説明

電子ペン用帳票、処理装置及びプログラム

【課題】記入エリアと送信エリアを隣接させることで、利用者に記入情報の送信アクションを意識させることなく、誤操作や手間を削減することが可能な電子ペン用帳票を提供する。
【解決手段】処理システム100が使用する電子ペン用帳票3が有する項目は、記入エリア及び送信エリアから構成される。利用者が電子ペン10により項目内の記入エリアに記入をすると、電子ペン10は記入内容に関するストロークデータや座標データを取得する。また、利用者が電子ペン10により項目内の送信エリアに記入をすると、電子ペン10は取得したストロークデータや座標データを記入情報としてサーバ5に送信する。このように、1つの項目内において記入エリアと送信ボックスを隣接させることにより、利用者に送信アクションを意識させることなく、誤操作や手間を削減することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペン用帳票に記入された情報を送信するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、「電子ペン」、「デジタルペン」などと呼ばれるペン型入力デバイスが登場しており(以下、本明細書では「電子ペン」と呼ぶ。)、その代表的なものとしてスウェーデンのAnoto社が開発した「アノトペン(Anoto pen)」が知られている。アノトペンは、所定のドットパターンが印刷された専用紙(以下、「専用ペーパー」と呼ぶ。)とペアで使用される。アノトペンは、通常のインクタイプのペン先部に加えて、専用紙上のドットパターンを読み取るための小型カメラと、データ通信ユニットを搭載している。利用者が専用紙上にアノトペンで文字などを書いたり、専用紙上に図案化されている画像をチェックしたりすると、ペンの移動に伴って小型カメラが専用紙上のドットパターンを検出し、利用者が書き込んだ文字、画像などの記入情報(「ストロークデータ」ともいう)が取得される。この記入情報が、データ通信ユニットによりアノトペンから近くのパーソナルコンピュータや携帯電話などの端末装置に送信される。このアノトペンを利用したシステムは、キーボードに代わる入力デバイスとして利用することが可能であり、上述のパーソナルコンピュータやキーボードの使用に抵抗がある利用者にとっては非常に使いやすい。そのため、現在、各種ビジネス上の書類、申込書、契約書等に記入されたデータをデジタル化する手法として、電子ペンを利用したシステムが普及しつつある(例えば、特許文献1)。
【0003】
上記のようなシステムにおいて、利用者は電子ペンを使用して所定の書類を作成し、記入内容に対応する記入情報を、ネットワークを通じて当該電子ペン近くの端末装置を介して所定のサーバに送信することができる。この場合、所定のサーバなどでは、受信した記入情報に基づいて様々な処理を行うことができる。
【0004】
しかし、従来の専用紙は、電子ペンによって記入される記入エリアと、電子ペンに記憶された記入情報を送信する送信エリアが別々にデザインされていた。つまり、利用者は、記入情報を送信するため、専用紙上において本来記入する必要のない送信エリアにわざわざ記入を行わなければならなかった。そのため、記入エリア及び送信エリアの双方に記入を行うといったルールを利用者に徹底する必要があり、運用者の負荷が大きくなっていた。また、送信エリアへの記入漏れといったトラブルも発生していた。
【0005】
【特許文献1】特開2004−153612号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、記入エリアと送信エリアを隣接させることで、利用者に記入情報の送信アクションを意識させることなく、誤操作や手間を削減することができる電子ペン用帳票を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの観点では、インクペンユニット及び光学的にドットパターンを読み取る読取ユニットを備える電子ペンにより記入される複数の項目から構成される電子ペン用帳票であって、前記項目は、前記項目に記入された記入内容を認識するためのドットパターンが印刷された記入エリアと、前記項目の記入内容に対応する記入情報を送信するためのドットパターンが印刷された送信エリアとから構成される。
【0008】
上記のように構成された電子ペン用帳票によれば、当該電子ペン用帳票が有する項目は、記入エリア及び送信エリアから構成される。記入エリアとは、電子ペンによる記入内容をそのまま情報として取り扱うエリアである。一方、送信エリアとは、機能エレメントであり、利用者が電子ペンでチェックした際に、予め定義されている送信アクションを実行するエリアである。
【0009】
具体的に、利用者が電子ペンのインクペンユニットにより項目内の記入エリアにチェックマーク等を記入すると、電子ペンは電子ペンの移動に伴って帳票上のドットパターンを読み取り、利用者が記入した記入内容、即ちチェックマークに関するストロークデータや座標データを取得する。また、利用者が電子ペンのインクペンユニットにより項目内の送信エリアにチェックマーク等を記入すると、電子ペンは取得したストロークデータや座標データを記入情報として端末装置等に送信する。つまり、このように、1つの項目内において記入エリアと送信エリアを隣接させることにより、利用者に送信アクションを意識させることなく、誤操作や手間を削減することが可能となる。
【0010】
上記電子ペン用帳票の一態様では、前記記入エリアに印刷されたドットパターンは、各帳票を識別する帳票識別情報と、各項目を識別する項目識別情報を有している。換言すると、各記入エリアのドットパターンは全てユニークとなっている。これによれば、複数の項目間で送信エリアに配置されたドットパターンが同一であっても、記入エリアに配置されたドットパターンの位置座標に基づいて、送信先のアプリケーションの処理や送信先のアプリケーション自体を自在に振り分けることが可能となる。
【0011】
