説明

電子データ付き書籍

【課題】従来、学習効果が十分ではなかった。
【解決手段】図および図に関する説明の組を1組以上印刷した書籍と、1以上のオブジェクトを含む電子的な図であり、図を電子化した電子的な図であり、書籍に印刷されている説明の順序を示す情報である説明手順情報、および図の一部であるオブジェクトに対する説明内容に対応する動きを示す情報であるオブジェクト動作情報とを含む電子的な図である電子図を1以上含む電子データとを具備する電子データ付き書籍により、極めて高い学習効果を奏する電子データ付き書籍を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書籍と電子データとを具備する電子データ付き書籍に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、関連電子データで増補される書籍があった(例えば、特許文献1参照)。かかる書籍は、印刷した書籍に画像、音声及び/または補足テキストの形の一定の電子記憶データを関連付ける。そして、電子記憶データを関連づけたテキストの近傍に書籍のリーダに対する視覚的キューを設ける。電子データは、好ましくはリモートアクセス可能なサーバに記憶する。サーバに記憶されたデータへのアクセスを制御するためにグラフィカル・ユーザインタフェースを設ける。そして、書籍のリーダがテキストの一部と関連付けられたデータにアクセスしたいときは、リーダはコンピュータのポインティング・デバイスを用いて書籍中の視覚的合図に対応するグラフィカル・ユーザインタフェース上のマークを選択または操作する。サーバは、適切なデータを検索して取り出し、リーダのコンピュータ上で画像、音声及び/または補足テキストとしてリーダに対して表示し、これによってマルチメディアで増補された読書を可能にする、というものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2001−516085号公報(第1頁、第1図等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の電子データ付き書籍においては、書籍の形態と合致した電子データを提供できていないために、電子データを利用して、書籍の内容を学習する場合の学習効果が十分ではなかった。さらに具体的には、電子データが書籍内の図を含み、かつ書籍内の図の説明における説明順序に応じた動作を行える図ではないので、書籍の内容を学習する場合、その学習効果が十分ではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本第一の発明の電子データ付き書籍は、図および図に関する説明の組を1組以上印刷した書籍と、1以上のオブジェクトを含む電子的な図であり、図を電子化した電子的な図であり、書籍に印刷されている説明の順序を示す情報である説明手順情報、および図の一部であるオブジェクトに対する説明内容に対応する動きを示す情報であるオブジェクト動作情報とを含む電子的な図である電子図を1以上含む電子データとを具備する電子データ付き書籍である。
【0006】
かかる構成により、電子データを利用して書籍の内容を学習する場合、高い学習効果が得られる。
【0007】
また、本第二の発明の電子データ付き書籍は、第一に対して、説明手順情報およびオブジェクト動作情報とがコンピュータにより解釈され、実行されて、説明手順情報が示す順序で、オブジェクトが出現し、オブジェクトにオブジェクト動作情報に対応する動作をさせる電子データ付き書籍である。
【0008】
かかる構成により、電子データを利用して書籍の内容を学習する場合、高い学習効果が得られる。
【0009】
また、本第三の発明の電子データ付き書籍は、第二に対して、書籍中の図には、他と識別可能な1以上の記号が印刷されており、図を電子化した電子図は、対応する図に印刷された記号を含み、コンピュータが一の記号を受け付けた場合、コンピュータにより、一の記号に対応する電子図が出力される電子データ付き書籍である。
【0010】
かかる構成により、電子データを利用して書籍の内容を学習する場合、高い学習効果が得られる。
【0011】
また、本第四の発明の電子データ付き書籍は、第一から第三いずれかに対して、図に関する説明は、図を構成する1以上のオブジェクトのいずれかのオブジェクトの動作を示す説明を含み、オブジェクト動作情報は、オブジェクトの動作を示す説明に対応した情報である電子データ付き書籍である。
【0012】
かかる構成により、電子データを利用して書籍の内容を学習する場合、高い学習効果が得られる。
【0013】
