電子マネーチャージ装置の盗難監視システムおよび電子マネーチャージ装置
【課題】
移動体通信システムを利用し、電子マネーチャージ装置が盗難に遭った場合でも、その電子マネーチャージ装置の不正利用を防止することのできる電子マネーチャージ装置の盗難監視システムおよび電子マネーチャージ装置を提供する。
【解決手段】
自動販売機1に配設され電子マネーのチャージを行う電子マネー決済部の通信部が、移動体通信網2に対して位置登録をした基地局21−2が前回に位置登録をした基地局21−1と異なる場合に、監視装置5に移動通知を送出し、これを受けた監視装置5が自動販売機1の電子マネー決済部にチャージ機能を停止させる停止命令を送出する。
移動体通信システムを利用し、電子マネーチャージ装置が盗難に遭った場合でも、その電子マネーチャージ装置の不正利用を防止することのできる電子マネーチャージ装置の盗難監視システムおよび電子マネーチャージ装置を提供する。
【解決手段】
自動販売機1に配設され電子マネーのチャージを行う電子マネー決済部の通信部が、移動体通信網2に対して位置登録をした基地局21−2が前回に位置登録をした基地局21−1と異なる場合に、監視装置5に移動通知を送出し、これを受けた監視装置5が自動販売機1の電子マネー決済部にチャージ機能を停止させる停止命令を送出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子マネーチャージ装置の盗難監視システムおよび電子マネーチャージ装置に関し、特に、自動販売機に配設された電子マネーチャージ装置の監視を行う電子マネーチャージ装置の盗難監視システムおよび電子マネーチャージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子マネーの利用機会が増大し、電子マネーに対応した自動販売機も多く提供されている。
【0003】
ところで、電子マネーにより商品の購入等を行う利用者にとっては、電子マネーの残額が少なくなった際に、直ちに、電子マネーのチャージが行えることが望ましい。したがって、電子マネーに対応した自動販売機においても、電子マネーのチャージが行えることが望まれている。
【0004】
しかしながら、チャージが可能な電子マネー処理装置(以下、電子マネーチャージ装置と称する)は、これを悪用することにより、不正なチャージを行うことができるため、監視の目の届きにくい自動販売機、特に、屋外に設置される自動販売機に、電子マネーチャージ装置を配設するには、盗難防止策、または、盗難されたとしても電子マネーチャージ装置を使用できなくすることで不正使用の防止とともに盗難を抑止する不正防止・盗難抑止策を講じる必要がある。
【0005】
例えば、電子マネーチャージ装置が配設された自動販売機の不正使用防止策としては、GPS(Global Positioning System)を利用したものがある(例えば、特許文献1参照)。これは、GPSから得られる位置と予め登録された位置とが異なる場合に、電子マネーチャージ装置のチャージ機能を停止させる自動販売機である。
【0006】
しかしながら、GPSに対応する装置を電子マネーチャージ装置に搭載する場合、既存の自動販売機の改造が必要であり、GPS信号を受信できる場所に設置することが必要となるとともに、電子マネーチャージ装置の価格が上昇し、これを広く普及させるのには困難な面もある。
【0007】
一方、電子マネーチャージ装置は、電子マネーの運営者等が設置するセンターと通信を行う必要があるため、移動体通信システムにおける移動局に相当する通信装置を有することがおおいため、移動局の位置情報を通話やデータ通信以外に利用する技術(例えば、特許文献2参照)により、その位置を特定して電子マネーチャージ装置が盗難にあったか否かを判定することも考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−328388号公報
【特許文献2】特開平11−313362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2に記載された技術で得られる位置情報は、移動体通信システムにおける位置登録エリアを単位とするもので、この位置登録エリアは、例えば、日本全国で数十箇所程度となる広さを有することから、同じ位置登録エリア内で盗難された電子マネーチャージ装置が不正利用されることが考えられ、これを防止することも困難である。
【0010】
そこで、本発明は、最近公共の地下施設でも受信可能となった移動体通信システムを利用し、電子マネーチャージ装置が盗難に遭った場合でも、その電子マネーチャージ装置の不正利用を防止することのできる電子マネーチャージ装置の盗難監視システムおよび電子マネーチャージ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した目的を達成するため、請求項1の発明は、自動販売機に配設された電子マネーチャージ装置と、前記電子マネーチャージ装置と通信を行い該電子マネーチャージ装置の移動を監視する監視装置とを具備する電子マネーチャージ装置の盗難監視システムであって、前記電子マネーチャージ装置は、移動体通信網に対して位置登録をした基地局を記憶保持するとともに該移動体通信網を介して通信を行う通信手段と、前記通信手段が前記移動体通信網に対して位置登録をした基地局と、前記通信手段が記憶保持していた基地局が異なったことを該通信手段の移動として判定し、前記監視装置に移動通知を送出する移動判定手段と、前記監視装置からの命令に応じて電子マネーにチャージを行うチャージ機能を停止する機能停止手段とを具備し、前記監視装置は、前記電子マネーチャージ装置から移動通知を受信する通知受信手段と、前記通知受信手段が移動通知を受信した際に、前記電子マネーチャージ装置にチャージ機能を停止させる命令を送出する停止命令送出手段とを具備することを特徴とする。
【0012】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記機能停止手段は、前記通信手段が前記移動体通信網に対して位置登録をするまで前記チャージ機能を停止し、前記通信手段が前記移動体通信網に対して位置登録をした後に該停止したチャージ機能を稼動させることを特徴とする。
【0013】
また、請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記機能停止手段は、前記通信手段が前記移動体通信網の基地局の探索を所定回数連続して失敗した場合に、前記チャージ機能を停止することを特徴とする。
【0014】
また、請求項4の発明は、請求項1の発明において、前記監視装置は、前記停止命令送出手段が命令を送出した場合に、前記電子マネーチャージ装置の盗難が発生した可能性があることを管理者に報知する報知手段をさらに具備することを特徴とする。
【0015】
また、請求項5の発明は、自動販売機に配設され、監視装置と通信することにより該監視装置により移動が監視される電子マネーチャージ装置であって、移動体通信網に対して位置登録をした基地局を記憶保持するとともに該移動体通信網を介して通信を行う通信手段と、前記通信手段が前記移動体通信網に対して位置登録をした基地局と、前記通信手段が記憶保持していた基地局が異なったことを該通信手段の移動として判定し、前記監視装置に移動通知を送出する移動判定手段と、前記監視装置からの命令に応じて電子マネーにチャージを行うチャージ機能を停止する機能停止手段とを具備することを特徴とする。
【0016】
また、請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記機能停止手段は、前記通信手段が前記移動体通信網に対して位置登録をするまで前記チャージ機能を停止し、前記通信手段が前記移動体通信網に対して位置登録をした後に該停止したチャージ機能を稼動させることを特徴とする。
【0017】
また、請求項7の発明は、請求項5の発明において、前記機能停止手段は、前記通信手段が前記移動体通信網の基地局の探索を所定回数連続して失敗した場合に、前記チャージ機能を停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電子マネーの決済に際して通信を行う移動体通信網を利用して電子マネーチャージ装置が移動したことを検知し、該電子マネーチャージ装置チャージ機能を停止することができ、これにより電子マネーチャージ装置に対する盗難が発生したとしても盗難にあった電子マネーチャージ装置の不正利用を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】盗難監視システムの構成例を示した図である。
【図2】移動体通信システムにおけるセルと位置登録エリア、サービスエリアの関係を示した図である。
【図3】自動販売機1の構成例を示した図である。
【図4】通信部12と監視装置5の機能的な構成の構成例を示すブロック図である。
【図5】通信部12の動作の流れを示すフローチャートである。
【図6】監視装置5の動作の流れを示すフローチャートである。
【図7】盗難監視システム全体の動作の流れを示した図である。
【図8】盗難監視システム全体の動作の流れを示した図である。
【図9】盗難監視システム全体の動作の流れを示した図である。
【図10】盗難監視システム全体の動作の流れを示した図である。