本発明の別の観点では、電子ペンにより認識可能なドットパターンが印刷された電子ペン用帳票に記入された情報を処理する処理装置において、前記電子ペン用帳票は、前記電子ペンにより記入される複数の項目を含み、前記項目は、前記項目に記入された記入内容を認識するためのドットパターンが印刷された記入エリアと、前記項目の記入内容に対応する記入情報を送信するためのドットパターンが印刷された送信エリアとから構成されるものであって、前記処理装置は、前記項目を構成する送信エリアに記入が行われた際に、前記電子ペンから、当該項目を構成する記入エリアに記入された記入情報を取得する記入情報取得手段と、前記記入情報に基づいて、所定のデータ処理を行うデータ処理手段と、を備える。
【0012】
上記のように構成された処理装置において、電子ペン用帳票が有する項目は、記入エリア及び送信エリアから構成される。記入エリアとは、電子ペンによる記入内容をそのまま情報として取り扱うエリアである。一方、送信エリアとは、機能エレメントであり、利用者が電子ペンでチェックした際に、予め定義されている送信アクションを実行するエリアである。
【0013】
利用者が電子ペンのインクペンユニットにより項目内の記入エリアにチェックマーク等を記入すると、電子ペンは電子ペンの移動に伴って帳票上のドットパターンを読み取り、利用者が記入した記入内容、即ちチェックマークに関するストロークデータや座標データを取得する。また、利用者が電子ペンのインクペンユニットにより項目内の送信エリアにチェックマーク等を記入すると、電子ペンは取得したストロークデータや座標データを記入情報として処理装置に送信する。処理装置は、電子ペンから取得した記入情報に基づいて、例えばアンケートの集計といったデータ処理を行う。これによれば、1つの項目内において記入エリアと送信エリアを隣接させることにより、利用者に送信アクションを意識させることなく、誤操作や手間を削減することが可能となる。
【0014】
上記処理装置の一態様では、前記記入エリアに印刷されたドットパターンは、各帳票を識別する帳票識別情報と、各項目を識別する項目識別情報を有しており、前記処理装置は、前記帳票識別情報と、前記項目識別情報と、前記項目を構成する記入エリアに印刷されたドットパターン上の位置座標とが対応付けされた情報を座標情報として記憶する座標情報記憶手段と、前記記入情報及び前記座標情報に基づいて前記帳票識別情報を特定する帳票識別情報特定手段と、前記記入情報及び前記座標情報に基づいて前記項目識別情報を特定する項目識別情報特定手段と、をさらに備え、前記データ処理手段は、特定した帳票識別情報及び項目識別情報と、前記記入情報とに基づいて、所定のデータ処理を行う。
【0015】
上記のように構成された処理装置は、予め座標情報を有している。また、記入エリアに印刷されたドットパターンは、各帳票を識別する帳票識別情報と、各項目を識別する項目識別情報を有している。換言すると、各記入エリアのドットパターンは全てユニークとなっている。そのため、処理装置は、記入情報に含まれるドットパターン上の位置座標に基づいて座標情報を参照することにより、利用者が電子ペンを使用してチェックした帳票の帳票識別情報や項目の項目識別情報を特定することができる。そして、処理装置は、特定した帳票識別情報や項目識別情報に基づいて、所定のデータ処理を行うこととなる。これによれば、複数の項目間で送信エリアに配置されたドットパターンが同一であっても、記入エリアに配置されたドットパターンの位置座標に基づいて、送信先のアプリケーションの処理や送信先のアプリケーション自体を自在に振り分けることが可能となる。
【0016】
本発明のさらに別の観点では、電子ペンにより認識可能なドットパターンが印刷された電子ペン用帳票に記入された情報を処理するコンピュータにより実行可能なプログラムにおいて、前記電子ペン用帳票は、前記電子ペンにより記入される複数の項目を含み、前記項目は、前記項目に記入された記入内容を認識するためのドットパターンが印刷された記入エリアと、前記項目の記入内容に対応する記入情報を送信するためのドットパターンが印刷された送信エリアとから構成されるものであって、前記プログラムは、前記項目を構成する送信エリアに記入が行われた際に、前記電子ペンから、当該項目を構成する記入エリアに記入された記入情報を取得する記入情報取得手段、前記記入情報に基づいて、所定のデータ処理を行うデータ処理手段、として前記コンピュータを機能させる。
【0017】
上記プログラムをコンピュータにより実行することにより、上述の処理装置を実現することができる。また、上述の処理装置の各態様も同様に実現することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、記入エリアと送信エリアを隣接させることで、利用者に記入情報の送信アクションを意識させることなく、誤操作や手間を削減することができる電子ペン用帳票を提供することを課題とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。まず、本発明のシステムにおいて入力デバイスとして使用される電子ペンの概要について説明する。
【0020】
[電子ペン]
図1は電子ペンの使用形態を模式的に示す図であり、図2は電子ペンの構造を示す機能ブロック図である。図1に示すように、電子ペン10は、ドットパターンが印刷された専用ペーパー20と組み合わせて使用される。電子ペン10は、通常のインクペンと同様のペン先部17を備えており、利用者は通常のインクペンと同様に専用ペーパー20上に文字などを書くことになる。
【0021】
図2に示すように、電子ペン10は、その内部にプロセッサ11、メモリ12、データ通信ユニット13、バッテリー14、LED15、カメラ16及び圧力センサ18を備える。また、電子ペン10は通常のインクペンと同様の構成要素としてインクカートリッジ(図示せず)などを有する。
【0022】
