説明

電子メールテンプレート作成装置、電子メールテンプレート作成方法、および電子メールテンプレート作成プログラム

【課題】電子メールのテンプレートを作成する際の手間や煩雑さを減らすこと。
【解決手段】1つの送信済みメールファイルをメール記憶部から読み出して基準メールファイルSFとする過程(S1〜S2)と、基準メールファイルSFと他のメールファイルとを比較する過程(S6)と、比較によって基準メールファイルSFと他のメールファイルとの間に差異があると判定された場合には、基準メールファイルSF内で差異がある部分の文字を削除する過程(S8)と、基準メールファイルSFをメールテンプレートファイルとしてメール記憶部に記憶する過程(S9)とを有する電子メールテンプレート作成方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子メールテンプレート作成装置、電子メールテンプレート作成方法、および電子メールテンプレート作成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子メールの送受信においては、ビジネスメールや単純応答のメールなど、定型化された文書のメールを作成し、送信することが多々ある。定型化された文書のメールを作成するために、メールテンプレート、すなわち電子メールの雛形を利用することがある(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。一般的な定型文については、予め登録されているものもあるが、ユーザに応じた定型文については、ユーザがあらかじめ作成しておく必要があり、この作成に手間がかかるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−222300号公報
【特許文献2】特開2011−113510号公報
【特許文献3】特開平11−85578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般的な定型文については予め登録されているものもあるが、ユーザに応じた定型文については、ユーザがあらかじめ作成し、登録しておく必要があり、この作成に手間がかかるという問題があった。
本発明は、上記課題を解決することができる電子メールテンプレート作成装置、電子メールテンプレート作成方法、および電子メールテンプレート作成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、本発明の一態様による電子メールテンプレート作成装置は、作成済みの第1のメールファイルに基づき、テンプレート文書の基本文書となる基準メールファイルを決定する基準メールファイル決定部と、前記基準メールファイルの比較対象である第2のメールファイルを決定する比較対象決定部と、前記基準メールファイルのメール文書欄と前記第2のメールファイルのメール文書欄とを比較し、それぞれのメール文書欄において差異部分があるか否かを判定する比較部と、前記比較部によって差異部分があると判定された場合、前記差異部分の文字を削除するテンプレート作成部と、前記テンプレート作成部に比較対象決定部よって編集された前記基準メールファイルの前記メール文書欄のデータを前記テンプレート文書として記憶部に登録する登録部と、を有する。
【0006】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、本発明の一態様による電子メールテンプレート作成方法は、作成済みの第1のメールファイルに基づき決定されたテンプレート文書の基本文書となる基準メールファイルと、前記基準メールファイルの比較対象として決定された第2のメールファイルとを比較し、それぞれのメールファイルのメール文書欄において差異部分があるか否かを判定する比較ステップと、前記差異部分があると判定された場合、前記差異部分の文字を削除するテンプレート作成ステップと、前記テンプレート作成ステップにおいて編集された前記基準メールファイルの前記メール文書欄のデータを前記テンプレート文書として記憶部に登録する登録ステップと、を有する。
【0007】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、本発明の一態様による電子メールテンプレート作成プログラムは、コンピュータを、作成済みの第1のメールファイルに基づき、テンプレート文書の基本文書となる基準メールファイルを決定する基準メールファイル決定手段、前記基準メールファイルの比較対象である第2のメールファイルを決定する比較対象決定手段、前記基準メールファイルのメール文書欄と前記第2のメールファイルのメール文書欄とを比較し、それぞれのメール文書欄において差異部分があるか否かを判定する比較手段、前記比較手段によって差異部分があると判定された場合、前記差異部分の文字を削除するテンプレート作成手段、前記テンプレート作成手段によって編集された前記基準メールファイルの前記メール文書欄のデータを前記テンプレート文書として記憶部に登録する登録手段、として機能させるプログラムである。
