説明

電子デバイスとその製造方法

【課題】電子デバイスとその製造方法において、封止後に電子デバイス内に残留する脱ガスの量を低減すること。
【解決手段】基板20の上に下地膜21を形成する工程と、下地膜21の上に、感光性樹脂を露光及び現像してなる封止体25bを形成する工程と、封止体25bを加熱することにより、該封止体25bをキュアする工程と、基板1に形成されたスイッチ素子19に封止体25bを貼付することにより、封止体25bでスイッチ素子19を封止する工程と、封止の後、下地膜21を境にして封止体25bから基板1を剥離する工程とを有する電子デバイスの製造方法による。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイスとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術は、スイッチ素子や可変キャパシタ素子等のように、微細な可動部分を有する電子デバイスを作製するのに好適である。そのような電子デバイスでは、外部雰囲気から可動部分を保護するため、様々な封止技術が採用されている。
【0003】
その封止技術の一つとして、キャビティが形成された基板に感光性樹脂層を転写し、その感光性樹脂層でキャビティを封止する技術が提案されている。この封止技術によれば、感光性樹脂層のみで封止が可能となるため、電子デバイスの低背化が可能である。
【0004】
しかし、この封止技術では、基板に感光性樹脂層を転写した後に感光性樹脂層をキュアするため、キュア前に感光性樹脂層が撓んでキャビティ内の可動部に接触するおそれがある。
【0005】
更に、この封止技術には、感光性樹脂層のキュア時に発生する脱ガスがキャビティ内に残留し、その脱ガスを除去するのが困難であるという問題もある。一般的な感光性樹脂から発生する脱ガスにはフッ素や塩素等のハロゲンが含まれる。そのため、このようにキャビティ内に脱ガスが残留すると、封止しきれずにキャビティ内に侵入した水分とハロゲンとが反応して酸が生成し、その酸によってキャビティ内の金属配線や金属電極が腐食してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−329226号公報
【特許文献2】特開平7−211738号公報
【特許文献3】特開2002−93830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電子デバイスとその製造方法において、封止後に電子デバイス内に残留する脱ガスの量を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下の開示の一観点によれば、第1の基板の上に下地膜を形成する工程と、前記下地膜の上に、感光性樹脂を露光及び現像してなる封止体を形成する工程と、前記封止体を加熱することにより、該封止体をキュアする工程と、前記キュアの後、第2の基板に形成された素子に前記封止体を貼付することにより、前記封止体で前記素子を封止する工程と、前記封止の後、前記下地膜を境にして前記封止体から前記第1の基板を剥離する工程とを有する電子デバイスの製造方法が提供される。
【0009】
また、その開示の他の観点によれば、基板と、前記基板に形成された素子と、感光性樹脂をキュアしてなり、前記素子に貼付されて該素子を封止する封止体と、前記封止体の表面のうち、上面のみに形成された防湿膜とを有する電子デバイスが提供される。
【発明の効果】
【0010】
以下の開示によれば、素子に封止体を貼付する前に当該封止体をキュアすることで封止体中の溶媒成分を除去してあるので、貼付後に封止体から出る脱ガスの量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1(a)〜(c)は、第1実施形態に係る電子デバイスの製造途中の断面図(その1)である。
【図2】図2(a)〜(c)は、第1実施形態に係る電子デバイスの製造途中の断面図(その2)である。
【図3】図3(a)〜(c)は、第1実施形態に係る電子デバイスの製造途中の断面図(その3)である。
【図4】図4(a)〜(c)は、第1実施形態に係る電子デバイスの製造途中の断面図(その4)である。
【図5】図5(a)、(b)は、第1実施形態に係る電子デバイスの製造途中の断面図(その5)である。
【図6】図6は、第1実施形態に係る電子デバイスの製造途中の断面図(その6)である。
【図7】図7は、第1実施形態に係る電子デバイスの製造途中の平面図(その1)である。
【図8】図8は、第1実施形態に係る電子デバイスの製造途中の平面図(その2)である。
【図9】図9は、第1実施形態に係る電子デバイスの製造途中の平面図(その3)である。
【図10】図10は、第1実施形態に係る電子デバイスの製造途中の平面図(その4)である。
【図11】図11は、第1実施形態において、溝を形成した後の第2の基板の全体平面図である。
【図12】図12(a)、(b)は、第1実施形態におけるウエットエッチングの様子を模式的に示す図である。
【図13】図13(a)〜(c)は、第2実施形態に係る電子デバイスの製造途中の断面図(その1)である。
【図14】図14(a)〜(c)は、第2実施形態に係る電子デバイスの製造途中の断面図(その2)である。
【図15】図15(a)〜(c)は、第2実施形態に係る電子デバイスの製造途中の斜視図(その1)である。
