説明

電子ビーム露光装置、及び電子ビーム露光装置用マスクの検査方法

【課題】装置を大気開放すること無しに、簡便にマスクを検査することができる電子ビーム露光装置、及び電子ビーム露光装置用マスクの検査方法を提供すること。
【解決手段】
ブロックパターン8aの形状に電子ビームEBを整形するブロックマスク8と、複数のブロックパターン8aのうちの一つに電子ビームEBを偏向する偏向器13、14と、ブロックパターン8aを通った電子ビームEBをウエハ26表面に結像させるレンズ系21と、レンズ系21を通った電子ビームEBの電流値を測定する電流計27aと、上記電流値をブロックパターン8aの開口面積で割ることにより電子ビームEBの電流密度を算出し、更に該電流密度が基準値の許容範囲を超えているかどうかを調べ、超えている場合にブロックパターン8aに異常があると判断する制御部30とを有する電子ビーム露光装置による。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ビーム露光装置、及び電子ビーム露光装置用マスクの検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LSI等の半導体装置の製造工程で使用される露光装置には、光学的な露光装置の他に、電子ビーム露光装置がある。なかでも、ブロック電子ビーム露光装置では、繰り返しパターンよりなるブロックパターンがブロックマスクに複数形成されており、所望のブロックパターンに電子ビームを偏向することにより、半導体ウエハ上に繰り返しパターンが1ショットで露光される。このため、ブロック電子ビーム露光装置を用いた露光は、基本パターンの繰り返しを有する半導体装置、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)やFeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)等のメモリの製造に適している。
【0003】
ここで、上記のブロックマスクにパターン欠損や異物があると、ウエハに転写されるパターンに異常が発生してしまう。そこで、通常は、顕微鏡でブロックマスクのパターンを目視で検査し、この検査によってパターンに異常が無いと判断された後に、露光装置にブロックマスクを搭載する。
【0004】
但し、露光装置に搭載する前にパターン異常が無くても、露光装置を使用していくうちに、例えば電子ビームの照射熱によってブロックマスクのパターンが欠損したり、或いはパターンが埋まったりしてしまうことがある。
【0005】
このような露光装置の使用中に発生したパターン異常を目視で発見するには、真空状態にされている露光装置のコラムを大気開放し、露光装置から一旦ブロックマスクを外さなければならない。しかしながら、これでは、コラムを大気開放したり真空に戻したりする操作が必要で、露光装置のスループットが低下し、半導体装置の量産には不向きである。
【0006】
そのため、ブロック電子ビーム露光装置では、装置を大気開放せずにブロックマスクのパターン異常を検出する方法が望まれる。
【0007】
そのような方法として、例えば、ブロックマスクを透過した電子ビームでウエハ上のフォトレジストを露光し、そのフォトレジストを現像してレジストパターンを形成した後、このレジストパターンのSEM(Scanning Electron Microscope)像からブロックパターンに欠損があるかどうかを目視で検査する方法がある。
【0008】
しかしながら、この方法では、一つのブロックマスクに形成されるブロックパターンの数が今後増えた場合に、SEM像を目視で確認する作業にかなりの工数を要することになるため、検査に時間がかかるという問題が発生してしまう。
【0009】
また、これとは別の方法が特許文献1に開示されている。
【0010】
特許文献1の方法では、ブロックマスクのパターンをブランキングアパーチャ板に結像させ、ブランキングアパーチャ板の開口部を通過した電子ビームを検出することにより、パターン異常を検出している。
【0011】
しかし、この方法では、露光時にはウエハ表面に結像する電子ビームをブランキングアパーチャ板に結像させるため、電磁レンズで発生する磁場や電場の強度を露光時と異なる値にする必要があり、手間が掛かるという問題がある。