電子ペン10は、ペン先部17により専用ペーパー20上に描かれたインクの軌跡をデータ化するのではなく、専用ペーパー20上で電子ペン10が移動した軌跡座標をデータ化する。LED15が専用ペーパー20上のペン先部17近傍を照明しつつ、カメラ16が専用ペーパー20に印刷されているドットパターンを読み取り、データ化する。つまり、電子ペン10は専用ペーパー20上で利用者が電子ペン10を移動させることにより生じるストロークを画像データ又はベクトルデータとして取得することができる。
【0023】
圧力センサ18は、利用者が電子ペン10により専用ペーパー上に文字などを書く際にペン先部17に与えられる圧力、即ち筆圧を検出し、プロセッサ11へ供給する。プロセッサ11は、圧力センサ18から与えられる筆圧データに基づいて、LED15及びカメラ16のスイッチオン/オフの切換を行う。即ち、利用者が電子ペン10で専用ペーパー20上に文字などを書くと、ペン先部17には筆圧がかかる。よって、所定値以上の筆圧が検出されたときに、利用者が記述を開始したと判定して、LED15及びカメラ16を作動する。
【0024】
カメラ16は専用ペーパー20上のドットパターンを読み取り、そのパターンデータをプロセッサ11に供給する。プロセッサ11は、供給されたドットパターンから、専用ペーパー20上でのX/Y座標を算出する。
【0025】
プロセッサ11は、利用者の記述が行われる間に、筆圧の配列データ及びX/Y座標データを取得し、タイムスタンプ(時間情報)と関連付けてメモリ12に記憶していく。よって、メモリ12内には利用者の記述内容に対応するデータが時系列で記憶されていく。メモリ12の容量は例えば1Mバイト程度とすることができる。
【0026】
利用者により送信指示がなされるまでは、取得された全てのデータはメモリ12内に保持される。そして、利用者が送信指示を行うと、データ通信ユニット13により、電子ペン10と所定距離内にある端末装置25へメモリ12内のデータが送信される。基本的には、一度送信指示がなされると、電子ペン10はメモリ12内に記憶していた全てのデータを端末装置25へ送信するため、メモリ12内はクリアされる。よって、送信後にもう一度同じ情報を端末装置25へ送信したい場合には、利用者は専用ペーパー20上に再度記述を行う必要がある。なお、この場合、利用者は専用ペーパー20上にインクペンで書かれた文字などをなぞればよいことになる。
【0027】
電子ペン10自体は、送信ボタンなどの機能ボタンを備えておらず、送信指示その他の指示は、利用者が専用ペーパー20上の所定位置に設けられた専用ボックスを電子ペン10でチェックすることにより実行される。専用ボックスの位置座標には、予め送信指示が対応付けられており、プロセッサ11は専用ボックスの位置座標を受信すると、データ通信ユニット13にメモリ12内のデータを供給し、端末装置25への送信を行わせる。なお、電子ペン10は、データの送信完了を電子ペンの振動により示すことができる。
【0028】
バッテリー14は電子ペン10内の各要素に電源供給するためのものであり、例えば電子ペンのキャップ(図示せず)により電子ペン10自体の電源のオン/オフを行うことができる。
【0029】
このように、電子ペン10は利用者が専用ペーパー20上に記述した文字などに対応する座標データ及び筆圧データを取得して近傍の端末装置25へ送信する機能を有するが、電子ペン10のペン先部17は通常のインクペンとなっているため、専用ペーパー20上に記述した内容はオリジナルの原本として残るという特徴がある。即ち、紙の原本に対して記述するのと同時に、その内容を座標データなどの形態でリアルタイムに電子化することができる。
【0030】
なお、電子ペン10の標準機能によれば、電子ペン10により得られるデータは、原則として座標データ又はベクトルデータの形態であり、テキストデータではない。但し、電子ペン10は標準機能として、専用ペーパー20上に設けられた専用エリアに記述することにより、英数字に限りテキスト化する機能は備えている。
【0031】
また、電子ペン10内には、ペン自体及びその所有者に関するプロパティ情報(ペン情報及びペン所有者情報)を保持することができ、アプリケーションから参照することができる。ペン情報としては、バッテリーレベル、ペンID、ペン製造者番号、ペンソフトウェアのバージョン、サブスクリプションプロバイダのIDなどを保持できる。また、ペン所有者情報としては、国籍、言語、タイムゾーン、emailアドレス、空きメモリ容量、名称、住所、ファックス/電話番号、携帯電話番号などを保持することができる。
【0032】
なお、上記の例におけるデータ通信ユニット13では、Bluetooth(登録商標)の無線伝送、USBケーブルを使用した有線伝送、端子などの接触によるデータ伝送など、各種の方法によって電子ペン10から端末装置25へのデータ送信を行うことが考えられる。
【0033】
次に、電子ペンにより利用者が記述した内容のX/Y座標データを取得する方法について説明する。前述のように専用ペーパー20には、所定のドットパターンが印刷されている。電子ペン10のカメラ16は、利用者が専用ペーパー20上に記述したインクの軌跡を読み取るのではなく、専用ペーパー20上のドットパターンを読み取る。実際、図1に示すように、LED15による照明エリア及びカメラ16の撮影エリア(照明エリア内に位置する)は、ペン先部17が専用ペーパー20に接触する位置とはずれている。
【0034】
ドットパターンはカーボンを含む専用インキなどで印刷されており、カメラ16はその専用インキによるパターンのみを認識することができる。専用インキ以外のインキ(カーボンを含まない)により、専用ペーパー上に罫線や枠などを印刷しても、電子ペンはそれらを認識することはない。よって、専用ペーパーを利用して各種申込書などの帳票を作成する際は、専用インキ以外のインキで入力枠や罫線、注意書きなどを印刷する。
【0035】