【発明の効果】
【0008】
電子メールのテンプレート文書を作成する際の手間や煩雑さを減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る電子メールテンプレート作成装置10の一実施形態の構成例を説明するためのブロック図である。
【図2】本発明に係るメール作成部1の一実施形態の構成例を説明するためのブロック図である。
【図3】図1の電子メールテンプレート作成装置10のテンプレート作成時の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】図1の電子メールテンプレート作成装置10によるテンプレート作成動作の一例を説明するための図である。
【図5】図1の電子メールテンプレート作成装置10によるテンプレート作成動作の一例を説明するための図である。
【図6】図1の電子メールテンプレート作成装置10によるテンプレート作成動作の一例を説明するための図である。
【図7】図1の電子メールテンプレート作成装置10によるテンプレート作成動作の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1には、本発明の一実施形態としての電子メールテンプレート作成装置10が示されている。電子メールテンプレート作成装置10は、電子メール用のテンプレート文書のデータ(以下、テンプレート文書という)を作成する装置であり、例えば内部にCPU(中央処理装置)などを有するパーソナルコンピュータ、携帯電話機などの情報処理装置の一部としてあるいは情報処理装置に含まれるものとして構成することができる。図1に示す例では、電子メールテンプレート作成装置10が、メール作成部1、メール通信部2、ディスプレイ出力部3、キーボード入力部4、およびメール記憶部5を備えている。
【0011】
メール作成部1は、電子メールテンプレート作成装置10が有するハードウェア資源(例えばCPU)を用いて実行されるソフトウェアの処理機能部であって、ユーザの操作に応じて送信用の電子メールを表すデータであるメールファイルを作成したり、電子メール用のテンプレートを表すデータであるメールテンプレートファイルを作成したりする。本実施形態のメール作成部1では、以下の処理を行うことでメールテンプレートファイルを自動で作成する。
次に、図2を参照して、メール作成部1の構成の一例について説明する。図2は、メール作成部1の構成の一例を示すブロック図である。
このメール作成部1は、基準メールファイル決定部11と、比較対象決定部12と、比較部13と、テンプレート作成部14と、テンプレート登録部15と、テンプレート更新部16と、を備える。
【0012】
基準メールファイル決定部11は、1つの送信済みメールファイルM1をメール記憶部5から読み出して基準メールファイルSFとして設定(決定)する。ただし、基準メールファイルSFは、未送信の状態の送信用メールファイルであってもよい。
比較対象決定部12は、基準メールファイルSFの比較対象であるメールファイルM2を決定する。本実施形態において、比較対象決定部12は、メールファイルにおいて、メール内容を記載するメール文書欄や、宛先、メールタイトル等の欄が編集可能なメールファイルであって、メールファイルM1のメール文書部分をコピーしたメールファイルを、メールファイルM2と決定する。本発明は、これに限られず、比較対象決定部12は、例えば、メール記憶部5に保存されている他の送信済みメールファイルF3を、比較対象であるメールファイルM2と決定するものであってもよい。
【0013】
具体的に説明すると、比較対象決定部12によって決定される他のメールファイルM2とは、基準メールファイルSFの内容を基準として、共通部分と非共通部分とを抽出するための比較対象となるデータである。他のメールファイルM2とは、例えば、基準メールファイルSF(あるいは基準メールファイルSFと同一内容のメールファイルM1)を元にしてユーザが編集中の新たな送信用メールファイルM2である。あるいは、他のメールファイルM2は、基準メールファイルSFを元(あるいは基準メールファイルSFと同一内容のメールファイルM1を元)にしてユーザがすでに編集作業を行って作成済み(で未送信)の送信用メールファイルや、またはその作成済みメールファイルをメール通信部2を介して送信済みとした送信済みメールファイルである。
【0014】
比較部13は、基準メールファイルSFと、他のメールファイルM2とを比較し、対応するメール文書欄において差異があるか否かを判定する。
