説明

電子メールを利用したデータ登録方法及び装置

【課題】 フォームを利用したシステムにおいて、入力されたフォームデータの信憑性を向上させるデータ登録装置を提供する。
【解決手段】 利用者からパスワードを含む仮登録要求データを受信し、それに伴う仮登録処理を行った後、データ処理部13は利用者が本登録を行うための本登録用URLを作成し、利用者の入力した電子メールアドレス宛に、この本登録用URLを含む仮登録通知を送信させる。利用者から通信端末を経由してパスワードを含む本登録要求データを本登録用URLを通じて受信した場合は、認証部12で仮登録要求データ内のパスワードと本登録要求データ内のパスワードが一致するか否かの認証を行う。両パスワードが一致した場合は、データ処理部13で仮登録状態のデータを本登録状態へ変更を行い、利用者宛に本登録完了を通知する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばアンケートやオンラインショッピング等でよく使われているフォーム(Form)を利用したシステムにおいて、利用者が登録対象データとして入力したフォームデータの信憑性を向上させるための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】フォームを利用したシステムにおいて、利用者が通信端末を通じて入力したフォームの信憑性を高めるため、従来は、以下のような方法が採用されていた。
【0003】(1)事前登録された利用者しかシステムを利用できないようにする。この方法でのシーケンスチャートを図5及び図6に示す。利用者は、特定のシステム、例えばWebシステムに対し、自己の連絡先を含む利用者登録データの登録要求を行う(U51)。この登録要求は、ネットワークを経由しても良く、あるいはオフラインその他の物理的な配送手段によるものであっても良い。利用者からの登録要求を受領したWebシステムは、受領した登録データの審査を行い、正当であれば事前登録処理を行う。ここにいう「事前登録処理」は、利用者の連絡先や、本人特定のために利用者に割り当てられる、管理上必要なアカウント及びパスワードを格納する処理等である。その後、処理結果通知をアカウント及びパスワードと共に利用者に対して送付する(W51,W52)。
【0004】図6は、事前登録後に、利用者がWebシステムを利用する場合の手順を示している。利用者は、まず、受領しているアカウントとパスワードと、必要なフォーム入力データをWebシステムが用意したフォームを通じて通信端末より入力し、これをWebシステム宛てに送信する(U61)。Webシステム側は、受領したアカウントとパスワードが、事前登録されているアカウントとパスワードと一致するかどうかを調べ、利用者を特定する(W61)。認証が成功したら、Webシステム側は、入力データを処理し、その結果を利用者に対して返信する(W62)。
【0005】(2)事前登録は必要としないが、通信端末よりフォームを用いて入力する際に電話、住所、電子メールアドレスなどの連絡先を同時に入力させる。この方法でのシーケンスチャートを図7に示す。利用者は、まず、自己の連絡先及びフォームデータを、Webシステムが用意するフォームを用いて通信端末より入力し、これをWebシステム宛てに送信する(U71)。入力されたデータを受領した場合、Webシステム側は、入力された利用者の連絡先及びフォームデータを格納し、所定の処理を行う(W71)。この処理結果は、Webシステムから利用者宛に通知される。
【0006】
【発明が解決しようとしている課題】上記(1)の方法では、予め利用者の事前登録が必要であり、且つ登録のための審査等、登録処理が煩雑であるため、例えばインターネット等を通じて不特定多数の利用者が簡易に利用できる、フォームを用いたWebシステムを実現することが出来ない。
【0007】また、上記(2)の方法では、利用者が入力した、連絡先等のデータをWebシステムは正しいかどうか判定することは出来ないため、利用者本人の入力データを信用するしかない。従って、故意又過失によって誤ったデータが入力され、Webシステムにおいて格納される可能性がある。
