説明

電子ビームを用いる高麗人参裁培用土壌の滅菌方法及び滅菌装置と、これを用いた高麗人参裁培システム

【課題】 電子ビームを用いる高麗人参裁培用土壌の滅菌方法及び滅菌装置と、これを用いた高麗人参裁培システムを提供する。
【解決手段】 高麗人参裁培用土壌を移送するコンベヤーと、一定の量及び厚さに土壌を供給する土壌供給機と、コンベヤーにより移送される土壌中のカビ菌を滅菌するように電子ビームを照射する電子ビーム照射ユニットと、滅菌された土壌に拮抗微生物を供給する拮抗微生物供給機とを備える、電子ビームを用いる高麗人参裁培用土壌の滅菌装置であって、土壌を電子ビームで照射して高麗人参に有害なカビ菌を滅菌した後、高麗人参裁培用に再使用することで、無農薬及び有機農法による6年根の高品質の高麗人参を裁培でき、また高麗人参の連作が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ビームを用いる高麗人参裁培用土壌の滅菌方法及び滅菌装置と、これを用いた高麗人参裁培システムに係り、さらに詳細には、高麗人参裁培用土壌中に含まれている鉄、アルミニウムなどの無機物を除去し、土壌に電子ビームを照射して土壌内に存在する有害なカビ菌を滅菌した後、この滅菌された土壌で造成された高麗人参畑で、無農薬、有機農法による高品質の高麗人参を生産可能にする。また、このように滅菌された土壌を一定サイズの方形の高麗人参畑ユニットに満たし、この高麗人参畑ユニットを一列に、または層を重ねて組立てて太陽電池パネルの陰で高麗人参を裁培可能にすることで、気候条件に関係なく均一な品質の高麗人参裁培が可能に改善された電子ビームを用いる高麗人参裁培用土壌の滅菌方法及び滅菌装置と、これを用いた高麗人参裁培システムに関する。
【背景技術】
【0002】
周知の如く、高麗人参(Panax ginseng C.A.Meyer)は、韓国で薬用植物として広く裁培されている特用作物であって、通例的に収穫は4〜6年後に行う。
【0003】
かかる高麗人参は、6年根がその効能及び価格面ではるかに優秀なため、6年根まで裁培した後に収穫することが望ましいが、高麗人参が成長しつつ生じる各種カビ(Cylindrocarpon destrutans、Fusarium solani、Erwinia carotovora、Pseudomonas fluorescens)などにより6年根まで育つ前に、主に4年根で予め収穫せざるを得ない場合が多い実情である。
【0004】
また、高麗人参畑は、高麗人参を収穫した後にもこのような有害カビ菌が土壌中に残っているため、連作が不可能である。
【0005】
このような理由のため、従来には、高麗人参を裁培する前に高麗人参畑の土壌を消毒する薫蒸消毒法(fumigation)と、連作自体を回避して10年ほど他の作物で輪作した後、高麗人参を再び裁培する方法が用いられた。しかし、薫蒸消毒法は、クロルピクリンが土壌中で分解されながら生成されるアンモニア系窒素のため土壌の窒素含有量が増加して高麗人参に生理的障害が引き起こされる可能性が大きく、輪作裁培法の場合には、高麗人参を裁培できる土地が限定されているという問題点があり、特に、田畑輪作である時には田に存在する化学肥料成分のために高麗人参に黄病を誘発する恐れがあって、ライ麦などを裁培して残留する無機養分を吸収させねばならないという短所があった。
【0006】
それだけでなく、カビ菌(Cylindrocarpon dustructans Scholten)の根感染による高麗人参の根腐病を予防するか、根腐病を早期に見つけるのが非常に難しいため、高品質の6年生高麗人参を裁培することは容易ではなく、また高麗人参裁培に成功しても既に高麗人参畑の土壌に存在しているカビ菌のため、引続く高麗人参裁培(連作)は実現できなかった。
【0007】
一方、高麗人参の生理的特性上28℃以上の温度では光合成作用をしないため、陽光の88%ほどを遮光し、かつ適切な温度である夏季20℃〜27℃の維持のために遮陽施設が求められ、これは管理費上昇につながって高麗人参の国際的競争力を落とす要因になる。
【0008】
特に、地球温暖化の影響で韓半島(朝鮮半島)の気候変化が深刻な現在の状況を考慮すれば、今後高麗人参裁培の難しさはさらに大きくなると予想され、これによって高麗人参裁培農家の被害規模も急速に増加する見込みである。
【0009】
それだけでなく、人間の労働力と伝統的な遮陽施設に依存している伝統方式の高麗人参裁培法では、品質の優秀で均一な高麗人参を量産するには限界がある。実際に伝統的な高麗人参の遮陽施設の構造及び小スペースのため、高麗人参畑における機械装置及びデータ測定装置の活用が不可能である。そして、これまで高麗人参畑を半自動化するか、または太陽電池団地内に形成された陰の所に高麗人参畑を造成しようとする研究と試みがなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前述したようなカビ菌の根感染による高麗人参の根腐病を予防及び治療するために研究完成されたものであって、既存高麗人参畑の土壌または初めて裁培する高麗人参畑の土壌を高エネルギー電子ビームで照射して、高麗人参に有害なカビ菌を滅菌した後、拮抗微生物を供給することで高麗人参の根腐病などを予防し、無農薬有機農法による高品質の高麗人参を裁培できるだけでなく、6年産の高麗人参裁培を終えた後、この畑の土壌を再び電子ビームで照射してカビ菌を滅菌した後、拮抗微生物を供給して土壌を再使用可能にすることで、引続き連作を可能にした方法を提供するところにその主な解決課題がある。
【0011】