【特許文献1】特開平5−41348号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、装置を大気開放すること無しに、簡便にマスクを検査することができる電子ビーム露光装置、及び電子ビーム露光装置用マスクの検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一観点によれば、電子ビームを発生させる電子銃と、複数のブロックパターンが形成され、該ブロックパターンの形状に前記電子ビームを整形するマスクと、前記複数のブロックパターンのうちの一つに前記電子ビームを偏向する偏向器と、前記ブロックパターンを通った前記電子ビームをウエハ表面に結像させるレンズ系と、前記レンズ系を通った前記電子ビームの電流値を測定する電流計と、前記電流値を前記ブロックパターンの設計時の開口面積で割ることにより前記電子ビームの電流密度を算出し、更に該電流密度が基準値の許容範囲を超えているかどうかを調べ、越えている場合に前記ブロックパターンに異常があると判断する制御部とを有する電子ビーム露光装置が提供される。
【0014】
また、本発明の別の観点によれば、(a)電子ビーム露光装置用マスクに形成された複数のブロックパターンのうちの一つに電子ビームを偏向するステップと、(b)前記ブロックパターンを通った前記電子ビームの電流量を測定するステップと、(c)前記電流量を前記ブロックパターンの設計時の開口面積で割ることにより、前記ブロックパターンを通った前記電子ビームの電流密度を算出するステップと、(d)前記電流密度が基準値から許容範囲を超えて外れているかどうかを調べ、外れている場合に前記ブロックパターンに異常があると判断するステップとを有する電子ビーム露光装置用マスクの検査方法が提供される。
【0015】
次に、本発明の作用について説明する。
【0016】
電子銃から発生した電子ビームの電流密度は、ブロックマスク上において略一様になっている。しかし、ステップ(c)で算出された電流密度が基準値よりも大きく変動している場合には、ブロックパターンに異常が発生し、ブロックパターンの開口面積が設計時と異なる値になっていると判断できる。
【0017】
そこで、本発明では、ステップ(d)において、検査対象となる一つのブロックパターンを通った電子ビームの電流密度が基準値の許容範囲を超えているかどうかを調べることにより、ブロックパターンの異常の有無を判断する。
【0018】
この方法では、電子ビーム露光装置からブロックマスクを外す必要が無いので、装置を大気開放しなくてよい。よって、ブロックマスクの検査を終えた後に、すぐさま製品用ウエハに対する露光を行うことができ、検査に伴う電子ビーム露光装置のスループットの低下を防止することができる。
【0019】
しかも、検査を行うとき、レンズ系における磁場の強度は、ウエハに描画を行う際と同じでよいので、特許文献1のように電磁レンズの磁場の強度を変える場合と比較して、ブロックマスクの検査に手間が掛からない。
【0020】
更に、SEM像のような人間の視覚に頼った情報を用いず、電流密度というコンピュータ内で演算可能な量を用いて検査を行うので、人間が検査を行う場合と比較して検査に要する労力や時間を著しく削減することができる。
【0021】
なお、ステップ(d)で使用される基準値としては、全てのブロックパターンにおける電流密度の平均値や、電流密度の過去の値を採用し得る。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ブロックパターンを通った電子ビームの電流密度が基準値から許容範囲を超えて外れているかどうかにより、そのブロックパターンに異常があるかどうかを検査するので、検査のときに装置を大気開放する必要が無く、簡単に検査を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
図1は、本実施形態に係る電子ビーム露光装置の構成図である。
【0025】
その電子ビーム露光装置は、ブロックパターンで電子ビームEBを整形し、ウエハ上に繰り返しパターンを1ショットで露光するブロック電子ビーム露光装置であり、図示のようにコンピュータ等の制御部30と電子光学系40とに大別される。
【0026】
