説明

電子マネー決済端末及び電子マネー決済システム

【課題】かざし部にかざされた媒体が適切な媒体か不適切な媒体かの判断を正確に行うことができる電子マネー決済端末の提供。
【解決手段】かざし部3を備え、かざし部3にかざされた媒体のデータの読み取り及び書換えを行う電子マネー決済端末であって、かざし部3の中央位置に設けられ、かざし部3に媒体9がかざされたか否かを検知する反射型センサ2と、かざし部3にかざされた媒体9のデータを捕捉するリーダ/ライタと、反射型センサ2及びリーダ/ライタに接続され、反射型センサ2が媒体9を検知した時に、リーダ/ライタが媒体9のデータを捕捉できなかった場合は、媒体9を不適切な媒体と判断する制御部とを、有することを特徴とする電子マネー決済端末。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、かざし部を備え、該かざし部にかざされた媒体のデータの読み取り及び書換えを取引として行う電子マネー決済端末に関する。本発明は、また、前記電子マネー決済端末を備えた電子マネー決済システムに関する。
【背景技術】
【0002】
媒体は、典型的には、電子マネーの決済が行える電子マネー機能付き携帯電話である。代りに、媒体は、電子マネーの決済が行える電子マネーカードであっても良い。或いは、電子マネーの決済が行えるカード以外の媒体であっても良い。
【0003】
電子マネー決済端末は、媒体との通信を行うために、電磁誘導により、電力の受信および情報信号の送受信を行うものである。電子マネー決済端末は、通信距離が数mm程度の密着型の電子マネー決済端末及び通信距離が十数mm程度の近接型の電子マネー決済端末を含む。
【0004】
関連する電子マネー決済端末では、かざし部に電子マネー機能付き携帯電話以外の媒体及び故障した電子マネー機能付き携帯電話のいずれか(または電子マネーカード以外の媒体及び故障した電子マネーカードのいずれか)をかざした場合、上位装置(例えば、POS(Point Of Sales)端末である)で取引可能時間を一定時間、設けており、電子マネー決済端末において設定時間を越えて取引が実施されなかった場合、上位装置が無応答と処理し、再取引を行うシステムとなっていた。
【0005】
その為、利用者がそのことに気づかなかった場合、一定時間待たなければならなかった。その後、上位装置によって無応答と処理され、再取引を行うという後戻りが発生していた。
【0006】
特許文献1は、要約に、リーダ/ライタに近接センサ部を付設し、近接センサ部で物体を検知しない時は、送信データを送信せず、近接センサ部で物体を検知した時のみ、リーダ/ライタより送受信を行う非接触ICカード用リーダ/ライタが開示されている。
【0007】
特許文献2は、図1及び段落[0011]に、センサS1,S1’、S2,S2’は発光素子及び受光素子からなり、センサS1,S1’、S2,S2’は、アンテナ部3にかざされた非接触式ICカードCの位置を検出できるように、すなわち、アンテナ部3から非接触式ICカードCまでの距離を計測できるように、本体1の筐体1’に設けられていることを開示している。
【0008】
特許文献2は、また、段落[0018]の最後に、アンテナ部3にかざされた非接触式ICカードCが、本体1で取引処理できないカード(他社カード)のときも異常処理とされ、「かざされたカードは、取引処理できないカードであるので、自社のカードをかざすように」との案内が表示画面2及びスピーカ4を介して行われることを記載している。
【0009】
特許文献2は、更に、図1及び段落[0019]の最後に、表示画面2及びスピーカ4を介して「カードをアンテナ部に近付けるように」との案内が行われることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2000−194803号公報
【特許文献2】特開2000−149072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
現在の電子マネー決済端末は決済できる電子マネーの種類が決まっている為、電子マネー決済端末によって決済できる電子マネーと決済できない電子マネーがある。また電子マネー機能つき携帯電話においては、不本意に電子マネー決済が行われないよう、電子マネー機能を有効にするか否かの設定が行えるようになっている。