また、本発明は、土壌中に存在する高麗人参に有害な無機物を除去し、有害カビ菌を滅菌すると同時に高麗人参の成長に良い拮抗微生物(Antagonistic Rhizobacteria)を供給して高麗人参裁培に最適の土壌を提供することで、さらに高品質の高麗人参を裁培可能にしたところにもその解決課題がある。
【0012】
それだけでなく、本発明は、無農薬及び有機農法で高品質の高麗人参裁培時に連作を可能にすることで、土地の利用効率を極大化させて農家所得を保全可能にしたところにもその解決課題がある。
【0013】
また、本発明は、組立及び解体が容易であり、層積みの可能な高麗人参畑ユニットを使用して、気候条件に関係なく高麗人参裁培が可能であり、これを通じて品質の均一で優秀な高麗人参を量産可能にするところにもその解決課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、前記解決課題を達成するための手段として、高麗人参裁培用土壌にある根腐病を誘発するカビ菌を滅菌するための高麗人参裁培用土壌の滅菌方法において、前記高麗人参裁培用土壌を一定の速度及び厚さで移送しつつ、土壌にあるカビ菌が滅菌されるように土壌に電子ビームを照射することを特徴とする電子ビームを用いる高麗人参裁培用土壌の滅菌方法を提供する。
【0015】
このとき、前記電子ビーム照射前に前記高麗人参裁培用土壌を電磁石に通過させて、その中に存在する鉄を含む無機物を先ず除去することが望ましい。
【0016】
また、前記電子ビーム照射時に前記土壌厚さは5cm以下であり、その照射量は最小10kGy以上である。
【0017】
それだけでなく、前記電子ビーム照射後に前記高麗人参裁培用土壌に拮抗微生物を供給する。
【0018】
さらに、前記拮抗微生物は、優占菌、アゼロンから選択されたいずれか1つまたは2つ以上であり、これらの拮抗微生物の菌株として使われる製剤としては、おがくず、ぬか、油粕、骨粉、魚粉、麩、ゼオライト、グルコース、CaO、NaCOのうちいずれか1つまたは2つ以上混合される。
【0019】
一方、本発明は、前記解決課題を達成するためのさらに他の手段として、高麗人参裁培用土壌の滅菌装置において、高麗人参裁培用土壌を粉砕、スクリーニングして一定量ずつ供給する土壌供給機と、前記土壌供給機を通じて供給された土壌を一定の速度で移送するメインコンベヤーと、前記メインコンベヤーにより移送される土壌中の有害カビ菌を滅菌するように、電子ビームを照射する電子ビーム照射ユニットと、を備えて構成されたことを特徴とする電子ビームを用いる高麗人参裁培用土壌の滅菌装置を提供できる。
【0020】
このとき、前記土壌供給機には、土壌に入っている無機物を除去するための電磁石が設けられている。
【0021】
また、前記電子ビーム照射ユニットを過ぎるメインコンベヤーの一端には、電子ビーム照射により滅菌された土壌に、優占菌、アゼロンから選択されたいずれか1つまたは2つ以上拮抗微生物を添加する拮抗微生物供給機がさらに設けられることもある。
【0022】
それだけでなく、前記電子ビーム照射ユニットには、電子ビーム外部流出を遮断する安全遮蔽壁が設けられる。
【0023】
なお、前記土壌供給機の前端には、土壌に含まれている塩類の除去のために、その下端に排水口を持って土壌が満たされる塩類除去タンクと、前記塩類除去タンクの上端に設けられ、かつ土壌に向けて水を噴射するスプリンクラーがさらに設けられる。
【0024】
また、本発明は、前記解決課題を達成するための手段として、高麗人参裁培用土壌を粉砕、スクリーニングして一定量ずつ供給する土壌供給機と、前記土壌供給機を通じて供給された土壌を一定の速度で移送するメインコンベヤーと、前記メインコンベヤーにより移送される土壌中の有害カビ菌を滅菌するように電子ビームを照射する電子ビーム照射ユニットと、メインコンベヤーの終端に設けられる土壌移送コンベヤーと、土壌移送コンベヤーに沿って移送され、メインコンベヤーから排出される滅菌された土壌が充填されるようにその上部が開放されたボックス状になっている複数の高麗人参畑ユニットと、滅菌された土壌が充填された高麗人参畑ユニットを土壌移送コンベヤーから移送された後、陰の所に移送させて定着させるガイドレールと、を備えて構成されたことを特徴とする高麗人参裁培システムを提供する。
【0025】
このとき、前記ガイドレールは、高麗人参畑ユニットを太陽電池パネルにより形成された陰の所に移送させ、前記高麗人参畑ユニットは、連結管及びラックにより太陽電池パネルの後ろの空間で一列または複数層に築き上げて層状に配列される。
【0026】
そして、前記高麗人参畑ユニットの上端には、栄養分を噴射するように複数の穴を持つ液噴射管がさらに設けられることが望ましい。
【0027】
また、前記高麗人参畑ユニットには、温度センサー及び湿度センサーがさらに備えられることが望ましい。
【0028】
そして、前記高麗人参畑ユニットの上部には、曇りの日や雨の日に高麗人参の光合成活性化のために赤色または青色波長の光を照射する複数の赤色または青色LEDがさらに設けられることが望ましい。
【0029】
なお、前記高麗人参畑ユニットの一側には、通風及び温度調節用冷却ファンがさらに設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1実施例による電子ビームを用いる高麗人参裁培用土壌の滅菌方法の概略図である。
【図2】本発明の第1実施例による電子ビームを用いる高麗人参裁培用土壌の滅菌方法の概略図である。
【図3】本発明の第1実施例による滅菌装置の土壌供給機の詳細図である。
【図4】本発明の第1実施例による滅菌装置の微生物供給装置の詳細図である。
【図5】本発明の第2実施例による高麗人参裁培システムを示す概略図である。
【図6】本発明の第2実施例による高麗人参畑組立て体の設置例を示す例示図である。
【図7】本発明の第2実施例による高麗人参畑組立て体の例示的な側面図である。
