電子ペン用帳票
【課題】自筆記入面31を顧客控にでき、データ送信ミスがあった場合でも、後から送信指示をできるようにした1枚の用紙からなる電子ペン用帳票を提供する。
【解決手段】契約申込書3は、分離可能な複数の領域から構成され、電子ペン10により認識可能なコード化パターンが印刷されている。複数の領域はそれぞれ、表面への記入内容に対応する記入情報を電子ペン10から端末装置25へ送信する送信処理に対応付けられたコード化パターンが形成された送信ボックス39を備える。よって、1つの領域の送信ボックス39を使用できない場合であっても、他の領域の送信ボックス39を使用して記入情報を送信することが可能となる。
【解決手段】契約申込書3は、分離可能な複数の領域から構成され、電子ペン10により認識可能なコード化パターンが印刷されている。複数の領域はそれぞれ、表面への記入内容に対応する記入情報を電子ペン10から端末装置25へ送信する送信処理に対応付けられたコード化パターンが形成された送信ボックス39を備える。よって、1つの領域の送信ボックス39を使用できない場合であっても、他の領域の送信ボックス39を使用して記入情報を送信することが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペンにより認識可能なコード化パターンが印刷された電子ペン用帳票に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、「電子ペン」、「デジタルペン」などと呼ばれるペン型入力デバイスが登場しており(以下、本明細書では「電子ペン」と呼ぶ。)、その代表的なものとしてスウェーデンのAnoto社が開発した「アノトペン(Anoto pen)」が知られている。アノトペンは、所定のドットパターンが印刷された専用紙(以下、「電子ペン用帳票」とも呼ぶ。)とペアで使用される。アノトペンは、通常のインクタイプのペン先部に加えて、専用紙上のドットパターンを読み取るための小型カメラと、データ通信ユニットを搭載している。利用者が専用紙上にアノトペンで文字などを書いたり、専用紙上に図案化されている画像をチェックしたりすると、ペンの移動に伴って小型カメラが専用紙上のドットパターンを検出し、利用者が書き込んだ文字、画像などに対応する記入情報としてメモリに記憶される。ペンは、送信指示に対応付けられた所定のドットパターンを検出すると、この記入情報を、データ通信ユニットによりアノトペンから近くのパーソナルコンピュータや携帯電話などの端末装置に送信する。このアノトペンを利用したシステムは、キーボードに代わる入力デバイスとして利用することが可能であり、上述のパーソナルコンピュータやキーボードの使用に抵抗がある利用者にとっては非常に使いやすい。そのため、現在、各種ビジネス上の書類、申込書、契約書等に記入されたデータをデジタル化する手法として、電子ペンを利用したシステムが普及しつつある(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、折り畳むと対接する領域に顕色剤層及び発色剤層を設けた1枚の用紙からなる複写帳票が提案されている(例えば特許文献2及び3)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−153612号公報
【特許文献2】特開2000−141887号公報
【特許文献3】特開2005−186409号公報
【特許文献4】特開2004−284170号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
Anoto社の技術に見られるような電子ペン用帳票では、記入情報を端末装置へ送信する送信処理に対応付けられたドットパターンが形成された送信ボックスは、元来ドットパターン1頁に紐付いている。通常、同じ種類の帳票には同じドットパターンを印刷して使用するため、全ての帳票で同じ送信ボックスを相互に利用することができる。しかし、1帳票毎にドットパターンが異なるPOD(プリントオンデマンド)印刷の場合、送信ボックスも1帳票ずつ異なるため、全ての帳票に同じドットパターンを印刷する場合と異なり、他の帳票の送信ボックスで代用することができない。従って、送信ミス等により再度送信処理を行う場合、当該帳票により処理する必要がある。ここで、本出願人は、電子ペン用帳票を上述の複写帳票に適用して、申込書や契約書等として用いる際に、記入内容が複写される複写面を顧客控えとすると、印刷精度等に起因する絵柄ずれが顧客控えに生じ、ドットパターンが印刷された記入面を申込受付後に顧客控えとして渡してしまうと、店舗では送信ボックスを有する帳票が手元にない為、データ送信ミスがあった場合に送信処理のリカバリーが出来ず、記入情報を取得できなくなる、という問題を見い出した。
【0006】
そこで、本発明は、自筆記入面を本人控えにでき、データ送信ミスがあった場合でも後から送信指示をできるようにした電子ペン用帳票を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電子ペン用帳票は、分離可能な複数の領域から構成され、電子ペンにより認識可能なコード化パターンが印刷された電子ペン用帳票であって、前記コード化パターンが印刷された各領域のうち少なくとも2つの領域の表面に、前記コード化パターンの印刷面への記入内容に対応する記入情報を前記電子ペンから端末装置へ送信する送信処理に対応付けられたコード化パターンが形成された送信ボックスを、それぞれ備えることを特徴とする。
【0008】
この電子ペン用帳票によれば、電子ペンを用いて記入した内容に対応する記入情報を端末装置へ送信する送信処理に対応付けられたコード化パターンが形成された送信ボックスを、分離可能な複数の領域に備えるため、電子ペンを用いて記入した後の電子ペン用帳票を複数の領域に分離し、送信ボックスを備えた1つの領域が手元にない場合であっても、他の領域に設けられた送信ボックスを使用して記入情報を送信することが可能となる。
【0009】
上記のような構成において、電子ペン用帳票において、前記2つの領域は第1領域と第2領域とからなり、第1領域と第2領域との境界線をはさんで同一面側に前記コード化パターンが印刷されており、前記境界線で折り畳んで使用され、前記電子ペンによる前記第1領域の表面への記入内容が、前記第2領域の裏面に複写されるように構成されていることを特徴とする。
【0010】
これにより、電子ペン用帳票を複写帳票として使用することができ、電子ペンを用いて記入した記入内容をデジタルデータ化できるのみならず、自筆の記入内容と、その複写とを得ることができる。そして、第1領域と第2領域を分離して、別々に保管した場合であっても、もう一方に備えられた送信ボックスによって記入情報を送信できるため、記入情報の送信忘れや送信エラー等の送信ミスをリカバリーできる。
【0011】
また、上記電子ペン用帳票において、前記第1領域の裏面に設けられた発色剤層と、前記第2領域の裏面に、前記境界線に対して前記発色剤層と線対称の位置に設けられ、前記発色剤層と反応して発色する顕色剤層とを備えると好適である。
【0012】
この構成によれば、電子ペン用帳票を折り畳む前は、積み重ねて保管しても発色剤層と顕色剤層とは接しないため、意図しない発色を防止することができる。そして、電子ペン用帳票を境界線で折り畳み、発色剤層と顕色剤層を対接させることで、感圧複写帳票として使用することが可能となる。即ち、コード化パターンが印刷された第1領域に電子ペンを用いて記入すると、電子ペンはその記入内容に対応した記入情報を取得する。一方、電子ペン用帳票の第1領域の裏面に形成された発色剤層と、発色剤層と対接する顕色剤層とが記入による圧力(筆圧)により反応して発色するため、第1領域への記入内容が第2領域の裏面(顕色剤層)に転写される。
【0013】
また、前記発色剤層及び/又は前記顕色剤層は、剥離可能に設けられていると更に好適である。この電子ペン用帳票によれば、発色剤層及び/又は顕色剤層を剥離後は、電子ペン用帳票の総厚が薄くなるため保管スペースを削減でき、軽くなるため持ち運びが楽になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る電子ペン用帳票によれば、電子ペンを用いた記入内容の複写控えをとることができる。さらに、電子ペンによる記入情報の送信ミスをリカバリーすることができ、電子ペンに未送信の個人情報が残ることを防止することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
<第1実施形態>
[申込受付システム]
図1は、申込書3(電子ペン用帳票20)の使用形態を模式的に示す図であり、図2は、本実施形態の申込受付システム100の概略を示す図である。本実施形態の申込受付システム100は、図1及び図2に示すように、電子ペン10と、申込書3A(3)(電子ペン用帳票20)と、端末装置25と、端末装置25とネットワーク2を通じて接続されるサーバ5とから構成される。ネットワーク2の好適な一例はインターネットである。申込書3A(3)(電子ペン用帳票20)には、ドットパターン(コード化パターン)が印刷されている。電子ペン10は、詳細は後述するが、通常のインクペンと同様のペン先部17を備えており、利用者が通常のインクペンと同様に電子ペン用帳票20上に文字などを書くと、電子ペン10は、ペン先部17の移動軌跡に沿って、電子ペン用帳票20に印刷されたドットパターンを局所的、連続的に読み取り、電子ペン用帳票20におけるその局所位置の座標を算出し、その座標データ等を端末装置25を経由してサーバ5に送信する。電子ペン10は、端末装置25へ確実にデータを送信できるよう、端末装置25の近傍で使用される。サーバ5は、受信した座標データ等に基づいて、記入内容を文字認識したり、電子ペン用帳票20の受付番号に対応付けて記憶したりする等、所定の処理を実行する。以下、各構成について詳細に説明する。
[電子ペン用帳票]
まず、電子ペン用帳票20について説明する。電子ペン用帳票20は、用紙上にドットパターン(コード化パターン)が印刷され、さらにその上に罫線や記入枠などの図案や項目、文言、イラスト等が印刷されたものである。ドットパターンは、赤外線を吸収するカーボンを含んだインキにより印刷される。また、図案等は、赤外域に吸収性を持たないインキにより印刷される。ドットパターンと図案等とは、用紙に対して同時に印刷してもよいし、どちらかを先に別々に印刷してもよい。
【0016】
電子ペン用帳票20上のエリアは大きく2種類のエリアに分けることができる。1つは記入エリアであり、電子ペンによる記述内容をそのまま情報として扱うエリアである。後述する申込書3の例では、ユーザエリア38a〜38c等の送信ボックス39以外のエリアがこれに該当する。もう1つは実行エリアであり、対応するエリア内を電子ペン10でチェックした際に、予めそのエリアに対して定義されるアクション、指示などを電子ペン10に実行させるエリアである。後述する申込書3の例における送信ボックス39がこれに該当する。送信ボックス39は、電子ペン10内に記憶されているデータを近傍の端末装置25を経由してサーバ5へ送信するための指示を行う際に使用される。
[ドットパターン]
続いて、ドットパターン(コード化パターン)について説明する。図3は、電子ペン用帳票20に印刷されるドットパターンのドットとそのドットが変換される値との関係を示している。図3に示すように、ドットパターンの各ドットは、その位置によって所定の値に対応付けられている。すなわち、ドットの位置を格子の基準位置(縦線及び横線の交差点)から上下左右のどの方向にシフトされているかによって、各ドットは、0〜3の値に対応付けられている。また、各ドットの値は、さらに、X座標用の第1ビット値及びY座標用の第2ビット値に変換できる。このようにして対応付けられた情報の組合せにより、電子ペン用帳票20上の位置座標が決定されるよう構成されている。
【0017】
図4(a)は、あるドットパターンの配列を示している。図4(a)に示すように、縦横約2mmの範囲内に6×6個のドットが、電子ペン用帳票上のどの部分から6×6ドットを取ってもユニークなパターンとなるように配置されている。これら36個のドットにより形成されるドットパターンは位置座標(例えば、そのドットパターンがその電子ペン用帳票上のどの位置にあるのか)と電子ペン用帳票20毎に固有の識別情報であるアドレスデータを保持している。図4(b)は、図4(a)に示す各ドットを、格子の基準位置からのシフト方向によって、図3に示す規則性に基づいて対応づけられた値に変換したものである。この変換は、ドットパターンの画像を撮影する電子ペン10によって行われる。
【0018】
[電子ペン]
