説明

電子ペーパー表示装置及びその製造方法

【課題】色再現率、鮮明度、反射率を向上した構造を有する電子ペーパー表示装置の提供。
【解決手段】第1の回転ボールを有する下部構造物を形成する工程と、第1の回転ボールに比べて大きい大きさを有する第2の回転ボールを有する上部構造物を形成する工程と、第2の回転ボール間の領域に第1の回転ボールが対向するように、下部構造物と上部構造物とを結合する工程と、下部構造物と上部構造物との間の空間に絶縁性オイルを満たす工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペーパー表示装置及びその製造方法に関し、より詳しくは、色再現率、鮮明度及び反射率を向上した電子ペーパー表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代表示装置のうちで電子ペーパー表示装置は、他の表示装置に比べて優れる可用性(availability)及び可換性(flexibility)を有しており、低電力で駆動可能な特長がある。そのため、電子ペーパー表示装置は、書籍のような紙葉類印刷媒体を取り替えることができ、またその他多様な種の表示スクリーン及び電子壁紙などの分野に適用されることができる長所がある。
【0003】
現在、代表的な電子ペーパー表示装置として、異なる色相の半球から成る回転ボール(roating ball)を用いるツイストボールタイプの電子ペーパー表示装置がある。該ツイストボールタイプの電子ペーパー表示装置は、複数の回転ボールと、該回転ボールを仕切る隔壁構造体と、回転ボールを回転させる電極構造体と、回転ボールに潤滑性を付与するための透明な絶縁性オイルとを備える。このような構造の電子ペーパー表示装置では、電極構造体が回転ボールに電圧を供給して、該回転ボールを回転させることによって、外部へ色を表現する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7394509号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記のような構造の電子ペーパー表示装置は、回転ボールの各々が球形状を有するため、回転ボール間の空間は、色が表現されない死角領域になる。該死角領域は、電子ペーパー表示装置の色再現率、鮮明度、反射率などを向上するのに制約をもたらす。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みて成されたものであって、その目的は、回転ボール間に色の表現ができない死角領域を減少して、色再現率、鮮明度及び反射率を向上した構造を有する電子ペーパー表示装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、回転ボール間に色の表現ができない死角領域を減少して、色再現率、鮮明度及び反射率を向上した構造を有する電子ペーパー表示装置を製造することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を解決するために、本発明による電子ペーパー表示装置は、同じ平面上に配置され、外部へ色を表現する回転ボールと、該回転ボール間の空間を通じて外部へ色を表現するサブ色表現体とを含む。
【0008】
本発明によれば、前記サブ色表現体は、前記回転ボールに比べて小さな大きさの回転ボールを含む。
【0009】
本発明によれば、前記サブ色表現体は、前記回転ボール間の領域に対向するように配置された回転ボールを含む。
【0010】
本発明によれば、前記回転ボールを側方向に仕切る隔壁構造体を含み、前記隔壁構造体は、光透過性を有する透明材料から成り、前記サブ色表現体は、前記隔壁構造体を通じて外部へ色を表現する。
【0011】
また、上記目的を解決するために、本発明による電子ペーパー表示装置は、第1の回転ボールを有する下部構造物と、該下部構造物の上部に配置され、前記第1の回転ボールに比べて大きい大きさを有する第2の回転ボールを有する上部構造物と、前記下部構造物と前記上部構造物との間の空間を満たす絶縁性オイルとを含み、前記第1の回転ボールは、前記第2の回転ボール間の領域に対向するように配置される。
【0012】
本発明によれば、前記下部構造物は、第1のプレート及び該第1のプレート上に形成され、前記第1の回転ボールの配置される第1のキャビティを有する第1の隔壁構造体を含み、前記上部構造物は、前記第2のプレートと、該第2のプレート上に形成され、前記第2の回転ボールが位置され、前記第1のキャビティに比べて大きい大きさを有する第2のキャビティを有する第2の隔壁構造体とを含む。