【図8】本発明の第2実施例による高麗人参畑組立て体の例示的な正面図である。
【図9】本発明の第2実施例による高麗人参畑組立て体の例示的な斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、添付図面を参照して本発明による電子ビームを用いる高麗人参裁培用土壌の滅菌方法及び滅菌装置と、これを用いた高麗人参裁培システムの望ましい実施例をさらに詳細に説明する。
【0032】
[第1実施例]
本発明の第1実施例は、電子ビームを用いる高麗人参裁培用土壌の滅菌方法及び滅菌システムに関する。
【0033】
図1には、本発明による高麗人参裁培用土壌の滅菌方法による工程が概略的に図示されている。
【0034】
図1によれば、本発明高麗人参裁培用土壌滅菌方法は、土壌に存在する有害カビ菌を滅菌するために電子ビームを照射する段階(S20)が必須に含まれる。
【0035】
かかる電子ビームは、タングステンなどの金属フィラメントを加熱する時に放出される熱電子を電位差により加速させる方式を用いて発生させることができる。
【0036】
さらに詳細に説明すれば、タングステンなどの金属フィラメントを加熱すれば、フィラメント中の電子は、原子核の拘束を逸脱できるほど大きい熱運動エネルギーを得て、外部に放出される。物質によって熱電子が飛出す温度が異なり、タングステンなどのアルカリ土類金属は、他の金属に比べて低い温度で熱電子が放出される。このように金属フィラメントの外部に飛出した電子は電位差によりフローが発生でき、このような熱電子のフローを熱電子による電子ビームであるという。
【0037】
このような熱電子放出による熱電子ビームは、放射性原子核がベータ(β)崩壊する時に放出される放射線の一種であるベータ(β)線(陰極線)と区別されるものであって、熱電子は人体に無害である。
【0038】
そして、前記のような熱電子による電子ビーム以外にも、電子ビーム加速器で連続的なフローで放出される高エネルギーの電子ビームを得ることもできる。
【0039】
通例的に、高麗人参の根腐病などを誘発する有害なカビ菌としては、前述したように、Cylindrocarpon destrutans、Fusarium solani、Erwinia carotovora、Pseudomonas fluorescensなどがあり、これらに電子ビームを照射することで、これら有害カビ菌を滅菌できるようになる。
【0040】
本発明による電子ビームによる滅菌は、高エネルギーの電子ビームが土壌中のカビ菌と衝突して土壌中に存在している有害カビ菌を滅菌することであり、このように電子ビームが滅菌作用をするメカニズムは既知のものであるので、その詳細な説明は省略する。
【0041】
また、高麗人参裁培用にさらに良い土壌を作るためには、土壌中に存在する鉄(Fe)とアルミニウム(Al)などの無機物を除去する無機物除去段階(S10)、及び高麗人参の病害を抑制して成長に有効な拮抗微生物を供給する拮抗微生物供給段階(S30)をさらに含むことが望ましい。
【0042】
この時、前記無機物除去段階(S10)は、土壌中にある鉄などの無機物が高麗人参に有害なカビ菌の栄養分になって有害カビを活性化されることによって、高麗人参の病害を引き起こす原因になるので、これを除去することが望ましいところ、これを除去するための過程である。
【0043】
そして、前記拮抗微生物供給段階(S30)は、土壌病原菌の活性を抑制して高麗人参の病害を抑制し、高麗人参の生長に役に立つ拮抗微生物を土壌に供給する過程である。
【0044】
図1に図示された本発明によれば、コンベヤーなどの土壌移送手段を用いて土壌を一定の速度で移送させつつ、無機物除去段階(S10)と、電子ビーム照射段階(S20)及び拮抗微生物供給段階(S30)を順次に行わせることが望ましい。
【0045】
ここで、土壌に含まれている無機物、特に、鉄が含まれた無機物は磁力を用いて除去することが望ましい。
【0046】
さらに、高麗人参の病害の抑制に使われる拮抗微生物としては、前述したように、優占菌、アゼロンなどが望ましく、これら拮抗微生物の菌株として使われる製剤には、おがくず、ぬか、油粕、骨粉、魚粉、麩、ゼオライト、グルコース、CaO、NaCOなどが望ましく、これらを混合添加できる。
【0047】
一方、移動式電子ビーム照射ユニットを用いて直接高麗人参畑に照射する方法が想定できるが、このような方案は、高麗人参畑に既に高麗人参が植えられており、遮陽装置が設けられている状態で、移動式電子ビーム照射ユニットを用いて電子ビームを照射するという自体が事実上不可能であり、高麗人参畑が平坦でもなく規格化していないため、電子ビーム照射ユニットを移動させつつ直接照射するということは、手間に比べて効率があまりにも低いという問題点のため、本発明のように、高麗人参畑で高麗人参裁培を終了した後、土壌を撤去して滅菌処理した後、再び高麗人参畑に撒く方法が非常に効率的であるといえる。
【0048】
このように土壌を一定の速度で移送しつつ高麗人参裁培用土壌を滅菌する方法では、コンベヤーのような移送手段を用いてコンベヤー上に一定の量及び厚さの土壌を搭載した状態で連続的に移送しつつ、移送中の無機物除去、電子ビーム照射及び拮抗微生物供給などのS10〜S30過程を行うことが望ましい。
【0049】
図2には、本発明の第1実施例による電子ビームを用いる高麗人参裁培用土壌滅菌装置が図示されている。
【0050】
図2に図示されたように、本発明による高麗人参裁培用土壌の滅菌装置は、一定速度で移送するメインコンベヤー10と、前記メインコンベヤー10上に一定の量及び厚さで土壌を載せる土壌供給機4と、土壌中の無機物を除去する無機物除去器6、前記メインコンベヤー10により移送される土壌に電子ビーム2を照射して土壌内に存在するカビ菌を滅菌する電子ビーム照射ユニット1と、滅菌された土壌に微生物を供給する拮抗微生物供給機9と、を備えてなる。