ドットパターンは、図3に例示するように、各ドットの位置がデータに対応付けされている。図3の例では、ドットの位置を格子の基準位置(縦線及び横線の交差点)から上下左右にシフトすることにより、0〜3の2ビット情報を表示した例である。このようにして表現された情報の組合せにより、専用ペーパー上の位置座標が決定される。図4(a)に例示するように、縦横2mmの範囲内に36個のドットが格子状に配置され、これらのドットにより示されるデータの配列(図4(b))が、その専用ペーパー上の位置座標と対応付けされている。よって、電子ペン10のカメラ16が図4(a)に示すようなドットパターンを撮影すると、プロセッサ11はカメラ16から入力されるドットパターンのデータに基づいて図4(b)に示すデータ配列を取得し、それに対応する専用ペーパー上の位置座標(即ち、そのドットパターンがその専用ペーパー上のどの位置にあるのか)をリアルタイムで算出する。なお、ドットパターンを認識する最小単位は2mm×2mmであり、カメラ16は毎秒100回程度の撮影を行う。
【0036】
次に、専用ペーパーについて説明する。専用ペーパーの構造の一例を図5に示す。図示のように、専用ペーパー20は、台紙30上にドットパターン32が印刷され、その上に罫線などの図案34が印刷されている。台紙30は通常は紙であり、ドットパターン32は前述のようにカーボンを含んだ専用インキにより印刷される。また、通常のインキなどにより図案34が印刷される。ドットパターンと図案とは同時に印刷してもよいし、いずれかを先に印刷してもよい。
【0037】
図案34の例を図6に示す。図6は、ある申込書36の例であり、複数の記入欄38や送信ボックス39が印刷されている。図6には明確に図示されておらず、詳細は後述するが、実際にはドットパターンが申込書36の全面に印刷されており、その上に記入欄38や送信ボックス39が通常のインキにより印刷されている。利用者は、ドットパターンを意識することなく、従来からある申込書と同様に、電子ペン10を使用して必要事項を申込書36の各記入欄38に記入すればよい。
【0038】
専用ペーパー20上のエリアは大きく2種類のエリアに分けることができる。1つは記入エリアであり、電子ペン10による記述内容をそのまま情報として取り扱うエリアである。図6の例では複数の記入欄38がこれに該当する。もう1つは機能エレメントであり、対応するエリア内を電子ペン10でチェックした際に、予めそのエリアに対して定義されているアクション、指示などを実行するようになっている。図6の例における送信ボックス39がこれに該当する。
【0039】
送信ボックス39は前述したように電子ペン10内に記憶されているデータを近傍の端末装置25へ送信するための指示を行う際に使用される。利用者が送信ボックス39内に電子ペン10でチェックを入れると、電子ペン10が送信ボックス内のドットパターンを読み取る。当該パターンは送信指示に対応付けられており、電子ペン10内のプロセッサ11はデータ通信ユニット13にメモリ12内の記憶データの送信命令を発する。
【0040】
ドットパターンの割り当ては、通常、アプリケーション(用紙の種類)毎に行われる。即ち、ある申込書内のドットパターンは1枚の用紙の中で重複することはないが、同一の申込書には全て同じドットパターンが印刷されている。よって、利用者が電子ペン10で必要事項を入力すると、その入力事項がその申込書のどの項目に対するものであるかを、申込書上の座標データから特定することができる。
【0041】
このように、ドットパターンを印刷した専用ペーパー上に所定の図案を印刷することにより、専用ペーパーを利用した各種申込書が作成できる。利用者は電子ペン10を使用して通常の要領で必要事項を記入すれば、その電子データが自動的に取得される。
【0042】
上記の例では、ドットパターンは専用ペーパー上にカーボンを含むインキにより印刷されているが、プリンタ及びカーボンを含むインクを使用してドットパターンを通常の紙上にプリントすることも可能である。さらに、専用ペーパー上の図案も印刷ではなく、プリンタにより形成することも可能である。ドットパターンをプリンタにより紙上に形成する場合には、1枚1枚に異なるドットパターンを形成することが可能である。よって、形成されたドットパターンの違いにより、それらの用紙1枚1枚を識別し、区別することが可能となる。
【0043】
なお、本明細書においては、「印刷」の語は、通常の印刷のみならず、プリンタによるプリントも含む概念とする。
【0044】
次に、電子ペンにより取得したデータの送信処理について図2を参照して説明する。電子ペン10が取得したデータは、主として利用者が入力した事項のデータであるが、通常はそのデータの送信先であるサービスサーバがどこであるかの情報は含まれていない。その代わりに、その専用ペーパーに関するアプリケーションやサービスを特定する情報が専用ペーパー上のドットパターンに含まれており、利用者の入力作業中に専用ペーパーからその情報が取得されている。よって、電子ペン10から記入情報を受け取った端末装置25は、まず、問い合わせサーバ26に対して、その専用ペーパーに対して入力されたデータをどのサービスサーバ27へ送信すべきかの問い合わせを行う。問い合わせサーバ26は、専用ペーパー毎に、対応するサービスサーバの情報を有しており、端末装置25からの問い合わせに応じて、当該専用ペーパーに関するサービスなどを行うサービスサーバ27の情報(URLなど)を端末装置25へ回答する。それから、端末装置25は、電子ペンから取得した記入情報をそのサービスサーバ27へ送信することになる。
【0045】
なお、上記の例では端末装置25、問い合わせサーバ26及びサービスサーバ27が別個に構成されているが、これらの幾つか又は全てを1つの装置として構成することも可能である。本実施形態において後述するサーバは、問い合わせサーバ26及びサービスサーバ27を兼ねていることとしている。また、本実施形態では、記入情報には、ストロークデータ、時間情報及びペンIDが含まれているものとする。
【0046】
[処理システム]