【0013】
本発明によれば、前記第1のプレート及び前記第2のプレートは、前記第1の回転ボール及び前記第2の回転ボールに電圧を供給するための電極として使われる。
【0014】
本発明によれば、前記第1の隔壁構造体は、前記第2の回転ボールに対向する領域が凹になった構造を有する。
【0015】
本発明によれば、前記第1の回転ボールの各々は、第1の半球及び該第1の半球と異なる電荷値を有する第2の半球から成り、前記第2の回転ボールの各々は、第3の半球及び該第3の半球と異なる電荷値を有する第4の半球から成り、前記第1の半球は黒で、前記第2の半球は白で、前記第3の半球は赤、緑、青、シアン、マジエンタ及び黄のうちのいずれか一つで、前記第4の半球は黒、白、赤、緑、青、シアン、マジエンタ及び黄のうちの他の一つである。
【0016】
本発明によれば、前記第2の回転ボールは、平面視でジグザグ形態を有するように配置され、前記第1の回転ボールは、前記第1の回転ボールの中心と隣接する三つの前記第2の回転ボールの中心とが一致するように、配置される。
【0017】
本発明によれば、前記下部構造物と前記上部構造物との間に配置され、前記下部構造物と前記上部構造物との間の間隔を予め決められた間隔で保持させるスペーサをさらに含む。
【0018】
また、上記目的を解決するために、本発明による電子ペーパー表示装置の製造方法は、第1の回転ボールを有する下部構造物を形成する工程と、前記第1の回転ボールに比べて大きい大きさを有する第2の回転ボールを有する上部構造物を形成する工程と、前記第2の回転ボール間の領域に前記第1の回転ボールが対向するように、前記下部構造物と前記上部構造物とを結合する工程と、前記下部構造物と前記上部構造物との間の空間に絶縁性オイルを満たす工程とを含む。
【0019】
本発明によれば、前記下部構造物を形成する工程は、第1のプレートを準備する工程と、前記第1のプレートに第1の絶縁膜を形成する工程と、前記第1の絶縁膜の一部をとり除いて、前記第1の回転ボールの配置される第1のキャビティを形成する工程とを含み、前記上部構造物を形成する工程は、第2のプレートを準備する工程と、前記第2のプレートに第2の絶縁膜を形成する工程と、前記第2の絶縁膜の一部をとり除いて、前記第2の回転ボールが位置され、前記第1のキャビティに比べて大きい大きさを有する第2のキャビティを形成する工程とを含む。
【0020】
本発明によれば、前記第1のプレート及び前記第2のプレートは、前記第1及び第2の回転ボールに電圧を供給する電極として使われる。
【0021】
本発明によれば、前記下部構造物と前記上部構造物とを結合する工程は、前記下部構造物にスペーサを形成する工程と、前記スペーサをストッパとして、前記下部構造物に前記上部構造物を密着させる工程とを含む。
【0022】
本発明によれば、前記上部構造物を形成する工程は、前記第2の回転ボールを側方向に仕切る第2の隔壁構造体を形成する工程を含み、前記スペーサを形成する工程は、前記電子ペーパー表示装置の画素領域以外の領域に前記第2の隔壁構造体に比べて厚い厚さを有する絶縁体を形成する工程を含む。
【0023】
本発明によれば、前記上部構造物を形成する工程は、第2のプレートを準備する工程と、前記第2のプレート上に前記第2の回転ボールを側方向に仕切る第2の隔壁構造体を形成する工程と、前記第2のキャビティに接着剤を注入する工程と、前記接着剤を用いて前記第2の回転ボールを前記第2のキャビティ内に接着させる工程とを含む。
【0024】
本発明によれば、前記接着剤は、前記絶縁性オイルである。
【発明の効果】
【0025】
従って、本発明によれば、ある一つの平面上に配置される回転ボールの色表現の死角領域で、他の平面上に配置される回転ボールが色を表現することによって、色再現率、コントラスト比、反射率を向上することができる。
【0026】
また、本発明によれば、ある一つの平面上に配置される回転ボールの色表現の死角領域で、他の平面上に配置される回転ボールが色を表現することによって、色再現率、コントラスト比、反射率を向上した構造を有する電子ペーパー表示装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態による電子ペーパー表示装置におけるボールの配置を概略的に示す平面図である。
【図2】図1中のI−I'線に沿った断面図である。
【図3】本発明の実施形態による電子ペーパー表示装置の製造方法を示すフローチャートである。
【図4a】本発明の実施形態による電子ペーパー表示装置の製造過程を説明するための断面図である。
【図4b】本発明の実施形態による電子ペーパー表示装置の製造過程を説明するための断面図である。