【0051】
まず、本発明で使われる土壌は、高麗人参を裁培したことのない初作地の土壌や、または既に高麗人参を裁培した連作地の土壌を撤去して使用できる。
【0052】
この時、既存に高麗人参を栽培した土壌を撤去して使用する場合には、既存の高麗人参裁培の特性上、連作裁培が不可能であった高麗人参畑の土壌を撤去して滅菌した後、再びこの土壌で高麗人参畑の畔を作ることで高麗人参の連作裁培を可能にすることができる。
【0053】
そして、本発明によって滅菌された土壌は、高麗人参を裁培するための土地に、高麗人参の根深さを考慮して約30〜50cm厚さに高麗人参畑の畔を作ることが望ましい。
【0054】
また、本発明による滅菌装置では、一定量の土壌を供給し続けるための土壌移送手段として、メインコンベヤー10を使用する。
【0055】
すなわち、一定の量及び厚さの土壌が土壌供給機4内で、無機物除去器6により鉄、アルミニウムなどの無機質が除去された後、メインコンベヤー10に載せられて移送されつつ、メインコンベヤー10上に設けられている電子ビーム照射ユニット1から照射される電子ビーム2により、土壌中の有害なカビ菌が滅菌され、カビ菌が滅菌された土壌は、拮抗微生物供給機9を経つつ高麗人参の成長に有効な拮抗微生物などが土壌中に添加される。
【0056】
ここで、前記土壌供給機4に土壌を連続的に供給し続けるために、前記土壌供給機4の前端部には図3のように、土壌が満たされうる塩類除去タンク12が備えられ、この塩類除去タンク12の上端には水を噴射できるスプリンクラー14が設けられ、これを通じて噴射された水は、土壌中の塩類を除去した後、排水口13を通じて配水処理されるように構成されうる。
【0057】
それだけでなく、前記過程を経て塩類が除去された土壌は、土壌粉砕器15を通じて一定の量及び大きさに処理され、土壌供給コンベヤー10’を通じて土壌供給機4に移送されるようにすることが望ましい。
【0058】
また、前述したように、本発明では、土壌に電子ビームを照射する前に土壌中に存在している鉄とアルミニウムなどの無機物を除去するために、無機物除去器6が設けられうるが、このような無機物除去器6は、磁力を用いて無機物を吸着除去するように電磁石を用いることが望ましい。
【0059】
この時、電磁石で形成された前記無機物除去器6は、土壌供給機4の両側に設けられることが望ましい。
【0060】
そして、前記土壌供給機4の上部には、土壌にある異物を除去して一定サイズ以下の粒径だけを持つ土壌のみを供給するために、土壌をろ過する金網型のスクリーン5が設けられることが望ましく、その下端には、メインコンベヤー10で一定量の土壌を供給制御するための電動モータ7及び開閉弁8が設けられうる。
【0061】
ここで、前記電動モータ7は機械的なノイズと電気的なノイズとが発生しないBLDCモータ(Brushless DC Motor)を使用することが望ましい。
【0062】
したがって、予め設定されたメインコンベヤー10の移動速度によって前記電動モータ7が開閉弁8の開度を調節して、前記メインコンベヤー10上に一定の量及び厚さの土壌を連続的に積載可能になる。
【0063】
このようにして、前記土壌供給機4を通じて供給された一定の量及び厚さの土壌はメインコンベヤー10に沿って移送され、その過程で図2のような電子ビーム照射ユニット1を通じて滅菌処理される。
【0064】
例えば、前記電子ビーム照射ユニット1としては、タングステンなどの金属フィラメントを加熱し、前記金属フィラメントから放出される熱電子を電位差により加速させる装置が用いられうる。
【0065】
このような熱電子放出による熱電子ビームは、放射性原子核がベータ(β)崩壊する時に放出される放射線の一種であるベータ(β)線(陰極線)と区別されるものであって、熱電子は人体に無害であるが、放射線であるベータ(β)線は放射能による汚染の恐れがある。
【0066】
ただし、熱電子による電子ビームであっても、長時間作業者に露出される場合に危険が発生しうるので、前記電子ビーム照射ユニット1は、安全遮蔽壁3により遮蔽されることが望ましい。もちろん、前記安全遮蔽壁3の下端は、前記メインコンベヤー10と一定間隔をおいて離隔させて、土壌を載せた状態で前記安全遮蔽壁3にかからずに円滑に動くように構成されねばならないということは当然である。
【0067】
さらに、前記安全遮蔽壁3を設ける理由は、電子ビーム2が人体に危害を加える恐れがあるため、これを予め遮断して作業者の安全を確保するためである。
【0068】
したがって、前記電子ビーム照射ユニット1に含まれた電子ビーム加速器から放出された電子ビーム2は、メインコンベヤー10に沿って一定速度で移動する土壌に照射され、これによって土壌中に存在している有害菌は滅菌される。
【0069】
さらに、本発明による電子ビーム照射ユニット1は、約0.4〜10MeVの電子加速器を用いて電子ビーム照射量を最小限10kGy(Kilogray)以上にし、ただし、電子ビーム照射量を大きくすれば電子加速器の容量も増大するので、経済性側面で10〜30kGyに維持させることが望ましい。
【0070】
また、メインコンベヤー10上で移送される土壌の厚さは、前記電子ビーム照射ユニット1の電子ビーム照射量によって変わるが、5cm以下に維持することが望ましい。もし、土壌厚さが5cmより大きい場合には、電子ビームエネルギー量を非常に大きくせねばならないという短所がある。
【0071】
一方、本発明によれば、電子ビーム2によりカビ菌などの滅菌された土壌に高麗人参の成長に有効な拮抗微生物を添加することが望ましいが、このために電子ビーム照射ユニット1の後段に拮抗微生物供給機9が設けられる。