次に、本発明の処理システムについて説明する。図7に処理システム100の概略構成を示す。図7に示す処理システム100は、電子ペン10により項目に記入された情報に基づいて、利用者が選択した項目を特定し、所定の処理を行うシステムである。具体的に、電子ペン用帳票(以下、「帳票」と呼ぶ。)3には、各質問にそれぞれ対応する選択肢が記載された項目が設定されている。利用者は、各質問にそれぞれ対応する選択肢の中から、電子ペン10を使用して、意図する選択肢が記載された項目1つにチェックマーク(丸印やレ点等)を記入するものとする。
【0047】
図7に示すように、処理システム100は、端末装置25及びサーバ5がネットワーク2を通じて接続されることにより構成される。ここで、ネットワーク2の1つの好適な例はインターネットである。また、端末装置25とは、利用者が使用するパーソナルコンピュータ(以下、「PC」と呼ぶ。)や携帯電話といったネットワークを介してデータの授受が可能な端末である。
【0048】
ここで、本システムによるデータ処理方法の概要を述べておく。なお、本実施形態では、利用者は生徒であって、帳票3は所定のアンケート用紙であるものとする。また、帳票3上部には、各帳票を識別する帳票IDが印刷されており、各生徒を識別する情報として帳票IDを利用するものとする。
【0049】
まず、利用者は、電子ペン10を使用して、図8(a)に示すように、帳票3上の各質問(Q1等)に対応する選択肢(YES/NO等)が記載された項目の中から該当するものを選択し、チェックマークを記入する。電子ペン10は、記入された内容に対応する記入情報を取得し、電子ペン10内のメモリに一時的に記憶した後、当該記入情報を端末装置25へ送信する。
【0050】
詳細は後述するが、図8(a)に示す項目は、記入エリア及び送信エリアから構成されている。記入エリアとは、電子ペン10による記述内容をそのまま情報として取り扱うエリアである。一方、送信エリアとは、機能エレメントであり、上述の送信ボックス39と同様に、利用者が電子ペン10でチェックした際に、予め定義されている送信アクションを実行するエリアである。即ち、送信エリア内を電子ペン10でチェックすると、電子ペン10に格納された記入情報がサーバ5へ送信される。このことから、本実施形態において電子ペン10は、各項目にチェックマークを記入する毎にその記入情報を、端末装置25を介してサーバ5へ送信することとなっている。
【0051】
そして、サーバ5は、帳票3に印刷されたドットパターン上の位置座標に基づいて、記入情報から、利用者がチェックマークを記入した項目を特定する。さらに、サーバ5は、特定した項目に基づいて所定の処理を行い、処理結果を端末装置5へ送信する。
【0052】
このように、本発明において項目は、記入エリアと送信エリアが隣接することにより構成されている。よって、利用者に記入情報の送信アクションを意識させることなく、誤操作や手間を削減することができる。
【0053】
従来の帳票3は、図8(b)に示すように、項目のような記入エリアと、送信ボックスのような送信エリアとが別々に設定されていたため、利用者は、帳票3に本来記入する必要のない送信ボックスにわざわざ記入を行うという手間が生じていた。これに伴い、送信ボックスの記入漏れに伴うトラブルや、利用者に対して記入ルールを徹底することによる負荷といった問題が生じていた。
【0054】
また、このような従来の問題を解消するため、送信ボックスとしての送信エリアと記入エリアを兼用する方法が考えられる。この場合、各項目への記入情報について、送信後の処理を振り分けたい場合、一枚の帳票内に複数の送信ボックスを設けることとなる。つまり、各送信エリアがそれぞれ異なる送信ボックスであることを認識させるための仕組みが必要となり、識別が困難であるという問題が生じていた。さらに、異なる送信ボックスを同一帳票上に複数配置した場合、ライセンスに関連して価格が高くなるという問題も生じていた。
【0055】
これに対し、図8(a)に示す本発明のように、項目を隣接する記入エリア及び送信エリアで構成することで、従来の問題を解消することができる。
【0056】
[帳票]
次に、図9及び図10を参照して帳票3について詳しく説明する。図9及び図10は、項目を構成する記入エリア及び送信エリアの構造を模式的に示す図である。
【0057】
本発明のシステムでは、帳票3は、上述した専用ペーパーとして作成されている。即ち、図5に例示するように台紙30上に所定のドットパターン32が印刷されており、その上に所定の文字や項目などが印刷されている。先に述べたように、ドットパターン32は電子ペン10が認識することができるように、カーボンを含んだインキにより印刷されている。一方、文字や項目などの図案34は、通常の(カーボンを含まない)インキにより印刷されているため、電子ペン10がそれを認識することはない。
【0058】
帳票3は、図9に示すようにアンケートの回答用紙であり、複数の質問事項に対応する選択肢(YES/NO)が記載された項目から構成されている。なお、複数の質問事項が記載されたアンケートの質問用紙は別紙として用意されているものとする(図示せず)。ここで、選択肢が記載された項目は、図示のように、記入エリア及び送信エリアから構成されている。つまり、1つの項目内に記入エリアと送信エリアが結合してデザインされている。そのため、利用者が意識することなく1つの項目にチェックマークを記入するだけで、記入エリア及び送信エリアの双方にチェックマークが記入されることとなる。
【0059】
記入エリアとは、電子ペン10による記述内容をそのまま情報として取り扱うエリアである。一方、送信エリアとは、機能エレメントであり、利用者が電子ペン10でチェックした際に、予め定義されている送信アクションを実行するエリアである。このとき、図10に示すように、各記入エリアのドットパターン柄を全てユニークにすることで、送信エリアが同一のドットパターン柄であっても、送信先のアプリケーションによる処理や、送信先のアプリケーション自体を自在に振り分けることが可能となる。つまり、図示のように1枚の帳票上に送信エリアを複数設けた場合、それぞれの記入エリアのドットパターンがオリジナルになるように設計を行うことで、複数ある送信エリアの識別を行う。また、各記入エリアのドットパターンに基づいてアプリケーション側でそれぞれの処理を変更することで、処理内容の変更や送信先の切替を容易に行うことが可能となる。