次に電子ペン10について説明する。図5は、電子ペンの構成を示すブロック図である。図5に示すように、電子ペン10は、その内部にプロセッサ11、メモリ12、データ通信ユニット13、バッテリー14、LED15、カメラ16、圧力センサ18及びクロック22を備える。また、電子ペン10は通常のインクペンと同様の構成要素としてインクカートリッジ(図示せず)などを有する。
【0019】
バッテリー14は電子ペン10内の各部品に電力を供給するためのものであり、例えば電子ペン10のキャップ(図示せず)の脱着により電子ペン10自体の電源のオン/オフを行うよう構成させてもよい。クロック22は、現在時刻(タイムスタンプ)を発信し、プロセッサ11に供給する。圧力センサ18は、利用者が電子ペン10により電子ペン用帳票20上に文字などを書く際にペン先部17に与えられる圧力、即ち筆圧を検出し、プロセッサ11へ供給する。
【0020】
プロセッサ11は、圧力センサ18から与えられる筆圧データに基づいて、LED15及びカメラ16のスイッチオン/オフの切換を行う。即ち、利用者が電子ペン10で電子ペン用帳票20上に文字などを書くと、ペン先部17には筆圧がかかり、圧力センサ18によって所定値以上の筆圧が検出されたときに、プロセッサ11は、利用者が記入を開始したと判定して、LED15及びカメラ16を作動させる。
【0021】
LED15は、電子ペン10のペン先付近に取り付けられており、電子ペン用帳票20上のペン先部17近傍に向けて、赤外線を照明する。その照明領域は、ペン先部17が電子ペン用帳票20に接触する位置とはわずかにずれている。カメラ16は、LED15によって照明された領域内におけるドットパターンを撮影し、そのドットパターンの画像データをプロセッサ11に供給する。ここで、カーボンは赤外線を吸収するため、LED15によって照射された赤外線は、ドットの部分でドットに含まれるカーボンによって吸収される。そのため、ドットの部分は、赤外線の反射量が少なく、ドット以外の部分は赤外線の反射量が多い。したがって、カメラ16の撮影により、赤外線の反射量の違いから、カーボンを含むドットの領域とそれ以外の領域を区別することができる。たとえ撮影領域に罫線や枠などが印刷されてあったとしても、罫線や枠などのインクには、カーボンが含まれていないため、ドットパターンを認識することができる。なお、カメラ16による撮影領域は、図4(a)に示すような約2mm×約2mmの大きさを含む範囲であり、カメラ16の撮影は、毎秒50〜100回程度行われる。
【0022】
プロセッサ11は、利用者による記入が行われる間、カメラ16によって供給される画像データのドットパターンから、利用者が記入するストロークの電子ペン用帳票20上でのX,Y座標(単に「座標データ」とも呼ぶ)を連続的に算出していく。すなわち、プロセッサ11は、カメラ16によって供給される、図4(a)に示されるようなドットパターンの画像データを図4(b)に示すデータ配列に変換し、さらに、X座標ビット値・Y座標ビット値に変換して、そのデータ配列から所定の演算方法によりX,Y座標データを算出するとともに、電子ペン用帳票20に固有のアドレスデータを算出する。そしてプロセッサ11は、現在時刻(タイムスタンプ)を発信するクロック22から時間情報を取得し、その時間情報と、筆圧データ、X,Y座標データ及びアドレスデータとを関連付け、これらの情報を記入情報として取得する。さらに、プロセッサ11は、記入情報に基づいて所定の処理を実行する。ここで、一枚の電子ペン用帳票20内の6×6のドットパターンは、その電子ペン用帳票20内で重複することはないため、利用者が電子ペン10で必要事項を記入すると、その記入内容が電子ペン用帳票20のどのエリアに対応するものであるかを、座標データから特定することができる。
【0023】
メモリ12には、プロセッサ11によって記入情報が時系列で記憶されていく。また、メモリ12には、予め送信指示に対応づけられたドットパターンに関する情報が記憶されている。メモリ12の容量は例えば1Mバイト程度とすることができる。利用者により送信指示がなされるまでは、取得した記入情報(データ)はメモリ12内に保持される。
【0024】
送信指示やその他のアクションは、電子ペン用帳票20上の実行エリアとして設けられた専用ボックスを電子ペン10でチェック(記入)することにより実行される。送信指示を行うための送信ボックス39の位置座標には、予め送信指示が対応付けられており、プロセッサ11は、送信ボックスに対応する記入情報を取得すると、データ通信ユニット13に、メモリ12内のデータを供給し、端末装置25への送信を行わせる。利用者が送信ボックス39にチェックして送信指示を行うと、電子ペン10と所定距離内にある端末装置25へメモリ12内のデータが送信される。電子ペン10は送信指示に含まれるアドレスデータに基づいて、メモリ12内に記憶していた記入情報のうち所定のアドレス単位が共通する記入情報を端末装置25へ送信して、送信済みデータをクリアする。なお、電子ペン10は、データ送信の完了を電子ペン10の振動により示すことができる。また、電子ペン10自体を操作することにより、送信を行わせることとしてもよい。
【0025】
データ通信ユニット13は、近傍にある端末装置25とデータの送受信を行う。データ通信ユニット13による送信は、Bluetooth(登録商標)の無線送信によると好適である。なお、USBケーブルを使用した有線送信、端子などの接触によるデータ送信など、他の方法によって、データ通信ユニット13から端末装置25へデータ送信を行ってもよい。
【0026】
なお、電子ペン10内に、ペン自体又はその所有者に関するプロパティ情報(ペン情報又はペン所有者情報)を保持しておき、端末装置25から参照することができるようにしてもよいし、プロパティ情報の全部又は一部を記入情報と共に端末装置25に送信するようにしてもよい。プロパティ情報を記入情報に関連付けて管理することで、対応する申込書3の記入内容の受付担当者や受付店舗を特定するように構成することもできる。ペン情報としては、バッテリーレベル、ペンID、ペン製造者番号、ペンソフトウェアのバージョン、サブスクリプションプロバイダのIDなどが挙げられる。また、ペン所有者情報としては、国籍、言語、タイムゾーン、emailアドレス、名称、住所、ファックス/電話番号、携帯電話番号などが挙げられる。
[端末装置]
次に、端末装置25について説明する。端末装置25は、ハードウェアとして、電子ペン10及びサーバ5とのデータ通信が可能なアンテナ装置等のデータ通信ユニット、CPU等のプロセッサ、ROMやRAMといったメモリ、スピーカ、ディスプレイ、カメラ等で構成される、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistants)等の携帯端末、或いはPC(Personal Computer)等である。端末装置25は、電子ペン10から受信した記入情報に基づいてサービスサーバ(図示せず)を特定する等の所定の処理を実行する。
【0027】
端末装置25が電子ペン10から取得する記入情報には、その記入情報に対応する記入内容が記入された電子ペン用帳票20に関するアプリケーションやサービスを行うサービスサーバ(図示せず)がどこにあるかの情報は含まれていない。そのため、端末装置25は、記入情報に含まれる電子ペン用帳票20毎に固有のアドレスデータに基づいて、問い合わせサーバ(図示せず)に照会を行うことで、当該電子ペン用帳票20に関するサービスサーバを特定する。詳細には、利用者により送信指示が行われると、電子ペン10はメモリ12内に記憶していた記入情報を端末装置25へ送信する。そして、端末装置25は、受信した記入情報に含まれるアドレスデータに基づいて、問い合わせサーバへ照会する。問い合わせサーバは、電子ペン用帳票20毎に対応するサービスサーバの情報を有しており、端末装置25からの問い合わせに応じて、当該電子ペン用帳票20に関するサービスなどを行うサービスサーバの情報(URLなど)を端末装置25へ回答する。次に、端末装置25は、電子ペンから取得した記入情報をそのサービスサーバへ送信して、所定の処理を実行させる。
【0028】
なお、通常は、端末装置25、問い合わせサーバ(図示せず)及びサービスサーバ(図示せず)を別個に構成しているが、これらの幾つか又は全てを1つの装置として構成してもよい。本実施形態においては、後述するサーバ5は、問い合わせサーバ及びサービスサーバを兼ねていることとする。この場合、端末装置25は、電子ペン10より受信した記入情報をサーバ5へ送信して、所定の処理を実行させることとなる。
[契約申込書]
次に、本実施形態の申込受付システム100に用いる電子ペン用帳票20である契約申込書3A(3)について詳しく説明する。図6は、契約申込書3A(3)を折り畳んだ状態を示す図である。図7(a)は、製造時における契約申込書3A(3)の表面の平面図であり、図7(b)は、その裏面の平面図である。図8は、第1実施形態の契約申込書3AのA−A‘側面図である。
【0029】
契約申込書3Aは、図6に示すように、二つ折りの状態で電子ペン10により利用者が契約申込に必要な所定事項を記入する自筆記入面31を含む第1領域310と、その記入内容が複写される複写面34を含む第2領域320から構成されている。
【0030】
まず、契約申込書3Aの構造について説明する。契約申込書3Aは、図7及び図8に示すように、印刷用基材としての上質紙30と、ノーカーボントップ紙33と、ノーカーボンボトム紙34と、境界線及び易折り畳み線としてのミシン目35等とを備える。
【0031】
上質紙30は、ミシン目35をはさんで同一面側に配置される自筆記入面31及び事後処理面(店舗使用面)32を有する。ノーカーボントップ紙33は、図8(a)及び(b)に示すように、基材33aに、発色剤層33bが塗布されて構成されており、上質紙30の自筆記入面31裏面に、接着剤層40を介して貼り付けられる。ノーカーボンボトム紙34は、図8(a)及び(c)に示すように、基材34aに、顕色剤層34bが塗布されて構成されており、上質紙30の事後処理面32裏面に、接着剤層40を介して貼り付けられる。
【0032】
つまり、上質紙30の同一面(電子ペン10による記入面とは反対の面)に、ノーカーボントップ紙33とノーカーボンボトム紙34とが、発色剤層33bと顕色剤層34bとを表出させるように配置される。換言すると、契約申込書3Aの第1領域310は、自筆記入面31及び発色剤層33b面とを有し、契約申込書3Aの第2領域320は、事後処理面32及び顕色剤層34b面とを有する。
【0033】
ここで、発色剤層33bは、電子供与性の発色剤溶液をマイクロカプセル化したものを、コーター(塗布装置)によって基材33aに塗布して形成される(図8(b)参照)。発色剤としては、スピロ系、フルオラン系、トリアリールメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系等のロイコ染料が挙げられる。顕色剤層34bは、電子受容性の顕色剤を、コーター(塗布装置)によって基材34aに塗布して形成される(図8(c)参照)。
【0034】
また、顕色剤層34bは、ミシン目35に対して略全領域が発色剤層33bと線対称の位置にあり、契約申込書3Aの使用時にミシン目35で折り畳まれることで対接する(図6参照)。そして、利用者による筆記の圧力を受けることによって、その部分の発色剤層33bの発色剤カプセルが壊れて、対接する顕色剤層34bの顕色剤と発色剤とが化学反応を起こして発色するため、筆記内容が、顕色剤層34bに複写される。
【0035】
ノーカーボントップ紙33とノーカーボンボトム紙34との間は、貼り合せ時の蛇行や、保管環境における用紙の伸縮や、折り畳んだ際の境界部の膨らみを考慮して、3mm程度の隙間を設けると好適であり、この隙間に上質紙30の天辺から地辺まで、契約申込書3Aを折り畳み容易にするカット線としてミシン目35を設ける。なお、折り畳みを容易にするカット線は、ミシン目に限らず、ハーフカットでもよい。本実施形態では、電子ペン10による記入後、契約申込書3Aを境界線で切り離して、自筆記入面31を含む第1領域310と複写面(事後処理面32の裏面)を含む第2領域320とに分離できるように、切り取り線を兼ねたミシン目35とする。
【0036】
続いて、契約申込書3Aの各面に印刷する内容について説明する。上質紙30の自筆記入面31及び事後処理面32には、POD(プリントオンデマンド)印刷により、契約申込書3Aの個別情報記入欄となるユーザエリア38a〜38cの枠線や送信ボックス39a及び39bの図案、契約申込書3A毎にそれぞれ異なるドットパターンが印刷される。例えば、保険契約申込書の場合、ユーザエリア38a〜38cはそれぞれ、保険契約者の氏名、生年月日、住所等の個人情報記入欄、保険金受取人の氏名及び続柄記入欄、保険タイプ選択記入欄のように構成することができる。
【0037】