電子光学系40は、内部が真空に維持されたコラム39を有し、電子銃1から発生した電子ビームEBの断面形状を矩形に整形するためのスリット4をコラム39内に備える。スリット4を出た電子ビームEBは、第1電磁レンズ5によって集束された後、第1偏向器6を通って第2電磁レンズ7に入る。そして、その第2電磁レンズ7において、電子ビームEBが平行ビーム化される。
【0027】
また、第2電磁レンズ7の後段には第2、第3偏向器13、14が設けられており、これらの偏向器によって、ブロックマスク8の所定のブロックパターン8aに電子ビームEBが偏向させられる。
【0028】
ブロックマスク8には、後述のように、複数のブロックエリアが確定されており、そのブロックエリアの各々に、ラインやホール等の繰り返しパターンよりなるブロックパターンが複数形成される。
【0029】
このブロックマスク8を通過した電子ビームEBは、第4、第5偏向器15、16によって再び光軸Cに振り戻された後、第3電磁レンズ17によって集束される。
【0030】
なお、第3電磁レンズ17の後段には、電子ビームEBの通過を制御するためのブランキング電極18が設けられており、ウエハに電子ビームEBを描画しないときは、電子ビームEBはこのブランキング電極18に吸収される。
【0031】
ブランキング電極18を通過した電子ビームEBは、第4電磁レンズ19によって縮小された後、絞り20に通される。その後、電子ビームEBは、主偏向器23と副偏向器24により偏向させられると共に、第5、第6電磁レンズ21a、21bで構成されるレンズ系21によりウエハ25表面に結像させられる。
【0032】
そのウエハ25は、電流測定部27が設けられたステージ26上に載置される。電流測定部27は、ステージ27のホール26aの内面を覆う金属箔29を有し、金属箔29に照射された電子ビームEBの電流量が電流計27aによって測定される。
【0033】
上記した第1〜第6電磁レンズ5、7、17、21、22における磁界強度や、偏向器6、13〜16、23、24における偏向量、更に電流計27aは、制御部30によって制御される。
【0034】
図2は、上記したブロックマスク8の平面図である。
【0035】
図2に示されるように、ブロックマスク8には複数のブロックエリア8bが画定されており、そのブロックエリア8bの各々に複数(この例では100個)のブロックパターン8aが形成されている。ブロックパターン8aは、ラインやホール等の繰り返しパターンよりなるが、そのパターン形状は特に限定されない。また、そのブロックパターン8aの大きさも限定されないが、本実施形態では例えば300μm×300μmの正方形とする。
【0036】
更に、このブロックマスク8は、シリコンよりなる薄い板から製造されており、その厚さは約20μmである。
【0037】
本実施形態では、同一のブロックエリア8b内で電子ビームEBを偏向する場合にはブロックマスク8を固定したままにする。
【0038】
一方、一つのブロックエリア8bから別のブロックエリア8bに電子ビームEBを偏向する場合には、電子ビームEBが偏向できる領域内に偏向先のブロックエリア8bが収まるようにマスク移動機構28(図1参照)によりブロックマスク8を移動し、その後、電子ビームEBを偏向して目的のブロックパターン8aを選択する。
【0039】
図3は、この露光装置を用いた露光方法を示す模式図である。
【0040】
図3に示されるように、スリット4で矩形に整形された電子ビームEBは、ブロックマスク8の所定のブロックパターン8aに偏向されて、そのブロックパターン8aを構成する繰り返しパターン(図の例ではライン)に整形される。そして、電子ビームEBは、ウエハ25に1ショットで照射され、ウエハ25に繰り返しパターンが露光される。本実施形態では、既述の主偏向器23と副偏向器24によって電子ビームEBを偏向しながら上記の操作を繰り返すことにより、所定の数の繰り返しパターンがウエハ25に1ショットずつ露光されていく。
【0041】
ところで、このようにして露光を行っていくと、電子ビームEBの照射熱により薄いシリコン板よりなるブロックマスク8が溶融し、使用中にブロックパターン8aが欠損したり埋まったりすることがある。
【0042】
このようなブロックパターン8aの異常を検出するために、本実施形態では、次のようにしてブロックマスク8の検査を行う。
【0043】