また、本第五の発明の電子データ付き書籍は、第一から第四いずれかに対して、図に関する説明は、オブジェクトを識別するオブジェクト識別子とオブジェクトの動作と動作時間を含み、オブジェクト動作情報は、オブジェクトの動作を識別する動作識別子と、動作時間に関する情報である動作時間情報とを有し、説明手順情報およびオブジェクト動作情報とがコンピュータにより解釈され、実行されて、オブジェクトの動作と動作時間とを認識可能なようにオブジェクトが出現または動作する電子データ付き書籍である。
【0014】
かかる構成により、電子データを利用して書籍の内容を学習する場合、高い学習効果が得られる。
【発明の効果】
【0015】
本発明による電子データ付き書籍によれば、高い学習効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施の形態1における電子書籍システムのブロック図
【図2】同書籍11のページの例を示す図
【図3】同書籍11のページの例を示す図
【図4】同書籍11のページの例を示す図
【図5】同オブジェクト管理表を示す図
【図6】同出力された画面例および画面遷移を示す図
【図7】同コンピュータシステムの概観図
【図8】同コンピュータシステムのブロック図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、電子データ付き書籍等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
【0018】
(実施の形態1)
本実施の形態において、いわゆるハイブリッドブックについて説明する。ハイブリッドブックとは、電子データ付きの書籍であり、書籍の内容を説明する図を電子データとしたものである。
【0019】
以下、電子データ付きの書籍とコンピュータを具備する電子書籍システムについて説明する。
【0020】
図1は、本実施の形態における電子書籍システムのブロック図である。電子書籍システムは、電子データ付き書籍1、コンピュータ2を具備する。
【0021】
電子データ付き書籍1は、書籍11、電子データ12を具備する。コンピュータ2は、受付部21、読込部22、解釈実行部23、出力部24、情報生成部25を具備する。
【0022】
書籍11は、図および図に関する説明の組を1組以上印刷したものである。書籍11の媒体は、通常、紙であるが、プラスチック等、その他の媒体でも良い。ここで、「図および当該図に関する説明の組」とは、説明と当該説明の内容を示す図の組でも良い。書籍11において、図と図に関する説明の組が1ページを構成していることは好適である。また、当該図は、電子データ12中の図と一致(例えば、所定の割合(例えば、90%または70%など)以上の情報が一致していることも含む)していることは好適である。また、書籍11の各ページには、ページの上部に図、ページの下部の図に関する説明が印刷されていることは、さらに好適である。なお、ここで、図とは、図柄、図形、または表を含むものであり、文字列を含んでも良いことは言うまでもない。
【0023】
書籍11中の図には、他と識別可能な1以上の記号が印刷されていることは好適である。
【0024】
また、図に関する説明は、図を構成する1以上のオブジェクトのいずれかのオブジェクトの動作を示す説明を含む。例えば、オブジェクトが「心臓」であり、オブジェクトの動作とは、「収縮」「弛緩」などである。そして、オブジェクトの動作を示す説明とは、例えば、「心臓は収縮・弛緩する。この機能をポンプ機能という。」などである。
【0025】
さらに、図に関する説明は、オブジェクトを識別するオブジェクト識別子(例えば、文字列「心臓」)とオブジェクトの動作と動作時間を含む。かかる図に関する説明は、例えば、「洞房結節からプルキンエ線維に至るまでの時間は0.2秒である。」などである。
【0026】
電子データ12は、1以上の電子図を含む。電子図とは、1以上のオブジェクトを含む電子的な図であり、書籍11内に印刷されている図を電子化した電子的な図である。オブジェクトとは、図を構成する図の一部であり、図柄や文字列などである。電子図は、説明手順情報とオブジェクト動作情報とを含む。説明手順情報とは、書籍11に印刷されている説明の順序を示す情報である。説明手順情報とは、例えば、オブジェクトに付されたIDや番号、オブジェクトの出現順序や動作順序を特定する矢印、オブジェクトの出現順序や動作順序を特定するオブジェクト間のリンクなどである。オブジェクトが格納されている順序が、説明手順情報であると考えても良い。かかる場合、説明手順情報は陽には存在しないこととなる。オブジェクト動作情報とは、図の一部であるオブジェクトに対する説明内容に対応する動きを示す情報である。オブジェクト動作情報は、例えば、関数名、メソッド名、動作IDなどである。
