間設定時間設定つまみと、この時間設定時間設定つまみを取付けたつまみ軸を有していて、このつまみ軸に可変抵抗ユニット取付部を形成して構成してあり、この可変抵抗ユニット取付部に可変抵抗ユニットを取付けるようにしたことを特徴とする。
【0014】
かかる構成により、可変抵抗ユニットの操作部への取付けを、確実に且つ容易に行なうことができる。
【0015】
また、上記した本発明に係る電子タイマにおいて、本発明に係る電子タイマは、可変抵抗ユニット取付部は、その面部の中央に複数個の係合片と、これらの係合片の外方に位置するスペーサを有し、また、面部の、係合片及びスペーサを挟んだ対角位置に一対の係止ピンを有しており、可変抵抗ユニットは、その中央部に係合孔部を、また、この係合孔部を挟んだ対角位置に一対の係止孔を有しており、係合孔部に係合片を係合して、可変抵抗ユニットの裏面をスペーサに衝合させ、係止孔部に係止ピンを係止することで、可変抵抗ユニット取付部に可変抵抗ユニットを取付けるようにしたことを特徴とする。
【0016】
かかる構成により、可変抵抗ユニットの操作部への取付けを、確実に且つ容易に行なうことができる。
【0017】
また、上記した本発明に係る電子タイマにおいて、本発明に係る電子タイマは、接点部材は金属端子であり、この金属端子は金属板からなる端子本体に複数の接点を設けて構成してあり、この金属端子はプリント基板に実装してあり、接点が可変抵抗ユニットの摺動パターンに摺接するようにしたことを特徴とする。
【0018】
かかる構成により、プリント基板から可変抵抗ユニットがなくなれば、基板スペースがその分空くことになり、その部分に金属片を実装しても、これは小さな部品であるので、他の部品の実装面積を犠牲にすることはなく、金属端子をプリント基板に実装することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る電子タイマによれば、可変抵抗ユニットを操作部側に取付けいるのに対し、タイマ時間精度チューニング部品を機器本体側のプリント基板上に実装するようにしたために、電子タイマとして組み立てた後においても、操作部で設定したタイマ時間精度を調整するための作業として、可変抵抗ユニットの抵抗値のトリミング作業及びタイマ時間精度チューニング部品のチューニング作業を可変抵抗ユニット或いはタイマ時間精度チューニング部品毎の精度誤差を把握しながら行うことができることになり、操作部で設定したタイマ時間精度向上のための作業を簡略化することができ、コストの低減に寄与することになる。
【0020】
又、本発明に係る電子タイマによれば、可変抵抗ユニットを操作部側に取付けると共にタイマ時間精度チューニング部品を機器本体側のプリント基板側に取り付けたことにより、各部品の実装温度を考慮することなく実装作業を行うことができ、しかも、可変抵抗ユニットを基板に実装するのに必要であったハンダ付け用の、銀ベースのペーストを廃止することができることになって、この点からもコスト低減に寄与していることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る電子タイマを図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は本発明に係る電子タイマの斜視図、図2は同電子タイマの一部省略した分解状態の斜視図、図3は金属端子を実装したプリント基板の斜視図、図4は時間目盛表示板の裏面図、図5はつまみ軸に可変抵抗ユニットを装着した状態のつまみ軸側から視た斜視図、図6はつまみ軸に可変抵抗ユニットを装着した状態の可変抵抗ユニット側から視た斜視図である。
【0023】
図1及び図2において、11は四角筒形のケース、12はベースであり、ベース12はケース11内に固定してある。14はベース12の内面に密着固定されたプリント基板であり、15、16はベース12に対し直角に固定されたプリント基板であって、これらプリント基板14、15、16は互いに電気的に結合している。
【0024】
また、プリント基板15、16の前面部には係合孔15a、16aが形成してあり、これらの係合孔15a、16aにプリント基板17が、その上、下部に設けた突起17a、17bを係合させ且つハンダ付けすることにより、プリント基板17はプリント基板15、16に電気的に結合している。