【図4c】本発明の実施形態による電子ペーパー表示装置の製造過程を説明するための断面図である。
【図4d】本発明の実施形態による電子ペーパー表示装置の製造過程を説明するための断面図である。
【図5】本発明の実施形態による電子ペーパー表示装置の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好適な実施の形態を、図面を参考にして詳細に説明する。次に示される各実施の形態は当業者にとって本発明の思想が十分に伝達されることができるようにするために例として挙げられるものである。従って、本発明は以下に示している各実施の形態に限定されることなく他の形態で具体化されることができる。そして、図面において、装置の大きさ及び厚さなどは便宜上誇張して表現されることができる。明細書全体に渡って同一の参照符号は同一の構成要素を示している。
【0029】
本明細書で使われた用語は、実施形態を説明するためのものであって、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数形は文句で特別に言及しない限り複数形も含む。明細書で使われる「含む」とは、言及された構成要素、ステップ、動作及び/又は素子は、一つ以上の他の構成要素、ステップ、動作及び/又は素子の存在または追加を排除しないことに理解されたい。
【0030】
図1は、本発明の実施形態による電子ペーパー表示装置におけるボールの配置を概略的に示す平面図で、図2は、図1中のI−I'線に沿った断面図である。
【0031】
図1及び図2を参照して、本発明の実施形態による電子ペーパー表示装置100は、下部構造物110と、上部構造物120と、スペーサ130と、絶縁性オイル144とを含む。
【0032】
下部構造物110は、第1のプレート112と、第1の隔壁構造体114と、サブ色表現手段(以下、「第1の回転ボール116」とも称す)とを含む。第1のプレート112は、第1の隔壁構造体114及び第1の回転ボール116を支持するためのベース基板であってもよい。第1のプレート112は、金属材料から成ることができる。この場合、第1のプレート112は、第1の回転ボール116を回転させるための電極として使われる。
【0033】
第1の隔壁構造体114は、第1のプレート112上で第1の回転ボール116を支持及び仕切る。第1の隔壁構造体114は、第1のプレート112を覆う絶縁パターンであってもよい。該絶縁パターンは、第1の回転ボール116が位置する第1のキャビティ114aを有する。第1のキャビティ114aは、下部構造物110から上に向けて開放された柱状を有する。
【0034】
第1の回転ボール116の各々は、第1の半球116a及び第2の半球116bから成る球形状を有する。第1の半球116a及び第2の半球116bは、異なる色相を有する。一例として、第1の半球116aは、黒、白、赤、緑、青、シアン、マジエンタ及び黄のうちのいずれか一つで、第2の半球116bは、黒、白、赤、緑、青、シアン、マジエンタ及び黄のうちの他の一つである。また、第1の半球116aの電荷値と第2の半球116bの電荷値とは異なって設定される。一例として、第1の半球116a及び第2の半球116bは、異なる電荷で帯電(electrification)される。他の例として、第1の半球116a及び第2の半球116bのうちのいずれか一つのみが選択的に帯電され、第1の半球116a及び第2の半球116bの各電荷値が異なることになる。
【0035】
上部構造物120は、第2プレート122と、第2の隔壁構造体124と、メイン色表現手段126とを含む。第2のプレート122は、第2の隔壁構造体124及びメイン色表現手段126を支持するためのベース基板であってもよい。第2のプレート122は、金属材料から成ることができる。この場合、該第2のプレート122は、メイン色表現手段126を回転させるための電極として使われる。一方、第2のプレート122は、光透過性の高い材料から成る。より詳しくは、第1の回転ボール116及びメイン色表現手段126の色相は、上部構造物120を通じて外部へ表示される。これによって、第2のプレート122は、第1の回転ボール116及びメイン色表現手段126の色相表現の効率が低下しないように、光透過性の高い透明材料から成ることが望ましい。例えば、第2のプレート122には、ガラス基板が挙げられる。この場合、第1のプレート112と共に、第1の回転ボール116及びメイン色表現手段126に電圧を供給するための電極は、第2のプレート122上に別に設けられることができる。
【0036】