上質紙30の自筆記入面31は、契約申込者(利用者)が電子ペン10を用いて記入する面(筆記面)となる。そのため、自筆記入面31には、契約申込書3Aの各記入欄の枠線、送信ボックス39aの図案及びドットパターンをPOD印刷する。事後処理面32は複写面の裏面となる。そのため、事後処理面32には、契約申込書3A1枚1枚を識別する識別番号、送信ボックス39bの枠線及びドットパターンをPOD印刷する。契約申込書3Aの識別番号は、当該契約申込書3Aに印刷されるドットパターンの位置座標情報と対応付けられた定義情報として、サーバ5のメモリに記憶されているものとする。なお、事後処理面32には、契約申込書3Aの識別番号を印刷する代わりに、申込受付後に追記する事項、例えば申込受付番号、商品発送日、備考欄等の絵柄も合せて印刷するように構成してもよい。
【0038】
電子ペン10により自筆記入面31に記入された内容は、記入情報として電子ペン10のメモリ12に記憶され、利用者が送信ボックス39aをチェックして送信指示を行うと、電子ペン10は、記憶した記入情報を端末装置25へデータ送信する。データ送信前に自筆記入面31を含む第1領域310を切り離してしまって、事後処理面32を含む第2領域320しか手元に残っていない場合でも、事後処理面32に印刷された送信ボックス39bをチェックすれば、電子ペン10に端末装置25へのデータ送信を行わせることができる。ここで、印刷加工精度に起因する筆記面と複写面の絵柄ずれが生じて、複写面に転写される文字等が、複写面に印刷されている記入枠や選択枠等の絵柄とずれる場合があるが、本実施形態の契約申込書3Aによれば、分離後の2つのシート片(第1領域310及び第2領域320)それぞれに送信ボックス39が形成されているため、絵柄ずれのない自筆記入面31を有するシート片を顧客控えとして顧客に持ち帰ってもらうことが可能となる。
【0039】
ノーカーボントップ紙33は、顧客控えとする第1領域310の筆記面(自筆記入面31)の裏面となる。そのため、ノーカーボントップ紙33には、約款、申込注意、商品又はサービス内容を説明する画像等を印刷すると好適である。
【0040】
ノーカーボンボトム紙34は、店舗控え(契約書)とする第2領域320のうち、自筆記入面31への記入内容が複写される面(複写面)となる。そのため、ノーカーボンボトム紙34には、上質紙30の自筆記入面31と略同一の絵柄を印刷する。ノーカーボンボトム紙34には、店舗控えとして追記する事項、例えば受付番号欄や、申込受付者サイン欄や、事務処理確認欄等、自筆筆記面31には印刷しない絵柄も合せて印刷するようにしてもよい。
【0041】
次に、本実施形態による契約申込書3Aの製造方法を説明する。まず、絵柄の印刷と同時に種々の加工、例えば、目止め印刷(浸透防止加工)、接着加工、型抜き、ミシン入れ等ができるフォーム印刷機を使用して、上質紙30、ノーカーボントップ紙33、ノーカーボンボトム紙34それぞれに適宜印刷加工を行う。なお、製造工程上で、罫線や社名の絵柄等の印刷は不要の場合であっても、加工用のトンボ(見当合わせ用のマーク)等は、印刷してもよい。そして、前工程で用意した3種の用紙を、コレータ(丁合機)にて全面を貼り合わせ、所定のサイズや形態に仕上げる。例えば、連続プリンタ用であれば、連続帳票として仕上げればよく、カット紙プリンタ用であれば、カット紙として仕上げればよい。すなわち、3種の用紙は、前工程段階では仕上がりサイズより大きい用紙サイズであって、ロール状の長尺シートの状態で用いられる。本実施形態では、契約申込書3Aは、カット紙として仕上げる。また、上質紙30へのPOD印刷のみ、カット紙に仕上げた後に行う。
【0042】
具体的には、ロール状の上質紙30の裏面(接着剤層40を介してノーカーボン紙と接着される面)に、トンボを印刷する。また、ロール状のノーカーボントップ紙33に、契約申込書3Aの顧客控えとなる絵柄等及びトンボを印刷する。また、ロール状のノーカーボンボトム紙34に、契約申込書3Aの店舗控えとなる絵柄等及びトンボを印刷する。そして、上質紙30の裏面にメジューム等の目止め印刷をしたうえで接着剤層を積層し、更に、ノーカーボントップ紙33及びノーカーボンボトム紙34を積層して接着した後、ミシン加工及びスリット加工を行って、カット紙として仕上げる。これらの印刷及び加工は、フォーム印刷機により一度に処理してもよいし、適宜工程を分けてもよい。カット紙に仕上げた契約申込書3Aの上質紙30表面に、POD印刷により、契約申込書3Aのドットパターン、送信ボックス39a及び39b、絵柄等を印刷する。
【0043】
製造者によって仕上げられた契約申込書3Aは、運送中や保管中に紙の重み等による圧力により発色剤層33bと顕色剤層34bが反応して発色してしまわないように、展開された状態のまま重ねあわされて梱包され、店舗等に納品される。
【0044】
店舗での使用時に、利用者は、契約申込書3Aを図6に示すような二つ折り形態にして、電子ペン10を用いて自筆記入面31に必要事項を記入する。すると、電子ペン10は、記入内容に対応する記入情報をメモリ12に記憶する。利用者が送信ボックス39にチェックして送信指示すると、電子ペン10は記憶した記入情報を端末装置25へデータ送信する。そして利用者は、契約申込書3Aの第1領域310と第2領域320とを分離して、顧客控えと店舗控え(契約書)とする。
[申込書の使用手順]
次に、本実施形態の申込受付システム100による契約申込書3Aの使用手順を説明する。図9は、申込受付処理のフローチャートである。
【0045】
はじめに、店舗の申込窓口業務の担当者(申込受付者)は、契約申込書3Aを図6に示すように上質紙30のPOD印刷面(自筆記入面31及び事後処理面32)が外側となるように折り畳む。折り畳む前に、自筆記入面31(筆記面)の裏面に形成されたノーカーボントップ紙33に印刷された約款等の説明を行うようにしてもよい。そして、顧客は、店舗が用意した電子ペン10を用いて、契約申込書3Aの自筆記入面31の各記入欄38a〜38cに氏名、住所、電話番号、申込内容等の所定事項を記入する(ステップS1)。すると、電子ペン10は、顧客により記入された内容に対応する記入情報をメモリ12に記憶する。次に、申込受付者は、記入漏れがないか確認した後、送信指示のため送信ボックス39aをチェックする。すると、電子ペン10は、自筆記入面31への記入内容に対応してメモリ12に記憶した記入情報を端末装置25へ送信する(ステップS2)。続いて、申込受付者は、ミシン目35により第1領域310を切り離して(図8(d)参照)、顧客控えとして顧客に渡し、持ち帰っていただく。
【0046】
そして、申込受付者は、第1領域310の自筆記入面31への記入内容が転写された複写面(ノンカーボンボトム紙34)を含む第2領域320を店舗控え(契約書)とする。さらに、図10(a)に示すような、日次の受付台帳Mに、契約申込書3Aの識別番号、受付顧客名、申込受付者名、申込時に使用した電子ペン10のペン番号等の所定事項を記録して(ステップS3)、契約書を保管する。申込が複数あれば、ステップS1〜S3を繰り返す。
【0047】
サーバ5は、端末装置25を介して電子ペン10から取得する記入情報に基づいて所定の処理を実行する。例えば、サーバ5は、記入情報に含まれる座標データに基づいて、定義情報を参照することで当該契約申込書3Aの識別番号を特定すると共に、文字認識処理によって契約申込書3Aに記入された内容をテキストデータ化して、その申込情報を申込受付データベースに登録する。この時、サーバ5は、記入情報に含まれる、契約申込書3Aの記入に用いられた電子ペン10のペンIDとを申込情報に対応付けて申込受付データベースに登録する。上述のように、契約申込書3Aには1枚1枚異なるドットパターンが印刷されているため、契約申込書3Aに記入された内容は、契約申込書3A毎、すなわち顧客毎に区別してデータベース化することができる。そして、サーバ5は、申込受付データベースに登録した申込情報を、1日の窓口受付の終了後、図10(b)に示すような、日次の受付リストNとして出力する(ステップS4)。リスト出力項目としては、契約申込書3Aの識別番号、受付顧客名及びペンIDの一覧と、当日受付総件数である。
【0048】
事務処理担当者は、サーバ5から出力された日次の受付リストNと、受付担当者によって記入された日次の受付台帳Mとを照合し(ステップS5)、正しければ、日次の受付処理業務を完了する(ステップS5;M=N)。受付台帳Mに記載漏れがある場合は(ステップS5;M<N)、事務処理担当者は、受付リストNに基づいて、顧客名と使用された電子ペンのペンIDに基づいて、契約申込書3Aの店舗控え(契約書)の有無を確認のうえ、受付台帳Mに追記する(ステップS6)。そして、受付リストNと、追記した受付台帳M(図示せず)とを照合し、正しければ、日次の受付処理業務を完了する(ステップS5;M=N)。受付リストNにデータ漏れがある場合は(ステップS5;M>N)、電子ペン10によるデータ送信忘れ等のミスであるため、電子ペン10にデータが残っていることになる。事務処理担当者は、該当する契約申込書3Aの店舗控え(ノンカーボンボトム紙34)の裏面の事後処理面32に形成された送信ボックス39bを、該当する電子ペン10によりチェックして、電子ペン10のメモリ12に記憶されている記入情報を、端末装置25を介してサーバ5へ送信する(ステップS7)。そして、サーバ5より再び受付リストNを出力し(ステップS4)、再出力した受付リストN(図示せず)と受付台帳Mとを照合し、正しければ、日次の受付処理業務を完了する(ステップS5;M=N)。これにより、日次の受付処理業務を終了する。
【0049】
具体的には、事務処理担当者は、図10に示すような、日次の受付台帳Mと受付リストNとを識別番号に基づいて照合する。そして、受付台帳Mに受付リストNに出力されている識別番号「F006」の受付顧客「日本A男」さんが記載されていない場合、契約申込書3Aの店舗控え(契約書)の有無を確認のうえ、契約書があれば受付台帳Mに追記し、なければ所定の事故処理を行うこととなる。また、受付リストNに受付台帳Mに記載されている識別番号「F003」の受付顧客「山田D子」さんが出力されていない場合、該当する契約申込書3Aの店舗控えの裏面に形成された送信ボックス39bを、該当するペンID「P001」の電子ペン10によりチェックして、記入情報をサーバ5へ送信することとなる。
[本申込受付システムによる作用効果]
このように、契約申込書3Aを使用した申込受付システム100によれば、電子ペン10は契約申込書3Aへの記入内容に対応する記入情報をメモリ12に記憶し、送信ボックス39へのチェックによる送信指示を受けて、記憶した記入情報を端末装置25を介してサーバ5へ送信する。そして、サーバ5は、受信した記入情報に基づいて所定の処理を行って、申込情報をデータベースに登録する。そのため、契約申込書3Aの記入内容をパンチ入力する手間なく、簡単にデジタルデータ化して管理することが可能となる。また、契約申込書3Aへの記入内容は、分離可能な複写面に転写されるため、簡単に控えを作成できる。さらに、分離後の2つのシート片それぞれに送信ボックス39が形成されているため、どちらのシート片を店舗控えとしても、後からデータ送信ミスをリカバリーできる。そのため、絵柄ずれのない自筆記入面を顧客控えとして利用することが可能となる。
【0050】
なお、上記第1実施形態では、事後処理面32に契約申込書3Aの識別番号を印刷しておき、契約申込書3Aの使用手順として、ステップS3で受付台帳Mに当該識別番号を記載することとしたが、事後処理面32に契約申込書3Aの識別番号を印刷する代わりに、受付番号記入欄となるユーザエリアを設けることとしてその枠線を印刷しておき、ステップS3の前に、電子ペン10により受付番号を記入してから送信ボックス39bをチェックし、受付番号に対応する記入情報をサーバ5に送信することとしてもよい。
【0051】
また、上記第1実施形態では、境界線及び易折り畳み線としてのミシン目35を契約申込書3Aの中心に設けて、第1領域310及び第2領域320を同じ大きさとなるように構成したが、境界線は中心に限らず、どちらかの領域を広くしてもよい。例えば、第2領域320を広くして、店舗控えとする契約書面に、店舗記入項目を印刷するとよい。この場合、ノーカーボントップ紙34の顕色剤層34bは、対接するノーカーボントップ紙33と同じ大きさとなるように、基材34aに顕色剤を塗布する。すなわち、第2領域320のノーカーボントップ紙33の顕色剤が塗布されていない領域に、店舗記入項目を印刷することとなる。この店舗記入項目を印刷した領域を、さらに分離可能にしてもよい。
【0052】