【図11】盗難監視システム全体の動作の流れを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る電子マネーチャージ装置の盗難監視システムおよび電子マネーチャージ装置の一実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0021】
図1は、盗難監視システムの構成例を示した図である。同図に盗難監視システムは、自動販売機1が、移動体通信網2とインターネット3を介して、電子マネー決済装置4および監視装置5と通信可能な状態となっている。なお、同図では、説明の簡略化のため、自動販売機1を1台だけ移動体通信網2に接続した場合を示しているが、実際には、複数の自動販売機1が移動体通信網2に接続されるものである。
【0022】
自動販売機1は、電子マネーチャージ装置であるとともに、移動体通信網2と通信を行うための通信部を有する電子マネー決済部を有する自動販売機である。この自動販売機1は、その設置位置が移動されたことを検知した場合に、その旨を監視装置5へ通知する機能を有するもので、例えば、自動販売機1が基地局21−1が構成するセル2A内から、図中に符号1’で示す基地局21−2が構成するセル2A内に移動したことを検知すると、その旨を監視装置5へ通知する。
【0023】
移動体通信網2は、基地局21−1と基地局21−2、中継装置22、交換装置23、管理DB24、通信処理装置25、サービス処理装置26、GW装置27を有している。なお、図1においては、簡略化のために、各装置の数を1台または2台としてるが、実際には、さらに多くの装置により構成されている。
【0024】
基地局21−1と基地局21−2は、それぞれ、自動販売機1や図示しない携帯端末等と無線通信を行うものである。図2に示すように、各基地局21(基地局21−1と基地局21−2を含む)のそれぞれが可能な範囲をセル2Aと称し、複数のセル2Aが集合したものを位置登録エリア2Bと称する。移動体通信網2では、位置登録エリア2Bを単位として自動販売機1や図示しない携帯端末等の位置情報を管理している。また、位置登録エリア2Bの集合が、移動体通信網2を有する移動体通信システムのサービスエリア2Cとなる。
【0025】
中継装置22は、基地局21−1、基地局21−2と、交換装置23との通信を中継するもので、例えば、RNC(Radio Network Controller)と称されるものである。
【0026】
交換装置23は、移動体通信網2を制御し、携帯端末等の位置登録の受け付けも行うもので、例えば、MSC(Mobile service Switching Center)と称されるものである。
【0027】
管理DB24は、携帯端末等の携帯電話番号や端末識別番号等のユーザ情報と、交換装置23が受け付けた位置登録による各携帯端末の位置情報を管理するデータベースで、例えば、HLR(Home Location Register)と称されるものである。
【0028】
通信処理装置25は、携帯端末間等で送受信されるメッセージであるSMS(Short Message Service)を交換するもので、例えば、SMSC(Short Message Service Center)と称されるものである。
【0029】
サービス処理装置26は、SMSを利用した各種サービスを実現するためのもので、例えば、ESME(External Short Message Entity)と称されるものである。
【0030】
GW装置27は、移動体通信網2をインターネット3等の他のネットワークと接続するためのゲートウェイである。
【0031】
電子マネー決済装置4は、自動販売機1による電子マネーでの決済やチャージ処理を管理する装置であり、電子マネーの運営者が設置するものである。
【0032】
監視装置5は、自動販売機1から、該自動販売機1が移動した旨の通知を受けた際に、当該移動が正当なものであるか否かの判断等を行う。
【0033】
次に、自動販売機1の構成について説明する。図3は、自動販売機1の構成例を示した図である。
【0034】
同図に示すように、自動販売機1は、電子マネー決済部10と、自動販売機制御部17、紙幣処理部18を有している。
【0035】
電子マネー決済部10は、電子マネーによる決済処理と、電子マネーのチャージ処理を行うものである。
【0036】
自動販売機制御部17は、自動販売機1の全体を制御するものである。
【0037】
紙幣処理部18は、紙幣の受け入れと、真偽判定等を行うものである。紙幣処理部18は、現金により決済が行われる場合と、電子マネーのチャージが行われる場合に、紙幣の受け入れ等を行う。
【0038】
なお、自動販売機1は、当然のことながら、販売する商品を提供するための構成等を有しているが、同図においては、電子マネーによる決済に直接関係しない構成については省略している。
【0039】
また、電子マネー決済部10は、電子マネーを利用した決済を行うもので、制御部11と、通信部12、電子マネー処理部13、無線部14、アンテナ部15、入出力部16を有している。
【0040】
制御部11は、電子マネー決済部10の全体を制御するもので、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、不揮発性メモリ(Nonvolatile Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリを有するコンピュータであり、ROMや不揮発性メモリに記憶されているプログラムにしたがって動作する。
【0041】
通信部12は、移動体通信網2を介して通信を行うためのもので、アンテナや無線処理のための回路、これらを制御させるためのコンピュータ(CPU等のプロセッサ、ROM、不揮発性メモリ、RAM等のメモリを有する)とプログラム等により構成されるものである。また、通信部12は、そのコンピュータを動作させることにより、自動販売機1の移動の検知処理および監視装置5と連携する処理と関連する機能部を実現する。
【0042】
電子マネー処理部13は、電子マネー媒体6と通信を行い、これらに記憶されている情報の読出しや、情報の書き込み等を行うものである。
【0043】
無線部14は、電子マネー処理部13と電子マネー媒体6が通信を行うための無線処理を行うものである。
【0044】
アンテナ部15は、電子マネー処理部13と電子マネー媒体6が通信を行う際に通信媒体となるアンテナである。
【0045】
入出力部16は、音や光により電子マネーの利用者に決済完了や失敗、チャージ完了等を通知するとともに、ボタン等により利用者から電子マネー種別の選択等の指示を受け付けるものである。
【0046】
次に、通信部12のコンピュータが実現する各機能部を、監視装置5の各機能部と併せて説明する。図4は、通信部12と監視装置5の機能的な構成の構成例を示すブロック図である。なお、同図においては、通信部12の機能部のうち、自動販売機1の移動の検知処理および監視装置5と連携する処理と関連する機能部以外、例えば、移動体通信網2を介した通信にのみに利用する機能部については省略している。また、通信部12と監視装置5は、基地局21を含む移動体通信網2を介して通信を行うものであるが、同図中では、通信経路となる移動体通信網2については省略している。
【0047】
同図に示すように、通信部12は、基地局情報取得部121と、移動判定部122、基地局情報保持部123、機能制限部124を有している。
【0048】
基地局情報取得部121は、通信部12が移動体通信網2に対して接続した際に、位置登録処理を行うとともに、接続した基地局21を特定するための基地局情報を取得する。この基地局情報取得部121は、移動体通信網2を介した通信に利用する機能部でもある。
【0049】
移動判定部122は、基地局情報取得部121が取得した基地局情報を、基地局情報保持部123に保持されている基地局情報と比較し、両者が不一致である場合に、通信部12を含む電子マネー決済部10またはこれらを含む自動販売機1が移動したものと判定し、その旨を示す移動通知を監視装置5に送信する。なお、基地局情報保持部123に基地局情報が保持されていない場合は、例外として判定を行わない。
【0050】
基地局情報保持部123は、基地局情報取得部121が取得した基地局情報を記憶して保持する。この基地局情報保持部123は、移動体通信網2を介した通信に利用する機能部(基地局情報を保持する機能)とは異なり、電子マネー決済部10またはこれらを含む自動販売機1の電源が遮断され、通信部12に電力が供給されなくなった場合でも基地局情報を保持するもので、不揮発性メモリが利用される。なお、移動体通信網2を介した通信に利用する機能部を基地局情報保持部123と兼用するようにしてもよい。
【0051】
機能制限部124は、監視装置5から停止命令を受けた場合や、基地局情報取得部121が基地局情報を取得できなかった場合等に、制御部11に対して電子マネーのチャージ機能を停止するよう要求する。
【0052】
一方、監視装置5は、異常判定部51と、停止命令発行部52、報知部53を有している。監視装置5は、CPU等のプロセッサ、ROM、不揮発性メモリ、RAM等のメモリ、磁気ディスク等の記憶装置を有するコンピュータであり、プログラムに基づいてプロセッサ等を動作させることにより、図4に示した各機能部を実現する。
【0053】
