説明

電子ペーパー表示装置及びその駆動方法

【課題】多様な階調表現が可能な電子ペーパー表示装置及び駆動方法を提供する。
【解決手段】互いに異なる色で着色された少なくとも2つの表示領域を備え、正電荷に帯電された部分と負電荷に帯電された部分を含む回転ボール10、10−1、10−2と、回転ボール10、10−1、10−2を回転させる駆動電圧を発生させる駆動制御部40と、駆動制御部40により駆動電圧を印加される上部電極20及び下部電極30と、を含む。駆動制御部40は、上部電極20と下部電極30との間に、回転ボール10、10−1、10−2を回転させる第1駆動電圧をT1時間印加し、反対の極性を有する第2駆動電圧をT2時間印加することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子ペーパー表示装置及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子ペーパーは、樹脂などからなる薄い基板に文字や映像などを表示することができる表示装置を意味する。これは、薄型化が可能で柔軟性(flexibility)を有することにより、今後、本、新聞、雑誌などの古典的な印刷媒体を代替できる表示装置であって、既に様々な形態の電子本や電子ラベルに適用されている。
【0003】
電子ペーパーは、電気泳動方式と回転ボール方式に大別することができる。
【0004】
前記電気泳動方式は、電荷を帯びる数十〜数百万個の微細な電気泳動粒子を電極間に配置し、前記電極に電圧を印加することにより様々な文字及び映像を表現する方式である。
【0005】
一方、前記回転ボール方式は、正電荷と負電荷を共に有し、前記電気泳動粒子の代わりに、表面に2以上の色で着色された回転ボール(またはツイストボール)を電極の間に配置し、電極に印加された駆動電圧により回転ボールを回転させて2以上の色を表現する方式である。
【0006】
前記回転ボール方式を適用した電子ペーパーの場合、電気泳動方式と異なり、回転ボールの半球面を回転させて黒色または白色などを表現するが、このような回転ボール方式の電子ペーパーは、回転ボールの微細な角度調節が難しいため、ほとんどの場合白色または黒色しか表現できなかった。
【0007】
このように白色と黒色で表現された複数の回転ボールを一つの単位で結合して白色と黒色を組み合わせる方式を用いると、段階的なグレーを表現することはできるが、一つの単位のグレーを表現するためには多数の回転ボールが必要となり、またグレーで表現される最小単位の面積が広くなるため、イメージの解像度が低くなる短所があった。
【0008】
即ち、従来の回転ボール方式の電子ペーパーは、解像度の低下を防止しながら階調(gradation)を表現するのが難しいという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2005−0079116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記のような問題点を解決するために発明された本発明は、電極に印加される駆動電圧を制御して、多様な階調表現が可能な電子ペーパー表示装置及びその駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記のような目的を達成するために発明された本発明の一実施形態による電子ペーパー表示装置は、互いに異なる色で着色された少なくとも2つの表示領域を備え、正電荷に帯電された部分と負電荷に帯電された部分を含む回転ボールと、この回転ボールを回転させる駆動電圧を発生する駆動制御部と、前記回転ボールの上部及び下部に備えられ、前記駆動制御部から駆動電圧を印加される上部電極及び下部電極と、を含み、前記駆動制御部は、上部電極と下部電極との間に、前記回転ボールを回転させる第1駆動電圧をT1時間印加し、前記第1駆動電圧と反対の極性を有する第2駆動電圧をT2時間印加することができる。
【0012】
この際、第1駆動電圧と第2駆動電圧は絶対値が同一であり、前記T1とT2はT1≠T2の関係であることができる。
【0013】
また、第1駆動電圧と第2駆動電圧は絶対値が異なり、前記T1とT2は、T1=T2の関係であることができる。
【0014】
さらに、第1駆動電圧と第2駆動電圧は絶対値が異なり、前記T1とT2はT1≠T2の関係であることができる。