また、上記第1実施形態では、受付台帳Mは担当者が通常の帳票に通常の筆記具で記入するように構成したが、受付台帳Mも電子ペン用帳票を用いて、記入情報を電子ペン10からサーバ5に送信してサーバ5にて管理するように構成してもよい。これにより、事務処理担当者によるチェックをサーバ5によるチェックに置き換えて、照合処理を省力化することができる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態と第1実施形態とが同様の部分については同じ符号を付し、適宜説明を省略する。図11は、第2実施形態の契約申込書3B(3)のA−A‘側面図である。第2実施形態と第1実施形態が異なる点は、第1実施形態の契約申込書3Aは、自筆記入面31の裏面に積層されるノーカーボントップ紙33に顧客控えの裏面として約款を印刷するが、第2実施形態の契約申込書3Bは、上質紙30の自筆記入面31の裏面に直接、顧客控え裏面としての所定事項(約款等)を印刷して、図11(a)に示すように、ノーカーボントップ紙33を、自筆記入面31裏面に、接着剤層40及び剥離層41を介して貼り付ける点である。自筆記入面31、事後処理面32及びノーカーボンボトム紙34に印刷する内容は、第1実施形態の契約申込書3Aと同様である。
【0053】
ここで、剥離層41は、シリコンを含有する剥離インキをノーカーボントップ紙33の基材33a側に塗布して形成できる。
【0054】
続いて、第2実施形態の契約申込書3Bの使用手順について説明する。第1実施形態と共通する部分は、図9のフローチャートを適宜参照して説明する。
【0055】
はじめに、店舗の申込受付者は、契約申込書3Bを図11(a)に示すように上質紙30のPOD印刷面(自筆記入面31及び事後処理面32)が外側となるように折り畳む。そして、顧客は、店舗が用意した電子ペン10を用いて、契約申込書3Bの自筆記入面31の個別情報記入欄38a〜38cに氏名、住所、電話番号、申込内容等の所定事項を記入する(ステップS1)。すると、電子ペン10は、顧客により記入された内容に対応する記入情報をメモリ12に記憶する。次に、申込受付者は、記入漏れがないか確認した後、送信ボックス39aをチェックする。すると、電子ペン10は、自筆記入面31への記入内容に対応してメモリ12に記憶した記入情報を端末装置25へ送信する(ステップS2)。続いて、申込受付者は、ミシン目35により第1領域310を切り離し、更にノーカーボントップ紙33を当該シート片から剥がし去ってから、上質紙31(自筆記入面31)を顧客控えとして顧客に渡し、持ち帰っていただく(図11(d)参照)。
【0056】
そして、申込受付者は、第1領域310の自筆記入面31への記入内容が転写された複写面(ノンカーボンボトム紙34)を含む第2領域320を店舗控え(契約書)とする。そして、日次の受付台帳M(図10(a)参照)に、契約申込書3Bの識別番号、受付顧客名、申込受付者名、申込時に使用した電子ペン10のペン番号等の所定事項を記録して(ステップS3)、契約書を保管する。申込が複数あれば、ステップS1〜S3を繰り返す。
【0057】
サーバ5は、端末装置25を介して電子ペン10から取得する記入情報に含まれる座標データに基づいて、定義情報を参照することで当該契約申込書3Aの識別番号を特定すると共に、文字認識処理によって契約申込書3Bに記入された内容をテキストデータ化して、その申込情報を申込受付データベースに登録する。この時、サーバ5は、記入情報に含まれる、契約申込書3Bの記入に用いられた電子ペン10のペンIDを申込情報に対応付けて申込受付データベースに登録する。そして、サーバ5は、申込受付データベースに登録した申込情報を、1日の窓口受付の終了後、日次の受付リストN(図10(b)参照)として出力する(ステップS4)。リスト出力項目としては、契約申込書3Aの識別番号、受付顧客名及びペンIDの一覧と、当日受付総件数である。
【0058】
事務処理担当者は、サーバ5から出力された日次の受付リストNと、受付担当者によって記入された日次の受付台帳Mとを照合し(ステップS5)、正しければ、日次の受付処理業務を完了する(ステップS5;M=N)。受付台帳Mに記載漏れがある場合は(ステップS5;M<N)、事務処理担当者は、受付リストNに基づいて、顧客名と使用された電子ペンのペンIDに基づいて、契約申込書3Bの店舗控えの有無を確認のうえ、受付台帳Mに追記する(ステップS6)。そして、受付リストNと、追記した受付台帳M(図示せず)とを照合し、正しければ、日次の受付処理業務を完了する(ステップS5;M=N)。受付リストNにデータ漏れがある場合は(ステップS5;M>N)、電子ペン10によるデータ送信忘れ等のミスであるため、電子ペン10にデータが残っていることになる。事務処理担当者は、該当する契約申込書3Bの店舗控え(ノンカーボンボトム紙34)の裏面の事後処理面32に形成された送信ボックス39bをチェックして、電子ペン10のメモリ12に記憶されている記入情報を、端末装置25を介してサーバ5へ送信する(ステップS7)。そして、サーバ5より再び受付リストNを出力し(ステップS4)、再出力した受付リストN(図示せず)と受付台帳Mとを照合し、正しければ、日次の受付処理業務を完了する(ステップS5;M=N)。これにより、日次の受付処理業務を終了する。
【0059】
第2実施形態の契約申込書3Bによれば、第1実施形態の作用効果に加えて、顧客控えの厚みが薄くなるため保管スペースを削減でき、軽くなるため持ち運びが楽になる。また、ベタ絵柄を発色剤層33bや顕色剤層34bに印刷すると、複写性が低下してしまうが、ベタ絵柄を上質紙30に移行することにより、その問題を防止できる。また、お客様控えから発色剤層33bがなくなるため、保管中に汚損がされにくい。
【0060】
なお、上記第2実施形態の契約申込書3Bでは、ノーカーボントップ紙33のみを剥離可能に形成したが、ノーカーボントップ紙34を剥離可能に形成することとしてもよく、剥離可能とする面は、契約申込書3Bの用途に合せて適宜選択すればよい。また、事後処理面32の印刷内容や使用方法を、第1実施形態の契約申込書3Aの変更例と同様に変更してもよい。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態と第1実施形態とが同様の部分については同じ符号を付し、適宜説明を省略する。図12は、第3実施形態の契約申込書3C(3)のA−A‘側面図である。第3実施形態と第1実施形態が異なる点は、第1実施形態の契約申込書3Aは、上質紙30の自筆記入面31の裏面にノーカーボントップ紙33を、また事後処理面32の裏面にノーカーボンボトム紙34を、接着剤層40を介して接着するが、第3実施形態の契約申込書3Cでは、事後処理面32の裏面にノーカーボンセルフ紙36を、自筆記入面31の裏面に用紙37を、接着剤層40を介して接着する点である。
【0061】
ノーカーボンセルフ紙36は、図12(a)及び(c)に示すように、基材36aに、自己発色層36bが塗布されて構成されており、上質紙30の事後処理面32裏面に、接着剤層40を介して貼り付けられ、自筆記入面31への記入内容が複写される面(複写面)となる。自己発色剤層36bは、上述のような発色剤マイクロカプセルと顕色剤を含む塗液を、基材36aに塗布して形成される。
【0062】
用紙37は、ノーカーボンセルフ紙36と紙厚が同じフォーム用紙を適宜選択すればよく、上質紙30の自筆記入面31裏面に、接着剤層40を介して貼り付けられる。用紙37は、自筆記入面31への記入内容を複写面に複写するための必須構成ではないが、契約申込書3Cの厚みを均一にすることで、POD印刷の印字適性を保ち、また契約申込書3Cを展開した状態で積み重ねて搬送、保管する際に、ノーカーボンセルフ紙36が接着された事後処理面32の側のみが厚くなって用紙崩れをおこす不具合を防止するための構成である。
【0063】
第1実施形態の契約申込書3Aと同様に、契約申込書3Cの自筆記入面31には、契約申込書3Cの各記入欄の枠線、送信ボックス39aの図案及びドットパターンをPOD印刷する。また、事後処理面32には、送信ボックス39bの枠線及び契約申込書3C毎に異なるドットパターンをPOD印刷する。ノンカーボン用紙36には、契約申込書3Aのノーカーボンボトム紙34と同様に、契約申込書3Cの各記入欄の枠線、店舗控えとして追記する所定事項の図案等を印刷する。用紙37には、契約申込書3Aのノーカーボントップ紙33と同様に、顧客控えの裏面としての約款等を印刷する。使用手順は、第1実施形態と同様である。なお、本題3実施形態の契約申込書3Cを、第2実施形態の契約申込書3Bのように、ノンカーボン用紙36及び/又は用紙37を、上質紙30から剥離可能に形成することとしてもよい。
【0064】
なお、本発明は、上記実施形態に限られない。
【0065】
上記実施形態では、ドットは赤外線を吸収するカーボンを含むインクとし、電子ペン10のLED15を、赤外線を照射するLEDとし、カメラ16によって赤外線の反射量の差によって、電子ペン10でドットパターンを読み取っていたが、これに限らない。例えば、ドットは所定波長の光によって所定波長を発光するインクとし、電子ペン10のLED15を、ドットのインクを発光させる光を照射するものとし、カメラ16によってドットのインクが発光する波長の領域を検知することによって、電子ペン10でドットパターンを読み取るようにしてもよく、カメラ16によってドットパターンが読み取れれば、ドットのインクの種別やLED15の照射光等は上記実施形態で示したものに限られない。また、電子ペン用帳票20における位置座標が特定できるものであれば、ドットパターンの代わりに、別のコード化されたパターン、例えば、2次元コードパターンなどであってもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、図6乃至図8、図11及び図12に示すような契約申込書3を適用しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、適用する電子ペン用帳票20のデザインは任意である。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、自筆記入面を顧客控えにでき、データ送信ミスのリカバリも可能とした電子ペン用帳票であって、割賦契約申込、カード契約申込、保険契約申込の各種商品・サービスの購入申込や予約申込などで使用する各種申込書として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】電子ペンの使用形態を模式的に示す図である。
【図2】本実施形態の申込受付システムの概略を示す図である。
【図3】電子ペン用帳票に印刷されるドットパターンによる情報の表現方法を説明する図である。
【図4】(a)は、ドットパターンを模式的に示し、(b)は、それに対応する情報の例を示す図である。
【図5】電子ペンの構成を示すブロック図である。
【図6】契約申込書を折り畳んだ状態を示す図である。
【図7】(a)は、製造時における契約申込書の表面の平面図であり、(b)は、裏面の平面図である。
【図8】第1実施形態の契約申込書3AのA−A‘側面図である。
【図9】本実施形態の申込受付システムのフローチャートである
【図10】(a)は受付台帳の例であり、(b)は受付リストの例である。
【図11】第2実施形態の契約申込書3BのA−A‘側面図である。
【図12】第3実施形態の契約申込書3CのA−A‘側面図である。
【符号の説明】
【0069】
2…ネットワーク
3…申込書
5…サーバ
10…電子ペン
20…電子ペン用帳票
25…端末装置
30…上質紙
31…自筆記入面
32…事後処理面
33…ノーカーボントップ紙
34…ノーカーボンボトム紙
35…境界線
36…ノーカーボンセルフ紙
37…用紙
38…ユーザエリア
39…送信ボックス
40…接着剤層
41…剥離層
100…情報処理システム
310…第1領域
320…第2領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペンにより認識可能なコード化パターンが印刷された電子ペン用帳票に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、「電子ペン」、「デジタルペン」などと呼ばれるペン型入力デバイスが登場しており(以下、本明細書では「電子ペン」と呼ぶ。)、その代表的なものとしてスウェーデンのAnoto社が開発した「アノトペン(Anoto pen)」が知られている。アノトペンは、所定のドットパターンが印刷された専用紙(以下、「電子ペン用帳票」とも呼ぶ。)とペアで使用される。アノトペンは、通常のインクタイプのペン先部に加えて、専用紙上のドットパターンを読み取るための小型カメラと、データ通信ユニットを搭載している。利用者が専用紙上にアノトペンで文字などを書いたり、専用紙上に図案化されている画像をチェックしたりすると、ペンの移動に伴って小型カメラが専用紙上のドットパターンを検出し、利用者が書き込んだ文字、画像などに対応する記入情報としてメモリに記憶される。ペンは、送信指示に対応付けられた所定のドットパターンを検出すると、この記入情報を、データ通信ユニットによりアノトペンから近くのパーソナルコンピュータや携帯電話などの端末装置に送信する。このアノトペンを利用したシステムは、キーボードに代わる入力デバイスとして利用することが可能であり、上述のパーソナルコンピュータやキーボードの使用に抵抗がある利用者にとっては非常に使いやすい。そのため、現在、各種ビジネス上の書類、申込書、契約書等に記入されたデータをデジタル化する手法として、電子ペンを利用したシステムが普及しつつある(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、折り畳むと対接する領域に顕色剤層及び発色剤層を設けた1枚の用紙からなる複写帳票が提案されている(例えば特許文献2及び3)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−153612号公報