【0027】
また、図を電子化した電子図は、対応する図(書籍11の中の図)に印刷された記号を含み、コンピュータ2が一の記号を受け付けた場合、コンピュータ2により、当該一の記号に対応する電子図が出力される。
【0028】
オブジェクト動作情報は、オブジェクトの動作を示す説明に対応した情報である。オブジェクト動作情報は、オブジェクトの動作を識別する動作識別子を有する。また、オブジェクト動作情報は、動作識別子と、動作時間に関する情報である動作時間情報とを有しても良い。
【0029】
なお、説明手順情報およびオブジェクト動作情報とがコンピュータ2により解釈され、実行されて、オブジェクトの動作と動作時間とを認識可能なようにオブジェクトが出現または動作する。動作とは、例えば、後述する点滅や、回転等、何でも良い。
【0030】
電子データ12は、CDやDVDやメモリカードなどの記録媒体に記録されていたり、いわゆるネットワーク上のサーバ装置からダウンロード可能であったりする。
【0031】
コンピュータ2は、記録媒体等から電子データ12を読み込み、説明手順情報やオブジェクト動作情報を解釈実行して、動きのある電子図を出力する装置である。コンピュータ2は、いわゆるパソコンでも、携帯端末(携帯電話を含む)でも、テレビでも、ナビゲーション端末でも、ゲーム機等でも良い。
【0032】
受付部21は、ユーザの指示や入力を受け付ける。指示とは、例えば、電子データの出力指示である。入力とは、例えば、ユーザによる、記号の入力である。指示などの入力手段は、テンキーやキーボードやマウスやメニュー画面によるもの等、何でも良い。受付部21は、テンキーやキーボード等の入力手段のデバイスドライバーや、メニュー画面の制御ソフトウェア等で実現され得る。
【0033】
読込部22は、例えば、記録媒体中の電子データ12を読み込み、メモリ上に配置する。読込部22は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。読込部22の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0034】
解釈実行部23は、読込部22が読み込んだ電子データ12から、出力する画面を構成する。また、解釈実行部23は、電子データ12の中の説明手順情報およびオブジェクト動作情報を用いて、説明手順情報が示す順序で、オブジェクトを出現または動作させ、かつ、当該オブジェクトにオブジェクト動作情報に対応する動作をさせる。例えば、オブジェクト動作情報が「収縮」である場合、解釈実行部23は、オブジェクトを縮小して出力する。また、例えば、オブジェクト動作情報が「弛緩」である場合、解釈実行部23は、オブジェクトを拡大して出力する。
【0035】
解釈実行部23は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。解釈実行部23の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0036】
出力部24は、解釈実行部23が構成した画面を出力する。ここで、出力とは、ディスプレイへの表示、プロジェクターを用いた投影、音出力、外部の装置への送信、記録媒体への蓄積、他の処理装置や他のプログラムなどへの処理結果の引渡しなどを含む概念である。
【0037】
出力部24は、ディスプレイやスピーカー等の出力デバイスを含むと考えても含まないと考えても良い。出力部24は、出力デバイスのドライバーソフトまたは、出力デバイスのドライバーソフトと出力デバイス等で実現され得る。
【0038】
情報生成部25は、書籍11の図に関する説明の電子データを自然言語処理し、オブジェクト識別子、説明手順情報、オブジェクト動作情報のうちのいずれか1以上の情報を生成する。そして、情報生成部25は、生成した情報を、電子データ12に追記する。情報生成部25は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。情報生成部25の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0039】
以下、本実施の形態における電子書籍システムの具体的な動作について説明する。まず、書籍11は、例えば、図2に示すページ1、図3に示すページ2、図4に示すページ3などのページを有する。ページ1には、図101、図に関する説明102が印刷されている。図101には、他と識別可能な記号103(右上の○の中の「1」)が印刷されている。
【0040】
