説明

電子デバイスの作製方法

【課題】 電子デバイスの作製を簡略化する方法を提供する。
【解決手段】 熱界面材料であると同時にアンダーフィル材料として機能する材料(26)を備えた電子デバイスの形成方法を開示する。熱伝導性材料(26)が熱界面材料であると同時にアンダーフィル材料として機能することを特徴とする、熱放散エレメント(24)、半導体チップ(14)、基板(12)および前記熱伝導性材料を備える電子アッセンブリ(10、22)についても開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、半導体チップと基板との間の中間層領域を少なくとも部分的に充填しつつ熱放散エレメントと半導体チップとを結合させる材料を具備し、前記材料が使用中に熱界面材料およびアンダーフィル材料としての目的を果たす電子装置の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
標準的な電子装置および電子アッセンブリでは、半導体チップが少なくとも一つの電気相互接続を介して基板に取り付けられる。半導体チップと基板の熱膨張係数(CTE;coefficient of thermal expansion)の不整合により、電気相互接続は動作中にせん断応力を受けるため早期故障の原因となる。このような故障は、電気相互接続における応力を効果的に低減することにより回避することができる。これはアンダーフィル材料を用いて、半導体チップと基板とを連結することにより達成される。また動作中に発生する熱を取り除くため、熱界面材料を介して熱放散エレメントを半導体チップに接続することもできる。
【特許文献1】米国公開特許第2001−872327号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般に、アンダーフィル材料と熱界面材料は、電子装置作製時の二つの異なる段階で塗布され処理される。一般的なデバイス作製方法では、アンダーフィル材料はまず半導体チップの一辺、または複数の辺に沿って分注される。アンダーフィル材料は半導体チップの下に流れ込み、半導体チップと基板の間の中間層領域(間隙)を満たす。次いでアンダーフィル材料は硬化される。熱界面材料が別の工程で半導体チップの裏面に分注される。そして熱放散エレメントが半導体チップ上の熱界面材料に接触するように配置され、その後、熱界面材料が硬化される。一般に熱放散エレメントは、基板の表面に接触し封止剤によって基板に貼り付けられる構造となっている。公知の方法は、用いられる材料、すなわちアンダーフィル材料と熱界面材料、のそれぞれに分注と硬化の工程を必要とする。この方法では電子デバイスの作製時に硬化サイクルと硬化時間がさらに追加される。従って、当技術分野で電子デバイスの作製を簡略化する方法の開発が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一つの観点において、本発明は電子デバイスの形成方法を提供し、前記方法は:
(A)中間層領域を画定する少なくとも一つの電気相互接続を介して半導体チップに接続された基板を設ける工程と;
(B)被覆された熱放散エレメントを設けるために、熱放散エレメントの所定の部分を硬化性流動性熱伝導性材料で被覆する工程と;
(C)前記少なくとも一つの電気相互接続を介して前記半導体チップに接続された基板とを具備した電気的構造を設けるために、前記被覆された熱放散エレメントを前記半導体チップに接合する工程と;を備え、
前記電気的構造が前記基板、前記電気相互接続、および前記半導体チップにより画定された中間層領域を含み;前記硬化性流動性熱伝導性材料が前記中間層領域の少なくとも一部分を満たすようにし、次いで前記硬化性流動性熱伝導性材料を硬化することを特徴とする。
【0005】
もう一つの観点において、本発明は電子デバイスの形成方法を提供し、前記方法は:
(A)中間層領域を画定する少なくとも一つの電気相互接続を介して半導体チップに接続された基板を設ける工程と;
(B)被覆された熱放散エレメントを設けるために、熱放散エレメントの所定の部分を硬化性流動性熱伝導性材料で被覆する工程と;
(C)前記少なくとも一つの電気相互接続を介して前記半導体チップに接続された基板とを具備した電気的構造を設けるために、前記被覆された熱放散エレメントを前記半導体チップに接合する工程と;を備え、
前記電気的構造が前記基板、前記電気相互接続、および前記半導体チップにより画定された中間層領域を含み;前記硬化性流動性熱伝導性材料が前記中間層領域の少なくとも一部分を満たすようにし、次いで前記硬化性流動性熱伝導性材料を硬化し、
前記電子デバイスには前記熱放散エレメントを前記基板に接合する硬化した熱伝導性材料以外に密封剤が実質的に無いことを特徴とする。
【0006】
もう一つの観点において、本発明は電子デバイスの形成方法を提供し、前記方法は:
(A)中間層領域を画定する少なくとも一つの電気相互接続を介して半導体チップに接続された基板を設ける工程と;
(B)前記中間層領域の少なくとも一部分を硬化性流動性熱伝導性材料で満たす工程と;
(C)前記半導体チップの所定の部分を被覆する工程と;
(D)(A)−(C)で形成された構造を熱放散エレメントに接合する工程と;
(E)前記硬化性流動性熱伝導性材料を硬化する工程と;を備え
前記電子デバイスには前記熱放散エレメントを前記基板に接合する硬化した熱伝導性材料以外に密封剤が実質的に無いことを特徴とする。
【0007】
さらにもう一つの観点において、本発明は:
(A)基板と;
(B)中間層領域を画定する少なくとも一つの電気相互接続を介して前記基板に接続された半導体チップと;
(C)熱放散エレメントと;
(D)前記熱放散エレメントと半導体チップの間で熱界面層を形成する硬化した熱伝導性材料と、を備え、
前記硬化した熱伝導性材料が前記中間層領域の少なくとも一部を占め、前記電子デバイスは、前記熱放散エレメントと前記基板とを結合する前記硬化した熱伝導性材料を以外は密封剤が実質的に無いことを特徴とする電子デバイスを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のこれらの特徴、観点および利点は、以下の詳細な記述と添付図面を参照しつつ読むことでより良く理解されるであろう。図面を通じて、同種の記号は同様な部品を示す。本発明は、下記する本発明の好適な実施形態の詳細な説明およびそこに含まれる実施例を参照することで容易に理解されるであろう。以下の明細書および特許の請求範囲は、下記の意味を有するように定義された多くの用語を参照する。
【0009】
“a”、“an”(ある、一つの)および“the”(前記)という単数形は、特に明記されない限り、複数の指示対象を含む。
【0010】
“optional”(任意の)または“optionally”(任意に)という語句は、それに続く事象または状況が発生してもしなくても良いことを意味し、その記述は事象が起こる場合と起こらない場合を含む。
【0011】
本書において「脂肪族ラジカル」という用語は、環状ではない、直鎖状または分枝状の原子配列を含む少なくとも一価の有機ラジカルを指す。脂肪族ラジカルは少なくとも一つの炭素原子を含むものと定義される。脂肪族ラジカルを含む原子配列は、窒素、硫黄、シリコン、セレン、酸素等のヘテロ原子を含んでも良く、また炭素と水素だけで構成されても良い。便宜上、ここでは「脂肪族ラジカル」という用語を、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロアルキル基、共役ジエニル基、アルコール基、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、カルボン酸基、アシル基(たとえばエステル類とアミド類などのカルボン酸誘導体)、アミン基、ニトロ基など多岐に渡る官能基を「環状ではない、直鎖状または分枝状の原子配列」の一部として包含するものと定義する。例えば、4‐メチルペンタ‐1‐イルラジカルはメチル基を含むC6脂肪族ラジカルで、前記メチル基はアルキル官能基である。同様に、4‐ニトロブタ‐1‐イル基はニトロ基を含むC4脂肪族ラジカルで、前記ニトロ基は官能基である。脂肪族ラジカルは同一または異なる一つ以上のハロゲン原子を含むハロアルキル基でも良い。ハロゲン原子は、例えばフッ素、塩素、臭素およびヨウ素を含む。一つ以上のハロゲン原子を含む脂肪族ラジカルには、ハロゲン化アルキルトリフルオロメチル、ブロモジフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、ヘキサフルオロイソプロピリデン、クロロメチル;ジフルオロビニリデン;トリクロロメチル、ブロモジクロロメチル、ブロモエチル、2‐ブロモトリメチレン(例えば‐CH2CHBrCH2‐)などがある。脂肪族ラジカルの他の例には、アリル、アミノカルボニル(すなわち‐CONH2)、カルボニル、ジシアノイソプロピリデン(すなわち‐CH2C(CN)2CH2‐)、メチル(すなわち‐CH3)、メチレン(すなわち‐CH2‐)、エチル、エチレン、ホルミル(すなわち‐CHO)、ヘキシル、ヘキサメチレン、ヒドロキシメチル(すなわち‐CH2OH)、メルカプトメチル(すなわち‐CH2SH)、メチルチオ(すなわち‐SCH3)、メチルチオメチル(すなわち‐CH2SCH3)、メトキシ、メトキシカルボニル(すなわちCH3OCO‐)、ニトロメチル(すなわち‐CH2NO2)、チオカルボニル、トリメチルシリル(すなわち(CH3)3Si‐)、t−ブチルジメチルシリル、トリメトキシシリルプロピル(すなわち(CH3O)3SiCH2CH2CH2‐)、ビニル、ビニリデンなどがある。更なる例として、C1−C10脂肪族ラジカルは少なくとも1個、ただし10個を越えない数の炭素原子を含む。メチル基(すなわちCH3‐)はC1脂肪族ラジカルの例である。デシル基(すなわちCH3(CH2)9‐)はC10脂肪族ラジカルの例である。
【0012】
