説明

電子マネー処理装置、電子マネー処理システム、電子マネー処理方法およびプログラム

【課題】一定の処理時間の確保、及び、処理時間の高速化を実現する。
【解決手段】改札機3の読み書き部31は、ユーザが所持するICカード2から電子マネー情報を読み取り、送受信部33は、この電子マネー情報の改札処理を要求する改札処理要求及び電子マネー情報を改札業務処理装置1の送受信部11に送信する。処理判別部21は受信した改札処理要求の改札処理を特定し、プロセッサ群割当部22は、この改札処理に合わせて最適化されたプロセッサを備えたプロセッサ群15を割り当てる。プロセッサ割当部23は、プロセッサ群15の中の空いているプロセッサを巡回して改札処理を割り当てる。送受信部11は、このプロセッサによる改札処理結果を送信する。改札機3の送受信部33は改札処理結果を受信し、読み書き部31は改札処理結果をICカード2に書き込みICカードの情報を更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子マネー処理装置、電子マネー処理システム、電子マネー処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子マネーシステムには、電子マネー機能を有するICチップからの情報の読取り及び書込みのみをクライアント側で行い、その他の処理をサーバ側で行うシステム(いわゆるシンクライアント型ICカードシステム)がある。
【0003】
特許文献1には、電子マネーによってプレイ料金の支払いが可能な、いわゆるシンクライアント型のゲームシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−257518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のシステムでは、サーバ側におけるハードウェアリソースの空き状況や負荷状況次第で、処理時間にムラが発生したり、処理に長時間を要したりする。そのため、高速かつ一定の処理時間を確保するという観点からみると未だ十分ではない。
【0006】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたものであり、一定の処理時間の確保、及び、処理時間の高速化を実現できる、電子マネー処理装置、電子マネー処理方法およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る電子マネー処理装置は、
ユーザの携帯端末に記憶されている電子マネー情報を読み取り可能な複数のクライアント端末から、前記電子マネー情報と、前記電子マネー情報を更新する処理の要求を示す処理要求情報とを、ネットワークを介して繰り返し受信する受信手段と、
前記処理要求情報と、該処理要求情報が要求する処理を示す処理内容識別情報と、該処理内容識別情報が示す処理を実行する処理装置を複数備える処理装置群を示す処理装置群識別情報とを、それぞれ対応付けて記憶する記憶手段と、
前記受信手段により前記電子マネー情報と、前記処理要求情報とが受信される度に、前記処理要求情報が要求する処理と、該処理を行う処理装置を複数備える処理装置群とを、前記記憶手段で記憶した処理内容識別情報と、処理装置群識別情報とに基づいて特定する特定手段と、
前記特定手段で特定した処理装置群に含まれる処理装置に、前記特定手段で特定した処理を実行させ、前記受信手段で受信した電子マネー情報を更新する処理実行手段と、
前記処理実行手段で更新された電子マネー情報を、前記処理要求情報を送信したクライアント端末に送信することにより、前記ユーザの携帯端末に記憶されている電子マネー情報の書き換えを指示する送信手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
また、前記処理実行手段は、前記処理装置が前記特定手段で特定した処理の実行中に前記受信手段が受信した前記処理要求情報とは異なる処理要求情報により要求される処理を、前記処理装置とは異なる処理装置に実行させるようにしてもよい。
【0009】
また、前記処理実行手段は、前記特定手段で特定した処理に合わせて最適化されている複数の処理装置に、前記特定手段で特定した処理を順に実行させるようにしてもよい。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る電子マネー処理システムは、
