説明

電子デバイス用材料

本発明は、アノードと、カソードと、前記アノードとカソードとの間に配置された、少なくとも1種の式(I)の化合物及び少なくとも1種の式(II)を含む少なくとも1つのエレクトロルミネセンス層とを備える有機エレクトロルミネセンスデバイスに関する。本発明はさらに、昇華方法によるおよび/または溶液からの塗布による有機エレクトロルミネセンスデバイスの製造、および、少なくとも1種の式(I)の化合物と少なくとも1種の式(II)の化合物とを含む混合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アノードと、カソードと、少なくとも1種の式(I)の化合物と少なくとも1種の式(II)の化合物とを含み、前記アノードとカソードとの間に配置された少なくとも1つのエレクトロルミネセンス層とを備える有機エレクトロルミネセンスデバイスに関する。本発明はさらに、昇華プロセスによる、および/または溶液からの塗布による、本発明による有機エレクトロルミネセンスデバイスの製造、および、少なくとも1種の式(I)の化合物と少なくとも1種の式(II)の化合物とを含む混合物に関する。
【背景技術】
【0002】
有機半導体材料、例えば上記化合物は、いくつかの異なる電子用途のために開発されている。これらの有機半導体が機能材料として採用されている有機エレクトロルミネセンスデバイス(OLED)の構造は、例えば米国特許第4,539,507号、同第5,151,629、欧州特許第0676461号、および国際公開第98/27136号に記載されている。しかし、これらのデバイスが高品質で長寿命のディスプレイ、例えばテレビジョン等で利用可能となるまでに、さらなる改善がなおも必要である。したがって、特に、緑色に発光する有機エレクトロルミネセンスデバイスの寿命、効率、および色純度の領域で、今日なおも改善の必要性が認められる。
【0003】
発光性有機化合物のさらなる要求事項として、「ストークスシフト」としても公知の、励起波長と発光波長との間の差異が小さいことが挙げられる。先行技術より公知の緑色ドーパント材料は、主として幅広い発光バンドを示すが、これは効率低下および発光特性の低下に関連する。今日入手可能な有機エレクトロルミネセンスデバイスは、比較的高い動作電圧をさらになおも必要とするが、これは特にモバイル用途で不利である。
【0004】
蛍光OLEDの場合、縮合芳香族化合物、特にアントラセン誘導体は、本発明に基づきマトリックス材料として特に用いられる。例えば、ジアミノアントラセンは、ドーパントとして有機エレクトロルミネセンスデバイスの発光層に導入される。マトリックス材料は、ドーパント化合物の発光特性にも影響を及ぼす。
【0005】
国際公開第2007/021117号は、ドーパントとして2,6−ジアミノアントラセンを備える緑色発光有機エレクトロルミネセンスデバイスについて記載する。これらは、エレクトロルミネセンス層中でアントラセン、ベンゾ[a]アントラセン、またはナフタセンの誘導体と併用される。アントラセン誘導体で用いられる置換基として、フェニル、2−ナフチル、2−アントラセニル、2−フルオランテニル、1−ピレニル、2−フルオレニル、4−ビフェニル、および3−ペリレニル基が挙げられる。
【0006】
米国特許出願公開第2008/0182129号A1は、有機エレクトロルミネセンスデバイスの発光層中に2−アリールアントラセン化合物がマトリックス材料として存在し、さらなるアントラセン化合物がドーパントとして存在する、かかる有機エレクトロルミネセンスデバイスについて記載する。発光性の第2のアントラセン化合物は、少なくとも2つの位置でアミノ基により置換されており、この場合少なくとも1つのアミノ基がアントラセン骨格の2位に配置する。2−アリールアントラセン化合物は、9−位および10−位で、フェニル−1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニル、ペリレニル、フルオランテニル、およびフェナントリル基により置換され得る。
【0007】
欧州特許第1775334号は、有機エレクトロルミネセンスデバイスの発光層中に、ドーパントとして2,6−ジアミノアントラセンを含む、かかる有機エレクトロルミネセンスデバイスについて記載する。用いられるマトリックス材料として、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、またはピレン誘導体が挙げられる。アントラセン誘導体は、9位および10位において置換され得る。ナフチル、フェナントリル、およびp−テルフェニル基が、置換基として記載されている。
【0008】
国際公開出願第2008/145239号は、ベンゾアントラセン誘導体が有機エレクトロルミネセンスデバイスの発光層中にマトリックス材料として存在する、かかる有機エレクトロルミネセンスデバイスについて記載し、モノスチリルアミン、ジスチリルアミン、トリスチリルアミン、テトラスチリルアミン、スチリルホスフィン、スチリルエーテル、およびアリールアミンが、蛍光型ドーパントとして言及されている。利用可能なアリールアミンとして、例えば芳香族アントラセンアミン、芳香族アントラセンジアミン、芳香族ピレンアミン、芳香族ピレンジアミン、芳香族クリセンアミン、または芳香族クリセンジアミンが挙げられる。本出願の意味において、芳香族アントラセンジアミンとは、2つのジアリルアミノ基がアントラセン基に直接結合している化合物を意味するものと理解される。国際公開出願第2008/145239号は、ドーパントの用途で、ジアリルアミノ基を9位および10位の両方に有するアントラセン誘導体を明示的に開示する。
【0009】
しかしながら、有機エレクトロルミネセンスデバイスのための代替的機能材料に対する要求が継続して存在する。特に、有機エレクトロルミネセンスデバイスの発光層で利用可能な材料の併用物または混合物に対する要求が存在する。これは、多くの場合、デバイスの特性、例えば寿命、色純度、および効率を改善する際の重要なポイントを指し示している。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、有機エレクトロルミネセンスデバイスの発光層中で用いるためのマトリックス材料およびドーパントからなる代替的併用物を提供するという目的に基づいている。特に、本発明は改善した有機エレクトロルミネセンスデバイスを提供するという目的に基づき、改善は好ましくはデバイスの出力効率および発光特性に関する。
【0011】
エレクトロルミネセンス層中で、2,6−ジアミノアントラセン化合物およびベンゾ[a]アントラセニルアントラセン化合物を併用すれば、高色純度および高出力効率を有する有機エレクトロルミネセンスデバイスが得られるのを可能にすることが本発明に基づき判明した。
【0012】
本発明は、アノードと、カソードと、前記アノードとカソードとの間に配置された少なくとも1つのエレクトロルミネセンス層とを備える有機エレクトロルミネセンスデバイスであって、前記エレクトロルミネセンス層が、少なくとも1種の式(I)の化合物
【化1】

【0013】
と、少なくとも1種の式(II)の化合物
【化2】

【0014】
とを含むことを特徴とする有機エレクトロルミネセンスデバイスに関する:
前記式(I)の化合物は、当該アントラセン環系のすべてのフリーの位置においてラジカルRにより置換されていてもよく、前記式(II)の化合物は、当該アントラセン環系およびベンゾアントラセン環系のすべてのフリーの位置において基Rにより置換されていてもよく、式中、出現する記号にはさらに以下が適用される:
Aは、出現毎に同一であるかまたは異なり、1〜40個のC原子を有する直鎖のアルキル基または3〜40個のC原子を有する分枝もしくは環式のアルキル基(これらのそれぞれは、1以上のラジカルRにより置換されていてもよい)(ここで、1以上のCH基は、−RC=CR−、−C≡C−、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、−O−、−S−、−COO−、もしくは−CONR−により置きかえられていてもよく、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、もしくはNOにより置きかえられていてもよい)、または5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(これらは、1以上のラジカルRにより置換されていてもよい)であり;
Ar、Arは、出現毎に同一であるかまたは異なり、5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(これらは、1以上のラジカルRにより置換されていてもよい)であり、ここで、同一の窒素原子に結合した2つのラジカルArは、単結合により、またはB(R)、C(R、Si(R、C=O、C=NR、C=C(R、O、S、S=O、SO、N(R)、P(R)、およびP(=O)Rから選択される橋により互いに連結されていてもよく;
、R、Rは、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、Cl、Br、I、CHO、N(R、C(=O)R、P(=O)(R、S(=O)R、S(=O)、CR=C(R、CN、NO、Si(R、B(OR、OSO、OH、COOR、もしくはCON(R、1〜40個のC原子を有する直鎖のアルキル、アルコキシ、もしくはチオアルキル基、または3〜40個のC原子を有する分枝もしくは環式のアルキル、アルコキシ、もしくはチオアルキル基、または2〜40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(これらのそれぞれは、1以上のラジカルRにより置換されていてもよい)(ここで、1以上のCH基は、−RC=CR−、−C≡C−、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、−O−、−S−、−COO−、もしくは−CONR−により置きかえられていてもよく、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、もしくはNOにより置きかえられていてもよい)、または、5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(これらは、各場合において、1以上の非芳香族ラジカルRにより置換されていてもよい)、または、5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基(これらは、1以上の非芳香族ラジカルRにより置換されていてもよい)、または、これらの系の組み合わせであり、ここで、2以上のラジカルR、R、もしくはRは互いに連結されていてもよく、環または環系を形成していてもよい;
は、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、または、1〜20個のC原子を有する脂肪族、芳香族および/またはヘテロ芳香族の有機ラジカル(それらにおいてさらに1以上のH原子はDまたはFにより置きかえられていてもよい)であり;ここで、2以上の同一のまたは異なる置換基Rは、互いに連結されていてもよく、環または環系を形成していてもよい。
【0015】
アントラセンおよびベンゾ[a]アントラセン化合物について本出願で用いられる番号は、下記のように表される。
【化3】