図4は、本実施形態に係る電子ビーム露光装置用マスクの検査方法を模式的に示す図であり、図5はそのフローチャートである。なお、以下の全てのステップは、制御部40の制御下で行われる。
【0044】
図5の最初のステップS1では、図4に示すように、ブロックマスク8に形成された複数のブロックパターン8aのうちの一つに電子ビームEBを偏向すると共に、偏向器23と副偏向器24により電子ビームEBを偏向し、電子ビームEBが電流測定部27に照射されるようにする。
【0045】
次いで、ステップS2に移行し、ブロックパターン8aを通った電子ビームEBの電流量Iを測定する。この測定は、制御部30の制御の下、電流測定部27に接続された電流計27aにおいて行われる。また、その電流計27aの出力値は、制御部30に設けられた不図示のメモリに格納される。
【0046】
次に、ステップS3に移行して、上記の電流量Iをブロックパターン8aの設計時の開口面積Sで割ることにより、ブロックパターン8aを通った電子ビームEBの電流密度J(=I/S)を算出する。この算出は、制御部30において行われる。また、開口面積Sは、制御部30のメモリ(不図示)に格納されているブロックパターン8aの設計データから取得される。
【0047】
次いで、ステップS4に移行し、ブロックマスク8における全てのブロックパターン8aについて上記の電流密度Jが算出されたかどうかを判断する。
【0048】
ここで、算出されていない(NO)と判断された場合は、ステップS1に移行し、電流密度Jが算出されていないブロックパターン8aに電子ビームEBを偏向した後、ステップS2、S3に従いそのブロックパターン8aの電流密度Jを算出する。
【0049】
一方、ステップS4において、全てのブロックパターン8aについて電流密度Jが算出された(YES)と判断された場合はステップS5に移行する。
【0050】
ここで、電子銃1から発生した電子ビームEBの電流密度は、ブロックマスク8上において略一様になっている。しかし、ステップS3で算出された電流密度Jが基準値よりも大きく変動している場合には、ブロックパターン8aに異常が発生し、ブロックパターンの開口面積が設計時と異なる値になっていると判断できる。
【0051】
そこで、ステップS5では、検査対象となる一つのブロックパターン8aについての電流密度Jが、基準値の許容範囲を超えているかどうかを調べ、超えている(YES)場合にそのブロックパターン8aに異常があると判断する。
【0052】
本ステップで採用し得る基準値としては次の二つがある。
【0053】
(i)電流密度Jの平均値Jmean
平均値Jmeanとは、全てのブロックパターン8aにおける電流密度Jの平均値Jmeanを言い、各ブロックパターン8aの各々の電流密度Jの総和をブロックパターン8aの個数で割って得た値である。
【0054】
(ii)電流密度Jの過去の値Jprev
過去の値Jprevとは、検査対象のブロックパターン8aの過去の電流密度の値であり、例えば検査の前日における値である。
【0055】
本実施形態では、これらJmeanとJprevのいずれか一方を採用する。
【0056】
また、上記の許容範囲としては、基準値の±5%の範囲を採用する。例えば、基準値として平均値Jmeanを採用する場合は、電流密度Jが0.95×Jmean未満又は1.05×Jmeanよりも大きいときに、ブロックパターン8aに異常があると判断する。基準値として過去の値Jprevを採用する場合も同様である。
【0057】
そのステップS5の判断において、ブロックパターン8aに異常がある(YES)と判断された場合は、ステップS6に移行し、異常が発見されたブロックパターン8aと同じパターン形状のブロックパターン8aが別のブロックエリア8bに有るかどうかが判断される。
【0058】
そして、有る(YES)と判断された場合は、ステップS7に移行し、マスク移動機構28によりその別のブロックエリア8bを選択する。その後、上記したステップS1〜S5に従ってそのブロックパターン8aにパターン異常が無いことを確認し、このパターン8aに電子ビームEBを偏向してウエハ25に対して露光を行う。
【0059】
図6は、このように同じパターン形状のブロックパターン8aが二つ設けられたブロックマスク8の一例を示す平面図である。この例では、ハッチングで示す二つの同一のブロックエリア8bがブロックマスク8に画定されており、これらのブロックエリア8bに同じブロックパターン8aが形成されている。