【0015】
なお、駆動制御部は、前記上部電極と下部電極との間に第1駆動電圧をT1時間印加し、上部電極と下部電極との間に第2駆動電圧をT2時間印加する過程を、少なくとも2回順に繰り返すことができる。
【0016】
一方、本発明の一実施形態による電子ペーパー表示装置の駆動方法は、互いに異なる色で着色された少なくとも2つの表示領域を備え、正電荷に帯電された部分と負電荷に帯電された部分を含む回転ボールが、上部電極と下部電極との間に位置する電子ペーパー表示装置を駆動する方法であって、上部電極と下部電極との間に、前記回転ボールを回転させる第1駆動電圧をT1時間印加する段階と、上部電極と下部電極との間に、前記第1駆動電圧と反対の極性を有する第2駆動電圧をT2時間印加する段階と、を含むことができる。
【0017】
この際、第1駆動電圧と第2駆動電圧は絶対値が同一であり、前記T1とT2はT1≠T2の関係であることができる。
【0018】
また、第1駆動電圧と第2駆動電圧は絶対値が異なり、前記T1とT2は、T1=T2の関係であることができる。
【0019】
さらに、第1駆動電圧と第2駆動電圧は絶対値が異なり、前記T1とT2はT1≠T2の関係であることができる。
【0020】
なお、前記上部電極と下部電極との間に第1駆動電圧をT1時間印加する段階と、上部電極と下部電極との間に第2駆動電圧をT2時間印加する段階と、を少なくとも2回順に繰り返すことができる。
【発明の効果】
【0021】
前記のように構成された本発明は、回転ボール方式の電子ペーパー表示装置において精密な階調調節が可能で、かつ階調調節にともなう解像度低下の問題を防止することができる。また、回転ボールの階調調節のための別途の付加的な電極を必要としない電子ペーパー表示装置及び電子ペーパー表示装置の駆動方法を提供できるという有用な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態による電子ペーパー表示装置を示した概路図である。
【図2】本発明の一実施形態による電子ペーパー表示装置に、駆動電圧を短時間印加した状態における電子ボールの回転状態を示した概路図である。
【図3】本発明の一実施形態による電子ペーパー表示装置に、一定の駆動電圧を十分な時間印加した状態における電子ボールの回転状態を示した概路図である。
【図4】本発明の一実施形態による電子ペーパー表示装置に印加される駆動電圧の時間的分布を示した図面である。
【図5】本発明の他の実施形態による電子ペーパー表示装置に印加される駆動電圧の時間的分布を示した図面である。
【図6】本発明のまた他の実施形態による電子ペーパー表示装置に印加される駆動電圧の時間的分布を示した図面である。
【図7】駆動電圧の印加による回転ボールの回転状態を示した図面である。
【図8】駆動電圧の印加による回転ボールの回転状態を示した図面である。
【図9】本発明の一実施形態による電子ペーパー表示装置から出力される画面を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の利点及び特徴、またそれらを達成する技術などは、添付の図面と共に以下の詳細な実施形態を参照すれば明確になる。しかし、本発明は以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、相違する多様な形態に具現されることができる。本実施形態は、本発明の開示が完全になるようにすると共に、本発明が属する技術分野において通常の知識を有した者に発明の範疇を完全に知らせるために提供することができる。また、明細書全体に亘り同一の参照符号は同一の構成要素を示す。
【0024】
本明細書で使用された用語は、実施形態を説明するためのものであって、本発明を制限するためのものではない。本明細書において、単数型は文章で特に言及しない限り複数型も含む。明細書で使用される「〜を含む(comprise)」及び/又は「〜を含んでいる(comprising)」により言及された構成要素、段階、動作及び/又は素子は、一つ以上の他の構成要素、段階、動作及び/又は素子の存在又は追加を排除しない。
【0025】
以下、添付の図面を参照して本発明による電子ペーパー表示装置100を詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態による電子ペーパー表示装置100を示した概路図である。