第2の隔壁構造体124は、第2のプレート122上でメイン色表現手段126を支持及び仕切る。該第2の隔壁構造体124は、第2のプレート122を覆う絶縁パターンであってもよい。該絶縁パターンは、メイン色表現手段126が位置する第2のキャビティ124aを有する。該第2のキャビティ124aは、上部構造物120から下に向けて開放された柱状を有する。
【0037】
メイン色表現手段126は、第2のプレート122を通じて外部へ色を表現するための構成である。例えば、メイン色表現手段126としては、第1の回転ボールに比べて大きい大きさの回転ボールが用いられる。一例として、メイン色表現手段(以下、「第2の回転ボール126」とも称す)の各々は、第3の半球126a及び第4の半球126bから成る球形状を有する。これらの第3の半球126a及び第4の半球126bは、異なる色相を有する。また、第3の半球126aの電荷値と第4の半球126bの電荷値とは異なって設定される。第3の半球126a及び第4の半球126bの色相選択及び電荷値調節方式は、前述した第1及び第2の半球116a、116bの色相選択及び電荷値調節方式と概ね同じである。
【0038】
一方、第1の回転ボール116は、第2の回転ボール126間の空間を通じて外部へ色を表現する。例えば、第2の回転ボール126は、電子ペーパー表示装置100において色相が表現される色表現面積の大部分を占めるように、平面的に配置される。このため、第2の回転ボール126は、ジグザグ形態に配置される。これによって、第2の回転ボール126は、色を表現するためのメイン回転ボールとして外部へ色相を表現することができる。しかしながら、第2の回転ボール126は球形状を有するため、第2の回転ボール126を密着して配置すると言っても、第2の回転ボール126間には空きが生じることになる。該空きは、第2の回転ボール126によって色が表現されない色表現の死角領域になる。よって、第1の回転ボール116は、色表現の死角領域を通じて外部へ色を表現するべく、第2の回転ボール126間の空間に配置される。一例として、第1の回転ボール116の中心は、隣接する三つの第2の回転ボール126の中点間を接続する三角形10の中心と一致するように配置される。この場合、第1の回転ボール116は、第2の隔壁構造体124と対向することになる。
【0039】
また、第1の回転ボール116は、第2の回転ボール126に比べて小さな直径を有するように、その大きさが調節されることが望ましい。より詳しくは、第1の回転ボール116の大きさが大きくなるほど、より広い死角領域で色を表現することができ、電子ペーパー表示装置100の色鮮明度をさらに向上することができる。しかしながら、第1の回転ボール116の大きさが第2の回転ボール126の大きさ以上の場合、第1の回転ボール116による色再現率が向上する効率が逆に減少してしまう。一方、第1の回転ボール116の大きさが第2の回転ボール126の大きさ以上の場合、隣接する第1の回転ボール116間の衝突が発生し、また、第1の隔壁構造体114の厚さを極めて薄くしなければならないため、第1の回転ボール116の配置や第1の隔壁構造体114の製造などに相当な制約を受けることになる。そのため、第1の回転ボール116の大きさを第2の回転ボール126の大きさより小さくすることが、第1の回転ボール116の配置や第1の隔壁構造体114の製造効率面で有利する。例えば、第1の回転ボール116の直径は、第2の回転ボール126の直径に比べて略1/4〜1/2に調節されることができる。第1の回転ボール116の直径が第2の回転ボール126の直径に比べて1/4より小さな場合、第1の回転ボール116のサブ色表現手段としての機能が低下することになる。これに対して、第1の回転ボール116の直径が第2の回転ボール126の直径より1/2位大きい場合、第1の回転ボール116の配置空間の確保が難しくなる。
【0040】
スペーサ130は、下部構造物110と上部構造物120との間の間隔を予め決められた間隔で保持させる。このため、スペーサ130の高さは、下部構造物110と上部構造物120との予め決められた間隔と同じくなる。また、複数のスペーサ130を下部構造物110と上部構造物120との間に配置して、下部構造物110と上部構造物120との間の間隔が各領域で隔たるか狭くなることを防止することができる。
【0041】
絶縁性オイル144は、第1及び第2の回転ボール116、126の円滑な回転のために、第1及び第2の回転ボール116、126に潤滑性を提供するための液体である。このため、絶縁性オイル144は、下部構造物110と上部構造物120との間の空間に満たされる。すなわち、絶縁性オイル144は、第1及び第2のキャビティ114a、124a内部を満たすことができる。絶縁性オイル144は、第1及び第2の回転ボール116、126の色再現率が低下することを防止するべく、光透過性の高い材料から成ることが望ましい。