【0060】
これに対し、ステップS6の判断において、同じパターン形状のブロックパターン8aが無い(NO)場合、及びステップS5の判断においてブロックパターン8aに異常が無い(NO)場合は、本実施形態に係るブロックマスクの検査を終了する。
【0061】
以上説明した本実施形態によれば、ステップS5において、検査対象となる一つのブロックパターン8aについての電流密度Jが基準値の許容範囲を超えているかどうかを調べることにより、ブロックパターン8aの異常の有無を判断する。
【0062】
この方法では、電子ビーム露光装置からブロックマスク8を外す必要が無いので、コラム39(図1参照)を大気開放しなくてよい。よって、ブロックマスク8の検査を終えた後に、すぐさま製品用ウエハに対する露光を行うことができ、検査に伴う電子ビーム露光装置のスループットの低下を防止することができる。
【0063】
しかも、検査を行うとき、各電磁レンズ5、7、17、19、21、22における磁場の強度は、ウエハ25に描画を行う際と同じでよいので、特許文献1のように電磁レンズの磁場の強度を変える場合と比較して、ブロックマスク8の検査に手間が掛からない。
【0064】
更に、SEM像のような人間の視覚に頼った情報を用いず、電流密度というコンピュータ内で演算可能な量を用いて検査を行うので、人間が検査を行う場合と比較して、検査に要する労力や時間を著しく削減することができる。
【0065】
以下に、本発明の特徴を付記する。
【0066】
(付記1) 電子ビームを発生させる電子銃と、
複数のブロックパターンが形成され、該ブロックパターンの形状に前記電子ビームを整形するマスクと、
前記複数のブロックパターンのうちの一つに前記電子ビームを偏向する偏向器と、
前記ブロックパターンを通った前記電子ビームをウエハ表面に結像させるレンズ系と、
前記レンズ系を通った前記電子ビームの電流値を測定する電流計と、
前記電流値を前記ブロックパターンの設計時の開口面積で割ることにより前記電子ビームの電流密度を算出し、更に該電流密度が基準値の許容範囲を超えているかどうかを調べ、超えている場合に前記ブロックパターンに異常があると判断する制御部と、
を有することを特徴とする電子ビーム露光装置。
【0067】
(付記2) 前記基準値は、全ての前記ブロックパターンにおける前記電流密度の平均値であることを特徴とする付記1に記載の電子ビーム露光装置。
【0068】
(付記3) 前記基準値は、前記電流密度の過去の値であることを特徴とする付記1に記載の電子ビーム露光装置。
【0069】
(付記4) 前記マスクは、同じパターン形状の前記ブロックパターンを二以上有し、
前記制御部は、一つの前記ブロックパターンに異常が発見された場合に、前記ブロックパターンと同じパターン形状の別の前記ブロックパターンに前記電子ビームを偏向し、前記ウエハに対して露光を行うことを特徴とする付記1に記載の電子ビーム露光装置。
【0070】
(付記5) (a)電子ビーム露光装置用マスクに形成された複数のブロックパターンのうちの一つに電子ビームを偏向するステップと、
(b)前記ブロックパターンを通った前記電子ビームの電流量を測定するステップと、
(c)前記電流量を前記ブロックパターンの設計時の開口面積で割ることにより、前記ブロックパターンを通った前記電子ビームの電流密度を算出するステップと、
(d)前記電流密度が基準値の許容範囲を超えているかどうかを調べ、超えている場合に前記ブロックパターンに異常があると判断するステップと、
を有することを特徴とする電子ビーム露光装置用マスクの検査方法。
【0071】
(付記6) 前記ステップ(d)における前記基準値として、全ての前記ブロックパターンにおける前記電流密度の平均値を採用することを特徴とする付記5に記載の電子ビーム露光装置用マスクの検査方法。
【0072】
(付記7) 前記ステップ(d)における前記基準値として、前記電流密度の過去の値を採用することを特徴とする付記5に記載の電子ビーム露光装置用マスクの検査方法。
【0073】
(付記8) 前記電子ビーム露光装置用マスクに、同じパターン形状の前記ブロックパターンを二以上設け、