また、電子データ12は、図5に示すオブジェクト管理表を保持している。オブジェクト管理表は、説明手順情報とオブジェクト動作情報とを含む。オブジェクト管理表は、「ID」「オブジェクト識別子」「位置」「グループID」「オブジェクト動作情報」を有するレコードを1以上格納している。「ID」は、オブジェクトの説明順序を示し、説明手順情報に該当する。なお、説明手順情報は、ここでは、「グループID」であると考えても良い。「オブジェクト識別子」は、オブジェクトを識別する情報であり、ここでは、図中の用語に対応する。「位置」は、オブジェクトの電子的な図の中の配置される位置を示す。「グループID」は、1以上のオブジェクトのグループを示し、同一のグループの1以上のオブジェクトは、一度に出現したり、動作したりする。「オブジェクト動作情報」は、オブジェクトの動作を特定する「動作識別子」と、動作時間を特定する「時間情報」を有する。
【0041】
かかる状況において、ユーザは、心臓の構造について学習しようと、コンピュータ2に、電子データ12を読み込ませる指示を入力する、とする。
【0042】
次に、コンピュータ2の受付部21は、電子データ12を読み込ませる指示を受け付ける。次に、読込部22は、例えば、記録媒体中の電子データ12(図5のオブジェクト管理表を含む、他のオブジェクトを含む)を読み込み、メモリ上に配置する。
【0043】
次に、解釈実行部23は、読込部22が読み込んだ電子データ12から、出力する画面を構成する。そして、出力部24は、解釈実行部23が構成した画面を出力する。ここで、出力された画面は、図6の(a)である。なお、図6(a)を構成するためのオブジェクトの集合は、図5のオブジェクト管理表とは別に、電子データ12に含まれているオブジェクトも存在する、とする。なお、「グループID=0」のオブジェクトは、最初の出力指示により、出力される、とする。
【0044】
次に、ユーザは、次のオブジェクトの出力または動作の指示を入力する。すると、受付部21は、かかる指示を受け付ける。そして、解釈実行部23は、オブジェクト管理表の「グループID=1」のオブジェクト「4つの部屋」に対して、動作識別子「点滅1」に対応する動作(第一のパターンで点滅させる動作)を、時間情報「2秒」が示す長さで実行する。そして、2秒間、オブジェクト「4つの部屋」は、第一のパターンで点滅する(図6(b))。
【0045】
次に、ユーザは、次のオブジェクトの出力または動作の指示を入力する。すると、受付部21は、かかる指示を受け付ける。そして、解釈実行部23は、オブジェクト管理表の「ID=3」から「ID=6」(グループID=2のオブジェクト群)のオブジェクト「右心房」「左心房」「右心室」「左心室」に対して、動作識別子「点滅2」に対応する動作(第二のパターンで点滅させる動作)を、時間情報「4秒」が示す長さで実行する。そして、4秒間、オブジェクト「右心房」「左心房」「右心室」「左心室」は、第二のパターンで点滅する(図6(c))。
【0046】
次に、ユーザは、次のオブジェクトの出力または動作の指示を入力する。すると、受付部21は、かかる指示を受け付ける。そして、解釈実行部23は、オブジェクト管理表の「ID=7」(グループID=3のオブジェクト)のオブジェクト「4つの弁」に対して、動作識別子「点滅1」に対応する動作を、時間情報「2秒」が示す長さで実行する。そして、2秒間、オブジェクト「「4つの弁」は、第一のパターンで点滅する(図6(d))。
【0047】
次に、ユーザは、次のオブジェクトの出力または動作の指示を入力する。すると、受付部21は、かかる指示を受け付ける。そして、解釈実行部23は、オブジェクト管理表の「ID=8」から「ID=11」(グループID=4のオブジェクト群)のオブジェクト「大動脈弁」「肺動脈弁」「三尖弁」「僧帽弁」に対して、動作識別子「点滅2」に対応する動作を、時間情報「4秒」が示す長さで実行する。そして、4秒間、オブジェクト「大動脈弁」「肺動脈弁」「三尖弁」「僧帽弁」は、第二のパターンで点滅する(図6(e))。
【0048】
また、次に、ユーザが書籍11の図に存在する記号(例えば、「8」)を、コンピュータ2に入力すると、コンピュータ2の受付部21が当該記号を受け付け、解釈実行部23が「8」を受け取り、記号「8」に対応する電子図(図4の図を電子化したデータ)にジャンプし、出力部24は、図4の図を、ディスプレイに出力する。
【0049】
以上、本実施の形態によれば、極めて高い学習効果が得られる電子データ付き書籍が提供できる。
【0050】