【0015】
テンプレート作成部14は、基準メールファイルSFと、他のメールファイルM2との比較によって、基準メールファイルSFと他のメールファイルM2との間に差異があると判定された場合に、基準メールファイルSFのメール文書欄においてメールファイルF2と差異がある部分の文字を削除して、テンプレート文書を作成する。また、テンプレート作成部14は、差異があると判定された場合、基準メールファイルSFのメール文書欄においてメールファイルF2と差異がある部分の文字を削除するとともに、削除する部分を決められた置換え文字に置き換えたテンプレート文書を作成する。
ここで、置換え文字とは、例えば、◆、□、△、▽などの記号を表す文字である。ただし、処理対象とするメールファイルM1、M2内にすでに所定の置換え文字が含まれている場合には当該含まれている文字は使用しないように置換え文字を設定することが望ましい。
【0016】
テンプレート登録部15は、テンプレート作成部14によって作成されたテンプレート文書を、メール記憶部5に登録する。なお、テンプレート登録部15は、テンプレート文書だけを、メール記憶部5に登録するものであってもよく、メール文書欄、宛先欄、メールタイトル欄が編集可能なメールファイルにテンプレート文書を貼り付けたメールテンプレートファイルを、メール記憶部5に登録するものであってもよい。このテンプレート登録部15は、メール記憶部5に登録した日時を示す情報(以下、履歴情報という)を登録したテンプレート文書等に対応付けて、登録する。
以上の処理によって、メール作成部1は、テンプレート文書(あるいはメールテンプレートファイル)を自動で作成する。
【0017】
テンプレート更新部16は、メール記憶部5に登録されたテンプレート文書(あるいはメールテンプレートファイル)についての更新処理を実行する。例えば、テンプレート文書がメール記憶部5から読み出され、メール編集部17によってメール作成処理に利用された場合、テンプレート更新部16は、メール記憶部5に登録されている当該テンプレート文書の履歴情報に利用されたことを示す情報(例えば、利用された日時を示す情報)を追加する。
【0018】
このテンプレート更新部16は、メール記憶部5に登録されている各テンプレート文書について、保管期日に到達したか否かを判定する。例えば、登録日時から3ヶ月後が保管期日であると、メール記憶部5に登録されているとする。この場合、テンプレート更新部16は、各テンプレート文書の履歴情報を参照して、現時点における日時が、各テンプレート文書の登録日時から3ヶ月が経過しているか否かを判定する。登録日時から3ヶ月が経過している場合、テンプレート更新部16は、テンプレート文書の保管期日に到達したと判定する。
テンプレート文書の保管期日に到達したと判定した場合、テンプレート更新部16は、登録されているテンプレート文書が登録されてから保管期日までに、送信メールファイルのメール作成時に利用されたか否かを判定する。
例えば、テンプレート更新部16は、テンプレート文書に対応付けられている履歴情報を参照して、テンプレート文書が登録されてから保管期日までに、メール作成処理に利用されてことを示す情報が書き込まれている場合、テンプレート文書が登録されてから保管期日までに送信メールファイルのメール作成時に利用されたと判定する。
一方、送信メールファイルのメール作成時に利用された情報が、履歴情報が記録されていない場合、テンプレート更新部16は、メール作成処理に利用されていないと判定し、メール記憶部5から当該テンプレート文書を削除する。
【0019】
メール編集部17は、ユーザからの指示に応じて、送信用のメールファイルを作成する。例えば、ユーザから、テンプレート文書を利用したメールファイルの作成指示がキーボード入力部4を介して入力された場合、メール編集部17は、宛先欄、メールタイトル欄、メール文書欄等が編集可能なメールファイルであって、テンプレート文書をメール文書欄に貼り付けたメールテンプレートファイルを作成して、ディスプレイ出力部3に出力する。
なお、メール編集部17は、ユーザから、送信済みのメールファイルに基づく編集処理の指示が入力された場合、メール記憶部5から送信済みのメールファイルを読み出し、宛先欄、メールタイトル欄、メール文書欄等が編集可能なメールファイルであって、この送信済みのメールファイルのメール文書欄に記載されているデータのコピーをメール文書欄に貼り付けたメールテンプレートファイルを作成して、ディスプレイ出力部3に出力する。
【0020】
メール通信部2は、有線または無線の通信回線を介して、外部の図示していないメールサーバに接続し、メール作成部1で作成された電子メールファイルを送信したり、送られてきた電子メールファイルを受信してメール記憶部5に保存したりする。