【0016】
本出願の目的に照らし、化学基上の「フリーの位置(free position)」という用語は、関連する基の構造式中に存在する少なくとも1つの非占有結合位置を有する各原子を意味するものと理解される。例えば、上記番号が付されたアントラセンおよびベンゾアントラセン化合物におけるすべての番号が付された位置は、本定義の意味においてフリーの位置である。
【0017】
式(II)中のベンゾアントラセン環系が、1、2、3、4、5、または6位のうちの1つによってアントラセン基に結合し得ることを表現するために、結合は関連する環を貫通する線として表され、したがって、一般式(II)
【化4】

【0018】
は、アントラセン基が、ベンゾアントラセン基の1、2、3、4、5、または6位のうちの1つにおいて結合可能であることを意味する。本発明に従って、結合は、ベンゾアントラセン基の4位および5位の2つの位置のうちの1つであることが好ましい。
【0019】
本発明の意味において、アリール基は、6〜60個のC原子を含有し、本発明の意味において、ヘテロアリール基は、1〜60個のC原子および少なくとも1つのヘテロ原子を含有するが、ただしC原子とヘテロ原子との合計は少なくとも5である。ヘテロ原子は、好ましくはN、Oおよび/またはSから選択される。本明細書のアリール基またはヘテロアリール基は、単純な芳香環、すなわちベンゼン、または単純なヘテロ芳香環、例えばピリジン、ピリミジン、チオフェン等、または縮合した(連結した)アリールもしくはヘテロアリール基、例えばナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、キノリン、イソキノリン、カルバゾール等のいずれかを意味するものと理解される。
【0020】
アリールまたはヘテロアリール基は、いずれの場合にも上記の基により置換されていてもよく、また任意の所望の位置において芳香族環系またはヘテロ芳香族環系に連結可能であるが、かかる基は、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、フルオランテン、ベンゾアントラセン、ベンゾフェナントレン、テトラセン、ペンタセン、ベンゾピレン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ−5,6−キノリン、ベンゾ−6,7−キノリン、ベンゾ−7,8−キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール(naphthimidazole)、フェナントロイミダゾール(phenanthrimidazole)、ピリドイミダゾール(pyridimidazole)、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンゾキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2−チアゾール、1,3−チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、ピラジン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,3−トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジン、およびベンゾチアジアゾール、またはこれらの基を組み合わせたものに由来する基を意味するものと理解される。
【0021】
芳香族環系は、本発明の意味においてその環系内に6〜60個のC原子を含有する。ヘテロ芳香族環系は、本発明の意味において5〜60個の芳香族環原子を含有し、そのうちの少なくとも1つがヘテロ原子である。ヘテロ原子は、N、O、および/またはSから好ましくは選択される。芳香族環系またはヘテロ芳香族環系は、本発明の意味において、必ずしもアリールまたはヘテロアリール基のみを含有するとは限らず、その代わりにこれに付加して、複数のアリールまたはヘテロアリール基が、例えばsp−混成C、N、またはO原子等の非芳香族単位により結合可能である(好ましくはH以外の原子の10%未満)系を意味するものと理解されるように意図されている。したがって、例えば9,9’−スピロビフルオン、9,9’−ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリールエーテル、スチルベン等の系は、本発明の意味において、2つ以上のアリール基が、例えば直鎖状または環式のアルキル基またはシリル基により結びつけられている系と同様に、芳香族環系であると理解されるように意図されている。
【0022】
5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族環系またはヘテロ芳香族環系は、いずれの場合にも上記で定義した基により置換されてもよく、また任意の所望の位置において芳香族基またはヘテロ芳香族基と連結可能であるが、かかる系は、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ベンゾアントラセン、フェナンスレン、ベンゾフェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、フルオランテン、ナフタセン、ペンタセン、ベンゾピレン、ビフェニル、ビフェニレン、テルフェニル、テルフェニレン、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナンスレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、シス−またはトランス−インデノフルオレン、トラクセン、イソトラクセン、スピロトラクセン、スピロイソトラクセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ−5,6−キノリン、ベンゾ−6,7−キノリン、ベンゾ−7,8−キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリドイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンゾキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2−チアゾール、1,3−チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、1,5−ジアザアントラセン、2,7−ジアザピレン、2,3−ジアザピレン、1,6−ジアザピレン、1,8−ジアザピレン、4,5−ジアザピレン、4,5,9,10−テトラアザペリレン、ピラジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フルオルビン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,3−トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジン、およびベンゾチアジアゾールに由来する基を意味するものと理解される。
【0023】
本発明の目的に照らし、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル基、または3〜40個のC原子を有する分枝もしくは環式のアルキル基、または2〜40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(これらにおいて、さらに、個々のH原子またはCH基は、ラジカルRおよびRの定義に基づく上記の基により置換されていてもよい)は、好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、2−メチルブチル、n−ペンチル、s−ペンチル、シクロペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、ネオヘキシル、n−ヘプチル、シクロヘプチル、n−オクチル、シクロオクチル、2−エチルヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、またはオクチニルの各基を意味するものと理解される。1〜40個のC原子を有するアルコキシまたはチオアルキル基は、好ましくは、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペントキシ、s−ペントキシ、2−メチルブトキシ、n−ヘキソキシ、シクロヘキシルオキシ、n−ヘプトキシ、シクロヘプチルオキシ、n−オクチルオキシ、シクロオクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ペンタフルオロエトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、i−プロピルチオ、n−ブチルチオ、i−ブチルチオ、s−ブチルチオ、t−ブチルチオ、n−ペンチルチオ、s−ペンチルチオ、n−ヘキシルチオ、シクロヘキシルチオ、n−ヘプチルチオ、シクロヘプチルチオ、n−オクチルチオ、シクロオクチルチオ、2−エチルヘキシルチオ、トリフルオロメチルチオ、ペンタフルオロエチルチオ、2,2,2−トリフルオロエチルチオ、エテニルチオ、プロペニルチオ、ブテニルチオ、ペンテニルチオ、シクロペンテニルチオ、ヘキセニルチオ、シクロヘキセニルチオ、ヘプテニルチオ、シクロヘプテニルチオ、オクテニルチオ、シクロオクテニルチオ、エチニルチオ、プロピニルチオ、ブチニルチオ、ペンチニルチオ、ヘキシニルチオ、ヘプチニルチオ、またはオクチニルチオを意味するものと理解される。
【0024】
本発明の好ましい実施形態において、式(II)の化合物は式(IIa)に従う。
【化5】

【0025】
前記式(IIa)の化合物は、当該ベンゾアントラセン環系のすべてのフリーの位置においてラジカルRにより置換されていてもよく、当該アントラセン環系のフリーの位置は水素により置換されており、さらに、出現する記号は上記で定義された通りであり、以下がRに適用される:
は、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、Cl、Br、I、CHO、N(R、C(=O)R、P(=O)(R、S(=O)R、S(=O)、CR=C(R、CN、NO、Si(R、B(OR、OSO、OH、COOR、CON(R、1〜40個のC原子を有する直鎖のアルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基、または3〜40個のC原子を有する分枝もしくは環式のアルキル、アルコキシ、もしくはチオアルキル基、または2〜40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(これらのそれぞれは、1以上のラジカルRにより置換されていてもよい)(ここで、1以上のCH基は、−RC=CR−、−C≡C−、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、−O−、−S−、−COO−、もしくは−CONR−により置きかえられていてもよく、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、もしくはNOより置きかえられていてもよい)、またはこれらの系の組み合わせである。
【0026】
は、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、CN、NO、Si(R、OSO、OH、1〜10個のC原子を有する直鎖のアルキル、アルコキシ、もしくはチオアルキル基、または3〜10個のC原子を有する分枝または環式のアルキル、アルコキシ、もしくはチオアルキル基、または2〜10個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(それぞれ、1以上のラジカルRにより置換されていてもよい)(ここで、1以上のCH基は、−RC=CR−、−C≡C−、Si(R、C=O、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、−O−、または−S−により置換されていてもよく、1以上のH原子は、D、F、CN、もしくはNOにより置換されていてもよい)、あるいはこれらの系の組み合わせから選択されることが好ましい。
【0027】
は、特に好ましくは、出現毎に同一であるかまたは異なり、1〜10個のC原子を有するH、D、直鎖アルキル基、または3〜10個のC原子を有する分枝もしくは環式のアルキル基である。Rは、極めて好ましくは、Hに等しい。
【0028】
本発明に従って、式(II)の化合物におけるベンゾアントラセン基とアントラセン基との間の結合は、ベンゾアントラセン基の4位または5位にあることがさらに好ましい。
【0029】
明快な説明によれば、これは、式(II−1)および(II−2)の化合物に相当する:
【化6】