【0072】
前記拮抗微生物供給機9は、図2及び図4に図示されたように、一つ以上の拮抗微生物供給容器16が設けられ、その下端には、容器に一定量の微生物を供給するための電動モータ7’と開閉弁8’とが設けられる。
【0073】
この時、前記電動モータ7’と開閉弁8’とは、前述した土壌供給機4に設けられた電動モータ7及び開閉弁8と同じもので備えられることが望ましい。
【0074】
ここで使われる高麗人参拮抗微生物としては、前述したように、優占菌、アゼロンなどが望ましく、これら拮抗微生物の菌株として使われる製剤としては、おがくず、ぬか、油粕、骨粉、魚粉、麩、ゼオライト、グルコース、CaO、NaCOなどが望ましい。
【0075】
さらに、前記拮抗微生物は、土壌中で抗生作用をするので防除力に優れ、抗酸化作用を強化させ、拮抗効果に優れて各種病原菌に対する抵抗性が強化され、優点復原力に優れて作物の各種疾病発生を強力に抑制させ、日照量が足りなくても光合成を自体供給して発育を促進し、有害な微生物を摂取しながら増殖して発生する分泌物は、乳酸菌などの有効な微生物を増殖させるのに使われる高麗人参の生長に非常に有益な微生物である。
【0076】
そして、前記拮抗微生物供給機9を通じて拮抗微生物が投射された滅菌土壌は、図2に図示されたような土壌移送コンベヤー10”を通じて必要箇所に移動するようになる。
さらに、前述した説明では、本発明による土壌の滅菌方法及び滅菌装置が高麗人参のみに対して適用されると説明されたが、これに限定されずに本発明の技術的思想の範ちゅう内で多様な変更が可能なところ、いわゆる、他の作物、特に根薬用作物と救荒作物及びイチゴまたは唐辛子などの連作被害のある他の作物にも適用できるということはいうまでもない。
【0077】
以下、実験例について説明する。
【0078】
本発明による電子ビーム照射により高麗人参の根腐病を誘発するCylindrocarpon destructans(以下、C.destructansという)が滅菌されるかどうかを確認するために、C.destructansが存在する土壌に電子ビームを照射した後、DNA分析を通じてC.destructansの存否を確認した。
【0079】
この時、電子ビームは、5kGy(kGy:電子ビーム照射量単位(Kilogray))、10kGy、15kGy、20kGy、30kGyなどの照射量に区分して照射し、また土壌の深さに対する変化も観察するために、各電子ビーム照射量に対して土壌厚さを異ならせて対照群に分けて実験し、その結果は表1の通りである。
【0080】
【表1】

【0081】
前記表1のように、10kGy未満の電子ビーム照射ではC.destructansが滅菌されず、10kGy以上の電子ビーム照射では土壌厚さ5cm以下までC.destructansが滅菌されたことが確認できた。またC.destructans滅菌状態は、電子ビームエネルギーが大きいほど、土壌厚さが薄いほど向上するが、土壌厚さより電子ビームエネルギー量にさらに依存することが分かる。
【0082】
一方、電子ビーム照射後に行った重合酵素連鎖反応(Polymerase Chain Reaction;PCR)の結果、高麗人参裁培の初作地だけでなくC.destructansの量が増大した再作地までも、10kGy以上の電子ビーム照射でC.destructansが100%滅菌されることが確認できた。
【0083】
ここで、前記PCRは、特定DNA部位を特異的に反復合成して試験管内で所望のDNA分子を増幅させる方法であって、根腐病を誘発するC.destructansをPCR技法を用いて高麗人参から直接検出した。
【0084】
このような実験結果、高麗人参に根腐病を誘発する主原因であるC.destructansが電子ビームを照射しても、小さな照射量では菌が死なない一方、少なくとも10kGy以上では滅菌されることが確認されたところ、これを通じて電子ビーム照射方式でC.destructansを滅菌させることができるということが立証された。
【0085】
本発明による電子ビーム照射により滅菌された土壌を使用した場合と、そうでない場合との高麗人参成長速度を比較した結果、初作地か再作地かを問わず、滅菌された土壌で育った高麗人参は、滅菌されていない土壌で育った蘭高麗人参に比べて概略1.2倍ほどの旺盛な成長速度を確認した。これにより、本発明の電子ビーム照射による滅菌方式が有効であるということが完全に確認できる。
【0086】
[第2実施例]
第2実施例は、前述した第1実施例過程を通じて滅菌された土壌を用いて高麗人参を効率的に裁培するための高麗人参裁培システムに関する発明である。
【0087】
図5は、本発明による高麗人参裁培システムを示す概略図であり、図6は、本発明による高麗人参畑組立て体の設置例を示す例示図であり、図7は、本発明による高麗人参畑組立て体の例示的な側面図であり、図8は、本発明による高麗人参畑組立て体の例示的な正面図であり、図9は、本発明による高麗人参畑組立て体の例示的な斜視図である。
【0088】
図5及び図6を参照すれば、本発明の第2実施例による高麗人参裁培システムは、前記第1実施例を構成するメインコンベヤー10、電子ビーム照射ユニット1、無機物除去器6、拮抗微生物供給機9、塩類除去タンク12などの構成要素と、このような第1実施例の各種滅菌過程を経た土壌を用いて、太陽電池パネル100の陰の所で高麗人参を裁培するための高麗人参畑組立て体を含む構造とで形成される。
【0089】
このような高麗人参畑組立て体は、メインコンベヤー10に沿って移動しつつ各種滅菌過程を経た土壌が積層されるように、土壌移送コンベヤー10”に沿って移動する所定サイズの高麗人参畑ユニット300と、太陽電池パネル100、前記太陽電池パネル100により生じた陰の所に配列設置されて、前記高麗人参畑ユニット300が載置されるガイドレール200とを備える構造になっている。