【0042】
前述のような電子ペーパー表示装置100は、次のように動作する。一例として、第1の回転ボール116の第1の半球116aは黒色で、第2の半球116bは白色である。そして、第2の回転ボール126の第3の半球126aは赤、緑、青、シアン、マジエンタ及び黄のうちのいずれか一つで、第4の半球126bは黒及び白のうちのいずれか一つである。この場合、第1及び第2のプレート112、122は、第2の回転ボール126に電圧を供給し、第3の半球126aが第2のプレート122に向けるようにして、外部へ所定の色を表現するようにする。ここで、第1及び第2のプレート112、122は、第1の回転ボール116に電圧を供給して、第1の半球116aまたは第2の半球116bが選択的に第2のプレート122に向けるようにして、第2の回転ボール126が表現する組合色の明度及び彩度を調節することができる。これによって、電子ペーパー表示装置100は、第1の回転ボール116を選択的に回転させて、第2の回転ボール126が表現する色相の彩度及び明度を調節することができるため、コントラスト比や反射率が向上することができる。
【0043】
前述のように、本発明の実施形態による電子ペーパー表示装置100は、色表示面に隣接して設けられる第2の回転ボール126の色死角領域を通じて、相対的に色表示面に遠く配置される第1の回転ボール116が外部へ色を表現するように構成される。これによって、本発明による電子ペーパー表示装置は、ある一つの平面上に配置される回転ボールの色表現の死角領域は、他の平面上に配置される回転ボールによって色が表現されるようにして、色再現率、コントラスト比、反射率を向上した構造を有することができる。
【0044】
以下、本発明の実施形態による電子ペーパー表示装置の製造方法に対して詳記する。ここで、前述の本発明の実施形態による電子ペーパー表示装置100に対して重複する説明は省略する。
【0045】
図3は、本発明の実施形態による電子ペーパー表示装置の製造方法を示すフローチャートで、図4a〜図4dは各々、本発明の実施形態による電子ペーパー表示装置の製造過程を説明するための断面図である。
【0046】
まず、図3及び図4aに示すように、第1の回転ボール116を有する下部構造物110を形成する(S110)。該下部構造物110を形成する工程は、第1のプレート112を準備する工程と、該第1のプレート112上に第1のキャビティ114aを有する第1の隔壁構造体114aを形成する工程と、第1の回転ボール116を第1のキャビティ122内に位置させる工程とを含む。
【0047】
第1のプレート112を準備する工程は、導電性を有するプレートを準備する工程を含む。一例として、第1のプレート112には、金属板が挙げられる。このような第1のプレート112は、第1の回転ボール116を回転させるための電極として使われる。
【0048】
第1の隔壁構造体114を形成する工程は、第1のプレート112上に第1の絶縁膜を形成する工程と、該第1の絶縁膜に第1の凹部を形成する工程とを含む。第1の絶縁膜には、ドライフィルムレジスト(Dry film Resist:DFR)のような光反応性絶縁フィルムが挙げられる。第1の絶縁膜がドライフィルムレジストから成る場合、該隔壁形成用の絶縁膜を形成する工程は、第1のプレート112の全面にドライブイルムレジストを積層(lamination)することによって行われる。該第1の凹部を形成する工程は、ドライフィルムレジストの一部領域を選択的に取り除くフォトリソグラブィ工程によって行われる。本実施形態では、フォトリソグラフィ工程を用いて第1の隔壁構造体114を形成することとして説明したが、これに限定するものではない。例えば、第1の隔壁構造体114を形成する方法としては、インプリント工程、所定のエッチング工程などが挙げられる。
【0049】
続いて、図3及び図4bに示すように、第2の回転ボール126を有する上部構造物120を形成する(S120)。該上部構造物120を形成する工程は、第2のプレート122を準備する工程と、該第2のプレート122上に第2のキャビティ124aを有する第2の隔壁構造体124を形成する工程と、該第2のキャビティ124a内に第2の回転ボール126を位置させる工程とを含む。
【0050】
第2のプレート122を準備する工程は、導電性及び光透過性を有するプレートを準備する工程を含む。一例として、第2のプレート122には、ITOのような透明電極が挙げられる。