【0008】そこで本発明は、データ登録者の正しい連絡先を確保し、入力された登録対象データの信憑性を向上させることができる、改良されたデータ登録方法を提供することを課題とする。本発明の他の課題は、上記データ登録方法の実施に適したデータ登録装置及び通信装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発明のデータ登録方法は、利用者が所定のデータ登録装置にデータを登録する際に、当該利用者が、自己の電子メールアドレス、第1認証データ、登録対象データを含む仮登録要求データを前記データ登録装置宛に送信するステップと、前記仮登録要求データを受信したデータ登録装置が、当該登録対象データの仮登録を行うとともに本登録のための登録用アドレスを前記電子メールアドレス宛に送信するステップと、電子メールを通じて前記登録用アドレスを受信した前記利用者が、第2認証データを当該登録用アドレス宛に送信するステップと、前記登録用アドレスを通じて前記第2認証データを受信したデータ登録装置が当該第2認証データと前記第1認証データとを比較し、この比較結果に基づいて前記登録対象データを本登録するかどうかを決定するステップとを含むことを特徴とする。
【0010】上記他の課題を解決する本発明のデータ登録装置は、利用者が発信した電子メールアドレス、第1認証データ、登録対象データを含む仮登録要求データを受信して前記電子メールアドレス及び第1認証データを保持するデータ保持手段と、前記登録対象データの仮登録を行うとともに、本登録のための登録アドレスを仮登録通知と共に前記電子メールアドレス宛に送信する仮登録手段と、前記登録アドレスを通じて前記利用者から第2認証データを受信し、この第2認証データと前記保持されている第1認証データとを比較して認証を行う認証手段と、前記認証の結果が肯定的である場合に前記登録対象データの本登録処理を行う本登録手段とを有するものである。
【0011】好ましくは、前記利用者が操作する通信端末の表示装置に所定のフォームを提示し、該フォームに基づいて前記利用者に前記登録対象データの入力を促すフォーム提示手段をさらに備えてデータ登録装置を構成する。
【0012】また、前記仮登録手段は、前記登録用アドレスを前記仮登録要求データ毎に異なるアドレスで送信するように構成する。
【0013】上記他の課題を解決する本発明の通信装置は、上記のデータ登録装置に対して所定のデータ登録を行うデータ登録手段を備え、該データ登録手段が、自装置を操作する利用者の電子メールアドレス、第1認証データ、登録対象データを含む仮登録要求データを前記データ登録装置宛に送信するとともに、前記電子メールアドレスを通じて受信した前記登録用アドレス宛に第2認証データを送信するように構成されたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を、利用者がインターネット上の特定のサーバにフォームデータを登録するWebシステムに適用した場合の実施の形態を説明する。図1は、本実施形態によるデータ登録装置の機能ブロック図である。このデータ登録装置10は、利用者が操作する、データ登録機能付き通信端末より受信したデータの処理を行うデータ処理部13と、利用者認証を行う認証部12と、通信端末とデータの送受信を行うための通信制御機構11と、利用者情報142やWebページ141を格納する記憶装置14とを含む利用者インターフェース手段を有するものである。
【0015】Webページ141は、予めHTMLで作成されて記憶装置14に保持されているものである。本実施形態では、前述のフォーム(form)を用いる。利用者が通信端末を通じてデータを入力する場合、通信端末は、データ登録装置10内の記憶装置14からWebページ141を呼び出し、これにより得られたフォームを用いてデータを入力することになる。以下、このフォームを用いて入力されたデータを「フォームデータ」と称する。
【0016】通信端末はデータ入力手段を有するコンピュータ装置等で実現されるもので、利用者の電子メールアドレス、第1認証データ(例えば本人認証用のパスワード)、登録対象となるフォームデータを含む仮登録要求データを送信するとともに、電子メールアドレスを通じて受信した登録用アドレス宛に第2認証データ(例えば第1認証データと同じパスワード)を送信する機能を有している。
【0017】この通信端末からデータ登録の要求を受信したデータ登録装置10は、図2に示す手順でデータ登録処理を行う。すなわち、通信制御機構11で通信端末より入力した電子メールアドレス、第1認証データ、フォームデータを含んだ仮登録要求データを受信すると(ステップS301:Yes)、データ処理部13は、この仮登録要求データに基づいて仮登録処理を行い、その一環として、必要なデータを利用者情報142として一時記憶装置14に格納する(ステップS302)。ここで格納されるデータは、新規利用者の場合にはその利用者の電子メールアドレスと第1認証データであり、既登録の利用者である場合は、第1認証データのみである。