【0030】
式中、Arは上記の意味を有し、当該アントラセン環系とベンゾアントラセン環系は、すべてのフリーの位置においてラジカルRにより置換されていてもよい。
【0031】
式(IIa)の化合物において、ベンゾアントラセン基がアントラセン基と4位または5位で結合することが同様に好ましい。
【0032】
式(II)の化合物は、当該ベンゾアントラセン環系の7位および12位においてラジカルRにより置換され、ならびにベンゾアントラセン環系のすべてのその他のフリーの位置において水素原子により置換されることがさらに好ましい。
【0033】
本発明に従って、Aは、出現毎に同一であるかまたは異なり、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基または3〜10個のC原子を有する分枝もしくは環式のアルキル基(これらのそれぞれは、1以上のラジカルRにより置換されていてもよい)(ここで、1以上のCH基は、−RC=CR−、−C≡C−、Si(R、C=O、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、−O−、−S−、−COO−、もしくは−CONR−により置きかえられていてもよく、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、もしくはNOにより置きかえられていてもよい)、または5〜20個の芳香族環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(これらは、1以上のラジカルRにより置換されていてもよい)から選択されることが好ましい。
【0034】
Aは、出現毎に同一であるかまたは異なり、5〜20個の芳香族環原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基(それらは、1以上のラジカルRにより置換されていてもよい)から選択されるのが特に好ましい。Aは、出現毎に同一であるかまたは異なり、5〜20個の芳香族環原子を有するアリール基(それらは、1以上のラジカルRにより置換されていてもよい)であるのが極めて好ましい。
【0035】
本発明の好ましい実施形態において、Aは、出現毎に同一であるかまたは異なり、下記の基
Aは、出現毎に同一であるかまたは異なり、以下の基から選択される:
【化7】

【0036】
式中、記号は該アントラセン基への結合を表し、
前記基Aは、上記で定義されたラジカルRにより、すべてのフリーの位置において置換されていてもよい。
【0037】
本発明に従って、Arは、出現毎に同一であるかまたは異なり、5〜20個の芳香族環原子を有する芳香族環系もしくはヘテロ芳香族環系(それらは、1以上のラジカルRにより置換されていてもよい)から選択されることが好ましく、ここで、同一の窒素原子に結合する2つのラジカルArは、単結合により、またはC(R、C=O、C=NR、C=C(R、−O−、−S−、S=O、SO、およびN(R)から選択される橋により互いに連結されていてもよい。
【0038】
Arは、出現毎に同一であるかまたは異なり、6〜20個の芳香族環原子を有する芳香環系(それらは、1以上のラジカルRにより置換されていてもよい)から選択されることが特に好ましく、ここで、同一の窒素原子に結合する2つのラジカルArは、単結合により、またはC(R、C=O、C=NR、C=C(R、−O−、−S−、S=O、SO、およびN(R)から選択される橋により互いに連結されていてもよい。
【0039】
本発明の好ましい実施形態において、式(I)の化合物における同一の窒素原子に結合したラジカルArは同一ではない。
【0040】
本発明のさらに好ましい実施形態において、式(I)の化合物中で同一の窒素原子に結合した2つのラジカルArは、単結合またはC(R、C=O、C=NR、C=C(R、−O−、−S−、S=O、SO、およびN(R)から選択される橋により互いに連結していない。
【0041】
本発明の好ましい実施形態において、Arは、出現毎に同一であるかまたは異なり、以下の基から選択される:
【化8】

【0042】
式中、記号は窒素原子への結合を表し、
前記基Arは、上記で定義されたラジカルRにより、すべてのフリーの位置において置換されていてもよい。
【0043】
本発明に従って、Arは出現毎に同一であるかまたは異なり、5〜20個の芳香族環原子を有する芳香族環系もしくはヘテロ芳香族環系(それらは、1以上のラジカルRにより置換されていてもよい)から選択されることが好ましい。
【0044】
本発明の好ましい実施形態において、基Arは、以下の基から選択される:
【化9】

【0045】
式中、記号は該アントラセン環系への結合を表し、
前記基Arは、上記で定義されたラジカルRにより、すべてのフリーの位置において置換されていてもよい。
【0046】
は、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、CN、Si(R、N(R、または1〜20個のC原子を有する直鎖のアルキルもしくはアルコキシ基、または3〜20個のC原子を有する分枝もしくは環式のアルキルもしくはアルコキシ基(それらはそれぞれ、1つ以上のラジカルRにより置換されていてもよい)(ここで、1以上のCH基は、−C≡C−、−RC=CR−、Si(R、C=O、C=NR、NR、−O−、もしくは−S−により置きかえられていてもよい)、または5〜30個の芳香族環原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基(それらは、各場合において、1以上のラジカルRにより置換されていてもよい)から選択されることが好ましく、ここで、2以上のラジカルRは互いに連結されていてもよく、環または環系を形成していてもよい。
【0047】
は、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、CN、Si(R、N(R、または1〜20個のC原子を有する直鎖のアルキルもしくはアルコキシ基、または3〜20個のC原子を有する分枝もしくは環式のアルキルもしくはアルコキシ基(それらは、それぞれ1以上のラジカルRにより置換されていてもよい)(ここで、1以上のCH基は、−C≡C−、−RC=CR−、Si(R、C=O、C=NR、NR、−O−、もしくは−S−により置換されていてもよい)、または5〜30個の芳香族環原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基(それらは、各場合において、1以上のラジカルRにより置換されていてもよい)から選択されることがさらに好ましく、ここで、2以上のラジカルRは、互いに連結されていてもよく、環または環系を形成していてもよい。
【0048】
本発明に従って、式(I)の化合物におけるすべてのラジカルRは水素原子を表す、すなわち、当該アントラセン環系のすべてのフリーの位置は水素原子により置換されていることが好ましい。
【0049】
は、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、CN、Si(R、N(R、または1〜20個のC原子を有する直鎖のアルキルもしくはアルコキシ基、または3〜20個のC原子を有する分枝もしくは環式のアルキルもしくはアルコキシ基(それらは、それぞれ1以上のラジカルRにより置換されていてもよい)(ここで、1以上のCH基は、−C≡C−、−RC=CR−、Si(R、C=O、C=NR、NR、−O−、もしくは−S−により置換されていてもよいs)、または5〜30個の芳香族環原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基(それらは、各場合において、1以上のラジカルRにより置換されていてもよい)から選択されることが更に好ましく、ここで、2以上のラジカルRは互いに連結されていてもよく、環または環系を形成していてもよい。
【0050】
本発明に従って、式(II)の化合物におけるすべてのラジカルRは水素原子を表すことが好ましい。
【0051】
一般に、本出願に記載する好ましい実施形態は、要望に応じて互いに併用可能である。
【0052】
式(I)および(II)における基A、ArおよびArの前記好ましい実施形態、および式(II)におけるベンゾアントラセン基とアントラセン基との好ましい結合パターンは、互いに組み合わされた状態で存在することが特に好ましい。
【0053】
本発明による式(I)の化合物の例を下記に示す。
【化10−1】

【化10−2】

【化10−3】

【化10−4】

【化10−5】

【化10−6】

【化10−7】

【化10−8】

【化10−9】

【化10−10】

【化10−11】

【化10−12】

【化10−13】

【化10−14】

【0054】
本発明による式(II)の化合物の例を以下に示す。
【化11−1】

【化11−2】

【化11−3】

【化11−4】

【化11−5】

【0055】
本発明による有機エレクトロルミネセンスデバイスで用いられる式(I)の化合物、および用いられる式(II)の化合物は、当業者にとって公知の方法により調製可能である。
【0056】
例えば、国際公開出願第2008/145239号に記載する合成経路が、式(II)の化合物を調製するために利用可能である。
【0057】
下記のスキーム1および2は、式(II)の化合物をもたらす2つの実例的な合成法を表すように意図されている。4−ブロモベンゾ[a]アントラセンは、BadgarらのJ.Chem.Soc.1949年、799頁に基づき入手可能であり、5−ブロモベンゾ[a]アントラセンは、NewmanらのJ.Org.Chem.1982年、第47巻(15)、2837頁に基づき入手可能である。
【化12】