【0060】
なお、送信エリア内に複数のストロークが存在した場合、記入情報の送信が複数に分割されてトラブルになるため、必ずワンストロークだけが存在するような記入内容とする。具体的な記入内容としては、単純にレ点でチェックを行うことや丸印(○)で選択を行うこと等が挙げられる。本実施形態におけるアプリケーション側であるサーバ5は、同一記入エリアにて続けて2回目以降のストロークが存在した場合、当該2回目以降のストローク、即ち2回目以降に受信した記入情報を無効とする。
【0061】
このように、記入エリアと送信エリアとを隣接させて配置することで、利用者は送信アクションを意識することなくデータ送信を行うことが可能となる。また、項目毎に記入内容に基づいて異なる処理を用意に行うことが可能となる。
【0062】
なお、本実施形態では、図9及び図10に示すように、左側を記入エリア、右側を送信エリアとし、記入エリアが送信エリアより大きくなるようにデザインされている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、項目を構成する記入エリア及び送信エリアのデザインは任意に設定することができる。よって、例えば、中心部分を送信エリア、周囲部分を記入エリアとするようにデザインすることも可能である。
【0063】
[データ処理方法]
次に、図11及び図12を参照してデータ処理方法について詳細に説明する。図11は、質問毎のアンケート結果を集計する処理について説明する図である。一方、図12は、各生徒のアンケート結果を特定する処理について説明する図である。
【0064】
まず、図11を参照して、質問毎のアンケート結果を集計する処理について説明する。具体的に、図11に示す端末装置25は、教師が使用する端末であり、電子ペン10からの記入情報をサーバ5へ送信すると共に、サーバ5から質問毎のアンケート結果を受信する端末である。各生徒は、電子ペン10を使用して帳票3上の該当する項目にチェックマークを記入する。記入エリア及び送信エリアから構成される項目に記入することで、電子ペン10は、当該項目を選択したことを示す記入情報を取得すると同時に、当該記入情報を端末装置25へ送信する。つまり、図示のように、生徒A及び生徒Bがそれぞれ自分の帳票3に回答した質問Q1に対する回答を、端末装置25は記入情報として取得する。
【0065】
サーバ5は、端末装置25から、各生徒の質問Q1に対する回答である記入情報を取得し、集計を行う。具体的に、サーバ5は、記入情報に基づいて、各生徒が選択肢YES又はNOのいずれにチェックマークを記入したかを特定する。さらに、サーバ5は、特定した選択肢に基づいて、図示のように、質問Q1に対するアンケート結果を作成する。そして、サーバ5は、作成したアンケート結果を端末装置25に送信する。教師は、端末装置25に受信したアンケート結果を表示することで、容易に質問Q1のアンケート結果を認識することができる。つまり、各生徒が該当する項目に電子ペン10でチェックをするだけで、リアルタイム且つダイレクトに教師は質問毎のアンケート結果を認識することができる。
【0066】
なお、図11では便宜上、生徒A及び生徒Bがそれぞれ使用する帳票3のみ図示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、生徒A及び生徒Bのみならず大勢の生徒がそれぞれの帳票3に回答を行っていることとしてもよい。つまり、本発明は、大勢の生徒によるアンケート結果であっても、迅速に集計することができる。
【0067】
また、図11では便宜上、1つの端末装置25を図示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、2つ以上の端末装置がサーバ5と接続していることとしてもよい。つまり、本発明は、様々な場所にいる生徒によるアンケート結果であっても、リアルタイムに集計することができる。
【0068】
次に、図12を参照して、各生徒のアンケート結果を特定する処理について説明する。具体的に、図12に示す端末装置25は、教師が使用する端末であり、電子ペン10からの記入情報をサーバ5へ送信すると共に、サーバ5から各生徒のアンケート結果を受信する端末である。各生徒は、電子ペン10を使用して帳票3上の該当する項目にチェックマークを記入する。記入エリア及び送信エリアから構成される項目に記入することで、電子ペン10は、当該項目を選択したことを示す記入情報を取得すると同時に、当該記入情報を端末装置25へ送信する。つまり、質問としてQ1からQ4の4つが設けられている場合、電子ペン10は、端末装置25に4回記入情報を送信することとなる。
【0069】
サーバ5は、端末装置25から、各生徒の各質問に対する回答である記入情報をその都度取得する。ここで、サーバ5は、記入エリアの位置座標と、当該記入エリアが配置された項目の項目ID及び帳票IDとが対応付けされた座標テーブルを予め保有しているものとする。また、サーバ5は、帳票IDと、帳票3を使用する生徒の氏名とが対応付けされた生徒テーブルを予め保有しているものとする。そのため、サーバ5は、記入情報に基づいて座標テーブルを参照することで、電子ペン10による記入が行われた帳票の帳票IDと、チェックされた項目の項目IDとを特定する。さらに、サーバ5は、特定した帳票IDに基づいて生徒テーブルを参照することで、電子ペンによる記入が行われた帳票を使用する生徒の氏名を特定する。サーバ5は、端末装置25を介して電子ペン10から取得する記入情報に基づいて、上述のように生徒氏名及び項目IDを特定することで、図示のように、各生徒のアンケート結果を作成する。そして、サーバ5は、作成したアンケート結果を端末装置25に送信する。教師は、端末装置25に受信したアンケート結果を表示することで、容易に生徒Aのアンケート結果を認識することができる。
【0070】