ネットワークを介して相互に接続される複数のクライアント端末と電子マネー処理装置とを備える電子マネー処理システムであって、
前記クライアント端末は、
携帯端末に記憶されている電子マネー情報を読み取る手段と、
該電子マネー情報を更新する旨の処理要求を示す処理要求情報と、該電子マネー情報とを、ネットワークを介して相互に接続された電子マネー処理装置に送信する情報送信手段と、
前記電子マネー処理装置により更新された電子マネー情報を受信する更新情報受信手段と、
前記更新情報受信手段で受信した電子マネー情報を前記携帯端末に書き込む情報書き込み手段と、
を備え、
前記電子マネー処理装置は、
ユーザの携帯端末に記憶されている電子マネー情報を読み取り可能な複数のクライアント端末から、前記電子マネー情報と、前記電子マネー情報を更新する処理の要求を示す処理要求情報とを、ネットワークを介して繰り返し受信する受信手段と、
前記処理要求情報と、該処理要求情報が要求する処理を示す処理内容識別情報と、該処理内容識別情報が示す処理を実行する処理装置を複数備える処理装置群を示す処理装置群識別情報とを、それぞれ対応付けて記憶する記憶手段と、
前記受信手段により前記電子マネー情報と、前記処理要求情報とが受信される度に、前記処理要求情報が要求する処理と、該処理を行う処理装置を複数備える処理装置群とを、前記記憶手段で記憶した処理内容識別情報と、処理装置群識別情報とに基づいて特定する特定手段と、
前記特定手段で特定した処理装置群に含まれる処理装置に、前記特定手段で特定した処理を実行させ、前記受信手段で受信した電子マネー情報を更新する処理実行手段と、
前記処理実行手段で更新された電子マネー情報を、前記処理要求情報を送信したクライアント端末に送信することにより、前記ユーザの携帯端末に記憶されている電子マネー情報の書き換えを指示する送信手段と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係る電子マネー処理方法は、
ユーザの携帯端末に記憶されている電子マネー情報を読み取り可能な複数のクライアント端末から、前記電子マネー情報と、前記電子マネー情報を更新する処理の要求を示す処理要求情報とを、ネットワークを介して繰り返し受信する受信ステップと、
前記処理要求情報と、該処理要求情報が要求する処理を示す処理内容識別情報と、該処理内容識別情報が示す処理を実行する処理装置を複数備える処理装置群を示す処理装置群識別情報とを、それぞれ対応付けて記憶する記憶ステップと、
前記受信ステップにより前記電子マネー情報と、前記処理要求情報とが受信される度に、前記処理要求情報が要求する処理と、該処理を行う処理装置を複数備える処理装置群とを、前記記憶ステップで記憶した処理内容識別情報と、処理装置群識別情報とに基づいて特定する特定ステップと、
前記特定ステップで特定した処理装置群に含まれる処理装置に、前記特定ステップで特定した処理を実行させ、前記受信ステップで受信した電子マネー情報を更新する処理実行ステップと、
前記処理実行ステップで更新された電子マネー情報を、前記処理要求情報を送信したクライアント端末に送信することにより、前記ユーザの携帯端末に記憶されている電子マネー情報の書き換えを指示する送信ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の第4の観点に係るプログラムは、
コンピュータを、
ユーザの携帯端末に記憶されている電子マネー情報を読み取り可能な複数のクライアント端末から、前記電子マネー情報と、前記電子マネー情報を更新する処理の要求を示す処理要求情報とを、ネットワークを介して繰り返し受信する受信手段、
前記処理要求情報と、該処理要求情報が要求する処理を示す処理内容識別情報と、該処理内容識別情報が示す処理を実行する処理装置を複数備える処理装置群を示す処理装置群識別情報とを、それぞれ対応付けて記憶する記憶手段、
前記受信手段により前記電子マネー情報と、前記処理要求情報とが受信される度に、前記処理要求情報が要求する処理と、該処理を行う処理装置を複数備える処理装置群とを、前記記憶手段で記憶した処理内容識別情報と、処理装置群識別情報とに基づいて特定する特定手段、
前記特定手段で特定した処理装置群に含まれる処理装置に、前記特定手段で特定した処理を実行させ、前記受信手段で受信した電子マネー情報を更新する処理実行手段、
前記処理実行手段で更新された電子マネー情報を、前記処理要求情報を送信したクライアント端末に送信することにより、前記ユーザの携帯端末に記憶されている電子マネー情報の書き換えを指示する送信手段、