【0051】
第2の隔壁構造体124を形成する工程は、第2のプレート122上に隔壁形成用第2の絶縁膜を形成する工程と、該第2の絶縁膜に、第2の回転ボール126が位置する第2の凹部を形成する工程とを含む。第2の絶縁膜には、ドライフィルムレジスト(DFR)のような光反応性絶縁フィルムが挙げられる。第1の絶縁膜がドライフィルムレジストの場合、第2の絶縁膜を形成する工程は、第2のプレート122の全面にドライフィルムレジストを積層することによって行われる。第2の凹部を形成する工程は、ドライフィルムレジストの一部領域を選択的に取り除くフォトリソグラフィ工程によって行われる。本実施形態では、フォトリソグラフィ工程を用いて第2の隔壁構造体124を形成することとして説明したが、これに限定するものではない。例えば、第2の隔壁構造体124を形成する方法には、インプリント工程、所定のエッチング工程などが挙げられる。
【0052】
続いて、図3及び図4cに示すように、第1の回転ボール116が第2の回転ボール126間の領域に対向するままで、下部構造物110と上部構造物120とを結合する(S130)。例えば、下部構造物110及び上部構造物120のうちの少なくともいずれか一つにスペーサ130を形成する。該スペーサ130を形成する工程は、電子ペーパー表示装置の画素領域以外の領域に絶縁体を形成することによって行われる。
【0053】
続いて、下部構造物110の上部に上部構造物120を位置させる。例えば、第1の隔壁構造体114と第2の隔壁構造体124とが互いに対向するように、上部構造物120を下部構造物110の上部に配置する。この時、上部構造物120は、第2の回転ボール126間の領域に第1の回転ボール116が位置するように、下部構造物110上にアライメントされる。このため、上部構造物120を反転(turn−over)させる工程が追加されてもよい。
【0054】
一方、上部構造物120を反転させる過程で、第2の回転ボール126が第2のキャビティ124aから離脱することがある。これを防止するため、第2の回転ボール126を第2のキャビティ124a内に位置させる過程で、第2のキャビティ124a内に接着剤142を注入する工程が追加されることができる。該接着剤142は、上部構造物120を反転させた時、第2の回転ボール126が落ちることを防止するためのものである。また、接着剤142は、第2の回転ボール126の回転効率の低下を防止すると共に、光透過性の高い材料から成ることが望ましい。このため、接着剤142としては、第1及び第2の回転ボール116、126の回転潤滑性のための絶縁性オイルが挙げられる。
【0055】
また、スペーサ130をストッパとして上部構造物120を下部構造物110を向けて密着させる。これによって、下部構造物110と上部構造物120とはスペーサ130を介して、予め決められた間隔を維持しながら互いに密着されて結合される。
【0056】
続いて、図3及び図4dに示すように、下部構造物110と上部構造物120との間に絶縁性オイル144を供給する(S140)。例えば、下部構造物110と上部構造物120との間に所定の注入通路(図示せず)を形成した後、該注入通路を通じて絶縁性オイル144を供給して第1及び第2のキャビティ114a、124a内を満たす。
【0057】
前述のように、本発明によれば、第1の回転ボール116を有する下部構造物110を形成し、第2の回転ボール126を有する上部構造物120を形成した後、第2の回転ボール126間の領域に第1の回転ボール116が対向するように下部構造物110と上部構造物120とを結合し、第2の回転ボール126間の領域から色表現ができるように第1の回転ボール116を配置した構造の電子ペーパー表示装置を製造することができる。従って、本発明による電子ペーパー表示装置の製造方法は、ある一つの平面上に配置される回転ボールの色表現の死角領域で、他の平面上に配置される回転ボールが色を表現することができるようにして、色再現率、コントラスト比、反射率を向上することができる。
【0058】
以下、本発明の実施形態による電子ペーパー表示装置の変形例について詳記する。ここで、図1〜図4dを参照して説明した電子ペーパー表示装置に対して重複する説明は省略する。
【0059】
図5は、本発明の変形例による電子ペーパー表示装置を示す断面図である。図5に示すように、本発明の変形例による電子ペーパー表示装置101は、第1の回転ボール116を有する下部構造物110aと、第2の回転ボール126を有する上部構造物120と、スペーサ130と、絶縁性オイル140とを含む。下部構造物110aは、第2の回転ボール126に対向する部分が凹になった第1の隔壁構造体114'を有する。