【化13】

【0058】
ベンゾアントラセン基およびアントラセン基も共に、上記のようにラジカルRにより置換可能である。臭素誘導体の代わりに、その他のハロゲン誘導体、好ましくはヨウ素誘導体も利用可能である。
【0059】
最初に、ボロン酸化合物が、臭素化化合物を出発物質として金属交換反応により、例えばTHF中、−78℃でn−ブチルリチウムを用い、中間体として形成されたリチオベンゾ[a]アントラセンとホウ酸トリメチルとの後続反応および加水分解により調製される。この生成物は、鈴木カップリングに示すブロモアントラセン誘導体とその後に反応し得る。
【0060】
あるいは、スキーム3で5−ブロモベンゾ[a]アントラキノンを例として示すように、最初にブロモベンゾ[a]アントラキノン(Newmanら.、J.Org.Chem.1983年、第48巻、2926〜8頁;Choら.、J.Org.Chem.1987年、第52巻、2668〜78年;Beckerら.J.Phys.Chem.1993年、第97巻、344〜9頁に基づく合成)をカップリングさせ、次に対応する炭化水素に還元することができる。
【化14】

【0061】
ドーパントとして用いられる2,6−アミノアントラセンは、例えば国際公開第2007/021117号に記載するように調製可能である。
【0062】
1,9−ジアルキル−2,6−ジアミノアントラセンについて考え得る合成順序を、現時点でさらに示す(スキーム4)。2,6−ジアミノアントラセンの異なるアルキル誘導体の多くをこの経路で調製可能である。
【化15】

【0063】
最初に、アントラキノンの2,6−ジハロゲン誘導体を出発物質として、鈴木カップリングにより2,6位にジアリルアミノ基が導入される。アルキル基が、アルキル−グリニヤール試薬によりアントラキノンのカルボニル基にその後付加される。最終的に、式(I)の1,9−ジアルキル−2,6−ジアミノアントラセン誘導体が、塩化第二スズを用いた還元により調製される。
【0064】
上記合成経路は、考え得る合成経路の多くから得られる一つの選択肢を表している。当業者は、本発明の範囲に含まれる式(I)および(II)の化合物を調製するために、別の合成経路を利用することも可能である。
【0065】
本発明はさらに、少なくとも1種の式(I)の化合物と
【化16】

【0066】
少なくとも1種の式(II)の化合物
【化17】

【0067】
とを含む混合物に関する。
【0068】
式中、前記式(I)の化合物は、当該アントラセン環系のすべてのフリーの位置においてラジカルRにより置換されていてもよく、前記式(II)の化合物は、当該アントラセン環系およびベンゾアントラセン環系のすべてのフリーの位置においてラジカルRにより置換されていてもよく、式中、出現する記号にはさらに以下が適用される:
Aは、出現毎に同一であるかまたは異なり、1〜40個のC原子を有する直鎖のアルキル基または3〜40個のC原子を有する分枝もしくは環式のアルキル基(これらのそれぞれは、1以上のラジカルRにより置換されていてもよい)(ここで、1以上のCH基は、−RC=CR−、−C≡C−、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、−O−、−S−、−COO−、もしくは−CONR−により置きかえられていてもよく、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、もしくはNOにより置きかえられていてもよい)、または5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(これらは、1以上のラジカルRにより置換されていてもよい)であり;
Ar、Arは、出現毎に同一であるかまたは異なり、5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(これらは、1以上のラジカルRにより置換されていてもよい)であり、ここで、同一の窒素原子に結合した2つのラジカルArは、単結合により、またはB(R)、C(R、Si(R、C=O、C=NR、C=C(R、O、S、S=O、SO、N(R)、P(R)、およびP(=O)Rから選択される橋により互いに連結されていてもよく;
、R、Rは、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、Cl、Br、I、CHO、N(R、C(=O)R、P(=O)(R、S(=O)R、S(=O)、CR=C(R、CN、NO、Si(R、B(OR、OSO、OH、COOR、もしくはCON(R、1〜40個のC原子を有する直鎖のアルキル、アルコキシ、もしくはチオアルキル基、または3〜40個のC原子を有する分枝もしくは環式のアルキル、アルコキシ、もしくはチオアルキル基、または2〜40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(これらのそれぞれは、1以上のラジカルRにより置換されていてもよい)(ここで、1以上のCH基は、−RC=CR−、−C≡C−、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、−O−、−S−、−COO−、もしくは−CONR−により置きかえられていてもよく、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、もしくはNOにより置きかえられていてもよい)、または、5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(これらは、各場合において、1以上の非芳香族ラジカルRにより置換されていてもよい)、または、5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基(これらは、1以上の非芳香族ラジカルRにより置換されていてもよい)、または、これらの系の組み合わせであり、ここで、2以上のラジカルR、R、もしくはRは互いに連結されていてもよく、環または環系を形成していてもよい;
は、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、または、1〜20個のC原子を有する脂肪族、芳香族および/またはヘテロ芳香族の有機ラジカル(それらにおいてさらに1以上のH原子はDまたはFにより置きかえられていてもよい)であり;ここで、2以上の同一のまたは異なる置換基Rは、互いに連結されていてもよく、環または環系を形成していてもよい。
【0069】
式(I)と(II)の化合物を備える有機エレクトロルミネセンスデバイスについて上記で示したものと同一の好ましい実施形態が、混合物中の式(I)および(II)の化合物に適用される。
【0070】
Aは、出現毎に同一であるかまたは異なり、以下の基から選択されることが特に好ましい。
【化18】