として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、一定の処理時間の確保、及び、処理時間の高速化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係る電子マネー処理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1の電子マネーシステムが備える処理要求割当情報を説明する図である。
【図3】図1の電子マネーシステムにおけるプロセッサ群を説明する図である。
【図4】図1の電子マネーシステムにおけるプロセッサ群を割り当てる処理の一例を示す図である。
【図5】図1の電子マネーシステムにおけるプロセッサを割り当てる処理の一例を示す図である。
【図6】実施の形態に係る改札業務処理システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明において、携帯端末とは、いわゆる電子マネー機能を搭載した携帯電話やPHS(Personal Handyphone System)などの移動体通信端末や、ICカードなどを含み、ICチップを備える携帯端末から構成される。本実施の形態では、本発明の電子マネー処理システムを改札業務処理システムに適用した例を示す。本実施の形態では、携帯端末としてICカードを例に示す。また、本実施の形態では、改札業務処理装置1が電子マネー処理装置に相当し、改札機3がクライアント端末に相当する。
【0016】
本発明の実施形態に係る電子マネー処理システム100について、図面を参照して説明する。改札業務処理システム100は、図1に示すように、改札業務処理装置1と、ICカード2と、改札機3と、HUB4と、ネットワーク5と、から構成される。
【0017】
改札業務処理装置1は、送受信部11と、主記憶部13と、外部記憶部14と、プロセッサ群15と、制御部12と、から構成されている。送受信部11、主記憶部13、外部記憶部14、及びプロセッサ群15は、いずれも内部バス19を介して制御部12と接続されている。
【0018】
送受信部11は、ネットワークに接続する網終端装置または無線通信装置、およびそれらと接続するシリアルインタフェースまたはLAN(Local Area Network)インタフェースから構成されている。送受信部11は、改札機3からネットワーク5を介して、複数の改札処理要求を電子マネー情報と共に受信する。改札処理要求は、運賃の計算や、乗降記録の更新などの改札処理を、改札業務処理装置1に実行させるための情報である。電子マネー情報とは、ICチップを識別する情報や、ICチップに記録されている電子マネーの残高を示す情報などを含み、各改札処理に必要なデータを意味する。また、送受信部11は、プロセッサ群15内のプロセッサにより改札処理がなされた電子マネー情報を、改札処理がなされる前の電子マネー情報を送信した改札機3に、ネットワーク5を介して送信する。
【0019】
主記憶部13は、RAM(Random−Access Memory)等から構成され、制御部12の作業領域として用いられる。
【0020】
外部記憶部14は、フラッシュメモリ、ハードディスク、DVD−RAM(Digital Versatile Disc Random−Access Memory)、DVD−RW(Digital Versatile Disc ReWritable)等の不揮発性メモリから構成され、改札業務処理を制御部12に行わせるためのプログラム17及び処理要求割当情報18が予め格納されている。
また、外部記憶部14は、制御部12の指示に従って、このプログラム17が記憶するデータを制御部12に供給し、制御部12から供給されたデータを記憶する。
【0021】
処理要求割当情報18は、図2に示すように、各改札処理要求に対応する改札処理と、その改札処理を行うために最適化されたプロセッサを複数備えるプロセッサ群と、を特定する情報である。図示するように、改札処理要求αが示す改札処理が処理aであり、処理aを行うために最適化されたプロセッサを備えたプロセッサ群がプロセッサ群Aである。
【0022】
プロセッサ群15は、改札処理ごとに設けられ、図3に示すように、その改札処理に合わせて最適化されたプロセッサを複数備えている。プロセッサは、1つの改札処理要求に対し、他のプロセッサの影響を受けずに、一の改札処理の実行が可能である。