【0025】
プリント基板17の前面には、その中央に接点部材である金属端子18が設けてある。金属端子18は、図2及び図3に示すように、金属板からなる端子本体18Aに第1の接点19Aと第2の接点19Bを設けて構成してある。
【0026】
プリント基板17の前面側には一定間隔をあけて樹脂製の歯車ボックス13が配置してあり、歯車ボックス13の両側から後方に突設した保持片13Aをプリント基板17の両側部に係合させることにより歯車ボックス13とプリント基板17とが連結される。そして、ケース11とベース12と歯車ボックス13とで機器本体を構成している。
【0027】
また、歯車ボックス13には、その中央に、後述するつまみ軸23を回転自在に支承する軸支用ボス22が設けてあり、また、歯車ボックス13には、図2において右上寄りに、円環状のガイド溝部71Aを形成した突起部71と、円環状のガイド溝部72Aを形成した突起部72が形成してある。
【0028】
図2において23はつまみ軸であり、つまみ軸23は、図5乃至図10に示すように、軸部24に可変抵抗ユニット取付部25を形成して構成してある。図10に示すように、可変抵抗ユニット取付部25は、その面部25aの中央に三個の係合片26と、これらの係合片26の外方に位置する円筒状のスペーサ27とを有し、また、図6に示すように、面部25aの、係合片26及びスペーサ27を挟んだ対角位置に一対の係止ピン28を有している。
【0029】
また、図2中30は可変抵抗ユニットであり、可変抵抗ユニット30は、その中央部に円形状の係合孔部31を、また、係合孔部31を挟んだ対角位置に一対の係止孔32を有しており、また、図8に示すように、可変抵抗ユニット30の表面には、係合孔部31の中心を中心とした円環状の第1の導電パターンP1と、円弧状の第2の導電パターンP2が同心状に形成してあり、第1の導電パターンP1は導通部P3により第2の導電パターンP2の一方の端末に導通している。
【0030】
そして、図10に示すように、可変抵抗ユニット30の係合孔部31に三個の係合片26を係合して可変抵抗ユニット30の裏面をスペーサ27に衝合させ、可変抵抗ユニット30の係合孔部31に係止ピン28を係止することで、つまみ軸23と可変抵抗ユニット30とが一体的に回転するようになっている。そして、図8に示す可変抵抗ユニット30の表面の第1の導電パターンP1に金属端子18の第1の接点9Aが摺接しており、図8に示す第2の導電パターンP2に図3に示す第2の接点9Bが摺接している。なお、つまみ軸23は、その軸部24に図2に示す時間設定つまみ87及び指針88が取付けられるものであり、これらで操作部が構成される。
【0031】
また、図2に示すように、プリント基板17には、可変抵抗ユニット30の抵抗値に関わっている時間設定つまみ87が設定したセット時間との関係においてタイマ時間精度をチューニングするチップコンデンサー又はチューニング抵抗が構成するタイマ時間精度チューニング部品cが実装されると共に、3個の支持孔H1、H2、H3が設けてある。支持孔H1の回りには動作モード切換用接点パターンPXが設けてあり、支持孔H2の回りには時間単位切換用接点パターンPYが設けてあり、支持孔H3の回りには時間目盛切換用接点パターンPZが設けてある。
【0032】
歯車ボックス13には、限時動作や瞬時動作限時復帰、繰り返し動作などの動作モードを切換える動作モード用切換機構部Xと、時、分、秒などの時間単位を切換える時間単位用切換機構部Yと、時間目盛を切換える時間目盛用切換機構部Zとを有する仕様切換装置が設けてある。
【0033】
また、図2に示すように、動作モード用切換機構部Xは、ドライバーを差し込んで回動できる溝部35Aを有する動作モード切換用歯車35と、動作モード切換用歯車35に噛合する接点切換歯車36Aを有する動作モード切換用スイッチボックス36とを備えており、動作モード切換用歯車35と動作モード切換用スイッチボックス36とは共に歯車ボックス13内に回動自在に収納される。
【0034】
動作モード切換用スイッチボックス36の後部には摺動子保持部(図示せず)が設けてあり、摺動子保持部は歯車ボックス13を貫通して動作モード切換用スイッチ摺動子37を保持しており、動作モード切換用スイッチ摺動子37が動作モード切換用接点パターンPXに摺動可能に圧接するようになっている。