【0021】
ディスプレイ出力部3は、液晶ディスプレイなどからなる表示部であって、文字や図形、画像などを表示する。
【0022】
キーボード入力部4は、文字キーやカーソルキー、改行キー、消去キーなどの複数種類のキーからなり、ユーザの操作に応じて所定の情報を入力する。
【0023】
メール記憶部5は、メール作成部1で作成された送信済みメールファイルやメールテンプレートファイルや、受信メールファイルなどを記憶する記憶装置である。
【0024】
なお、電子メールテンプレート作成装置10には、他に、受信した電子メールファイルを表示するための構成や、日時の情報を生成するための時計機能などを備えている。
【0025】
次に、図3〜図7を参照して、電子メールテンプレート作成装置10におけるメールテンプレートファイルの作成動作について説明する。図3に示したフローチャートは、メール作成部1によって、メール記憶部5に記憶されている1つの送信済みメールファイルM1を基準メールファイルSFとし、かつ、比較対象となる他のメールファイルM2をユーザがその基準メールファイルSFと同一内容のメールファイルM1を元にして編集中の新たな送信用メールファイル(M2)とする場合の動作の流れを示している。
つまり、本実施形態において、基準メールファイルSFは、送信済みのメールファイルM1のメール文書欄の文字データのコピーをメール文書欄に貼り付けたメールファイルである。また、比較対象となる他のメールファイルM2は、送信済みのメールファイルM1のメール文書欄の文字データのコピーをメール文書欄に貼り付けた送信用のメールファイルである。この送信用のメールファイルは、少なくとも、メール文書欄を編集可能なメールファイルである。
【0026】
また、図4〜図7には、ユーザの操作例と、基準メールファイルSFと、比較対象となる他のメールファイルM2の内容の変化とを示している。以下、図3〜図7を参照して、メール記憶部5に格納されている送付済みメールから別のメールを作成する場合にどのようにしてテンプレート文書が作成されるかについて説明する。以下では、ユーザが、送信済みメールファイルM1を指定し、送信用のメールファイルM2を作成し、図3に示す通り、網掛け部分の3カ所を書き換える例について説明する。
【0027】
いま、ユーザが、ディスプレイ出力部3の表示を見ながら、キーボード入力部4に所定の操作を行うことで、任意の送信済みメールファイルM1を指定して、新たな送信用メールファイルM2を作成する処理を開始したとする。
【0028】
まず、ユーザの指示に応じて、メール作成部1の基準メールファイル決定部11がメール記憶部5から送信済みのメールファイルM1を読み出す(ステップS1)。
次に、メール作成部1の基準メールファイル決定部11が、メール記憶部5から読み出した送信済みのメールファイルM1のメール文書欄の文字データをコピーして、新規のメールファイルの文書欄に貼り付けた基準メールファイルSFを作成する(ステップS2)。
次に、メール作成部1のメール編集部17が、送信済みメールファイルM1に対するユーザによる再編集操作の受付を開始する(ステップS3)。メール作成部1の比較対象決定部12は、送信済みメールファイルM1に基づく編集用のメールファイルM2を作成する。例えば、比較対象決定部12は、送信済みメールファイルM1の文書欄の文字データをコピーして、新規のメールファイルの文書欄に貼り付けたメールファイルM2を作成する。
【0029】
次に、メール作成部1のメール編集部17は、ユーザが編集終了を指示する所定の操作を行ったか否かを判定し(ステップS4)、ユーザが編集終了を指示する所定の操作が行われていない場合には、ユーザの操作に応じて、編集用のメールファイルM2に対するユーザからの編集指示を受け付け、編集指示に応じて、メールファイルM2を編集する(ステップS5)。例えば、メール編集部17は、メール文書欄において、図4に示したメールファイルM2の「あいう」部分を削除し、図5に示したように「KKKKK」に書き換える。
【0030】
次に、メール作成部1の比較部13が、編集用のメールファイルM2と基準メールファイルSFとを比較する(ステップS6)。この例では、メール作成部1の比較部13が、図5に示したメールファイルM2のメール文書欄の文字データと、図4に示した基準メールファイルSFのメール文書欄の文字データとを比較する。そして、メール作成部1の比較部13は、基準メールファイルSFのメール文書欄の「あいう」の部分が、メールファイルM2のメール文書欄の「KKKKK」の部分と異なることを判定する。言い換えると、メール作成部1の比較部13は、基準メールファイルSFのメール文書欄の「あいう」の部分に差異が発生していることを検知する。
【0031】