【0071】
式中、記号は該アントラセン基への結合を表し、
前記基Aは、上記で定義されたラジカルRにより、すべてのフリーの位置において置換されていてもよい。
【0072】
本発明による混合物中に含まれる式(II)の化合物中に存在するベンゾアントラセン基とアントラセン基との間の結合は、ベンゾアントラセン基の4位または5位であることがさらに好ましい。
【0073】
本発明による混合物について、式(II)の化合物の割合は、好ましくは50.0〜99.9重量%、特に好ましくは80.0〜99.5重量%、および極めて好ましくは90.0〜99.0重量%である。同様に、式(I)の化合物の割合は、好ましくは0.1〜50.0重量%、特に好ましくは0.5〜20.0重量%、および極めて好ましくは1.0〜10.0重量%である。
【0074】
上記混合物は、本発明に従って、有機エレクトロルミネセンスデバイス内で、好ましくは有機エレクトロルミネセンスデバイスのエレクトロルミネセンス層中で用いられる。
【0075】
有機エレクトロルミネセンスデバイスのエレクトロルミネセンス層において、本明細書の式(I)の化合物は、好ましくはドーパントとして用いられ、また式(II)の化合物は、好ましくはマトリックス材料として用いられる。
【0076】
マトリックスおよびドーパントを含む系におけるマトリックス材料は、該系においてより高い割合で存在する成分を意味するものと理解される。1種のマトリックス材料と複数のドーパントとを含む系の場合、マトリックス材料は、混合物中の割合が最も高い成分を意味するものと理解される。
【0077】
しかしながら、本発明による混合物は、有機エレクトロルミネセンスデバイスのさらなる層、例えば正孔輸送層、電子伝達層、または中間層中にもさらに存在し得る。
【0078】
本発明はさらに、上記で定義した混合物と、少なくとも1種の溶媒、好ましくは有機溶媒とを含む調合物に関する。前記調合物は、本発明による有機エレクトロルミネセンスデバイスの製造において用いられ得る。
【0079】
カソード、アノード、および発光層以外に、有機エレクトロルミネセンスデバイスはさらなる層も備え得る。これらは、例えばそれぞれの場合において、1以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔遮断層、電子伝達層、電子注入層、電子遮断層、励起子遮断層、中間層、電荷発生層(IDMC2003、Taiwan;Session 21 OLED(5)、T.Matsumoto、T.Nakada、J.Endo、K.Mori、N.Kawamura、A.Yokoi、J.Kido、Multiphoton Organic EL Device Having Charge Generation Layer)、および/または有機または無機のp/n接合から選択される。しかしながら、これらの各層は必ずしも存在しなければならないわけではないと指摘されるべきである。
【0080】
本発明による有機エレクトロルミネセンスデバイスは、好ましくは蛍光有機エレクトロルミネセンスデバイスである。しかし、これらはリン光性の有機エレクトロルミネセンスデバイスであってもよい。特に、本発明によるデバイスは、蛍光エレクトロルミネセンス層とリン光性のエレクトロルミネセンス層も共に備えることができる。
【0081】
本発明のさらに好ましい実施形態において、有機エレクトロルミネセンスデバイスは、複数のエレクトロルミネセンス層を備え、少なくとも1つの前記エレクトロルミネセンス層は、少なくとも1種の式(I)の化合物および少なくとも1種の式(II)の化合物を備える。これらの発光層は、特に好ましくは380nm〜750nmの間に全体として複数の発光最大値を有し、全体として白色に発光する、すなわち、蛍光発光またはリン光発光可能な、青色または黄色またはオレンジ色または赤色の光を放射する様々な発光性化合物が発光層で用いられる。特に好ましくは、3層系、すなわち3つの発光層を有する系が挙げられ、これらの層のうちの1つは、本発明による有機エレクトロルミネセンスデバイス内に配置されたエレクトロルミネセンス層により形成され、この層は、好ましくは緑色光を放射する。次に、青色またはオレンジ色または赤色の発光を呈する層もこの層に隣接して配置される。このタイプのエレクトロルミネセンスデバイスの基本構造は、例えば国際公開第05/011013号に記載されている。
【0082】
有機エレクトロルミネセンス分野の当業者は、上記機能層でどのような材料を利用し得るかを知っている。一般に、先行技術に基づいて用いられるような材料は、いずれもさらなる層に適する。当業者は、発明的な活動を行わなくても、これらの材料を本発明による有機エレクトロルミネセンスデバイスのエレクトロルミネセンス層と組み合わせることができる。
【0083】
本発明による有機エレクトロルミネセンスデバイスの正孔注入層もしくは正孔輸送層でまたは電子伝達層で利用可能な、適する電荷輸送材料として、例えばY.Shirotaら、Chem.Rev.2007年、第107巻(4)、953〜1010頁に開示される化合物、または先行技術に基づきこれらの層で用いられるようなその他の材料が挙げられる。
【0084】
本発明によるエレクトロルミネセンスデバイス中の正孔輸送または正孔注入層で利用可能な、好ましい正孔輸送材料の例として、インデノフルオレンアミンおよび誘導体(例えば、国際公開第06/122630号または国際公開第06/100896号に基づく)、欧州特許第1661888号に開示されているアミン誘導体、ヘキサアザトリフェニレン誘導体(例えば、国際公開第01/049806号に基づく)、縮合芳香族環を含有するアミン誘導体(例えば、米国特許第5,061,569号に基づく)、国際公開第95/09147号に開示されているアミン誘導体、モノベンゾインデノフルオレンアミン(例えば、国際公開第08/006449号に基づく)、またはジベンゾインデノフルオレンアミン(例えば、国際公開第07/140847号に基づく)が挙げられる。さらにより適する正孔輸送材料および正孔注入材料として、特開2001/226331、欧州特許第676461号、欧州特許第650955号、国際公開第01/049806号、米国特許第4780536号、国際公開第98/30071号、欧州特許第891121号、同第1661888号、特開2006/253445、欧州特許第650955号、国際公開第06/073054号、および米国特許第5061569号に開示されているように、上記化合物の誘導体が挙げられる。
【0085】
適当な正孔輸送材料または正孔注入材料は、さらに、例えば以下の表中に示す材料である。
【化19−1】

【化19−2】

【0086】
すでに上記したように、式(I)の化合物は、好ましくはドーパントとして用いられ、および式(II)の化合物は、好ましくは本発明による有機エレクトロルミネセンスデバイス中のマトリックスとして用いられる。
【0087】
本発明による有機エレクトロルミネセンスデバイスは、式(I)の化合物に加えてさらなるドーパントを備えることができる。
【0088】
好ましいドーパントは、モノスチリルアミン、ジスチリルアミン、トリスチリルアミン、テトラスチリルアミン、スチリルホスフィン、スチリルエーテル、およびアリールアミンからなるクラスから選択される。モノスチリルアミンは、1つの置換されたまたは置換されていないスチリル基、および少なくとも1つの、好ましくは芳香族のアミンを含有する化合物を意味するものと理解される。ジスチリルアミンは、2つの置換されたまたは置換されていないスチリル基、および少なくとも1つの、好ましくは芳香族のアミンを含有する化合物を意味するものと理解される。トリスチリルアミンは、3つの置換されたまたは置換されていないスチリル基、および少なくとも1つの、好ましくは芳香族のアミンを含有する化合物を意味するものと理解される。テトラスチリルアミンは、4つの置換されたまたは置換されていないスチリル基、および少なくとも1つの、好ましくは芳香族のアミンを含有する化合物を意味するものと理解される。スチリル基は、特に好ましくはスチルベンであり、これはさらに置換されてもよい。対応するホスフィンおよびエーテルは、アミンと同様に規定される。
【0089】
アリールアミンまたは芳香族アミンは、本発明の意味において、窒素に直接結合した3つの置換されたまたは置換されていない芳香族環系またはヘテロ芳香族環系を含有する化合物を意味するものと理解される。これらの芳香族環系またはヘテロ芳香族環系のうちの少なくとも1つは、好ましくは縮合環系であり、特に好ましくは少なくとも14個の芳香族環原子を有する。これらの好ましい例として、芳香族アントラセンアミン、芳香族アントラセンジアミン、芳香族ピレンアミン、芳香族ピレンジアミン、芳香族クリセンアミン、または芳香族クリセンジアミンが挙げられる。芳香族アントラセンアミンは、1つのジアリルアミノ基がアントラセン基と直接結合している化合物を意味するものと理解される。芳香族アントラセンジアミンは、2つのジアリルアミノ基がアントラセン基と直接結合している化合物を意味するものと理解される。芳香族ピレンアミン、ピレンジアミン、クリセンアミン、およびクリセンジアミンは、これらと同様に規定され、ピレン上のジアリルアミノ基は、好ましくは1位または1,6位で結合している。
【0090】
さらに好ましいドーパントは、例えば、国際公開第06/122630号に基づくインデノフルオレンアミンまたはインデノフルオレンジアンミン、例えば国際公開第08/006449号に基づくベンゾインデノフルオレンアミンまたはベンゾインデノフルオレンジアミン、および例えば国際公開第07/140847号に基づくジベンゾインデノフルオレンアミンまたはジベンゾインデノフルオレンジアミンから選択される。スチリルアミンのクラスに由来するドーパントの例として、置換されたもしくは置換されていないトリスチルベンアミン、または国際公開第06/000388号、同第06/058737号、同第06/000389号、同第07/065549号、および同第07/115610号に記載されているドーパントが挙げられる。好ましいものとして、国際公開第10/012328号に開示されている縮合炭化水素がさらに挙げられる。
【0091】
本発明による有機エレクトロルミネセンスデバイスは、式(II)の化合物に付加してマトリックス材料をさらに備えることができる。
【0092】
適するマトリックス材料は、様々なクラスの物質に由来する材料である。好ましいマトリックス材料は、オリゴアリーレン(例えば、欧州特許第676461号に基づく2,2’,7,7’−テトラフェニルスピロビフルオレン、またはジナフチルアントラセン)、特に縮合芳香族基を含有するオリゴアリーレン、オリゴアリーレンビニレン(例えば、欧州特許第676461号に基づくDPVBiまたはスピロ−DPVBi)、多足性の金属複合体(例えば、国際公開第04/081017号に基づく)、正孔伝導性化合物(例えば、国際公開第04/058911号に基づく)、電子伝導性化合物、特にケトン、ホスフィン酸化物、スルホキシド等(例えば、国際公開第05/084081号および同第05/084082号に基づく)、アトロプ異性体(例えば、国際公開第06/048268号に基づく)、ホウ素酸誘導体(例えば、国際公開第06/117052号に基づく)、またはベンゾアントラセン(例えば、国際公開第08/145239号に基づく)からなるクラスから選択される。
【0093】
好ましいマトリックス材料は、ナフタレン、アントラセン、ベンゾアントラセン、および/またはピレン、またはこれらの化合物のアトロプ異性体を含有するオリゴアリーレン、オリゴアリーレンビニレン、ケトン、ホスフィン酸化物、およびスルホキシドからなるクラスからさらに選択される。本発明による化合物を除いて、好ましいマトリックス材料は、アントラセン、ベンゾアントラセン、ベンゾフェナントレン、および/またはピレン、またはこれらの化合物のアトロプ異性体を含有するオリゴアリーレンからなるクラスからさらに選択される。オリゴアリーレンは、本発明の意味において、少なくとも3つのアリール基またはアリーレン基が互いに結合した化合物を意味するものと理解される。
【0094】
本発明によるエレクトロルミネセンスデバイスで利用可能な、適する電子伝達材料または電子注入材料は、例えば下記の表に示す材料である。さらに適する電子伝達材料および電子注入材料として、例えばAlQ、BAlQ、LiQ、およびLiFが挙げられる。
【化20−1】