異常判定部51は、通信部12から、移動通知を受けると、その通信部12の移動が事前に登録されたものであるか否かを確認し、登録されたものでなかった場合には、盗難等の異常が発生したものと判定する。
【0054】
停止命令発行部52は、異常判定部51が通信部12に異常が発生したものと判定した場合等に、通信部12の機能制限部124に対してチャージ機能を停止させるための停止命令を送出する。
【0055】
報知部53は、停止命令発行部52が送出した停止命令を通信部12が受信したことを確認した場合またはその確認が一定時間内に得られなかった場合等に、管理者に対して予め定められた方法、例えば、電子メールにより、通信部12を含む電子マネー決済部10またはこれらを含む自動販売機1が盗難にあった可能性がある旨を報知する。
【0056】
続いて、通信部12と監視装置5の動作について説明する。図5は、通信部12の動作の流れを示すフローチャートであり、図6は、監視装置5の動作の流れを示すフローチャートである。
【0057】
通信部12は、電源が投入されて動作を開始すると、まず、基地局情報取得部121が基地局21をサーチする(ステップ201)。
【0058】
その結果、基地局21が確認できると(ステップ202でYES)、当該確認は、新規(起動後の最初)のもの、つまり、基地局21に対して位置が未登録であるから(ステップ203でYES)、基地局情報取得部121は、基地局21に対して位置登録処理を行い(ステップ204)、該当する基地局21の基地局情報を基地局情報保持部123に記憶して保持させる(ステップ205)。
【0059】
そして、新規に基地局21に位置登録を行った場合には(ステップ206でYES)、機能制限部124が制御部11に対してチャージ機能を稼動させる許可を与える(ステップ207)。
【0060】
続いて、移動判定部122が、基地局情報取得部121が取得した基地局21の基地局情報を、基地局情報保持部123が保持している基地局情報、つまり、通信部21の電源が遮断される前の最後に記憶保持された基地局情報と比較し、両者が異なる場合には(ステップ208でYES)、移動判定部122は、監視装置5に移動通知を送信する(ステップ209)。
【0061】
また、基地局情報取得部121が取得した基地局21の基地局情報と基地局情報保持部123が保持している基地局情報が一致した場合には(ステップ208でNO)、移動判定部122は、監視装置5に対する処理は行わない。なお、移動判定部122は、例えば、通信部12が製造された後に始めて電源が投入された場合等、基地局情報保持部123に基地局情報が保持されていない場合には、基地局情報取得部121が取得した基地局21の基地局情報と基地局情報保持部123が保持している基地局情報が一致したものとして処理を行う。
【0062】
そして、通信部12は、監視装置5から停止命令を受けない間(ステップ210でNO)、通信部12が移動体通信網2と通信を行うために必要なサーチタイミング毎に(ステップ211でYES)、ステップ201以降の処理を繰り返し行う。
【0063】
2回目以降の基地局サーチを行った際には、確認できた基地局21が位置登録を行った基地局、つまり、同じ基地局21であれば(ステップ203でNO)、他の処理は行わない。なお、確認できた基地局21が位置登録を行った基地局と同じであるか否かの判断は、通信部12が移動体通信網2と通信を行うための図示しない機能部により行われる。
【0064】
一方、2回目以降の基地局サーチを行った際に、確認できた基地局21が位置登録を行っていない基地局、つまり、前回確認した基地局と異なる基地局21であれば(ステップ203でYES)、基地局情報取得部121は、基地局21に対して位置登録処理を行い(ステップ204)、該当する基地局21の基地局情報を基地局情報保持部123に記憶して保持させる(ステップ205)。そして、当該登録は、新規ではなく更新としての位置登録であるから(ステップ206でNO)、移動判定部122は、これを通信部12を含む電子マネー決済部10またはこれらを含む自動販売機1の移動と判定して監視装置5に移動通知を送信する(ステップ209)。
【0065】
また、一定のサーチタイミング毎に基地局21のサーチを繰り返している間に、機能制限部124が監視装置5から停止命令を受けると(ステップ210でYES)、機能制限部124は、制御部11に対してチャージ機能の停止を要求して(ステップ212)、通信部12は、盗難監視システムとしての処理を終了する。なお、このとき、電子マネーによる決済に必要とする通信を停止するか否かは任意である。
【0066】
また、基地局情報取得部121が基地局21のサーチを行った結果(ステップ201)、いずれの基地局21をも確認することができず(ステップ202でNO)、その状態が所定の回数連続した場合には(ステップ213でYES)、機能制限部124が、制御部11に対してチャージ機能の停止を要求して(ステップ212)、通信部12は、盗難監視システムとしての処理を終了する。
【0067】
一方、監視装置5は、異常判定部51が移動判定部122からの移動通知を受けるのを待ち(ステップ301でNO)、移動通知を受けると(ステップ301でYES)、該当する通信部12(自動販売機1)が移転される等の情報が事前に登録されていれば(ステップ302でYES)、当該移動通知を無視し、該当する通信部12(自動販売機1)が移転される等の情報が事前に登録されていなければ(ステップ302でNO)、停止命令発行部52が通信部12に停止命令を発行し(ステップ303)、通信部12から受領の応答を得た場合か一定時間内に受領の応答が無い場合に、報知部53が管理者に対して警報を報知して(ステップ304)、監視装置5は、該当する通信部12(自動販売機1)の監視を終了する。
【0068】
次に、通信部12と監視装置5を含む盗難監視システム全体の動作の流れを説明する。図7乃至11は、盗難監視システム全体の動作の流れを示した図である。
【0069】
盗難監視システムでは、まず、自動販売機1の電源が投入され、自動販売機制御部17を介して電子マネー決済部10に電力が供給されると(ステップ401)、制御部11が通信部12に初期化処理を要求し(ステップ402)、通信部12は、これに応じて初期化処理を行い、初期化処理が終了すると、基地局をサーチし、サーチの結果確認した基地局21−1に位置登録を行う(ステップ403)。そして、位置登録の際に接続した基地局21−1の基地局情報を保持し(ステップ404)、制御部11にチャージ機能の稼動を許可する(ステップ405)。このとき、通信部12は、通信部12が電源遮断時から移動しているか否かの判定を行う(ステップ406)。なお、ここでは、通信部12の移動は無いものとする。
【0070】
また、通信部12による位置登録に際しては、基地局21−1は、その情報を交換装置23に通知し(ステップ407)、交換装置23が当該情報を管理DB24に記憶保持する(ステップ408)。
【0071】
その後、通信部12は、定期的に基地局をサーチするが(ステップ409、ステップ410)、確認した基地局が同じものであれば、何ら処理を行わない。
【0072】
このステップ409とステップ410で示した基地局のサーチは、通信部12(自動販売機1)の移動や通信部12の電源が遮断される等の事象が生じない限り、繰り返し行われる。
【0073】
また、基地局のサーチが繰り返されている間に、電子マネー媒体6の保有者(利用者)による商品の購入要求があれば、電子マネー処理部13が当該要求を受け付け(図8のステップ421)、制御部11に通知し(ステップ422)、制御部11は、自動販売機制御部17にこれを通知する(ステップ423)。購入要求を受け付けた自動販売機制御部17は、制御部11に要求された商品に応じた額の電子マネー価値の引き去りを要求し(ステップ424)、制御部は、これを電子マネー処理部13に通知する(ステップ425)。当該通知を受けた電子マネー処理部13は、電子マネー媒体6から要求された額の電子マネー価値を引き去る(ステップ426)。
【0074】
また、基地局のサーチが繰り返されている間に、電子マネー媒体6の保有者(利用者)による電子マネーのチャージ要求があり、紙幣処理部18にチャージ分に相当する額の紙幣が挿入され、当該紙幣を紙幣処理部18が受け付けると(ステップ427)、電子マネー処理部13が当該要求を制御部11に通知し(ステップ428)、制御部11が電子マネー処理部13に対して相当額の電子マネーのチャージを指示すると(ステップ429)、当該指示を受けた電子マネー処理部13は、電子マネー媒体6に要求された額の電子マネーをチャージする(ステップ430)。
【0075】
また、制御部11は、電子マネーによる決済またはチャージが所定回数行われるか、一定の時間が経過すると、バッチ処理により決済データを生成し(ステップ431)、生成した決済データを電子マネー決済装置4に送出する(ステップ432)。
【0076】
続いて、盗難等により通信部12(自動販売機1)の移動が生じた場合を説明する。例えば、ステップ409とステップ410で示した基地局のサーチが繰り返されている間に、通信部12(自動販売機1)の電源が遮断されることなく、通信部12(自動販売機1)の移動が生じたとすると、通信部12が基地局をサーチした結果、基地局21−2を確認するので、通信部12は、サーチの結果確認した基地局21−2に位置登録を行う(図9のステップ441)。そして、保持している基地局情報を基地局21−2の基地局情報に更新する(ステップ442)。また、通信部12による位置登録に際しては、基地局21−2は、その情報を交換装置23に通知し(ステップ443)、交換装置23が当該情報を管理DB24に記憶保持する(ステップ444)。