【0027】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による電子ペーパー表示装置100は、回転ボール10、駆動制御部40、上部電極20及び下部電極30を含むことができる。
【0028】
前記回転ボール10は、互いに異なる色で着色された少なくとも2つの表示領域を備えることができる。このような表示領域は、図1において白色領域と斜線領域とで表現されているが、3以上の領域に区分して、3色以上で着色することもできる。以下、説明の便宜上、前記白色領域を白半球12とし、斜線領域を黒半球11とする。
【0029】
また、前記回転ボール10は、正電荷に帯電された部分と負電荷に帯電された部分を含むことができる。例えば、前記黒半球11には負電荷が帯電され、前記白半球12には正電荷が帯電されることができる。
【0030】
前記上部電極20及び下部電極30は、回転ボール10の上部と下部にそれぞれ位置し、前記駆動制御部40から駆動電圧を印加され電場を形成することにより、回転ボール10の回転状態を設定する機能を果たすことができる。
【0031】
また、前記上部電極20及び下部電極30の間には様々な組み合わせの絶縁オイルが注入され、この絶縁オイル内に回転ボール10を備えることができる。
【0032】
前記駆動制御部40は、電子ペーパー表示装置100に表示される文字や映像などの情報に応じて、電子ペーパー表示装置100のそれぞれの電極に駆動電圧を印加する機能を有することができる。
【0033】
また、前記駆動制御部40は、電子ペーパー表示装置100に表示される文字や映像の他にも階調に関する情報の入力を受け、前記上部電極20及び下部電極30の間に階調を表現するための駆動電圧を印加することができる。
【0034】
図2は、一本発明の実施形態による電子ペーパー表示装置100に駆動電圧を短時間印加した状態における電子ボールの回転状態を示した概路図であり、図3は、本発明の一実施形態による電子ペーパー表示装置100に一定の駆動電圧を十分な時間印加した状態における電子ボールの回転状態を示した概路図である。この際、すべての表示素子に同一の駆動電圧が印加されると仮定する。
【0035】
前記回転ボール10は、直径、形態、表面摩擦力及び重量などの特性が少し異なり得る。このような回転ボール10の特性の差は、回転ボール10の回転量や速度に影響を与えることができる。
【0036】
例えば、同一の駆動電圧を同一の時間印加した時、直径が小さいほど、形態が球形に近いほど、表面摩擦力が小さいほど、又は軽量であるほど、回転量や速度が大きくなる。
【0037】
図2及び図3では、このような回転ボール10の特性による回転量や速度の差による電子ペーパー表示装置100の駆動特性を説明するために、直径が異なる場合を代表的に示した。
【0038】
図2を参照すると、駆動電圧が短時間印加された場合には、回転量や速度が最も大きい回転ボール10は、黒半球11が垂直上方に向かうように十分に回転するが、回転量や速度が小さい回転ボール10−1、10−2は、回転量が十分でない可能性があることが理解できる。
【0039】
一方、図3を参照すると、一定の駆動電圧が十分な時間印加された場合には、結局すべての回転ボール10の黒半球11が、垂直上方に向かうように十分に回転することが理解できる。
【0040】
図4は、本発明の一実施形態による電子ペーパー表示装置100に印加される駆動電圧の時間的分布を示した図面である。
【0041】
図4を参照すると、前記駆動電圧は、第1駆動電圧V1と第2駆動電圧V2を含むことができる。この際、前記第2駆動電圧V2は、第1駆動電圧(V1)と反対の極性を有することができる。
【0042】
また、前記第1駆動電圧V1と第2駆動電圧V2は、絶対値が同一であることができ、この際、前記第1駆動電圧V1が印加される時間T1と第2駆動電圧V2が印加される時間T2は、異なり得る。
【0043】
前記第1駆動電圧V1は、回転ボール10が最大180゜まで回転できる大きさを有することができるが、第1駆動電圧V1の大きさは、回転ボール10の大きさ、電荷量、絶縁オイルの粘度、又は上下部電極の間隔などの条件によって異なり得る。
【0044】