【0090】
図6ないし図9に図示されたように、太陽電池パネル100は、これを支持するための柱110、112と、前記柱110、112を互いに連結して堅く結束させる連結台120とを備えているが、太陽電池パネル100が太陽光熱を遮断しつつ生じる陰の所を用いるために、前記柱110、112が設けられた空間上にガイドレール200と高麗人参畑ユニット300とが備えられる。
【0091】
さらに具体的に、本発明による高麗人参畑組立て体は、前記太陽電池パネル100の長手方向に柱110、112の内側に配列設置された一対のガイドレール200を備える。
【0092】
ここで、前記柱110、112の内側という表現は、太陽電池パネル100の長手方向に間隔をおいて配列された柱ではなく、幅方向に配列された柱と柱間の空間を意味する。
【0093】
前記ガイドレール200は、概略‘L’字状に形成されることが望ましく、詳細に図示されていないが、前記柱110、112にボルト締結される方式で組立て及び解体が容易になるように構成されうる。
【0094】
一方、前記ガイドレール200は土壌移送コンベヤー10”に連結され、滅菌された土壌が積層された高麗人参畑ユニット300が土壌移送コンベヤー10”に沿ってガイドレール200に移送された後、再びガイドレール200に沿って太陽電池パネル100の陰の所または任意の高麗人参畑に移送されて載置するように構成されることが望ましい。
【0095】
また、前記ガイドレール200には、高麗人参畑ユニット300が容易に移送されるように一定間隔をおいて複数の輪200が自回転自在に設けられる。
【0096】
前記高麗人参畑ユニット300は、上面の開放された方形ボックス状の部材であって、その内部には高麗人参を裁培できる土壌が充填されるが、このように高麗人参畑ユニット300に充填される土壌は、前述した第1実施例を経つつ滅菌された土壌を表す。
【0097】
さらに、充填された土壌の上部には液供給管310が配管される。すなわち、前記液供給管310は、前記高麗人参畑ユニット300の上部に複数回折り曲げ配列された形態で設けられて、土壌全体にわたって必要な液を噴射できるように設けられる。
【0098】
また、前記液供給管310には微細な穴が複数形成されていて、液供給管310を通じて供給された液が充填された土壌に排出されるように構成される。
【0099】
ここで、前記液供給管310を通じて供給される額は栄養分などになりうる。
【0100】
この場合、栄養分はEC濃度別に0.5、1.0dS/mを調剤した後、毎月2回(1日、16日)ほど供給する。特に、前記栄養分は農村振興庁の養液を基準として設定して用いることが望ましく、養液のPHは、HSOとKOHとを用いて5.0〜6.0に調整することが良い。
【0101】
このような原始養液の組成は、次の表1の通りであり、単位はg/400Lである。
【0102】
【表2】

【0103】
そして、前記高麗人参畑ユニット300の上部枠には、複数の温度センサー320及び湿度センサー330を設けて、高麗人参裁培に最適の温度及び湿度をメンテナンスできるように構成されることが望ましい。
【0104】
これらセンサーは具体的に図示していないが、マイクロプロセッサーなどの制御部(図示せず)と連結されて、各高麗人参畑ユニット300における高麗人参の生育による環境(条件)を管理してデータ化できるように構成されるだけではなく、これをモニタリングできるようにディスプレイをさらに連結設置できる。
【0105】
さらに、前記高麗人参畑ユニット300の上部にはスプリンクラー340を設け、これを通じて高麗人参裁培に必要な水分あるいは病害虫防止用農薬などを散布できるように構成されうる。
【0106】
一方、前記高麗人参畑ユニット300は複数個備えられ、各高麗人参畑ユニット300の間は連結管Cにより連結されるが、前記連結管Cはクイックカップリング状に連結されて、組立てと分解とが短時間に容易に行われるように構成され、特に、前記液供給管310同士を互いに連結することで、液供給の効率性を高めるように構成されることが望ましい。
【0107】
それだけでなく、前記連結台120には、これを横切って少なくとも一つ以上のLED固定台400が設けられる。
【0108】
前記LED固定台400は、その下面に複数のLED410が設けられて、太陽光熱が十分でない時に光合成を活性化させるために活用される。
【0109】
このために、前記LED410は赤色と青色の二種が使われ、土壌、すなわち、裁培される高麗人参に向けて特定波長の光を放出できるように構成される。
【0110】
さらに、冷却ファン500が高麗人参畑ユニット300の一側に設けられて、高麗人参畑ユニット300の温度調節のために使われ、夏の高麗人参畑の生育条件は20〜27℃が適当である。
【0111】
前記LED410は、高麗人参の光合成を手伝うために設けられるものであって、光合成は、空気中にある二酸化炭素が葉を通じて、そして地中の水が植物の根を通じて植物の葉細胞に入っている葉緑体内に吸収され、葉緑体の葉緑素に光エネルギーが吸収されれば、葡萄糖などの炭水化物と酸素、そして水が生成される作用であって、反応式は次の通りである(式1,2)。
【0112】
【数1】

【0113】
【数2】

【0114】
この時、最初または2番目の反応式を見れば、緑色植物の光合成に光エネルギー、すなわち、可視光線範囲のエネルギーが光合成の化学反応を活性化させることが分かる。
【0115】