【0077】
通信部12は、基地局21−2に位置登録を行うと、これを通信部12(自動販売機1)の移動と判断して、サービス処理装置26を介して監視装置5に移動通知を送信する(ステップ445、ステップ446)。
【0078】
一方、監視装置5は、通信部12からの移動通知を受けると、該当する通信部12(自動販売機1)が移転される等の情報が事前に登録されていなければ、これを異常状態と判定し(ステップ447)、サービス処理装置26を介して通信部12に停止命令を発行する(ステップ448、ステップ449)。
【0079】
通信部12は、停止命令を受けると、これを制御部11に通知し(ステップ450)、制御部11はチャージ機能を停止する(ステップ451)。また、通信部12は、停止命令に対する応答として停止通知を返し(ステップ452、ステップ453)、これを受けた監視装置5は、管理者に対して警報の報知を行い(ステップ454)、処理を終了する。
【0080】
また、通信部12(自動販売機1)の電源が遮断されて、通信部12の移動が生じ、その後に自動販売機1の電源が投入され、自動販売機制御部17を介して電子マネー決済部10に電力が供給されると(図10のステップ461)、制御部11が通信部12に初期化処理を要求し(ステップ462)、通信部12は、これに応じて初期化処理を行い、初期化処理が終了すると、基地局をサーチし、サーチの結果確認した基地局21−2に位置登録を行う(ステップ463)。そして、位置登録の際に接続した基地局21−2の基地局情報を保持し(ステップ464)、制御部11にチャージ機能の稼動を許可する(ステップ465)。
【0081】
また、通信部12による位置登録に際しては、基地局21−2は、その情報を交換装置23に通知し(ステップ466)、交換装置23が当該情報を管理DB24に記憶保持する(ステップ467)。このとき、通信部12は、通信部12が電源遮断時から移動しているか否かの判定を行う(ステップ468)。
【0082】
判定の結果、通信部12は、位置登録した基地局が、基地局21−1から基地局21−2に変更されているため、これを通信部12(自動販売機1)の移動と判断して、サービス処理装置26を介して監視装置5に移動通知を送信する(ステップ469、ステップ470)。
【0083】
一方、監視装置5は、通信部12からの移動通知を受けると、該当する通信部12(自動販売機1)が移転される等の情報が事前に登録されていなければ、これを異常状態と判定し(ステップ471)、サービス処理装置26を介して通信部12に停止命令を発行する(ステップ472、ステップ473)。
【0084】
通信部12は、停止命令を受けると、これを制御部11に通知し(ステップ474)、制御部11はチャージ機能を停止する(ステップ475)。また、通信部12は、停止命令に対する応答として停止通知を返し(ステップ476、ステップ477)、これを受けた監視装置5は、管理者に対して警報の報知を行い(ステップ478)、処理を終了する。
【0085】
また、通信部12(自動販売機1)の電源が遮断されて、通信部12が地下室等の移動体通信網2の圏外となる位置に移動されたとすると、自動販売機1の電源が投入され、自動販売機制御部17を介して電子マネー決済部10に電力が供給されると(図11のステップ481)、制御部11が通信部12に初期化処理を要求し(ステップ482)、通信部12は、これに応じて初期化処理を行い、初期化処理が終了すると、基地局をサーチして位置登録を行おうとするが(ステップ483、ステップ484、ステップ485)、通信部12は、移動体通信網2の圏外に位置するために、位置登録を行うことができない。通信部12は、所定回数、例えば、3回連続で位置登録に失敗すると、制御部11に停止命令を通知し(ステップ486)、制御部11はチャージ機能を停止する(ステップ487)。なお、位置登録が成功していない状態では、通信部12は、例えば、図7のステップ405での処理に相当するチャージ機能の稼動の許可を制御部11に対して行わないため、ステップ486およびステップ487の処理は行わなくてもよい。
【0086】
ところで、本実施例においては、チャージ機能を停止した後に、再度、チャージ機能を稼動させる例を説明していないが、これについては、管理者等が手動でチャージ機能を稼動させる命令を発行するようにすればよい。これは、チャージ機能を停止したとしても、盗難にあったと推定される通信部12の追跡を行うといった観点から通信部12との通信を継続することが望ましいことと、通信部12が盗難にあっていなかったとしても、その後に管理者等による確認が必要であることに基づくものである。
【0087】
なお、本実施例においては、自動販売機1と監視装置5の間での通信をSMSを利用して行う例を説明したが、SMSを用いずに、自動販売機1と監視装置5の間でTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)を利用した通信を行うなど、自動販売機1と監視装置5の間で通信が可能であれば、他のプロトコルを利用して通信を行ってもよい。この場合には、監視装置5が自動販売機1に対して直接に基地局情報の確認を要求するため、サービス処理装置26は不要となる。
【符号の説明】
【0088】
1 自動販売機
1’ 自動販売機の移動した位置
2 移動体通信網
2A セル
2B 位置登録エリア
2C サービスエリア
3 インターネット
4 電子マネー決済装置
5 監視装置
6 電子マネー媒体
10 電子マネー決済部
11 制御部11
12 通信部
13 電子マネー処理部
14 無線部
15 アンテナ
16 入出力部
17 自動販売機制御部
18 紙幣処理部
21 基地局
21−1 基地局
21−2 基地局
22 中継装置
23 交換装置
24 管理DB
25 通信処理装置
26 サービス処理装置
27 GW装置
51 異常判定部
52 停止命令発行部
53 報知部
121 基地局情報取得部
122 移動判定部
123 基地局情報保持部
124 機能制限部
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子マネーチャージ装置の盗難監視システムおよび電子マネーチャージ装置に関し、特に、自動販売機に配設された電子マネーチャージ装置の監視を行う電子マネーチャージ装置の盗難監視システムおよび電子マネーチャージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子マネーの利用機会が増大し、電子マネーに対応した自動販売機も多く提供されている。
【0003】
ところで、電子マネーにより商品の購入等を行う利用者にとっては、電子マネーの残額が少なくなった際に、直ちに、電子マネーのチャージが行えることが望ましい。したがって、電子マネーに対応した自動販売機においても、電子マネーのチャージが行えることが望まれている。
【0004】
しかしながら、チャージが可能な電子マネー処理装置(以下、電子マネーチャージ装置と称する)は、これを悪用することにより、不正なチャージを行うことができるため、監視の目の届きにくい自動販売機、特に、屋外に設置される自動販売機に、電子マネーチャージ装置を配設するには、盗難防止策、または、盗難されたとしても電子マネーチャージ装置を使用できなくすることで不正使用の防止とともに盗難を抑止する不正防止・盗難抑止策を講じる必要がある。
【0005】
例えば、電子マネーチャージ装置が配設された自動販売機の不正使用防止策としては、GPS(Global Positioning System)を利用したものがある(例えば、特許文献1参照)。これは、GPSから得られる位置と予め登録された位置とが異なる場合に、電子マネーチャージ装置のチャージ機能を停止させる自動販売機である。
【0006】
しかしながら、GPSに対応する装置を電子マネーチャージ装置に搭載する場合、既存の自動販売機の改造が必要であり、GPS信号を受信できる場所に設置することが必要となるとともに、電子マネーチャージ装置の価格が上昇し、これを広く普及させるのには困難な面もある。
【0007】
一方、電子マネーチャージ装置は、電子マネーの運営者等が設置するセンターと通信を行う必要があるため、移動体通信システムにおける移動局に相当する通信装置を有することがおおいため、移動局の位置情報を通話やデータ通信以外に利用する技術(例えば、特許文献2参照)により、その位置を特定して電子マネーチャージ装置が盗難にあったか否かを判定することも考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−328388号公報
【特許文献2】特開平11−313362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2に記載された技術で得られる位置情報は、移動体通信システムにおける位置登録エリアを単位とするもので、この位置登録エリアは、例えば、日本全国で数十箇所程度となる広さを有することから、同じ位置登録エリア内で盗難された電子マネーチャージ装置が不正利用されることが考えられ、これを防止することも困難である。