前記第1駆動電圧V1は、停止状態の回転ボール10を運動状態にする機能を発揮することができる。
【0045】
回転ボール10が停止状態にある場合には、この回転ボール10が回転状態にある場合に比べ、これを回転させるためにより大きい力が必要となる可能性がある。このような点を考慮し、第1駆動電圧V1を停止状態の回転ボール10に印加することで運動状態にし、目標とする角度で迅速に回転できるようにする。
【0046】
一方、前記第2駆動電圧V2は、第1駆動電圧V1と絶対値は同一であるが、反対の極性を有することができ、第2駆動電圧V2が上部電極20と下部電極30との間に印加される場合、回転ボール10は黒半球11が垂直下方に向かって回転するようになる。
【0047】
また、前記T1とT2は異なることができる。このようにT1とT2を異なるようにして、第1駆動電圧V1と第2駆動電圧V2を印加する場合、回転ボール10の黒半球11が垂直上方に向かう場合を基準にして、T2の大きさによって黒半球11の傾斜程度を制御することができる。
【0048】
図5は、本発明の他の実施形態による電子ペーパー表示装置100に印加される駆動電圧の時間的分布を示した図面である。
【0049】
図5を参照すると、前記駆動電圧は、第1駆動電圧V1と第2駆動電圧V2を含むことができる。この際、前記第2駆動電圧V2は、第1駆動電圧V1と反対の極性を有し、絶対値が異なるようにすることがでる。この際、前記第1駆動電圧V1が印加される時間T1と第2駆動電圧V2が印加される時間T2は同一であることがある。
【0050】
前記第1駆動電圧V1は、回転ボール10の大きさ、電荷量、絶縁オイルの粘度、又は上下部電極の間隔などの条件によって異なり得る。
【0051】
前記第1駆動電圧V1は、停止状態の回転ボール10を運動状態にする機能を生じることができる。
【0052】
回転ボール10が停止状態にある場合には、回転ボール10が回転状態にある場合に比べ、回転ボール10を回転させるためにより大きい力が必要となる可能性がある。このような点を考慮し、第1駆動電圧V1を停止状態の回転ボール10に印加することで運動状態にし、目標とする角度で迅速に回転できるようにする。
【0053】
一方、前記第2駆動電圧V2は、第1駆動電圧V1と絶対値が異なり、反対の極性を有することができ、第2駆動電圧V2が上部電極20と下部電極30との間に印加される場合、回転ボール10は黒半球11が垂直下方に向かって回転するようになる。
【0054】
また、前記T1とT2は、同一であることができるが、前記第1駆動電圧V1と第2駆動電圧V2との差により、回転ボール10の黒半球11が垂直上方に向かう場合を基準にして、第1駆動電圧V1と第2駆動電圧V2の絶対値の差によって黒半球11の傾斜程度を制御することができる。
【0055】
図6は、本発明のまた他の実施形態による電子ペーパー表示装置100に印加される駆動電圧の時間的分布を示した図面である。
【0056】
図6を参照すると、前記駆動電圧は、第1駆動電圧V1と第2駆動電圧V2を含むことができる。この際、前記第2駆動電圧V2は、第1駆動電圧V1と反対の極性を有し、絶対値が異なり得る。この際、前記第1駆動電圧V1が印加される時間T1と第2駆動電圧V2が印加される時間T2とが互いに異なり得る。
【0057】
前記第1駆動電圧V1は、停止状態の回転ボール10を運動状態にする機能を生じさせることができ、また、第2駆動電圧V2は、目標とする角度で回転ボール10を回転させる機能を生じさせることができる。
【0058】
また、前記T1とT2が互いに異なるように設定することができる。
【0059】
前記第1駆動電圧V1とT1、第2駆動電圧V2とT2を調節して回転ボール10の黒半球11が垂直上方に向かう場合を基準にして、黒半球11の傾斜程度を制御することができる。
【0060】
この際、前記第1駆動電圧V1、第2駆動電圧V2、T1、T2は、回転ボール10の大きさ、電荷量、絶縁オイルの粘度、上下部電極の間隔などの条件によって異なり得る。
【0061】
一方、前記上部電極20と下部電極30との間に、第1駆動電圧V1をT1時間印加し、第2駆動電圧V2をT2時間印加する過程を、少なくとも2回以上繰り返すことができる。
【0062】
以下、図7を参照して本発明の一実施形態による電子ペーパー表示装置100の駆動方法について説明する。
【0063】