本書において「芳香族ラジカル」という用語は、少なくとも一つの芳香族基を含む少なくとも一価の原子配列を指す。この少なくとも一つの芳香族基を含む少なくとも一価の原子配列は、窒素、硫黄、シリコン、セレン、酸素等のヘテロ原子を含んでも良く、また炭素と水素だけで構成されても良い。本書で用いる「芳香族ラジカル」という用語はフェニル基、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、ナフチル基、フェニレン基およびビフェニル基を含むものであるが、これらに限定されるものではない。上述のようにこれら芳香族ラジカルは少なくとも一つの芳香族基を含む。芳香族基は4n+2個の「非局在化」電子を有する環状構造を常に有し、ここで「n」はフェニル基(n=1)、チエニル基(n=1)、フラニル基(n=1)、ナフチル基(n=2)、アズレニル基(n=2)、アントラセニル基(n=3)などに示されるような1以上の整数である。芳香族ラジカルは、非芳香族成分を含む場合がある。例えば、ベンジル基はフェニル環(芳香族基)とメチレン基(非芳香族成分)とを含む芳香族ラジカルである。同様にテトラヒドロナフチルラジカルは、非芳香族成分‐(CH2)4‐に結合した芳香族基(C6H3)を含む芳香族ラジカルである。便宜上、ここでは「芳香族ラジカル」という用語を、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロアルキル基、ハロ芳香族基、共役ジエニル基、アルコール基、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、カルボン酸基、アシル基(たとえばエステル類とアミド類などのカルボン酸誘導体)、アミン基、ニトロ基など多岐に渡る官能基を包含するものと定義する。例えば、4‐メチルフェニルラジカルはメチル基を含むC7芳香族ラジカルで、前記メチル基はアルキル官能基である。同様に2‐ニトロフェニル基はニトロ基を含むC6芳香族ラジカルで、前記ニトロ基は官能基である。芳香族ラジカルは、トリフルオロメチルフェニル、ヘキサフルオロイソプロピリデンビス(4−フェン‐1‐イルオキシ)(すなわち-OPhC(CF3)2PhO‐)、クロロメチルフェニル;3‐トリフルオロビニル‐2‐チエニル;3‐トリクロロメチルフェン-1-イル(すなわち3‐CCl3Ph‐)、4‐(3‐ブロモプロパ‐l‐イル)フェン‐1‐イル(すなわちBrCH2CH2CH2Ph‐)などのハロゲン化芳香族ラジカルを含む。芳香族ラジカルの他の例には、4‐アリルオキシフェン‐1‐オキシ、4‐アミノフェン‐1‐イル(すなわちH2NPh‐)、3‐アニイノカルボニルフェン‐1‐イル(すなわちNH2COPh‐)、4‐ベンゾイルフェン‐1‐イル、ジシアノイソプロピリデンビス(4‐フェン‐1‐イルオキシ)(すなわち‐OPhC(CN)2PhO‐)、3‐メチルフェン‐l‐イル、メチレンビス(フェン‐4‐イルオキシ)(すなわち‐OPhCH2PhO‐)、2‐エチルフェン‐1‐イル、フェニルエテニル、3‐ホルミル‐2‐チエニル、2‐ヘキシル‐5‐フラニル;ヘキサメチレン‐1,6‐ビス(フェン‐4‐イルオキシ)(すなわち‐OPh(CH2)6PhO‐);4‐ヒドロキシメチルフェン‐1‐イル(すなわち4‐HOCH2Ph‐)、4‐メルカプトメチルフェン‐1‐イル(すなわち4‐HSCH2Ph‐)、4‐メチルチオフェン‐1‐イル(すなわち4‐CH3SPh‐)、3‐メトキシフェン‐1‐イル、2‐メトキシカルボニルフェン‐1‐イルオキシ(例メチルサリチル)、2‐ニトロメチルフェン‐1‐イル(すなわち‐PhCH2NO2)、3‐トリメチルシリルフェン‐1‐イル、4‐t‐ブチルジメチルシリルフェンラ‐1‐イル、4‐ビニルフェン‐1‐イル、ビニリデンビス(フェニル)などがある。「C3−C10芳香族ラジカル」は少なくとも3個、ただし10個を越えない数の炭素原子を含む芳香族ラジカルを指す。1−イミダゾリル(C3H2N2‐)は代表的なC3芳香族ラジカルである。ベンジルラジカル(C7H7‐)は代表的なC7芳香族ラジカルである。
【0013】
本書において「脂環式ラジカル」という用語は、脂環式で芳香族ではない原子配列を含む少なくとも一価のラジカル指す。本書で定義される「脂環式ラジカル」は芳香族基を含まない。「脂環式ラジカル」は一つ以上の非環式成分を含むことがきる。例えばシクロヘキシルメチル基(C6H11CH2‐)はシクロヘキシル環(芳香族ではない環式の原子配列)とメチレン基(非環式成分)とを含む脂環式ラジカルである。脂環式ラジカルは窒素、硫黄、セレン、シリコン、酸素等のヘテロ原子を含んでも良く、また炭素と水素だけで構成されても良い。便宜上、ここでは「脂環式ラジカル」という用語を、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロアルキル基、共役ジエニル基、アルコール基、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、カルボン酸基、アシル基(たとえばエステル類とアミド類などのカルボン酸誘導体)、アミン基、ニトロ基など多岐に渡る官能基を包含するものと定義する。例えば、4‐メチルシクロペンタ‐1‐イルラジカルはメチル基を含むC6脂環式ラジカルで、前記メチル基はアルキル官能基である。同様に、2‐ニトロシクロブタ‐1‐イルラジカルはニトロ基を含むC4脂環式ラジカルで、前記ニトロ基は官能基である。脂環式ラジカルは同一または異なる一つ以上のハロゲン原子を含むことができる。ハロゲン原子は、例えばフッ素、塩素、臭素およびヨウ素を含む。一つ以上のハロゲン原子を含む脂環式ラジカルには、2‐トリフルオロメチルシクロヘキサ‐1‐イル、4‐ブロモジフルオロメチルシクロオクタ‐1‐イル、2‐クロロジフルオロメチルシクロヘキサ‐1‐イル、ヘキサフルオロイソプロピリデン2,2‐ビス(シクロヘキサ-4-イル)(すなわち‐C6H10C(CF3)2C6H10‐)、2‐クロロメチルシクロヘキサ‐1‐イル;3‐ジフルオロメチレンシクロヘキサ‐1‐イル;4‐トリクロロメチルシクロヘキサ‐1‐イルオキシ、4‐ブロモジクロロメチルシクロヘキサ‐l‐イルチオ、2‐ブロモエチルシクロペンタ‐1‐イル、2‐ブロモプロピルシクロヘキサ‐1‐イルオキシ(例、CH3CHBrCH2C6H1O‐)などがある。脂環式ラジカルの他の例には、4−アリルオキシシクロヘキサ-1-イル、4‐アミノシクロヘキサ‐1‐イル(すなわちH2NC6H1O‐)、4‐アミノカルボニルシクロペンタ‐1‐イル(すなわちNH2COC5H8‐)、4‐アセチルオキシシクロヘキサ‐1‐イル、2,2‐ジシアノイソプロピリデンビス(シクロヘキサ‐4‐イルオキシ)(すなわち‐OC6H1OC(CN)2C6H1OO‐)、3‐メチルシクロヘキサ‐1‐イル、メチレンビス(シクロヘキサ‐4‐イルオキシ)(すなわち‐OC6H10CH2C6H10O‐)、1‐エチルシクロブタ‐1‐イル、シクロプロピルエテニル、3‐ホルミル‐2‐テラヒドロフラニル、2‐ヘキシル‐5‐テトラヒドロフラニル;ヘキサメチレン‐1,6‐ビス(シクロヘキサ‐4‐イルオキシ)(すなわち-OC6H10(CH2)6C6H10O‐);4‐ヒドロキシメチルシクロヘキサ‐1‐イル(すなわち4‐HOCH2C6H10‐)、4‐メルカプトメチルシクロヘキサ‐1‐イル(すなわち4‐HSCH2C6H1O‐)、4‐メチルチオシクロヘキサ‐1‐イル(すなわち4‐CH3SC6H1O‐)、4‐メトキシシクロヘキサ‐1‐イル、2‐メトキシカルボニルシクロヘキサ‐1‐イルオキシ(2‐CH3OCOC6H10O‐)、4‐ニトロメチルシクロヘキサ‐1‐イル(すなわちNO2CH2C6H10‐)、3‐トリメチルシリルシクロヘキサ‐1‐イル、2‐t−ブチルジメチルシリルシクロペンタ‐1‐イル、4‐トリメトキシシリルエチルシクロヘキサ‐1‐イル(例、(CH3O)3SiCH2CH2C6H10‐)、4‐ビニルシクロヘキセン‐1‐イル、ビニリデンビス(シクロヘキシル)などがある。「C3‐C1O脂環式ラジカル」は少なくとも3個、ただし10個を越えない炭素原子を含む脂環式ラジカルを含む。脂環式ラジカル2‐テトラヒドロフラニル(C4H7O‐)は代表的なC4脂環式ラジカルである。シクロヘキシルメチルラジカル(C6H11CH2‐)は代表的なC7脂環式ラジカルである。
【0014】
「電気的構造」と言う用語は、硬化性流動性熱伝導性材料と、熱放散エレメントと、少なくとも一つの電気相互接続を介して半導体チップに接続された基板とを具備するアッセンブリを指す。
【0015】
「硬化性流動性熱伝導性材料」と言う用語は、熱伝導性組成において、その一部が硬化した材料、または未硬化の材料を指す。部分的に硬化した硬化性流動性熱伝導性材料は、本書で「Bステージ化した」材料と表記される場合がある。硬化後の硬化性流動性熱伝導性材料は、本書で「硬化した熱伝導性材料」と表記される場合がある。
【0016】
本発明の様々な実施形態で硬化性流動性熱伝導性材料は、基板、半導体チップおよび少なくとも一つの電気相互接続によって画定される中間層領域の少なくとも一部を満たすようになる。任意に圧力下で、電気的構造を例えば加熱し(あるいは本書記載の他の手段によって)、硬化性流動性熱伝導性材料を中間層領域に満たすようにすることができる。
【0017】
本書において「電子デバイス」と言う用語は、硬化性流動性熱伝導性材料を硬化することにより作成された硬化した熱界面材料と、熱放散エレメントと、少なくとも一つの電気相互接続を介して半導体チップに接続された基板とを具備するアッセンブリを指す。電子デバイスには、チップスケールパッケージ(CSP;Chip Scale Package)、ボールグリッドアレー(BGA;Ball Grid Array)、マイクロリードフレーム(MLF;Micro Lead Frame)デバイス、フリップチップBGA(FCBGA;Flip Chip BGA)などがある。
【0018】
本書において「実質的に密封剤が無いデバイス」と言う表現は、熱放散エレメントを基板に接合する封止剤としての第二の接着剤を含まない(本書に定義される)電子デバイスを指す。電子デバイスに実質的に密封剤が無い場合、熱放散エレメントを基板に接合する唯一の接着剤は硬化した熱伝導性材料自身である。
【0019】
上述のように、一つの観点において本発明は電子デバイスの形成方法を提供するもので、この方法は(A)、(B)および(C)の工程を備える。
(A)中間層領域を画定する少なくとも一つの電気相互接続を介して半導体チップに接続された基板を設ける工程;
(B)被覆された熱放散エレメントを設けるために、熱放散エレメントの所定の部分を硬化性流動性熱伝導性材料で被覆する工程;
(C)前記少なくとも一つの電気相互接続を介して前記半導体チップに接続された基板と、を具備する電気的構造を設けるために、前記被覆された熱放散エレメントを前記半導体チップに接合する工程。前記電気的構造は前記基板、前記電気相互接続、および前記半導体チップにより画定された中間層領域を含み;前記硬化性流動性熱伝導性材料が前記中間層領域の少なくとも一部分を満たすようにし、次いで前記硬化性流動性熱伝導性材料を硬化することを特徴とする。
【0020】
一つの実施形態において、本発明の方法は(A)、(B)および(C)の工程を備え、密封剤が実質的に無い電子デバイスを提供する。代替的な実施形態において、本発明の方法は(A)、(B)および(C)の工程を含み、封止剤を含む電子デバイスを提供する。一つの実施形態では、封止剤が熱放散エレメントを基板に接合する。