【特許文献2】特開2000−141887号公報
【特許文献3】特開2005−186409号公報
【特許文献4】特開2004−284170号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
Anoto社の技術に見られるような電子ペン用帳票では、記入情報を端末装置へ送信する送信処理に対応付けられたドットパターンが形成された送信ボックスは、元来ドットパターン1頁に紐付いている。通常、同じ種類の帳票には同じドットパターンを印刷して使用するため、全ての帳票で同じ送信ボックスを相互に利用することができる。しかし、1帳票毎にドットパターンが異なるPOD(プリントオンデマンド)印刷の場合、送信ボックスも1帳票ずつ異なるため、全ての帳票に同じドットパターンを印刷する場合と異なり、他の帳票の送信ボックスで代用することができない。従って、送信ミス等により再度送信処理を行う場合、当該帳票により処理する必要がある。ここで、本出願人は、電子ペン用帳票を上述の複写帳票に適用して、申込書や契約書等として用いる際に、記入内容が複写される複写面を顧客控えとすると、印刷精度等に起因する絵柄ずれが顧客控えに生じ、ドットパターンが印刷された記入面を申込受付後に顧客控えとして渡してしまうと、店舗では送信ボックスを有する帳票が手元にない為、データ送信ミスがあった場合に送信処理のリカバリーが出来ず、記入情報を取得できなくなる、という問題を見い出した。
【0006】
そこで、本発明は、自筆記入面を本人控えにでき、データ送信ミスがあった場合でも後から送信指示をできるようにした電子ペン用帳票を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電子ペン用帳票は、分離可能な複数の領域から構成され、電子ペンにより認識可能なコード化パターンが印刷された電子ペン用帳票であって、前記コード化パターンが印刷された各領域のうち少なくとも2つの領域の表面に、前記コード化パターンの印刷面への記入内容に対応する記入情報を前記電子ペンから端末装置へ送信する送信処理に対応付けられたコード化パターンが形成された送信ボックスを、それぞれ備えることを特徴とする。
【0008】
この電子ペン用帳票によれば、電子ペンを用いて記入した内容に対応する記入情報を端末装置へ送信する送信処理に対応付けられたコード化パターンが形成された送信ボックスを、分離可能な複数の領域に備えるため、電子ペンを用いて記入した後の電子ペン用帳票を複数の領域に分離し、送信ボックスを備えた1つの領域が手元にない場合であっても、他の領域に設けられた送信ボックスを使用して記入情報を送信することが可能となる。
【0009】
上記のような構成において、電子ペン用帳票において、前記2つの領域は第1領域と第2領域とからなり、第1領域と第2領域との境界線をはさんで同一面側に前記コード化パターンが印刷されており、前記境界線で折り畳んで使用され、前記電子ペンによる前記第1領域の表面への記入内容が、前記第2領域の裏面に複写されるように構成されていることを特徴とする。
【0010】
これにより、電子ペン用帳票を複写帳票として使用することができ、電子ペンを用いて記入した記入内容をデジタルデータ化できるのみならず、自筆の記入内容と、その複写とを得ることができる。そして、第1領域と第2領域を分離して、別々に保管した場合であっても、もう一方に備えられた送信ボックスによって記入情報を送信できるため、記入情報の送信忘れや送信エラー等の送信ミスをリカバリーできる。
【0011】
また、上記電子ペン用帳票において、前記第1領域の裏面に設けられた発色剤層と、前記第2領域の裏面に、前記境界線に対して前記発色剤層と線対称の位置に設けられ、前記発色剤層と反応して発色する顕色剤層とを備えると好適である。
【0012】
この構成によれば、電子ペン用帳票を折り畳む前は、積み重ねて保管しても発色剤層と顕色剤層とは接しないため、意図しない発色を防止することができる。そして、電子ペン用帳票を境界線で折り畳み、発色剤層と顕色剤層を対接させることで、感圧複写帳票として使用することが可能となる。即ち、コード化パターンが印刷された第1領域に電子ペンを用いて記入すると、電子ペンはその記入内容に対応した記入情報を取得する。一方、電子ペン用帳票の第1領域の裏面に形成された発色剤層と、発色剤層と対接する顕色剤層とが記入による圧力(筆圧)により反応して発色するため、第1領域への記入内容が第2領域の裏面(顕色剤層)に転写される。
【0013】
また、前記発色剤層及び/又は前記顕色剤層は、剥離可能に設けられていると更に好適である。この電子ペン用帳票によれば、発色剤層及び/又は顕色剤層を剥離後は、電子ペン用帳票の総厚が薄くなるため保管スペースを削減でき、軽くなるため持ち運びが楽になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る電子ペン用帳票によれば、電子ペンを用いた記入内容の複写控えをとることができる。さらに、電子ペンによる記入情報の送信ミスをリカバリーすることができ、電子ペンに未送信の個人情報が残ることを防止することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
<第1実施形態>
[申込受付システム]
図1は、申込書3(電子ペン用帳票20)の使用形態を模式的に示す図であり、図2は、本実施形態の申込受付システム100の概略を示す図である。本実施形態の申込受付システム100は、図1及び図2に示すように、電子ペン10と、申込書3A(3)(電子ペン用帳票20)と、端末装置25と、端末装置25とネットワーク2を通じて接続されるサーバ5とから構成される。ネットワーク2の好適な一例はインターネットである。申込書3A(3)(電子ペン用帳票20)には、ドットパターン(コード化パターン)が印刷されている。電子ペン10は、詳細は後述するが、通常のインクペンと同様のペン先部17を備えており、利用者が通常のインクペンと同様に電子ペン用帳票20上に文字などを書くと、電子ペン10は、ペン先部17の移動軌跡に沿って、電子ペン用帳票20に印刷されたドットパターンを局所的、連続的に読み取り、電子ペン用帳票20におけるその局所位置の座標を算出し、その座標データ等を端末装置25を経由してサーバ5に送信する。電子ペン10は、端末装置25へ確実にデータを送信できるよう、端末装置25の近傍で使用される。サーバ5は、受信した座標データ等に基づいて、記入内容を文字認識したり、電子ペン用帳票20の受付番号に対応付けて記憶したりする等、所定の処理を実行する。以下、各構成について詳細に説明する。
[電子ペン用帳票]
まず、電子ペン用帳票20について説明する。電子ペン用帳票20は、用紙上にドットパターン(コード化パターン)が印刷され、さらにその上に罫線や記入枠などの図案や項目、文言、イラスト等が印刷されたものである。ドットパターンは、赤外線を吸収するカーボンを含んだインキにより印刷される。また、図案等は、赤外域に吸収性を持たないインキにより印刷される。ドットパターンと図案等とは、用紙に対して同時に印刷してもよいし、どちらかを先に別々に印刷してもよい。
【0016】
電子ペン用帳票20上のエリアは大きく2種類のエリアに分けることができる。1つは記入エリアであり、電子ペンによる記述内容をそのまま情報として扱うエリアである。後述する申込書3の例では、ユーザエリア38a〜38c等の送信ボックス39以外のエリアがこれに該当する。もう1つは実行エリアであり、対応するエリア内を電子ペン10でチェックした際に、予めそのエリアに対して定義されるアクション、指示などを電子ペン10に実行させるエリアである。後述する申込書3の例における送信ボックス39がこれに該当する。送信ボックス39は、電子ペン10内に記憶されているデータを近傍の端末装置25を経由してサーバ5へ送信するための指示を行う際に使用される。
[ドットパターン]
続いて、ドットパターン(コード化パターン)について説明する。図3は、電子ペン用帳票20に印刷されるドットパターンのドットとそのドットが変換される値との関係を示している。図3に示すように、ドットパターンの各ドットは、その位置によって所定の値に対応付けられている。すなわち、ドットの位置を格子の基準位置(縦線及び横線の交差点)から上下左右のどの方向にシフトされているかによって、各ドットは、0〜3の値に対応付けられている。また、各ドットの値は、さらに、X座標用の第1ビット値及びY座標用の第2ビット値に変換できる。このようにして対応付けられた情報の組合せにより、電子ペン用帳票20上の位置座標が決定されるよう構成されている。
【0017】
図4(a)は、あるドットパターンの配列を示している。図4(a)に示すように、縦横約2mmの範囲内に6×6個のドットが、電子ペン用帳票上のどの部分から6×6ドットを取ってもユニークなパターンとなるように配置されている。これら36個のドットにより形成されるドットパターンは位置座標(例えば、そのドットパターンがその電子ペン用帳票上のどの位置にあるのか)と電子ペン用帳票20毎に固有の識別情報であるアドレスデータを保持している。図4(b)は、図4(a)に示す各ドットを、格子の基準位置からのシフト方向によって、図3に示す規則性に基づいて対応づけられた値に変換したものである。この変換は、ドットパターンの画像を撮影する電子ペン10によって行われる。
【0018】
[電子ペン]
次に電子ペン10について説明する。図5は、電子ペンの構成を示すブロック図である。図5に示すように、電子ペン10は、その内部にプロセッサ11、メモリ12、データ通信ユニット13、バッテリー14、LED15、カメラ16、圧力センサ18及びクロック22を備える。また、電子ペン10は通常のインクペンと同様の構成要素としてインクカートリッジ(図示せず)などを有する。
【0019】
バッテリー14は電子ペン10内の各部品に電力を供給するためのものであり、例えば電子ペン10のキャップ(図示せず)の脱着により電子ペン10自体の電源のオン/オフを行うよう構成させてもよい。クロック22は、現在時刻(タイムスタンプ)を発信し、プロセッサ11に供給する。圧力センサ18は、利用者が電子ペン10により電子ペン用帳票20上に文字などを書く際にペン先部17に与えられる圧力、即ち筆圧を検出し、プロセッサ11へ供給する。
【0020】
プロセッサ11は、圧力センサ18から与えられる筆圧データに基づいて、LED15及びカメラ16のスイッチオン/オフの切換を行う。即ち、利用者が電子ペン10で電子ペン用帳票20上に文字などを書くと、ペン先部17には筆圧がかかり、圧力センサ18によって所定値以上の筆圧が検出されたときに、プロセッサ11は、利用者が記入を開始したと判定して、LED15及びカメラ16を作動させる。
【0021】
LED15は、電子ペン10のペン先付近に取り付けられており、電子ペン用帳票20上のペン先部17近傍に向けて、赤外線を照明する。その照明領域は、ペン先部17が電子ペン用帳票20に接触する位置とはわずかにずれている。カメラ16は、LED15によって照明された領域内におけるドットパターンを撮影し、そのドットパターンの画像データをプロセッサ11に供給する。ここで、カーボンは赤外線を吸収するため、LED15によって照射された赤外線は、ドットの部分でドットに含まれるカーボンによって吸収される。そのため、ドットの部分は、赤外線の反射量が少なく、ドット以外の部分は赤外線の反射量が多い。したがって、カメラ16の撮影により、赤外線の反射量の違いから、カーボンを含むドットの領域とそれ以外の領域を区別することができる。たとえ撮影領域に罫線や枠などが印刷されてあったとしても、罫線や枠などのインクには、カーボンが含まれていないため、ドットパターンを認識することができる。なお、カメラ16による撮影領域は、図4(a)に示すような約2mm×約2mmの大きさを含む範囲であり、カメラ16の撮影は、毎秒50〜100回程度行われる。
【0022】