なお、本実施の形態において、書籍11の図に関する説明の電子的なデータ(電子の文章)から、自動的に、説明手順情報、オブジェクト動作情報のいずれか、または両方を生成しても良い。つまり、コンピュータ2の情報生成部25は、図に関する説明の電子データを自然言語処理し、説明手順情報、オブジェクト動作情報のいずれか、または両方を生成しても良い。なお、かかる場合、電子データ12が図に関する説明の電子データを含んでも良いし、電子データ12は図のみであり、電子データ12とは別に、図に関する説明の電子データが存在しても良い。かかる場合、図に関する説明の電子データは、電子データ付き書籍1に含まれても良いし、別途、他の記憶媒体等に存在しても良い。
【0051】
さらに具体的には、情報生成部25は、図に関する説明の電子的なデータを形態素解析し、名詞または名詞句(以下、適宜、名詞句という)を取得する。そして、情報生成部25は、名詞句の間の関係も検出し、並列の名詞句を一つのグループとする。つまり、例えば、「心臓には、4つの部屋がある。4つの部屋とは、右心房、左心房、右心室、左心室である。また、心臓には、4つの弁がある。4つの弁とは、大動脈弁、肺動脈弁、三尖弁、僧帽弁である。」から、情報生成部25は、「心臓」「4つの部屋」「4つの部屋」「右心房」「左心房」「右心室」「左心室」「心臓」「4つの弁」「4つの弁」「大動脈弁」「肺動脈弁」「三尖弁」「僧帽弁」を取得する。そして、情報生成部25は、上記の複数の名詞句に対して、ユニーク処理し、「心臓」「4つの部屋」「4つの部屋」「右心房」「左心房」「右心室」「左心室」「4つの弁」「大動脈弁」「肺動脈弁」「三尖弁」「僧帽弁」を得る。次に、情報生成部25は、名詞句のうちの並列に記載されている名詞句を検出し(「、」または「と」でつながれている名詞句などを検出し)、「右心房」「左心房」「右心室」「左心室」は並列に記載されている、と判断する。また、同様に、情報生成部25は、「大動脈弁」「肺動脈弁」「三尖弁」「僧帽弁」は並列に記載されている、と判断する。そして、情報生成部25は、「右心房」「左心房」「右心室」「左心室」を一つのグループとする。さらに、情報生成部25は、「大動脈弁」「肺動脈弁」「三尖弁」「僧帽弁」一つのグループとする(グループ化処理をする)。
【0052】
つまり、情報生成部25は、上記の形態素解析、名詞句抽出処理、およびグループ化処理により、電子図の中のオブジェクトである文字列の「ID」の属性値を決定し、「グループID」を得る(説明手順情報を生成する)。
【0053】
また、情報生成部25は、例えば、グループに含まれるオブジェクトが一つの場合と、複数の場合とで、グループに対して、異なる動作識別子を与えるための情報を保持しており(例えば、「オブジェクトが一つの場「点滅1」,オブジェクトが複数の場合「点滅2」」など)、かかる情報を用いて、各グループのオブジェクトに対して、対応する動作識別子(点滅1、または点滅2)を付与する。かかる処理により、情報生成部25は、オブジェクト動作情報を生成できる。
【0054】
また、情報生成部25は、時間を含む表現を有する説明の情報(例えば、「洞房結節からプルキンエ線維に至るまでの時間は0.2秒である。」)から、時間を含む表現(例えば、「0.2秒」)を抽出し、時間情報として、オブジェクト管理表に蓄積しても良い。
【0055】
以上の処理により、情報生成部25は、説明手順情報やオブジェクト動作情報を生成できる。かかる情報生成部25の処理は一例である。
【0056】
さらに、本実施の形態におけるコンピュータ2の処理は、通常、ソフトウェアで実現される。そして、このソフトウェアをソフトウェアダウンロード等により配布しても良い。また、このソフトウェアをCD−ROMやDVDやメモリカードなどの記録媒体に記録して流布しても良い。
【0057】
また、図7は、本明細書で述べたプログラムを実行して、上述した実施の形態の処理を実現するコンピュータ2の外観を示す。上述の実施の形態は、コンピュータハードウェア及びその上で実行されるコンピュータプログラムで実現され得る。図7は、このコンピュータシステム340の概観図であり、図8は、コンピュータシステム340のブロック図である。
【0058】
図7において、コンピュータシステム340は、FDドライブ、CD−ROMドライブを含むコンピュータ341と、キーボード342と、マウス343と、モニタ344とを含む。
【0059】
図8において、コンピュータ341は、FDドライブ3411、CD−ROMドライブ3412に加えて、MPU3413と、CD−ROMドライブ3412及びFDドライブ3411に接続されたバス3414と、ブートアッププログラム等のプログラムを記憶するためのROM3415とに接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶するとともに一時記憶空間を提供するためのRAM3416と、アプリケーションプログラム、システムプログラム、及びデータを記憶するためのハードディスク3417とを含む。ここでは、図示しないが、コンピュータ341は、さらに、LANへの接続を提供するネットワークカードを含んでも良い。