【図16】図16(a)、(b)は、第2実施形態に係る電子デバイスの製造途中の斜視図(その2)である。
【図17】図17(a)〜(c)は、第2実施形態に係る電子デバイスの製造途中の断面図(その3)である。
【図18】図18(a)、(b)は、第2実施形態に係る電子デバイスの製造途中の断面図(その4)である。
【図19】図19は、第2実施形態に係る電子デバイスの製造途中の平面図(その1)である。
【図20】図20は、第2実施形態に係る電子デバイスの製造途中の平面図(その2)である。
【図21】図21は、第2実施形態に係る電子デバイスの製造途中の平面図(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
図1〜図5は、本実施形態に係る電子デバイスの製造途中の断面図であり、図7〜図10はその平面図である。
【0013】
この電子デバイスは、スイッチ素子を封止したものであり、MEMS技術を用いて以下のようにして製造される。
【0014】
まず、図1(a)に示すように、シリコン基材2、中間酸化シリコン膜3、及びシリコン膜4をこの順に積層してなるSOI(Silicon On Insulator)基板を第1の基板1として用意する。
【0015】
そして、その第1の基板1の上にスパッタ法で金膜を約500nmの厚さに形成し、それをパターニングして導電性ランド7と信号線6とを形成する。なお、金膜の形成前に第1の基板1上にスパッタ法でクロム膜を形成し、金膜と第1の基板1との密着性を高めてもよい。
【0016】
図7は、本工程を終了した後の平面図であり、上記の図1(a)は図7のI−I線に沿う断面図に相当する。
【0017】
次いで、図1(b)に示すように、不図示のレジストパターンをマスクにするRIEにより、信号線6の横のシリコン膜4に幅が約2μmのスリット4aを形成する。そのRIEとしては、エッチングの異方性が高いDeep-RIEを採用するのが好ましい。Deep-RIEでは、エッチング雰囲気中にSF6とC4F8とを交互に供給することで、エッチングと堆積物による側壁とが交互に進行し、スリット4aの側壁を第1の基板1の上面に対して垂直にすることができる。
【0018】
図8は、本工程を終了した後の平面図であり、上記の図1(b)は図8のII−II線に沿う断面図に相当する。
【0019】
図8に示されるように、スリット4aで囲まれた部分のシリコン膜4は、カンチレバー(可動部)4xとして供される。
【0020】
続いて、図1(c)に示すように、第1の基板1の上側全面にプラズマCVD法により犠牲膜10として酸化シリコン膜を約5μm程度の厚さに形成する。そして、その犠牲膜10に対してエッチング深さの異なるRIEを複数回行うことにより、犠牲膜10に高さの異なる複数の上面10a〜10cを形成すると共に、シリコン基板1の所定領域のみに犠牲膜10を残す。
【0021】
次に、図2(a)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0022】
まず、第1の基板1の上側全面にシード層として不図示の金膜を形成した後、そのシード層上にフォトレジストを塗布し、それを露光、現像することによりメッキレジスト12を形成する。
【0023】
そして、シード層を給電層にする電解メッキにより、メッキレジスト12の窓内に金メッキ膜を約20μmの厚さに成長させることで、封止枠13a、スイッチ電極13b、ブリッジ電極13c、及び第1のアンカー電極13dを形成する。その際、後述する封止体との接合部分13a、13d、13bの一部等は、ブリッジ電極13cよりも5μm〜10μmt高く形成される。
【0024】
図9は、本工程を終了した後の平面図であり、上記の図2(a)は図9のIII−III線に沿う断面図に相当する。
【0025】
なお、図9では、図が煩雑になるのを防ぐため、犠牲膜10とメッキレジスト12については省略してある。
【0026】
図9に示されるように、本工程では、上記した第1のアンカー電極13dの他に、信号線6の端部の上に第2のアンカー電極13eも形成される。また、ブリッジ電極13cの横のシリコン膜4上には、接地電極13fも形成される。
【0027】
その後、図2(b)に示すように、マスクに使用したメッキレジスト12を除去する。
【0028】
なお、上記の電解メッキの際に給電層として使用したシード層は、本工程の後にウエットエッチング又はドライエッチングにより除去される。
【0029】
次に、図2(c)に示すように、ウエットエッチング又はドライエッチングにより犠牲膜10を除去し、カンチレバー4xの上方に当該カンチレバー4xが動くことができる空間Sを形成する。
【0030】
なお、このエッチングで使用されるエッチング材料としては、例えば、フッ酸溶液やフッ酸蒸気がある。
【0031】
そのフッ酸溶液やフッ酸蒸気は、シリコン膜4のスリット4aを通じて中間酸化シリコン膜3にも侵入する。そのため、カンチレバー4xの下方の中間酸化シリコン膜3もフッ酸溶液によりウエットエッチングされ、それによりカンチレバー4xが上方に弾性変形可能となる。
【0032】
ここまでの工程により、封止の対象となるスイッチ素子19の基本構造が完成する。
【0033】
そのスイッチング素子19においては、第1のアンカー電極13dとブリッジ電極13cのそれぞれに互いに極性が反対の電圧を印加することで、導電性ランド7とブリッジ電極13cとの間に静電引力が発生し、カンチレバー4xが上方に弾性変形する。