プロセッサ11は、利用者による記入が行われる間、カメラ16によって供給される画像データのドットパターンから、利用者が記入するストロークの電子ペン用帳票20上でのX,Y座標(単に「座標データ」とも呼ぶ)を連続的に算出していく。すなわち、プロセッサ11は、カメラ16によって供給される、図4(a)に示されるようなドットパターンの画像データを図4(b)に示すデータ配列に変換し、さらに、X座標ビット値・Y座標ビット値に変換して、そのデータ配列から所定の演算方法によりX,Y座標データを算出するとともに、電子ペン用帳票20に固有のアドレスデータを算出する。そしてプロセッサ11は、現在時刻(タイムスタンプ)を発信するクロック22から時間情報を取得し、その時間情報と、筆圧データ、X,Y座標データ及びアドレスデータとを関連付け、これらの情報を記入情報として取得する。さらに、プロセッサ11は、記入情報に基づいて所定の処理を実行する。ここで、一枚の電子ペン用帳票20内の6×6のドットパターンは、その電子ペン用帳票20内で重複することはないため、利用者が電子ペン10で必要事項を記入すると、その記入内容が電子ペン用帳票20のどのエリアに対応するものであるかを、座標データから特定することができる。
【0023】
メモリ12には、プロセッサ11によって記入情報が時系列で記憶されていく。また、メモリ12には、予め送信指示に対応づけられたドットパターンに関する情報が記憶されている。メモリ12の容量は例えば1Mバイト程度とすることができる。利用者により送信指示がなされるまでは、取得した記入情報(データ)はメモリ12内に保持される。
【0024】
送信指示やその他のアクションは、電子ペン用帳票20上の実行エリアとして設けられた専用ボックスを電子ペン10でチェック(記入)することにより実行される。送信指示を行うための送信ボックス39の位置座標には、予め送信指示が対応付けられており、プロセッサ11は、送信ボックスに対応する記入情報を取得すると、データ通信ユニット13に、メモリ12内のデータを供給し、端末装置25への送信を行わせる。利用者が送信ボックス39にチェックして送信指示を行うと、電子ペン10と所定距離内にある端末装置25へメモリ12内のデータが送信される。電子ペン10は送信指示に含まれるアドレスデータに基づいて、メモリ12内に記憶していた記入情報のうち所定のアドレス単位が共通する記入情報を端末装置25へ送信して、送信済みデータをクリアする。なお、電子ペン10は、データ送信の完了を電子ペン10の振動により示すことができる。また、電子ペン10自体を操作することにより、送信を行わせることとしてもよい。
【0025】
データ通信ユニット13は、近傍にある端末装置25とデータの送受信を行う。データ通信ユニット13による送信は、Bluetooth(登録商標)の無線送信によると好適である。なお、USBケーブルを使用した有線送信、端子などの接触によるデータ送信など、他の方法によって、データ通信ユニット13から端末装置25へデータ送信を行ってもよい。
【0026】
なお、電子ペン10内に、ペン自体又はその所有者に関するプロパティ情報(ペン情報又はペン所有者情報)を保持しておき、端末装置25から参照することができるようにしてもよいし、プロパティ情報の全部又は一部を記入情報と共に端末装置25に送信するようにしてもよい。プロパティ情報を記入情報に関連付けて管理することで、対応する申込書3の記入内容の受付担当者や受付店舗を特定するように構成することもできる。ペン情報としては、バッテリーレベル、ペンID、ペン製造者番号、ペンソフトウェアのバージョン、サブスクリプションプロバイダのIDなどが挙げられる。また、ペン所有者情報としては、国籍、言語、タイムゾーン、emailアドレス、名称、住所、ファックス/電話番号、携帯電話番号などが挙げられる。
[端末装置]
次に、端末装置25について説明する。端末装置25は、ハードウェアとして、電子ペン10及びサーバ5とのデータ通信が可能なアンテナ装置等のデータ通信ユニット、CPU等のプロセッサ、ROMやRAMといったメモリ、スピーカ、ディスプレイ、カメラ等で構成される、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistants)等の携帯端末、或いはPC(Personal Computer)等である。端末装置25は、電子ペン10から受信した記入情報に基づいてサービスサーバ(図示せず)を特定する等の所定の処理を実行する。
【0027】
端末装置25が電子ペン10から取得する記入情報には、その記入情報に対応する記入内容が記入された電子ペン用帳票20に関するアプリケーションやサービスを行うサービスサーバ(図示せず)がどこにあるかの情報は含まれていない。そのため、端末装置25は、記入情報に含まれる電子ペン用帳票20毎に固有のアドレスデータに基づいて、問い合わせサーバ(図示せず)に照会を行うことで、当該電子ペン用帳票20に関するサービスサーバを特定する。詳細には、利用者により送信指示が行われると、電子ペン10はメモリ12内に記憶していた記入情報を端末装置25へ送信する。そして、端末装置25は、受信した記入情報に含まれるアドレスデータに基づいて、問い合わせサーバへ照会する。問い合わせサーバは、電子ペン用帳票20毎に対応するサービスサーバの情報を有しており、端末装置25からの問い合わせに応じて、当該電子ペン用帳票20に関するサービスなどを行うサービスサーバの情報(URLなど)を端末装置25へ回答する。次に、端末装置25は、電子ペンから取得した記入情報をそのサービスサーバへ送信して、所定の処理を実行させる。
【0028】
なお、通常は、端末装置25、問い合わせサーバ(図示せず)及びサービスサーバ(図示せず)を別個に構成しているが、これらの幾つか又は全てを1つの装置として構成してもよい。本実施形態においては、後述するサーバ5は、問い合わせサーバ及びサービスサーバを兼ねていることとする。この場合、端末装置25は、電子ペン10より受信した記入情報をサーバ5へ送信して、所定の処理を実行させることとなる。
[契約申込書]
次に、本実施形態の申込受付システム100に用いる電子ペン用帳票20である契約申込書3A(3)について詳しく説明する。図6は、契約申込書3A(3)を折り畳んだ状態を示す図である。図7(a)は、製造時における契約申込書3A(3)の表面の平面図であり、図7(b)は、その裏面の平面図である。図8は、第1実施形態の契約申込書3AのA−A‘側面図である。
【0029】
契約申込書3Aは、図6に示すように、二つ折りの状態で電子ペン10により利用者が契約申込に必要な所定事項を記入する自筆記入面31を含む第1領域310と、その記入内容が複写される複写面34を含む第2領域320から構成されている。
【0030】
まず、契約申込書3Aの構造について説明する。契約申込書3Aは、図7及び図8に示すように、印刷用基材としての上質紙30と、ノーカーボントップ紙33と、ノーカーボンボトム紙34と、境界線及び易折り畳み線としてのミシン目35等とを備える。
【0031】
上質紙30は、ミシン目35をはさんで同一面側に配置される自筆記入面31及び事後処理面(店舗使用面)32を有する。ノーカーボントップ紙33は、図8(a)及び(b)に示すように、基材33aに、発色剤層33bが塗布されて構成されており、上質紙30の自筆記入面31裏面に、接着剤層40を介して貼り付けられる。ノーカーボンボトム紙34は、図8(a)及び(c)に示すように、基材34aに、顕色剤層34bが塗布されて構成されており、上質紙30の事後処理面32裏面に、接着剤層40を介して貼り付けられる。
【0032】
つまり、上質紙30の同一面(電子ペン10による記入面とは反対の面)に、ノーカーボントップ紙33とノーカーボンボトム紙34とが、発色剤層33bと顕色剤層34bとを表出させるように配置される。換言すると、契約申込書3Aの第1領域310は、自筆記入面31及び発色剤層33b面とを有し、契約申込書3Aの第2領域320は、事後処理面32及び顕色剤層34b面とを有する。
【0033】
ここで、発色剤層33bは、電子供与性の発色剤溶液をマイクロカプセル化したものを、コーター(塗布装置)によって基材33aに塗布して形成される(図8(b)参照)。発色剤としては、スピロ系、フルオラン系、トリアリールメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系等のロイコ染料が挙げられる。顕色剤層34bは、電子受容性の顕色剤を、コーター(塗布装置)によって基材34aに塗布して形成される(図8(c)参照)。
【0034】
また、顕色剤層34bは、ミシン目35に対して略全領域が発色剤層33bと線対称の位置にあり、契約申込書3Aの使用時にミシン目35で折り畳まれることで対接する(図6参照)。そして、利用者による筆記の圧力を受けることによって、その部分の発色剤層33bの発色剤カプセルが壊れて、対接する顕色剤層34bの顕色剤と発色剤とが化学反応を起こして発色するため、筆記内容が、顕色剤層34bに複写される。
【0035】
ノーカーボントップ紙33とノーカーボンボトム紙34との間は、貼り合せ時の蛇行や、保管環境における用紙の伸縮や、折り畳んだ際の境界部の膨らみを考慮して、3mm程度の隙間を設けると好適であり、この隙間に上質紙30の天辺から地辺まで、契約申込書3Aを折り畳み容易にするカット線としてミシン目35を設ける。なお、折り畳みを容易にするカット線は、ミシン目に限らず、ハーフカットでもよい。本実施形態では、電子ペン10による記入後、契約申込書3Aを境界線で切り離して、自筆記入面31を含む第1領域310と複写面(事後処理面32の裏面)を含む第2領域320とに分離できるように、切り取り線を兼ねたミシン目35とする。
【0036】
続いて、契約申込書3Aの各面に印刷する内容について説明する。上質紙30の自筆記入面31及び事後処理面32には、POD(プリントオンデマンド)印刷により、契約申込書3Aの個別情報記入欄となるユーザエリア38a〜38cの枠線や送信ボックス39a及び39bの図案、契約申込書3A毎にそれぞれ異なるドットパターンが印刷される。例えば、保険契約申込書の場合、ユーザエリア38a〜38cはそれぞれ、保険契約者の氏名、生年月日、住所等の個人情報記入欄、保険金受取人の氏名及び続柄記入欄、保険タイプ選択記入欄のように構成することができる。
【0037】
上質紙30の自筆記入面31は、契約申込者(利用者)が電子ペン10を用いて記入する面(筆記面)となる。そのため、自筆記入面31には、契約申込書3Aの各記入欄の枠線、送信ボックス39aの図案及びドットパターンをPOD印刷する。事後処理面32は複写面の裏面となる。そのため、事後処理面32には、契約申込書3A1枚1枚を識別する識別番号、送信ボックス39bの枠線及びドットパターンをPOD印刷する。契約申込書3Aの識別番号は、当該契約申込書3Aに印刷されるドットパターンの位置座標情報と対応付けられた定義情報として、サーバ5のメモリに記憶されているものとする。なお、事後処理面32には、契約申込書3Aの識別番号を印刷する代わりに、申込受付後に追記する事項、例えば申込受付番号、商品発送日、備考欄等の絵柄も合せて印刷するように構成してもよい。
【0038】
電子ペン10により自筆記入面31に記入された内容は、記入情報として電子ペン10のメモリ12に記憶され、利用者が送信ボックス39aをチェックして送信指示を行うと、電子ペン10は、記憶した記入情報を端末装置25へデータ送信する。データ送信前に自筆記入面31を含む第1領域310を切り離してしまって、事後処理面32を含む第2領域320しか手元に残っていない場合でも、事後処理面32に印刷された送信ボックス39bをチェックすれば、電子ペン10に端末装置25へのデータ送信を行わせることができる。ここで、印刷加工精度に起因する筆記面と複写面の絵柄ずれが生じて、複写面に転写される文字等が、複写面に印刷されている記入枠や選択枠等の絵柄とずれる場合があるが、本実施形態の契約申込書3Aによれば、分離後の2つのシート片(第1領域310及び第2領域320)それぞれに送信ボックス39が形成されているため、絵柄ずれのない自筆記入面31を有するシート片を顧客控えとして顧客に持ち帰ってもらうことが可能となる。
【0039】
ノーカーボントップ紙33は、顧客控えとする第1領域310の筆記面(自筆記入面31)の裏面となる。そのため、ノーカーボントップ紙33には、約款、申込注意、商品又はサービス内容を説明する画像等を印刷すると好適である。
【0040】
ノーカーボンボトム紙34は、店舗控え(契約書)とする第2領域320のうち、自筆記入面31への記入内容が複写される面(複写面)となる。そのため、ノーカーボンボトム紙34には、上質紙30の自筆記入面31と略同一の絵柄を印刷する。ノーカーボンボトム紙34には、店舗控えとして追記する事項、例えば受付番号欄や、申込受付者サイン欄や、事務処理確認欄等、自筆筆記面31には印刷しない絵柄も合せて印刷するようにしてもよい。