次に、メール作成部1のテンプレート作成部14は、新たに差異が生じたか否かを判定し(ステップS7)、生じた場合には、基準メールファイルSFのメール文書欄内で差異があった部分の文字を削除して、所定の置換え文字に置き換える処理を行う(ステップS8)。この例では、メール作成部1のテンプレート作成部14が、検出した差異が発生している部分(図4の基準メールファイルSFのメール文書欄にある「あいう」部分)を削除する。そして、メール作成部1のテンプレート作成部14が、削除した部分を、図5に示した基準メールファイルSFのメール文書欄のように3個の記号文字「□」に置き換える処理を行う。
【0032】
なお、ステップS7の処理において、テンプレート作成部14は、削除して置き換えを行う置換え文字が、1つ前に置き換えられた文字と連続している場合には同一の置換え文字で置き換えを行い、不連続の場合には異なる記号文字で置き換えを行うようにする。つまり、図5に示したように、「あ」「い」「う」の3文字を削除して記号文字に置き換える場合、「い」の一つ前に記号文字「□」に置き換えられた文字「あ」は「い」と連続している(すなわち他の文字や空白、改行などが介在していない)ので、テンプレート作成部14は、「い」も「あ」と同じ記号文字「□」で置き換える。同様に、「い」と「う」は連続しているので、テンプレート作成部14は、「う」も「い」および「あ」と同じ記号文字「□」で置き換える。
【0033】
つづいてユーザが、図5に示したメールファイルM2の「カキク」を、図6に示すように「すずき」と書き換える操作を行ったとする。この場合、メール作成部1のメール編集部17は、ステップS4の判定の結果が編集終了ではない(ステップS4で「no」)と判定し、図6に示すように編集用のメールファイルM2のメール文書欄を編集して「カキク」を「すずき」に変更する(ステップS5)。
【0034】
次に、メール作成部1の比較部13が、編集用のメールファイルM2と基準メールファイルSFとを比較する(ステップS6)。この例では、メール作成部1の比較部13が、図6に示したメールファイルM2のメール文書欄の文字データと、図5に示した基準メールファイルSFのメール文書欄の文字データとを比較し、基準メールファイルSFのメール文書欄の「カキク」の部分に差異が発生したことを検知する。
【0035】
次に、メール作成部1のテンプレート作成部14は、新たに差異が生じたか否かを判定する(ステップS7)。この例では、差異が生じているので、テンプレート作成部14は、基準メールファイルSFのデータ文書において差異が発生している部分の文字「カキク」の部分を削除して、所定の置換え文字「◆」に置き換える処理を行う(ステップS8)。この例では、前の処理で置換え文字「□」に置き換えた部分と、今回置換え文字に置き換える部分とが不連続であるため、テンプレート作成部14は、前回の置換え文字「□」と異なる置換え文字「◆」が用いられている。
【0036】
つづいてユーザが、キーボード入力部4を介して、図6に示したメールファイルM2の「7月20日週」を、図7に示すように「7/22(金)」と書き換える操作を行ったとする。この場合、メール作成部1のメール編集部17は、ステップS4の判定の結果が編集終了ではない(ステップS4で「no」)と判定する。よって、メール編集部17は、図7に示すように送信済みメールファイルM2のメール文書欄の文字データを編集して「7月20日週」を「7/22(金)」に変更する(ステップS5)。
【0037】
次に、メール作成部1の比較部13が、編集中の送信済みメールファイルM2と基準メールファイルSFとを比較する(ステップS6)。この例では、メール作成部1の比較部13は、図7に示したメールファイルM2の内容と、図6に示した基準メールファイルSFとを比較し、基準メールファイルSFのメール文書欄の「7月20日週」の部分に差異が発生したことを検知する。
【0038】
次に、メール作成部1のテンプレート作成部14は、新たに差異が生じたか否かを判定する(ステップS7)。この例では、差異が生じているので、テンプレート作成部14は、基準メールファイルSFのメール文書欄において差異が発生した部分の文字「7月20日週」の部分を削除して、所定の置換え文字「△」に置き換える処理を行う(ステップS8)。この例では、前の処理で置換え文字「◆」に置き換えた部分と、今回置換え文字に置き換える部分とが不連続であるため、テンプレート作成部14は、前回の置換え文字「◆」と異なる置換え文字「△」を用いる。
【0039】
ここで、ユーザがキーボード入力部4に対して編集を終了する旨の所定の操作を行ったとする。この場合、メール作成部1のメール編集部17は、ステップS4の判定の結果が編集終了である(ステップS4で「yes」)となるので、メール編集処理を終了し、その旨を示す情報を、テンプレート登録部15に出力する。