【0010】
そこで、本発明は、最近公共の地下施設でも受信可能となった移動体通信システムを利用し、電子マネーチャージ装置が盗難に遭った場合でも、その電子マネーチャージ装置の不正利用を防止することのできる電子マネーチャージ装置の盗難監視システムおよび電子マネーチャージ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した目的を達成するため、請求項1の発明は、自動販売機に配設された電子マネーチャージ装置と、前記電子マネーチャージ装置と通信を行い該電子マネーチャージ装置の移動を監視する監視装置とを具備する電子マネーチャージ装置の盗難監視システムであって、前記電子マネーチャージ装置は、移動体通信網に対して位置登録をした基地局を記憶保持するとともに該移動体通信網を介して通信を行う通信手段と、前記通信手段が前記移動体通信網に対して位置登録をした基地局と、前記通信手段が記憶保持していた基地局が異なったことを該通信手段の移動として判定し、前記監視装置に移動通知を送出する移動判定手段と、前記監視装置からの命令に応じて電子マネーにチャージを行うチャージ機能を停止する機能停止手段とを具備し、前記監視装置は、前記電子マネーチャージ装置から移動通知を受信する通知受信手段と、前記通知受信手段が移動通知を受信した際に、前記電子マネーチャージ装置にチャージ機能を停止させる命令を送出する停止命令送出手段とを具備することを特徴とする。
【0012】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記機能停止手段は、前記通信手段が前記移動体通信網に対して位置登録をするまで前記チャージ機能を停止し、前記通信手段が前記移動体通信網に対して位置登録をした後に該停止したチャージ機能を稼動させることを特徴とする。
【0013】
また、請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記機能停止手段は、前記通信手段が前記移動体通信網の基地局の探索を所定回数連続して失敗した場合に、前記チャージ機能を停止することを特徴とする。
【0014】
また、請求項4の発明は、請求項1の発明において、前記監視装置は、前記停止命令送出手段が命令を送出した場合に、前記電子マネーチャージ装置の盗難が発生した可能性があることを管理者に報知する報知手段をさらに具備することを特徴とする。
【0015】
また、請求項5の発明は、自動販売機に配設され、監視装置と通信することにより該監視装置により移動が監視される電子マネーチャージ装置であって、移動体通信網に対して位置登録をした基地局を記憶保持するとともに該移動体通信網を介して通信を行う通信手段と、前記通信手段が前記移動体通信網に対して位置登録をした基地局と、前記通信手段が記憶保持していた基地局が異なったことを該通信手段の移動として判定し、前記監視装置に移動通知を送出する移動判定手段と、前記監視装置からの命令に応じて電子マネーにチャージを行うチャージ機能を停止する機能停止手段とを具備することを特徴とする。
【0016】
また、請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記機能停止手段は、前記通信手段が前記移動体通信網に対して位置登録をするまで前記チャージ機能を停止し、前記通信手段が前記移動体通信網に対して位置登録をした後に該停止したチャージ機能を稼動させることを特徴とする。
【0017】
また、請求項7の発明は、請求項5の発明において、前記機能停止手段は、前記通信手段が前記移動体通信網の基地局の探索を所定回数連続して失敗した場合に、前記チャージ機能を停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電子マネーの決済に際して通信を行う移動体通信網を利用して電子マネーチャージ装置が移動したことを検知し、該電子マネーチャージ装置チャージ機能を停止することができ、これにより電子マネーチャージ装置に対する盗難が発生したとしても盗難にあった電子マネーチャージ装置の不正利用を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】盗難監視システムの構成例を示した図である。
【図2】移動体通信システムにおけるセルと位置登録エリア、サービスエリアの関係を示した図である。
【図3】自動販売機1の構成例を示した図である。
【図4】通信部12と監視装置5の機能的な構成の構成例を示すブロック図である。
【図5】通信部12の動作の流れを示すフローチャートである。
【図6】監視装置5の動作の流れを示すフローチャートである。
【図7】盗難監視システム全体の動作の流れを示した図である。
【図8】盗難監視システム全体の動作の流れを示した図である。
【図9】盗難監視システム全体の動作の流れを示した図である。
【図10】盗難監視システム全体の動作の流れを示した図である。
【図11】盗難監視システム全体の動作の流れを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る電子マネーチャージ装置の盗難監視システムおよび電子マネーチャージ装置の一実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0021】
図1は、盗難監視システムの構成例を示した図である。同図に盗難監視システムは、自動販売機1が、移動体通信網2とインターネット3を介して、電子マネー決済装置4および監視装置5と通信可能な状態となっている。なお、同図では、説明の簡略化のため、自動販売機1を1台だけ移動体通信網2に接続した場合を示しているが、実際には、複数の自動販売機1が移動体通信網2に接続されるものである。
【0022】
自動販売機1は、電子マネーチャージ装置であるとともに、移動体通信網2と通信を行うための通信部を有する電子マネー決済部を有する自動販売機である。この自動販売機1は、その設置位置が移動されたことを検知した場合に、その旨を監視装置5へ通知する機能を有するもので、例えば、自動販売機1が基地局21−1が構成するセル2A内から、図中に符号1’で示す基地局21−2が構成するセル2A内に移動したことを検知すると、その旨を監視装置5へ通知する。
【0023】
移動体通信網2は、基地局21−1と基地局21−2、中継装置22、交換装置23、管理DB24、通信処理装置25、サービス処理装置26、GW装置27を有している。なお、図1においては、簡略化のために、各装置の数を1台または2台としてるが、実際には、さらに多くの装置により構成されている。
【0024】
基地局21−1と基地局21−2は、それぞれ、自動販売機1や図示しない携帯端末等と無線通信を行うものである。図2に示すように、各基地局21(基地局21−1と基地局21−2を含む)のそれぞれが可能な範囲をセル2Aと称し、複数のセル2Aが集合したものを位置登録エリア2Bと称する。移動体通信網2では、位置登録エリア2Bを単位として自動販売機1や図示しない携帯端末等の位置情報を管理している。また、位置登録エリア2Bの集合が、移動体通信網2を有する移動体通信システムのサービスエリア2Cとなる。
【0025】
中継装置22は、基地局21−1、基地局21−2と、交換装置23との通信を中継するもので、例えば、RNC(Radio Network Controller)と称されるものである。
【0026】
交換装置23は、移動体通信網2を制御し、携帯端末等の位置登録の受け付けも行うもので、例えば、MSC(Mobile service Switching Center)と称されるものである。
【0027】
管理DB24は、携帯端末等の携帯電話番号や端末識別番号等のユーザ情報と、交換装置23が受け付けた位置登録による各携帯端末の位置情報を管理するデータベースで、例えば、HLR(Home Location Register)と称されるものである。
【0028】
通信処理装置25は、携帯端末間等で送受信されるメッセージであるSMS(Short Message Service)を交換するもので、例えば、SMSC(Short Message Service Center)と称されるものである。
【0029】
サービス処理装置26は、SMSを利用した各種サービスを実現するためのもので、例えば、ESME(External Short Message Entity)と称されるものである。
【0030】
GW装置27は、移動体通信網2をインターネット3等の他のネットワークと接続するためのゲートウェイである。
【0031】
電子マネー決済装置4は、自動販売機1による電子マネーでの決済やチャージ処理を管理する装置であり、電子マネーの運営者が設置するものである。
【0032】
監視装置5は、自動販売機1から、該自動販売機1が移動した旨の通知を受けた際に、当該移動が正当なものであるか否かの判断等を行う。
【0033】
次に、自動販売機1の構成について説明する。図3は、自動販売機1の構成例を示した図である。
【0034】
同図に示すように、自動販売機1は、電子マネー決済部10と、自動販売機制御部17、紙幣処理部18を有している。
【0035】
電子マネー決済部10は、電子マネーによる決済処理と、電子マネーのチャージ処理を行うものである。