前記ステップ(d)において一つのブロックパターンに異常が発見された場合に、該ブロックパターンと同じパターン形状の別の前記ブロックパターンに前記電子ビームを偏向し、ウエハに対して露光を行うことを特徴とする付記5に記載の電子ビーム露光装置用マスクの検査方法。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る電子ビーム露光装置の構成図である。
【図2】図2は、図1の電子ビーム露光装置が備えるブロックマスクの平面図である。
【図3】図3は、図1の電子ビーム露光装置を用いた露光方法を示す模式図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態に係る電子ビーム露光装置用マスクの検査方法を模式的に示す図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態に係る電子ビーム露光装置用マスクの検査方法を示すフローチャートである。
【図6】図6は、本発明の実施の形態において、同じパターン形状のブロックパターンが二つ設けられたブロックマスクの一例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0075】
1…電子銃、4…スリット、5…第1電磁レンズ、6…第1偏向器、7…第2電磁レンズ、8…ブロックマスク、8a…ブロックパターン、8b…ブロックエリア、13〜16…第2〜第5偏向器、17…第3電磁レンズ、18…ブランキング電極、19…第4電磁レンズ、20…絞り、21…レンズ系、21a、21b…第5、第6電磁レンズ、23…主偏向器、24…副偏向器、25…ウエハ、26…ステージ、27…電流測定部、27a…電流計、EB…電子ビーム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ビームを発生させる電子銃と、
複数のブロックパターンが形成され、該ブロックパターンの形状に前記電子ビームを整形するマスクと、
前記複数のブロックパターンのうちの一つに前記電子ビームを偏向する偏向器と、
前記ブロックパターンを通った前記電子ビームをウエハ表面に結像させるレンズ系と、
前記レンズ系を通った前記電子ビームの電流値を測定する電流計と、
前記電流値を前記ブロックパターンの設計時の開口面積で割ることにより前記電子ビームの電流密度を算出し、更に該電流密度が基準値の許容範囲を超えているかどうかを調べ、超えている場合に前記ブロックパターンに異常があると判断する制御部と、
を有することを特徴とする電子ビーム露光装置。
【請求項2】
前記基準値は、全ての前記ブロックパターンにおける前記電流密度の平均値であることを特徴とする請求項1に記載の電子ビーム露光装置。
【請求項3】
前記基準値は、前記電流密度の過去の値であることを特徴とする請求項1に記載の電子ビーム露光装置。
【請求項4】
前記マスクは、同じパターン形状の前記ブロックパターンを二以上有し、
前記制御部は、一つの前記ブロックパターンに異常が発見された場合に、前記ブロックパターンと同じパターン形状の別の前記ブロックパターンに前記電子ビームを偏向し、前記ウエハに対して露光を行うことを特徴とする請求項1に記載の電子ビーム露光装置。
【請求項5】
(a)電子ビーム露光装置用マスクに形成された複数のブロックパターンのうちの一つに電子ビームを偏向するステップと、
(b)前記ブロックパターンを通った前記電子ビームの電流量を測定するステップと、
(c)前記電流量を前記ブロックパターンの設計時の開口面積で割ることにより、前記ブロックパターンを通った前記電子ビームの電流密度を算出するステップと、
(d)前記電流密度が基準値の許容範囲を超えているかどうかを調べ、超えている場合に前記ブロックパターンに異常があると判断するステップと、
を有することを特徴とする電子ビーム露光装置用マスクの検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−317863(P2007−317863A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−145543(P2006−145543)
【出願日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】