以下、最適化されたプロセッサについて説明する。
【0023】
改札処理には、例えば、データの照合、データの計算、データの送受信などが含まれる。具体的には、料金テーブルの照合やネガリストの照合、降車駅における料金の計算、入場処理や出場処理におけるデータの送受信等の処理がある。これらの改札処理のアプリケーションは、パターン別に分けることができる。
最適化されたプロセッサとは、これらのアプリケーションのパターンのうち、一のパターンに適合するような環境下にあるプロセッサである。最適化されたプロセッサを用いることにより、応答時間が短くすることができ、またアプリケーションの精度を高めることができるなど、アプリケーション性能を向上させることができる。
【0024】
プロセッサ割当部23により改札処理要求が割り当てられたプロセッサは、改札処理要求が割り当てられたことに応じて、プロセッサ割当部23により取得した電子マネー情報に対して、各プロセッサ特有の改札処理を行う。
【0025】
また、プロセッサによる改札処理が終了すると、各プロセッサ群15は、更新後の電子マネー情報を送受信部11へ送信する。
【0026】
各プロセッサ群15が備える最適化されたプロセッサの数は、複数の改札機3から同時に発生しうる改札処理要求の最大数との関係により、待ち時間を所定の時間以下にするために必要な数である。
たとえば、各改札処理要求の発生数による確率分布を用いて、各改札機3から同時に発生する改札処理要求数の期待値を算出する。この期待値で表される数の改札処理を実行した場合に、待ち時間が予め設定された時間以下になる数のプロセッサを用意する。
なお、各プロセッサ群15内のプロセッサ数は同一でなくてもよい。また、送受信部11で受信した改札処理要求の数が、この改札処理に対応するプロセッサの数を上回る場合、あらかじめ用意した汎用プロセッサを用いてもよい。
【0027】
制御部12は、CPU(Central Processing Unit)等から構成される。制御部12は、外部記憶部14に格納されたプログラム17に従って動作し、改札業務処理に必要な機能を提供する。制御部12は、プログラム17により提供される主要な機能部として、処理判別部21と、プロセッサ群割当部22と、各プロセッサ群に対応する数のプロセッサ割当部23と、を備えている。
【0028】
処理判別部21は、送受信部11が受信した各改札処理要求に対応する改札処理を、外部記憶部14に格納されている処理要求割当情報18を読み込んで判別する。
【0029】
ここで、送受信部11が受信した改札処理要求が、改札処理要求α、改札処理要求β、改札処理要求γ、の3種類である場合を例に説明する。なお、各改札処理要求は、例えば、料金計算処理要求、電子マネー減額処理要求、出場処理要求である。処理判別部21は、図2に示す処理要求割当情報18を読み込み、各改札処理要求(改札処理要求α、改札処理要求β、改札処理要求γ)に対応する改札処理(処理a、処理b、処理c)を判別する。具体的には、処理判別部21は、料金計算処理要求、電子マネー減額処理要求、出場処理要求に対応する改札処理として、料金計算処理、電子マネー減額処理、出場処理を判別する。
【0030】
なお、ここでは1台の改札機から1回の読み取りによって、3種類の処理要求が発生する場合を例示しているが、1回の読み取りで発生する処理要求は常に3種類とは限らない。また、後述するプロセッサが1つの処理を実行する間に、複数の改札機からそれぞれ改札処理要求が発生する場合もある。
【0031】
プロセッサ群割当部22は、処理判別部21で判別した各改札処理に対応するプロセッサ群15を、処理要求割当情報18を読み込んで特定する。また、プロセッサ群割当部22は、特定した各プロセッサ群15に、送受信部11で受信した各改札処理要求及び電子マネー情報をそれぞれ割り当てる。プロセッサ群15の特定は、処理判別部21で判別した改札処理に対応するプロセッサ群15を、処理要求割当情報18から特定することにより行う。
【0032】
ここで、上記と同様に、処理判別部で判別された改札処理が、処理a、処理b、処理cである場合を例に説明する。
【0033】
プロセッサ群割当部22は、図2に示す処理要求割当情報18を読み込み、各改札処理(処理a、処理b、処理c)に対応するプロセッサ群であるプロセッサ群A、プロセッサ群B、プロセッサ群C、を特定する。
【0034】