図7は、駆動電圧の印加による回転ボール10の回転状態を示した図面である。
【0064】
本発明の一実施形態による電子ペーパー表示装置100の駆動方法は、上部電極20と下部電極30との間に、回転ボール10を回転させる第1駆動電圧V1をT1時間印加する段階と、第2駆動電圧V2をT2時間印加する段階と、を含むことができる。
【0065】
前記第1駆動電圧V1は、回転ボール10を回転させる機能を生じさせることができる。
【0066】
また、第1駆動電圧V1は、停止状態の回転ボール10を運動状態にする機能を生じさせることができる。
【0067】
前記第2駆動電圧V2は、前記第1駆動電圧V1と反対の極性を有し、目標とする角度で回転ボール10を回転させる機能を生じさせることができる。
【0068】
図7を参照すると、図7(a)は、回転ボール10の黒半球11が垂直下方に向かって配列されており、停止状態である場合を示している。図面では回転ボール10の黒半球11が垂直下方に向かう場合を示したが、これに限定されるのではない。
【0069】
この際、第1駆動電圧V1をT1時間印加する場合は、図7(b)に示すように回転ボール10の黒半球11が垂直上方に向かって配列されることが理解できる。この際、前記第1駆動電圧V1及びT1は、回転ボール10の大きさ、表面摩擦力、電荷量、絶縁オイルの粘度、又は上下部電極の間隔などの条件によって異なり得る。また、図面に示す場合と異なり、回転ボール10の黒半球11が垂直上方に向かうことに限られるものではない。
【0070】
すなわち、図7(a)に示すように、停止状態の回転ボール10に第1駆動電圧V1をT1時間印加して、図7(b)のように運動状態にすることができる。
【0071】
次に、第2駆動電圧V2をT2時間印加して、図7(c)に示すように回転ボール10の黒半球11が所定の角度(図面ではαに示す)に配列されるようにすることができる。
【0072】
この際、前記第1駆動電圧V1、第2駆動電圧V2、T1およびT2の関係は、電子ペーパー表示装置100に関する説明の部分と類似しているため、重複する説明は省略する。
【0073】
図8は、駆動電圧の印加による回転ボール10の回転状態を示した図面である。
【0074】
図8の回転ボール10は、図7に示された回転ボール10に比べ直径が大きく表現されている。
【0075】
図8を参照すると、回転ボール10の直径が大きいか表面摩擦力が大きい場合、第1駆動電圧V1及び第2駆動電圧V2を一度ずつ印加することにより目標とする所定の角度(例えば図7におけるαなど)に達しない可能性がある。この場合、第1駆動電圧V1及び第2駆動電圧V2を繰り返して印加することで、最終的に目標とする角度(αなど)に達することができる。
【0076】
電子ペーパー表示装置100は、数千〜数十万個の回転ボール10を含むことができるが、前記回転ボール10の特性によって回転抵抗の散布が存在することがあり、このような回転抵抗の散布により精密な角度制御が難しい可能性がある。
【0077】
しかし、回転抵抗の散布により精密な角度制御が難しい場合にも、上記本発明の一実施形態による第1駆動電圧V1及び第2駆動電圧V2の繰り返し印加方法を適用すると、ほとんどの回転ボール10の黒半球11を目標とする角度で配列させることができる。
【0078】
但し、回転抵抗の散布が大きいほど、第1駆動電圧V1と第2駆動電圧V2の繰り返し印加の回数を増加させることができる。
【0079】
一方、電子ペーパー表示装置100の基本的な機能である文字及び映像の表現を行う回転ボール10別の駆動制御信号と、階調を調節するための前記第1駆動電圧V1及び第2駆動電圧V2とを適切に組み合わせることにより、文字及び映像を表現しながら階調を調節できる電子ペーパー表示装置100及び電子ペーパー表示装置100の駆動方法を具現することができる。
【0080】
この際、前記回転ボール10別の駆動制御信号と、階調調節のための第1駆動電圧V1及び第2駆動電圧V2は、同一の電極に印加されるか、互いに異なる電極を備えてそれぞれ印加することができる。
【0081】
図9は、本発明の一実施形態による電子ペーパー表示装置100から出力される画面を示した図面である。
【0082】
図9を参照すると、様々な大きさの回転ボール10により構成された電子ペーパー表示装置100にも本発明の一実施形態による駆動方法を適用し、白半球12の一部だけを露出するようにして階調を調節できることが確認できる。