そして、テンプレート登録部15は、基準メールファイルSF(この例では図7に示した内容の基準メールファイルSF)をメールテンプレートファイルとして所定の名称を付けてメール記憶部5に記憶する(ステップS9)。なお、テンプレート登録部15は、基準メールファイルSFのメール文書欄に記載されている文字データのみを、テンプレート文書として、メール記憶部5に登録するものであってもよい。ここで、メールファイルM1のタイトル欄に記載されていた情報が、基準メールファイルSFにコピーして書き込まれている場合、テンプレート登録部15は、基準メールファイルSFのタイトル欄に記載されている情報を、テンプレート文書の名称として付与するものであってもよい。
以上のようにしてユーザの送信済みメールファイルに対する再編集操作にともなって、あらたなメールテンプレートファイルが自動的に作成、保存される。
【0040】
すなわち、本実施形態のメール作成部1は、メール記憶部5より送信済みメールファイルを読み出し、ユーザの操作に応じて再編集を始める。その際、メール作成部1は、メール作成用のメールファイルM2と、テンプレート作成用の基準メールファイルSFの2つの文章ファイルを保持することになる。次に、ユーザはディスプレイ出力部3に表示される送信済みメールファイルM2の内容を確認しながら、変更が必要な部分をキーボード入力部4から入力し、メール作成部1を用いてメールファイルM2の内容を書き換えていく。並行して、メール作成部1は、ユーザが書き換えた部分や削除した部分を置換え文字(◆、□、△、▽など)に置き換え、基準メールファイルSFに反映する。そして、ユーザのメール編集作業が終了すると、ユーザが書き換えた部分や削除した部分を置換え文字(◆、□、△、▽など)に置き換えたメールテンプレートファイル(テンプレート文書)が同時に完成する。これをメール記憶部5に保持し、以後のメール作成時にテンプレートして利用することで、メール作成負荷を軽減することができる。
【0041】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。上記実施形態では、ユーザが送信済みメールファイルを再編集した場合に自動的にメールテンプレートファイルが作成される。そのため、メールテンプレートファイルの個数が多くなる場合が考えられる。これに対しては、十分な記憶容量を確保することや、テンプレートの詳細検索機能などを設けることで対応可能である。ただし、次のようなテンプレートの保管期日機能(つまり自動削除機能)を追加するようにしてもよい。
【0042】
テンプレートの保管期日(自動削除)機能として、例えば、テンプレート更新部16は、生成したメールテンプレートファイルの保存時に、保管期日を付与して保存するようにしてもよい。保管期日は、作成後、たとえば、2週間後、3ヶ月などとする。また、テンプレート更新部16は、毎日任意の時刻(たとえば午前1時)に自動生成したメールテンプレートファイルの保管期日を過ぎるものがないかチェックを行う。この際、メールテンプレートファイルの利用実績がなく、かつ、保管期日を超過しているメールテンプレートファイルが見つかると、テンプレート更新部16は、そのメールテンプレートファイルをメール記憶部5から消去する。このようにすることで、利用しないメールテンプレートファイルでメール記憶部5がいっぱいにならないようにすることができる。この機能については、例えば、メール作成部1(テンプレート更新部16)が有するようにしてもよいし、図示していない他の電子メールの管理などを行う処理部内に設けるようにしてもよい。
【0043】
また、上記の動作例の説明では、基準メールファイルSFと比較の対象とされる他のメールファイルM2を、基準メールファイルSFと同一内容のメールファイルM2を元にしてユーザが編集作業中の新たな送信用メールファイルM2とした。しかし、上述したように、比較対象決定部12は、他のメールファイルM2として、基準メールファイルSFを元(あるいは基準メールファイルSFと同一内容のメールファイルを元)にしてユーザがすでに編集作業を行って作成済みで未送信の送信用メールファイルや、その作成済みメールファイルをメール通信部2を介して送信済みとした送信済みメールファイルを決定することができる。この場合、メール作成部1の比較部13は、ユーザの操作に応じて、メール記憶部5から、同一のメールファイル(またはそのメールファイルを再編集したメールファイル)を編集元ファイルとして再編集された2つの送信済みメールファイルなどを読み出し、読み出した2つの送信済みメールファイルの一方を基準メールファイルSFとし、他方を比較対象のメールファイルM2として、ファイル全体について一括して比較を行うものであってもよい。そして、テンプレート作成部14は、比較部13の比較結果に基づき、基準メールファイルSFのメール文書欄において差異が検知された部分を削除するとともに、所定の置換え文字に置き換えることでメールテンプレートファイルを作成することができる。すなわち、メール作成部1のテンプレート作成部14は、すでに再編集(つまり送信済みメールファイルなどに対する編集)を行って送信した2つのメールファイルなどから、差異のある部分を取り除き、取り除いた部分を置換え文字(◆、□、△、▽など)に置き換えることでテンプレート文書を作成することが可能である。