【化20−2】

【0095】
有機エレクトロルミネセンスデバイスのカソードは、好ましくは仕事関数が低い金属、合金、または様々な金属、例えばアルカリ土類金属、アルカリ金属、主族金属、またはランタノイド元素(例えばCa、Ba、Mg、Al、In、Mg、Yb、Sm等)を備える多層構造を備える。アルカリ金属またはアルカリ土類金属、および銀を備える合金、例えばマグネシウムと銀とを備える合金も適している。多層構造の場合には、前記金属に加えて仕事関数が比較的高いさらなる金属、例えばAgまたはAl等も利用可能であり、そのような場合、金属併用物、例えばCa/AgまたはBa/Agが一般的に用いられる。金属カソードと有機半導体との間に、誘電率の高い材料からなる薄い中間層を導入することが好ましい場合もある。この目的のために、例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属のフッ化物のほか、対応する酸化物または炭酸塩(例えばLiF、LiO、BaF、MgO、NaF、CsF、CsCO等)が適している。さらに、キノリン酸リチウム(LiQ)がこの目的のために利用可能である。この層の厚さは、好ましくは0.5〜5nmである。
【0096】
アノードは、好ましくは仕事関数が高い材料を備える。アノードは、好ましくは真空に対して4.5eVを上回る仕事関数を有する。この目的のために、一方では酸化還元電位の高い金属、例えばAg、Pt、またはAu等が適切である。また他方では、金属/金属酸化物電極(例えば、Al/Ni/NiO、Al/PtO)も好適であり得る。いくつかの用途では、有機材料の照射(有機太陽電池)または光のカップリングアウト(OLED、O−レーザーS)を促進するために、電極のうちの少なくとも1つは透明でなければならない。好ましい構造は透明なアノードを利用する。本明細書の好ましいアノード材料は、導電性の混合型金属酸化物である。インジウムスズ酸化物(ITO)またはインジウム亜鉛酸化物(IZO)が特に好ましい。導電性の、ドーピングされた有機材料、特に導電性のドーピングされたポリマーがさらに好ましい。
【0097】
本発明によるデバイスの寿命は水および/または空気の存在下で短くなるため、デバイスは(適用に依存して)相応するように構成され、接点が設けられ、最終的に密閉される。
【0098】
好ましい実施形態において、本発明による有機エレクトロルミネセンスデバイスは、1以上の層が昇華プロセスにより塗布されることにより特徴づけられ、ここで材料は、初期圧力が10−5mbar未満、好ましくは10−6mbar未満の真空昇華ユニット内で蒸着により塗布される。しかしながら、ここでは、初期圧力はさらにより低く、例えば10−7mbar未満であることも可能である。
【0099】
好ましいものとして、同様に、OVPD(有機気相蒸着)プロセスにより、またはキャリアーガス昇華の支援を受けて1以上の層が塗布されるという点で特徴づけられる有機エレクトロルミネセンスデバイスが挙げられるが、この場合、材料は10−5mbar〜1barの圧力で塗布される。このプロセスの特別な場合として、OVJP(有機気相ジェット印刷)プロセスが挙げられ、この場合材料はノズルを経由して直接塗布され、そのように構成される(例えば、M.S.Arnoldら.、Appl.Phys.Lett.2008年、第92巻、053301頁)。
【0100】
好ましいものとして、1以上の層が、例えばスピンコーティング等、または任意の望ましい印刷プロセス、例えばスクリーン印刷、フレキソグラフィック印刷、ノズル印刷、またはオフセット印刷等、ただし特に好ましくはLITI(光誘起熱画像化、熱転写印刷)またはインクジェット印刷を用いて溶液から生成されることにより特徴づけられる有機エレクトロルミネセンスデバイスがさらに挙げられる。式(I)および式(II)の可溶性化合物が、この目的のために必要である。この化合物を適当に置換することにより高溶解度を実現し得る。
【0101】
1以上の層を溶液から、および1以上の層を昇華プロセスにより塗布することにより、本発明による有機エレクトロルミネセンスデバイスを作製することがさらに好ましい。
【0102】
本発明による電子デバイスは、ディスプレイで、照明用途の光源として、ならびに医療および/または美容用途(例えば、光療法)の光源として利用可能である。
【0103】
ドーパント化合物として用いられる式(I)の化合物は、回転の自由度が最低限に抑えられているので低ストークスシフトしか有さず、したがって発光バンドは狭い。
【0104】
有機エレクトロルミネセンスデバイスのエレクトロルミネセンス層で、式(I)の化合物を式(II)の化合物と共に使用すれば、デバイスの特性を改善させ、好ましくは効率および寿命を向上させる。これに対する考え得る理由として、電荷キャリアバランスの改善が挙げられる。
【0105】
さらに、式(II)の化合物は、フィルム形成特性が良好で、また結晶化する傾向が低く、かかる傾向は、例えば自動車構造体でかかるデバイスを使用する際に必要となるように特に大量生産に有利である。
【0106】
さらに、有機エレクトロルミネセンスデバイスのエレクトロルミネセンス層で式(I)の化合物を式(II)の化合物と併用すると、デバイスの色純度および出力効率を高めることができるということが、本発明に基づき判明している。
【0107】
下記の実施例は、本発明をより詳細に説明するように意図されている。
【0108】
実施例は限定的な性格を有さない、すなわち本発明は実施例に限定されない。
【0109】
当業者は、発明性がなくとも、本発明によるさらなる化合物を調製し、それらを電子デバイスで利用することができる。
【実施例】
【0110】
A)合成例
1)9,10−ジ−tert−ブチル−N,N’−ジナフチル−2−イル−N,N’−ジフェニルアントラセン−2,6−ジアミン
1a)2,6−ビス(ナフチル−2−イルフェニルアミノ)−4a,9a−ジヒドロアントラキノン
【化21】

【0111】
2,6−ジクロロ−4a,9a−ジヒドロアントラキノン、5.3g(18.8mmol)、ナフト−2−イルフェニルアミン、9.1g(41.4mmol)、およびナトリウム tert−ブトキシド、4.9g(50.7mmol)を、p−キシレン、200mlに懸濁する。Pd(OAc)、0.76g(3.4mmol)、および1Mトリ−tert−ブチルホスフィン溶液、7ml(7mmol)をこの懸濁液に添加する。反応混合物を還流しながら48時間加熱する。冷却後、有機相を分離し、200mlの水で3回洗浄し、その後蒸発乾固させる。残渣を熱トルエンで抽出し、トルエンから再結晶化する。収量:6.2g(9.6mmol);理論値の51%。
【0112】
1b)9,10−ジ−tert−ブチル−2,6−ビス(ナフチル−2−イルフェニルアミノ)−9,10−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール
【化22】

【0113】
2,6−ビス(ナフチル−2−イルフェニルアミノ)−4a,9a−ジヒドロアントラキノン(5g、7.7mmol)を、THF、120mlに最初に導入し(黄色懸濁液)、THF(100ml)に溶解したtert−ブチルマグネシウム臭化物(2.6g、16mmol)を10℃でゆっくりと滴下する。その後、混合物を75℃で8時間撹拌する。この後、10%HCl、150mlを反応混合物に添加し、水相をジクロロメタンで3回抽出する。集めた有機相を水で洗浄し、NaSO上で脱水し、固化する。残渣をヘプタンから再結晶化する。収量は5.3gである(6.7mmol、90%)。
【0114】
1c) 9,10−ジ−tert−ブチル−N,N’−ジナフチル−2−イル−N,N’−ジフェニルアントラセン−2,6−ジアミン
【化23】

【0115】
9,10−ジ−tert−ブチル−2,6−ビス(ナフチル−2−イルフェニルアミノ)−9,10−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール(5.3g、6.7mmol)を、DMF(200ml)に懸濁し、塩化スズ(4.3g、22.8mmol)を添加し、混合物を140℃で18時間撹拌する。この後、2MのHCl、150mlを反応混合物に添加し、水相をジクロロメタンで3回抽出する。集めた有機相を水で洗浄し、NaSO上で脱水し、固化する。残渣をトルエンから再結晶化する。収量は2.3gである(2.8mmol、42%)。最終的に、前記化合物を高真空内で昇華させる。純度は99.9%である。
【0116】
2)9,10−ジ−tert−ブチル−N,N’−ビス(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−N,N’−ジフェニルアントラセン−2,6−ジアミン
2a)(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)フェニルアミン
【化24】