【0060】
コンピュータシステム340に、上述した実施の形態のコンピュータ2等の機能を実行させるプログラムは、CD−ROM3501、またはFD3502に記憶されて、CD−ROMドライブ3412またはFDドライブ3411に挿入され、さらにハードディスク3417に転送されても良い。これに代えて、プログラムは、図示しないネットワークを介してコンピュータ341に送信され、ハードディスク3417に記憶されても良い。プログラムは実行の際にRAM3416にロードされる。プログラムは、CD−ROM3501、FD3502またはネットワークから直接、ロードされても良い。
【0061】
プログラムは、コンピュータ341に、上述した実施の形態のコンピュータ2等の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)、またはサードパーティープログラム等は、必ずしも含まなくても良い。プログラムは、制御された態様で適切な機能(モジュール)を呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいれば良い。コンピュータシステム340がどのように動作するかは周知であり、詳細な説明は省略する。
【0062】
また、上記プログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。
【0063】
また、上記各実施の形態において、各処理(各機能)は、単一の装置(システム)によって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置によって分散処理されることによって実現されてもよい。
【0064】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上のように、本発明にかかる電子データ付き書籍は、高い学習効果が得られる、という効果を有し、教育用の教材、書籍等として有用である。
【符号の説明】
【0066】
1 電子データ付き書籍
2 コンピュータ
11 書籍
12 電子データ
21 受付部
22 読込部
23 解釈実行部
24 出力部
25 情報生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
図および当該図に関する説明の組を1組以上印刷した書籍と、
1以上のオブジェクトを含む電子的な図であり、前記図を電子化した電子的な図であり、前記書籍に印刷されている説明の順序を示す情報である説明手順情報、および前記図の一部であるオブジェクトに対する説明内容に対応する動きを示す情報であるオブジェクト動作情報とを含む電子的な図である電子図を1以上含む電子データとを具備する電子データ付き書籍。
【請求項2】
前記説明手順情報および前記オブジェクト動作情報とがコンピュータにより解釈され、実行されて、前記説明手順情報が示す順序で、前記オブジェクトが出現し、当該オブジェクトに前記オブジェクト動作情報に対応する動作をさせる請求項1記載の電子データ付き書籍。
【請求項3】
前記書籍中の図には、他と識別可能な1以上の記号が印刷されており、
前記図を電子化した電子図は、対応する前記図に印刷された記号を含み、
前記コンピュータが一の記号を受け付けた場合、前記コンピュータにより、当該一の記号に対応する電子図が出力される請求項2記載の電子データ付き書籍。
【請求項4】
前記図に関する説明は、
前記図を構成する1以上のオブジェクトのいずれかのオブジェクトの動作を示す説明を含み、
前記オブジェクト動作情報は、
前記オブジェクトの動作を示す説明に対応した情報である請求項1から請求項3いずれか記載の電子データ付き書籍。
【請求項5】
前記図に関する説明は、
オブジェクトを識別するオブジェクト識別子とオブジェクトの動作と動作時間を含み、
前記オブジェクト動作情報は、
オブジェクトの動作を識別する動作識別子と、動作時間に関する情報である動作時間情報とを有し、
前記説明手順情報および前記オブジェクト動作情報とがコンピュータにより解釈され、実行されて、前記オブジェクトの動作と動作時間とを認識可能なようにオブジェクトが出現または動作する請求項1から請求項4いずれか記載の電子データ付き書籍。

【図1】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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