【0083】
以上の詳細な説明は本発明を例示するものである。また、上述の内容は本発明の好ましい実施形態を示して説明するものに過ぎず、本発明は多様な他の組合、変更及び環境で用いることができる。即ち、本明細書に開示された発明の概念の範囲、述べた開示内容と均等な範囲及び/または当業界の技術または知識の範囲内で変更または修正が可能である。上述の実施形態は本発明を実施するにおいて最善の状態を説明するためのものであり、本発明のような他の発明を用いるにおいて当業界に公知された他の状態での実施、そして発明の具体的な適用分野及び用途で要求される多様な変更も可能である。従って、以上の発明の詳細な説明は開示された実施状態に本発明を制限しようとする意図ではない。また、添付された請求範囲は他の実施状態も含むと解釈されるべきであろう。
【符号の説明】
【0084】
10、10−1、10−2 回転ボール
11 黒半球
12 白半球
20 上部電極
30 下部電極
40 駆動制御部
V1 第1駆動電圧
V2 第2駆動電圧
100 電子ペーパー表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる色で着色された少なくとも2つの表示領域を備え、正電荷に帯電された部分及び負電荷に帯電された部分を含む回転ボールと、
前記回転ボールを回転させる駆動電圧を発生させる駆動制御部と、
前記回転ボールの上部及び下部に備えられ、前記駆動制御部からの駆動電圧が印加される上部電極及び下部電極と、を含み、
前記駆動制御部は、上部電極と下部電極との間に、前記回転ボールを回転させる第1駆動電圧をT1時間印加し、前記第1駆動電圧と反対の極性を有する第2駆動電圧をT2時間印加するものである電子ペーパー表示装置。
【請求項2】
第1駆動電圧と第2駆動電圧は絶対値が同一であり、
前記T1とT2はT1≠T2の関係である請求項1に記載の電子ペーパー表示装置。
【請求項3】
第1駆動電圧と第2駆動電圧は絶対値が異なり、
前記T1とT2は、T1=T2の関係である請求項1に記載の電子ペーパー表示装置。
【請求項4】
第1駆動電圧と第2駆動電圧は絶対値が異なり、
前記T1とT2はT1≠T2の関係である請求項1に記載の電子ペーパー表示装置。
【請求項5】
前記駆動制御部は、上部電極と下部電極との間に第1駆動電圧をT1時間印加し、上部電極と下部電極との間に第2駆動電圧をT2時間印加する過程を、少なくとも2回、順に繰り返すものである請求項1乃至4に記載の電子ペーパー表示装置。
【請求項6】
互いに異なる色で着色された少なくとも2つの表示領域を備え、正電荷に帯電された部分と負電荷に帯電された部分を含む回転ボールが上部電極と下部電極との間に位置する電子ペーパー表示装置を駆動する方法において、
上部電極と下部電極との間に前記回転ボールを回転させる第1駆動電圧をT1時間印加する段階と、
上部電極と下部電極との間に前記第1駆動電圧と反対の極性を有する第2駆動電圧をT2時間印加する段階と、を含む電子ペーパー表示装置の駆動方法。
【請求項7】
第1駆動電圧と第2駆動電圧は絶対値が同一であり、
前記T1とT2はT1≠T2の関係である請求項6に記載の電子ペーパー表示装置の駆動方法。
【請求項8】
第1駆動電圧と第2駆動電圧は絶対値が異なり、
前記T1とT2は、T1=T2の関係である請求項6に記載の電子ペーパー表示装置の駆動方法。
【請求項9】
第1駆動電圧と第2駆動電圧は絶対値が異なり、
前記T1とT2はT1≠T2の関係である請求項6に記載の電子ペーパー表示装置の駆動方法。
【請求項10】
上部電極と下部電極との間に第1駆動電圧をT1時間印加する段階と、
上部電極と下部電極との間に第2駆動電圧をT2時間印加する段階と、を少なくとも2回、順に繰り返す請求項6乃至9に記載の電子ペーパー表示装置の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−234173(P2012−234173A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−100707(P2012−100707)
【出願日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】