【0035】
動作モード切換用スイッチボックス36の外周面部には90度の間隔で噛合い凹部38が形成してあり、これらの噛合い凹部38は歯車ボックス13に形成したラチェット爪(図示せず)に係合して90度ごとに位置決めされるものである。動作モード切換用スイッチボックス36の前面には動作モード仕様表示(図示せず)が印字してある。
【0036】
図2、図11及び図12に示すように、時間単位用切換機構部Yは、ドライバーを差し込んで回動できる溝部40Aを有する時間単位切換用歯車40と、時間単位切換用歯車40に噛合する接点切換歯車41Aを有する時間単位切換用スイッチボックス41と、接点切換歯車41Aに噛合する表示歯車42Aを有する時間単位表示板42を有しており、時間単位切換用歯車40と時間単位切換用スイッチボックス41と時間単位表示板42とは共に歯車ボックス13内に回動自在に収納される。
【0037】
時間単位切換用スイッチボックス41の外周面部には90度の間隔で噛合い凹部46が形成してあり、これらの噛合い凹部46は歯車ボックス13に形成したラチェット爪(図示せず)に係合して90度ごとに位置決めされるものである。また、時間単位表示板42には時(hrs)、分(min)、秒(sec)などの時間単位の文字(時間単位仕様表示)が印字してある。
【0038】
図12に示すように、時間単位切換用スイッチボックス41の後部には摺動子保持部43が設けてある。摺動子保持部43は時間単位切換用スイッチ摺動子47を保持しており、時間単位切換用スイッチ摺動子47が時間単位切換用接点パターンPYに摺動可能に圧接されるようになっている。
【0039】
図2、図11及び図13に示すように、時間目盛用切換機構部Zは、ドライバーを差し込んで回動できる溝部50Aを有する時間目盛切換用歯車50と、時間目盛切換用歯車50に噛合する接点切換歯車51Aを有する時間目盛切換用スイッチボックス51を有しており、時間目盛切換用歯車50と時間目盛切換用スイッチボックス51とは歯車ボックス13内に回動自在に収納される。接点切換歯車51Aには、その回動中心から偏った位置に偏心突部53が設けてある。
【0040】
図2に示すように、時間目盛切換用スイッチボックス51の外周面部には90度の間隔で噛合い凹部56が形成してあり、これらの噛合い凹部56は歯車ボックス13に形成したラチェット爪(図示せず)に係合して90度ごとに位置決めされるものである。
【0041】
図13に示すように、時間目盛切換用スイッチボックス51の後部には摺動子保持部60が設けてある。摺動子保持部は時間目盛切換用スイッチ摺動子63を保持しており、時間目盛切換用スイッチ摺動子63が時間目盛切換用接点パターンPZに摺動可能に圧接するようになっている。
【0042】
また、図2において52は時間目盛表示板であり、時間目盛表示板52は略ドーナッツ状円板からなるもので、切欠き部54を有すると共に、図11に示すように、その表面側に4組の時間表示用数字が印刷してある。また、図4に示すように、時間目盛表示板52の裏面には、接点切換歯車51Aの偏心突部53が回転可能に挿入される挿入孔部59Aを有する突起部59と、ガイド突起59B,59Cが設けてある。
【0043】
そして、図2に示すように、歯車ボックス13の前側には蓋プレート64が嵌められる。蓋プレート64には、その中央につまみ軸用孔部73が形成してあり、また、蓋プレート64には、つまみ軸用孔部73の上方及び両側方に位置させて円孔74、75、76が形成してあり、また、蓋プレート64には、その上部の左右及び下辺部に切欠き部77、78、79が形成してあり、また、下部の左右に開口部80、81が形成してある。
【0044】
そして、つまみ軸用孔部73にはつまみ軸33が回転可能に貫通しており、円孔74には、歯車ボックス13の突起部71が、円孔75には歯車ボックス13の突起部72がそれぞれ挿入してあり、円孔76には接点切換歯車51Aの偏心突部53が挿入してある。また、切欠き部78には動作モード用切換機構部Xの動作モード切換用歯車35が位置しており、また、開口部80には時間単位用切換機構部Yの時間単位切換用歯車40の溝部40A部分が位置しており、また、開口部81には時間目盛用切換機構部Zの時間目盛切換用歯車50の溝部50A部分が位置している。