【0036】
自動販売機制御部17は、自動販売機1の全体を制御するものである。
【0037】
紙幣処理部18は、紙幣の受け入れと、真偽判定等を行うものである。紙幣処理部18は、現金により決済が行われる場合と、電子マネーのチャージが行われる場合に、紙幣の受け入れ等を行う。
【0038】
なお、自動販売機1は、当然のことながら、販売する商品を提供するための構成等を有しているが、同図においては、電子マネーによる決済に直接関係しない構成については省略している。
【0039】
また、電子マネー決済部10は、電子マネーを利用した決済を行うもので、制御部11と、通信部12、電子マネー処理部13、無線部14、アンテナ部15、入出力部16を有している。
【0040】
制御部11は、電子マネー決済部10の全体を制御するもので、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、不揮発性メモリ(Nonvolatile Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリを有するコンピュータであり、ROMや不揮発性メモリに記憶されているプログラムにしたがって動作する。
【0041】
通信部12は、移動体通信網2を介して通信を行うためのもので、アンテナや無線処理のための回路、これらを制御させるためのコンピュータ(CPU等のプロセッサ、ROM、不揮発性メモリ、RAM等のメモリを有する)とプログラム等により構成されるものである。また、通信部12は、そのコンピュータを動作させることにより、自動販売機1の移動の検知処理および監視装置5と連携する処理と関連する機能部を実現する。
【0042】
電子マネー処理部13は、電子マネー媒体6と通信を行い、これらに記憶されている情報の読出しや、情報の書き込み等を行うものである。
【0043】
無線部14は、電子マネー処理部13と電子マネー媒体6が通信を行うための無線処理を行うものである。
【0044】
アンテナ部15は、電子マネー処理部13と電子マネー媒体6が通信を行う際に通信媒体となるアンテナである。
【0045】
入出力部16は、音や光により電子マネーの利用者に決済完了や失敗、チャージ完了等を通知するとともに、ボタン等により利用者から電子マネー種別の選択等の指示を受け付けるものである。
【0046】
次に、通信部12のコンピュータが実現する各機能部を、監視装置5の各機能部と併せて説明する。図4は、通信部12と監視装置5の機能的な構成の構成例を示すブロック図である。なお、同図においては、通信部12の機能部のうち、自動販売機1の移動の検知処理および監視装置5と連携する処理と関連する機能部以外、例えば、移動体通信網2を介した通信にのみに利用する機能部については省略している。また、通信部12と監視装置5は、基地局21を含む移動体通信網2を介して通信を行うものであるが、同図中では、通信経路となる移動体通信網2については省略している。
【0047】
同図に示すように、通信部12は、基地局情報取得部121と、移動判定部122、基地局情報保持部123、機能制限部124を有している。
【0048】
基地局情報取得部121は、通信部12が移動体通信網2に対して接続した際に、位置登録処理を行うとともに、接続した基地局21を特定するための基地局情報を取得する。この基地局情報取得部121は、移動体通信網2を介した通信に利用する機能部でもある。
【0049】
移動判定部122は、基地局情報取得部121が取得した基地局情報を、基地局情報保持部123に保持されている基地局情報と比較し、両者が不一致である場合に、通信部12を含む電子マネー決済部10またはこれらを含む自動販売機1が移動したものと判定し、その旨を示す移動通知を監視装置5に送信する。なお、基地局情報保持部123に基地局情報が保持されていない場合は、例外として判定を行わない。
【0050】
基地局情報保持部123は、基地局情報取得部121が取得した基地局情報を記憶して保持する。この基地局情報保持部123は、移動体通信網2を介した通信に利用する機能部(基地局情報を保持する機能)とは異なり、電子マネー決済部10またはこれらを含む自動販売機1の電源が遮断され、通信部12に電力が供給されなくなった場合でも基地局情報を保持するもので、不揮発性メモリが利用される。なお、移動体通信網2を介した通信に利用する機能部を基地局情報保持部123と兼用するようにしてもよい。
【0051】
機能制限部124は、監視装置5から停止命令を受けた場合や、基地局情報取得部121が基地局情報を取得できなかった場合等に、制御部11に対して電子マネーのチャージ機能を停止するよう要求する。
【0052】
一方、監視装置5は、異常判定部51と、停止命令発行部52、報知部53を有している。監視装置5は、CPU等のプロセッサ、ROM、不揮発性メモリ、RAM等のメモリ、磁気ディスク等の記憶装置を有するコンピュータであり、プログラムに基づいてプロセッサ等を動作させることにより、図4に示した各機能部を実現する。
【0053】
異常判定部51は、通信部12から、移動通知を受けると、その通信部12の移動が事前に登録されたものであるか否かを確認し、登録されたものでなかった場合には、盗難等の異常が発生したものと判定する。
【0054】
停止命令発行部52は、異常判定部51が通信部12に異常が発生したものと判定した場合等に、通信部12の機能制限部124に対してチャージ機能を停止させるための停止命令を送出する。
【0055】
報知部53は、停止命令発行部52が送出した停止命令を通信部12が受信したことを確認した場合またはその確認が一定時間内に得られなかった場合等に、管理者に対して予め定められた方法、例えば、電子メールにより、通信部12を含む電子マネー決済部10またはこれらを含む自動販売機1が盗難にあった可能性がある旨を報知する。
【0056】
続いて、通信部12と監視装置5の動作について説明する。図5は、通信部12の動作の流れを示すフローチャートであり、図6は、監視装置5の動作の流れを示すフローチャートである。
【0057】
通信部12は、電源が投入されて動作を開始すると、まず、基地局情報取得部121が基地局21をサーチする(ステップ201)。
【0058】
その結果、基地局21が確認できると(ステップ202でYES)、当該確認は、新規(起動後の最初)のもの、つまり、基地局21に対して位置が未登録であるから(ステップ203でYES)、基地局情報取得部121は、基地局21に対して位置登録処理を行い(ステップ204)、該当する基地局21の基地局情報を基地局情報保持部123に記憶して保持させる(ステップ205)。
【0059】
そして、新規に基地局21に位置登録を行った場合には(ステップ206でYES)、機能制限部124が制御部11に対してチャージ機能を稼動させる許可を与える(ステップ207)。
【0060】
続いて、移動判定部122が、基地局情報取得部121が取得した基地局21の基地局情報を、基地局情報保持部123が保持している基地局情報、つまり、通信部21の電源が遮断される前の最後に記憶保持された基地局情報と比較し、両者が異なる場合には(ステップ208でYES)、移動判定部122は、監視装置5に移動通知を送信する(ステップ209)。
【0061】
また、基地局情報取得部121が取得した基地局21の基地局情報と基地局情報保持部123が保持している基地局情報が一致した場合には(ステップ208でNO)、移動判定部122は、監視装置5に対する処理は行わない。なお、移動判定部122は、例えば、通信部12が製造された後に始めて電源が投入された場合等、基地局情報保持部123に基地局情報が保持されていない場合には、基地局情報取得部121が取得した基地局21の基地局情報と基地局情報保持部123が保持している基地局情報が一致したものとして処理を行う。
【0062】
そして、通信部12は、監視装置5から停止命令を受けない間(ステップ210でNO)、通信部12が移動体通信網2と通信を行うために必要なサーチタイミング毎に(ステップ211でYES)、ステップ201以降の処理を繰り返し行う。
【0063】
2回目以降の基地局サーチを行った際には、確認できた基地局21が位置登録を行った基地局、つまり、同じ基地局21であれば(ステップ203でNO)、他の処理は行わない。なお、確認できた基地局21が位置登録を行った基地局と同じであるか否かの判断は、通信部12が移動体通信網2と通信を行うための図示しない機能部により行われる。
【0064】
一方、2回目以降の基地局サーチを行った際に、確認できた基地局21が位置登録を行っていない基地局、つまり、前回確認した基地局と異なる基地局21であれば(ステップ203でYES)、基地局情報取得部121は、基地局21に対して位置登録処理を行い(ステップ204)、該当する基地局21の基地局情報を基地局情報保持部123に記憶して保持させる(ステップ205)。そして、当該登録は、新規ではなく更新としての位置登録であるから(ステップ206でNO)、移動判定部122は、これを通信部12を含む電子マネー決済部10またはこれらを含む自動販売機1の移動と判定して監視装置5に移動通知を送信する(ステップ209)。
【0065】