【0021】
工程(A)では、少なくとも一つの電気相互接続を介して半導体チップに接続された基板が設けられる。半導体チップに接続された基板は、基板、半導体チップおよび少なくとも一つの電気相互接続により画定される中間層領域を含む。この中間層領域は間隙と呼称される場合もある。本工程(工程(A))で意図される少なくとも一つの電気相互接続を介して半導体チップに接続した基板を含む構造は、当業者に良く知られたもので、市販されている。
【0022】
工程(B)では、被覆された熱放散エレメントを設けるために、熱放散エレメントの所定の部分が硬化性流動性熱伝導性材料で被覆される。硬化性流動性熱伝導性材料は、流動化できる熱伝導性材料であれば良く、そのような材料は購入するか、または当業者公知の方法で作製することができる。硬化性流動性熱伝導性材料は、流動化が可能な、部分的に硬化(Bステージ化)した熱伝導性材料でも良い。このように一つの観点では、熱放散エレメントの所定の部分が、通常状態下では流動せず、加熱もしくは加圧、または加熱と加圧の組み合わせ、によって流動するようなBステージ化した硬化性流動性熱伝導性材料で被覆されている。
【0023】
工程(C)では、電気的構造を設けるために、被覆された熱放散エレメントが半導体チップに接合される。硬化性流動性熱伝導性材料は流動化し硬化して電子デバイスを設ける。硬化性流動性熱伝導性材料が流動すると、これが基板、半導体チップ、および少なくとも一つの電気相互接続により画定される中間層領域の少なくとも一部分を満たす。
【0024】
上述したように、代替的実施形態において、本発明は下記詳述の工程(A)‐(E)を備える方法による電子デバイス形成方法を提供する。本発明の方法に従った工程(A)‐(E)を適用することにより、密封剤が実質的に無い電子デバイスが提供される。
【0025】
工程(A)では、少なくとも一つの電気相互接続を介して半導体チップに接続された基板が提供される。半導体チップに接続された基板は、基板、半導体チップおよび少なくとも一つの電気相互接続により画定される中間層領域を含む。
【0026】
工程(B)では、中間層領域の少なくとも一部分が硬化性流動性熱伝導性材料で満たされる。
【0027】
工程(C)では、半導体チップの所定の部分が硬化性流動性熱伝導性材料で被覆される。
【0028】
工程(D)では、工程(A)−(C)で作られた構造を熱放散エレメントに接合し、電気的構造を提供する。
【0029】
工程(E)では、例えば工程(D)で形成された電気的構造を硬化性流動性熱伝導性材料が硬化するような適当な温度に加熱するなど、硬化性流動性熱伝導性材料が硬化の起こる条件にさらされる。
【0030】
図面を参照し、図1、2および3において例示的なフリップチップアッセンブリを具備する電子デバイスの形成を説明する。図1は、少なくとも一つの電気相互接続16を介して半導体チップ14に接続された基板12を含む第一アッセンブリ10を示す。半導体チップ14はシリコン金属、炭化シリコン、窒化ガリウムなど様々な半導体材料を含む。少なくとも一つの電気相互接続は、共晶スズ‐鉛組成(例えば、約63%スズと約37%鉛(63Sn/37Pb)を含む組成)から作られた標準半田ボール、または鉛フリー(スズ‐銀、スズ‐銀‐銅、スズ‐銅)組成を一般に含むが、他の組成も知られており、当業者に使用されているもので良い。さらに、半導体チップ14と少なくとも一つの電気相互接続16の間にパッド18が存在する場合もある。基板12と半導体チップ14は、パッドランディング、保護層、再配線層など、この例示的説明図に表されていないその他の付属品をさらに含む場合がある。基板12、半導体チップ14および電気相互接続16は、図1に要素20として示される「中間層領域」を画定する。
【0031】
また図1には、一端が硬化性流動性熱伝導性材料26で被覆された熱放散エレメント24を具備する第二アッセンブリ22が示されている。熱放散エレメントはどの様な熱伝導性材料で作成されても良い。例えば、熱放散エレメントはアルミニウム、銅、銀、ダイアモンドなどの熱伝導性材料を一つ以上含んでいる。さらに、熱放散エレメントは、例えばアルミ製熱放散エレメントの場合にはクロメート仕上げ、また銅製熱放散エレメントの場合にはニッケル仕上げ等の外部保護仕上げを含むことができる。この例示的説明図では、第一アッセンブリ10が第二アッセンブリ22に接合され第一電気的構造28(図2参照)を形成する際、半導体チップ14が完全に被覆されるような量の硬化性流動性熱伝導性材料26が使用されている。硬化性流動性熱伝導性材料26は一般に固体または粘性のあるゲルである。典型的な実施形態では、硬化性流動性熱伝導性材料が熱放散エレメントを被覆した後に、部分的に硬化(Bステージ化)される。他の実施形態では、硬化性流動性熱伝導性材料が熱放散エレメントへの被覆前にBステージ化される。
【0032】
図2は、第一アッセンブリ10を第二アッセンブリ22に接合して形成された第一電気的構造28を示す。
【0033】
図3は、(図2に示す)第一電気的構造28中の硬化性流動性熱伝導性材料26を硬化し、硬化した熱伝導性材料32を形成した後における第一電子デバイス30を示す。一つの実施形態では、硬化工程の間に硬化性流動性熱伝導性材料が流動し、基板12と半導体チップ14の間に存在する中間層領域20を完全に満たす。もう一つの実施形態では、硬化性流動性熱伝導性材料が、硬化工程の間に中間層領域20の一部のみを満たすように流動する。さらにもう一つの実施形態では、電気的構造が形成された後で硬化性流動性熱伝導性材料に硬化工程を施す。硬化した材料32は熱界面材料(TIM;thermal interface material)とアンダーフィル材料の両者として機能する。熱界面材料は、それが無い場合には内部に蓄積するであろう熱を放散する助けとなると言う点で、電子応用分野において重要な役割を果たす。アンダーフィル材料は、デバイスの寿命および/または堅牢性を増すように、少なくとも一つの電気相互接続を支持するために必要とされる。
【0034】
図4から6は本発明のもう一つの実施形態を示すもので、例示的なフリップチップアッセンブリを形成するために必要とされる工程を示す。図4は、基板12を具備し、複数の電気相互接続16を介して半導体チップ14に接続されたことを特徴とする第三アッセンブリ34を示し、ここで半導体チップ14は付属パッド18を介して電気相互接続16に接続されている。基板12および半導体チップ14は、この簡略化された例示的説明図に示されていないパッドランディング、保護層、再配線層など他の付属部品をさらに含んでも良い。一つの実施形態では、基板12、半導体チップ14、電気相互接続16、パッド18が、図4において20で示される中間層領域を画定する。他の実施形態では、中間層領域が、中間層領域内部または近傍に在る追加的な付属品によってさらに特徴付けられる。
【0035】
また図4は、熱放散エレメント24を含み、熱放散エレメント24の一部のみが硬化性流動性熱伝導性材料26によって被覆されたことを特徴とする第四アッセンブリ36を示す。図5に示す実施形態では、第三アッセンブリ(図4)が第四アッセンブリ(図4)に接続して第二電気的構造38(図5)を形成する際、硬化性流動性熱伝導性材料26が半導体チップ14の一部のみに接触するような量の硬化性流動性熱伝導性材料26を使用している。第二電気的構造38に硬化工程を施し、その間に硬化性流動性熱伝導性材料26を流動化させ硬化させて良い。一つの実施形態における硬化性流動性熱伝導性材料26は、半導体チップ14が硬化性流動性熱伝導性材料26によって完全に封入されるように中間層領域を満たす。
【0036】
図6は、硬化した熱伝導性材料32が半導体チップ14を完全に封入した第二電子デバイス40を示す。このように、図5に示す第二電子デバイス38を硬化条件にさらすと、硬化性流動性熱伝導性材料26が流動し半導体チップ14を封入する。硬化プロセスの間に、硬化性流動性熱伝導性材料26は硬化した熱伝導性材料32に変態する。一つの実施形態では、硬化工程の間に、硬化性流動性熱伝導性材料26が流動して半導体チップ14を封入する。(すなわち、半導体チップ14の上面と端面を完全に覆い、中間層領域20を完全に満たす。このようにして硬化性流動性熱伝導性材料32は、アンダーフィル材料であると同時に、熱界面材料(TIM)としても機能する。
【0037】
図7から10は本発明のさらなる実施形態を説明するもので、フリップチップアッセンブリ(図10)である例示的な第三電子デバイス50の形成に必要な工程を示す。図7は、少なくとも一つの電気相互接続16を介して半導体チップ14に接続された基板12を具備する第五アッセンブリ44を示す。半導体チップ14はパッド18を介して電気相互接続16に接触する。基板12および半導体チップ14は、この簡略化された例示的説明図に示されていないパッドランディング、保護層、再配線層など他の付属部品をさらに含んでも良い。基板12、半導体チップ14、電気相互接続16、パッド18および中間層領域内部または近傍の他の付属部品は、図7に示す中間層領域20を画定する。中間層領域20は硬化性流動性熱伝導性材料26によって満たされる。硬化性流動性熱伝導性材料は、当業者公知の適当な方法(非限定的な例として、分注、毛管アンダーフィル、印刷、など)によりアッセンブリに付与しても良い。
【0038】
図8は、図7に示すアッセンブリ44から作られた第六アッセンブリ46を示し、半導体チップ14の上面(中間層領域20と反対側の面)が硬化性流動性熱伝導性材料26によって個別に被覆されていることを特徴とする。半導体チップ14の被覆には、当業者公知の方法など様々な方法を用いることができる。半導体チップ上面の硬化性流動性熱伝導性材料26の層は、半導体チップ上面を完全に被覆しても、また半導体チップ14の上面の一部のみを被覆しても良い。図9は熱放散エレメント24が図8に示す第六アッセンブリ46に接合されたことを特徴とする第三電気的構造48を示す。最後に図10は、図9に示す第三電気的構造48を硬化条件にさらし、硬化性流動性熱伝導性材料26(図9)が流動した後に硬化したことを特徴とする第三電子デバイス50を示す。図10に示した実施形態では、半導体チップが完全に封入され、硬化性流動性熱伝導性材料26が硬化プロセスにより硬化した熱伝導性材料32に変態している。もう一つの実施形態では、半導体チップ14の一部のみが、硬化した熱伝導性材料32に接触するように硬化プロセスの間に硬化性流動性熱伝導性材料が流動する。図10に説明するように、硬化した熱伝導性材料32は、中間層領域20を占めるアンダーフィル材料であると同時に、半導体チップと熱放散エレメントの熱界面として機能する。