【0034】
そして、カンチレバー4xがこのように弾性変形することで、信号線6がスイッチング電極13bに当接し、そのスイッチング電極13bと第2のアンカー電極13e(図9参照)との間に電流が流れる。
【0035】
これ以降の工程は、ウエハレベルパッケージ(WLP)によりスイッチ素子19を封止する工程となる。
【0036】
まず、図3(a)に示すように、第2の基板20としてシリコン基板を用意し、その上に下地膜21としてスパッタ法とメッキ法で銅膜を1μm〜10μmの厚さに形成する。
【0037】
なお、第2の基板20としてガラス基板を用いてもよい。
【0038】
更に、下地膜21の上にCVD法で窒化シリコン膜を0.1μm〜1μmの厚さに形成し、その窒化シリコン膜を防湿膜22とする。
【0039】
各膜21、22の材料は上記に限定されない。例えば、下地膜21は、ウエットエッチング可能な膜であれば特に限定されず、銅膜、アルミニウム膜、クロム膜、ニッケル膜、モリブデン膜、MgO膜、及びZnO膜のいずれかを下地膜21として形成し得る。
【0040】
或いは、第2の基板20や防湿膜22との密着性が低く、簡単に剥離可能な膜を下地膜21として形成してもよい。そのような膜としては、例えば、金膜、銅膜、及び銀膜の単層膜或いはこれらの積層膜がある。
【0041】
一方、防湿膜22は防湿性が良好な膜であるのが好ましく、上記の窒化シリコン膜や酸化シリコン膜のような無機材料の膜が好適である。
【0042】
或いは、DLC(Diamond Like Carbon)膜を防湿膜22として形成してもよい。そのDLC膜は、イオンビームスパッタ法や、アセチレンガスやメタンガスを使用するプラズマCVD法により成膜し得る。
【0043】
次いで、図3(b)に示すように、第2の基板20の途中の深さまでダイシングソー(不図示)を当てることにより、第2の基板20に溝20aを形成する。このように溝の形成方法はハーフダイシングとも呼ばれる。
【0044】
図11は、溝20aを形成した後の第2の基板20の全体平面図である。
【0045】
図11に示すように、第2の基板20には複数の溝20aが形成され、各溝20aは一方向にのみ延在する。
【0046】
次に、図3(c)に示すように、防湿膜22の上にポリイミドを主材料とするネガ型の感光性樹脂を塗布し、感光性樹脂の塗膜25を形成する。その後、塗膜25をソフトベークして半硬化の状態にする。
【0047】
次いで、図4(a)に示すように、不図示のフォトマスクを通して塗膜25に露光光を照射する。
【0048】
これにより、露光光が照射された部分の塗膜25には、後述の封止体に対応した形状の潜像25aが形成されることになる。
【0049】
そして、図4(b)に示すように、塗膜25を現像することで、潜像25a以外の部分の塗膜25を除去し、除去されずに残存する塗膜25を封止体25bとする。
【0050】
その後に、第2の基板20と共に封止体25bを加熱し、当該封止体25bをキュアする。
【0051】
キュアの条件は特に限定されない。本実施形態では、加熱温度を250℃〜300℃、処理時間を約1時間とし、大気圧の窒素雰囲気中でこのキュアを行う。
【0052】
これにより、封止体25bの材料である感光性樹脂が略完全に架橋すると共に、感光性樹脂中の溶媒成分の大部分が除去される。
【0053】
この方法によれば、封止体25bの形成と同時に、封止体25bに複数のスルーホール25cも形成できるため、スルーホール25cを形成するための工程が不要であり、工程数の削減が可能となる。
【0054】
続いて、図4(c)に示すように、封止体25bをマスクにしながら防湿膜22をウエットエッチングすることにより、封止体25bと同一の平面形状に防湿膜22をパターニングする。
【0055】
本工程で使用するエッチング液は特に限定されない。防湿膜22として窒化シリコン膜を形成するときは、そのエッチング液としてフッ酸を使用し得る。
【0056】
また、防湿膜22としてDLC膜を形成するときは、酸素プラズマを用いたドライエッチングにより防湿膜22をエッチングし得る。
【0057】
なお、上記のようにキュアを行った封止体25bは化学的に安定であるが、エッチング時に封止体25bが変質するのを防止するために、封止体25bの上にレジストパターンを形成し、そのレジストパターンをマスクにして防湿膜22をエッチングしてもよい。
【0058】
次に、図5(a)に示す工程について説明する。
【0059】
まず、既述の図1(a)〜図2(c)に従ってスイッチ素子19が形成された第1の基板1を用意する。そして、スイッチ素子19と封止体25bとの位置合わせを行い、スイッチ電極13bと第1のアンカー電極13dの各々の上にスルーホール25cを位置させる。
【0060】
この状態で、窒素雰囲気中において封止体25bをそのガラス転移点よりも高い温度に加熱して軟化させると共に、第1の基板1側に向けて第2の基板20を押圧することでスイッチ素子19に封止体25bを貼付して、封止体25bでスイッチ素子19を封止する。
【0061】
なお、窒素雰囲気の圧力は特に限定されず、大気圧でも減圧でもよい。
【0062】
また、本工程における加熱温度も特に限定されないが、本実施形態では250℃〜300℃の温度に封止体25bを加熱する。
【0063】