【0044】
本実施形態においては、以下に記載するような効果を奏する。すなわち、電子メールテンプレート作成装置10は、送信済みメールファイルを再編集したときにユーザにより書き換えた部分や削除した部分を利用し、送信済みメールの該当箇所を置換え文字(◆、□、△、▽など)に置き換えることにより、テンプレート文書を作成する。これにより、ユーザがテンプレート文書を事前に作成して登録する必要はなく、メールの再編集の過程などで自動的にテンプレート文書を作成することができる。よって、テンプレート作成のわずらわしさを解消することができる。
【0045】
なお、本発明の態様は次のようにとらえることが可能である。すなわち、本発明は、ユーザが選択した2つの送信済みメールから差異のある語を取り除き、共通部分を残してテンプレートを作成することを特徴とするものであると考えることができる。また、本発明は、送信済みメールを再編集したときのユーザにより書き換えた部分や削除した部分を利用し、送信済みメールからそれらを◆◆や△△等の置換え文字に置換えることにより、テンプレートを作成することを特徴とするものであると考えることができる。また、本発明は、自動生成したテンプレートに保管期日を持ち、利用実績のなく、かつ、保管期日を過ぎたものは自動で消去することを特徴とするものであると考えることができる。また、本発明は、送信済みメールファイルをユーザが再編集して、新たなメールファイルを作成する場合に、新旧のメールファイルの比較結果に基づき、新旧のメールファイルで共通部分と、所定の文字などに置き換えた書換部分(すなわち可変部分)とをもつメールテンプレートファイルを自動生成し、メールテンプレートファイルとして装置内に保持するものであることを特徴とするものであると考えることができる。また、本発明は、自動生成されたメールテンプレートファイルには保管期日を持っていて、保管期日内にそのテンプレートを使ったメール作成がなければ、自動的に削除することを特徴とするものであると考えることができる。この場合、利用実績のない自動生成テンプレートを削除することで、必要なテンプレートだけが保持されることになる。
【0046】
なお、本発明に係るテンプレート作成装置は、上記のものに限定されず、例えば、テンプレート作成部14は、置き換えを行う置換え文字に文字色や点滅、アンダーラインなどの表示属性を持たせるようにして同一文字を識別可能として複数箇所に使えるようできる。また、電子メールテンプレート作成装置10は、キーボード入力部4に加えあるいは代えて音声入力機能やタッチパネル式の入力部などを用いるようにできる。さらに、電子メールテンプレート作成装置10は、メールテンプレートファイルをメール記憶部5とは異なる内部のまたは外部の記憶装置に集中してまたは分散して記憶するようにしたりすることができる。なお、本発明の電子メールテンプレート作成装置10は、プログラムを一部の構成要素として用いて構成することができ、そのプログラムの全部または一部はコンピュータ読み取り可能な記憶媒体または通信回線を介して流通させることが可能である。
【0047】
また、本実施の形態に係る電子メールテンプレート作成装置10は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、動作の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータシステムが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでいう「コンピュータシステム」とは、CPU及び各種メモリやOS、周辺機器等のハードウェアを含むものである。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
【0048】
「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものであってもよい。
【0049】
さらに、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組合せで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0050】
1 メール作成部
2 メール通信部
3 ディスプレイ出力部
4 キーボード入力部