【0041】
次に、本実施形態による契約申込書3Aの製造方法を説明する。まず、絵柄の印刷と同時に種々の加工、例えば、目止め印刷(浸透防止加工)、接着加工、型抜き、ミシン入れ等ができるフォーム印刷機を使用して、上質紙30、ノーカーボントップ紙33、ノーカーボンボトム紙34それぞれに適宜印刷加工を行う。なお、製造工程上で、罫線や社名の絵柄等の印刷は不要の場合であっても、加工用のトンボ(見当合わせ用のマーク)等は、印刷してもよい。そして、前工程で用意した3種の用紙を、コレータ(丁合機)にて全面を貼り合わせ、所定のサイズや形態に仕上げる。例えば、連続プリンタ用であれば、連続帳票として仕上げればよく、カット紙プリンタ用であれば、カット紙として仕上げればよい。すなわち、3種の用紙は、前工程段階では仕上がりサイズより大きい用紙サイズであって、ロール状の長尺シートの状態で用いられる。本実施形態では、契約申込書3Aは、カット紙として仕上げる。また、上質紙30へのPOD印刷のみ、カット紙に仕上げた後に行う。
【0042】
具体的には、ロール状の上質紙30の裏面(接着剤層40を介してノーカーボン紙と接着される面)に、トンボを印刷する。また、ロール状のノーカーボントップ紙33に、契約申込書3Aの顧客控えとなる絵柄等及びトンボを印刷する。また、ロール状のノーカーボンボトム紙34に、契約申込書3Aの店舗控えとなる絵柄等及びトンボを印刷する。そして、上質紙30の裏面にメジューム等の目止め印刷をしたうえで接着剤層を積層し、更に、ノーカーボントップ紙33及びノーカーボンボトム紙34を積層して接着した後、ミシン加工及びスリット加工を行って、カット紙として仕上げる。これらの印刷及び加工は、フォーム印刷機により一度に処理してもよいし、適宜工程を分けてもよい。カット紙に仕上げた契約申込書3Aの上質紙30表面に、POD印刷により、契約申込書3Aのドットパターン、送信ボックス39a及び39b、絵柄等を印刷する。
【0043】
製造者によって仕上げられた契約申込書3Aは、運送中や保管中に紙の重み等による圧力により発色剤層33bと顕色剤層34bが反応して発色してしまわないように、展開された状態のまま重ねあわされて梱包され、店舗等に納品される。
【0044】
店舗での使用時に、利用者は、契約申込書3Aを図6に示すような二つ折り形態にして、電子ペン10を用いて自筆記入面31に必要事項を記入する。すると、電子ペン10は、記入内容に対応する記入情報をメモリ12に記憶する。利用者が送信ボックス39にチェックして送信指示すると、電子ペン10は記憶した記入情報を端末装置25へデータ送信する。そして利用者は、契約申込書3Aの第1領域310と第2領域320とを分離して、顧客控えと店舗控え(契約書)とする。
[申込書の使用手順]
次に、本実施形態の申込受付システム100による契約申込書3Aの使用手順を説明する。図9は、申込受付処理のフローチャートである。
【0045】
はじめに、店舗の申込窓口業務の担当者(申込受付者)は、契約申込書3Aを図6に示すように上質紙30のPOD印刷面(自筆記入面31及び事後処理面32)が外側となるように折り畳む。折り畳む前に、自筆記入面31(筆記面)の裏面に形成されたノーカーボントップ紙33に印刷された約款等の説明を行うようにしてもよい。そして、顧客は、店舗が用意した電子ペン10を用いて、契約申込書3Aの自筆記入面31の各記入欄38a〜38cに氏名、住所、電話番号、申込内容等の所定事項を記入する(ステップS1)。すると、電子ペン10は、顧客により記入された内容に対応する記入情報をメモリ12に記憶する。次に、申込受付者は、記入漏れがないか確認した後、送信指示のため送信ボックス39aをチェックする。すると、電子ペン10は、自筆記入面31への記入内容に対応してメモリ12に記憶した記入情報を端末装置25へ送信する(ステップS2)。続いて、申込受付者は、ミシン目35により第1領域310を切り離して(図8(d)参照)、顧客控えとして顧客に渡し、持ち帰っていただく。
【0046】
そして、申込受付者は、第1領域310の自筆記入面31への記入内容が転写された複写面(ノンカーボンボトム紙34)を含む第2領域320を店舗控え(契約書)とする。さらに、図10(a)に示すような、日次の受付台帳Mに、契約申込書3Aの識別番号、受付顧客名、申込受付者名、申込時に使用した電子ペン10のペン番号等の所定事項を記録して(ステップS3)、契約書を保管する。申込が複数あれば、ステップS1〜S3を繰り返す。
【0047】
サーバ5は、端末装置25を介して電子ペン10から取得する記入情報に基づいて所定の処理を実行する。例えば、サーバ5は、記入情報に含まれる座標データに基づいて、定義情報を参照することで当該契約申込書3Aの識別番号を特定すると共に、文字認識処理によって契約申込書3Aに記入された内容をテキストデータ化して、その申込情報を申込受付データベースに登録する。この時、サーバ5は、記入情報に含まれる、契約申込書3Aの記入に用いられた電子ペン10のペンIDとを申込情報に対応付けて申込受付データベースに登録する。上述のように、契約申込書3Aには1枚1枚異なるドットパターンが印刷されているため、契約申込書3Aに記入された内容は、契約申込書3A毎、すなわち顧客毎に区別してデータベース化することができる。そして、サーバ5は、申込受付データベースに登録した申込情報を、1日の窓口受付の終了後、図10(b)に示すような、日次の受付リストNとして出力する(ステップS4)。リスト出力項目としては、契約申込書3Aの識別番号、受付顧客名及びペンIDの一覧と、当日受付総件数である。
【0048】
事務処理担当者は、サーバ5から出力された日次の受付リストNと、受付担当者によって記入された日次の受付台帳Mとを照合し(ステップS5)、正しければ、日次の受付処理業務を完了する(ステップS5;M=N)。受付台帳Mに記載漏れがある場合は(ステップS5;M<N)、事務処理担当者は、受付リストNに基づいて、顧客名と使用された電子ペンのペンIDに基づいて、契約申込書3Aの店舗控え(契約書)の有無を確認のうえ、受付台帳Mに追記する(ステップS6)。そして、受付リストNと、追記した受付台帳M(図示せず)とを照合し、正しければ、日次の受付処理業務を完了する(ステップS5;M=N)。受付リストNにデータ漏れがある場合は(ステップS5;M>N)、電子ペン10によるデータ送信忘れ等のミスであるため、電子ペン10にデータが残っていることになる。事務処理担当者は、該当する契約申込書3Aの店舗控え(ノンカーボンボトム紙34)の裏面の事後処理面32に形成された送信ボックス39bを、該当する電子ペン10によりチェックして、電子ペン10のメモリ12に記憶されている記入情報を、端末装置25を介してサーバ5へ送信する(ステップS7)。そして、サーバ5より再び受付リストNを出力し(ステップS4)、再出力した受付リストN(図示せず)と受付台帳Mとを照合し、正しければ、日次の受付処理業務を完了する(ステップS5;M=N)。これにより、日次の受付処理業務を終了する。
【0049】
具体的には、事務処理担当者は、図10に示すような、日次の受付台帳Mと受付リストNとを識別番号に基づいて照合する。そして、受付台帳Mに受付リストNに出力されている識別番号「F006」の受付顧客「日本A男」さんが記載されていない場合、契約申込書3Aの店舗控え(契約書)の有無を確認のうえ、契約書があれば受付台帳Mに追記し、なければ所定の事故処理を行うこととなる。また、受付リストNに受付台帳Mに記載されている識別番号「F003」の受付顧客「山田D子」さんが出力されていない場合、該当する契約申込書3Aの店舗控えの裏面に形成された送信ボックス39bを、該当するペンID「P001」の電子ペン10によりチェックして、記入情報をサーバ5へ送信することとなる。
[本申込受付システムによる作用効果]
このように、契約申込書3Aを使用した申込受付システム100によれば、電子ペン10は契約申込書3Aへの記入内容に対応する記入情報をメモリ12に記憶し、送信ボックス39へのチェックによる送信指示を受けて、記憶した記入情報を端末装置25を介してサーバ5へ送信する。そして、サーバ5は、受信した記入情報に基づいて所定の処理を行って、申込情報をデータベースに登録する。そのため、契約申込書3Aの記入内容をパンチ入力する手間なく、簡単にデジタルデータ化して管理することが可能となる。また、契約申込書3Aへの記入内容は、分離可能な複写面に転写されるため、簡単に控えを作成できる。さらに、分離後の2つのシート片それぞれに送信ボックス39が形成されているため、どちらのシート片を店舗控えとしても、後からデータ送信ミスをリカバリーできる。そのため、絵柄ずれのない自筆記入面を顧客控えとして利用することが可能となる。
【0050】
なお、上記第1実施形態では、事後処理面32に契約申込書3Aの識別番号を印刷しておき、契約申込書3Aの使用手順として、ステップS3で受付台帳Mに当該識別番号を記載することとしたが、事後処理面32に契約申込書3Aの識別番号を印刷する代わりに、受付番号記入欄となるユーザエリアを設けることとしてその枠線を印刷しておき、ステップS3の前に、電子ペン10により受付番号を記入してから送信ボックス39bをチェックし、受付番号に対応する記入情報をサーバ5に送信することとしてもよい。
【0051】
また、上記第1実施形態では、境界線及び易折り畳み線としてのミシン目35を契約申込書3Aの中心に設けて、第1領域310及び第2領域320を同じ大きさとなるように構成したが、境界線は中心に限らず、どちらかの領域を広くしてもよい。例えば、第2領域320を広くして、店舗控えとする契約書面に、店舗記入項目を印刷するとよい。この場合、ノーカーボントップ紙34の顕色剤層34bは、対接するノーカーボントップ紙33と同じ大きさとなるように、基材34aに顕色剤を塗布する。すなわち、第2領域320のノーカーボントップ紙33の顕色剤が塗布されていない領域に、店舗記入項目を印刷することとなる。この店舗記入項目を印刷した領域を、さらに分離可能にしてもよい。
【0052】
また、上記第1実施形態では、受付台帳Mは担当者が通常の帳票に通常の筆記具で記入するように構成したが、受付台帳Mも電子ペン用帳票を用いて、記入情報を電子ペン10からサーバ5に送信してサーバ5にて管理するように構成してもよい。これにより、事務処理担当者によるチェックをサーバ5によるチェックに置き換えて、照合処理を省力化することができる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態と第1実施形態とが同様の部分については同じ符号を付し、適宜説明を省略する。図11は、第2実施形態の契約申込書3B(3)のA−A‘側面図である。第2実施形態と第1実施形態が異なる点は、第1実施形態の契約申込書3Aは、自筆記入面31の裏面に積層されるノーカーボントップ紙33に顧客控えの裏面として約款を印刷するが、第2実施形態の契約申込書3Bは、上質紙30の自筆記入面31の裏面に直接、顧客控え裏面としての所定事項(約款等)を印刷して、図11(a)に示すように、ノーカーボントップ紙33を、自筆記入面31裏面に、接着剤層40及び剥離層41を介して貼り付ける点である。自筆記入面31、事後処理面32及びノーカーボンボトム紙34に印刷する内容は、第1実施形態の契約申込書3Aと同様である。
【0053】
ここで、剥離層41は、シリコンを含有する剥離インキをノーカーボントップ紙33の基材33a側に塗布して形成できる。
【0054】
続いて、第2実施形態の契約申込書3Bの使用手順について説明する。第1実施形態と共通する部分は、図9のフローチャートを適宜参照して説明する。
【0055】
はじめに、店舗の申込受付者は、契約申込書3Bを図11(a)に示すように上質紙30のPOD印刷面(自筆記入面31及び事後処理面32)が外側となるように折り畳む。そして、顧客は、店舗が用意した電子ペン10を用いて、契約申込書3Bの自筆記入面31の個別情報記入欄38a〜38cに氏名、住所、電話番号、申込内容等の所定事項を記入する(ステップS1)。すると、電子ペン10は、顧客により記入された内容に対応する記入情報をメモリ12に記憶する。次に、申込受付者は、記入漏れがないか確認した後、送信ボックス39aをチェックする。すると、電子ペン10は、自筆記入面31への記入内容に対応してメモリ12に記憶した記入情報を端末装置25へ送信する(ステップS2)。続いて、申込受付者は、ミシン目35により第1領域310を切り離し、更にノーカーボントップ紙33を当該シート片から剥がし去ってから、上質紙31(自筆記入面31)を顧客控えとして顧客に渡し、持ち帰っていただく(図11(d)参照)。
【0056】