【0018】データ処理部13は、その後、本登録用URL(Uniform ResourceLocator)を作成し(ステップS303)、通信制御機構11を通じて利用者の電子メールアドレス宛に、本登録用URLを含む仮登録通知を送信させる(ステップS304)。本登録用URLは、別人がなりすまして本登録を行えなくするよう、仮登録要求データを受信する度に、別のURLが生成されるようにする。ここまでが、仮登録のプロセスである。
【0019】通信制御機構11が、通信端末から第2認証データを含む本登録要求データを受信した場合(ステップS305:Yes)、認証部12は、利用者情報142として格納してある第1認証データと新たに受信した第2認証データとに基づく認証を行う(ステップS306)。認証結果が正当であった場合、データ処理部13は、仮登録であった利用者情報142の状態を本登録へ状態変更を行うなどの本登録処理を行う(ステップS306:OK、S307)。本登録処理後は、通信制御機構11に利用者宛の本登録完了通知を送信させる(ステップS308)。一方、ステップS306において認証結果が不当であった場合は、通信制御機構11に、本登録失敗通知を送信させる(ステップS309)。
【0020】図3は、利用者側とWebシステム側が例えばIPネットワークで接続されて構成されているデータ登録方法の手順を示したシーケンスチャートである。
【0021】図3において、利用者は通信端末を通じてWebシステムのWebページを呼び出し、電子メールアドレス、第1認証データ、フォームデータを入力する(U21)。通信端末は、これらを仮登録要求データとしてをWebシステム側に送信する。Webシステム側では、この仮登録要求データに基づいて仮登録処理を行うとともに(W21)、本登録用URLを生成する(W22)。その後、本登録用URLを仮登録通知と共に利用者の電子メールアドレス宛に送信する。利用者がこの仮登録の通知を受信することが出来ない場合は、当該電子メールアドレスが利用者本人ものではなかったり、電子メールアドレスに誤りがあることになる。従って利用者は、本登録に必要な本登録用URLを知ることが出来ないため、以後の本登録処理は実行されることがない。
【0022】仮登録通知を正常に受信できた場合、利用者は、本登録用URL宛てにアクセスする(U22)。このとき、利用者が仮登録で設定した第2認証データを入力する(U23)、この第2認証データを含んだ本登録要求データをWebシステム側宛に送信する。
【0023】Webシステム側は、本登録要求データを受信すると、仮登録要求データに含まれる第1認証データと本登録要求データに含まれる第2認証データとが一致するか否かを調べて認証を行う(W23)。認証が成功した場合は、仮登録であった状態を本登録へ状態変更を行うなどの本登録処理を行う(W24)。その後、利用者側宛に本登録完了通知を行う。
【0024】図4は、上記データ登録方法を実施する上で、利用者側の通信端末で実行される処理の手順図である。通信端末において、仮登録要求データをWebシステム側に送信した後、仮登録通知を受信しなかった場合は仮登録が失敗、本登録用URLを含む仮登録通知を受信した場合は仮登録が成功したことになる点は、上述のとおりである(ステップS401〜S405)。仮登録が失敗した場合は、後続処理を中止するか、正しい第1認証データを含む仮登録要求データを再度Webシステム側へ送信する。
【0025】仮登録が成功した場合は、通知された本登録用URLをもとに本登録ページにアクセスし(ステップS406:Yes)、第2認証データを含む本登録要求データをWebシステム側に送信する(ステップS407)。Webシステム側の認証が成功した場合は本登録完了通知が送られるので、これによりデータ登録が正常に完了したことを知ることができる(ステップS408:Yes)。Webシステム側の認証が失敗であった場合は本登録失敗通知がされるので、正しい第2認証データを含む本登録要求データを再度Webシステムへ送信する(ステップS409)。
【0026】このように、本実施形態では、Webシステム側で、フォームを利用してデータ入力を行った利用者から、確実に連絡のとれる電子メールアドレスを確保できるため、入力されたフォームデータの信憑性を高めることが出来るようになる。また、利用者の連絡先が事前に確保されているため、フォームデータの内容確認やデータ抹消の際の利用者との連絡が可能になる。さらに、利用者の連絡先をデータ登録装置10の処理過程で確保できるため、オペレータの介在がなく、運用コストを減少することが出来る。
【0027】なお、本発明のデータ登録方法は、従来の(1)の方法による事前登録にも応用が可能なものである。