このように加熱により封止体25bを軟化させることで、封止枠13aや各電極13b〜13dに対する封止体25bの密着性が向上する。軟化に要する温度は封止体25bのガラス転移点以上の温度であり、本工程で封止体25bを過度に加熱する必要はない。
【0064】
但し、本願発明者の調査によれば、図4(b)の封止体25bに対するキュア温度よりも数10℃高い温度に封止体25bを加熱すると、封止枠13aや各電極13b〜13dに対する封止体25bの接合強度が向上することが明らかとなった。
【0065】
また、このように封止体25bを加熱しても、封止体25bの溶媒成分の大部分は図4(b)のキュアにより除去されているので、封止体25bから脱ガスが発生せず、封止体25bとスイッチ素子19との間に脱ガスが充満することもない。
【0066】
更に、本工程のように封止体25bに対して加熱と加圧を行うと、封止体25bの主材料であるポリイミドの水分に対するバリア性が高まり、封止体25bの耐湿性が高まるという効果も得られる。
【0067】
次に、図5(b)に示すように、下地膜21(図4(c)参照)を境にして封止体25bから第2の基板20を剥離する。
【0068】
このように剥離しても、封止体25bは図4(b)の工程におけるキュアで固められているためカンチレバー4x上の上部電極13cを押し下げたり、電極間に垂れ下がることはなく、多少の撓みが生じる程度でカンチレバー4x等の可動部に接するおそれはない。
【0069】
特に、封止すべき領域の幅が数百μmと広く封止体25bに撓みが出やすい場合に本実施形態は実益がある。
【0070】
また、第2の基板20の剥離により、封止体25bの表面のうち上面のみに防湿膜22を残すことができる。
【0071】
更に、その防湿膜22は図4(c)の工程で予めパターニングしてあるので、スルーホール25cを露出させるために防湿膜22をパターニングする工程が不要となり、工程数の削減が可能となる。
【0072】
ここで、防湿膜22がスルーホール25cの内面にも形成される場合には、スルーホール25cの開口端Eが防湿膜22で覆われた構造となるため、防湿膜22と封止体25bとの熱膨張率差に起因した応力が当該開口端Eに集中する。これに対し、封止体25bの上面のみに防湿膜22を残す本実施形態では、そのような応力の集中を防止することができ、応力が原因のクラックが封止体25bに生じて封止体25bの防湿能力が低下するのを抑制できる。
【0073】
第2の基板22を剥離する手法は特に限定されない。例えば、下地膜21として金膜や銅膜のように第2の基板20や防湿膜22との密着性が低い膜を形成する場合には、第1の基板1から第2の基板20を物理的に引き上げることで、封止体25bから第2の基板20を簡単に剥離できる。
【0074】
特に、防湿膜22としてDLC膜を形成する場合には、DLC膜との密着性が低い銅膜や金膜を下地膜21として形成することで、防湿膜22を下地膜21から簡単に剥離できる。なお、この場合、各膜21、22同士の剥離を容易にするために、これらの膜の間に中間密着層等の各膜21、22の密着強度を高める膜は不要であり、下地膜21の上に防湿膜22を直接形成しておくのが好ましい。
【0075】
また、下地膜21が銅膜、アルミニウム膜、クロム膜、ニッケル膜、モリブデン膜、MgO膜、及びZnO膜のようにウエットエッチング可能な膜である場合は、各基板1、20の全体をエッチング液に浸すことで下地膜21をエッチングし、第2の基板20を剥離できる。
【0076】
そのエッチング液は特に限定されない。例えば、下地膜21としてモリブデン膜を形成するときは、エッチング液として燐酸、硝酸、及び酢酸のいずれかを含む酸性溶液を使用することで、約1時間程度で下地膜21をウエットエッチングすることができる。一方、下地層の材料がアルミニウム又は銅の場合は、硫酸と過酸化水素水との混合溶液をエッチング液として使用し得る。
【0077】
上記の各エッチング液に対し、封止枠13aや各電極13b〜13dの材料である金のエッチング速度は、下地膜21のそれよりも遅いため、スイッチ素子19を傷めることなく下地膜21のみを選択的に除去できる。
【0078】
図12(a)、(b)は、そのウエットエッチングの様子を模式的に示す図である。このうち、図12(a)は各基板1、20を横から見た模式図であり、図12(b)は第2の基板20を主面側から見た模式図である。
【0079】
図12(a)に示すように、ウエットエッチングは各基板1、20が封止体25bを介して張り合わされた状態で行われ、各基板1、20の間隔Dは約50μmと極めて狭い。
【0080】
そのため、エッチング液と下地膜21との反応により発生する気泡Vが各基板1、20の間に詰まると、気泡Vの近傍でエッチングが進行し難くなり、下地膜21の除去が困難になる。
【0081】
そこで、本実施形態では、図12(b)のように溝20aの延在方向Yが鉛直上向きになるように第2の基板20を立てた状態でエッチング液中に浸す。このようにすると、気泡Vが溝20aを伝って速やかにエッチング液の外に逃げるので、気泡Vが原因で下地膜21のウエットエッチングが阻害されるのを防止できる。
【0082】
この後は、図6に示すように、各スルーホール25cに露出する電極13b、13d上にはんだバンプ27を接合する。
【0083】