5 メール記憶部
M1,M2 メールファイル
SF 基準メールファイルSF
10 電子メールテンプレート作成装置
11 基準メールファイル決定部
12 比較対象決定部
13 比較部
14 テンプレート作成部
15 テンプレート登録部
16 テンプレート更新部
17 メール編集部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作成済みの第1のメールファイルに基づき、テンプレート文書の基本文書となる基準メールファイルを決定する基準メールファイル決定部と、
前記基準メールファイルの比較対象である第2のメールファイルを決定する比較対象決定部と、
前記基準メールファイルのメール文書欄と前記第2のメールファイルのメール文書欄とを比較し、それぞれのメール文書欄において差異部分があるか否かを判定する比較部と、
前記比較部によって差異部分があると判定された場合、前記差異部分の文字を削除するテンプレート作成部と、
前記テンプレート作成部によって編集された前記基準メールファイルの前記メール文書欄のデータを前記テンプレート文書として記憶部に登録する登録部と、
を有することを特徴とする電子メールテンプレート作成装置。
【請求項2】
前記テンプレート作成部は、
前記比較部によって前記差異部分があると判定された場合、前記基準メールファイルの前記メール文書において前記差異部分の文字を削除するとともに、削除する部分に決められた置換え文字を挿入する
ことを特徴とする請求項1に記載の電子メールテンプレート作成装置。
【請求項3】
前記記憶部に登録されている前記テンプレート文書の保管期日に到達した場合、登録されている前記テンプレート文書が登録されてから保管期日までに、送信メールファイルのメール作成時に利用されたか否かを判定し、送信メールファイルのメール作成時に利用された履歴情報が記録されていない場合、利用されていないと判定し、前記記憶部から当該テンプレート文書を削除する更新部をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子メールテンプレート作成装置。
【請求項4】
前記比較対象決定部は、
前記第1のメールファイルの前記メール文書欄のデータをコピーしたメールファイルであって、前記メール文書欄の一部が編集された前記メールファイルを、前記第2のメールファイルと決定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子メールテンプレート作成装置。
【請求項5】
前記比較対象決定部は、
前記第1のメールファイルとは異なる別の作成済みの第3のメールファイルを、前記第2のメールファイルと決定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子メールテンプレート作成装置。
【請求項6】
作成済みの第1のメールファイルに基づき決定されたテンプレート文書の基本文書となる基準メールファイルと、前記基準メールファイルの比較対象として決定された第2のメールファイルとを比較し、それぞれのメールファイルのメール文書欄において差異部分があるか否かを判定する比較ステップと、
前記差異部分があると判定された場合、前記差異部分の文字を削除するテンプレート作成ステップと、
前記テンプレート作成ステップにおいて編集された前記基準メールファイルの前記メール文書欄のデータを前記テンプレート文書として記憶部に登録する登録ステップと、
を有することを特徴とする電子メールテンプレート作成方法。
【請求項7】
コンピュータを、
作成済みの第1のメールファイルに基づき、テンプレート文書の基本文書となる基準メールファイルを決定する基準メールファイル決定手段、
前記基準メールファイルの比較対象である第2のメールファイルを決定する比較対象決定手段、
前記基準メールファイルのメール文書欄と前記第2のメールファイルのメール文書欄とを比較し、それぞれのメール文書欄において差異部分があるか否かを判定する比較手段、
前記比較手段によって差異部分があると判定された場合、前記差異部分の文字を削除するテンプレート作成手段、
前記テンプレート作成手段によって編集された前記基準メールファイルの前記メール文書欄のデータを前記テンプレート文書として記憶部に登録する登録手段、
として機能させることを特徴とする電子メールテンプレート作成プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−57999(P2013−57999A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194780(P2011−194780)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】