【0039】
図11から12は、ウェハーレベルチップスケールパッケージ(WLCSP;Wafer Level Chip Scale Packaging)部品56と、そこに少なくとも一つの電気相互接続16によって接続された基板12を具備する例示的な第四電子デバイス58(図12)の形成に必要な工程を説明する。少なくとも一つの電気相互接続は、共晶スズ‐鉛組成(63Sn/37Pb)、または鉛フリー(スズ‐銀、スズ‐銀‐銅、スズ‐銅)組成を一般に含むが、他の組成も知られており、当業者によって使用されているもので良い。WLCSP56と電気相互接続16の接続にパッド18が存在する場合もある。典型的には、図11および図12に構成要素18として記されたパッドはWLCSP56に組み込まれている。基板12およびWLCSP56は、この簡略化された例示的説明図に示されていないパッドランディング、保護層、再配線層など他の付属部品をさらに含んでも良い。基板12、WLCSP56、電気相互接続16およびアッセンブリ内の他の付属部品が図11内に20として示される中間層領域を画定する。
【0040】
また図11は、一方を硬化性流動性熱伝導性材料26で被覆した熱放散エレメント24を具備する第二アッセンブリ22を示す。熱放散エレメントはアルミニウム、銅などの熱伝導性材料で作ることができる。さらに、熱放散エレメントは、例えばアルミ製熱放散エレメントの場合にはクロメート仕上げ、また銅製熱放散エレメントの場合にはニッケル仕上げ等の外部保護仕上げを含むことができる。この例示的説明図(図12)では、WLCSP56の少なくとも一端を完全に被覆するような量の硬化性流動性熱伝導性材料が使用されている。一つの実施形態における硬化性流動性熱伝導性材料26は固体または粘性のあるゲルである。一つの実施形態では、硬化性流動性熱伝導性材料が熱放散エレメントを被覆した後に部分的に硬化(Bステージ化)されている。別の実施形態では、Bステージ化が熱放散エレメントの被覆前に行われる。
【0041】
図12はWLCSP部品56を含む第四電子デバイス58を示す。電子デバイス58は、電気的構造を形成するように第二アッセンブリ22を第七アッセンブリ54に接合して形成される。この電気的構造を硬化条件にさらすと、中間層領域20の少なくとも一部が硬化された熱伝導性材料32を含み、WLCSP56の全ての側面に硬化した熱伝導性材料32があることを特徴とするWLCSPを含んだ電子デバイス58が形成される。もう一つの実施形態(図示せず)では、硬化工程時に硬化性流動性熱伝導性材料が流動し、基板12とWLCSP56の間に存在する中間層領域20を完全に満たす。図12の実施形態における硬化性流動性熱伝導性材料は、中間層領域20が部分的にのみ満たされるように流動化される。さらにもう一つの実施形態では、硬化時に、硬化性流動性熱伝導性材料はWLCSPの下辺部のみに流れ、中間層領域20は実質的に充填されない状態のままである。さらに別の実施形態では、電気的構造が形成された後で硬化性流動性熱伝導性材料に硬化工程が施される。硬化した熱伝導性材料32はWLSCP56と熱放散ユニット24の間の熱界面材料として機能する。硬化した熱伝導性材料32はまたアンダーフィル材料として機能し、基板、電気相互接続およびWLSCPの構造をより完全なものにする。
【0042】
一つの実施形態では、本発明により提供される少なくとも一つの電子デバイスが、例えば携帯電話、ビデオゲーム、コンピュータ、グローバルポジショニング装置、医療診断装置、ビデオカセットレコーダ、オーディオシステム、拡声装置、CDプレーヤ、DVDプレーヤ、携帯型リモートコントロール装置、テレビ、ラジオなどの電子装置に含まれる。
【0043】
一つの実施形態において、本発明はある方法で作製された少なくとも一つの電子デバイスを含むシステムを提供するもので、前記方法は、中間層領域を画定する少なくとも一つの電気相互接続を介して半導体チップに接続された基板を設け;熱放散エレメントの所定の部分を硬化性流動性熱伝導性材料で被覆し、被覆された熱放散エレメントを設けるために前記硬化性流動性熱伝導性材料をBステージ化(すなわち部分的に硬化)し;熱放散エレメントと、少なくとも一つの電気相互接続を介して半導体チップに接続された基板と、を具備した電気的構造を設けるように、前記熱放散エレメントを前記半導体チップに接合し;前記電気的構造は前記基板、前記電気相互接続および前記半導体チップにより画定される中間層領域を具備し;前記硬化性流動性熱伝導性材料が前記中間層領域の少なくとも一部を満たすようし、その後前記硬化性流動性熱伝導性材料を硬化することを特徴とする。
【0044】
もう一つの実施形態において本発明は、基板と;中間層領域を画定する少なくとも一つの電気相互接続を介して前記基板に接続された半導体チップと;熱放散エレメントと;前記熱放散エレメントと半導体チップの間で熱界面層を形成する硬化した熱伝導性材料と、を具備し、前記硬化した熱伝導性材料がさらに前記中間層領域の少なくとも一部を占め、前記電子デバイスは、前記熱放散エレメントと前記基板とを結合する前記硬化した熱伝導性材料以外に密封剤が実質的に無いことを特徴とする少なくとも一つの電子デバイスを含むシステムを提供する。
【0045】
さらにもう一つの実施形態において、本発明は少なくとも一つの電子デバイスを含むシステムを提供するもので、前記電子デバイスは、(A)中間層領域を画定する少なくとも一つの電気相互接続を介して半導体チップに接続された基板を設け;(B)少なくとも前記中間層領域の一部を硬化性流動性熱伝導性材料で満たし;(C)前記半導体チップの所定の部分を被覆し;(D)(A)−(C)の工程で形成された構造を熱放散エレメントに接合し;前記硬化性流動性熱伝導性材料を硬化すること、前記電子デバイスは前記熱放散エレメントと前記基板を接合する硬化した熱伝導性材料以外、密封剤が実質的に無いことを特徴とする方法により形成される。
【0046】
一つの実施形態における硬化性流動性熱伝導性材料は、少なくとも一つのエポキシ樹脂、少なくとも一つの粒子状充填材、少なくとも一つの硬化触媒および任意の試薬を含む。
【0047】
本発明に記載のエポキシ樹脂は、エポキシ官能基を有する全ての有機システムまたは無機システムを含む硬化性モノマーおよびオリゴマーである。本発明に有用なエポキシ樹脂は、“Chemistry and technology of the Epoxy Resins,” B. Ellis (Ed.) Chapman Hall 1993, New Yorkおよび“Epoxy Resins Chemistry and Technology,” C. May and Y. Tanaka, Marcell Dekker 1972, New Yorkに記載のものを含む。本発明に使用可能なエポキシ樹脂は、好ましくは金属水酸化物(例、水酸化ナトリウム)など塩基性触媒の存在下における、ヒドロキシル、カルボキシルまたはアミン含有化合物とエピクロルヒドリンとの反応によって生成できるものを含む。少なくとも1つ、好ましくは2つ以上の炭素‐炭素二重結合を含む化合物と、ペルオキシ酸などの過酸化物との反応によって生成されるエポキシ樹脂もまた含まれる。
【0048】
本発明を実施する際に使用できるエポキシ樹脂には脂環式および脂肪族エポキシ樹脂が含まれる。脂肪族エポキシ樹脂は、少なくとも一つの脂肪族基と少なくとも一つのエポキシ基とを含有する化合物を含む。脂肪族エポキシ樹脂の例には、ブタジエンオキシド、ジメチルペンタンジオキシド、ジグリシジルエーテル、1,4‐ブタンジオールグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルおよびジペンテンジオキシドがある。
【0049】
脂環式エポキシ樹脂は当技術分野で良く知られており、本書に記載されるように、少なくとも約一つの脂環式基と少なくとも一つのオキシラン基とを含む化合物である。一つの実施形態における脂環式エポキシ樹脂には、分子当り少なくとも一つの脂環式基と、少なくとも二つのオキシラン環とを含む化合物が含まれる。具体例には、3−シクロヘキセニルメチル‐3‐シクロヘキセニルカルボキシレートジエポキシド;2‐(3,4‐エポキシ)シクロヘキシル‐5,5‐スピロ‐(3,4‐エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン;3,4‐エポキシシクロヘキシルアルキル‐3,4‐エポキシシクロヘキサンカルボキシレート;3,4‐エポキシ‐6‐メチルシクロヘキシルメチル‐3,4‐エポキシ‐6‐メチルシクロヘキサンカルボキシレート;ビニルシクロヘキサンジオキシド、ビス(3,4‐エポキシシクロヘキシルメチル)アジぺート;ビス(3,4‐エポキシ‐6‐メチルシクロヘキシルメチル)アジぺート;エキソ‐エキソビス(2,3‐エポキシシクロペンチル)エーテル;エンド−エキソビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル;2,2−ビス(4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロヘキシル)プロパン;2,6−ビス(2,3−エポキシプロポキシシクロヘキシル-p-ジオキサン);2,6−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ノルボルネン;リノール酸二量体のジグリシジルエーテル;リモネンジオキシド;2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン;ジシクロペンタジエンジオキシド;1,2−エポキシ−6−(2,3−エポキシプロポキシ)ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン;p−(2,3−エポキシ)シクロペンチルフェニル−2,3−エポキシプロピルエーテル;1−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル−5,6−エポキシヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン;o−(2,3−エポキシ)シクロペンチルフェニル−2,3−エポキシプロピルエーテル);1,2−ビス(5−(l,2−エポキシ)‐4,7‐ヘキサヒドロメタノインダノキシル)エタン;シクロペンテニルフェニルグリシジルエーテル;シクロヘキサンジオールジグリシジルエーテル;およびジグリシジルヘキサヒドロフタレートが含まれる。
【0050】