このように、本発明によれば、生徒が電子ペン10を使用して該当項目にチェックや丸印(○)による回答を行っただけで、ダイレクトに教師が使用する端末装置25にアンケート結果が送信される。よって、教師側でデータ受信用端末を操作し、教師が生徒に質問した事項について生徒がその場で回答するようなシーンで利用することができる。
【0071】
[サーバ]
次に、サーバ5について詳しく説明する。図13は、処理システム100における、特にサーバ5の内部構成を示す。図示のように、サーバ5は、データ処理プログラム101、記入情報取得機能102、座標テーブル103、帳票ID特定機能104、生徒テーブル105、生徒氏名特定機能106、記入項目特定機能107及びデータ処理機能108を有する。なお、各機能は、サーバ5が有するCPUが予め用意されたプログラムを実行することにより実現される。
【0072】
データ処理プログラム101は、端末装置25を介して電子ペン10から取得した記入情報、座標テーブル103及び生徒テーブル105に基づいて、チェックされた項目や生徒氏名を特定することで、所定のデータ処理を行うプログラムである。
【0073】
記入情報取得機能102は、データ処理プログラム101を実行することにより、利用者が電子ペン10を使用して帳票3に記入した記入情報を取得する機能である。
【0074】
ここで、座標テーブル103について、図14(a)を参照して説明する。図14(a)は、座標テーブル103のデータ構造を模式的に示す図である。座標テーブル103は、図示のように、帳票ID、項目ID、項目内容及び座標データから構成されている。帳票IDは、各帳票3を識別する情報である。項目IDは、各帳票を構成する項目を識別する情報である。項目内容は、各項目が「何問目の質問であるか」や、「YES又はNOのいずれに対応するか」等を示す情報である。座標データは、各項目を構成する記入エリアに配置されたドットパターン上の位置座標である。
【0075】
帳票ID特定機能104は、記入情報取得機能102が取得した記入情報に基づいて座標テーブル103を参照することで、電子ペン10によるチェックが行われた帳票3の帳票IDを特定する機能である。
【0076】
ここで、生徒テーブル105について、図14(b)を参照して説明する。図14(b)は、生徒テーブル105のデータ構造を模式的に示す図である。生徒テーブル105は、図示のように、帳票ID及び生徒氏名から構成されている。つまり、生徒テーブル105は、各帳票3と、当該帳票3に電子ペン10を使用して記入を行う生徒とを対応付けて定義したテーブルである。
【0077】
生徒氏名特定機能106は、記入情報取得機能102が取得した記入情報に基づいて生徒テーブル105を参照することで、各帳票3に対応する生徒氏名を特定する機能である。
【0078】
記入項目特定機能107は、記入情報取得機能102が取得した記入情報に基づいて座標テーブル103を参照することで、生徒が電子ペン10を使用して選択した項目、即ちチェックマーク等を記入した項目を特定する機能である。
【0079】
データ処理機能108は、生徒氏名特定機能106が特定した生徒氏名や記入項目特定機能107が特定した記入項目に基づいて、質問毎のアンケート結果や各生徒のアンケート結果等を作成する機能である。また、データ処理機能108は、作成したアンケート結果を端末装置25へ送信する機能である。
【0080】
なお、本実施形態では、データ処理機能108がアンケート結果の集計処理を行うこととしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、任意のデータ処理を行うように設定することができる。
【0081】
[データ処理]
次に、上記の処理システム100により実行されるデータ処理について説明する。図15は、データ処理のフローチャートである。
【0082】
まず、生徒は、帳票3を構成する複数の項目の中から該当する項目を選択し、当該項目に電子ペン10を使用してチェックマークを記入する。具体的には、図8(a)に示すように、各質問事項について、該当する選択肢が記載された項目にチェックマークを記入する。これにより、各項目への記入内容がその都度、端末装置25を介し、記入情報としてサーバ5へ送信される。
【0083】
サーバ5は、電子ペン10から端末装置25を介して記入情報を取得する(ステップS1)。そして、サーバ5は、記入情報に基づいて座標テーブル103を参照することにより、生徒が記入を行った帳票3の帳票IDを特定する(ステップS2)。さらに、サーバ5は、特定した帳票IDに基づいて生徒テーブル105を参照することにより、生徒氏名を特定する(ステップS3)。また、サーバ5は、記入情報に基づいて座標テーブル103を参照することにより、生徒がチェックマークを記入した項目を記入項目として特定する(ステップS4)。
【0084】
サーバ5は、特定した生徒氏名や記入項目に基づいて、アンケート結果の集計といった所定のデータ処理を行う(ステップS5)。そして、サーバ5がデータ処理の結果を処理結果として作成し、端末装置25へ送信することで、データ処理は完了する(ステップS6)。
【0085】
このように、本発明は、選択問題などレ点や丸印(○)といったチェックマークで選択する項目を含む電子ペン用帳票に適用することができる。これによれば、記入エリアと送信エリアを隣接させることで、利用者に送信アクションを意識させることなく、誤操作や手間を削減させることが可能となる。
【0086】
なお、本実施形態では、端末装置25とサーバ5とは別々であって、ネットワーク2を介して接続されたものとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、それぞれの機能を備えた1つの端末装置であることとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明によれば、記入エリアと送信エリアを隣接させることで、利用者に記入情報の送信アクションを意識させることなく、誤操作や手間を削減することが可能な電子ペン用帳票として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】電子ペンの使用形態を模式的に示す図である。