続いてプロセッサ群割当部22は、図4に示すように、特定したプロセッサ群15(プロセッサ群A、プロセッサ群B、プロセッサ群C)に、対応する各改札処理要求(改札処理要求α、改札処理要求β、改札処理要求γ)と割り当てられた電子マネー情報とをそれぞれ送信する。
【0035】
図示するように、プロセッサ群15には、処理aを行うために最適化された複数のプロセッサAを備えるプロセッサ群15と、処理bを行うために最適化された複数のプロセッサBを備えるプロセッサ群15と、処理cを行うために最適化された複数のプロセッサCを備えるプロセッサ群15とがある。ここで、最適化とは、例えば料金計算処理においては、料金計算用のテーブル等の必要な情報が格納されていることや、料金計算処理を行うプログラムが格納されていること等、当該処理を行うのにふさわしい環境が整っていることをいう。
【0036】
プロセッサ割当部23は、プロセッサ群割当部22で割り当てられた各プロセッサ群15内のプロセッサに、プロセッサ群割当部22で割り当てられた各改札処理要求及び電子マネー情報を、ラウンドロビン方式で動的に割り当てる。また、プロセッサ割当部23は、プロセッサ群15内の1つのプロセッサが1つの処理を実行する時間より短い間隔で発生する2以上の改札処理要求を、それぞれ異なるプロセッサに割り当てる。
【0037】
ここで、プロセッサ群割当部22によりプロセッサ群Aに改札処理要求αが割り当てられている上述の例において、割り当てられている改札処理aの改札処理要求αが複数である場合について、図5を用いて説明する。なお、ここではプロセッサ群Aについてのみ説明するが、他のプロセッサについても同様の処理が行われる。
【0038】
プロセッサ割当部23は、図5に示すように、1つ目の改札処理aを、電子マネー情報と共にプロセッサA(1)に割り当てる。そしてプロセッサ割当部23は、2つ目の改札処理aを、電子マネー情報と共にプロセッサA(2)に割り当てる。プロセッサ割当部23は、プロセッサ群A内の空きプロセッサA(n)を待ち行列に設定して、改札処理aを等間隔で順に割り当てる。図示するように、4つ目の改札処理aを割り当てる場合、既にプロセッサA(1)に割り当てられた改札処理aは終了している。この場合、改札処理を終了したプロセッサA(1)は、待ち行列の最後に設定されるため、割り当てられるプロセッサA(n)は、プロセッサA(4)となる。
【0039】
ICカード2は、改札機3を通行する乗客が所持している電子マネー機能を搭載したICカードである。
【0040】
改札機3は、交通機関を利用する乗客が通行する自動改札機であって、ICカード2からの情報の読み取りおよびICカード2への情報の書き込みを行う。改札機3は、CPU(Central Processing Unit)等から構成される制御部32を備えておいる。改札機3は、プログラムをロードすることで制御部32により提供される機能部として、読み書き部31および送受信部33を備える。
【0041】
読み書き部31は、ICカード2に記憶されている電子マネー情報の読み取りおよび書き込みが可能な非接触ICカードリーダ/ライタである。読み書き部31は、ICカード2から読み取った電子マネー情報を送受信部33に送る。また、読み書き部31は、改札業務処理装置1で更新された電子マネー情報を送受信部33から受け取り、ICカード2に書き込む。これによりICカード2に記憶されている電子マネー情報を書き換える。
【0042】
送受信部33は、読み書き部31から受け取った情報を、改札処理を要求する改札処理要求として改札業務処理装置1に送信する。改札処理要求には、電子マネー情報と、当該電子マネー情報に対して行う改札処理の識別情報が含まれている。また、送受信部33は、改札業務処理装置1から更新された電子マネー情報を受信し、読み書き部31に送る。
【0043】
HUB4は、1台以上の改札機3と改札業務処理装置1との間で通信する際の中継を行う。
【0044】
ネットワーク5は、改札機3と改札業務処理装置1とを相互に通信可能に接続する。
【0045】
以上が、電子マネー処理システム100の構成である。
【0046】
次に、電子マネー処理システム100の動作について、図6に示すフローチャートを用いて説明する。電子マネー処理システム100は、改札機3におけるICカード更新処理と、改札業務処理装置1における改札業務処理が実行されることにより動作する。
【0047】
改札機3におけるICカード更新処理は、乗客によってICカード2が改札機3の読み書き部31にかざされることに起因して開始される。