【0117】
2−ブロモ−9,9−ジメチル−9H−フルオレン、62.5g(230mmol)、アニリン、21.4g(230mmol)、1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、1.9g(3.5mmol)、酢酸パラジウム(II)、0.6g(2.8mmol)、およびナトリウム tert−ブトキシド、57.2g、(598mmol)を、保護ガス雰囲気下、沸騰条件で18時間、トルエン、1.5L中で加熱する。混合物を、その後トルエンと水との間で分離し、有機相を水で3回洗浄し、NaSO上で脱水し、固化する。残りの残渣(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)フェニルアミンをトルエン/酢酸エチルから再結晶化する。収量は58.7gである(206mmol、90%)。
【0118】
2b)2,6−ビス[(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)フェニルアミノ]−4a,9a−ジヒドロ−アントラキノン
【化25】

【0119】
2,6−ジクロロ−4a,9a−ジヒドロアントラキノン、10.6g(37.6mmol)、(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)フェニルアミン、23.6g(82.7mmol)、およびナトリウム tert−ブトキシド、9.8g(101.4mmol)を、p−キシレン、600mlに懸濁する。Pd(OAc)、1.52g(6.8mmol)、および1Mトリ−tert−ブチルホスフィン溶液、15ml(14.9mmol)をこの懸濁液に添加する。反応混合物を還流しながら48時間加熱する。冷却後、有機相を分離し、水、500mlで3回洗浄し、その後蒸発乾固する。残渣を熱トルエンで抽出し、トルエンから再結晶化する。収量:16.3g(21.1mmol、理論値の56%)。
【0120】
2c)9,10−ジ−tert−ブチル−2,6−ビス[(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)フェニルアミノ]−9,10−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール
【化26】

【0121】
2,6−ビス[(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)フェニルアミノ]−4a,9a−ジヒドロアントラキノン(12.0g、15.5mmol)を、フラスコ内でTHF、250mlに最初に導入し、THF(200ml)に溶解したtert−ブチルマグネシウム臭化物(6.3g、38.7mmol)を、6時間かけて10℃でゆっくりと滴下する。その後、混合物を75℃で6時間撹拌する。この後、10%HCl、250mlを反応混合物に添加し、水相をジクロロメタンで抽出する。集めた有機相を水で洗浄し、NaSO上で脱水し、固化する。残渣をヘプタンから再結晶化する。収量は12.3gである(13.8mmol、89%)。
【0122】
2d)9,10−ジ−tert−ブチル−N,N’−ジナフタレン−2−イル−N,N’−ジフェニルアントラセン−2,6−ジアミン
【化27】

【0123】
9,10−ジ−tert−ブチル−2,6−ビス[(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)フェニルアミノ]−9,10−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール(8.5g、10.0mmol)をDMF(150ml)に懸濁し、塩化スズ(5.7g、30mmol)を添加し、混合物を140℃で18時間撹拌する。この後、2MのHCl、250mlを反応混合物に添加し、水相をジクロロメタンで3回抽出する。集めた有機相を水で洗浄し、NaSO上で脱水し、固化する。残渣をトルエンから再結晶化する。収量は4.1gである(4.7mmol、47%)。最終的に、生成物を高真空内で昇華させる。純度は99.9%である。
【0124】
式(I)のさらなる化合物の合成について、例えば米国特許出願公開第2008/0182129号で開示されている。
【0125】
以下に記すデバイスの例で用いられるマトリックス化合物9−(ナフト−2−イル)−10−(ベンゾ[a]アントラセン−4−イル)アントラセン、および9−(フェニル)−10−(ベンゾ[a]アントラセン−4−イル)アントラセンの合成が、国際公開出願第2008/145239号で開示されている。
【0126】
B)デバイスの例
OLEDは、国際公開第04/058911号に基づく一般的プロセスにより作製される。このプロセスでは、構造化されたインジウムスズ酸化物(ITO)が150nmの厚さでコーティングされたガラスプレートが基材として用いられる。より良好に処理するために、最初にポリ(3,4−エチレンジオキシ−2,5−チオフェン)(PEDOT;H.C.Starck、Goslar、Germany)の層が水溶液として基材に塗布される。OLEDは、下記の層配列を有する:基材/PEDOT、20nm/正孔注入層(HIL1)、5nm/正孔輸送層(HTM1)、130nm/NPB、20nm/発光層(EML)、30nm/Alq、20nm/LiF、1nm/アルミニウム、100nm。OLEDの作製に用いられる化合物を表1にまとめる。
【表1−1】

【表1−2】

【0127】
PEDOTを除いてすべての材料は、真空チャンバー内で熱蒸着により塗布される。本明細書の発光層は、常にマトリックス材料(ホスト)およびドーパントから構成され、前記マトリックス材料は同時蒸着により前記ドーパントと混合される。例1および2では、用いられるマトリックス材料は、例えば化合物H1であり、これはいずれの場合においてもドーパントD1〜D3のうちの1つでドーピングされる。OLEDは緑色の発光を呈する。
【0128】
OLEDを特徴づけるために、エレクトロルミネセンススペクトル、電流効率(cd/Aとして測定される)、輝度の関数として電流/電圧/輝度特性線(IUL特性線)から計算される電力効率(lm/Wとして測定される)および外部量子効率(EQE、%として測定される)、ならびに寿命が求められる。寿命は、当初25,000cd/mの輝度が半分まで低下した後の時間として定義される。
【0129】
表2は、例1〜12を示す。本発明によるOLEDでは、マトリックス材料H2およびH4と併用して化合物D2〜D5がドーパントとして用いられる。先行技術に基づくOLEDでは、特にマトリックス材料H1〜H4と併用してドーパントD1が用いられる。
【0130】
様々なドーパントについて、最適結果をもたらす濃度は異なる。したがって、表2は、最適化された濃度の比を有する成分に関するデータを示す。
【0131】
例の一部のみを下記に説明する。表から明らかなように、その他の材料の組み合わせについて得られた結果は、定性的には同一である。
【0132】
本発明によるドーパントD2およびD3は、効率、寿命、および色(CIEのy座標が大きい)に関してドーパントD1と比較したとき、より有意に良好な結果を与える。これは、例3〜6(本発明によるドーパントD2およびD3)を例1および2(ドーパントD1)と比較することにより明らかである。ベンゾアントラセン含有マトリックス材料(H2)を使用しても、ドーパントD1の場合、マトリックス材料H1を使用した場合と比較して若干の長所をもたらすに過ぎないことは、例1および2の比較から明白である。これとは対照的に、ドーパントD2およびD3を使用する場合には、マトリックス材料H1を備える成分と比較してマトリックス材料H2を使用するとき、寿命および効率において有意な改善、およびCIEY色座標では若干の改善が得られる。これは、例3と4、ならびに5と6を互いに比較することにより明らかである。
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノードと、カソードと、前記アノードとカソードとの間に配置された少なくとも1つのエレクトロルミネセンス層とを備える有機エレクトロルミネセンスデバイスであって、前記エレクトロルミネセンス層が、少なくとも1種の式(I)の化合物
【化1】