また、一定のサーチタイミング毎に基地局21のサーチを繰り返している間に、機能制限部124が監視装置5から停止命令を受けると(ステップ210でYES)、機能制限部124は、制御部11に対してチャージ機能の停止を要求して(ステップ212)、通信部12は、盗難監視システムとしての処理を終了する。なお、このとき、電子マネーによる決済に必要とする通信を停止するか否かは任意である。
【0066】
また、基地局情報取得部121が基地局21のサーチを行った結果(ステップ201)、いずれの基地局21をも確認することができず(ステップ202でNO)、その状態が所定の回数連続した場合には(ステップ213でYES)、機能制限部124が、制御部11に対してチャージ機能の停止を要求して(ステップ212)、通信部12は、盗難監視システムとしての処理を終了する。
【0067】
一方、監視装置5は、異常判定部51が移動判定部122からの移動通知を受けるのを待ち(ステップ301でNO)、移動通知を受けると(ステップ301でYES)、該当する通信部12(自動販売機1)が移転される等の情報が事前に登録されていれば(ステップ302でYES)、当該移動通知を無視し、該当する通信部12(自動販売機1)が移転される等の情報が事前に登録されていなければ(ステップ302でNO)、停止命令発行部52が通信部12に停止命令を発行し(ステップ303)、通信部12から受領の応答を得た場合か一定時間内に受領の応答が無い場合に、報知部53が管理者に対して警報を報知して(ステップ304)、監視装置5は、該当する通信部12(自動販売機1)の監視を終了する。
【0068】
次に、通信部12と監視装置5を含む盗難監視システム全体の動作の流れを説明する。図7乃至11は、盗難監視システム全体の動作の流れを示した図である。
【0069】
盗難監視システムでは、まず、自動販売機1の電源が投入され、自動販売機制御部17を介して電子マネー決済部10に電力が供給されると(ステップ401)、制御部11が通信部12に初期化処理を要求し(ステップ402)、通信部12は、これに応じて初期化処理を行い、初期化処理が終了すると、基地局をサーチし、サーチの結果確認した基地局21−1に位置登録を行う(ステップ403)。そして、位置登録の際に接続した基地局21−1の基地局情報を保持し(ステップ404)、制御部11にチャージ機能の稼動を許可する(ステップ405)。このとき、通信部12は、通信部12が電源遮断時から移動しているか否かの判定を行う(ステップ406)。なお、ここでは、通信部12の移動は無いものとする。
【0070】
また、通信部12による位置登録に際しては、基地局21−1は、その情報を交換装置23に通知し(ステップ407)、交換装置23が当該情報を管理DB24に記憶保持する(ステップ408)。
【0071】
その後、通信部12は、定期的に基地局をサーチするが(ステップ409、ステップ410)、確認した基地局が同じものであれば、何ら処理を行わない。
【0072】
このステップ409とステップ410で示した基地局のサーチは、通信部12(自動販売機1)の移動や通信部12の電源が遮断される等の事象が生じない限り、繰り返し行われる。
【0073】
また、基地局のサーチが繰り返されている間に、電子マネー媒体6の保有者(利用者)による商品の購入要求があれば、電子マネー処理部13が当該要求を受け付け(図8のステップ421)、制御部11に通知し(ステップ422)、制御部11は、自動販売機制御部17にこれを通知する(ステップ423)。購入要求を受け付けた自動販売機制御部17は、制御部11に要求された商品に応じた額の電子マネー価値の引き去りを要求し(ステップ424)、制御部は、これを電子マネー処理部13に通知する(ステップ425)。当該通知を受けた電子マネー処理部13は、電子マネー媒体6から要求された額の電子マネー価値を引き去る(ステップ426)。
【0074】
また、基地局のサーチが繰り返されている間に、電子マネー媒体6の保有者(利用者)による電子マネーのチャージ要求があり、紙幣処理部18にチャージ分に相当する額の紙幣が挿入され、当該紙幣を紙幣処理部18が受け付けると(ステップ427)、電子マネー処理部13が当該要求を制御部11に通知し(ステップ428)、制御部11が電子マネー処理部13に対して相当額の電子マネーのチャージを指示すると(ステップ429)、当該指示を受けた電子マネー処理部13は、電子マネー媒体6に要求された額の電子マネーをチャージする(ステップ430)。
【0075】
また、制御部11は、電子マネーによる決済またはチャージが所定回数行われるか、一定の時間が経過すると、バッチ処理により決済データを生成し(ステップ431)、生成した決済データを電子マネー決済装置4に送出する(ステップ432)。
【0076】
続いて、盗難等により通信部12(自動販売機1)の移動が生じた場合を説明する。例えば、ステップ409とステップ410で示した基地局のサーチが繰り返されている間に、通信部12(自動販売機1)の電源が遮断されることなく、通信部12(自動販売機1)の移動が生じたとすると、通信部12が基地局をサーチした結果、基地局21−2を確認するので、通信部12は、サーチの結果確認した基地局21−2に位置登録を行う(図9のステップ441)。そして、保持している基地局情報を基地局21−2の基地局情報に更新する(ステップ442)。また、通信部12による位置登録に際しては、基地局21−2は、その情報を交換装置23に通知し(ステップ443)、交換装置23が当該情報を管理DB24に記憶保持する(ステップ444)。
【0077】
通信部12は、基地局21−2に位置登録を行うと、これを通信部12(自動販売機1)の移動と判断して、サービス処理装置26を介して監視装置5に移動通知を送信する(ステップ445、ステップ446)。
【0078】
一方、監視装置5は、通信部12からの移動通知を受けると、該当する通信部12(自動販売機1)が移転される等の情報が事前に登録されていなければ、これを異常状態と判定し(ステップ447)、サービス処理装置26を介して通信部12に停止命令を発行する(ステップ448、ステップ449)。
【0079】
通信部12は、停止命令を受けると、これを制御部11に通知し(ステップ450)、制御部11はチャージ機能を停止する(ステップ451)。また、通信部12は、停止命令に対する応答として停止通知を返し(ステップ452、ステップ453)、これを受けた監視装置5は、管理者に対して警報の報知を行い(ステップ454)、処理を終了する。
【0080】
また、通信部12(自動販売機1)の電源が遮断されて、通信部12の移動が生じ、その後に自動販売機1の電源が投入され、自動販売機制御部17を介して電子マネー決済部10に電力が供給されると(図10のステップ461)、制御部11が通信部12に初期化処理を要求し(ステップ462)、通信部12は、これに応じて初期化処理を行い、初期化処理が終了すると、基地局をサーチし、サーチの結果確認した基地局21−2に位置登録を行う(ステップ463)。そして、位置登録の際に接続した基地局21−2の基地局情報を保持し(ステップ464)、制御部11にチャージ機能の稼動を許可する(ステップ465)。
【0081】
また、通信部12による位置登録に際しては、基地局21−2は、その情報を交換装置23に通知し(ステップ466)、交換装置23が当該情報を管理DB24に記憶保持する(ステップ467)。このとき、通信部12は、通信部12が電源遮断時から移動しているか否かの判定を行う(ステップ468)。
【0082】
判定の結果、通信部12は、位置登録した基地局が、基地局21−1から基地局21−2に変更されているため、これを通信部12(自動販売機1)の移動と判断して、サービス処理装置26を介して監視装置5に移動通知を送信する(ステップ469、ステップ470)。
【0083】
一方、監視装置5は、通信部12からの移動通知を受けると、該当する通信部12(自動販売機1)が移転される等の情報が事前に登録されていなければ、これを異常状態と判定し(ステップ471)、サービス処理装置26を介して通信部12に停止命令を発行する(ステップ472、ステップ473)。
【0084】
通信部12は、停止命令を受けると、これを制御部11に通知し(ステップ474)、制御部11はチャージ機能を停止する(ステップ475)。また、通信部12は、停止命令に対する応答として停止通知を返し(ステップ476、ステップ477)、これを受けた監視装置5は、管理者に対して警報の報知を行い(ステップ478)、処理を終了する。
【0085】
また、通信部12(自動販売機1)の電源が遮断されて、通信部12が地下室等の移動体通信網2の圏外となる位置に移動されたとすると、自動販売機1の電源が投入され、自動販売機制御部17を介して電子マネー決済部10に電力が供給されると(図11のステップ481)、制御部11が通信部12に初期化処理を要求し(ステップ482)、通信部12は、これに応じて初期化処理を行い、初期化処理が終了すると、基地局をサーチして位置登録を行おうとするが(ステップ483、ステップ484、ステップ485)、通信部12は、移動体通信網2の圏外に位置するために、位置登録を行うことができない。通信部12は、所定回数、例えば、3回連続で位置登録に失敗すると、制御部11に停止命令を通知し(ステップ486)、制御部11はチャージ機能を停止する(ステップ487)。なお、位置登録が成功していない状態では、通信部12は、例えば、図7のステップ405での処理に相当するチャージ機能の稼動の許可を制御部11に対して行わないため、ステップ486およびステップ487の処理は行わなくてもよい。