【図2】電子ペンの構造を示す機能ブロック図である。
【図3】専用ペーパーに印刷されたドットパターンによる情報の表現方法を説明する図である。
【図4】ドットパターン及びそれに対応する情報の例である。
【図5】専用ペーパーにより構成される帳票の構造を示す。
【図6】電子ペン用帳票の例を示す。
【図7】処理システムの概略構成を示す。
【図8】帳票の例である。
【図9】項目を構成する記入エリア及び送信エリアの構造を模式的に示す図である。
【図10】項目を構成する記入エリア及び送信エリアの構造を模式的に示す図である。
【図11】質問毎のアンケート結果を集計する処理について説明する図である。
【図12】各生徒のアンケート結果を特定する処理について説明する図である。
【図13】図7に示す処理システムに含まれるサーバの機能ブロック図である。
【図14】座標テーブル及び生徒テーブルのデータ構造を模式的に示す図である。
【図15】データ処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0089】
2…ネットワーク
3…電子ペン用帳票
5…サーバ
10…電子ペン
11…プロセッサ
12…メモリ
13…データ通信ユニット
14…バッテリー
25…端末装置
26…問い合わせサーバ
27…サービスサーバ
100…処理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクペンユニット及び光学的にドットパターンを読み取る読取ユニットを備える電子ペンにより記入される複数の項目から構成される電子ペン用帳票であって、
前記項目は、前記項目に記入された記入内容を認識するためのドットパターンが印刷された記入エリアと、前記項目の記入内容に対応する記入情報を送信するためのドットパターンが印刷された送信エリアとから構成されることを特徴とする電子ペン用帳票。
【請求項2】
前記記入エリアに印刷されたドットパターンは、各帳票を識別する帳票識別情報と、各項目を識別する項目識別情報を有していることを特徴とする請求項1に記載の電子ペン用帳票。
【請求項3】
電子ペンにより認識可能なドットパターンが印刷された電子ペン用帳票に記入された情報を処理する処理装置において、
前記電子ペン用帳票は、前記電子ペンにより記入される複数の項目を含み、
前記項目は、前記項目に記入された記入内容を認識するためのドットパターンが印刷された記入エリアと、前記項目の記入内容に対応する記入情報を送信するためのドットパターンが印刷された送信エリアとから構成されるものであって、
前記処理装置は、
前記項目を構成する送信エリアに記入が行われた際に、前記電子ペンから、当該項目を構成する記入エリアに記入された記入情報を取得する記入情報取得手段と、
前記記入情報に基づいて、所定のデータ処理を行うデータ処理手段と、を備えることを特徴とする処理装置。
【請求項4】
前記記入エリアに印刷されたドットパターンは、各帳票を識別する帳票識別情報と、各項目を識別する項目識別情報を有しており、
前記処理装置は、
前記帳票識別情報と、前記項目識別情報と、前記項目を構成する記入エリアに印刷されたドットパターン上の位置座標とが対応付けされた情報を座標情報として記憶する座標情報記憶手段と、
前記記入情報及び前記座標情報に基づいて前記帳票識別情報を特定する帳票識別情報特定手段と、
前記記入情報及び前記座標情報に基づいて前記項目識別情報を特定する項目識別情報特定手段と、をさらに備え、
前記データ処理手段は、特定した帳票識別情報及び項目識別情報と、前記記入情報とに基づいて、所定のデータ処理を行うことを特徴とする請求項3に記載の処理装置。
【請求項5】
電子ペンにより認識可能なドットパターンが印刷された電子ペン用帳票に記入された情報を処理するコンピュータにより実行可能なプログラムにおいて、
前記電子ペン用帳票は、前記電子ペンにより記入される複数の項目を含み、
前記項目は、前記項目に記入された記入内容を認識するためのドットパターンが印刷された記入エリアと、前記項目の記入内容に対応する記入情報を送信するためのドットパターンが印刷された送信エリアとから構成されるものであって、
前記プログラムは、
前記項目を構成する送信エリアに記入が行われた際に、前記電子ペンから、当該項目を構成する記入エリアに記入された記入情報を取得する記入情報取得手段、
前記記入情報に基づいて、所定のデータ処理を行うデータ処理手段、として前記コンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項6】
前記記入エリアに印刷されたドットパターンは、各帳票を識別する帳票識別情報と、各項目を識別する項目識別情報を有しており、
前記プログラムは、
前記帳票識別情報と、前記項目識別情報と、前記項目を構成する記入エリアに印刷されたドットパターン上の位置座標とが対応付けされた情報を座標情報として記憶する座標情報記憶手段、
前記記入情報及び前記座標情報に基づいて前記帳票識別情報を特定する帳票識別情報特定手段、
前記記入情報及び前記座標情報に基づいて前記項目識別情報を特定する項目識別情報特定手段、としてさらに前記コンピュータを機能させ、
前記データ処理手段は、特定した帳票識別情報及び項目識別情報と、前記記入情報とに基づいて、所定のデータ処理を行うことを特徴とする請求項5に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−188162(P2007−188162A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−3726(P2006−3726)
【出願日】平成18年1月11日(2006.1.11)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】