【0012】
その為、利用者が気づかずに電子マネー決済端末が決済できない媒体をかざした場合、及びかざした電子マネー機能付き携帯電話が電子マネー機能を有効にしていない場合など使用不可能な媒体をかざした場合、予め設定してある取引可能時間が過ぎた後、無応答と判断し、再取引を行うシステムとなっていた。
【0013】
かざされた媒体が適切かどうかの判断を短時間で正確に行うことが出来る電子マネー決済端末が望まれる。
【0014】
上記特許文献1は、近接センサ部によって媒体を検知することはできるが、かざした媒体が適切かどうかの判断は行っていない。特に、上記特許文献1は、かざし部を備えた電子マネー決済端末を開示しておらず、しかも、かざし部の中央位置に、ずれがなく、媒体がかざされたことを検知した時に、媒体が適切かどうかの判断を行うことも開示していない。
【0015】
上記特許文献2は、図1に、センサS1,S1’、S2,S2’を開示しているが、媒体(非接触式ICカードC)が横方向に(即ち、図中左側のセンサS1、S2近くに、或いは図中右側のセンサS1’、S2’近くに、)ずれてしまうと、センサS1,S1’、S2,S2’は媒体を検知するが、検知された媒体はアンテナ部3の通信範囲外となる状況が発生してしまい、この場合、検知された媒体が適切な媒体か不適切な媒体かの判断が正確に行えない。
【課題を解決するための手段】
【0016】
それ故、本発明の目的は、かざし部にかざされた媒体が適切な媒体か不適切な媒体かの判断を正確に行うことができる電子マネー決済端末を提供することにある。
【0017】
本発明によれば、
かざし部を備え、該かざし部にかざされた媒体のデータの読み取り及び書換えを行う電子マネー決済端末であって、
前記かざし部の中央位置に設けられ、該かざし部の中央位置に前記媒体がかざされたか否かを検知する反射型センサと、
前記かざし部の中央位置にかざされた前記媒体のデータを捕捉するリーダ/ライタと、
前記反射型センサ及び前記リーダ/ライタに接続され、前記反射型センサが前記かざし部の中央位置にかざされた前記媒体を検知した時に、前記リーダ/ライタが前記媒体のデータを捕捉できなかった場合は、前記媒体が不適切な媒体であるとの判断を行う制御部とを有することを特徴とする電子マネー決済端末が得られる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に従えば、反射型センサがかざし部の中央位置にかざされた媒体を検知した時に、リーダ/ライタが前記媒体のデータを捕捉できなかった場合は、前記媒体が不適切な媒体であるとの判断を行う制御部を有するので、かざし部にかざされた媒体が適切な媒体か不適切な媒体かの判断を正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態による電子マネー決済端末を示す図である。
【図2】図1の電子マネー決済端末のブロック図である。
【図3】本発明の第2の実施形態による電子マネー決済システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の第1の実施形態による電子マネー決済端末について図面を参照して説明する。
【0021】
図1を参照すると、本発明の第1の実施形態による電子マネー決済端末1が示されている。この電子マネー決済端末1は、かざし部3を備え、かざし部3にかざされた媒体9のデータの読み取り及び書換えを取引として行うものである。
【0022】
電子マネー決済端末1は、かざし部3の中央位置に設けられ、かざし部3の中央位置に媒体9がかざされたか否かを検知する反射型センサ2を有する。反射型センサ2は、具体的には反射型フォトセンサである。
【0023】
電子マネー決済端末1は、かざし部3の中央位置裏側にリーダ/ライタ(図2に4として図示)を有する。
【0024】
図1及び図2を参照して、リーダ/ライタ4は、かざし部3の中央位置にかざされた媒体9のデータを捕捉するものである。
【0025】