【0045】
蓋プレート64の前方には時間目盛表示板52が配置してあり、時間目盛表示板52の突起部59の挿入孔部59Aに偏心突部53が回転可能に挿入してあり、また、時間目盛表示板52の内孔52Aには軸支用ボス22が内接しており、時間目盛表示板52の裏面に設けた一方のガイド突起59Bが一方のガイド溝部71Aに挿入してあり、他方のガイド突起59Cが他方のガイド溝部72Aに挿入してある。
【0046】
図2に示すように、目盛り板82は、歯車ボックス13に組み付けられる略正方形状の板材であり、その中央部にはつまみ軸23を挿通する軸孔82Aを有し、これを中心として放射状に目盛り82Bが設けてある。また、時間表示用数字に対応する表示窓83が目盛り82Bの近傍に設けてある。さらに、目盛り板82の角部には、動作モード切換用歯車35を回動させて動作モード表示を切り換えるための調整孔84及び表示窓84A、時間単位切換用歯車40を回動させて時間単位表示を切り換えるための調整孔85及び表示窓85A、時間目盛切換用歯車50を回動させて時間目盛表示を切り換えるための調整孔86がそれぞれ設けてある。
【0047】
図2中87は、透明な時間設定つまみであり、時間設定つまみ87の内面には指針88が取付けてあり、時間設定つまみ87の中央孔87Aに取付ねじ部材89を挿通して時間設定つまみ87をつまみ軸23に螺合することにより、時間設定つまみ87はつまみ軸23に固定される。
【0048】
以上説明したように、本発明の実施の態様によれば、可変抵抗ユニット30を操作部の時間設定つまみ87側に取付けたのに対し、タイマ時間精度チューニング部品cを機器本体側のプリント基板17上に実装するようにしたために、電子タイマとして組み立てた後においても、時間設定つまみ87で設定したタイマ時間精度を調整するための作業として、可変抵抗ユニット30の抵抗値との関係においてタイマ時間精度チューニング部品cのチューニング作業を可変抵抗ユニット30或いはタイマ時間精度チューニング部品c毎の精度誤差を把握しながら行うことができることになり、時間設定つまみ87で設定したタイマ時間精度向上のための作業を簡略化することができ、コストの低減に寄与することになる。
【0049】
また、可変抵抗ユニット30を時間設定つまみ87側に取付けると共にタイマ時間精度チューニング部品cを機器本体側のプリント基板17側に取り付けたことにより、各部品の実装温度を考慮することなく実装作業を行うことができ、しかも、可変抵抗ユニット30をプリント基板17に実装するのに必要であったハンダ付け用の、銀ベースのペーストを廃止することができることになって、この点からもコスト低減に寄与していることになる。
【0050】
また、可変抵抗ユニット30を操作部のつまみ軸23側に取付けたことにより、操作部の時間設定つまみ87の操作とプリント基板17側のICとをペアにした状態で、可変抵抗ユニット30のトリミングが可能になり、部品精度をラフにすることができる。
【0051】
また、一般に、可変抵抗ユニットを実装する場合、チップコンデンサーとセットでないといけない。従来では、プリント基板上の別の場所にチップコンデンサーを実装することはできないが、可変抵抗ユニット30を操作部のつまみ軸23側に取付けたことにより、チップコンデンサーとの調整が可能になる。
【0052】
また、プリント基板17から可変抵抗ユニット30がなくなれば、基板スペースがその分空くことになり、その部分に金属端子18を実装しても、これは小さな部品であるので、他の部品の実装面積を犠牲にすることはなく、金属端子18をプリント基板17に実装することができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明に係る電子タイマは、操作部で設定したタイマ時間精度を可変抵抗ユニットの抵抗値との関係において行うチューニング作業を簡略化することができ、しかも可変抵抗ユニット或いはタイマ時間精度チューニング部品の基板への実装コストの低減を図ることができるために、仕様切換装置、例えば時間目盛りや時、分、秒などの時間単位といった仕様を切り換える装置を有する電子タイマ等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る電子タイマの斜視図である。