緑色植物が光合成作用をする時、植物の葉が空気中にある二酸化炭素を吸収する量を観察すれば、可視光線スペクトルの青色と赤色との二つの区間で二酸化炭素吸収量−曲線が最大値を持つ。
【0116】
言い換えれば、緑色植物は、赤色と青色との可視光線で空気中の二酸化炭素(input)を最大限吸収した後、そして、吸収された二酸化炭素量に比例して光合成の結果物(output)として、最大限の葡萄糖と酸素とを作り出す。
【0117】
したがって、青色と赤色とのLEDを個別的にまたは同時に使用して、植物に及ぶ可視光線の照明時間及び照明の強度を調節すれば、すなわち、植物に伝達される青色と赤色との可視光線を任意で調節すれば、植物の光合成の時間及び強度が調節されるため、目的によって開花時期や実の収穫量までも調節できる。
【0118】
本発明では、雲があって日光が足りない時、または梅雨期の雨の日でも高麗人参が光合成を行えるように、セット型の高麗人参畑ユニット300に青色または赤色照明LED410を設け、高麗人参畑ユニットに青色(波長470nm)または赤色(波長650nm)の光を照射することで高麗人参の生育を手伝って生産性を高めるだけでなく、さらに高麗人参のサポニンの含量を高めるようになって、より高品質の高麗人参を生産できるようになる。
【0119】
なお、図4のように柱110、112に電動モータMを設け、ラックとピニオンを組み合わせて柱110、112をアンテナ形態で出し入れ可能に構成することで、太陽電池パネル100の傾斜角を調節できる。
【0120】
このような構成になっている本発明の第2実施例は、次のような作動関係を持つ。
【0121】
前述した第1実施例を経つつ滅菌された土壌が、土壌移送コンベヤー10”上に載置された高麗人参畑ユニット300に充填される。この時、滅菌された土壌が排出されるメインコンベヤー10の速度と、高麗人参畑ユニット300が載置されている土壌移送コンベヤー10”の移動速度とを適切に調節して、滅菌された土壌が高麗人参畑ユニット300に適切な高さに均一に充填されるように構成することが望ましい。
【0122】
このように滅菌された土壌が充填された高麗人参畑ユニット300は、土壌移送コンベヤー10”に連結されたガイドレール200に移送され、太陽電池パネル100の陰の所へ移送されて載置されることで、高麗人参裁培の可能な状態になる。
【0123】
この時、前記高麗人参畑ユニット300は、高麗人参畑ユニットが位置する地形を考慮して連結管とラックとを使用して一列に配列しても、複数を層を重ねて配置してもよいので、組立てと分解とが可能である。
【0124】
この状態で、高麗人参畑ユニット300の温度と湿度とは各センサーにより持続的に検出され、これを制御部が受信して冷却ファン500の駆動を制御することで、高麗人参の生育に最適の温度に常時調節できる。
【0125】
そして、必要な場合、液供給管310を通じて栄養分を供給して高麗人参の発育をさらに良くできる。
【0126】
それだけでなく、スプリンクラー340を通じて水分と農薬などを容易かつ自動的に供給できて、さらに優秀な品質の高麗人参を裁培できるようになって、手間を大幅低減させることができる。
【0127】
また、分解及び組立てが容易で交替使用がやさしく、特別管理の必要なユニットのみを別途分離して管理することもできる。
【0128】
さらに、管理に必要なあらゆるデータを保存して確認することができて、今後裁培技術の技術熟練度をさらに高めることができる資料として活用することもできる。
【0129】
なお、このような構成を植木鉢の形態に小型化すれば、家庭でも容易に高麗人参を裁培できるようにもなりうる。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明による電子ビームを用いる高麗人参裁培用土壌の滅菌方法及び滅菌装置によれば、土壌を電子ビームで照射して高麗人参に有害なカビ菌を滅菌した後、高麗人参裁培用に使用することで、カビ菌により生じる高麗人参の各種病害を予防して高品質の高麗人参を裁培できる効果を得ることができる。
【0131】
また本発明は、高麗人参裁培を終了した後、土壌を再び電子ビームで照射してカビ菌を滅菌した後、再び土地に撒いて使用することで高麗人参の連作を可能にした効果も提供する。
【0132】
それだけでなく、本発明は、土壌中にある有害カビ菌を滅菌すると同時に、高麗人参に有害性のある無機物を除去し、高麗人参の成長に良い拮抗微生物を供給して高麗人参裁培に最適の土壌を提供して、さらに高品質の高麗人参を裁培できるようにした効果も提供する。
【0133】
さらに、本発明は、高麗人参裁培時に連作を可能にして土地の利用効率を極大化させ、連作による農家所得を保全し、持続的な高麗人参裁培団地を育成できる効果も提供する。
【0134】
なお、本発明による土壌の滅菌方法及び滅菌装置は、高麗人参だけでなく付加価値の高い他の薬用作物と救荒作物及びイチゴまたは唐辛子などの連作被害が発生する一般作物の裁培にも応用できる効果も提供する。
【0135】
そして、本発明による高麗人参裁培システムによれば、平地に造成されている既存の太陽電池団地内にある太陽電池パネルと太陽電池パネルとの間の陰の所を高麗人参畑として使用できる。
【0136】
また、高麗人参畑自体をモジュール形態でユニットに作ったため、任意に陰を造成した露地や太陽電池団地内で地形に合わせて一列にまたは層を重ねて、いかなる地形条件でも最適化した高麗人参畑の造成が可能である。
【0137】
また、モジュール型の高麗人参畑ユニットは、温度湿度の測定及び栄養要素の成分分析を通じて各種データの確保が可能であり、このデータを通じて高麗人参の生育をモニタリングでき、その結果をフィードバックさせて機能性の追加された高品質の高麗人参裁培も可能である。
【0138】