【0048】
乗客によってICカード2が改札機3の読み書き部31にかざされると、読み書き部31は、ICカード2に記憶されている電子マネー情報を読み取る(ステップS11)。
【0049】
送受信部33は、読み書き部31が読み取った電子マネー情報を受け取り、改札処理を改札業務処理装置1に実行させるための情報である改札処理要求を、受けとった電子マネー情報と共に改札業務処理装置1の送受信部11に送信する(ステップS12)。
【0050】
改札業務処理装置1の送受信部11は、改札機3の送受信部33から改札処理要求と電子マネー情報とを受信する(ステップS21)。これにより、改札業務処理装置1における改札業務処理が開始される。
【0051】
処理判別部21は、送受信部11で受信した改札処理要求に対応する改札処理を、記憶部13に格納されている処理要求割当情報18を読み込んで判別する(ステップS22)。
【0052】
プロセッサ群割当部22は、処理判別部21で判別した改札処理を行うプロセッサを備えるプロセッサ群15を、外部記憶部14に格納されている処理要求割当情報18を読み込んで特定する(ステップS23)。そしてプロセッサ群割当部22は、特定したプロセッサ群15に、送受信部11で受信した改札処理要求と電子マネー情報とを送信する。
【0053】
プロセッサ割当部23は、プロセッサ群割当部22により特定されたプロセッサ群15内の空いているプロセッサに、受信した改札処理要求及び電子マネー情報を順に割り当てる(ステップS24)。これらが割り当てられたプロセッサは、改札処理要求が割り当てられたことに起因して、改札処理を行って電子マネー情報を更新する(ステップS25)。そして、プロセッサは、更新後の電子マネー情報を送受信部11に送る。
【0054】
送受信部11は、更新後の電子マネー情報を改札機3に送信して(ステップS26)、改札業務処理装置1における改札業務処理を終了する。
【0055】
改札機3の送受信部33は、改札業務処理装置1から更新された電子マネー情報を受信する(ステップS13)。
【0056】
読み書き部31は、送受信部33からこの電子マネー情報を受け取ることに応じて、乗客によりかざされたICカード2に上書きする。これによりICカード2に記憶されている電子マネー情報を書き換える(ステップS14)。このようにして、改札機3におけるICカード更新処理を終了する。
【0057】
以上説明したように、本実施形態に係るICカード更新処理及び改札業務処理が実行されると、制御部12は、各改札処理に合わせて最適化されたプロセッサを備えるプロセッサ群15に、改札処理要求を割り当てる。これにより、安定した一定の処理時間を確保することができる。
【0058】
また、制御部12は、プロセッサ群15内の各プロセッサを巡回して改札処理を割り当てる。このように、ラウンドロビン方式で動的に処理を割り当てることにより、処理の効率を上げて待ち時間を減少させることができ、結果として処理時間を高速化することができる。
【0059】
(変形例)
この発明は、上記の実施形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。上記実施形態では、本発明を改札業務処理に適用した場合を例示したが、改札業務処理に限られるものではなく、電子マネーによる課金処理や支払処理等、電子マネーを用いた他の決済処理であってもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、一つの業務における複数の処理を対象としたが、複数の業務における複数の処理を対象としてもよい。この場合、ICカードに業務を識別する業務番号を付与し、プロセッサ群の割り当てにおいて業務番号に対応するプロセッサ群を割り当てる構成とする。この構成によれば、異なる処理についてのみ業務固有のプロセッサを備えればよく、異なる業務であっても、共通する処理についてはプロセッサを共有することができ、設備費用を抑えつつ、複数の業務に対応させることができる。
【0061】
本実施形態に係る改札業務処理装置1は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。たとえば、前記の動作を実行するためのプログラム17を、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM等)に格納して配布し、このプログラム17をコンピュータにインストールすることにより、前記の処理を実行する改札業務処理装置1を構成してもよい。また、インターネット等の通信ネットワーク上のサーバ装置が有する記憶装置にこのプログラム17を格納しておき、通常のコンピュータシステムがダウンロード等することで改札業務処理装置1を構成してもよい。