芳香族エポキシ樹脂を本発明に用いることもできる。本発明に有用なエポキシ樹脂の例には、ビスフェノール‐Aエポキシ樹脂、ビスフェノール‐Fエポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾール‐ノボラックエポキシ樹脂、ビフェノールエポキシ樹脂、ビフェニルエポキシ樹脂、4,4’‐ビフェニルエポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂、ジビニルベンゼンジオキシドおよび2‐グリシジルフェニルグリシジルエーテルが含まれる。本明細書および特許請求の範囲において芳香族、脂肪族および脂環式樹脂を含む樹脂について記述する際には、特定の名称の樹脂または名称の付いた樹脂の部分を有する分子が想定される。
【0051】
本発明のシリコーンエポキシ樹脂は一般に式
MaM’bDcD’dTeT’fQg
で表され:ここで添字a、b、c、d、e、f、gはゼロまたは正の整数で、添字b、d、およびfの合計が1以上に制限され;
Mは式:
R13SiO1/2、
M’は式:
(Z)R22SiO1/2、
Dは式:
R32SiO2/2、
D’は式:
(Z)R4SiO2/2、
Tは式:
R5SiO3/2、
Tは式:
(Z)SiO3/2、および
Qは式:
SiO4/2で表され;
ここで、R1、R2、R3、R4、R5は都度独立に水素原子、C1‐22脂肪族ラジカルまたはC6‐14芳香族ラジカルであり、Zは都度独立にエポキシ基を意味する。本発明では、エポキシモノマーとオリゴマーを組み合わせて使用することができる。一つの実施形態における硬化性流動性熱伝導性材料は、住友化学株式会社(日本)よりECNとして市販のクレゾールノボラックエポキシ樹脂などのエポキシ樹脂である。
【0052】
一つの実施形態では、硬化性流動性熱伝導性材料が粒子状充填材を含む。粒子状充填材は、フューズドシリカ、フュームドシリカ、コロイド状シリカ、アルミニウム、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、カオリン、石英粉、カーボンブラック、アルミニウム、アルミナ、銅、銀、金、プラチナ、パラジウム、ホウ素、ベリリウム、ロジウム、ニッケル、コバルト、鉄、モリブデン、スズ、鉛、クロミウム、亜鉛、マグネシウム、タングステン、ビスマス、カドミウム、ガリウム、インジウム、水銀、アンチモン、スカンジウム、ポロニウム、アンチモン酸化物、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ニッケル、酸化銀およびこれらの組み合わせから成る群より選択することができる。本発明の特定の実施形態における充填材は、官能基化されたコロイド状シリカである。コロイド状シリカはサブミクロンサイズのシリカ(SiO2)を水またはその他の溶媒に分散させたものである。コロイド状シリカは約85重量%までの二酸化ケイ素(SiO2)を含み、より典型的には約80重量%までの二酸化ケイ素を含む。コロイド状シリカの粒子サイズは典型的には約1ナノメータ(nm)から約250nmの範囲にあり、より典型的には約5nmから約150nmの範囲にある。
【0053】
コロイド状シリカをオルガノアルコキシシランで官能基化し、有機官能基化コロイド状シリカを形成することができる。コロイド状シリカの官能基化に使用されるオルガノアルコキシシランは、
(R7)hSi(OR8)4−h 、
で表される式に含まれ、ここでR7は都度独立にC1‐C18一価脂肪族ラジカル、またはC6‐C14芳香肪族ラジカルであり、
Rは都度独立にC1‐C18一価脂肪族ラジカル、芳香肪族ラジカル、一価脂環式ラジカル、または水素ラジカルで、「h」は1以上3以下の整数である。本発明に含まれるオルガノアルコキシシランは、2‐(3,4‐エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランおよびメタクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。官能基の組み合わせも可能である。オルガノアルコキシシランは、典型的にはコロイド状シリカに含まれる二酸化ケイ素の重量に対し、約5重量%から約60重量%の範囲で含まれる。官能基化されたコロイド状シリカを、改質のために酸または塩基処理することができる。官能基化プロセスを補助するために、酸、塩基、または、シラノール基およびアルコキシシラン基の縮合促進に有効な他の触媒を用いることができる。このような触媒には、テトラブチルチタネートおよびチタンイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)などの有機チタン化合物を含まれる。適当な触媒には、ジブチルスズジラウレートなどの有機スズ化合物も含まれる。一つの実施形態では、触媒が少なくとも一つの有機チタン化合物と少なくとも一つの有機スズ化合物との組み合わせを含む。
【0054】
コロイド状シリカの官能基化は、脂肪族アルコールを添加したコロイド状シリカの水分散液にオルガノアルコキシシラン官能基化剤を添加することにより行うことができる。このようにして出来た官能基化されたコロイド状シリカと脂肪族アルコール中のオルガノアルコキシシラン官能基化剤を含む組成を、ここでは予備分散物と定義する。脂肪族アルコールは、典型的にはイソプロパノール、t−ブタノール、2‐ブタノールおよびその組み合わせから成る群より選択される。脂肪族アルコールの量は、典型的にはコロイド状シリカ水予備分散物中の二酸化ケイ素量の約1倍から約10倍に対応する量とする。場合によっては、4‐ヒドロキシ‐2,2,6,6‐テトラメチルピペリジニルオキシ(すなわち4‐ヒドロキシTEMPO)などの安定化剤をこの予備分散物に加えても良い。いくつかの場合、少量の酸または塩基を加え透明な予備分散物のpHを調整する。ここに言う「透明な」とはASTM D 1003に記載される標準試験によって測定される最大ヘイズ値が15%、典型的には最大ヘイズ値が10%、最も典型的には最大ヘイズ値が3%であることを指す。出来上がった予備分散物を、典型的には約50℃から100℃で約1時間から約5時間加熱する。
【0055】
冷却した透明な有機予備分散物に、硬化性エポキシモノマーまたはオリゴマー、さらに任意としてイソプロパノール、1‐メトキシ‐2‐プロパノール、l‐メトキシ‐2‐プロピルアセテート、トルエンおよびこれらの組み合わせから選択されるがこれらに限定されない溶剤を加えることにより、最終分散物を形成するための更なる処理を行う。酸性または塩基性の不純物を取り除くため、官能基化されたコロイド状シリカの最終分散物を酸または塩基またはイオン交換樹脂で処理しても良い。このコロイド状シリカの最終分散物を、約0.5Torrから約250Torrの真空中、20℃から140℃の温度で濃縮し、溶剤、残留水およびこれらの組み合わせなどの低沸点成分を実質的にすべて除去し、硬化性エポキシモノマー中で官能基化されたコロイド状シリカの透明な最終分散物を得る。本書ではこれを最終濃縮分散物と呼ぶ。ここで低沸点成分の実質的除去とは、低沸点成分総量の少なくとも約90%を除去することと定義される。
【0056】
いくつかの場合、官能基化されたコロイド状シリカの予備分散物または最終分散物をさらに官能基化させることができる。低沸点成分を少なくとも部分的に除去した後、官能基化コロイド状シリカの残留ヒドロキシル官能基と反応する適当なキャッピング剤を、予備分散剤または最終分散剤中に存在する二酸化ケイ素の重量に対し約0.05倍から約10倍範囲の量加える。ここで低沸点成分の部分的除去とは、低沸点成分の全量に対し少なくとも約10%、好ましくは、低沸点成分の全量に対し少なくとも約50%の量を除去することを指す。キャッピング剤の有効量が官能基化されたコロイド状シリカをキャップ化する。ここでキャップ化された官能基化コロイド状シリカとは、対応するキャップ化されていない官能基化コロイド状シリカに存在する遊離ヒドロキシル基の少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、さらに好ましくは少なくとも35%がキャッピング剤との反応により官能基化されたものと定義される。
【0057】
キャッピング剤の例にはシリル化剤などのヒドロキシル反応性材料がある。シリル化剤の例にはヘキサメチルジシラザン(HMDZ)、テトラメチルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザン、ジフェニルテトラメチルジシラザン、N−(トリメチルシリル)ジエチルアミン、1−(トリメチルシリル)イミダゾール、トリメチルクロロシラン、ペンタメチルクロロジシロキサン、ペンタメチルジシロキサンがあるが、これらに限定されるものではない。次いで透明な分散物を、約20℃から約140℃の範囲で、約0.5時間から約48時間の範囲の時間加熱する。出来上がった混合物にフィルターをかける。予備分散物がキャップ剤と反応した場合には、少なくとも1つの硬化性エポキシモノマーを加えて最終分散物を形成する。硬化性モノマー中の官能基化コロイド状シリカ混合物を、約0.5Torrから約250Torrの範囲の圧力下で濃縮し最終濃縮分散物を形成する。この過程で、溶剤、残留水、キャッピング剤とキドロキシル基との副生産物、過剰なキャッピング剤およびこれらの組み合わせ等の低沸点成分が実質的に除去される。
【0058】
硬化性エポキシ剤全体を形成するために、最終濃縮分散物に硬化触媒を加える。硬化触媒は硬化性エポキシ剤全体の硬化を促進する。典型的には、触媒を硬化性エポキシ剤全体の重量に対し、重量比で約10ppmから10%加える。硬化触媒の例には、ビスアリールヨードニウム塩、すなわちビス(ドデシルフェニル)ヨードニウヘキサフルオロアンチモネート、オクチルオキシフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビスアリールヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリアリールスルホニウム塩およびこれらの組み合わせなどのオニウム触媒が含まれるが、これらに限定されるものではない。触媒はビスアリールヨードニウム塩であることが好ましい。任意に、芳香族ピナコール、ベンゾインアルキルエーテル、有機ペルオキシドおよびこれらの組み合わせ等の任意試薬として、フリーラジカル生成化合物の有効量を添加することができる。フリーラジカル生成化合物は低温におけるオニウム塩の分解を容易にする。
【0059】