【0060】
例えば、第1の隔壁構造体114'は、第1のプレート112上に形成される。第1の隔壁構造体114'は、第1のプレート112上で第1の回転ボール116を側方向に仕切る第1のキャビティ114a'を有する。また、第1の隔壁構造体114'は、第2の回転ボール126と対向する部分が凹になった第3のキャビティ114bを有する。該第3のキャビティ114bは、第2の回転ボール126と対向して開放された構造を有する。
【0061】
第3のキャビティ114bは、第2の回転ボール126の回転特性を向上するために設けられる。より詳しくは、第2の回転ボール126の回転時には、第2の回転ボール126の回転動作と共に、第2の回転ボール126の上下動作が行われる。これによって、第2の回転ボール126の効率的な回転のためには、第2の回転ボール126の上下移動のための十分な高さを確保することが望ましい。このため、第3のキャビティ114bは、第2の回転ボール126の上下移動のための空間を確保するために提供される。
【0062】
一方、第3のキャビティ114bの十分な空間を確保するためには、第2の回転ボール126と対向する領域が略開放される構造を有することが望ましい。このため、第1の回転ボール116の大きさは、第3のキャビティ114bの空間確保のために、相対的に小くなるのが望ましい。一例として、第1の回転ボール116の直径は、第2の回転ボール126より1/3以下に調節される。第1の回転ボール116の直径が第2の回転ボール126より1/3大きい場合、第3のキャビティ114bの大きさが相対的に増加して、第2の回転ボール126の上下動作の効率が低下してしまう。
【0063】
前述のように、本発明の変形例による電子ペーパー表示装置101は、第2の回転ボール126の色死角領域を通じて、第1の回転ボール116が外部へ色を表現するように構成される。第1の回転ボール116を側方向に仕切る第1の隔壁構造体114は、第2の回転ボール126と対向する領域に第2の回転ボール126に向けて開放された第3のキャビティ114bを形成する。これによって、本発明による電子ペーパー表示装置は、メイン色表現手段である回転ボールの回転動作の時発生する上下移動のための空間を、サブ色表現手段の区切りのための隔壁構造体にキャビティを形成して確保することによって、回転ボールの回転特性を向上した構造を得ることができる。
【0064】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、前記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0065】
100 電子ペーパー表示装置
110 下部構造物
112 第1のプレート
114 第1の隔壁構造体
114a 第1のキャビティ
116 第1の回転ボール
120 上部構造物
122 第2のプレート
124 第2の隔壁構造体
124a 第2のキャビティ
126 第2の回転ボール
130 スペーサ
144 絶縁性オイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同じ平面上に配置されて外部へ色を表現する回転ボールと、
前記回転ボール間の空間を通じて、外部へ色を表現するサブ色表現体と
を含む電子ペーパー表示装置。
【請求項2】
前記サブ色表現体は、前記回転ボールに比べて小さな大きさの回転ボールを含む請求項1に記載の電子ペーパー表示装置。
【請求項3】
前記サブ色表現体は、前記回転ボール間の領域に対向するように配置された回転ボールを含む請求項1に記載の電子ペーパー表示装置。
【請求項4】
前記回転ボールを側方向に仕切る隔壁構造体を含み、
前記隔壁構造体は、光透過性を有する透明材料から成り、
前記サブ色表現体は、前記隔壁構造体を通じて、外部へ色を表現する請求項1に記載の電子ペーパー表示装置。
【請求項5】
第1の回転ボールを有する下部構造物と、
前記下部構造物の上部に配置され、前記第1の回転ボールに比べて大きい大きさを有する第2の回転ボールを有する上部構造物と、
前記下部構造物と前記上部構造物との間の空間を満たす絶縁性オイルと
を含み、
前記第1の回転ボールは、前記第2の回転ボール間の領域に対向するように配置される電子ペーパー表示装置。
【請求項6】
前記下部構造物は、
第1のプレートと、
前記第1のプレート上に形成され、前記第1の回転ボールの配置される第1のキャビティを有する第1の隔壁構造体とを含み、
前記上部構造物は、
前記第2のプレートと、