【図2】同電子タイマの一部省略した分解状態の斜視図である。
【図3】金属端子を実装したプリント基板の斜視図である。
【図4】時間目盛表示板の裏面図である。
【図5】つまみ軸に可変抵抗ユニットを装着した状態のつまみ軸側から視た斜視図である。
【図6】つまみ軸に可変抵抗ユニットを装着した状態の可変抵抗ユニット側から視た斜視図である。
【図7】つまみ軸に可変抵抗ユニットを装着した状態の側面図である。
【図8】図7のJ方向から視た矢視図である。
【図9】図7のK方向から視た矢視図である。
【図10】図9のL−L線に沿う断面図である。
【図11】仕様切換装置の正面図である。
【図12】同仕様切換装置における時間単位用切換機構部の側面図である。
【図13】同仕様切換装置における時間目盛用切換機構部の側面図である。
【符号の説明】
【0055】
11 ケース(機器本体)
12 ベース(機器本体)
17 プリント基板
18 金属端子(接点部材)
18A 端子本体
19A 第1の接点
19B 第2の接点
13 歯車ボックス(機器本体)
22 軸支用ボス
23 つまみ軸(操作部)
24 軸部
25 可変抵抗ユニット取付部
26 係合片
27 スペーサ
28 係止ピン
30 可変抵抗ユニット
31 係合孔部
32 係止孔
87 時間設定つまみ(操作部)
P1 第1の導電パターン
P2 第2の導電パターン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体に回転操作可能に設けられた操作部の変位操作で可変抵抗ユニットの抵抗値を変更して、この抵抗値に応じてタイマ時間を設定するタイマ時間設定手段を有する電子タイマにおいて、
前記タイマ時間設定手段は、前記可変抵抗ユニットと共に、この可変抵抗ユニットの摺動パターンに摺接する接点部材及び前記可変抵抗ユニットの抵抗値を前記操作部において設定したタイマ時間との関係においてタイマ時間精度をチューニングするためのチップコンデンサー又はチューニング抵抗から構成するタイマ時間精度チューニング部品を有しており、前記可変抵抗ユニットを前記操作部側に取付け、且つ、前記接点部材及び前記タイマ時間精度チューニング部品を前記機器本体側のプリント基板に取付けるようにしたことを特徴とする電子タイマ。
【請求項2】
前記操作部は、時間設定つまみと、この時間設定つまみを取付けるつまみ軸を有していて、このつまみ軸に可変抵抗ユニット取付部を形成して構成してあり、この可変抵抗ユニット取付部に前記可変抵抗ユニットを取付けるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の電子タイマ。
【請求項3】
前記可変抵抗ユニット取付部は、その面部の中央に複数個の係合片と、これらの係合片の外方に位置するスペーサを有し、また、前記面部の、前記係合片及び前記スペーサを挟んだ対角位置に一対の係止ピンを有しており、前記可変抵抗ユニットは、その中央部に係合孔部を、また、この係合孔部を挟んだ対角位置に一対の係止孔を有しており、前記係合孔部に前記係合片を係合して、前記可変抵抗ユニットの裏面を前記スペーサに衝合させ、前記係止孔部に前記係止ピンを係止することで、前記可変抵抗ユニット取付部に前記可変抵抗ユニットを取付けるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の電子タイマ。
【請求項4】
前記接点部材は金属端子であり、この金属端子は金属板からなる端子本体に複数の接点を設けて構成してあり、この金属端子は前記プリント基板に実装してあり、前記接点が前記可変抵抗ユニットの前記摺動パターンに摺接するようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかの一に記載の電子タイマ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−264851(P2009−264851A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113132(P2008−113132)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】