【0062】
また、改札業務処理装置1の機能を、OS(オペレーティングシステム)とアプリケーションプログラムの分担、またはOSとアプリケーションプログラムとの協働により実現する場合などには、アプリケーションプログラム部分のみを記録媒体や記憶装置に格納してもよい。
【0063】
また、搬送波にプログラム17を重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。たとえば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS:Bulletin Board System)にこのプログラム17を掲示し、ネットワークを介してプログラム17を配信してもよい。そして、このプログラム17を起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、前記の処理を実行できるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 改札業務処理装置
2 ICカード
3 改札機
4 HUB
5 ネットワーク
11 送受信部
12 制御部
13 主記憶部
14 外部記憶部
15 プロセッサ群
17 プログラム
18 処理要求割当情報
19 内部バス
21 処理判別部
22 プロセッサ群割当部
23 プロセッサ割当部
31 読み書き部
32 制御部
33 送受信部
100 改札業務処理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの携帯端末に記憶されている電子マネー情報を読み取り可能な複数のクライアント端末から、前記電子マネー情報と、前記電子マネー情報を更新する処理の要求を示す処理要求情報とを、ネットワークを介して繰り返し受信する受信手段と、
前記処理要求情報と、該処理要求情報が要求する処理を示す処理内容識別情報と、該処理内容識別情報が示す処理を実行する処理装置を複数備える処理装置群を示す処理装置群識別情報とを、それぞれ対応付けて記憶する記憶手段と、
前記受信手段により前記電子マネー情報と、前記処理要求情報とが受信される度に、前記処理要求情報が要求する処理と、該処理を行う処理装置を複数備える処理装置群とを、前記記憶手段で記憶した処理内容識別情報と、処理装置群識別情報とに基づいて特定する特定手段と、
前記特定手段で特定した処理装置群に含まれる処理装置に、前記特定手段で特定した処理を実行させ、前記受信手段で受信した電子マネー情報を更新する処理実行手段と、
前記処理実行手段で更新された電子マネー情報を、前記処理要求情報を送信したクライアント端末に送信することにより、前記ユーザの携帯端末に記憶されている電子マネー情報の書き換えを指示する送信手段と、
を備えることを特徴とする電子マネー処理装置。
【請求項2】
前記処理実行手段は、前記処理装置が前記特定手段で特定した処理の実行中に前記受信手段が受信した前記処理要求情報とは異なる処理要求情報により要求される処理を、前記処理装置とは異なる処理装置に実行させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子マネー処理装置。
【請求項3】
前記処理実行手段は、前記特定手段で特定した処理に合わせて最適化されている複数の処理装置に、前記特定手段で特定した処理を順に実行させる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子マネー処理装置。
【請求項4】
ネットワークを介して相互に接続される複数のクライアント端末と電子マネー処理装置とを備える電子マネー処理システムであって、
前記クライアント端末は、
携帯端末に記憶されている電子マネー情報を読み取る手段と、
該電子マネー情報を更新する旨の処理要求を示す処理要求情報と、該電子マネー情報とを、ネットワークを介して相互に接続された電子マネー処理装置に送信する情報送信手段と、
前記電子マネー処理装置により更新された電子マネー情報を受信する更新情報受信手段と、
前記更新情報受信手段で受信した電子マネー情報を前記携帯端末に書き込む情報書き込み手段と、