前記第2のプレート上に形成され、前記第2の回転ボールが位置し、前記第1のキャビティに比べて大きい大きさを有する第2のキャビティを有する第2の隔壁構造体とを含む請求項5に記載の電子ペーパー表示装置。
【請求項7】
前記第1のプレート及び前記第2のプレートは、前記第1の回転ボール及び前記第2の回転ボールに電圧を供給するための電極として使われる請求項6に記載の電子ペーパー表示装置。
【請求項8】
前記第1の隔壁構造体は、前記第2の回転ボールに対向する領域が凹になった構造を有する請求項6に記載の電子ペーパー表示装置。
【請求項9】
前記第1の回転ボールの各々は、第1の半球及び該第1の半球と異なる電荷値を有する第2の半球から成り、
前記第2の回転ボールの各々は、第3の半球及び該第3の半球と異なる電荷値を有する第4の半球から成り、
前記第1の半球は黒で、
前記第2の半球は白で、
前記第3の半球は、赤、緑、青、シアン、マジエンタ及び黄のうちのいずれか一つで、前記第4の半球は、黒、白、赤、緑、青、シアン、マジエンタ及び黄のうちの他の一つである請求項6に記載の電子ペーパー表示装置。
【請求項10】
前記第2の回転ボールは、平面視でジグザグ形態を有するように配置され、
前記第1の回転ボールは、前記第1の回転ボールの中心と隣接する三つの前記第2の回転ボールの中心とが一致するように配置される請求項5に記載の電子ペーパー表示装置。
【請求項11】
前記下部構造物と前記上部構造物との間に配置され、前記下部構造物と前記上部構造物との間の間隔を予め決められた間隔で保持させるスペーサを、さらに含む請求項5に記載の電子ペーパー表示装置。
【請求項12】
第1の回転ボールを有する下部構造物を形成する工程と、
前記第1の回転ボールに比べて大きい大きさを有する第2の回転ボールを有する上部構造物を形成する工程と、
前記第2の回転ボール間の領域に前記第1の回転ボールが対向するように、前記下部構造物と前記上部構造物とを結合する工程と
前記下部構造物と前記上部構造物との間の空間に絶縁性オイルを満たす工程とを含む電子ペーパー表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記下部構造物を形成する工程は、
第1のプレートを準備する工程と、
前記第1のプレートに第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜の一部をとり除いて、前記第1の回転ボールの配置される第1のキャビティを形成する工程とを含み、
前記上部構造物を形成する工程は、
第2のプレートを準備する工程と、
前記第2のプレートに第2の絶縁膜を形成する工程と、
前記第2の絶縁膜の一部をとり除いて、前記第2の回転ボールが配置され、前記第1のキャビティに比べて大きい大きさを有する第2のキャビティを形成する工程とを含む請求項12に記載の電子ペーパー表示装置の製造方法。
【請求項14】
前記第1のプレート及び前記第2のプレートは、前記第1及び第2の回転ボールに電圧を供給する電極として使われる請求項13に記載の電子ペーパー表示装置の製造方法。
【請求項15】
前記下部構造物と前記上部構造物とを結合する工程は、
前記下部構造物にスペーサを形成する工程と、
前記スペーサをストッパとして、前記下部構造物に前記上部構造物を密着させる工程とを含む請求項12に記載の電子ペーパー表示装置の製造方法。
【請求項16】
前記上部構造物を形成する工程は、前記第2の回転ボールを側方向に仕切る第2の隔壁構造体を形成する工程を含み、
前記スペーサを形成する工程は、前記電子ペーパー表示装置の画素領域以外の領域に、前記第2の隔壁構造体に比べて厚い厚さを有する絶縁体を形成する工程とを含む請求項15に記載の電子ペーパー表示装置の製造方法。
【請求項17】
前記上部構造物を形成する工程は、
第2のプレートを準備する工程と、
前記第2のプレート上に前記第2の回転ボールを側方向に仕切る第2の隔壁構造体を形成する工程と、
前記第2のキャビティに接着剤を注入する工程と、
前記接着剤を用いて前記第2の回転ボールを前記第2のキャビティ内に接着させる工程と
を含む請求項12に記載の電子ペーパー表示装置の製造方法。
【請求項18】
前記接着剤は、前記絶縁性オイルである請求項17に記載の電子ペーパー表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−128406(P2012−128406A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247274(P2011−247274)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】