任意に、カルボン酸無水物硬化剤およびヒドロキシル部分を含む有機化合物などのエポキシ硬化剤を、硬化触媒に伴う任意試薬として加えることができる。これらの場合、硬化触媒は、アミン、アルキル置換イミダゾール、イミダゾリウム塩、ホスフィン、金属塩およびこれらの組み合わせなどを含むがこれらに限定されない典型的なエポキシ硬化触媒から選択することができる。適当な触媒はトリフェニルホスフィン、アルキル‐イミダゾール、アルミニウムアセチルアセトネートおよびこれらの組み合わせを含む。
【0060】
無水物硬化剤の典型例には、メチメキサヒドロフタル酸無水物、1,2‐シクロヘキサンジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ‐5‐エン‐2,3‐ジカルボン酸無水物、メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ‐5‐エン‐2,3‐ジカルボン酸無水物、フタル酸無水物、ピロメリト酸二無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、ジクロロマレイン酸無水物、クロレンド酸無水物、テトラクロロフタル酸無水物などがある。少なくとも二つの無水物硬化剤の組み合わせも使用することができる。説明的に役立つ例は“Chemistry and Technology of the Epoxy Resins” B. Ellis (Ed.) Chapman Hall, New York, 1993および“Epoxy Resins Chemistry and Technology”, C. A. May (Ed.), Marcel Dekker, New York, 2nd edition, 1988に記載されている。
【0061】
ヒドロキシル部分を有する有機化合物の例は、式HO−W−OHで表されるジオールを含み、ここでWはC1‐C2O二価脂肪酸ラジカル、C3‐C40二価脂環式ラジカル、またはC3‐C40二価芳香族ラジカルである。脂肪族ジオールは、エチレングリコール;プロピレングリコール、すなわち1,2‐および1,3‐プロピレングリコール;2,2‐ジメチル‐1,3‐プロパンジオール;2‐エチル,2‐メチル,1,3‐プロパンジオール;1,3‐および1,5‐ペンタンジオール;ジプロピレングリコール;2‐メチル‐1,5‐ペンタンジオール;および1,6‐ヘキサンジオール;トリエチレングリコール;1,10‐デカンジオールおよびこれらの組み合わせに説明されるがこれらに限定されるものではない。脂環式ジオールは1,1‐デカリンジメタノール、2,2‐ビシクロオクタンジメタノール;シス‐1,4‐シクロヘキサンジメタノール;トランス‐1,4‐シクロヘキサンジメタノール;およびこれらの混合物によって説明されるがこれらに限定されるものではない。一つの実施形態では、ビスフェノール、脂肪族ジオールおよび脂環式ジオールからなる群から選択される少なくとも二つのジオールを含むジオール混合物が使用される。
【0062】
ビスフェノールの例には、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;2,2−ビス(4‐ヒドロキシフェニル)プロパン(一般にビスフェノールAとして知られている);2,2−ビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジメチルフェニル)プロパン;2,4’‐ジヒドロキシジフェニルメタン;ビス(2‐ヒドロキシフェニル)メタン;ビス(4‐ヒドロキシフェニル)メタン;ビス(4‐ヒドロキシ‐5‐ニトロフェニル)メタン;ビス(4‐ヒドロキシ‐2,6‐ジメチル‐3‐メトキシフェニル)メタン;1,1‐ビス(4‐ヒドロキシフェニル)エタン;1,1‐ビス(4‐ヒドロキシ‐2‐クロロフェニル)エタン;2,2−ビス(3‐フェニル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロパン;ビス(4‐ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン;2,2−ビス(4‐ヒドロキシフェニル)−1‐フェニルプロパン;2,2,2’,2’‐テトラヒドロ‐3,3,3’,3’‐テトラメチル‐1,1’‐スピロビ[1H−インデン]‐6,6’‐ジオール(一般にSBIとして知られている);2,2−ビス(4‐ヒドロキシ‐3‐メチルフェニル)プロパン(一般DMBPCとして知られている);レソルシノール;およびC1‐C3アルキル置換レソルシノールがある。
最も典型的には2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BPA)が使用される。ヒドロキシル部分を含む有機化合物の組み合わせを使用しても良い。
【0063】
組成の粘性を低下させるために硬化性エポキシ剤全体に反応性有機希釈剤を加えても良い。反応性希釈剤の例には、3‐エチル‐3‐ヒドロキシメチル‐オキセタン、ドデシルグリシジルエーテル、4‐ビニル‐1‐シクロヘキサンジエポキシド、ジ(β‐(3,4‐エポキシシクロヘキシル)エチル)‐テトラメチルジシロキサンおよびこれらの組み合わせがあるが、これらに限定されるものではない。製剤の粘性を低下させるために非反応性希釈剤を加えても良い。非反応性希釈剤の例には、トルエン、エチルアセタート、ブチルアセタート、1‐メトキシプロピルアセタート、エチレングリコール、ジメチルエーテルおよびこれらの組み合わせがあるが、これらに限定されるものではない。
【0064】
上述のように、硬化性流動性熱伝導性材料は少なくとも一つの充填材を含むことができる。適当な充填材には、例えば、フューズドシリカ、フュームドシリカ、コロイド状シリカ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、カオリン、石英粉、カーボンブラック、アルミニウム、アルミナ、銅、銀、金、プラチナ、パラジウム、ベリリウム、ホウ素、ロジウム、ニッケル、コバルト、鉄、モリブデン、スズ、鉛、クロミウム、亜鉛、マグネシウム、タングステン、ビスマス、カドミウム、ガリウム、インジウム、水銀、アンチモン、スカンジウム、ポロニウム、酸化アンチモン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ニッケル、酸化銀およびこれらの組み合わせがある。使用する場合には、充填材を製剤の合計重量に対し、典型的に約10重量%から約95重量%の範囲で添加する。より典型的には、充填材を硬化性ポリマー補強材料の合計重量に対し約20重量%から約85重量%の範囲で添加する。
【0065】
硬化性流動性熱伝導性材料はさらに軟化剤成分を含むことができる。軟化剤は硬化した材料の柔軟性を高めるために使用される。これは、割れなどの故障を防止するために最終デバイスにより大きな応力緩和の余裕を与えるよう選択される。軟化剤の例として、Dow Chemical Co.(ミシガン州、ミッドランド)から市販の製品、D.E.R.732がある。
【0066】
硬化性流動性熱伝導性材料は、典型的には硬化性ポリマー補強材料の合計重量に対し約0.01重量%から約2%の範囲内で添加された、トリアルコキシオルガノシラン例えばオメガ‐アミノプロピルトリメトキシシラン、3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)フマメートおよびその組み合わせなどの接着促進剤をさらに含むことができる。
【0067】
任意に、難燃剤を硬化性ポリマー補強材料の合計重量に対し約0.5重量%から約20%の範囲で使用することができる。難燃剤の例には、ホスホルアミド、トリフェニルホスフェート(TPP)、レゾルシノールジスホスフェート(RDP)、ビスフェノール‐A‐ジスホスフェート(BPA−DP)、有機ホスフィン酸化物、ハロゲン化エポキシ樹脂、金属酸化物、金属水酸化物およびこれらの組み合わせがある。
【0068】
硬化性流動性熱伝導性材料は成分を手混合することによって作製することができるが、生地ミキサー、チェーン缶ミキサー、惑星ミキサー、ツインスクリュー押出機、ロールミルなど標準的な混合機を用いて作成することもできる。混合はバッチ式、連続式、または半連続式で実施することができる。
【0069】
本発明の一つの実施形態における硬化性流動性熱伝導性材料は常温で約20センチポイズから5000センチポイズの粘性を有する液体である。本発明のもう一つの実施形態における硬化性流動性熱伝導性材料は常温で約25センチポイズから3000センチポイズの粘性を有する液体である。本発明のさらにもう一つの実施形態における硬化性流動性熱伝導性材料は常温で約50センチポイズから1000センチポイズの粘性を有する液体である。
【0070】
硬化性流動性熱伝導性材料による所望の表面の被覆は、当業者公知の方法によって行うことができる。このような方法には分注、印刷、スクリーン印刷およびそれらの組み合わせがあるが、これらに限定されるものではない。必要に応じ、記述された技法で表面にパターンを形成しても良い。一つの実施形態では、硬化性流動性熱伝導性材料を表面に塗布した後、部分的に硬化(Bステージ化)する。一つの実施形態における溶剤フリー硬化性流動性熱伝導性材料の部分的硬化は、加熱(熱硬化)により効果を発揮する。溶剤フリー硬化性流動性熱伝導性材料は、このような材料を熱改質しつつ硬化する際に、真空環境を必要としないという点で有利な場合がある。他の典型的な硬化方法には、真空蒸発、放射線硬化、紫外線硬化、マイクロ波硬化、これらの組み合わせなどがある。硬化性流動性熱伝導性材料の部分的硬化(Bステージ化)方法として、約760Torrから約1ミリtorr、より典型的には約200Torrから1Torrの真空下で、約10℃から約250℃の範囲、より典型的には約20℃から約225℃の範囲に加熱する。さらに、部分的硬化(Bステージ化)は、典型的には約30秒から約5時間、より典型的には約90秒から約30分の時間で起こる。Bステージ化(部分的硬化)すると、一般にBステージ化前に比べ、より流動に対する抵抗性の高いBステージ化された硬化性流動性熱伝導性材料ができる。個々の材料に応じて、Bステージ化は硬化性流動性熱伝導性材料を硬化させるか、または単にその粘性が増大させる。
【0071】
本発明の一つの実施形態では、被覆した熱放散エレメントが少なくとも一つの電気相互接続を介して半導体チップに接合された際、硬化性流動性熱伝導性材料が半導体チップを完全に密封するのに十分な量の硬化性流動性熱伝導性材料により、熱放散エレメントの一部を被覆する。上述のように、熱放散エレメント、または熱放散エレメントを含むアッセンブリを、基板、半導体チップ、少なくとも一つの電気相互接続、および中間層領域を含むアッセンブリに接合した際、電気的構造が形成される。