これらのはんだバンプ27のうち、スイッチング電極13b上に接合されたものは、スイッチング電極13bにスイッチングの対象となる信号を供給するのに使用される。一方、第1のアンカー電極13d上に接合されたはんだバンプ27は、カンチレバー4xの駆動に要する電圧を第1のアンカー電極13dに供給するのに使用される。
【0084】
以上により、本実施形態に係る電子デバイス30の基本構造が完成する。
【0085】
その電子デバイス30が備える封止体25bは、感光性樹脂を主にしてなるため絶縁性を示す。そのため、電子デバイス30にRF信号を供給する場合でも封止体25bが原因で信号線6等に寄生容量が生じ難く、スイッチ素子19のRF特性、例えば挿入損失が減衰するのを防止できる。
【0086】
図10は電子デバイス30の平面図であり、上記の図6は図10のIV−IVに沿う断面図に相当する。
【0087】
上記した本実施形態によれば、図5(a)の工程でスイッチ素子19に封止体25bを貼付する前に、予め図4(b)の工程で封止体25bをキュアして第2の基板20に固定してあるので、封止体25bが撓んでカンチレバー4xに接する危険性を低減できる。
【0088】
更に、上記のキュアにより封止体25bの溶媒成分の大部分が除去されるため、スイッチ素子19を封止した後に封止体25bから脱ガスが出るのを抑制できる。これにより、スイッチ素子19と封止体25bとの間に脱ガスが残留するのを防止でき、脱ガスに含まれるハロゲンが原因で信号線6や各電極13b、13cが腐食する危険性を低減することが可能となる。
【0089】
そして、封止を行うには、塗膜25の露光と現像、封止体25bのスイッチ素子19への転写、第2の基板20の剥離を行えばよく、簡易な方法でスイッチ素子19を封止できる。
【0090】
また、封止体25bとその上の防湿膜22のみでスイッチ素子19を封止できるため、デバイス全体の低背化も可能となる。
【0091】
しかも、その防湿膜22により外部雰囲気中の水分がスイッチ素子19に至る経路を封止体25bの横方向からだけに限定でき、水分によりスイッチ素子19が劣化するのを効果的に防止できる。
【0092】
特に、防湿膜22としてDLC膜を形成する場合には、電子デバイス30の耐薬品性も高まる。本願発明者が調査したところ、防湿膜22としてDLC膜を形成し、電子デバイス30の全体をフッ酸や希硫酸等の酸に100時間以上浸しても、封止体25bで封止された領域は酸により腐食されなかった。
【0093】
(第2実施形態)
上記した第1実施形態では、各電極13b、13dを引き出すためのスルーホール25cを封止体25bに形成した。
【0094】
これに対し、本実施形態では、そのようなスルーホール25cの形成が不要な封止方法について説明する。
【0095】
図13〜図14、図17〜図18は、本実施形態に係る電子デバイスの製造途中の断面図であり、図15〜図16はその斜視図である。また、図19〜図21は、本実施形態に係る電子デバイスの製造途中の平面図である。
【0096】
なお、図13〜図21において、第1実施形態で説明したのと同じ要素には第1実施形態におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0097】
この電子デバイスは、可変キャパシタ素子を封止したものであり、以下のようにして製造される。
【0098】
まず、図13(a)に示すように、セラミック基板等の絶縁性の第1の基板31の上にスパッタ法でアルミニウム膜を形成し、それをパターニングして駆動電極32、下部電極33、及び配線34を形成する。
【0099】
図19は、本工程を終了した後の平面図であり、上記の図13は図19のV−V線に沿う断面図に相当する。
【0100】
図19に示すように、駆動電極32は駆動電極用パッド32aと接続されており、下部電極33の両端には下部電極用パッド33aが設けられる。そして、配線34には配線用パッド34aが設けられる。
【0101】
次に、図13(b)に示すように、第1の基板31の上側全面にCVD法でシリコン膜を形成し、そのシリコン膜を犠牲膜36とする。
【0102】
そして、犠牲膜36の上に形成された不図示のレジストパターンをマスクにしながら、SF6ガスをエッチングガスとするRIEにより犠牲膜36をドライエッチングして、配線34の端部に開口36aを形成する。この後に、マスクに使用したレジストパターンは除去される。
【0103】
続いて、図13(c)に示すように、犠牲膜36の上にフォトレジストを塗布し、それを露光、現像することにより、開口36aの上に窓38aを備えたレジストパターン38を形成する。
【0104】
そして、第1の基板31の上側全面にスパッタ法で台座40としてアルミニウム膜を形成し、そのアルミニウム膜で開口36aを完全に埋め込む。
【0105】
その後、図14(a)に示すように、レジストパターン38を除去することにより、開口36a内にのみ台座40を残す。
【0106】
次に、図14(b)に示すように、犠牲膜36の上に可動上部電極(可動部)42としてスパッタ法でアルミニウム膜を形成する。そのアルミニウム膜は、リフトオフ法によりパターニングされ、台座40を覆うように残される。
【0107】
そして、図14(c)に示すように、SF6ガスを使用するRIEにより犠牲膜36をエッチングして除去し、可動上部電極42を下部電極32に向けて弾性変形可能にする。
【0108】
ここまでの工程により、封止の対象となる可変キャパシタ素子45の基本構造が完成する。