さらに、LED照明を使用して長い梅雨期間や曇りの日でも高麗人参が光合成できるように手伝うことで、気候条件に関係なく高麗人参を裁培できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高麗人参裁培用土壌にある根腐病を誘発するカビ菌を滅菌するための高麗人参裁培用土壌の滅菌方法において、
前記高麗人参裁培用土壌を一定の速度及び厚さで移送しつつ、土壌にあるカビ菌が滅菌されるように土壌に電子ビームを照射することを特徴とする電子ビームを用いる高麗人参裁培用土壌の滅菌方法。
【請求項2】
前記電子ビーム照射前に前記高麗人参裁培用土壌を電磁石に通過させて、その中に存在する鉄を含む無機物を先ず除去することを特徴とする請求項1に記載の電子ビームを用いる高麗人参裁培用土壌の滅菌方法。
【請求項3】
前記電子ビーム照射時に前記土壌厚さは5cm以下であることと、その照射量は最小10kGy以上であることとを特徴とする請求項1または2に記載の電子ビームを用いる高麗人参裁培用土壌の滅菌方法。
【請求項4】
前記電子ビーム照射後に前記高麗人参裁培用土壌に拮抗微生物を供給することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子ビームを用いる高麗人参裁培用土壌の滅菌方法。
【請求項5】
前記拮抗微生物は、優占菌、アゼロンから選択されたいずれか1つまたは2つ以上であり、これらの拮抗微生物の菌株として使われる製剤としては、おがくず、ぬか、油粕、骨粉、魚粉、麩、ゼオライト、グルコース、CaO、NaCOのうちいずれか1つまたは2つ以上混合されたことを特徴とする請求項4に記載の電子ビームを用いる高麗人参裁培用土壌の滅菌方法。
【請求項6】
高麗人参裁培用土壌の滅菌システムにおいて、
高麗人参裁培用土壌を粉砕、スクリーニングして一定量ずつ供給する土壌供給機と、
前記土壌供給機を通じて供給された土壌を一定の速度で移送するメインコンベヤーと、
前記メインコンベヤーにより移送される土壌中の有害カビ菌を滅菌するように、電子ビームを照射する電子ビーム照射ユニットと、を備えて構成されたことを特徴とする電子ビームを用いる高麗人参裁培用土壌の滅菌装置。
【請求項7】
前記土壌供給機には、土壌に入っている無機物を除去するための電磁石が設けられたことを特徴とする請求項6に記載の電子ビームを用いる高麗人参裁培用土壌の滅菌装置。
【請求項8】
前記電子ビーム照射ユニットを過ぎるメインコンベヤーの一端には、電子ビーム照射により滅菌された土壌に拮抗微生物を添加する拮抗微生物供給機がさらに設けられたことを特徴とする請求項6または7に記載の電子ビームを用いる高麗人参裁培用土壌の滅菌装置。
【請求項9】
前記土壌供給機の前端には、土壌に含まれている塩類の除去のために、その下端に排水口を持って土壌が満たされる塩類除去タンクと、前記塩類除去タンクの上端に設けられ、かつ土壌に向けて水を噴射するスプリンクラーがさらに設けられたことを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の電子ビームを用いる高麗人参裁培用土壌の滅菌装置。
【請求項10】
高麗人参裁培用土壌を粉砕、スクリーニングして一定量ずつ供給する土壌供給機と、
前記土壌供給機を通じて供給された土壌を一定の速度で移送するメインコンベヤーと、
前記メインコンベヤーにより移送される土壌中の有害カビ菌を滅菌するように電子ビームを照射する電子ビーム照射ユニットと、
メインコンベヤーの終端に設けられる土壌移送コンベヤーと、
土壌移送コンベヤーに沿って移送され、メインコンベヤーから排出される滅菌された土壌が充填されるようにその上部が開放されたボックス状になっている複数の高麗人参畑ユニットと、
滅菌された土壌が充填された高麗人参畑ユニットを土壌移送コンベヤーから移送された後、陰の所に移送させて定着させるガイドレールと、
を備えて構成されたことを特徴とする高麗人参裁培システム。
【請求項11】
前記ガイドレールは、高麗人参畑ユニットを太陽電池パネルにより形成された陰の所に移送させ、
前記高麗人参畑ユニットは、連結管及びラックにより太陽電池パネルの後ろの空間で一列または複数層に築き上げて層状に配列されることを特徴とする請求項10に記載の高麗人参裁培システム。
【請求項12】
前記高麗人参畑ユニットの上端には、栄養分を噴射するように複数の穴を持つ液噴射管がさらに設けられたことを特徴とする請求項10または11に記載の高麗人参裁培システム。
【請求項13】
前記高麗人参畑ユニットには、温度センサー及び湿度センサーがさらに備えられたことを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の高麗人参裁培システム。
【請求項14】
前記高麗人参畑ユニットの上部には、曇りの日と雨の日に高麗人参の光合成活性化のために赤色または青色波長の光を照射する複数の赤色または青色LEDがさらに設けられたことを特徴とする請求項10〜13のいずれかに記載の高麗人参裁培システム。
【請求項15】
前記高麗人参畑ユニットの一側には、通風及び温度調節用冷却ファンがさらに設けられたことを特徴とする請求項10〜14のいずれかに記載の高麗人参裁培システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−147737(P2012−147737A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9908(P2011−9908)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(511018136)ジーバイオミックス コーポレーション リミテッド (1)
【Fターム(参考)】