【0072】
もう一つの実施形態では、硬化性流動性熱伝導性材料で中間層領域を満たし(すなわちアンダーフィル材料として塗布し)、次いで、この硬化性流動性熱伝導性材料を半導体チップの露出側に被覆する。
【0073】
硬化性流動性熱伝導性材料の硬化は、単独、または単独ではないBステージ化工程により行うことができる。典型的には、効果時に全てのアッセンブリ(すなわち電気的構造)に少なくとも一つの硬化工程を施す。典型的な効果方法には、熱硬化、紫外線硬化、放射線硬化、マイクロ波硬化、これらの組み合わせ等がある。一つの実施形態では、適当な硬化条件が約10℃から約250℃の範囲の温度であり、また代替的な実施形態では約20℃から約225℃の範囲の温度である。加熱は、例えば約760Torrから約1ミリTorrの範囲の真空中で行うことができる。一つの実施形態における硬化は約200Torrから1Torrの範囲の真空加熱により効果を発揮する。一つの実施形態における硬化は約30秒から約5時間の範囲の時間で効果を発揮する。特定の実施形態における硬化時間は約90秒から約30分の範囲である。
【0074】
一つの実施形態において、本発明によって提供される電子デバイスは、硬化した熱伝導性材料と、少なくとも一つの電気相互接続を介して半導体チップに接続された基板と、基板、半導体チップおよび少なくとも一つの電気相互接続によって画定された中間層領域と、基板と反対側の半導体チップ面に配置された熱放散エレメントと、を具備する。熱放散エレメントは硬化した熱伝導性材料を通じて半導体チップと接続された状態にある。一つの実施形態における硬化した熱伝導性材料は、半導体チップを完全に密封し、また中間層領域を完全に満たす。このように、硬化した熱伝導性材料は、熱界面材料およびアンダーフィル材料の両方としての機能を果たす。代替的実施形態における硬化した熱伝導性材料は、半導体チップを完全に密封するが、中間層領域を完全には満たさない。
【0075】
本発明のもう一つの実施形態において、電子デバイスは硬化した熱伝導性材料と、少なくとも一つの電気相互接続を介してWLCSPに接続された基板と、基板、WLCSPおよび少なくとも一つの電気相互接続によって画定された中間層領域と、基板と反対側のWLCSP面に配置された熱放散エレメントと、を具備する。熱放散エレメントは硬化した熱伝導性材料を通じてWLCSPと接続された状態にある。一つの実施形態における硬化した熱伝導性材料は、WLCSPを完全に密封し、また中間層領域を部分的に満たす。代替的な実施形態において、熱伝導性材料はWLCSPを部分的にのみ密封し、また中間層領域は完全に、または部分的にのみ満たされる。
【0076】
硬化工程の後に得られる電子デバイス中の中間層領域の厚さは間隙高さと呼ばれる。間隙高さは、基板パッドの形状、電気相互接続の寸法、半田ボールの組成、半田マスク寸法、アッセンブリパラメータ、硬化条件などの要因で決められる。
【0077】
熱放散エレメントと半導体チップ(またはWLCSP)の間の領域の厚さは接合部厚さ(BLT;Bond-Line Thickness)と呼ばれる。BLTも、硬化性流動性熱伝導性材料の組成を変化させることで制御することができる。
【0078】
実施例
アルミニウムはニュージャージー州バーゲンフィールドのAtlantic Equipment Engineersから入手した。アルミナはニューヨーク州ニューヨークのDenka Corp.から入手した。エポキシクレゾールノボラック(ECN)は、東京の住友化学株式会社から入手した。Epon 826という商品名で販売されるビスフェノールAベースのジエポキドは、コロラド州プエブロのResolution Performance Productsから入手した。タマノールはニューヨーク州スケネクタディのSchenectady Internationalより入手した。1‐メトキシ‐2‐プロパノールおよびN‐メチルイミダゾールは米国Sigma‐Aldrichより入手した。
【0079】
フリップチップアッセンブリ
フリップチップアッセンブリを高ガラス転移温度(Tg)ガラス強化FR−4基板上に組み立てた。フリップチップは、高さ4ミリインチ、融点183℃の標準共晶スズ‐鉛(63Sn/37Pb)半田バンプを有するシリコンデバイスであった。フリップチップデバイスは88のInput/Output(I/O)と8ミリインチのピッチを有していた。デバイス上の保護層は窒化ケイ素であった。フリップチップダイは、抵抗値モニターと信頼性試験中の破損を容易にするためデイジーチェーンとした。フリップチップは非清浄粘着性フラックスとスズ‐鉛半田リフロープロファイルを用いて基板上の銅製パッド上に組み立てられた。高さ2ミリインチの半田相互接続をシリコンデバイスと基板の間に形成した。
【0080】
硬化性流動性熱伝導性材料の塗布
20ミリグラムの硬化性流動性熱伝導性材料を、ニッケル梨地仕上げした銅製熱放散エレメント上で半分注パターンに分注した。この材料をBステージ化した。Bステージ化した材料は、分注された形状を維持していた。
【0081】
電子デバイス製作
Bステージ化した材料の付いた熱放散エレメントをフリップチップアッセンブリの裏面に配置し、金属クリップで1ポンドの力を与え熱放散エレメントとフリップチップアッセンブリを止めた。熱スプレッダーとクリップを含むアッセンブリ全体を150℃の高温オーブンで40分保持した。Bステージ化した材料はこの硬化条件下で流動し、熱放散エレメント(熱スプレッダー)とフリップチップの背面の間の空間を満たした。またBステージ化した材料はフリップチップデバイスの辺に沿ってフリップチップデバイスの下方に流動し、アンダーフィル層を形成した。
【0082】
デバイスの評価
熱抵抗測定サンプルの作成
材料をBステージ化し、シリコンおよび銅製の8mm×8mmクーポン上に組み立てた。アッセンブリを適当な硬化条件にさらし、硬化したサンプルを得た。組み立て前に、各クーポンの厚さを異なる5点でそれぞれ測定した。硬化したデバイスの厚さからクーポンの厚さを差し引き、層の接合部厚さ(BLT)を求めた。このアッセンブリにグラファイトの薄膜を被覆した後、レーザーフラッシュ放散装置に載置した。
【0083】
熱拡散率装置および熱抵抗の測定
レーザーフラッシュ装置(Netzsch Instruments, Microflash 300)をその場拡散率および熱伝導率の測定に使用した。その操作はASTM E‐1461および“Measurements of Adhesive Bondline Effective Thermal Conductivity and Thermal Resistance Using the Laser Flash Method”, Campbell, Robert C, Smith, Stephen E. and Dietz, Raymond L.,15th IEEE Semi‐Therm Symposium, 1999, 83‐97に記載の原理に基づいている。温度は25℃で一定とした。MicroflashTM装置に付属のソフトウェアマクロを使用し、硬化した材料層の熱伝導率および熱抵抗を求めた。本方法で求めた硬化した材料層の熱抵抗は、硬化した材料のバルク(固有)熱抵抗と材料‐基板界面の接触抵抗を含む。この熱抵抗値は硬化した材料のその場特性を最も良く表す。
【0084】
接着力測定
硬化した材料の接着特性を、20kgのロードセルのついたDage model 22 microtesterを用いたダイせん断試験により評価した。硬化性流動性熱伝導性材料を、4mm×4mmの半導体チップ上でBステージ化し、半田マスクしたFR‐4基板上に組み立て、硬化した。保持具により基板を所定の位置に保持した。Dage microtester上のせん断アンビルの動きをx、y、z方向に厳重に管理した。せん断アンビルを顕微鏡下でダイの辺に配置し、ダイが破断または基板/クーポンから離れるまで均一な力を掛けた。基板から半導体チップをせん断して離すのに必要な荷重をせん断面積で割り、ダイせん断強度を求めた。
【0085】
信頼性能試験
試験系の性能を評価するため加速信頼性試験を行った。空気対空気熱衝撃試験では、サンプルを0℃から100℃、または−50℃から150℃(サイクル当たり10分)の極端な温度にさらした。信頼性試験の前後における硬化した熱伝導性層の熱抵抗を監視した。フリップチップ半田接合の抵抗を、デイジーチェーンプリップチップダイを用いた信頼性試験サイクルで監視した。
【0086】
表1は電子デバイスの形成に用いられた硬化性流動性熱伝導性材料の組成を示す。表2はデバイスの性能評価試験結果を示す。
(表1)硬化性流動性熱伝導性材料の組成
【表1】

【0087】
(表2)各種硬化性流動性熱伝導性材料組成を用いて作成されたフリップチップアッセンブリの各種パラメータ測定結果。
【表2】

1比較材はアンダーフィルまたは熱界面材料を全く含まないアッセンブリである。
2試験は約0℃から約100℃の温度範囲で行われた。
3試験は約−50℃から約150℃の温度範囲で行われた。
【0088】
試験に供したフリップチップアッセンブリの半田接合部の高い信頼性からも明らかなように、表2に示された結果は、電子デバイスに使用される電気的構造の提供において、本発明の方法が有効であることを説明する。
【0089】
ここでは本発明に関するある特徴のみを説明し記載したが、当業者は多くの改良や変更を思いつくであろう。従って添付の請求範囲は、そのような改良や変更の全てを、本発明の真の精神に属するものとして網羅することを意図するものと理解するべきである。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】熱放散エレメントに硬化性流動性熱伝導性材料によって接合される前のフリップチップアッセンブリの配置例。
【図2】図1の第一アッセンブリ10を第二アッセンブリ22に接合することにより形成された第一電気的構造28。
【図3】電気的構造形成および硬化後における図1のフリップチップアッセンブリを具備した電子デバイスの例。
【図4】硬化性流動性熱伝導性材料を塗布した熱放散エレメントを取り付ける前のフリップチップアッセンブリの配置例。
【図5】電気的構造を形成した後における図4と同一のフリップチップアッセンブリ。
【図6】図5に示す電気的構造に硬化プロセスを施した後の図4と同一のフリップチップアッセンブリを具備する電子デバイス40。
【図7】基板と半導体チップの間の中間層領域を満たすための毛管アンダーフィル法によって硬化性流動性熱伝導性材料を塗布したフリップチップアッセンブリの配置例。