【0109】
図20は、その可変キャパシタ素子45の平面図であり、上記の図14(c)は図20のVI−VI線に相当する。
【0110】
この可変キャパシタ素子45においては、駆動電極32と可動上部電極42の各々に極性が互いに逆の電圧を印加することで各電極32、42間に静電引力を生じさせ、下部電極33に可動上部電極42を引き付ける。これにより、下部電極33と可動上部電極42との間隔が可変となり、これらの電極33、42間に形成されるキャパシタの容量を自在に制御することができる。
【0111】
これ以降の工程は、ウエハレベルパッケージ(WLP)により可変キャパシタ素子45を封止する工程となる。
【0112】
その封止工程について、図15〜図16の斜視図を参照しながら説明する。
【0113】
まず、図15(a)に示すように、シリコン基板等の第2の基板20を用意し、その上に下地膜21と防湿膜22とをこの順に形成する。
【0114】
各膜21、22の材料は上記に限定されない。例えば、下地膜21は、ウエットエッチング可能な膜であれば特に限定されず、銅膜、アルミニウム膜、クロム膜、ニッケル膜、モリブデン膜、MgO膜、及びZnO膜のいずれかを下地膜21として形成し得る。
【0115】
或いは、第2の基板20や防湿膜22との密着性が低く、簡単に剥離可能な膜を下地膜21として形成してもよい。そのような膜としては、例えば、金膜、銅膜、及び銀膜の単層膜或いはこれらの積層膜がある。
【0116】
一方、防湿膜21は防湿性が良好な膜であるのが好ましく、窒化シリコン膜やDLC膜を防湿膜21として形成し得る。
【0117】
更に、各膜21、22の膜厚も特に限定されない。本実施形態では、下地膜21の膜厚を1μm〜10μmとし、防湿膜22の膜厚を0.1μm〜1μmとする。
【0118】
次に、図15(b)に示すように、防湿膜22の上にポリイミドを主材料とするネガ型の感光性樹脂を塗布し、感光性樹脂の第1の塗膜55を形成する。
【0119】
そして、第1の塗膜55をソフトベークして半硬化の状態にした後、不図示のフォトマスクを利用して第1の塗膜55の矩形領域を露光し、露光した部分の第1の塗膜55に第1の潜像55aを形成する。
【0120】
次に、図15(c)に示すように、上記の第1の塗膜55の上にポリイミドを主材料とするネガ型の感光性樹脂を塗布し、その感光性樹脂の第2の塗膜56を形成する。
【0121】
なお、第1の塗膜55と第2の塗膜56の各々の感光性樹脂は同一でもよいし、異なる樹脂であってもよい。
【0122】
その後、第2の塗膜56をソフトベークして半硬化の状態にする。
【0123】
次いで、図16(a)に示すように、矩形状の第1の潜像55aの縁に重なるように、第2の塗膜56の枠状の領域を露光して、第2の塗膜56に第2の潜像56aを形成する。
【0124】
続いて、図16(b)に示すように、第1の塗膜55と第2の塗膜56を現像することにより、これらの塗膜55、56のうち未露光の部分を除去して、現像されずに残存する各塗膜55、56を封止体57とする。
【0125】
その封止体57のうち、第1の潜像55aに対応する部分は蓋55bとなり、第2の潜像56aに対応する部分は枠56bとなる。
【0126】
本実施形態では、上記のように二層の塗膜55、56を個別に露光することで、蓋55bとその縁に立設された枠56bとを備えた封止体57を形成することができる。
【0127】
この後に、第2の基板20と共に250℃〜300℃程度の温度で封止体57を加熱し、当該封止体57をキュアする。そのキュアの雰囲気は大気圧の窒素雰囲気であり、処理時間は約1時間である。
【0128】
これにより、封止体57の材料である感光性樹脂が略完全に架橋すると共に、感光性樹脂中の溶媒成分の大部分が除去される。
【0129】
図17(a)は、このようにして封止体57を形成した後の第2の基板20の断面図である。
【0130】
次に、図17(b)に示すように、封止体57をマスクにしながら防湿膜22をウエットエッチングすることにより、封止体57と同一の平面形状に防湿膜22をパターニングする。
【0131】
本工程で使用するエッチング液は特に限定されない。防湿膜22として窒化シリコン膜を形成するときは、そのエッチング液としてフッ酸を使用し得る。
【0132】
また、防湿膜22としてDLC膜を形成するときは、酸素プラズマを用いたドライエッチングにより防湿膜22をエッチングし得る。
【0133】
なお、上記のようにキュアを行った封止体57は化学的に安定であるが、エッチング時の変質を防止するために、封止体57の上にレジストパターンを形成し、そのレジストパターンをマスクにして防湿膜22をエッチングするようにしてもよい。
【0134】
次いで、図17(c)に示すように、ハーフダイシングにより封止体57の横の第2の基板20に複数の溝20aを形成する。
【0135】
そのようにして形成した複数の溝20aの各々は、第1実施形態の図11で説明したように一方向にのみ延在する。
【0136】
次に、図18(a)に示す工程について説明する。
【0137】
まず、既述の図13(a)〜図14(c)に従い、可変キャパシタ素子45が形成された第1の基板31を用意する。そして、可変キャパシタ素子45と封止体57との位置合わせを行い、封止体57で可動上部電極42を囲う。
【0138】