そして、申込受付者は、第1領域310の自筆記入面31への記入内容が転写された複写面(ノンカーボンボトム紙34)を含む第2領域320を店舗控え(契約書)とする。そして、日次の受付台帳M(図10(a)参照)に、契約申込書3Bの識別番号、受付顧客名、申込受付者名、申込時に使用した電子ペン10のペン番号等の所定事項を記録して(ステップS3)、契約書を保管する。申込が複数あれば、ステップS1〜S3を繰り返す。
【0057】
サーバ5は、端末装置25を介して電子ペン10から取得する記入情報に含まれる座標データに基づいて、定義情報を参照することで当該契約申込書3Aの識別番号を特定すると共に、文字認識処理によって契約申込書3Bに記入された内容をテキストデータ化して、その申込情報を申込受付データベースに登録する。この時、サーバ5は、記入情報に含まれる、契約申込書3Bの記入に用いられた電子ペン10のペンIDを申込情報に対応付けて申込受付データベースに登録する。そして、サーバ5は、申込受付データベースに登録した申込情報を、1日の窓口受付の終了後、日次の受付リストN(図10(b)参照)として出力する(ステップS4)。リスト出力項目としては、契約申込書3Aの識別番号、受付顧客名及びペンIDの一覧と、当日受付総件数である。
【0058】
事務処理担当者は、サーバ5から出力された日次の受付リストNと、受付担当者によって記入された日次の受付台帳Mとを照合し(ステップS5)、正しければ、日次の受付処理業務を完了する(ステップS5;M=N)。受付台帳Mに記載漏れがある場合は(ステップS5;M<N)、事務処理担当者は、受付リストNに基づいて、顧客名と使用された電子ペンのペンIDに基づいて、契約申込書3Bの店舗控えの有無を確認のうえ、受付台帳Mに追記する(ステップS6)。そして、受付リストNと、追記した受付台帳M(図示せず)とを照合し、正しければ、日次の受付処理業務を完了する(ステップS5;M=N)。受付リストNにデータ漏れがある場合は(ステップS5;M>N)、電子ペン10によるデータ送信忘れ等のミスであるため、電子ペン10にデータが残っていることになる。事務処理担当者は、該当する契約申込書3Bの店舗控え(ノンカーボンボトム紙34)の裏面の事後処理面32に形成された送信ボックス39bをチェックして、電子ペン10のメモリ12に記憶されている記入情報を、端末装置25を介してサーバ5へ送信する(ステップS7)。そして、サーバ5より再び受付リストNを出力し(ステップS4)、再出力した受付リストN(図示せず)と受付台帳Mとを照合し、正しければ、日次の受付処理業務を完了する(ステップS5;M=N)。これにより、日次の受付処理業務を終了する。
【0059】
第2実施形態の契約申込書3Bによれば、第1実施形態の作用効果に加えて、顧客控えの厚みが薄くなるため保管スペースを削減でき、軽くなるため持ち運びが楽になる。また、ベタ絵柄を発色剤層33bや顕色剤層34bに印刷すると、複写性が低下してしまうが、ベタ絵柄を上質紙30に移行することにより、その問題を防止できる。また、お客様控えから発色剤層33bがなくなるため、保管中に汚損がされにくい。
【0060】
なお、上記第2実施形態の契約申込書3Bでは、ノーカーボントップ紙33のみを剥離可能に形成したが、ノーカーボントップ紙34を剥離可能に形成することとしてもよく、剥離可能とする面は、契約申込書3Bの用途に合せて適宜選択すればよい。また、事後処理面32の印刷内容や使用方法を、第1実施形態の契約申込書3Aの変更例と同様に変更してもよい。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態と第1実施形態とが同様の部分については同じ符号を付し、適宜説明を省略する。図12は、第3実施形態の契約申込書3C(3)のA−A‘側面図である。第3実施形態と第1実施形態が異なる点は、第1実施形態の契約申込書3Aは、上質紙30の自筆記入面31の裏面にノーカーボントップ紙33を、また事後処理面32の裏面にノーカーボンボトム紙34を、接着剤層40を介して接着するが、第3実施形態の契約申込書3Cでは、事後処理面32の裏面にノーカーボンセルフ紙36を、自筆記入面31の裏面に用紙37を、接着剤層40を介して接着する点である。
【0061】
ノーカーボンセルフ紙36は、図12(a)及び(c)に示すように、基材36aに、自己発色層36bが塗布されて構成されており、上質紙30の事後処理面32裏面に、接着剤層40を介して貼り付けられ、自筆記入面31への記入内容が複写される面(複写面)となる。自己発色剤層36bは、上述のような発色剤マイクロカプセルと顕色剤を含む塗液を、基材36aに塗布して形成される。
【0062】
用紙37は、ノーカーボンセルフ紙36と紙厚が同じフォーム用紙を適宜選択すればよく、上質紙30の自筆記入面31裏面に、接着剤層40を介して貼り付けられる。用紙37は、自筆記入面31への記入内容を複写面に複写するための必須構成ではないが、契約申込書3Cの厚みを均一にすることで、POD印刷の印字適性を保ち、また契約申込書3Cを展開した状態で積み重ねて搬送、保管する際に、ノーカーボンセルフ紙36が接着された事後処理面32の側のみが厚くなって用紙崩れをおこす不具合を防止するための構成である。
【0063】
第1実施形態の契約申込書3Aと同様に、契約申込書3Cの自筆記入面31には、契約申込書3Cの各記入欄の枠線、送信ボックス39aの図案及びドットパターンをPOD印刷する。また、事後処理面32には、送信ボックス39bの枠線及び契約申込書3C毎に異なるドットパターンをPOD印刷する。ノンカーボン用紙36には、契約申込書3Aのノーカーボンボトム紙34と同様に、契約申込書3Cの各記入欄の枠線、店舗控えとして追記する所定事項の図案等を印刷する。用紙37には、契約申込書3Aのノーカーボントップ紙33と同様に、顧客控えの裏面としての約款等を印刷する。使用手順は、第1実施形態と同様である。なお、本題3実施形態の契約申込書3Cを、第2実施形態の契約申込書3Bのように、ノンカーボン用紙36及び/又は用紙37を、上質紙30から剥離可能に形成することとしてもよい。
【0064】
なお、本発明は、上記実施形態に限られない。
【0065】
上記実施形態では、ドットは赤外線を吸収するカーボンを含むインクとし、電子ペン10のLED15を、赤外線を照射するLEDとし、カメラ16によって赤外線の反射量の差によって、電子ペン10でドットパターンを読み取っていたが、これに限らない。例えば、ドットは所定波長の光によって所定波長を発光するインクとし、電子ペン10のLED15を、ドットのインクを発光させる光を照射するものとし、カメラ16によってドットのインクが発光する波長の領域を検知することによって、電子ペン10でドットパターンを読み取るようにしてもよく、カメラ16によってドットパターンが読み取れれば、ドットのインクの種別やLED15の照射光等は上記実施形態で示したものに限られない。また、電子ペン用帳票20における位置座標が特定できるものであれば、ドットパターンの代わりに、別のコード化されたパターン、例えば、2次元コードパターンなどであってもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、図6乃至図8、図11及び図12に示すような契約申込書3を適用しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、適用する電子ペン用帳票20のデザインは任意である。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、自筆記入面を顧客控えにでき、データ送信ミスのリカバリも可能とした電子ペン用帳票であって、割賦契約申込、カード契約申込、保険契約申込の各種商品・サービスの購入申込や予約申込などで使用する各種申込書として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】電子ペンの使用形態を模式的に示す図である。
【図2】本実施形態の申込受付システムの概略を示す図である。
【図3】電子ペン用帳票に印刷されるドットパターンによる情報の表現方法を説明する図である。
【図4】(a)は、ドットパターンを模式的に示し、(b)は、それに対応する情報の例を示す図である。
【図5】電子ペンの構成を示すブロック図である。
【図6】契約申込書を折り畳んだ状態を示す図である。
【図7】(a)は、製造時における契約申込書の表面の平面図であり、(b)は、裏面の平面図である。
【図8】第1実施形態の契約申込書3AのA−A‘側面図である。
【図9】本実施形態の申込受付システムのフローチャートである
【図10】(a)は受付台帳の例であり、(b)は受付リストの例である。
【図11】第2実施形態の契約申込書3BのA−A‘側面図である。
【図12】第3実施形態の契約申込書3CのA−A‘側面図である。
【符号の説明】
【0069】
2…ネットワーク
3…申込書
5…サーバ
10…電子ペン
20…電子ペン用帳票
25…端末装置
30…上質紙
31…自筆記入面
32…事後処理面
33…ノーカーボントップ紙
34…ノーカーボンボトム紙
35…境界線
36…ノーカーボンセルフ紙
37…用紙
38…ユーザエリア
39…送信ボックス
40…接着剤層
41…剥離層
100…情報処理システム
310…第1領域
320…第2領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離可能な複数の領域から構成され、電子ペンにより認識可能なコード化パターンが印刷された電子ペン用帳票であって、
前記コード化パターンが印刷された各領域のうち少なくとも2つの領域の表面に、前記コード化パターンの印刷面への記入内容に対応する記入情報を前記電子ペンから端末装置へ送信する送信処理に対応付けられたコード化パターンが形成された送信ボックスを、それぞれ備えることを特徴とする電子ペン用帳票。
【請求項2】
前記2つの領域は第1領域と第2領域とからなり、第1領域と第2領域との境界線をはさんで同一面側に前記コード化パターンが印刷されており、
前記境界線で折り畳んで使用され、前記電子ペンによる前記第1領域の表面への記入内容が、前記第2領域の裏面に複写されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子ペン用帳票。
【請求項3】
前記第1領域の裏面に設けられた発色剤層と、
前記第2領域の裏面に、前記境界線に対して前記発色剤層と線対称の位置に設けられ、前記発色剤層と反応して発色する顕色剤層とを備えることを特徴とする請求項2に記載の電子ペン用帳票。
【請求項4】
前記発色剤層及び/又は前記顕色剤層は、剥離可能に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の電子ペン用帳票。
【請求項1】
分離可能な複数の領域から構成され、電子ペンにより認識可能なコード化パターンが印刷された電子ペン用帳票であって、
前記コード化パターンが印刷された各領域のうち少なくとも2つの領域の表面に、前記コード化パターンの印刷面への記入内容に対応する記入情報を前記電子ペンから端末装置へ送信する送信処理に対応付けられたコード化パターンが形成された送信ボックスを、それぞれ備えることを特徴とする電子ペン用帳票。
【請求項2】
前記2つの領域は第1領域と第2領域とからなり、第1領域と第2領域との境界線をはさんで同一面側に前記コード化パターンが印刷されており、
前記境界線で折り畳んで使用され、前記電子ペンによる前記第1領域の表面への記入内容が、前記第2領域の裏面に複写されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子ペン用帳票。
【請求項3】
前記第1領域の裏面に設けられた発色剤層と、
前記第2領域の裏面に、前記境界線に対して前記発色剤層と線対称の位置に設けられ、前記発色剤層と反応して発色する顕色剤層とを備えることを特徴とする請求項2に記載の電子ペン用帳票。
【請求項4】
前記発色剤層及び/又は前記顕色剤層は、剥離可能に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の電子ペン用帳票。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−18472(P2009−18472A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−182108(P2007−182108)
【出願日】平成19年7月11日(2007.7.11)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月11日(2007.7.11)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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