【0028】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明によれば、データ登録者の正しい連絡先をデータ登録処理過程で確保することができ、しかも登録対象データの信憑性も同時に確保できるという、特有の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態であるデータ登録装置の機能ブロック図。
【図2】本発明の実施形態であるデータ登録装置の処理手順図。
【図3】本発明の実施形態である情報処理方法のシーケンスチャート。
【図4】本発明の実施形態である情報処理方法のうち、利用者の通信端末における処理手順図。
【図5】従来の事前登録が必要な方式のうち、事前登録の手順を示すシーケンスチャート。
【図6】事前登録後のアクセス手順を示すシーケンスチャート。
【図7】従来の事前登録が不要な方式を示すシーケンスチャート。
【符号の説明】
10 データ登録装置
11 通信制御機構
12 認証部
13 データ処理部
14 記憶装置
141 Webページ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 利用者が所定のデータ登録装置にデータを登録する際に、当該利用者が、自己の電子メールアドレス、第1認証データ、登録対象データを含む仮登録要求データを前記データ登録装置宛に送信するステップと、前記仮登録要求データを受信したデータ登録装置が、当該登録対象データの仮登録を行うとともに本登録のための登録用アドレスを前記電子メールアドレス宛に送信するステップと、電子メールを通じて前記登録用アドレスを受信した前記利用者が、第2認証データを当該登録用アドレス宛に送信するステップと、前記登録用アドレスを通じて前記第2認証データを受信したデータ登録装置が当該第2認証データと前記第1認証データとを比較し、この比較結果に基づいて前記登録対象データを本登録するかどうかを決定するステップとを含む、データ登録方法。
【請求項2】 前記データ登録装置がデータネットワークに接続されたWWWサーバであり、前記登録アドレスが当該WWWサーバが備える本登録機構のURLであることを特徴とする、請求項1記載のデータ登録方法。
【請求項3】 前記登録対象データが、Webのフォーム入力機能を通じて前記利用者が入力したデータであることを特徴とする、請求項2記載のデータ登録方法。
【請求項4】 利用者が発信した電子メールアドレス、第1認証データ、登録対象データを含む仮登録要求データを受信して前記電子メールアドレス及び第1認証データを保持するデータ保持手段と、前記登録対象データの仮登録を行うとともに、本登録のための登録アドレスを仮登録通知と共に前記電子メールアドレス宛に送信する仮登録手段と、前記登録アドレスを通じて前記利用者から第2認証データを受信し、この第2認証データと前記保持されている第1認証データとを比較して認証を行う認証手段と、前記認証の結果が肯定的である場合に前記登録対象データの本登録処理を行う本登録手段とを有する、データ登録装置。
【請求項5】 前記利用者が操作する通信端末の表示装置に所定のフォームを提示し、該フォームに基づいて前記利用者に前記登録対象データの入力を促すフォーム提示手段をさらに有することを特徴とする、請求項4記載のデータ登録装置。
【請求項6】 前記仮登録手段は、前記登録用アドレスを前記仮登録要求データ毎に異なるアドレスで送信するように構成されていることを特徴とする、請求項4記載のデータ登録装置。
【請求項7】 請求項4乃至6のいずれかの項に記載されたデータ登録装置に対して所定のデータ登録を行うデータ登録手段を備え、該データ登録手段が、自装置を操作する利用者の電子メールアドレス、第1認証データ、登録対象データを含む仮登録要求データを前記データ登録装置宛に送信するとともに、前記電子メールアドレスを通じて受信した前記登録用アドレス宛に第2認証データを送信するように構成されていることを特徴とする、データ登録機能付き通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2000−148845(P2000−148845A)
【公開日】平成12年5月30日(2000.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−313728
【出願日】平成10年11月4日(1998.11.4)
【出願人】(000102728)株式会社エヌ・ティ・ティ・データ (438)
【Fターム(参考)】