【図8】半導体チップが図7の中間層領域内ものと同一な硬化性流動性熱伝導性材料26によって被覆された、図7と同一のフリップチップアッセンブリ。
【図9】図8と同一のフリップチップアッセンブリと、半導体チップを被覆しアンダーフィルする硬化性流動性熱伝導性材料26と接触した熱放散エレメント24と、を具備する電気的構造38。
【図10】図9の電気的構造を硬化条件にさらした後の電気的構造から作られる電子デバイス50。
【図11】熱放散エレメント24に付けられた硬化性流動性熱伝導性材料26を具備するアッセンブリ22に接合される前のウェハーレベルチップスケールパッケージ(WLCSP;Wafer Level Chip Scale Packaging)アッセンブリ54の配置例。
【図12】電気的構造58の成形および硬化後における図11と同一のWLCSPアッセンブリ54の配置例。
【符号の説明】
【0091】
10 第一アッセンブリ
12 基板
14 半導体チップ
16 電気相互接続
18 パッド
20 中間層領域
22 第二アッセンブリ
24 熱放散エレメント
26 硬化性流動性熱伝導性材料
28 第一電気的構造
30 第一電子デバイス
32 熱伝導性材料
34 第三アッセンブリ
36 第四アッセンブリ
38 第二電子デバイス
44 第五アッセンブリ
46 第六アッセンブリ
48 第三電気的構造
50 第三電子デバイス
54 第七アッセンブリ
56 WLCSP
58 第四電子デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)中間層領域を画定する少なくとも一つの電気相互接続を介して半導体チップに接続された基板を設ける工程と;
(B)被覆された熱放散エレメントを設けるために、熱放散エレメントの所定の部分を硬化性流動性熱伝導性材料で被覆する工程と;
(C)前記熱放散エレメントと、少なくとも一つの電気相互接続を介して前記半導体チップに接続された基板とを具備した電気的構造を設けるために、前記被覆された熱放散エレメントを前記半導体チップに接合する工程と;を備え、
前記電気的構造が前記基板、前記電気相互接続、および前記半導体チップにより画定された前記中層領域を含み;前記硬化性流動性熱伝導性材料が前記中間層領域の少なくとも一部分を満たすようにし、次いで前記硬化性流動性熱伝導性材料を硬化することを特徴とする電子デバイスの形成方法。
【請求項2】
前記硬化性流動性熱伝導性材料をBステージ化する工程をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記Bステージ化の工程が約50℃から約250℃の範囲の温度への加熱を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記Bステージ化の工程が、約25Torrから約250Torrの範囲の真空の適用を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記硬化性流動性熱伝導性材料が、フューズドシリカ、フュームドシリカ、コロイド状シリカ、アルミニウム、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、カオリン、石英粉、カーボンブラック、アルミニウム、アルミナ、銅、銀、金、プラチナ、パラジウム、ホウ素、ベリリウム、ロジウム、ニッケル、コバルト、鉄、モリブデン、スズ、鉛、クロム、亜鉛、マグネシウム、タングステン、ビスマス、カドミウム、ガリウム、インジウム、水銀、アンチモン、スカンジウム、ポロニウム、酸化アンチモン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ニッケル、酸化銀およびその組み合わせから成る群より選択される充填材を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記硬化性流動性熱伝導性材料がエポキシ樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記硬化工程が約50℃から約250℃の範囲の温度への加熱を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
請求項1の方法により作製された電子デバイス。
【請求項9】
(A)基板と;
(B)中間層領域を画定する少なくとも一つの電気相互接続を介して前記基板に接続された半導体チップと;
(C)熱放散エレメントと;
(D)前記熱放散エレメントと前記半導体チップとの間の熱界面材料を形成する硬化した熱伝導性材料であって、前記硬化した熱伝導性材料がまた前記中間層領域の少なくとも一部を占める硬化した熱伝導性材料と、を備え、
前記電子デバイスは前記熱放散エレメントと前記基板を接合する前記硬化した熱伝導性材料以外、密封剤が実質的に無いことを特徴とする電子デバイス。
【請求項10】
前記熱伝導性材料が同時に補強材料であることを特徴とする請求項9に記載の電子デバイス。
【請求項11】
前記熱伝導性がBステージ化された材料であることを特徴とする請求項9に記載の電子デバイス。
【請求項12】
前記熱伝導性が完全に硬化されていることを特徴とする請求項9に記載の電子デバイス。
【請求項13】
前記熱伝導性材料がエポキシ化合物に由来することを特徴とする請求項9に記載の電子デバイス。
【請求項14】
(A)中間層領域を画定する少なくとも一つの電気相互接続を介して半導体チップに接続された基板を設ける工程と;
(B)前記中間層領域の少なくとも一部分を硬化性流動性熱伝導性材料で満たす工程と;
(C)前記半導体チップの所定の部分を被覆する工程と;
(D)(A)−(C)で形成された構造を熱放散エレメントに接合する工程と
(E)前記硬化性流動性熱伝導性材料を硬化する工程と;を備え、
前記電子デバイスには前記熱放散エレメントを前記基板に接合する硬化した熱伝導性材料以外に密封剤が実質的に無いことを特徴とする電子デバイスの形成方法。
【請求項15】
前記硬化性流動性熱伝導性材料をBステージ化する工程をさらに備えることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記Bステージ化の工程が約50℃から約250℃の範囲の温度への加熱を含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記Bステージ化の工程が約25Torrから約250Torrの範囲の真空の適用を含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記硬化性流動性熱伝導性材料が、フューズドシリカ、フュームドシリカ、コロイド状シリカ、アルミニウム、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、カオリン、石英粉、カーボンブラック、アルミニウム、アルミナ、銅、銀、金、プラチナ、パラジウム、ホウ素、ベリリウム、ロジウム、ニッケル、コバルト、鉄、モリブデン、スズ、鉛、クロム、亜鉛、マグネシウム、タングステン、ビスマス、カドミウム、ガリウム、インジウム、水銀、アンチモン、スカンジウム、ポロニウム、酸化アンチモン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ニッケル、酸化物銀およびその組み合わせから成る群より選択される充填材を含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記硬化性流動性熱伝導性材料がエポキシ樹脂を含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記硬化工程が約50℃から約250℃の範囲の温度への加熱を含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項21】
(A)中間層領域を画定する少なくとも一つの電気相互接続を介して半導体チップに接続された基板を設け;
(B)被覆された熱放散エレメントを設けるために、熱放散エレメントの所定の部分を硬化性流動性熱伝導性材料で被覆し;
(C)熱放散エレメントと、少なくとも一つの電気相互接続を介して半導体チップに接続された基板とを具備した電気的構造を設けるように前記熱放散エレメントを前記半導体チップに接合し;
前記電気的構造が前記基板、前記電気相互接続、および前記半導体チップにより画定された中層領域を含み;硬化性流動性熱伝導性材料が前記中間層領域の少なくとも一部分を満たし、次いで硬化性流動性熱伝導性材料を硬化することを特徴とする方法によって作製される少なくとも一つのデバイスを具備するシステム。
【請求項22】
(A)基板と
(B)中間層領域を画定する少なくとも一つの電気相互接続を介して前記基板に接続された半導体チップと;
(C)熱放散エレメントと;
(D)前記熱放散エレメントと前記半導体チップの間の熱界面層を形成する硬化した熱伝導性材料と、を備え、
また前記硬化した熱伝導性材料が前記中間層領域の少なくとも一部を占め、
前記電子デバイスには前記熱放散エレメントを前記基板に接合する硬化した熱伝導性材料以外に密封剤が実質的に無いことを特徴とする少なくとも一つの電子デバイスを具備するシステム。
【請求項23】
(A)中間層領域を画定する少なくとも一つの電気相互接続を介して半導体チップに接続された基板を設け;
(B)前記中間層領域の少なくとも一部分を硬化性流動性熱伝導性材料で満たし;
(C)前記半導体チップの所定の部分を被覆し;
(D)(A)−(C)で形成された構造を熱放散エレメントに接合し;さらに
(E)前記硬化性流動性熱伝導性材料を硬化することを含む方法で形成された電子デバイスを具備し;
前記電子デバイスには前記熱放散エレメントを前記基板に接合する硬化した熱伝導性材料以外に密封剤が実質的に無いことを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2008−543109(P2008−543109A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515745(P2008−515745)
【出願日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/020445
【国際公開番号】WO2006/132822
【国際公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(506390498)モーメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・インク (85)
【Fターム(参考)】