この状態で、窒素雰囲気中で封止体57をそのガラス転移点よりも高い温度に加熱して軟化させる。これと共に、第1の基板31側に向けて第2の基板20を押圧することにより、第1の基板31や配線34の上面に枠56bの下面を貼付して、封止体57で可変キャパシタ素子45を封止する。
【0139】
なお、窒素雰囲気の圧力は特に限定されず、大気圧でも減圧でもよい。
【0140】
そして、本工程における加熱温度も特に限定されないが、本実施形態では250℃〜300℃の温度に封止体57を加熱する。
【0141】
このように加熱により封止体57を軟化させることで、配線34と第1の基板31の各表面に対する封止体57の密着性が向上する。
【0142】
ここで、第1実施形態で説明したように、図16(b)の封止体57に対するキュア温度よりも数10℃高い温度に封止体57を加熱すると、配線34や第1の基板31に対する封止体57の接合強度が向上することが本願発明者の調査により明らかとなった。
【0143】
また、このように封止体57を加熱しても、封止体57の溶媒成分の大部分は図16(b)のキュアにより除去されているので、封止体57から脱ガスが発生せず、封止体57の内側に脱ガスが充満することもない。
【0144】
次に、図18(b)に示すように、下地膜21を境にして封止体57から第2の基板20を剥離する。
【0145】
このとき、封止体57は図16(b)の工程におけるキュアでその剛性が高められているので、封止体57の蓋55bが下方に撓んで可動上部電極42等の可動部に接するおそれはない。特に、封止すべき領域の幅が数百μmと広く封止体57に撓みが出やすい場合に本実施形態は実益がある。
【0146】
第2の基板20を剥離する手法は特に限定されない。第1実施形態のように下地膜21をウエットエッチングして剥離を行ってもよいし、第1の基板1から第2の基板20を物理的に引き上げることで第2の基板20を剥離してもよい。
【0147】
以上により、本実施形態に係る電子デバイス60の基本構造が完成する。
【0148】
その電子デバイス60が備える封止体57は、感光性樹脂を主にしてなるため絶縁性を示す。そのため、電子デバイス60にRF信号を供給する場合でも封止体57が原因で配線34等に寄生容量が生じ難く、可変キャパシタ素子45のRF特性、例えば挿入損失が減衰するのを防止できる。
【0149】
図21は、電子デバイス60の平面図であり、上記した図18(b)の電子デバイス60の断面図は図21のVII−VII線に沿う断面図に相当する。
【0150】
図21に示されるように、この電子デバイス60では、各パッド32a、33a、34aが封止体57の外側に設けられるため、各パッド32a、33a、34aを引き出すためのスルーホールを封止体57に形成する必要がない。
【0151】
以上説明した本実施形態によれば、図18(b)に示したように、封止体57に枠56bを設けることで、蓋55bと第1の基板31との間隔が確保され、可動上部電極42に蓋55bが接触するのを防止できる。
【0152】
また、図16(b)の工程でキュアにより封止体57を固め、その後に図18(a)の工程で第1の基板31や配線34に封止体57を貼付する。これにより、貼付後に蓋55bが撓んで可動上部電極42に接触する危険性が低減できると共に、貼付後に封止体57から脱ガスが発生せず、その脱ガスに可変キャパシタ素子45が曝されるのを防止できる。
【0153】
しかも、蓋55bの上面には防湿性の高い窒化シリコン等を含む防湿膜22が形成されているので、封止体57の防湿能力が向上する。
【0154】
上記で説明した各実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0155】
(付記1) 第1の基板の上に下地膜を形成する工程と、
前記下地膜の上に、感光性樹脂を露光及び現像してなる封止体を形成する工程と、
前記封止体を加熱することにより、該封止体をキュアする工程と、
前記キュアの後、第2の基板に形成された素子に前記封止体を貼付することにより、前記封止体で前記素子を封止する工程と、
前記封止の後、前記下地膜を境にして前記封止体から前記第1の基板を剥離する工程と、
を有することを特徴とする電子デバイスの製造方法。
【0156】
(付記2) 前記下地膜の上に防湿膜を形成する工程を更に有し、
前記封止体を形成する工程において、前記防湿膜の上に前記封止体を形成し、
前記第1の基板を剥離する工程において、前記防湿膜を前記封止体側に残すことを特徴とする付記1に記載の電子デバイスの製造方法。
【0157】
(付記3) 前記封止体をマスクにしながら前記防湿膜をエッチングすることにより、前記封止体と同一の平面形状に前記防湿膜をパターニングする工程を更に有することを特徴とする付記2に記載の電子デバイスの製造方法。
【0158】
(付記4) 前記封止体の横の前記第1の基板に溝を形成する工程を更に有し、
前記第1の基板を剥離する工程において、前記溝の延在方向が鉛直上向きになるように前記第1の基板を立てた状態でエッチング液中に浸すことにより、前記下地膜をウエットエッチングで除去することを特徴とする付記1〜3のいずれかに記載の電子デバイスの製造方法。
【0159】
(付記5) 前記封止体を形成する工程において該封止体にスルーホールを形成し、
前記封止体で前記素子を封止する工程において、前記素子の電極の上に前記スルーホールが位置した状態で、前記電極に前記封止体を貼付することを特徴とする付記1〜4のいずれかに記載の電子デバイスの製造方法。