を備え、
前記電子マネー処理装置は、
ユーザの携帯端末に記憶されている電子マネー情報を読み取り可能な複数のクライアント端末から、前記電子マネー情報と、前記電子マネー情報を更新する処理の要求を示す処理要求情報とを、ネットワークを介して繰り返し受信する受信手段と、
前記処理要求情報と、該処理要求情報が要求する処理を示す処理内容識別情報と、該処理内容識別情報が示す処理を実行する処理装置を複数備える処理装置群を示す処理装置群識別情報とを、それぞれ対応付けて記憶する記憶手段と、
前記受信手段により前記電子マネー情報と、前記処理要求情報とが受信される度に、前記処理要求情報が要求する処理と、該処理を行う処理装置を複数備える処理装置群とを、前記記憶手段で記憶した処理内容識別情報と、処理装置群識別情報とに基づいて特定する特定手段と、
前記特定手段で特定した処理装置群に含まれる処理装置に、前記特定手段で特定した処理を実行させ、前記受信手段で受信した電子マネー情報を更新する処理実行手段と、
前記処理実行手段で更新された電子マネー情報を、前記処理要求情報を送信したクライアント端末に送信することにより、前記ユーザの携帯端末に記憶されている電子マネー情報の書き換えを指示する送信手段と、
を備えることを特徴とする電子マネー処理システム。
【請求項5】
ユーザの携帯端末に記憶されている電子マネー情報を読み取り可能な複数のクライアント端末から、前記電子マネー情報と、前記電子マネー情報を更新する処理の要求を示す処理要求情報とを、ネットワークを介して繰り返し受信する受信ステップと、
前記処理要求情報と、該処理要求情報が要求する処理を示す処理内容識別情報と、該処理内容識別情報が示す処理を実行する処理装置を複数備える処理装置群を示す処理装置群識別情報とを、それぞれ対応付けて記憶する記憶ステップと、
前記受信ステップにより前記電子マネー情報と、前記処理要求情報とが受信される度に、前記処理要求情報が要求する処理と、該処理を行う処理装置を複数備える処理装置群とを、前記記憶ステップで記憶した処理内容識別情報と、処理装置群識別情報とに基づいて特定する特定ステップと、
前記特定ステップで特定した処理装置群に含まれる処理装置に、前記特定ステップで特定した処理を実行させ、前記受信ステップで受信した電子マネー情報を更新する処理実行ステップと、
前記処理実行ステップで更新された電子マネー情報を、前記処理要求情報を送信したクライアント端末に送信することにより、前記ユーザの携帯端末に記憶されている電子マネー情報の書き換えを指示する送信ステップと、
を備えることを特徴とする電子マネー処理方法。
【請求項6】
コンピュータを、
ユーザの携帯端末に記憶されている電子マネー情報を読み取り可能な複数のクライアント端末から、前記電子マネー情報と、前記電子マネー情報を更新する処理の要求を示す処理要求情報とを、ネットワークを介して繰り返し受信する受信手段、
前記処理要求情報と、該処理要求情報が要求する処理を示す処理内容識別情報と、該処理内容識別情報が示す処理を実行する処理装置を複数備える処理装置群を示す処理装置群識別情報とを、それぞれ対応付けて記憶する記憶手段、
前記受信手段により前記電子マネー情報と、前記処理要求情報とが受信される度に、前記処理要求情報が要求する処理と、該処理を行う処理装置を複数備える処理装置群とを、前記記憶手段で記憶した処理内容識別情報と、処理装置群識別情報とに基づいて特定する特定手段、
前記特定手段で特定した処理装置群に含まれる処理装置に、前記特定手段で特定した処理を実行させ、前記受信手段で受信した電子マネー情報を更新する処理実行手段、
前記処理実行手段で更新された電子マネー情報を、前記処理要求情報を送信したクライアント端末に送信することにより、前記ユーザの携帯端末に記憶されている電子マネー情報の書き換えを指示する送信手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−94053(P2012−94053A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242321(P2010−242321)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000102728)株式会社エヌ・ティ・ティ・データ (438)
【出願人】(510287382)KSKBコンサルティング株式会社 (1)
【Fターム(参考)】