【0086】
ところで、本実施例においては、チャージ機能を停止した後に、再度、チャージ機能を稼動させる例を説明していないが、これについては、管理者等が手動でチャージ機能を稼動させる命令を発行するようにすればよい。これは、チャージ機能を停止したとしても、盗難にあったと推定される通信部12の追跡を行うといった観点から通信部12との通信を継続することが望ましいことと、通信部12が盗難にあっていなかったとしても、その後に管理者等による確認が必要であることに基づくものである。
【0087】
なお、本実施例においては、自動販売機1と監視装置5の間での通信をSMSを利用して行う例を説明したが、SMSを用いずに、自動販売機1と監視装置5の間でTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)を利用した通信を行うなど、自動販売機1と監視装置5の間で通信が可能であれば、他のプロトコルを利用して通信を行ってもよい。この場合には、監視装置5が自動販売機1に対して直接に基地局情報の確認を要求するため、サービス処理装置26は不要となる。
【符号の説明】
【0088】
1 自動販売機
1’ 自動販売機の移動した位置
2 移動体通信網
2A セル
2B 位置登録エリア
2C サービスエリア
3 インターネット
4 電子マネー決済装置
5 監視装置
6 電子マネー媒体
10 電子マネー決済部
11 制御部11
12 通信部
13 電子マネー処理部
14 無線部
15 アンテナ
16 入出力部
17 自動販売機制御部
18 紙幣処理部
21 基地局
21−1 基地局
21−2 基地局
22 中継装置
23 交換装置
24 管理DB
25 通信処理装置
26 サービス処理装置
27 GW装置
51 異常判定部
52 停止命令発行部
53 報知部
121 基地局情報取得部
122 移動判定部
123 基地局情報保持部
124 機能制限部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動販売機に配設された電子マネーチャージ装置と、前記電子マネーチャージ装置と通信を行い該電子マネーチャージ装置の移動を監視する監視装置とを具備する電子マネーチャージ装置の盗難監視システムであって、
前記電子マネーチャージ装置は、
移動体通信網に対して位置登録をした基地局を記憶保持するとともに該移動体通信網を介して通信を行う通信手段と、
前記通信手段が前記移動体通信網に対して位置登録をした基地局と、前記通信手段が記憶保持していた基地局が異なったことを該通信手段の移動として判定し、前記監視装置に移動通知を送出する移動判定手段と、
前記監視装置からの命令に応じて電子マネーにチャージを行うチャージ機能を停止する機能停止手段と
を具備し、
前記監視装置は、
前記電子マネーチャージ装置から移動通知を受信する通知受信手段と、
前記通知受信手段が移動通知を受信した際に、前記電子マネーチャージ装置にチャージ機能を停止させる命令を送出する停止命令送出手段と
を具備する
ことを特徴とする電子マネーチャージ装置の盗難監視システム。
【請求項2】
前記機能停止手段は、前記通信手段が前記移動体通信網に対して位置登録をするまで前記チャージ機能を停止し、前記通信手段が前記移動体通信網に対して位置登録をした後に該停止したチャージ機能を稼動させることを特徴とする請求項1記載の電子マネーチャージ装置の盗難監視システム。
【請求項3】
前記機能停止手段は、前記通信手段が前記移動体通信網の基地局の探索を所定回数連続して失敗した場合に、前記チャージ機能を停止することを特徴とする請求項1記載の電子マネーチャージ装置の盗難監視システム。
【請求項4】
前記監視装置は、前記停止命令送出手段が命令を送出した場合に、前記電子マネーチャージ装置の盗難が発生した可能性があることを管理者に報知する報知手段をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の電子マネーチャージ装置の盗難監視システム。
【請求項5】
自動販売機に配設され、監視装置と通信することにより該監視装置により移動が監視される電子マネーチャージ装置であって、
移動体通信網に対して位置登録をした基地局を記憶保持するとともに該移動体通信網を介して通信を行う通信手段と、
前記通信手段が前記移動体通信網に対して位置登録をした基地局と、前記通信手段が記憶保持していた基地局が異なったことを該通信手段の移動として判定し、前記監視装置に移動通知を送出する移動判定手段と、
前記監視装置からの命令に応じて電子マネーにチャージを行うチャージ機能を停止する機能停止手段と
を具備することを特徴とする電子マネーチャージ装置。
【請求項6】
前記機能停止手段は、前記通信手段が前記移動体通信網に対して位置登録をするまで前記チャージ機能を停止し、前記通信手段が前記移動体通信網に対して位置登録をした後に該停止したチャージ機能を稼動させることを特徴とする請求項5記載の電子マネーチャージ装置。
【請求項7】
前記機能停止手段は、前記通信手段が前記移動体通信網の基地局の探索を所定回数連続して失敗した場合に、前記チャージ機能を停止することを特徴とする請求項5記載の電子マネーチャージ装置。
【請求項1】
自動販売機に配設された電子マネーチャージ装置と、前記電子マネーチャージ装置と通信を行い該電子マネーチャージ装置の移動を監視する監視装置とを具備する電子マネーチャージ装置の盗難監視システムであって、
前記電子マネーチャージ装置は、
移動体通信網に対して位置登録をした基地局を記憶保持するとともに該移動体通信網を介して通信を行う通信手段と、
前記通信手段が前記移動体通信網に対して位置登録をした基地局と、前記通信手段が記憶保持していた基地局が異なったことを該通信手段の移動として判定し、前記監視装置に移動通知を送出する移動判定手段と、
前記監視装置からの命令に応じて電子マネーにチャージを行うチャージ機能を停止する機能停止手段と
を具備し、
前記監視装置は、
前記電子マネーチャージ装置から移動通知を受信する通知受信手段と、
前記通知受信手段が移動通知を受信した際に、前記電子マネーチャージ装置にチャージ機能を停止させる命令を送出する停止命令送出手段と
を具備する
ことを特徴とする電子マネーチャージ装置の盗難監視システム。
【請求項2】
前記機能停止手段は、前記通信手段が前記移動体通信網に対して位置登録をするまで前記チャージ機能を停止し、前記通信手段が前記移動体通信網に対して位置登録をした後に該停止したチャージ機能を稼動させることを特徴とする請求項1記載の電子マネーチャージ装置の盗難監視システム。
【請求項3】
前記機能停止手段は、前記通信手段が前記移動体通信網の基地局の探索を所定回数連続して失敗した場合に、前記チャージ機能を停止することを特徴とする請求項1記載の電子マネーチャージ装置の盗難監視システム。
【請求項4】
前記監視装置は、前記停止命令送出手段が命令を送出した場合に、前記電子マネーチャージ装置の盗難が発生した可能性があることを管理者に報知する報知手段をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の電子マネーチャージ装置の盗難監視システム。
【請求項5】
自動販売機に配設され、監視装置と通信することにより該監視装置により移動が監視される電子マネーチャージ装置であって、
移動体通信網に対して位置登録をした基地局を記憶保持するとともに該移動体通信網を介して通信を行う通信手段と、
前記通信手段が前記移動体通信網に対して位置登録をした基地局と、前記通信手段が記憶保持していた基地局が異なったことを該通信手段の移動として判定し、前記監視装置に移動通知を送出する移動判定手段と、
前記監視装置からの命令に応じて電子マネーにチャージを行うチャージ機能を停止する機能停止手段と
を具備することを特徴とする電子マネーチャージ装置。
【請求項6】
前記機能停止手段は、前記通信手段が前記移動体通信網に対して位置登録をするまで前記チャージ機能を停止し、前記通信手段が前記移動体通信網に対して位置登録をした後に該停止したチャージ機能を稼動させることを特徴とする請求項5記載の電子マネーチャージ装置。
【請求項7】
前記機能停止手段は、前記通信手段が前記移動体通信網の基地局の探索を所定回数連続して失敗した場合に、前記チャージ機能を停止することを特徴とする請求項5記載の電子マネーチャージ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−44007(P2011−44007A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−192002(P2009−192002)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【出願人】(307003777)株式会社日本コンラックス (140)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【出願人】(307003777)株式会社日本コンラックス (140)
【Fターム(参考)】
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