電子マネー決済端末1は、反射型センサ2及びリーダ/ライタ4に接続された制御部5を更に有する。制御部5は、反射型センサ2がかざし部3の中央位置にかざされた媒体9を検知した時に、リーダ/ライタ4が媒体9のデータを捕捉できなかった場合は、媒体9が不適切な媒体であるとの判断を行う。
【0026】
制御部5は、反射型センサ2がかざし部3の中央位置にかざされた媒体9を検知した時に、リーダ/ライタ4が媒体9のデータを捕捉できた場合は、媒体9が適切な媒体であるとの判断を行う。
【0027】
電子マネー決済端末1は、制御部5に接続された誘導部6を更に有する。誘導部6は、図1においては、例えば、電子マネー決済端末1のかざし部3手前の上面F下に設けられる。誘導部6は、制御部5が媒体9が不適切な媒体であるとの判断を行った時、適切な媒体をかざす様、誘導するものである。
【0028】
電子マネー決済端末1が電子マネー機能付き携帯電話を扱うものである場合、制御部5は、媒体9が、電子マネー機能付き携帯電話以外の媒体及び故障した電子マネー機能付き携帯電話のいずれかである場合、媒体9が不適切な媒体であるとの判断を行う。
【0029】
或いは、電子マネー決済端末1が電子マネーカードを扱うものである場合は、制御部5は、媒体9が、電子マネーカード以外の媒体及び故障した電子マネーカードのいずれかである場合、媒体9が不適切な媒体であるとの判断を行う。
【0030】
制御部5からの指示により誘導を行う誘導部6は、音声による誘導や電子マネー決済端末1に設置してある表示部による誘導など多岐に亘る。
【0031】
電子マネー決済端末1に配置した反射型センサ2からの情報と媒体9の捕捉状況から、制御部5が、媒体9が使用できない媒体であるかの判断を行い、使用できない媒体がかざされた場合に誘導部6は適切な媒体をかざすよう誘導する働きを持つ。
【0032】
本実施形態では、かざし部3の中央位置に反射型センサ2を配置することによって、媒体9がかざし部3の中央位置からずれた場合、反射型センサ2が媒体9を検知せず、取引の待ち状態が継続されるように構成される。このため、誤った判断を行うことがない。
【0033】
即ち、制御部5は、反射型センサ2が媒体を検知しない時(反射型センサ2が媒体を検知しない限り)は、取引の待ち状態を継続し、反射型センサ2が媒体9を検知した時は、取引の待ち状態を終了し、媒体が適切な媒体か不適切な媒体かの判断を行うものである。
【0034】
上述したように、本実施形態では、かざし部3の中央位置に媒体9がかざされたことを検知する反射型センサ2と、かざし部3の中央位置にかざされた媒体9のデータを捕捉するリーダ/ライタ4とを利用することによって、制御部5は、かざされた媒体が適切かどうかの判断を短時間で正確に行うことができる。更に、本実施形態では、かざされた媒体9が不適切であった場合に適切な媒体をかざすことを短時間で誘導することが出来る。
【0035】
次に、本実施形態の動作を説明する。
【0036】
図1及び図2を参照して、電子マネー決済端末1のかざし部3の中央位置に配置した反射型センサ2からの情報と、かざし部3の中央位置裏側に配置したリーダ/ライタ4からの情報より、制御部5がかざされた媒体9が適切かどうか判断を行う。
【0037】
詳細には、反射型センサ2が遮光状態(媒体9がかざされたこと)を検知し、リーダ/ライタ4において媒体9が捕捉出来れば、かざされた媒体9が適切と制御部5が判断する。
【0038】
しかし、反射型センサ2が遮光状態(媒体9がかざされたこと)を検知しても、リーダ/ライタ4において媒体9が捕捉出来なければ、かざされた媒体9が不適切と制御部5が判断する。制御部5がかざされた媒体9が不適切と判断した場合、誘導部6によって音声や電子マネー決済端末などで適切な媒体をかざすよう誘導する。
【0039】
図3を参照すると、本発明の第2の実施の形態による電子マネー決済システムが示されている。本電子マネー決済システムは、反射型センサ2(図2)及びリーダ/ライタ4(図2)を備えるが誘導部6(図2)を備えていない電子マネー決済端末1と、POS(Point Of Sales)端末7とを有する。この第2の実施の形態における電子マネー決済端末1の反射型センサ2及びリーダ/ライタ4は、第1の実施形態おける反射センサ2及びリーダ/ライタ4と同様の機能を有し、同様の動作をする。
【0040】