と、少なくとも1種の式(II)の化合物
【化2】

とを含むことを特徴とし、
前記式(I)の化合物は、当該アントラセン環系のすべてのフリーの位置においてラジカルRにより置換されていてもよく、前記式(II)の化合物は、当該アントラセン環系およびベンゾアントラセン環系のすべてのフリーの位置においてラジカルRにより置換されていてもよく、式中、出現する記号にはさらに以下が適用される:
Aは、出現毎に同一であるかまたは異なり、1〜40個のC原子を有する直鎖のアルキル基または3〜40個のC原子を有する分枝もしくは環式のアルキル基(これらのそれぞれは、1以上のラジカルRにより置換されていてもよい)(ここで、1以上のCH基は、−RC=CR−、−C≡C−、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、−O−、−S−、−COO−、もしくは−CONR−により置きかえられていてもよく、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、もしくはNOにより置きかえられていてもよい)、または5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(これらは、1以上のラジカルRにより置換されていてもよい)であり;
Ar、Arは、出現毎に同一であるかまたは異なり、5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(これらは、1以上のラジカルRにより置換されていてもよい)であり、ここで、同一の窒素原子に結合した2つのラジカルArは、単結合により、またはB(R)、C(R、Si(R、C=O、C=NR、C=C(R、O、S、S=O、SO、N(R)、P(R)、およびP(=O)Rから選択される橋により互いに連結されていてもよく;
、R、Rは、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、Cl、Br、I、CHO、N(R、C(=O)R、P(=O)(R、S(=O)R、S(=O)、CR=C(R、CN、NO、Si(R、B(OR、OSO、OH、COOR、もしくはCON(R、1〜40個のC原子を有する直鎖のアルキル、アルコキシ、もしくはチオアルキル基、または3〜40個のC原子を有する分枝もしくは環式のアルキル、アルコキシ、もしくはチオアルキル基、または2〜40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(これらのそれぞれは、1以上のラジカルRにより置換されていてもよい)(ここで、1以上のCH基は、−RC=CR−、−C≡C−、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、−O−、−S−、−COO−、もしくは−CONR−により置きかえられていてもよく、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、もしくはNOにより置きかえられていてもよい)、または5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(これらは、各場合において、1以上の非芳香族ラジカルRにより置換されていてもよい)、または5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基(これらは、1以上の非芳香族ラジカルRにより置換されていてもよい)、またはこれらの系の組み合わせであり、ここで、2以上のラジカルR、R、もしくはRは互いに連結されていてもよく、環または環系を形成していてもよい;
は、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、または、1〜20個のC原子を有する脂肪族、芳香族および/またはヘテロ芳香族の有機ラジカル(それらにおいてさらに1以上のH原子はDまたはFにより置きかえられていてもよい)であり;ここで、2以上の同一のまたは異なる置換基Rは、互いに連結されていてもよく、環または環系を形成していてもよい。
【請求項2】
前記式(I)の化合物はドーパントとして用いられ、前記式(II)の化合物はマトリックス材料として用いられることを特徴とする、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項3】
前記式(II)の化合物は式(IIa)に従い、
【化3】

前記式(IIa)の化合物は、当該ベンゾアントラセン環系のすべてのフリーの位置においてラジカルRにより置換されていてもよく、当該アントラセン環系のフリーの位置は水素により置換されており、さらに、出現する記号は上記で定義された通りであり、以下がRに適用される:
は、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、Cl、Br、I、CHO、N(R、C(=O)R、P(=O)(R、S(=O)R、S(=O)、CR=C(R、CN、NO、Si(R、B(OR、OSO、OH、COOR、CON(R、1〜40個のC原子を有する直鎖のアルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基、または3〜40個のC原子を有する分枝もしくは環式のアルキル、アルコキシ、もしくはチオアルキル基、または2〜40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(これらのそれぞれは、1以上のラジカルRにより置換されていてもよい)(ここで、1以上のCH基は、−RC=CR−、−C≡C−、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、−O−、−S−、−COO−、もしくは−CONR−により置きかえられていてもよく、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、もしくはNOより置きかえられていてもよい)、またはこれらの系の組み合わせである、ことを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項4】
前記式(II)の化合物におけるベンゾアントラセン基とアントラセン基との間の結合は、前記ベンゾアントラセン基の4位または5位にあることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項5】
前記式(II)の化合物は、前記ベンゾアントラセン環系の7位および12位においてラジカルRにより置換されており、前記ベンゾアントラセン環系の他のすべてのフリーの位置において水素原子により置換されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項6】
Aは、出現毎に同一であるかまたは異なり、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基または3〜10個のC原子を有する分枝もしくは環式のアルキル基(これらのそれぞれは、1以上のラジカルRにより置換されていてもよい)(ここで、1以上のCH基は、−RC=CR−、−C≡C−、Si(R、C=O、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、−O−、−S−、−COO−、もしくは−CONR−により置きかえられていてもよく、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、もしくはNOにより置きかえられていてもよい)、または5〜20個の芳香族環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(これらは、1以上のラジカルRにより置換されていてもよい)から選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項7】
Aは、出現毎に同一であるかまたは異なり、以下の基から選択されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス:
【化4】

式中、記号は該アントラセン基への結合を表し、
前記基Aは、請求項1で定義されたラジカルRにより、すべてのフリーの位置において置換されていてもよい。
【請求項8】
Arは、出現毎に同一であるかまたは異なり、以下の基から選択されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス:
【化5】

式中、記号は窒素原子への結合を表し、
前記基Arは、請求項1で定義されたラジカルRにより、すべてのフリーの位置において置換されていてもよい。
【請求項9】
前記基Arは、以下の基から選択されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス:
【化6】

式中、記号は該アントラセン環系への結合を表し、
前記基Arは、請求項1で定義されたラジカルRにより、すべてのフリーの位置において置換されていてもよい。
【請求項10】
前記式(I)の化合物におけるすべてのラジカルRは水素原子を表すことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項11】
前記デバイスの1以上の層は、溶液からおよび/または昇華プロセスにより塗布されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイスの製造方法。
【請求項12】
少なくとも1種の式(I)の化合物と
【化7】

少なくとも1種の式(II)の化合物
【化8】

とを含む混合物であって、
前記式(I)の化合物は、当該アントラセン環系のすべてのフリーの位置においてラジカルRにより置換されていてもよく、前記式(II)の化合物は、当該アントラセン環系およびベンゾアントラセン環系のすべてのフリーの位置において基Rにより置換されていてもよく、式中、出現する記号にはさらに以下が適用される:
Aは、出現毎に同一であるかまたは異なり、1〜40個のC原子を有する直鎖のアルキル基または3〜40個のC原子を有する分枝もしくは環式のアルキル基(これらのそれぞれは、1以上のラジカルRにより置換されていてもよい)(ここで、1以上のCH基は、−RC=CR−、−C≡C−、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、−O−、−S−、−COO−、もしくは−CONR−により置きかえられていてもよく、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、もしくはNOにより置きかえられていてもよい)、または5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(これらは、1以上のラジカルRにより置換されていてもよい)であり;
Ar、Arは、出現毎に同一であるかまたは異なり、5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(これらは、1以上のラジカルRにより置換されていてもよい)であり、ここで、同一の窒素原子に結合した2つのラジカルArは、単結合により、またはB(R)、C(R、Si(R、C=O、C=NR、C=C(R、O、S、S=O、SO、N(R)、P(R)、およびP(=O)Rから選択される橋により互いに連結されていてもよく;
、R、Rは、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、Cl、Br、I、CHO、N(R、C(=O)R、P(=O)(R、S(=O)R、S(=O)、CR=C(R、CN、NO、Si(R、B(OR、OSO、OH、COOR、もしくはCON(R、1〜40個のC原子を有する直鎖のアルキル、アルコキシ、もしくはチオアルキル基、または3〜40個のC原子を有する分枝もしくは環式のアルキル、アルコキシ、もしくはチオアルキル基、または2〜40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(これらのそれぞれは、1以上のラジカルRにより置換されていてもよい)(ここで、1以上のCH基は、−RC=CR−、−C≡C−、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、−O−、−S−、−COO−、もしくは−CONR−により置きかえられていてもよく、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、もしくはNOにより置きかえられていてもよい)、または、5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくはヘテロ芳香族環系(これらは、各場合において、1以上の非芳香族ラジカルRにより置換されていてもよい)、または、5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基(これらは、1以上の非芳香族ラジカルRにより置換されていてもよい)、または、これらの系の組み合わせであり、ここで、2以上のラジカルR、R、もしくはRは互いに連結されていてもよく、環または環系を形成していてもよい;
は、出現毎に同一であるかまたは異なり、H、D、F、または、1〜20個のC原子を有する脂肪族、芳香族および/またはヘテロ芳香族の有機ラジカル(それらにおいてさらに1以上のH原子はDまたはFにより置きかえられていてもよい)であり;ここで、2以上の同一のまたは異なる置換基Rは、互いに連結されていてもよく、環または環系を形成していてもよい混合物。
【請求項13】
Aは、出現毎に同一であるかまたは異なり、以下の基から選択されることを特徴とする、請求項12に記載の混合物:
【化9】

式中、記号は該アントラセン基への結合を表し、
前記基Aは、請求項13で定義されたラジカルRにより、すべてのフリーの位置において置換されていてもよい。
【請求項14】
前記式(II)の化合物におけるベンゾアントラセン基とアントラセン基との間の結合は、前記ベンゾアントラセン基の4位または5位にあることを特徴とする、請求項12または13に記載の混合物。
【請求項15】
請求項12〜14のいずれか1項に記載の混合物と、少なくとも1種の溶媒とを含む調合物。

【公表番号】特表2013−521670(P2013−521670A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556399(P2012−556399)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【国際出願番号】PCT/EP2011/000706
【国際公開番号】WO2011/110276
【国際公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(597035528)メルク パテント ゲーエムベーハー (209)
【Fターム(参考)】