【0160】
(付記6) 前記封止体を形成する工程において、前記封止体に、蓋とその縁に立設された枠とを形成し、
前記封止体で前記素子を形成する工程において、前記第2の基板の上面に前記枠の下面を貼付して、前記素子の可動部を前記封止体で囲うことを特徴とする付記1〜4のいずれかに記載の電子デバイスの製造方法。
【0161】
(付記7) 前記封止体を形成する工程は、
前記下地膜の上に第1の感光性樹脂の第1の塗膜を形成する工程と、
前記第1の塗膜を露光することにより、該第1の塗膜に前記蓋に対応する第1の潜像を形成する工程と、
前記第1の潜像を形成した後、前記第1の塗膜の上に、第2の感光性樹脂の第2の塗膜を形成する工程と、
前記第2の塗膜を露光することにより、前記第2の塗膜に、前記枠に対応する第2の潜像を形成する工程と、
前記第2の潜像を形成した後、前記第1の塗膜と前記第2の塗膜とを現像することにより、前記第1の潜像に対応した前記蓋と、前記第2の潜像に対応した前記枠とを備えた前記封止体を形成する工程とを有することを特徴とする付記5に記載の電子デバイスの製造方法。
【0162】
(付記8) 基板と、
前記基板に形成された素子と、
感光性樹脂をキュアしてなり、前記素子に貼付されて該素子を封止する封止体と、
前記封止体の表面のうち、上面のみに形成された防湿膜と、
を有することを特徴とする電子デバイス。
【0163】
(付記9) 前記素子は電極を備え、
前記封止体が前記電極に貼付されたと共に、前記電極の上の前記封止体にスルーホールが形成されたことを特徴とする付記8に記載の電子デバイス。
【0164】
(付記10) 前記封止体は、蓋とその縁に立設された枠とを備え、
前記枠の下面が前記基板の上面に貼付され、前記素子の可動部が前記封止体で囲まれたことを特徴とする付記8に記載の電子デバイス。
【符号の説明】
【0165】
1、31…第1の基板、2…シリコン基材、3…中間酸化シリコン膜、4…シリコン膜、4a…スリット、4x…カンチレバー、6…信号線、7…導電性ランド、10…犠牲膜、10a〜10c…上面、13a…封止枠、13b…スイッチ電極、13c…ブリッジ電極、13d…第1のアンカー電極、13e…第2のアンカー電極、13f…接地電極、19…スイッチ素子、20…第2の基板、20a…溝、21…下地膜、22…防湿膜、25…塗膜、25a…潜像、25b…封止体、25c…スルーホール、27…はんだバンプ、30、60…電子デバイス、32…駆動電極、32a…駆動電極用パッド、33…下部電極、33a…下部電極用パッド、34…配線、34a…配線用パッド、36…犠牲膜、36a…開口、40…台座、42…可動上部電極、45…可変キャパシタ素子、55…第1の塗膜、55a…第1の潜像、55b…蓋、56…第2の塗膜、56a…第2の潜像、56b…枠、57…封止体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板の上に下地膜を形成する工程と、
前記下地膜の上に、感光性樹脂を露光及び現像してなる封止体を形成する工程と、
前記封止体を加熱することにより、該封止体をキュアする工程と、
前記キュアの後、第2の基板に形成された素子に前記封止体を貼付することにより、前記封止体で前記素子を封止する工程と、
前記封止の後、前記下地膜を境にして前記封止体から前記第1の基板を剥離する工程と、
を有することを特徴とする電子デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記下地膜の上に防湿膜を形成する工程を更に有し、
前記封止体を形成する工程において、前記防湿膜の上に前記封止体を形成し、
前記第1の基板を剥離する工程において、前記防湿膜を前記封止体側に残すことを特徴とする請求項1に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項3】
前記封止体をマスクにしながら前記防湿膜をエッチングすることにより、前記封止体と同一の平面形状に前記防湿膜をパターニングする工程を更に有することを特徴とする請求項2に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項4】
前記封止体の横の前記第1の基板に溝を形成する工程を更に有し、
前記第1の基板を剥離する工程において、前記溝の延在方向が鉛直上向きになるように前記第1の基板を立てた状態でエッチング液中に浸すことにより、前記下地膜をウエットエッチングで除去することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項5】
基板と、
前記基板に形成された素子と、
感光性樹脂をキュアしてなり、前記素子に貼付されて該素子を封止する封止体と、
前記封止体の表面のうち、上面のみに形成された防湿膜と、
を有することを特徴とする電子デバイス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2012−125894(P2012−125894A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280534(P2010−280534)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】