POS端末7は、電子マネー決済端末1の制御部5に接続され、制御部5が媒体が不適切な媒体であるとの判断を行った時、適切な媒体をかざす様、誘導する誘導部6’を有する。誘導部6’は、電子マネー決済端末1と接続されたPOS端末7の購入者側画面8での誘導で構成する。
【0041】
以上、実施形態を参照して本願発明を詳細に説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解できる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0042】
1 電子マネー決済端末
2 反射型センサ
3 かざし部
4 リーダ/ライタ
5 制御部
6 誘導部
6’ 誘導部
7 POS端末
8 購入者側画面
9 媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
かざし部を備え、該かざし部にかざされた媒体のデータの読み取り及び書換えを行う電子マネー決済端末であって、
前記かざし部の中央位置に設けられ、該かざし部の中央位置に前記媒体がかざされたか否かを検知する反射型センサと、
前記かざし部の中央位置にかざされた前記媒体のデータを捕捉するリーダ/ライタと、
前記反射型センサ及び前記リーダ/ライタに接続され、前記反射型センサが前記かざし部の中央位置にかざされた前記媒体を検知した時に、前記リーダ/ライタが前記媒体のデータを捕捉できなかった場合は、前記媒体が不適切な媒体であるとの判断を行う制御部とを有することを特徴とする電子マネー決済端末。
【請求項2】
前記制御部は、前記反射型センサが前記かざし部の中央位置にかざされた前記媒体を検知した時に、前記リーダ/ライタが前記媒体のデータを捕捉できた場合は、前記媒体が適切な媒体であるとの判断を行うことを特徴とする請求項1に記載の電子マネー決済端末。
【請求項3】
前記制御部に接続され、前記制御部が前記媒体が不適切な媒体であるとの判断を行った時、適切な媒体をかざす様、誘導する誘導部を、更に有することを特徴とする請求項1に記載の電子マネー決済端末。
【請求項4】
前記制御部は、前記媒体が、電子マネー機能付き携帯電話以外の媒体及び故障した電子マネー機能付き携帯電話のいずれかである場合、前記媒体が前記不適切な媒体であるとの判断を行うことを特徴とする請求項1に記載の電子マネー決済端末。
【請求項5】
前記制御部は、前記媒体が、電子マネーカード以外の媒体及び故障した電子マネーカードのいずれかである場合、前記媒体が前記不適切な媒体であるとの判断を行うことを特徴とする請求項1に記載の電子マネー決済端末。
【請求項6】
請求項1に記載の電子マネー決済端末と、POS端末とを有し、
該POS端末は、前記電子マネー決済端末の前記制御部に接続され、前記制御部が前記媒体が不適切な媒体であるとの判断を行った時、適切な媒体をかざす様、誘導する誘導部を有することを特徴とする電子マネー決済システム。
【請求項7】
前記電子マネー決済端末の前記制御部は、前記反射型センサが前記かざし部の中央位置にかざされた前記媒体を検知した時に、前記リーダ/ライタが前記媒体のデータを捕捉できた場合は、前記媒体が適切な媒体であるとの判断を行うことを特徴とする請求項6に記載の電子マネー決済システム。
【請求項8】
前記電子マネー決済端末の前記制御部は、前記媒体が、電子マネー機能付き携帯電話以外の媒体及び故障した電子マネー機能付き携帯電話のいずれかである場合、前記媒体が前記不適切な媒体であるとの判断を行うことを特徴とする請求項6に記載の電子マネー決済システム。
【請求項9】
前記電子マネー決済端末の前記制御部は、前記媒体が、電子マネーカード以外の媒体及び故障した電子マネーカードのいずれかである場合、前記媒体が前記不適切な媒体であるとの判断を行うことを特徴とする請求項6に記載の電子マネー決済システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−96159(P2011−96159A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−251643(P2009−251643)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】